JP6627634B2 - 研削装置 - Google Patents
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具体的には、円筒研削盤を用いて、ロールを回転させると共に、砥石車(研削砥石)をロールの回転軸と平行な軸で回転させる。そして、ロールに砥石車を接触させることでロール表面を研削し、さらに砥石車をロールの胴長方向(軸方向)に移動させることでロール表面の全体を研削する。これにより、ロールの真円度やロールの胴長方向のプロフィールを精度よく加工することができる。
例えば、特許文献1〜3には、砥石車に関する技術が開示されている。
このため、それぞれのロール毎に研削に用いる砥石の特性(例えば、砥粒、結合度、結合剤、砥粒率など)を調整し、圧延ロール専用の砥石車や補強ロール専用の砥石車を別個に用意し、これら専用の砥石車を使い分けてロール研削を行うことが考えられる。
研削盤と、
前記研削盤で、大径ロール及び小径ロールを含む複数種類のロールを研削するための砥石車と、
を備える研削装置であって、
前記砥石車は、外側研削層と内側研削層とを有し、
前記砥石車の径が前記大径ロール及び前記小径ロールの両方を研削できる兼用研削限界径Φgを下回ると、前記研削盤で前記大径ロールの研削をすることが不可能であり、
前記砥石車の前記外側研削層と前記内側研削層との境界径Φbは、前記兼用研削限界径Φgと略同じであり、
前記外側研削層の砥石は、前記内側研削層の砥石よりも、前記大径ロール及び前記小径ロールに対する研削性能の総和が優れており、
前記内側研削層の砥石は、前記外側研削層の砥石よりも、前記小径ロールに対する研削性能が優れている、
ことを特徴とする。
このため、外側研削層の全部又は大部分で、大径ロール及び小径ロールの両方のロールを研削することができる。また、内側研削層の全部又は大部分では、大径ロールを研削することができない。したがって、この研削装置では、基本的に、外側研削層は大径ロール及び小径ロールの両方のロールの研削に使用し、内側研削層は小径ロール(正確には、複数種類のロールのうち大径ロール以外)の研削に使用する。
これを言い換えると、内側研削層の砥石は、当該内側研削層で研削しない大径ロールに対する研削性能が考慮されない代わりに、当該内側研削層で研削する小径ロールに対する研削性能が向上されている。
したがって、内側研削層の砥石が外側研削層の砥石と同じ砥石である砥石車(つまり、内側研削層と外側研削層との層構造となっていない均一層構造の砥石車)を備える従来の研削装置と、本発明の研削装置とを比較すると、本発明の研削装置の方が、内側研削層で小径ロールを研削しているときに効率よく研削することができる。その結果、研削作業全体の効率も向上する。
研削盤で、大径ロール及び小径ロールを含む複数種類のロールを研削するための砥石車を設計する方法であって、
前記砥石車は、外側研削層と内側研削層とを有しており、
前記砥石車の径が大径ロール及び小径ロールの両方を研削できる兼用研削限界径Φgを下回ると、前記研削盤で前記大径ロールの研削が不可能である砥石車を設計する方法であって、
前記外側研削層及び前記内側研削層の径方向範囲を決定する層構造決定ステップと、
前記外側研削層の砥石及び前記内側研削層の砥石を決定する砥石決定ステップと、
を備え、
前記層構造決定ステップでは、
前記砥石車の外側研削層と内側研削層との境界径Φbが前記兼用研削限界径Φgと略同じであるように、
前記外側研削層及び前記内側研削層の径方向範囲を決定し、
前記砥石決定ステップでは、
前記外側研削層の砥石が、前記内側研削層の砥石よりも、前記大径ロールと前記小径ロールに対する研削性能の総和が優れるように、
かつ、
前記内側研削層の砥石が、前記外側研削層の砥石よりも、前記小径ロールに対する研削性能が優れるように、
前記外側研削層の砥石及び前記内側研削層の砥石を決定する、
ことを特徴とする。
本発明に係る研削装置の一例として、研削盤20と砥石車30とを備える研削装置10を説明する。この研削装置10を用いることで、研削盤20に組み込んだ砥石車30を交換せずに複数種類のロール40を研削することができる。
本実施形態で研削対象とするロール40は、熱間圧延設備で用いられる圧延ロール42と補強ロール44である(図2参照)。さらに、圧延ロール42は、仕上圧延機の圧延ロール42Aと粗圧延機の圧延ロール42Bとの2種類である。
図1に示されるように、砥石車(ロール研削砥石)30は、所謂、平形の研削砥石である。砥石車30は、径方向中心の非研削層32と、径方向外側の研削層34と、を含んで構成されている。さらに、研削層34は、径方向外側の外側研削層38と、径方向内側の内側研削層36と、を含んで構成されている。これら外側研削層38及び内側研削層36については、後に詳述する。
図2に示されるように、研削盤20は、円筒研削盤である。研削盤20にロール40と砥石車30とを組み込むことで、ロール40の表面を砥石車30で研削することができる。
次に、砥石車30の構造や特性について詳述する。
上述したように、大径ロール研削限界径Φg自体が、研削盤20の構造と研削するロールの直径により変動する数値であるため、境界径Φbを大径ロール研削限界径Φgと一致させることは原理的に不可能である。そこで、本実施形態では、境界径Φbを、大径ロール44の径が最小値をとる場合の大径ロール研削限界径Φgと一致させている。ただし、後述するように、境界径Φbの値の決め方はこれに限られない。
外側研削層38及び内側研削層36の砥石を構成する砥粒は、共に、所謂セラミック砥粒とされている。その一方で、外側研削層38の砥石と内側研削層36の砥石とは、互いに、砥粒率が異なっている。具体的には、外側研削層38の砥石では、砥粒率が46%とされており、内側研削層36の砥石では、砥粒率が48%とされている。このように各層(外側研削層38、内側研削層36)の砥石の砥粒率を変化させることで、各層の砥石を、当該層が研削対象とするロールに適した砥石としている。すなわち、外側研削層38の砥石は、研削対象である大径ロール44及び小径ロール42の両方のロールに適した砥石になっており、内側研削層36の砥石は、研削対象である小径ロール42に適した砥石になっている。
なお、砥粒率とは、砥石単位容積中に占める砥粒の割合をいう。
次に、上述のような砥石車を設計する方法(砥石車設計方法)について説明する。
層構造決定ステップでは、まず、大径ロール研削限界径Φgを求める。
大径ロール研削限界径Φgは、研削盤20の構造と大径ロール44の直径とに基づいて定まる値である。大径ロール44の直径自体が所定の範囲で変動する値であるため、大径ロール研削限界径Φgは、図3(B)に点線で示される一定の範囲(Φg(max)〜Φg(min))で変動する。
まず、大径ロール44の使用可能径が、仕様により、例えば、2400mm〜2300mmの範囲に定められているとする。この場合、Φg(max)は、径が最大の2400mmの大径ロール44を研削しようとするときに、大径ロール44が研削盤20(の一部)と丁度接触してしまうときの砥石車30の径となる。一方、Φg(min)は、径が最小の2300mmの大径ロール44を研削しようとするときに、大径ロール44が研削盤20(の一部)と丁度接触してしまうときの砥石車30の径となる。
まず、大径ロール44の径が仕様により2400mm〜2300mmの範囲に定められているが、実際に圧延に用いている径範囲は、2400mm〜2350mmの範囲であるとする。この場合、Φg(min)は、径2350mmの大径ロール44を研削しようとするときに、大径ロール44が研削盤20(の一部)と丁度接触してしまうときの砥石車30の径となる。なお、Φg(max)は、上述の仕様により定められた径範囲から大径ロール研削限界径Φgを求める例と同様である。
大径ロール研削限界径Φgから境界径Φbを決める方法は様々である。
例えば、上述したΦg(min)の値を境界径Φbとする方法がある。また、外側研削層38のうち最も径方向内側部分で大径ロール44を研削する際に、径が最小である大径ロール44と研削盤20とが干渉(接触)する虞がなくなるように、Φg(min)よりも若干小さい値(研削作業の作業性を考慮して決まる値)を、境界径Φbとする方法でもよい。
このように、大径ロール44の仕様上の最小径(2300mm)や、実際に用いている最小径(2350mm)に対応する大径ロール研削限界径Φg(min)、またはこのΦg(min)より若干小さい値を境界径Φbとすることで、研削盤20の構造上、大径ロール44の研削が可能である場合には、常に、外側研削層38を用いて大径ロール44を研削することができるようになる。
以上説明した方法で境界径Φbを決定するため、本発明では、境界径Φbが大径ロール研削限界径Φgと略同じとなる。
砥石決定ステップでは、外側研削層38の砥石と、内側研削層36の砥石をそれぞれ決定する。
ただし、各ロールに対する研削性能の調整の方法は、これに限られない。すなわち、各ロールに対する研削性能の調整の方法は、砥粒の種類を変更することでもよいし、結合度を変更することでもよいし、結合剤を変更することでもよいし、また、これらを複合して変更することでもよい。つまり、砥石のこれらの特性(砥粒率、砥粒、結合度、結合剤など)を変更することで、各ロールに対する研削性能を調整すればよい。
研削比(cc/cc)=ロール研削体積(cc)/砥石摩耗体積(cc)・・・(1)
すなわち、研削比の値は、砥石車の研削層1ccで削れたロールの体積(cc)と一致する。研削比は、新品の砥石車を使用し始めてから、摩耗により廃棄するまでの間について、各ロールを研削した際の、ロール研削体積と砥石摩耗体積を集計して求める。
ここで本実施形態とは、上述したように、砥粒率が異なっている。具体的には、外側研削層38の砥石では、砥粒率が46%とされており、内側研削層36の砥石では、砥粒率が48%とされている。
一方、比較例では、砥粒率が均一で、砥粒率が47%とされている。
このように各層(外側研削層38、内側研削層36)の砥石の砥粒率を変化させることで、各層の砥石を、当該層が研削対象とするロールに適した砥石としている。
なお、この例では、各ロールの研削比及び研削能率を単純に足し合わせ、単純に足し合わせた総和を評価することで砥石車の研削性能を総合評価しているが、評価の仕方はこれに限られない。例えば、各ロール毎に重み付けをした上で研削比又は研削能率を足し合わせてたものを研削性能の総和としてもよい。
最後に、以上に述べた砥石車設計方法に基づいて製造した砥石車30が備える特徴について、外側研削層38と内側研削層36の砥石の研削性能の比較の観点から説明する。
このため、本実施形態の砥石車30では、内側研削層36の砥石は、外側研削層38の砥石よりも、小径ロール40に対する研削性能が優れた砥石になっている。
このため、本実施形態の砥石車30では、外側研削層38の砥石は、内側研削層36の砥石よりも、大径ロール及び小径ロールに対する研削性能の総和が優れている。
なお、上述した実施形態では、砥石車の砥石を構成する砥粒が、所謂セラミック砥粒とされている。しかし、砥石を構成する砥粒は、特に限定されず、例えばJIS R6111:2005に規定されているアルミナ質研削材や炭化けい素質研削材であってもよいし、また、ダイヤモンドやCBNであってもよし、また、その他の砥粒であってもよい。
20 研削盤
30 砥石車
36 内側研削層
38 外側研削層
40 複数種類のロール
42 圧延ロール(小径ロール)
44 補強ロール(大径ロール)
Φb 境界径
Φg 大径ロール研削限界径(兼用研削限界径)
Claims (12)
- 研削盤と、
前記研削盤で、大径ロール及び小径ロールを含む複数種類のロールを研削するための砥石車と、
を備える研削装置であって、
前記砥石車は、外側研削層と内側研削層とを有し、
前記砥石車の径が前記大径ロール及び前記小径ロールの両方を研削できる兼用研削限界径Φgを下回ると、前記研削盤で前記大径ロールの研削をすることが不可能であり、
前記砥石車の前記外側研削層と前記内側研削層との境界径Φbは、前記兼用研削限界径Φgと略同じであり、
前記外側研削層の砥石は、前記内側研削層の砥石よりも、前記大径ロール及び前記小径ロールに対する研削性能の総和が優れており、
前記内側研削層の砥石は、前記外側研削層の砥石よりも、前記小径ロールに対する研削性能が優れている、
ことを特徴とする研削装置。 - 請求項1に記載の研削装置であって、
前記兼用研削限界径Φgは、
前記大径ロールのうちロール径が最小であるものを前記研削盤に載置したときに、前記砥石車を前記大径ロールに向かって動かして、前記砥石車が前記大径ロールと接触して研削できる、砥石車の最小径である、
ことを特徴とする研削装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の研削装置であって、
前記研削性能は、
研削能率、研削比の少なくとも一方又は双方を含む、
ことを特徴とする研削装置。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の研削装置であって、
前記外側研削層の砥石及び前記内側研削層の砥石は、
砥粒率が互いに異なることで前記研削性能が互いに異なっている、
ことを特徴とする研削装置。 - 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の研削装置であって、
前記大径ロールは、補強ロールであり、
前記小径ロールは、圧延ロールである、
ことを特徴とする研削装置。 - 請求項5に記載の研削装置であって、
前記補強ロールの最大の直径/前記圧延ロールの最小の直径≧2である、
ことを特徴とする研削装置。 - 研削盤で、大径ロール及び小径ロールを含む複数種類のロールを研削するための砥石車を設計する方法であって、
前記砥石車は、外側研削層と内側研削層とを有しており、
前記砥石車の径が大径ロール及び小径ロールの両方を研削できる兼用研削限界径Φgを下回ると、前記研削盤で前記大径ロールの研削が不可能である砥石車を設計する方法であって、
前記外側研削層及び前記内側研削層の径方向範囲を決定する層構造決定ステップと、
前記外側研削層の砥石及び前記内側研削層の砥石を決定する砥石決定ステップと、
を備え、
前記層構造決定ステップでは、
前記砥石車の前記外側研削層と前記内側研削層との境界径Φbが、前記兼用研削限界径Φgと略同じであるように、
前記外側研削層及び前記内側研削層の径方向範囲を決定し、
前記砥石決定ステップでは、
前記外側研削層の砥石が、前記内側研削層の砥石よりも、前記大径ロールと前記小径ロールに対する研削性能の総和が優れるように、
かつ、
前記内側研削層の砥石が、前記外側研削層の砥石よりも、前記小径ロールに対する研削性能が優れるように、
前記外側研削層の砥石及び前記内側研削層の砥石を決定する、
ことを特徴とする砥石車設計方法。 - 請求項7に記載の砥石車設計方法であって、
前記兼用研削限界径Φgは、
前記大径ロールのうち最小径であるものを前記研削盤に載置したときに、前記砥石車を前記大径ロールに向かって動かして前記砥石車が前記大径ロールと接触して研削できる、砥石車の最小径である、
ことを特徴とする砥石車設計方法。 - 請求項7又は請求項8に記載の砥石車設計方法であって、
前記砥石決定ステップでは、
前記研削性能に研削能率及び研削比の何れか一方又は双方を用いて、
砥石を決定する、
ことを特徴とする砥石車設計方法。 - 請求項7〜請求項9の何れか一項に記載の砥石車設計方法であって、
前記外側研削層の砥石及び前記内側研削層の砥石の砥粒率を、互いに異なるようにすることで、
前記研削性能が互いに異なるようにする、
ことを特徴とする砥石車設計方法。 - 請求項7〜請求項10の何れか1項に記載の砥石車設計方法であって、
前記大径ロールは、補強ロールであり、
前記小径ロールは、圧延ロールである、
ことを特徴とする砥石車設計方法。 - 請求項11に記載の砥石車設計方法であって、
前記補強ロールの最大の直径/前記圧延ロールの最小の直径≧2である、
ことを特徴とする砥石車設計方法。
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JP2016085476A JP6627634B2 (ja) | 2016-04-21 | 2016-04-21 | 研削装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016085476A JP6627634B2 (ja) | 2016-04-21 | 2016-04-21 | 研削装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2017193023A JP2017193023A (ja) | 2017-10-26 |
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JP (1) | JP6627634B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111451846A (zh) * | 2020-04-07 | 2020-07-28 | 圣达电气有限公司 | 一种生箔机阴极辊在线研磨装置 |
-
2016
- 2016-04-21 JP JP2016085476A patent/JP6627634B2/ja active Active
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CN111451846A (zh) * | 2020-04-07 | 2020-07-28 | 圣达电气有限公司 | 一种生箔机阴极辊在线研磨装置 |
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