JP6630066B2 - 酵素活性化剤 - Google Patents
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そこで、本発明は、新規な酵素活性化剤を提供することを第1の課題とする。
そこで、本発明は、新規なDNAの酸化的損傷の抑制剤又は修復剤を提供することを第2の課題とする。
また、本発明者らは、同発酵物にDNAの損傷を抑制又は予防する作用があることを見出した。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明を完成させた。
本発明の酵素活性化剤は、複数の酵素を活性化させる作用を有するため、生体機能を正常化させるのに有用である。
本発明の酵素活性化剤は、これらの酵素を活性化させるのに好適である。これらの酵素は、種々の生体機能に関与する酵素である。
また、本発明のDNAの酸化的損傷の抑制剤又は修復剤は、DNAの酸化的損傷の抑制又は修復の作用に優れる。
本発明の酵素活性化剤、及びDNAの酸化的損傷の抑制剤又は修復剤は、アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物の萼を、乳酸菌により発酵させて得られる発酵物を有効成分として含有する。
本発明で用いるアオイ科フヨウ(ハイビスカス)属の植物としては、例えばローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)、ムクゲ(Hibiscus syriacus)、フヨウ(Hibiscus mutabills)、モミジアオイ(Hibiscus coccineus)、オオハマボウ(Hibiscus tiliaceus)、フウリンブッソウゲ(Hibiscus schizopetalus)などが挙げられるが、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)が好ましい。
本発明の酵素活性化剤は、上述した発酵物を有効成分として含有する。
本発明の酵素活性化剤は、外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。外用剤としては、例えば、化粧料、医薬部外品、皮膚外用医薬等の形態が挙げられる。また、それらの剤形は特に制限されない。中でも、酵素を活性化するためという用途との関係から、継続的に使用可能な化粧料の形態が好ましく、中でも、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェル、サンケア品等の形態が好ましい。
また、経口剤としては、錠剤、顆粒剤、ドリンク剤等の剤形を有するサプリメントの形態が好ましい。
また、剤形に応じて、1回あたりの摂取量が発酵物の乾燥質量として、1〜1000mgとなるような量、好ましくは10〜200mgとなるような量を配合することが好ましい。
後述するように、本発明の酵素活性化剤は、カスパーゼを活性化させる作用に優れることから、癌、自己免疫性疾患、ウイルス感染、アトピー性皮膚炎、乾癬、接触性皮膚炎等の予防、改善、治療のための剤や保湿剤として使用することができる。
後述するように、本発明の酵素活性化剤は、カタラーゼを活性化させる作用に優れることから、癌、動脈硬化等の予防、改善、治療のための剤、抗老化のための剤、メラニン産生抑制剤として使用することができる。
後述するように、本発明の酵素活性化剤は、NADHデヒドロゲナーゼを活性化させる作用に優れることから、炎症、癌等の予防、改善、治療のための剤、抗老化のための剤として使用することができる。
本発明の酵素活性化剤は、カリクレインのうちカリクレイン−5を活性化させるために用いることが好ましい。
後述するように、本発明の酵素活性化剤は、カリクレインを活性化させる作用に優れることから、不要な角化細胞の蓄積の抑制剤、保湿剤、老人性乾皮症の予防、改善、治療のための剤として使用することができる。
そのため、本発明の酵素活性化剤は、肌状態の改善に有用である。特に、加齢、内的ストレス等の内的要因によって引き起こされる肌状態の低下に有用である。このような肌状態の低下は、肌の微細な凹凸、毛穴の目立ち、肌理、しわ、たるみ、しみ、くすみ、乾燥等の現象を含む。
なお、本発明の酵素活性化のメカニズムは明らかではないが、後述する実施例に示す通り、本発明の有効成分には、DNA酸化的損傷を抑制する作用、及びDNA酸化的損傷を修復する作用が発見されていることから、これらの作用が、少なからず酵素活性化に寄与していることが推認される。
ここで、油性成分とは、油脂類、ろう類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、及びエステル類等を含む。
本発明者らは、酵素活性を阻害する要因として、油性成分の存在が影響することを見出している。従って、内的要因により引き起こされる酵素活性の低下に有用である前記有効成分を含有し、かつ油性成分の含有量を低減することにより、酵素活性を有効に向上させることが可能となる。
酵素活性化剤におけるヒートショックプロテイン及び/又はヒートショック因子を含有する微生物抽出物の含有量は、前記微生物抽出物の乾燥質量として、好ましくは0.0001〜10質量%、さらに好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.015〜3質量%である。
このような形態の酵素活性化剤は、酵素活性を低下させ得る内的要因、外的要因を多面的に排除する作用を有するため、酵素の活性化に極めて有用である。
本発明の抑制剤又は修復剤は、上述した発酵物を有効成分として含有する。
本発明のDNAの酸化的損傷の抑制剤又は修復剤は、外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。具体的な剤形については、前述した酵素活性化剤と同様である。
また、有効成分の好ましい含有量についても、前述した酵素活性化剤と同様である。
表皮細胞の培養系において、酸化ストレスを与える前にハイビスカス発酵液(被験物質)を添加した場合の酵素活性低下抑制作用を評価した。また、酸化ストレスを与えた後にハイビスカス発酵液(被験物質)を添加した場合の酵素活性回復作用を測定した。
試験は、以下の方法で行った。
1)ヒト正常角化細胞(NHEK)をHumedia−KG2培地により1.0×104cells/wellとなるように播種後、24時間プレインキュベーションした。
2)プレインキュベーション後、培養上清を除去し、Humedia−KB2により所定濃度に調製した被験物質含有培地を200μL/well添加し(酸化ストレスを与える前に添加)、48時間培養した。
3)被験物質共存下にて48時間培養後、終濃度が150μMとなるようにH2O2を添加し、酸化ストレス処理を行った。
4)H2O2曝露後、培養上清を除去し、PBS(−)にて洗浄後、Humedia−KB2 200μL/wellにてさらに48時間ポストインキュベーションした。
5)ポストインキュベーション後、酵素活性測定を行った。酵素活性測定は、下記の方法にて行った。
(1)酵素液の調製
1)ポストインキュベーション後の細胞を0.5%Triton X−100水溶液100μL/wellにて溶解した。
2)細胞溶解液100μL/wellのうち、50μL/wellをタンパク質濃度測定に供した。タンパク質濃度はProtein Assay kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を用いて測定した。
1)細胞溶解液50μL/wellに対し、アッセイバッファー(50mM HEPES(pH7.5)+60mM NaCl+0.01%CHAPS+5mM EDTA+2mM DTT+1.5Mクエン酸ナトリウム)にて0.04mMに調製したAc−Trp−Glu−His−Asp−MCA(メチルクマリンアミド)基質(ペプチド研究所製、3186−v)を50μL/well添加した。
2)37℃で10分間インキュベーション後、0.1Mモノクロロ酢酸ナトリウム水溶液(pH 4.3)で反応を停止させ、遊離したAMC(アミノメチルクマリン)の蛍光強度(励起波長:370nm、蛍光波長:460nm)を測定した。
3)カスパーゼ−14活性は、1ウェルタンパク質濃度あたりの蛍光強度とした。酵素の働きが高いほどAMCの遊離が多くなるため蛍光強度が強くなる。
1)細胞溶解液50μL/wellに対し、アッセイバッファー(0.1Mリン酸二水素ナトリウム(pH8.0))にて200μMに調製したBoc−VPR−MCA基質(R&D Systems製、ES011)を50μL/well添加した。
2)37℃で5分間インキュベーション後、0.1Mモノクロロ酢酸ナトリウム水溶液(pH4.3)で反応を停止させ、遊離したAMCの蛍光強度(励起波長:370nm、蛍光波長:460nm)を測定した。
3)カリクレイン−5の活性は、1ウェルタンパク質濃度あたりの蛍光強度とした。酵素の働きが高いほどAMCの遊離が多くなるため蛍光強度が強くなる。
1)細胞溶解液50μL/wellに対し、PBS(−)により0.015mMに調製したH2O2水溶液をカタラーゼ基質として50μL/well添加し、30分間撹拌した。
2)撹拌後、PBS(−)にて調製した11.4mMフェノール35μL/well、1.76mM 4−アミノアンチピリン、2.0U/mLペルオキシダーゼ10μL/wellを添加した。
3)混合液を5分間撹拌後、550nmにおける吸光度を測定した。
4)H2O2は、フェノールおよび4−アミノアンチピリン存在下、ペルオキシダーゼの触媒反応により紅色キノン色素(550nm)を生成する。この吸光度を測定することによって残存しているH2O2量が算出できる。残存するH2O2量が少ないほどカタラーゼ活性が高いことを示していることから、1ウェルタンパク質濃度あたりのH2O2残存量をカタラーゼ活性の指標とした。
1)細胞溶解液50μL/wellに対し、20mM Tris−HCl(pH7.5)にて調製した0.12mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP、東京化成工業製、D0375) 水溶液100μL/wellおよび1.5mM NADH水溶液50μL/wellを添加した。
2)37℃で20分間撹拌し、600nmにおける吸光度の減少量を測定した。
3)DCIPが還元されると青色から無色に変化する性質を利用して1ウェルタンパク質濃度あたりの600nmにおける吸光度の減少量を算出し、NADHデヒドロゲナーゼ活性とした。
表及び図から分かるように、酸化ストレスを与える前にハイビスカス発酵液を添加することにより、何れの酵素についても酸化ストレスによる酵素活性の低下の抑制が確認された。特に、カスパーゼ−14については、顕著な活性低下の抑制効果が確認された。また、カタラーゼについては、濃度依存的な活性低下の抑制効果が観察された。
これより、ハイビスカス発酵液は、酸化ストレスによる酵素活性の低下を抑制する作用を有することが明らかとなった。
試験は、以下の方法で行った。
1)Humedia−KG2培地によりNHEKを1.0×104cells/wellとなるように播種後、24時間プレインキュベーションした。
2)プレインキュベーション後、培養上清を除去し、Humedia−KB2を200μL/well添加し、48時間培養した。
3)48時間培養後、終濃度が150μMとなるようにH2O2を添加し、酸化ストレス処理を行った。
4)H2O2曝露後、培養上清を除去し、PBS(−)にて1回洗浄後、Humedia−KB2により所定濃度に調製した被験物質含有培地を200μL/well添加し(酸化ストレス後の添加)、48時間ポストインキュベーションした。
5)ポストインキュベーション後、カスパーゼ-14、カタラーゼ、NADHデヒドロゲナーゼの酵素活性測定を行った。酵素活性は、上記項目<1−2>に記載した方法により測定した。
表及び図から分かるように、酸化ストレスを与えた後にハイビスカス発酵液を添加することにより、何れの酵素についても活性の向上が確認された。特に、NADHデヒドロゲナーゼについては、顕著な活性向上が確認された。
これより、ハイビスカス発酵液は、酸化ストレスにより酵素活性が低下した状態から、酵素活性を回復させる作用を有することが明らかとなった。
表皮細胞の培養系において、DNA損傷を誘発する前に被験物質を添加した場合のDNA酸化損傷抑制効果を評価した。また、DNA損傷を誘発した後に被験物質を添加した場合のDNA酸化損傷修復効果を評価した。
具体的な方法は以下のとおりである。
なお、陽性コントロールとして、水溶性ビタミンEであるTroloxを添加した時の損傷抑制効果も評価した。
なお、8−OHdGは、8−hydroxy−2’−deoxyguanosineを意味し、DNAを構成する塩基の一つdeoxyguanosineの8位がヒドロキシル化された構造を持つDNA酸化損傷マーカーである。
具体的な方法は以下のとおりである。
DNA酸化損傷指数={(8−OHdG抗体による免疫染色によって得られた蛍光強度(Ex=485nm,Em=520nm)/Hoechst33342染色によって得られたDNAの蛍光強度(Ex=355nm,Em=460nm)}*1000
なお、陽性コントロールとして、水溶性ビタミンEであるTroloxを添加した時の損傷修復効果も評価した。
表10に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧水を調製した。即ち、表に示す成分(イ)の混合物を室温で攪拌混合し均一溶液とした。成分(ロ)の混合物を75℃に加熱し、攪拌混合し均一溶液とした。成分(イ)の混合物を攪拌しながら、室温まで冷却した成分(ロ)の混合物をゆっくり添加し、さらに(ハ)の成分を攪拌混合したものを添加して化粧水を得た。
なお、以下のHSP含有酵母エキスは、培養酵母に対して熱ストレス条件下(44℃)にて40分間熱ストレスを与え、ヒートショックプロテイン及びヒートショック因子を増加させ、その後、培養液を遠心分離し、沈殿物を粉砕後、水にて抽出して得た。
表11に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である紫外線防御化粧料(乳液)を調製した。すなわち、表11の成分(イ)を75℃に加熱し、ディスパーを用いて5000rpmで4分間攪拌し、成分を均一に分散させた。さらに、成分(ロ)を75℃に加熱、攪拌混合し、75℃を保ちながら、成分(イ)に成分(ロ)を攪拌下、添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、(ハ)を攪拌混合したものを添加し乳液を得た。
以下に示す処方に従い、常法によりドリンク剤を調製した。
以下に示す処方に従い、常法により錠剤を調製した。
Claims (11)
- アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物の萼を、乳酸菌により発酵させて得られる発酵物からなる、酸化ストレスによるDNAの酸化的損傷の抑制剤又は修復剤。
- アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物が、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)である、請求項1に記載の抑制剤又は修復剤。
- 外用剤又は経口剤である、請求項1又は2に記載の抑制剤又は修復剤。
- さらにヒートショックプロテインを含むことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の抑制剤又は修復剤。
- 油性成分の含有量が5質量%以下であることを特徴とする、請求項4に記載の抑制剤又は修復剤。
- アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物の萼を、乳酸菌により発酵させて得られる発酵物、及び、ヒートショックプロテインを含む、酸化ストレスによる酵素活性の低下を抑制するために用いられる酵素活性化剤。
- アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物が、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)である、請求項6に記載の酵素活性化剤。
- カスパーゼ、カタラーゼ、NADHデヒドロゲナーゼ、及びカリクレインから選ばれる1種以上を活性化させるための、請求項6又は7に記載の酵素活性化剤。
- カスパーゼ、カタラーゼ、NADHデヒドロゲナーゼ、及びカリクレインから選ばれる2種以上を同時に活性化させるための、請求項8に記載の酵素活性化剤。
- 外用剤又は経口剤である、請求項6〜9の何れかに記載の酵素活性化剤。
- 油性成分の含有量が5質量%以下であることを特徴とする、請求項6〜10の何れかに記載の酵素活性化剤。
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