本発明の実施形態に係るカップホルダについて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態のカップホルダは、車両室内のセンターコンソールに装着されている。本実施形態のカップホルダを示す図面において、前、後、右、左、上、下は、車両座席に着座した運転者からみた方向である。
本実施形態のカップホルダは、図1、図2に示すように、ホルダ本体1と、トレイ2と、トレイ2の高さを調整する高さ調整手段3とを有する。
図3に示すように、ホルダ本体1は、円筒形状の周壁11と、周壁11の上側周縁に広がる上壁18とを有する。
図4に示すように、周壁11は、周方向に等間隔を隔てて配置された4つの溝部12,12,12,12を有する。4つの溝部12,12,12,12は、カップホルダ19の前後方向及び左右方向に位置している。本実施形態において、各溝部12のうちカップホルダ19の前後方向に位置する一対の溝部12,12を第1の溝部12aと称し、左右方向に位置する一対の溝部12,12を第2の溝部12bと称する。
図3、図5に示すように、第1の溝部12aには、溝部12の形状に相応するラック部材15が嵌合されている。ラック部材15は、断面U字形状の長尺部材であって、互いに対向する一対の側壁16,16と、ラック部材15の奥側に設けられて一対の側壁16,16を連結する奥壁17とを有する。
第2の溝部12bには、トレイ2を下部にロックするロック部材51の係止部51aと後述の規制部61が配置されている。第2の溝部12bは、図5に示すように、互いに対向する一対の側壁13,13と、第2の溝部12bの奥に設けられて一対の側壁13,13を連結する奥壁14とにより囲まれている。
図3に示すように、周壁11の下端は、略円板状の底板8により塞がれている。底板8の周縁部は、ホルダ本体1の周壁11の下部にネジを用いて固定されている。周壁11と底板15により囲まれた空間は、飲料容器を収容する収容空間10である。
図2、図3に示すように、トレイ2は、円板状をなし、収容空間10の内部に上下移動可能に配置されている。
高さ調整手段3は、トレイ2を上下移動させる手段である。高さ調整手段3は、一対のラック部材15と、一対のギヤ部材35と、付勢部材33と、ロック機構5と、操作部6とを有する。
一対のラック部材15、15は、第1の溝部12aに設けられている。第1の溝部12aにおいて、各ラック部材15の一対の側壁16,16のうちカップホルダ19の左側の側壁16には、それぞれラックギヤ31が設けられている。ラックギヤ31は、第1の溝部12aの延び方向、即ち上下方向に延びている。
一対のギヤ部材35は、トレイ2の下部に設けられている。また、トレイ2の下部には、伝達軸34が回動自在に設けられている。伝達軸34は、ロッド形状であり、カップホルダ19の前後方向、即ちトレイ2の径方向に配置されている。伝達軸34の延び方向の両端にはギヤ部材35が設けられている。
図3に示すように、ギヤ部材35は、円柱状体であり、外側先端に周方向に設けられたピニオンギヤ35aと、ギヤ部材35の軸方向に貫通する嵌合穴35bとを有する。嵌合穴35bには伝達軸34の先端が嵌入されている。このようにして伝達軸34の両方の先端にギヤ部材35が一体的に固定されている。一対のギヤ部材35に設けたピニオンギヤ35aは、互いに同じ歯数であるため、互いに同期して回転する。
トレイ2における第1の溝部12aに対向する部分には、一対の保持部21、21が突設されている。各保持部21は軸受穴21aを有する。軸受穴21aには、ギヤ部材35が回動自在に挿通されている。図6に示すように、ギヤ部材35の先端のピニオンギヤ35aは、第1の溝部12aのラックギヤ31に噛合している。トレイ2の上下移動に伴い、ピニオンギヤ35aはラックギヤ31に沿って上下方向に移動する。
図3、図5に示すように、一対の保持部21、21の下部には、それぞれガイド突起部22が設けられている。ガイド突起部22は、保持部21よりも径方向外側に突出しているとともに、一対のトレイ側対向面22aを有する。一対のトレイ側対向面22aは、ガイド突起部22の周方向の左右両側に設けられており、それぞれ上下方向に延びている。
また、図5、図7に示すように、ガイド突起部22は、第1の溝部12aに配置されたラック部材15に上下移動可能に嵌合されている。ラック部材15の一対の側壁16,16は、ラックギヤ31よりも奥側に位置して、収容空間10の周方向で互いに対向する溝側対向面16a、16aを有する。トレイ2のガイド突起部22は、第1の溝部12a内のラック部材15に挿入されていて、トレイ側対向面22a、22aは、溝側対向面16a、16aに対面している。各トレイ側対向面22a、22aは、各溝側対向面16a、16aにそれぞれ対面し且つ溝側対向面16a、16aの形状に相応した形状を有する。本実施形態では、溝側対向面16a、16a及びトレイ側対向面22a、22aはいずれも上下方向に延びる平坦面である。
図7に示すように、ガイド突起部22は、一対のトレイ側対向面22aにおいて溝側対向面16a、16aに面接触した状態で、一対の溝側対向面16a、16aにより挟持されている。一対の溝側対向面16a、16aは、トレイ2に加わる荷重を受け、トレイ2を水平方向に維持している。トレイ2を上下方向に移動させると、ピニオンギヤ35aがラックギヤ31に沿って移動し、トレイ2のトレイ側対向面22aが、第1の溝部12aの溝側対向面16a、16aを摺動する。一対のトレイ側対向面22aが一対の溝側対向面16aにそれぞれ面接触した状態でガイド突起部22が第1の溝部12aに配置されているため、トレイ2はホルダ本体1に対してぐらつくことがない。トレイ2は安定且つ円滑に収容空間10を上下移動することができる。
また、図3,図7に示すように、トレイ2の周縁であってガイド突起部22の直上には板状の突起23が設けられている。突起23は、ガイド突起部22とともに第1の溝部12aに挿入され、第1の溝部12aの溝側対向面16a、16aに挟持されている。突起23は、トレイ2の周縁とホルダ本体1の周壁11との間に一定の隙間を確保して、トレイ2が周壁11に干渉することを防止している。このため、トレイ2を円滑に上下移動させることができる。
図2,図3に示すように、付勢部材33は、コイルばねであり、伝達軸34を挿通する円筒状のカラー36の外側に装着されている。付勢部材33の一端は伝達軸34に突設したピン34bに嵌合され、付勢部材33の他端はトレイ2の下面に連結されている。付勢部材33は、トレイ2が上方向に移動する方向に伝達軸34を付勢している。本実施形態では、付勢部材33は右回転方向(時計回り方向)に伝達軸34を付勢している。伝達軸34の右回転方向の回転によりピニオンギヤ35aがラックギヤ31に沿って回転しながら上方向に移動する。これにより、トレイ2が上方向に移動される。
トレイ2の下部には、速度緩衝装置37が設けられている。速度緩衝装置37は、固定部37aと、固定部37aに対して回転可能な回転部37bと、固定部37aと回転部37bとの間に介在された粘性液体とを有する。速度緩衝装置37の固定部37aは、トレイ2の下面から下方に突出する取付部24にネジで固定されている(図2)。回転部37bの先端には、ギヤ37cが設けられている。また、伝達軸34には、伝達ギヤ38が挿通されて一体的に固定されている。
伝達ギヤ38は速度緩衝装置37のギヤ37cと噛合している。伝達軸34が回転すると、同期して伝達ギヤ38が回転する。伝達ギヤ38が回転すると速度緩衝装置37のギヤ37cが回転される。速度緩衝装置37の中の粘性液体によりギヤ37cは抵抗を受け、回転速度の急激な変化を緩和する。ギヤ37cの回転速度が緩和され、伝達軸34の急激な速度変化が抑えられる。伝達軸34が付勢部材33により急激に回転速度が上昇しようとするときに、速度緩衝装置37により回転速度の急激な上昇が緩和される。
図3、図8に示すように、ロック機構5は、トレイ2を最下位置にロックする。ロック機構5は、ロック部材51と、規制部61と、ロック付勢部材56と、操作部6とを有する。
図3、図9に示すように、ロック部材51は、平板状をなし、上側及び下側に突出する回動中心部51cと、回動中心部51cから互いに反対方向に延びる一対の腕部51bと、各腕部51bの先端に設けた係止部51aとを有する。係止部51aの下面は、規制部61側に向かって上側に傾斜するテーパ面51fを有する。
図2、図3に示すように、ロック部材51の上側及び下側は、上カバー52と下カバー53が配設されている。上カバー52と下カバー53の間にロック部材51を配置し、ロック部材51の凸状の回動中心部51cを上カバー52の中心穴52a及び下カバー53の中心穴53aに挿通する。この状態で、ネジ59を下カバー53のボス部53b及び上カバー52のネジ穴52bを通じてトレイ2のネジ穴26に螺合する。これにより、ロック部材51がトレイ2に回動可能に保持されている。ロック部材51の係止部51aは、第2の溝部12bに配置される。
図3に示すように、ロック付勢部材56は、ねじりコイルばねである。ロック付勢部材56の一端は、ロック部材51の腕部51bに設けたバネ保持部21に係止されており、ロック付勢部材56の他端は下カバー53の突起部53cに係止されている。ロック付勢部材56は、ロック部材51が規制部61に係止する方向にロック部材51を付勢している。本実施形態ではロック付勢部材56は、ロック部材51を右回転方向(時計回り方向)に付勢している。
図8に示すように、操作部6は、ノブ62と、ケース63と、支持軸64と、操作ロッド65とを有する。操作部6は、ホルダ本体1の周壁11の外側であって第2の溝部12bの近傍に配置されている(図4)。ノブ62は、押圧部62aと、押圧部62aから突出するスライド部62bと、スライド部62bに形成され上下方向に貫通する嵌通孔62cと、スライド部62bの両側の側面に形成された遊び穴62dとを有する。ノブ62は、ホルダ本体1の周壁11に形成された操作穴11cに進退可能に配置されている(図5)。ノブ62の押圧部62aは操作穴11cから収容空間10側に露出させ、スライド部62bは周壁11の外側に向けられている。
遊び穴62dは、収容空間10から遠ざかる方向(ホルダ本体1の径方向外側)に向かって上方向に傾斜するガイド穴である。ケース63は、ノブ62のスライド部62bが進退可能に挿入する筒状の収容部63aと、収容部63aを上下方向に貫通する挿入孔63bと、収容部63aの外側に広がるフランジ部63cとを有する。収容部63aの両側の側面には、上下方向に延びる長穴63dが形成されている。ノブ62のスライド部62bの奥側の面とケース63の収容部63aの奥側の面との間には、スプリング66が介設されている。スプリング66は、ノブ62の後面に突設したバネ保持部62eに外挿されている。スプリング66により、ノブ62は、ホルダ本体1の操作穴11cから収容空間10側に進出する方向に付勢されている。
操作ロッド65は、長尺部65bと、長尺部65bの上側の幅を狭くした連結部65cと、連結部65cに設けられた支持穴65dとを有する。操作ロッド65の下部から細い円柱状のバネ保持部65eが設けられている。バネ保持部65eには戻しバネ(圧縮バネ)67が外挿されている。戻しバネ67は、圧縮コイルバネであり、ホルダ本体1の底板8の外周縁と、操作ロッド65の下部との間に配置されていて、操作ロッド65を上方向に付勢している。
戻しバネ67とロック付勢部材56の付勢力のバランスは、ロック付勢部材56により生じるロック部材51の揺動力が、戻しバネ67により生じる規制部61の上側への戻り力よりも小さくなるように設定されている。
操作部6を組み付けるために、ノブ62のスライド部62bをケース63の収容部63aに収容する。操作ロッド65の連結部65cを、ケース63の挿入孔63bに挿入する。スライド部62bの遊び穴62dと収容部63aの長穴63dと操作ロッド65の支持穴65dに、支持軸64を貫挿させる。抜け止め防止のために支持軸64の両端に図略の止め輪を嵌める。これにより、ノブ62、ケース63、操作ロッド65及び支持軸64が一体化されて、操作部6が得られる。
図9に示すように、操作ロッド65の下部には、規制部61が設けられている。規制部61は、操作ロッド65の下部から後方側に突出している。規制部61の下側面は、先端に向けて上側に傾斜するテーパ面61aを有する。操作ロッド65は、ホルダ本体1の周壁11の外側の第2の溝部12bのうち左側の溝部近傍に配置されている。
第2の溝部12bのうち左右一方の溝部(本実施形態では、左側の溝部)は、その下部に挿通穴12cが設けられている。挿通穴12cは、第2の溝部12bの互いに向合う側壁のうち一方の側壁13と奥壁14に連続して形成されている。
規制部61は、操作部6の操作により上下方向に変位するように構成されている。規制部61のテーパ面61aには、ロック部材51の係止部51aが離隔可能に当接している。
本実施形態のカップホルダの作動について説明する。まず、トレイ2が最下位置に保持されている場合について説明する。図2の点線は、トレイ2が最下位置に保持されている状態を示す。この場合、図9に示すように、ロック部材51の係止部51aの上側に規制部61が配置されていて係止部51aが規制部61に係止されているため、ロック部材51は上側へ移動することができず、トレイ2は収容空間10において最下位置にロックされている。
図8に示すように、ノブ62の押圧部62aを操作穴11cの中に向かって押すと、ノブ62が径方向外側にスライド移動する。支持軸64は、ノブ62に設けられた遊び穴62dに対して相対的に下方に移動される。支持軸64の下側への移動に伴って、操作ロッド65が下方に移動され、規制部61が下方に移動される。図9に示すように、規制部61のテーパ面61aは、ロック部材51の係止部51aを規制部61の先端側に押す。ロック部材51は、ロック付勢部材56の付勢力に抗して、規制部61の先端側(図9の後方向)に回動する。ロック部材51の係止部51aは、規制部61のテーパ面61aから離れ、溝部12b内において上側に移動可能とされる。係止部51aは第2の溝部12b内において上側に移動する。すなわち、ピニオンギヤ35aが付勢部材33により回転されて、ラックギヤ31に沿って上側に移動する。トレイ2は、図2に示すように、収容空間10において上側に移動される。
ここで、図2に示すように、ピニオンギヤ35aは、速度緩衝装置37を設けた伝達軸に接続されている。ピニオンギヤ35aの回転の急激な変化は、速度緩衝装置37により抑えられる。このため、ピニオンギヤ35aはラックギヤ31に沿って低速で回転しながら上昇する。トレイ2は収容空間10を低速で上昇する。
図10に示すように、トレイ2が最上位置に停止した時には、ロック付勢部材56の付勢力により、ロック部材51の係止部51aは第2の溝部12bの側壁13に形成した係合穴12hに挿入されて、ロック部材51の上下方向の移動が停止される。係合穴12hは、本発明の上側係合部に相当する。これにより、トレイ2の上昇が停止され、トレイ2は最上位置に留まる。このとき、図1及び図2の実線に示すように、トレイ2は、ホルダ本体1の上壁18と等しい高さに位置する。このため、トレイ2がホルダ本体1の上壁18と一体的に視認され、見栄えがよい。
本実施形態では、トレイ2が最上位置に位置しているときにトレイ2の上面がホルダ本体1の上壁18と同一高さに位置しているが、第2の溝部12bに設けた係合穴12hの高さを上下に変更することで、トレイ2の最上位置を自在に調整できる。
なお、第2の溝部12bは、係合穴12hにロック部材51の係止部51aを係止させることでトレイ2の最上位置を規制しているが、第2の溝部12bの上端12fにトレイ2の周縁から突出する突起23を当接させることによってもトレイ2の上昇を規制することができる。
図2,図6に示すように、最上位置に位置するトレイ2を下側に押し込む。すると、付勢部材33の付勢力に抗してピニオンギヤ35aがラックギヤ31に沿って下方に移動し、トレイ2が収容空間10の下方に移動される。
図10に示すように、ロック部材51の係止部51aが、挿通穴12cから第2の溝部12bに突出している規制部61の上端部61bに当たる。ロック部材51の係止部51aの下面51fは、滑らかなテーパ形状をなしている。ロック付勢部材56の付勢力は戻しバネ67の付勢力よりも小さい。このため、ロック部材51の係止部51aは、下降にともない徐々に規制部61の上端部61bを滑り、規制部61の先端側に揺動する。更にトレイ2を下方に移動させると、ロック部材51の係止部51aは、規制部61の上端部61bから外れて規制部61の先端の端面に沿って下方に移動し、規制部61よりも下側に配置される。このとき、ロック部材51は、ロック付勢部材56の付勢力により規制部61側に揺動しつつ、規制部61のテーパ面61aに当接する。これにより、図10の点線に示すように、ロック部材51が規制部61に係止され、トレイ2が収容空間10の下部に保持される。
規制部61は操作ロッド65に設けられているが、第2の溝部12bに形成した挿通穴12cが規制部であってもよい。挿通穴12cが規制部である場合、挿通穴12cにロック部材51の係止部51aが係止されている。操作部6を操作したとき、操作ロッド65により係止部51aを挿通穴12cから押し出して挿通穴12cへの係止部51aの係止を解除する。
本実施形態によれば、図2に示すように、トレイ2には、ピニオンギヤ35aが回動可能に支持されている。ピニオンギヤ35aは、ホルダ本体1の周壁11に設けられたラックギヤ31に噛合っている。ピニオンギヤ35aは付勢部材33の付勢力によりラックギヤ31上を回転しながら上側に移動する。ピニオンギヤ35aを支持しているトレイ2も上側に移動される。
トレイ2を下側に押すと、付勢部材33の付勢力に抗して、ピニオンギヤ35aはラックギヤ31上を回転しながらトレイ2とともに下側に移動される。
ここで、付勢部材33は、トレイ2に設けられている。すなわち、付勢部材33は、ホルダ本体1とトレイ2との間を連結してホルダ本体1に対してトレイ2を吊り下げるものではない。このため、本実施形態においては、付勢部材33はトレイ2の上昇位置を制限していない。特許文献1に開示のカップホルダ19のトレイ2に比べて、本発明のトレイ2は昇降位置の自由度が高く、トレイ2の最上位置の設定自由度が高い。
戻しバネ67とロック付勢部材56の付勢力のバランスは、ロック付勢部材56により生じるロック部材51の揺動力が、戻しバネ67により生じる規制部61の上側への戻り力よりも小さくなるように設定することがよい。これにより、トレイ2押し下げ時にロック部材51が規制部61に当たっても規制部61が移動することが防止される。規制部61の移動が規制されるため、操作部6も変位しない。トレイ2が最下位置まで移動してきたとき、ロック部材51を規制部61に確実に係止させることができる。トレイ2を最下位置に確実にロックすることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態のカップホルダ19においては、図11に示すように、ホルダ本体1の周壁11が2つの溝部12を有している点で、周壁11が4つの溝部12を有する第1の実施形態と相違する。そして、本実施形態においては、トレイ2に設けたピニオンギヤ35a及びロック部材51の係止部51aが2つの溝部12に配置されている。
本実施形態のカップホルダ19は、図12に示すように、第1の実施形態と同様に、ピニオンギヤ35aを有する一対のギヤ部材35を固定した伝達軸34と、ロック部材51を有する。図11に示すように、伝達軸34とロック部材51は、トレイ2の下部において互いに平行に配置されている。
図13に示すように、一対の溝部12は、それぞれ、周壁11の内周面に開口する比較的狭い開口12dを有する。図14に示すように、開口12dはロック部材51の係止部51aが配置されている。図15に示すように、溝部12の一対の側壁13,13のうち一方の側壁13の下端には、開口12d近傍に挿通穴12cが設けられている。挿通穴12cには、第1の実施形態と同様に規制部61が配置されている(図6参照)。
図13に示すように、溝部12において開口12dよりも奥側には、第1の実施形態のラック部材15が固定されている。ラック部材15は、開口12dよりも奥側に開口12dよりも幅が広いギヤ収容部12eと、ギヤ収容部12eよりも奥側にガイド収容部12fを有している。図16に示すように、ギヤ収容部12eの一方の側壁13にはラックギヤ31が設けられている。ラックギヤ31は、トレイ2に設けられたピニオンギヤ35aに噛み合っている。
図13に示すように、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、ガイド収容部12fは、トレイ2から突出するガイド突起部22が設けられている。
ここで、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、図7に示すように、ガイド突起部22に相対する一対の側壁は、それぞれ溝側対向面16a、16aを有する。一対の溝側対向面16a、16aは、ガイド突起部22のトレイ側対向面22a、22aと面接触している。トレイ2のガイド突起部22は、トレイ2の中心を挟んで相対する位置に2つ配置されている。トレイ2は、2つのガイド突起部22、22においてホルダ本体1に支持されている。ガイド突起部22は、溝側対向面16a、16aにより面接触した状態で挟持されている。このため、ガイド突起部22は溝部12に対して傾斜することなく、一対の溝側対向面16a、16aに支持される。トレイ2は、収容空間10において揺動することはない。本実施形態では、ホルダ本体1の周壁11に2つの溝部12を設け、2つの溝部12においてトレイ2を揺動することなく保持している。溝部12の数が少なく、収容空間10内の見栄えがよい。また、部品点数も少なくてすむ。
図15に示すように、操作部6は、長尺体68と、長尺体68の上端に設けた押圧部68aと、長尺体68の下端に設けた規制部61と、長尺体68に形成されたバネ穴68bとを有する。押圧部68aは、ホルダ本体1の周壁11の外周縁に進退可能に設けられている。バネ穴68bには、周壁11から突出する突部11dが上下方向に相対移動可能に挿入されている。突部11dとバネ穴68bの下端との間には戻しバネ67が配置されている。戻しバネ67は、引張りコイルバネであり、操作部6を上方向に付勢している。長尺体68の上下2カ所には、ガイド穴68c、68cが設けられている。周壁11には、各ガイド穴68cに対応する位置にボス部11eが突出している。ボス部11eは、ガイド穴68cに対して上下方向に相対移動可能に嵌合されている。戻しバネ67により操作部6が上側に付勢されて移動することでガイド穴68cの下端がボス部11eに当接して、押圧部68aは上壁18と面一の位置に規制される。押圧部68aを下方に押し込むと、操作部6は下降して、ガイド穴68cの上端にボス部11eが当接して、操作部6が下側に移動することを規制する。
図14に示すように、ロック部材51は、回動中心部51cと、回動中心部51cから互いに反対側に延びる一対の腕部51bと、腕部51bの先端に設けた係止部51aとを有する。回動中心部51cは、円形の貫通穴である。ロック部材51には、図17に示すように、一対のロックリブ51dが上方に突設されている。また、トレイ2の下面には、一対のトレイリブ25が突設されている。図13に示すように、ロックリブ51dは、トレイリブ25に外接する側面51eを有する。図14、図17に示すように、一対のトレイリブ25の間には、空間26が設けられている。空間26には、カラー36を外挿した伝達軸34が回転可能に収容されている。
図14に示すように、トレイリブ25は、ロック部材51の回動中心部51cに内接する円弧面25aを有する。また、円弧面25aは、ロックリブ51dの互いに向合う側面51eに当接することで、ロック部材51は、トレイ2に対して回転可能に位置決めされている。
図17に示すように、ロック部材51の下部は、円板状の下カバー53が設けられている。下カバー53及びトレイ2の下側には、それぞれ2カ所にネジ穴54が設けられている。トレイ2の下面に、ロック部材51及び下カバー53を順に配置して、ネジ54aをネジ穴54に挿着することで、ロック部材51がトレイ2に回動可能に保持されている。
図14、図15に示すように、ロック部材51の係止部51aは、溝部12の開口12dに配置されている。トレイ2が最下位置に位置しているときには、ロック部材51の係止部51aは、第1の実施形態と同様に、溝部12において規制部61に着脱可能に係止されている。
操作部6の押圧部を下側に押すと、長尺体68及び規制部61が下降し、ロック部材51の係止部51aが規制部61から離れる。規制部61は溝部12を上昇可能となる。付勢部材33の付勢力によりピニオンギヤ35aがラックギヤ31に沿って回転しながら上昇する。これにともない、トレイ2も上昇する。
本実施形態においては、図11に示すように、ホルダ本体1の周壁11に一対の溝部12、12を設けている。本実施形態のカップホルダ19は、2対の溝部を設けた第1の実施形態のカップホルダ19に比べて、周壁11の見栄えがよい。
また、図17に示すように、ロック部材51をトレイ2に保持するために、下カバー53を用いているが、ロック部材51と伝達軸34とを仕切る上カバー52を用いていない。このため、本実施形態によれば、第1の実施形態に比べて、組み付け工数を更に少なくすることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態のカップホルダ19は、図18,図19に示すように、ホルダ本体1の溝部12を開閉可能に覆う可動壁71が設けられていて、第1の実施形態のロック部材51及び操作部6がない点で、第1の実施形態と相違する。
図20に示すように、ホルダ本体1は、前後方向に対向する位置に設けた一対の溝部12、12と、一対の溝部12、12の左側に設けた半円筒状の固定壁11aと、一対の溝部12、12から右側に設けた矩形の収容壁11bと、固定壁11aと収容壁11bで囲まれた空間部100とを有する。化粧板18aは、空間部100の上側開口周縁に配設されている。化粧板18aには、飲料容器を収容する収容空間10と同じ大きさの穴18bが形成されている。穴18bの内周面及び固定壁11aの上端にリング部材18cが嵌合されることにより、化粧板18cが上壁18に一体に固定されている。
図21に示すように、空間部100には、内壁部材7が収容されている。図19に示すように、内壁部材7は、半円筒状の可動壁71と、可動壁71の両端から右側に延びる一対の支持壁72、72と、支持壁72に左右方向に延びるバネ収容溝72aとを有する。溝部12の右側には内壁部材7の可動壁71が配設され、溝部12の左側には固定壁11aが配設されている。可動壁71と固定壁11aは、飲料容器を収容するための収容空間10を囲む周壁11を構成している。
図24に示すように、収容壁11bで囲まれた空間100aの底壁100bは、収容空間10の底壁10aよりも高い位置に配設されている。内壁部材7は、空間100aに収容されており、内壁部材7の可動壁71の下端71aは、収容空間100の周方向の略半分を囲む固定壁11aの下端11rよりも高い位置に配置されている。
図19に示すように、内壁部材7の一対の支持壁72、72とホルダ本体1の収容壁11bとの間には、一対の保持部材74、74が介在されている。保持部材74には、左右方向にバネ収容溝74aが延設されている。保持部材74のバネ収容溝74aと支持壁72のバネ収容溝72aとの間の空間には壁付勢部材75が設けられている。壁付勢部材75は圧縮バネであり、内壁部材7を左側、即ちホルダ本体1の固定壁11a側に付勢している。
保持部材74の左端部には、ラック部材15が一体に設けられている。ラック部材15は、ホルダ本体1の溝部12に配置されている。ラック部材15は、周壁11の周方向において互いに対向する一対の側壁16、16と、周壁11から径方向外側において一対の側壁16,16の間に設けられた奥壁17とを有する。一対の側壁16,16のうち一方の側壁16(図19において後側)にはラックギヤ31が設けられている。
図24に示すように、ラックギヤ31は、空間100aの底壁100bよりも下側まで延びている。ピニオンギヤ35aは、ラックギヤ31に沿って回転移動することによって、空間100aに配置された可動壁71よりも下側まで移動することができる。
図24、図19に示すように、トレイ2は、第1の実施形態と同様に、ピニオンギヤ35a、伝達軸34及び速度緩衝装置37が設けられている。ピニオンギヤ35aは、ラックギヤ31に噛み合っており、ラックギヤ31に沿って上下移動可能とされている。
本実施形態のカップホルダ19において、図19、図22に示すように、トレイ2を下側に押すと、ピニオンギヤ35aがラックギヤ31に噛み合いながら移動することでトレイ2が下降する。ギヤ部材35は、トレイ2の周端下側に回転可能に支持されており、トレイ2から溝部12に向けて突出している。可動壁71の側端縁71aは、ギヤ部材35の外周面に当たり、右側に後退されて、溝部12が開口される。
図24に示すように、トレイ2が最下位置まで到達したときには、ギヤ部材35が可動壁71の下端71aよりも下方に移動される。
図23、図24に示すように、ギヤ部材35が可動壁71の下端71aよりも下方に移動されたとき、ギヤ部材35は可動壁71から外れる。可動壁71は壁付勢部材75により左側に移動されて溝部12を塞ぐ。可動壁71における溝部12を被覆している部分の下端71aに、トレイ2に支持されているギヤ部材35の外周面上側35pが当接して、トレイ2が上側に戻ることが規制される。ギヤ部材35の外周面上側35pは、本発明の当たり部に相当する。
ギヤ部材35が可動壁71の下端71aに当接しているとき、溝部12は可動壁71により被覆されるため、溝部12は視認されない。収容空間10の見栄えがよい。溝部12に異物が入り込むことを防止できる。
トレイ2を上側に戻したいときには、可動壁71を右側に押す。可動壁71は右側に移動されて、溝部12が開く。ギヤ部材35は、可動壁71から離脱して、溝部12の中を上昇する。
本実施形態においては、トレイ2を下側に位置させたときに、溝部12が可動壁71により塞がれて視認されない。このため、収容空間10の見栄えがよい。また、溝部12に異物が挟まって誤動作することもない。
また、可動壁71自体を右側に移動させればよい。このため、本実施形態によれば、第1の実施形態で用いられていたロック部材51及び操作部6が不要であり、部品点数を削減できる。
(第4の実施形態)
本実施形態のカップホルダ19においては、図25,26に示すように、ラック部材15が上方側に付勢された状態で溝部12内に配置されている点で、ラック部材15が溝部12に嵌合される第1の実施形態と相違する。
図26に示すように、ラック部材15は、奥壁17にガイド穴40を有する。ガイド穴40は、上下方向に延びた形状で奥壁17の2カ所に設けられる。ガイド穴40は、溝部12の奥壁14の突起部41が挿入する。突起部41は、奥壁14から径方向内方に突出する。突起部41は、ガイド穴40に挿入したときに、先端面がラック部材15の奥壁17の内周面より径方向外方に位置する。
ラック部材15は、溝部12内で上下方向に移動可能な状態(あるいは、スライド可能な状態)で、溝部12内に配置されている。
図25、図26に示すように、ラック部材15の下方にスプリング42が配される。スプリング42は、圧縮された状態で、上端がラック部材15に、下端がホルダ本体1に固定される。スプリング42の上端は、ラック部材15の下端に固定される。スプリング42の下端は、ホルダ本体1の底板8に固定される。
スプリング42は、ラック部材15を上方側に付勢する付勢力を発生する。スプリング42の付勢力は、付勢部材33のコイルばねの発生する付勢力より小さい。スプリング42の付勢力は、付勢部材33の付勢力の90%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましい。
スプリング42は、ラック部材15を上方側に付勢する。すなわち、スプリング42は、溝部12内で上下方向に移動可能なラック部材15を上方に押しつけ、保持する。
本実施形態のカップホルダ19の作動について説明する。特に言及しない作動については、第1の実施形態と同様である。
本実施形態のカップホルダ19は、図26に示すように、トレイ2が付勢部材33のコイルばねにより押し上げられ、最上位置にて停止する。このとき、ラック部材15は、スプリング42により上方の上壁18に押しつけられている。ラック部材15及びギヤ部材35は、伝達軸34の両端での位相が同じである。この場合、図27に示すように、伝達軸34は、水平方向に沿って延びる。そうすると、トレイ2は、ホルダ本体1の上壁18と等しい高さで水平方向に沿って広がり、良い見栄えとなる。
一方、図28に示すように、ラック部材15及びギヤ部材35が、伝達軸34の両端での位相にズレが生じると、伝達軸34は傾斜する。このとき、トレイ2も傾斜し、上壁18と高さにズレが生じ、見栄えが低下する。
図28に示すように、ギヤ部材35のピニオンギヤ35aの位相は、伝達軸34の両端でズレている。具体的には、伝達軸34は、図28の右側の端部34R(右側ギヤ部材35R)が左側の端部34L(左側ギヤ部材35L)より下方に位置する。図28中、位相差が無い場合の右側ギヤ部材35R’の位置を破線で示す。
右側ラック部材15R、左側ラック部材15Lは、スプリング42によりそれぞれ上壁18に弱い付勢力で押しつけられている。図28に示した状態では、伝達軸34は、付勢部材33のコイルばねにより、トレイ2を押し上げる方向の付勢力が働いている。最上位置に押し上げられたトレイ2は、ホルダ本体1により更に上方への移動が規制される。このとき、伝達軸34は、トレイ2を押し上げる方向の付勢力を発生し続ける。
伝達軸34の左側の端部34L(及び左側ギヤ部材35L)は、上方への移動がトレイ2により規制される。伝達軸34の左側の端部34L(及び左側ギヤ部材35L)は、上方への移動のための更なる回転が規制される。
一方、伝達軸34の右側の端部34Rにも回転力が働いている。伝達軸34の右側の端部34Rは、伝達軸34が傾いたことにより、回転を規制する力が働かない。具体的には、トレイ2がホルダ本体1の上壁18と当接していない。この場合、トレイ2がホルダ本体1の上壁18と当接するまで移動可能である。この状態では、伝達軸34の右側の端部34R(右側ギヤ部材35R)は、トレイ2がホルダ本体1の上壁18と当接するまで移動するための更なる回転が許容される。
この結果、伝達軸34の右側の端部34R(及び右側ギヤ部材35R)は、トレイ2を上方に押し上げるための更なる回転を生じる。
そして、伝達軸34の右側の端部34Rが回転を生じてトレイ2を押し上げる。右側の端部34R(及び右側ギヤ部材35R)が回転すると、伝達軸34を介して左側の端部34L(及び左側ギヤ部材15L)も回転する。左側の端部34L(及び左側ギヤ部材15L)が回転しようとしても、トレイ2は最上位置にあるため、それ以上のトレイ2の変移は生じない。
このとき、左側の端部34L(及び左側ギヤ部材15L)は、伝達軸34の回転により、左側ラック部材15Lを下方に下げる方向の力を生じる。左側ラック部材15Lには、スプリング42の付勢力がはたらき、上壁18に押しつけられている。そして、スプリング42の付勢力は付勢部材33のコイルばねの発生する付勢力より小さいため、伝達軸34の回転により生じる力がスプリング42の付勢力より大きくなると、左側ギヤ部材35Lが下方に押し下げられて変移する。この結果、図29に示すように、左側ギヤ部材35Lは、下方に押し下げられる。そして、左側の端部34Lは、トレイ2の最上位置に対応した位置にある。
以上のように、本実施形態のカップホルダ19は、伝達軸34の両側に位置するラック部材15及びギヤ部材35の位相にズレを生じていても、トレイ2をホルダ本体1の上壁18と等しい高さにそろえることができ、良い見栄えとなる。特に、ラック部材15及びギヤ部材35の位相にズレが、ピニオンギヤ35aあるいはラックギヤ31の歯のピッチよりも短い場合に、この効果を発揮できる。
本実施形態のカップホルダ19において、突起部41とガイド穴40は、それぞれ逆の部材に設けていても良い。すなわち、ラック部材15に突起部41を、溝部12にガイド穴40を設けても良い。
突起部41とガイド穴40は、その数が限定されるものではない。上下方向に変移するラック部材15の移動方向に沿ってガイドできる数とすることができる。
ガイド穴40は、一つの突起部41が挿入されても、二つ以上の突起部41が挿入されても良い。
スプリング42は、ラック部材15を上方側に付勢する付勢力を発生することができる構成であれば限定されるものではない。スプリング42の上端は、ラック部材15の下端以外の場所に固定されていてもよい。
また、スプリング42は、上端がホルダ本体1の上壁18に固定され、下端がラック部材15に固定される引張りバネとしてもよい。
さらに、スプリング42は、図25に示したコイルスプリング以外の部材や装置であっても良い。ラック部材15を上方側に付勢する付勢力を発生することができる部材や装置であればよい。
すなわち、本実施形態のカップホルダ19は、ラック部材15と溝部12の一方に突起部41を、他方に該突起部41が挿入するガイド穴40をもち、ラック部材15を上方側に付勢する付勢装置(スプリング42)を備えることが好ましい。
(1)本実施形態のカップホルダ19は、周壁11に囲まれた収容空間10を有するホルダ本体1と、収容空間10に収容されて周壁11に上下動可能に支持されたトレイ2と、トレイ2を上下動させる高さ調整手段3とを備えるカップホルダ19であって、
高さ調整手段3は、周壁11に上下方向に延設されたラックギヤ31と、トレイ2に対して回動可能に支持されラックギヤ31に噛み合うピニオンギヤ35aと、トレイ2に設けられトレイ2が上方向に移動するようにピニオンギヤ35aの回動を付勢する付勢部材33とを備える。
上記構成によれば、トレイ2には、ピニオンギヤ35aが回動可能に支持されている。ピニオンギヤ35aは、ホルダ本体1の周壁11に設けられたラックギヤ31に噛合している。ピニオンギヤ35aは付勢部材33の付勢力によりラックギヤ31上を回転しながら上側に移動する。ピニオンギヤ35aを支持しているトレイ2も上側に移動される。
トレイ2を下側に押すと、付勢部材33の付勢力に抗して、ピニオンギヤ35aはラックギヤ31上を回転しながらトレイ2とともに下側に移動される。
ここで、付勢部材33は、トレイ2に設けられていて、ホルダ本体1とトレイ2との間を連結してトレイ2を吊り下げるものではない。このため、上記実施形態においては、付勢部材33はトレイ2の上昇を制限していない。特許文献1に開示のカップホルダ19のトレイ2に比べて、上記実施形態のトレイ2は昇降位置の自由度が高く、トレイ2の最上位置の設定自由度が高い。
(2)上記(1)において、高さ調整手段3は、トレイ2の下面において下面と平行に延びる伝達軸34と、伝達軸34の両端に設けられた一対のピニオンギヤ35a、35aと、一対のピニオンギヤ35a、35aに噛合う一対のラックギヤ31,31とを備え、
周壁11は、径方向外側に窪み上下方向に延び且つラックギヤ31を設けた溝部12、12aを有し、
溝部12、12aは、収容空間10の周方向で互いに対向する一対の溝側対向面16a、16aを有し、
トレイ2には、溝部12、12aに上下移動可能に嵌合される一対のガイド突起部22、22が設けられ、ガイド突起部22は、一対の溝側対向面16a、16aにそれぞれ対面し且つ溝側対向面16a、16aの形状に相応した形状を有する一対のトレイ側対向面22a、22aを有することが好ましい。
上記構成によれば、ラックギヤ31が溝部12、12aに配置されることで、収容空間10よりも径方向外側に配置される。このため、ラックギヤ31などの障害物が収容空間10に配置されない。ラックギヤ31が外観視されにくく、収容空間10の見栄えがよい。
ガイド突起部22の一対のトレイ側対向面22aが、溝部12、12aに設けた一対の溝側対向面16a、16aに面接触している。このため、ガイド突起部22は溝部12,12aに対して移動可能であるとともに、溝部12、12aに対して傾くことなく溝側対向面16a、16aに安定に保持される。トレイ2は、ホルダ本体1に対して傾くことなく円滑に上下移動することができる。
(3)上記(1)又は(2)において、高さ調整手段3は、更に、トレイ2に設けられたロック部材51と、トレイ2が収容空間10において所定の高さに位置するときにロック部材51に係止する規制部61と、ロック部材51とトレイ2との間に設けられロック部材51を規制部61に係止する方向に付勢するロック付勢部材56と、規制部61のロック部材51への係止を離脱させる操作部6とを更に備えることが好ましい。
上記構成によれば、簡素な構成でトレイ2を収容空間10の所定の位置に保持することができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、周壁11は、径方向外側に窪み上下方向に延び且つラックギヤ31を設けた溝部12を有し、規制部61は、溝部12に設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、収容空間10よりも径方向外側に設けた溝部12に規制部61が配置されることで、収容空間10において規制部61が障害物となることはなく、見栄えがよい。更に、ラックギヤ31と規制部61は、同じ溝部12に設けられているため、別々の溝部に設けた場合に比べて、溝部12の数を減らすことができる。このため、収容空間10の見栄えがよくなる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、ホルダ本体1は周壁11の上端に径方向外側に延設された上壁18を有し、高さ調整手段3は、トレイ2の最上位置を上壁18と同じ高さに位置させる上側係合部(係合穴12h、溝部12の上端)を有することが好ましい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、周壁11は、径方向外側に窪み上下方向に延び且つラックギヤを設けた溝部12と、溝部12を開閉可能に覆う可動壁71を有し、可動壁71は、壁付勢部材75により溝部12を覆う方向に付勢されていることが好ましい。
上記構成によれば、壁付勢部材75により可動壁71は溝部12を覆う方向に付勢されている。溝部12にはラックギヤ31が設けられており、トレイ2に設けたピニオンギヤ35aは、ラックギヤ31上を移動する。ここで、ピニオンギヤ35aが、可動壁71の存在する高さに位置しているときには、可動壁71の側面はピニオンギヤ35aに当たって溝部12を閉じることはできない。ピニオンギヤ35aが、可動壁71よりも下側に位置しているときには、可動壁71はピニオンギヤ35aによる障害がなくなり、可動壁71は壁付勢部材75により付勢されて溝部12を閉じる。溝部12を閉じることで可動壁71は固定壁11aと面一な壁面を形成することができる。このため、溝部12は全く見えず、収容空間10の見栄えがよくなる。
トレイ2を上昇させたいときには、可動壁71を押して溝部12を開放させる。これにより、可動壁71が溝部12から後退して、ピニオンギヤ35aがラックギヤ31上を上側に移動して、トレイ2を上昇させることができる。
(7)上記(6)において、トレイ2は、溝部12に向けて突出しており且つトレイ2が最下位置に位置したときに可動壁71の下端に当接する当たり部(ギヤ部材35の外周面上側35p)を有することが好ましい。
トレイ2を上昇させたいときには、可動壁71を溝部12が開く方向に押す。これにより、可動壁71が溝部12から後退して、当たり部が可動壁71から脱離して、トレイ2を上昇させることができる。
(8)上記(6)又は(7)において、周壁11は、収容空間10を挟んで対向する部分に一対の溝部12を有し、周壁11は、一対の溝部12により2区画に分割され、一方の区画の周壁11は、可動壁71により構成され、他方の区画の周壁11は固定壁11aにより構成されていることが好ましい。
可動壁71と固定壁11aの境界部分が溝部12となる。このため、収容空間10を覗いたときに、可動壁71と固定壁11aの区別がつかず、また可動壁71と固定壁11aの境界部分が見えにくい。このため、周壁は、連続した1つの壁により囲まれているように見え、見栄えがよい。
(9)本実施形態の変形例としてのカップホルダ19は、周壁11に囲まれた収容空間10を有するホルダ本体1と、収容空間10に収容されて周壁11に上下動可能に支持されたトレイ2と、トレイ2を上下動させる高さ調整手段3と、周壁11に設けられ高さ調整手段3の少なくとも一部を収容する溝部12と、溝部12を開閉可能に覆う可動壁71と、可動壁71を溝部12を覆う方向に付勢する壁付勢部材75とを備える。
溝部に収容され得る高さ調整手段としては、上記のラックギヤの他に、ガイドレール、ロック部材を係止することでトレイを所定の高さに保持する規制部などが挙げられる。高さ調整手段は、溝部に設けられ得る要素の他に、トレイの下面に回転可能に支持される本実施形態のピニオンギヤ、トレイとホルダ本体の底板との間に設け得るスプリング、パンタグラフ式昇降機が挙げられる。