前記特許文献1に記載されるような自動変速機において、変速機ケースの縦壁部に軸方向に延びる支持部を設けて、支持部に軸受を介してクラッチの内側回転部材であるハブ部材や外側回転部材であるドラム部材などの回転部材を回転自在に支持させる場合がある。
かかる場合にまた、変速機ケースの縦壁部に設けた支持部より径方向内方側に変速機ケースの縦壁部に軸方向に延びる円筒部を設けて、円筒部にクラッチの油圧室などの油供給部に油を供給する油路を外周面から径方向内方側に延びるように形成すると共に外周面に油路の開口部を閉塞するように閉塞部材を取り付けることがある。
図6は、従来の自動変速機の縦壁部及びその周辺を示す断面図である。図6に示すように、自動変速機100において、変速機ケース101に一体的に設けられた径方向に延びる縦壁部102に軸方向に延びる支持部103が設けられ、支持部103に、クラッチの回転部材104に設けられた延設部105との間に配設された軸受106を介して回転部材104が回転自在に支持される場合がある。
また、変速機ケース101の縦壁部102に支持部103より径方向内方側に軸方向に延びる円筒部107が設けられ、円筒部107に、クラッチの油圧室108に油を供給する油路109を構成する油路110が外周面から径方向内方側に延びるように形成されると共に外周面に油路110の開口部を閉塞する閉塞部材111が取り付けられることがある。
近年、車両の更なる軽量化が求められ、自動変速機についても更なる軽量化を図ることが求められている。図6に示す自動変速機のように、変速機ケースの縦壁部に軸受を介して回転部材を支持する支持部が設けられた自動変速機では、回転部材を支持するための軸受を径方向にコンパクトに構成することで、更なる軽量化を図ることが可能である。
しかしながら、回転部材を支持するための軸受を径方向にコンパクトに構成すると、変速機ケースの縦壁部に支持部より径方向内方側に軸方向に延びる円筒部が設けられると共に円筒部の外周面に円筒部に形成された油路の開口部を閉塞する閉塞部材が取り付けられる場合には閉塞部材を取り付けることができなくなるおそれがある。
そこで、本発明は、変速機ケースの縦壁部に軸受を介して回転部材を支持する支持部が設けられた自動変速機において、回転部材を支持するための軸受を径方向にコンパクトに構成すると共に変速機ケースの縦壁部に設けられた円筒部に形成された油路の開口部を閉塞することができるようにすることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、変速機ケースの縦壁部に軸方向に延びると共に軸受を介して所定の回転部材を回転自在に支持する支持部が設けられた自動変速機であって、前記変速機ケースの縦壁部の内周側に軸方向に延びる円筒部が設けられ、前記円筒部に、所定の油供給部に油を供給する油路が前記円筒部の外周面から径方向内方側に延びるように形成されると共に前記円筒部の外周面に前記回転部材を回転自在に支持するための軸受が前記油路の開口部を閉塞するように取り付けられ、前記変速機ケースの縦壁部に設けられた前記回転部材を回転自在に支持する支持部は、前記円筒部によって構成され、前記軸受は、前記円筒部の外周面に形成された前記油路の開口部を閉塞する閉塞部材として機能することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記回転部材は、前記変速機ケース内に配置されたクラッチの回転部材であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記縦壁部と前記円筒部とが締結手段を用いて固定されて前記縦壁部に前記円筒部が設けられ、前記円筒部に、前記円筒部の外周面から径方向内方側に延びると共に前記油供給部に油を供給する第1油路が形成され、前記縦壁部に、径方向に延びると共に前記円筒部の第1油路に接続される第2油路が形成され、前記円筒部及び前記縦壁部に、前記第1油路と前記第2油路とを接続する第3油路が断面円形状に軸方向に延びるように設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記円筒部に、前記油供給部に油を供給する油路が周方向に異なる位置に複数設けられ、前記軸受は、前記円筒部に設けられた複数の前記油路の開口部を閉塞するように前記円筒部の外周面に取り付けられていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記軸受は、ニードル軸受であることを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、変速機ケースの縦壁部に軸受を介して回転部材を支持する支持部が設けられた自動変速機は、縦壁部の内周側に設けられた円筒部に、油路が外周面から径方向内方側に延びるように形成されると共に外周面に回転部材を支持するための軸受が油路の開口部を閉塞するように取り付けられ、縦壁部に設けられた回転部材を支持する支持部は、円筒部によって構成され、軸受は、油路の開口部を閉塞する閉塞部材として機能する。
これにより、変速機ケースの縦壁部に設けられた円筒部の外周面に回転部材を支持するための軸受が油路の開口部を閉塞するように取り付けられ、軸受を介して回転部材を支持する支持部が円筒部によって構成されるので、円筒部の外周面に油路の開口部を閉塞する閉塞部材が取り付けられると共に縦壁部に軸受を介して回転部材を支持する支持部が閉塞部材より径方向外方側に設けられる場合に比して、回転部材を支持するための軸受を径方向にコンパクトに構成することができると共に変速機ケースの縦壁部に設けられた円筒部に形成された油路の開口部を閉塞することができる。
回転部材を支持するための軸受を径方向にコンパクトに構成して重量の低減を図ることができると共に、回転部材を支持するための軸受を油路の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで別途閉塞部材を設ける必要がなく部品点数や組立工程を削減することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、回転部材は、変速機ケース内に配置されたクラッチの回転部材であることにより、変速機ケース内に配置されたクラッチの回転部材を変速機ケースの縦壁部に設けられた円筒部に支持させる場合に、前記効果を有効に得ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、締結手段を用いて固定されて縦壁部に円筒部が設けられ、円筒部に、外周面から径方向内方側に延びる第1油路が形成され、縦壁部に、径方向に延びる第2油路が形成され、円筒部及び縦壁部に、第1油路と第2油路とを接続する第3油路が断面円形状に軸方向に延びるように設けられる。
これにより、縦壁部と円筒部とが別体で構成されると共に縦壁部と円筒部との合わせ面に第3油路の周縁部にシール部材を用いる場合に、円形状のシール部材を用いることができ、縦壁部と円筒部との合わせ面において良好なシール性能を確保することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、円筒部に、油路が周方向に異なる位置に複数設けられ、軸受は、複数の油路の開口部を閉塞するように円筒部の外周面に取り付けられることにより、1つの軸受を用いて複数の油路の開口部を閉塞することができるので、複数の油路の開口部をそれぞれ閉塞する複数の閉塞部材を用いる場合に比して、部品点数や組立工程を削減することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、軸受は、ニードル軸受であることにより、ボール軸受である場合に比して、軸受の径方向寸法を小さくすることができ、重量の低減をさらに図ることができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機10の構成を示す骨子図である。この自動変速機10は、変速機ケース11内に、駆動源に連結されて駆動源側(図の左側)に配設された入力軸12と、反駆動源側(図の右側)に配設された出力軸13とを有している。自動変速機10は、入力軸12と出力軸13とが同一軸線上に配置されたフロントエンジン・リヤドライブ車用等の縦置き式のものである。
入力軸12及び出力軸13の軸心上には、駆動源側から、第1、第2、第3、第4プラネタリギヤセット(以下、単に「第1、第2、第3、第4ギヤセット」という)PG1、PG2、PG3、PG4が配設されている。
変速機ケース11内において、第1ギヤセットPG1の駆動源側に第1クラッチCL1が配設され、第1クラッチCL1の駆動源側に第2クラッチCL2が配設され、第2クラッチCL2の駆動源側に第3クラッチCL3が配設されている。また、第3クラッチCL3の駆動源側に第1ブレーキBR1が配設され、第3ギヤセットPG3の外周側に第2ブレーキBR2が配設されている。
第1、第2、第3、第4ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4は、いずれも、キャリヤに支持されたピニオンがサンギヤとリングギヤに直接噛合するシングルピニオン型である。第1、第2、第3、第4ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4はそれぞれ、回転要素として、サンギヤS1、S2、S3、S4と、リングギヤR1、R2、R3、R4と、キャリヤC1、C2、C3、C4とを有している。
第1ギヤセットPG1は、サンギヤS1が軸方向に2分割されたダブルサンギヤ型である。サンギヤS1は、駆動源側に配置された第1サンギヤS1aと、反駆動源側に配置された第2サンギヤS1bとを有している。第1及び第2サンギヤS1a、S1bは、同一歯数を有し、キャリヤC1に支持された同一ピニオンに噛合する。これにより、第1及び第2サンギヤS1a、S1bは、常に同一回転する。
自動変速機10では、第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第2サンギヤS1bと第4ギヤセットPG4のサンギヤS4とが常時連結され、第1ギヤセットPG1のリングギヤR1と第2ギヤセットPG2のサンギヤS2とが常時連結され、第2ギヤセットPG2のキャリヤC2と第4ギヤセットPG4のキャリヤC4とが常時連結され、第3ギヤセットPG3のキャリヤC3と第4ギヤセットPG4のリングギヤR4とが常時連結されている。
入力軸12は、第1ギヤセットPG1のキャリヤC1に第1サンギヤS1a及び第2サンギヤS1bの間を通じて常時連結され、出力軸13は、第4ギヤセットPG4のキャリヤC4に常時連結されている。
第1クラッチCL1は、入力軸12及び第1ギヤセットPG1のキャリヤC1と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設されて、これらを断接するようになっており、第2クラッチCL2は、第1ギヤセットPG1のリングギヤR1及び第2ギヤセットPG2のサンギヤS2と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設され、これらを断接するようになっており、第3クラッチCL3は、第2ギヤセットPG2のリングギヤR2と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設されて、これらを断接するようになっている。
第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3はそれぞれ、シリンダと、シリンダに嵌合されたピストンとによって画成された油圧室P1、P2、P3を有し、油圧室P1、P2、P3に油が供給されて油圧が供給されたときに摩擦板が締結され、内外一対の回転部材が結合されるようになっている。
第1ブレーキBR1は、変速機ケース11と第1ギヤセットPG1のサンギヤ1、具体的には第1サンギヤS1aとの間に配設されて、これらを断接するようになっており、第2ブレーキBR2は、変速機ケース11と第3ギヤセットPG3のリングギヤR3との間に配設されて、これらを断接するようになっている。
第1、第2ブレーキBR1、BR2はそれぞれ、シリンダと、シリンダに嵌合されたピストンとによって画成された油圧室P4、P5を有し、油圧室P4、P5に油が供給されて油圧が供給されたときに摩擦板が締結され、第1、第2ブレーキBR1、BR2の内側回転部材が変速機ケース11に結合されるようになっている。
変速機ケース11には、第1ブレーキBR1と第3クラッチCL3との間において径方向内方側に延びる縦壁部21が一体的に設けられ、縦壁部21の内周側に反駆動源側に軸方向に延びる円筒状に形成された円筒部22が設けられている。円筒部22の反駆動源側の外周側には、第1クラッチCL1の外側回転部材と第2、第3クラッチCL2、CL3の内側回転部材と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3とを連結する動力伝達部材31が配置されている。
そして、変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22に、図示しないコントロールバルブユニットから第3、第2、第1クラッチCL3、CL2、CL1の油圧室P3、P2、P1にそれぞれ通じる油路a、b、cが形成されている。変速機ケース11にはまた、第1、第2ブレーキBR1、BR2の油圧室P4、P5にそれぞれ通じる油路d、eが形成されている。
以上の構成により、自動変速機10は、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第3ブレーキBR1、第2ブレーキBR2の締結状態の組み合わせにより、図2に示すように、Dレンジでの1〜8速と、Rレンジでの後退速とが形成されるようになっている。
本実施形態に係る自動変速機の縦壁部及びその周辺の構造について、図3から図5を参照しながらさらに説明する。
図3は、自動変速機の縦壁部及びその周辺を示す断面図である。図3に示すように、変速機ケース11に一体的に設けられた縦壁部21は、径方向内方側に延び、縦壁部21の内周側に反駆動源側に軸方向に延びる円筒部22が設けられている。円筒部22は、縦壁部側に配置された第1円筒部23と、反縦壁部側に配置されて第1円筒部23より外径が小さい第2円筒部24とを備えている。
変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22の内周側には、縦壁部21及び円筒部22に一体的に設けられた略円筒状に形成されたスリーブ部25を介し、第1ブレーキBR1の内側回転部材と第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第1サンギヤS1aとを連結する回転部材としての動力伝達部材14が配設されている。動力伝達部材14の内周側には入力軸12が配置されている。
変速機ケース11の円筒部22、具体的には第2円筒部24の外周側には、第1クラッチCL1の外側回転部材と第2、第3クラッチCL2、CL3の内側回転部材と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3とを連結する回転部材としての動力伝達部材31が配置されている。
動力伝達部材31は、第1クラッチCL1の外側回転部材及び第2クラッチCL2の内側回転部材に連結された動力伝達部材32と、動力伝達部材32にスプライン係合されると共に第3クラッチCL3の内側回転部材に連結された動力伝達部材33と、動力伝達部材33にスプライン係合されると共に駆動源側に延びて駆動源側の端部から径方向外方側に延びる動力伝達部材34と、動力伝達部材34にスプライン係合されると共に反駆動源側に延びて第3ギヤセットPG3のサンギヤS3に連結される動力伝達部材35とを備えている。
自動変速機10では、変速機ケース11の縦壁部21、円筒部22及びスリーブ部25と動力伝達部材31とに、第3、第2、第1クラッチCL3、CL2、CL1の油圧室P3、P2、P1にそれぞれ通じる油路a、b、cが形成されている。
図4は、自動変速機の縦壁部及びその周辺を拡大して示す断面図であり、図5は、自動変速機の縦壁部及びその周辺を拡大して示す別の断面図である。図3及び図4に示すように、変速機ケース11は、筒状に形成された第1ケース部材41と、第1ケース部材41の駆動源側に配設されると共に第1ケース部材41の径方向内方側に延びる第2ケース部材42とを備えている。第2ケース部材42は、第1ケース部材41に締結ボルトB1を用いて固定されている。変速機ケース11の縦壁部21は、第2ケース部材42によって構成されている。
第2ケース部材42の反駆動源側には、略円筒状に形成された第1円筒部材43が配設され、第1円筒部材43は、第2ケース部材42側に配置される大径部分43aと、反第2ケース部材側に配置されて大径部分43aより外径が小さい小径部分43bとを有している。
第1円筒部材43の内径は、第2ケース部材42の内径と等しく形成されている。変速機ケース11の円筒部22は、第1円筒部材43によって構成され、第1円筒部23及び第2円筒部24はそれぞれ、大径部分43a及び小径部分43bによって構成されている。
図5に示すように、第2ケース部材42には、軸方向に延びるボルト挿通穴42aが形成され、第1円筒部材43には、第2ケース部材側に第2ケース部材42に形成されたボルト挿通穴42aに対応して軸方向に延びるネジ孔43cが形成されている。
変速機ケース11の縦壁部21と円筒部22とは、締結手段としての締結ボルトB2をボルト挿通穴42aを通じてネジ孔43cに螺合させることで第2ケース部材42に第1円筒部材43が固定されて縦壁部21に円筒部22が一体的に設けられるようになっている。
第2ケース部材42及び第1円筒部材43の内周側には、略円筒状に形成された第2円筒部材44が配設されている。第2円筒部材44は、第2ケース部材42及び第1円筒部材43の内周面に圧入によって嵌合され、第2ケース部材42及び第1円筒部材43に第2円筒部材44が固定されている。変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22の内周側に設けられるスリーブ部25は、第2円筒部材44によって構成されている。
前述したように、変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22の反駆動源側の外周側には、第1クラッチCL1の外側回転部材と第2、第3クラッチCL2、CL3の内側回転部材と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3とを連結する回転部材としての動力伝達部材31が配置されている。動力伝達部材31は、駆動源側に略円筒状に延びる駆動源側延設部31aを備え、駆動源側延設部31aは、円筒部22の外周側に離間して配置されている。
円筒部22の外周面と動力伝達部材31の駆動源側延設部31aの内周面との間には動力伝達部材31を回転自在に支持するための軸受50が配設され、動力伝達部材31は、円筒部22に、環状に形成された軸受50を介して回転自在に支持されている。動力伝達部材31は、反駆動源側についても軸受50を介して変速機ケース11に回転自在に支持されている。軸受50として、ニードル軸受が用いられる。
動力伝達部材31は、駆動源側延設部31aより反駆動源側において円筒部22の反駆動源側に嵌合される部分に、第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3の油圧室P1、P2、P3にそれぞれ通じる油路c、b、aを構成する油路が形成されている。
図4では、第3クラッチCL3の油圧室P3に油圧を供給するために油を供給する油路aが示されている。図4に示すように、変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22には、第3クラッチCL3の油圧室P3に通じる油路aが形成されている。
第3クラッチCL3の油圧室P3に通じる油路aは、円筒部22に設けられて径方向に延びる油路(第1油路)22aと、縦壁部21に設けられて径方向に延びる油路(第2油路)21aと、円筒部22及び縦壁部21に設けられて軸方向に延びて油路22aと油路21aとを接続する油路(第3油路)22b、21bと、スリーブ部25に設けられて軸方向に延びる油路25aと、円筒部22に設けられて径方向に延びる連通路22cと、動力伝達部材31に設けられて径方向に延びて第3クラッチCL3の油圧室P3に開口する油路31bとによって構成されている。
また、変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22には、第2、第1クラッチCL2、CL1の油圧室P2、P1に通じる油路b、cが形成されている。変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22において、第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3の油圧室P1、P2、P3に通じる油路c、b、aは、周方向において異なる位置に、例えば周方向において等間隔に異なる位置に配置されている。
自動変速機10には、図示しないコントロールバルブユニットが備えられ、コントロールバルブユニットから、油路c、b、aを介して、第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3の油圧室P1、P2、P3にそれぞれ油が供給されて油圧が供給されるようになっている。
本実施形態では、変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22に形成された第3クラッチCL3の油圧室P3に通じる油路aについて、変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22に形成された油路22aは、円筒部22の外周面から径方向内方側に穴開け加工することで形成されている。
そして、円筒部22の外周面と動力伝達部材31の駆動源側延設部31aの内周面との間に配設される軸受50は、円筒部22の外周面に形成された油路22aの開口部を閉塞するように円筒部22の外周面に圧入されて取り付けられている。動力伝達部材31は、駆動源側延設部31aの内周面が軸受50に圧入されて軸受50を介して円筒部22に支持されている。
また、変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22には、縦壁部21及び円筒部22に設けられて油路21aと油路22aとを接続する油路21b、22bからのオイルリークを防ぐために油路21b、22bの周縁部にシール部材51が装着されている。縦壁部21及び円筒部22にそれぞれ設けられる油路21b及び22bは、断面円形状に軸方向に延びるように設けられ、油路22bの縦壁部側の周縁部には、円形状に形成されたシール部材51がシール部材用周溝に装着されている。
変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22に形成された第2、第1クラッチCL2、CL1の油圧室P2、P1に通じる油路b、cについても、変速機ケース11の縦壁部21及び円筒部22に形成された第3クラッチCL3の油圧室P3に通じる油路aと同様に形成されている。円筒部22に形成された油路a、b、cを構成する油路は、軸方向位置が略等しく周方向において異なる位置に配置されている。
自動変速機10では、変速機ケース11の縦壁部21の内周側に設けられた円筒部22に、油路22aが外周面から径方向内方側に延びるように形成されると共に外周面に動力伝達部材31を支持するための軸受50が油路22aの開口部を閉塞するように取り付けられ、変速機ケース11の縦壁部21に軸受50を介して動力伝達部材31を支持する支持部は、円筒部22によって構成されている。
本実施形態では、円筒部22に外周面から径方向内方側に延びるように形成されて開口部が軸受50によって閉塞される油路が、第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3の油圧室P1、P2、P3に油を供給する油路c、b、aを構成する油路であるが、円筒部に潤滑油を供給する油路などの他の油路が形成される場合についても同様に適用可能である。本実施形態ではまた、軸受50としてニードル軸受が用いられているが、ボール軸受を用いることも可能である。
このように、本実施形態に係る自動変速機10によれば、変速機ケース11の縦壁部21に軸受50を介して回転部材31を支持する支持部が設けられ、縦壁部21の内周側に設けられた円筒部22に、油路22aが外周面から径方向内方側に延びるように形成されると共に外周面に回転部材31を支持するための軸受50が油路22aの開口部を閉塞するように取り付けられ、縦壁部21に設けられた回転部材31を支持する支持部は、円筒部22によって構成されている。
これにより、変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22の外周面に回転部材31を支持するための軸受50が油路22aの開口部を閉塞するように取り付けられ、軸受50を介して回転部材31を支持する支持部が円筒部22によって構成されるので、円筒部の外周面に油路の開口部を閉塞する閉塞部材が取り付けられると共に縦壁部に軸受を介して回転部材を支持する支持部が閉塞部材より径方向外方側に設けられる場合に比して、回転部材31を支持するための軸受50を径方向にコンパクトに構成することができると共に変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22に形成された油路22aの開口部を閉塞することができる。
回転部材31を支持するための軸受50を径方向にコンパクトに構成して重量の低減を図ることができると共に、回転部材31を支持するための軸受50を油路22aの開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで別途閉塞部材を設ける必要がなく部品点数や組立工程を削減することができる。
また、回転部材31は、変速機ケース11内に配置されたクラッチの回転部材31である。これにより、変速機ケース11内に配置されたクラッチの回転部材31を変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22に支持させる場合に、回転部材31を支持するための軸受50を径方向にコンパクトに構成することができると共に変速機ケース11の縦壁部21に設けられた円筒部22に形成された油路22aの開口部を閉塞することができる。
また、締結手段B2を用いて固定されて縦壁部21に円筒部22が設けられ、円筒部22に、外周面から径方向内方側に延びる第1油路22aが形成され、縦壁部21に、径方向に延びる第2油路21aが形成され、円筒部22及び縦壁部21に、第1油路22aと第2油路21aとを接続する第3油路21b、22bが断面円形状に軸方向に延びるように設けられる。
これにより、縦壁部21と円筒部22とが別体で構成されると共に縦壁部21と円筒部22との合わせ面に第3油路21b、22bの周縁部にシール部材51を用いる場合に、円形状のシール部材51を用いることができ、縦壁部21と円筒部22との合わせ面において良好なシール性能を確保することができる。
また、円筒部22に、油路22aが周方向に異なる位置に複数設けられ、軸受50は、複数の油路22aの開口部を閉塞するように円筒部22の外周面に取り付けられる。これにより、1つの軸受50を用いて複数の油路22aの開口部を閉塞することができるので、複数の油路の開口部をそれぞれ閉塞する複数の閉塞部材を用いる場合に比して、部品点数や組立工程を削減することができる。
また、軸受50は、ニードル軸受であることにより、ボール軸受である場合に比して、軸受の径方向寸法を小さくすることができ、重量の低減をさらに図ることができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。