JP2017189845A - 超砥粒砥石のツルーイング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】略円盤形の超砥粒砥石の研削面を、ツルーイング後にドレッシング不要で、かつ効率よく、超砥粒砥石の中心軸を含む平面で切った断面において中心軸に平行な直線状でない所要の形状に形成できる超砥粒砥石のツルーイング方法を提供すること。【解決手段】第1軸S1の軸回りで回転する超砥粒砥石11の研削面111を、第2軸S2の軸回りで回転する金属体21に対して、第1軸S1を第2軸S2に対して垂直に維持して当てる。そして、第1軸S1を第2軸S2に対して相対移動させながら超砥粒砥石11の外径寸法が第1軸S1の延びる方向における各点に応じて連続的に変化するように金属体21を研削して、金属体21の切り粉が超砥粒砥石11に含まれる結合剤を機械的に除去すると同時に、研削面111と金属体21との接触部位に摩擦熱を発生させて金属体21と結合剤との間で化学反応を起こさせる。【選択図】図2

Description

本発明は、超砥粒砥石のツルーイング方法に関する。
近年、被削材料の難削化にともなって、砥粒としてダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(以降、CBNという)を含有するいわゆる超砥粒砥石の使用頻度が急速に高まっている。このような超砥粒砥石は、外周面に研削面が形成された略円盤形になっている。このような研削面は、通常、超砥粒砥石の中心軸を含む平面で切った断面において中心軸に平行な直線状となるように形成されるが、必要に応じて超砥粒砥石の半径方向外側に凸又は半径方向内側に凹となるように形成される。すなわち、例えば、研削面と被削物との接触面積をできるだけ小さくする必要のある超砥粒砥石においては、研削面が超砥粒砥石の半径方向外側に凸となるように形成され、当該凸形状の先端部のみで被削物に接触できる構成とされる。
研削面が半径方向外側に凸又は半径方向内側に凹となっている上記超砥粒砥石においては、繰り返しの使用により研削面が崩れて所要の形状でなくなるため、定期的にツルーイングを行って研削面を再び形成する必要がある。このようなツルーイングの方法としては、従来では、(1)単石ドレッサを用いる方法、(2)一般砥石であるグリーンカーボランダム砥石やホワイトアランダム砥石を用いる方法、(3)低炭素鋼を研削する軟鋼研削法、(4)V字形のダイヤモンド砥石を用いてコンタリング加工を行う方法、等がある。特許文献1には、(1)の方法、すなわち、先端部がダイヤモンドの単石から構成されている単石ドレッサを用いて、超砥粒砥石の研削面を超砥粒砥石の半径方向外側に凸となるように形成する方法が開示されている。
特許第3678986号公報
上記(1)の方法では、超砥粒砥石がダイヤモンド砥石であった場合に単石ドレッサの先端部と砥粒とが同一材料となる。このため、研削面上に突出している砥粒の切れ刃が磨耗してツルーイング後にドレッシングが必要となる。また、上記(2)、上記(3)及び上記(4)の方法では、ツルーイング作業に長時間を要するため、作業効率が悪いという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明の課題は、外周面に研削面が形成された略円盤形の超砥粒砥石の研削面を、ツルーイング後にドレッシング不要で、かつ効率よく、超砥粒砥石の中心軸を含む平面で切った断面において中心軸に平行な直線状でない所要の形状に形成できる超砥粒砥石のツルーイング方法を提供することにある。
本発明の第1発明は、外周面に研削面が形成された略円盤形の超砥粒砥石をその中心軸である第1軸の軸回りで回転させるとともに、元素周期表における5A族に属する金属又は該金属を有効成分として含有する合金である略円柱形の金属体をその中心軸である第2軸の軸回りで回転させた状態で、前記第1軸を前記第2軸に対して垂直又は平行に維持して、前記超砥粒砥石の前記研削面を前記金属体に当てた状態で、前記第1軸を前記第2軸に対して相対移動させながら前記超砥粒砥石の前記研削面の外径が前記第1軸の延びる方向における各点に応じて連続的に変化するように前記金属体を研削することで、前記金属体の切り粉が前記超砥粒砥石に含まれる結合剤を機械的に除去すると同時に、前記研削面と前記金属体との接触部位に摩擦熱を発生させて前記金属体と前記結合剤との間で化学反応を起こさせる超砥粒砥石のことを特徴とする。
上記第1発明によれば、元素周期表における5A族に属する金属又はこの金属を有効成分として含有する合金である金属体を用いる。回転している超砥粒砥石の研削面を回転している金属体に接触させて研削することにより、摩擦熱を発生させて金属体と超砥粒砥石に含まれる結合剤、すなわち例えばメタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等、との間で固層―固層拡散反応(例えば、まてりあ、第35巻(1996)、220−224頁参照)又は何らかの化学反応を起こさせる。このため、研削面を構成する結合剤が結合剤本来の靭性を欠いた脆弱な化合物に変化するため、超砥粒砥石の切れ刃を磨耗させることなく容易に研削面を構成する結合剤を除去できるようになる。さらに、超砥粒砥石の研削面の外径が第1軸の延びる方向における各点に応じて連続的に変化するように第1軸を第2軸に対して相対移動させることで、ツルーイング後にドレッシングの必要がなく、かつ効率よく、研削面を第1軸を含む平面で切った断面において第1軸に平行な直線状でない所要の形状に形成することができる。
本発明の第2発明は、第1発明において、前記第1軸を前記第2軸に対して垂直に維持して、前記研削面の前記第1軸方向の中央部を前記金属体の底面の中心部に近接して対向させたのち、前記第1軸を前記第2軸に沿って前記金属体側に移動させて前記金属体の底面を前記研削面で研削することを特徴とする。
上記第2発明によれば、第1軸と第2軸を垂直に維持して、超砥粒砥石の研削面の第1軸方向の中央部を金属体の底面の中心部に近接して対向させる。こののち、第1軸を第2軸に沿って金属体側に移動させて金属体の底面を研削面で研削する。これにより、金属体の底面に、超砥粒砥石の研削面の外径の2分の1となるRの球冠状の凹形状が形成される。超砥粒砥石の研削面は、この凹形状の表面に接触してツルーイングされるため、第1軸を含む平面で切った断面において上記凹形状がなす円弧の一部を構成するような円弧状に形成される。このため、超砥粒砥石の研削面は、第1軸を含む平面で切った断面において超砥粒砥石の半径方向外側に上記凹形状のRと同一のRで凸となる凸形状に形成される。すなわち、金属体の底面を超砥粒砥石の研削面で研削する、という簡便な操作で、研削面を第1軸を含む平面で切った断面において研削面の外径の2分の1となるRで超砥粒砥石の半径方向外側に凸となる円弧状の凸形状に形成できる。なお、金属体の底面とは、金属体の第2軸に対して垂直な面のことをいう。また、近接とは、研削面の第1軸方向の中央部と金属体の底面とが当接しないぎりぎりの位置まで近付いた状態にあることをいう。
本発明の第3発明は、第1発明において、前記第1軸を前記第2軸に対して垂直に維持して、前記研削面の前記第1軸方向の中央部を前記金属体の底面において該底面の中心部から前記第1軸及び前記第2軸に垂直な半径方向に離れた位置に近接して対向させたのち、前記第1軸と該第1軸より前記金属体から離れた側に位置する前記第2軸上の固定点との距離を一定に保ちながら、前記第1軸を前記第2軸と交差するまで前記第2軸側に移動させたのち移動方向を反転させずにこの移動した距離と同一距離前記第2軸から離れる側に移動させて前記金属体の底面を前記研削面で研削することを特徴とする。
上記第3発明によれば、第1軸と第2軸を垂直に維持して、超砥粒砥石の研削面の第1軸方向の中央部を金属体の底面においてその中心部から第1軸及び第2軸に垂直な半径方向に離れた位置に近接して対向させる。こののち、第1軸と当該第1軸より金属体から離れた側に位置する第2軸上の固定点との距離を一定に保ちながら、第1軸を第2軸と交差するまで第2軸側に移動させたのち移動方向を反転させずに当該移動した距離と同一距離第2軸から離れる側に移動させて金属体の底面を研削面で研削する。これにより、金属体の底面に、超砥粒砥石の研削面の外径の2分の1より大きいRの球冠状の凹形状が形成される。超砥粒砥石の研削面は、この凹形状の表面に接触してツルーイングされるため、第1軸を含む平面で切った断面において上記凹形状がなす円弧の一部を構成するような円弧状に形成される。このため、超砥粒砥石の研削面は、第1軸を含む平面で切った断面において超砥粒砥石の半径方向外側に上記凹形状のRと同一のRで凸となる凸形状に形成される。すなわち、金属体の底面を超砥粒砥石の研削面で研削する、という簡便な操作で、研削面を第1軸を含む平面で切った断面において研削面の外径の2分の1より大きいRで超砥粒砥石の半径方向外側に凸となる円弧状の凸形状に形成できる。なお、金属体の底面とは、金属体の第2軸に対して垂直な面のことをいう。また、近接とは、研削面の第1軸方向の中央部と金属体の底面とが当接しないぎりぎりの位置まで近付いた状態にあることをいう。
本発明の第4発明は、第1発明において、前記第1軸を前記第2軸に対して平行に維持して、前記研削面を前記金属体の外周面に当てた状態で、前記第1軸を前記第2軸に近接又は離隔させながら前記超砥粒砥石を前記第2軸に沿って移動させて前記金属体の外周面を前記研削面で研削することを特徴とする。
上記第4発明によれば、第1軸と第2軸を平行に維持して、超砥粒砥石の研削面を金属体の外周面に当てる。この状態で、第1軸を第2軸に近接又は離隔させながら超砥粒砥石を第2軸に沿って移動させて金属体の外周面を研削面で研削する。これにより、超砥粒砥石の研削面の外径を第1軸の延びる方向における各点に応じて連続的に変化させる。すなわち、金属体の外周面を超砥粒砥石の研削面で研削する、という簡便な操作で、研削面を第1軸を含む平面で切った断面において第1軸に平行な直線状でない所要の形状に形成できる。なお、金属体の「外周面」とは、金属体の第2軸に対して垂直な面同士を連結する面のことをいう。
本発明の第5発明は、第2発明又は第3発明において、前記金属体に、前記第2軸上を延びて前記金属体の前記底面で開口する孔が設けられていることを特徴とする。
金属体の底面における第2軸上の部位は、金属体が第2軸の軸回りで回転しても第2軸に対して相対移動しない。このため、超砥粒砥石の研削面の第1軸方向の中央部が第2軸上からずれた状態で金属体の底面が研削された場合には、金属体の底面における第2軸上の部位が第1軸側に突出する微小な突起状に形成されるおそれがあった。金属体の底面における第2軸上の部位が微小な突起状に形成された場合、超砥粒砥石の研削面が上記突起状の表面に接触して予期せぬツルーイングを受けて、研削面を第1軸を含む平面で切った断面における研削面の真円度が低下するおそれがあった。上記第5発明によれば、金属体の底面における第2軸上の部位に孔が設けられている。このため、超砥粒砥石の研削面の第1軸方向の中央部が第2軸上からずれた状態で金属体の底面が研削された場合であっても、上記突起状が形成されない。よって、研削面を第1軸を含む平面で切った断面において研削面の真円度が確保し易くなる。
本発明の第1実施形態において使用される超砥粒砥石と金属体とを示す斜視図である。 上記実施形態において使用される超砥粒砥石と金属体とを側方から見た図である。 上記実施形態において超砥粒砥石により金属体を研削する状況を上から見た図である。 図3の状況を側方から見た図である。 図4を第1軸を含む平面で切って、超砥粒砥石の研削面と金属体との接触部位を拡大した断面図である。 上記実施形態においてツルーイング後の超砥粒砥石と金属体とを示す斜視図である。 本発明の第2実施形態を図3に対応させて示す図である。 本発明の第3実施形態において使用される超砥粒砥石と金属体とを示す斜視図である。 上記実施形態において超砥粒砥石が金属体に対して相対移動する状況を示す図である。 本発明の第4実施形態において使用される超砥粒砥石と金属体とを示す斜視図である。 上記実施形態において超砥粒砥石が金属体に対して相対移動する状況を示す図である。 本発明に使用される金属体のツルーイング性能の検証状況を示す図である。 本発明に使用される金属体のツルーイング性能を示すグラフである。
本発明の各実施形態について説明する前に、本発明で使用される超砥粒砥石、金属体、及び、金属体のツルーイング性能について説明する。
本発明で使用される超砥粒砥石は、ダイヤモンド又はCBNの砥粒を結合剤で固めて形成された研削砥石、又は、軸付砥石である。なお、結合剤とは上記砥粒を固めるための化合物の総称であり、特別に限定した化合物を意味しない。例えば、ダイヤモンド砥石等において一般的に用いられる結合剤である、いわゆるメタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等は上記結合剤に包含される。
本発明で使用される金属体は、元素周期表における5A族に属する金属、すなわち、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタル等の無垢材又は上記金属を有効成分として含有する合金である。これらの金属体は、スズ合金、ガリウム合金、ケイ素合金、アルミニウム合金等を結合剤の主成分とするメタルボンド系の超砥粒砥石をツルーイングする際に特に好適である。より詳細には、例えば銅とスズとの合金であるブロンズを主成分とする結合剤の超砥粒砥石を用いてニオブを研削するとき、超砥粒砥石とニオブとの接触部位において約700度の摩擦熱を発生させることで、ニオブと超砥粒砥石の結合剤との間で固層―固層拡散反応(例えば、まてりあ、第35巻(1996)、220−224頁参照)又は何らかの化学反応を起こさせ、超砥粒砥石の結合剤をニオブスズに変化させる。ニオブスズは、結合剤本来の靭性を欠いた脆弱な化合物であるため、超砥粒砥石から直ちに剥離する。このため、上記超砥粒砥石における結合剤は超砥粒砥石がニオブを研削する工程中に速やかに排出され、砥粒の適度な突出が達成される。
本発明に使用される金属体のツルーイング性能は、図12に示すように、備え付けのドレッサ装置を有する平面研削盤を用いて検証する。この検証は、平面研削盤の砥石スピンドル80に取付けられたダイヤモンド平形研削砥石81で、ドレッサ装置のドレッサスピンドル90に取付けられた円盤形部材91を研削することで行う。すなわち、この検証は、ドレッサスピンドル90に対し、通常のドレッサの代わりに円盤形部材91を取付けて行うものとなっている。ダイヤモンド平形研削砥石81は、外周面に研削面82が形成されており、研削前の研削面82の外径が205mm、厚さが15mm、砥粒粒度が400番、結合剤がレジンボンド、結合度がH、集中度が100であり、中心軸を含む平面で切った断面において研削面82が中心軸に平行な直線状になっているものを使用した。そして、円盤形部材91は、研削前の外周面92の外径が110mm、厚さが6mmの平形研削砥石状に形成され、中心軸を含む平面で切った断面において外周面92が中心軸に平行な直線状になっているものを使用した。円盤形部材91の材料は、本発明の金属体に相当するニオブと、元素周期表における6A族に属するモリブデンと、一般砥石として知られる粒度80のグリーンカーボランダム砥石(以降、GC80という)と、元素周期表における11族である銅と、一般的な軟鋼研削法で用いられる炭素量50の機械構造用炭素鋼(以降、S50Cという)と、をそれぞれ用いて比較検討した。砥石回転数を1000回転/分(周速度10.7m/秒)、円盤形部材91の回転数を356回転/分(周速度2.1m/秒)、として、ダイヤモンド平形研削砥石81の研削面82を円盤形部材91の外周面92に当てて円盤形部材91の外周面92を2μmずつ切り込んで計200μm研削したのち、ダイヤモンド平形研削砥石81の体積の減耗量及び円盤形部材91の体積の減耗量を測定し、「ダイヤモンド平形研削砥石81の体積の減耗量を円盤形部材91の体積の減耗量で割った値」を「ツルーイング比」として円盤形部材91のツルーイング性能の指標とした。検証結果を図13に示す。
図13に示すように、ニオブのツルーイング比は5.116であった。これは、モリブデンのツルーイング比1.208の約4.2倍であり、GC80のツルーイング比0.896の約5.7倍であり、銅のツルーイング比0.743の約6.9倍であり、S50Cのツルーイング比0.197の約26倍である。このように、本発明で使用される金属体のツルーイング性能は、他の材料を用いた場合より高いことがわかった。また、本発明で使用される金属体のツルーイング比は1.0を超えるものであった。すなわち、本発明で使用される金属体はダイヤモンド平形研削砥石81により研削されながらも、研削された体積より大きい体積のダイヤモンド平形研削砥石81をツルーイングできることが示された。このため、元素周期表における5A族に属する金属又はこの金属を有効成分として含有する合金は、ツルーイング時に減耗し難く、超砥粒砥石の研削面に目標の形状を形成し易いものであることがわかった。よって、本発明の出願者は、上記金属又は合金に着目し、これを用いて、超砥粒砥石の研削面をその中心軸を含む平面で切った断面において中心軸に平行な直線状でない所要の形状に形成するツルーイング方法を発明した。
<第1実施形態>
以下、図1〜図6に基づいて、本発明の第1実施形態の超砥粒砥石のツルーイング方法について説明する。第1実施形態は、ガラスレンズをモールド成形する金型のコア部を研削するためのダイヤモンド軸付砥石をツルーイングする方法である。すなわち、ダイヤモンド軸付砥石の外周面に形成された研削面と上記コア部の湾曲面との接触面積をできるだけ小さくするために、研削面がダイヤモンド軸付砥石の軸を含む平面で切った断面において半径方向外側に凸となる円弧状の凸形状になるようにツルーイングする方法である。
図1に示すように、第1実施形態では、先端部に軸付砥石を取付け可能な砥石スピンドル10と、先端部に被削物を取付け可能なワークスピンドル20と、を備えた研削盤1を用いる。砥石スピンドル10及びワークスピンドル20は、それぞれ図示しないモータに接続されており、軸周りに回転可能となっている。砥石スピンドル10の回転軸を第1軸S1(図2参照)として示し、ワークスピンドル20の回転軸を第2軸S2(図2参照)として示す。砥石スピンドル10は、図示しない移動機構により、ワークスピンドル20と垂直な状態を維持したまま、ワークスピンドル20に対して相対的に移動可能となっている。本実施形態の超砥粒砥石のツルーイング方法においては、ワークスピンドル20に対し、被削物の代わりに後述する金属体21を取付ける構成となっている。
図1に示すように、砥石スピンドル10には、ダイヤモンド軸付砥石11が取付けられる。ダイヤモンド軸付砥石11は、外周面に研削面111が形成された紡錘形に形成されており、研削前の研削面111の外径が10mm、砥石粒度が3000番、結合剤がビトリファイドボンド、結合度がP、集中度が150となっている。ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111は、ダイヤモンド軸付砥石11の中心軸を含む平面で切った断面において半径方向外側に凸となるようにあらかじめ形成されているが、ダイヤモンド軸付砥石11の製造時における研削面111は、上記断面において微視的な凹凸が非常に大きく円弧状となっていない。ダイヤモンド軸付砥石11は、ダイヤモンド軸付砥石11に固着された図示しない支持軸部が真空チャックにより砥石スピンドル10に装着されることで、砥石スピンドル10に同軸で取付けられる。すなわち、ダイヤモンド軸付砥石11の中心軸は、砥石スピンドル10の回転軸である第1軸S1(図2参照)と一致する軸であり、ダイヤモンド軸付砥石11は、砥石スピンドル10が回転することで一体的に第1軸S1の軸回りで回転する構成となっている。ダイヤモンド軸付砥石11が、特許請求の範囲の「超砥粒砥石」に相当する。
図1に示すように、ワークスピンドル20には、金属体21が取付けられる。金属体21は、円柱形に形成されたニオブの無垢材であり、研削前の底面の直径が7mm、中心軸軸方向の長さが8mmとなっている。金属体21には、直径1mmの円形で金属体21の軸方向に延びる孔22が設けられている。孔22は、金属体21の中心軸上を同軸で延びて金属体21の一方の底面である第1底面211で開口している。金属体21は、ワークスピンドル20に同軸で取付けられる。すなわち、金属体21の中心軸は、ワークスピンドル20の回転軸である第2軸S2(図2参照)と一致する軸であり、金属体21は、ワークスピンドル20が回転することで一体的に第2軸S2の軸回りで回転する構成となっている。なお、金属体21の底面とは、第2軸S2に対して垂直な面のことをいう。
金属体21は、金属体21の他方の底面である第2底面212に固着されたベース部材23を介して、ワークスピンドル20の先端部に取付けられる。ベース部材23は、金属体21と同径の円柱形に形成されており、機械構造用炭素鋼やステンレス鋼等の鋼からなる。ベース部材23の一方の底面である第1底面231には金属体21が接着され、他方の底面である第2底面232にはワークスピンドル20の先端部が装着される。金属体21及びベース部材23を形成する方法は、金属体21より大きい半径の底面を有する円柱形に形成したニオブ材の一方の底面に対し、同径の円柱形に形成した鋼材の一方の底面を接着したのち、ニオブ材及び鋼材の側面を金属体21の側面の外径と同一になるように研削する。そして、ニオブ材の他方の底面に孔を穿設してから、ニオブ材の他方の底面及び鋼材の他方の底面をニオブ材の中心軸方向に対して垂直に研削する、というものである。
図2〜図6に基づいて、本実施形態の超砥粒砥石のツルーイング方法の具体的な手順について説明する。なお、本実施形態においては、砥石回転数は19100回転/分(周速度10m/秒)、金属体回転数は700回転/分(周速度0.4m/秒)、送り速度は0.2mm/分とした。まず、図2の実線に示すように、第1軸S1を第2軸S2に対して垂直に維持して、第1軸S1と第2軸S2とが交差した状態でダイヤモンド軸付砥石11の研削面111の第1軸S1方向の中央部が金属体21の第1底面211の中心部と向かい合うようにダイヤモンド軸付砥石11の位置を調整する。次に、砥石スピンドル10を回転させてダイヤモンド軸付砥石11を第1軸S1の軸回りで回転させるとともに、ワークスピンドル20を回転させて金属体21を第2軸S2の軸回りで回転させる。そして、砥石スピンドル10を第2軸S2に沿って金属体側に移動させて、研削面111の第1軸S1方向の中央部を金属体21の第1底面211の中心部に近接して対向させる。こののち、砥石スピンドル10を第2軸S2に沿って金属体21側にわずかに移動させ、ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111で金属体21を研削する。これにより、図3及び図4に示すように、金属体21の第1底面211に、研削面111の外径10mmの2分の1となる5mmのRの球冠状の凹形状211Aが形成される。ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111は、この凹形状211Aに接触してツルーイングされるため、図5に示すように、第1軸S1を含む平面で切った断面において上記凹形状211Aがなす円弧の一部を構成するような円弧状に形成される。すなわち、研削面111は、5mmのRの球冠の一部を形成し、第1軸S1を含む平面で切った断面において半径方向外側に5mmのRで凸となる凸形状111Aに形成される。この後、図6に示すように、砥石スピンドル10を第2軸S2に沿って金属体21から離れる側に移動させてダイヤモンド軸付砥石11の研削面111を金属体21から離し、ツルーイング作業を終了する。ツルーイング作業の終了後、金属体21及びベース部材23をワークスピンドル20から取外し、代わりに、ワークスピンドル20に図示しない被削物を取付けて被削物の研削作業を開始する。なお、上記した近接とは、研削面111の第1軸S1方向の中央部と金属体21の第1底面211とが当接しないぎりぎりの位置まで近付いた状態にあることをいう。図5では、ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111の凸形状111A、及び、金属体21の第1底面211の凹形状211AのRを、図3及び図4のRより若干誇張して図示している。
以上のように構成される本実施形態は、次のような作用効果を奏する。回転しているダイヤモンド軸付砥石11の研削面111を、回転している金属体21に接触させて研削する。これにより、摩擦熱を発生させて金属体21と超砥粒砥石に含まれる結合剤、すなわち例えばメタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等、との間で固層―固層拡散反応又は何らかの化学反応を起こさせる。このため、ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111を構成する結合剤が結合剤本来の靭性を欠いた脆弱な化合物に変化するため、切れ刃を磨耗させることなく容易に研削面111を構成する結合剤を除去できるようになる。よって、ツルーイング後にドレッシングの必要がなく、かつ効率よく、ダイヤモンド軸付砥石11をツルーイングできる。さらに、金属体21の第1底面211をダイヤモンド軸付砥石11の研削面111で研削する、という簡便な操作で、研削面111を第1軸S1を含む平面で切った断面において5mmのRで半径方向外側に凸となる円弧状の凸形状111Aに形成できる。
さらに、本実施形態では、金属体21の第1底面211の中心部に孔22が設けられている。このため、ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111の第1軸S1方向の中央部が第2軸S2上からずれた状態で金属体21の第1底面211が研削された場合であっても、金属体21の第1底面211における第2軸S2上の部位に突起状が形成されない。よって、研削面111を第1軸S1を含む平面で切った断面における研削面111の凸形状111Aの真円度が確保し易くなる。
さらに、本実施形態においては、ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111に形成できる凸形状111AのRが研削面111の外径の2分の1に限定されるが、砥石スピンドル10を第2軸S2に沿って金属体21側に移動させるという直線的な移動だけでダイヤモンド軸付砥石11のツルーイングを行うことができるため、ツルーイングに要する時間の短縮化を図ることができる。また、ツルーイング終了後の研削面111の外径を測定することで、現在の凸形状111AのRを算出することもできる。
さらに、本実施形態においては、上記したように、砥石スピンドル10を第2軸S2に沿って金属体21側に移動させるだけで、ダイヤモンド軸付砥石11のツルーイングを行うことができる。そして、砥石スピンドル10を第2軸S2に沿って金属体21の反対側に移動させるだけで、ダイヤモンド軸付砥石11を金属体21から離してツルーイングを終了することができる。このため、例えば、ワークスピンドル20に取付けた被削物に対して第2軸S2上でダイヤモンド軸付砥石11を切り込ませる研削作業を、複数の被削物に順次連続して行う必要のあるとき、作業時間の短縮が可能となる。より詳細に説明すると、第1に、ダイヤモンド軸付砥石11のツルーイング後において、ワークスピンドル20から金属体21を取外して被削物を取付けるだけで、ダイヤモンド軸付砥石11を第2軸S2上に位置合わせする必要無く被削物の研削作業を開始することができる。そして、第2に、被削物の研削作業中にツルーイングの必要性を感じたときにおいて、ワークスピンドル20から被削物を取外して金属体21を取付けるだけで、ダイヤモンド軸付砥石11を第2軸S2上に位置合わせする必要無くツルーイングを開始することができる。
以上、第1実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
1.本実施形態においては、超砥粒砥石としてダイヤモンド砥石を用いるとともに、金属体21としてニオブを用いた。しかし、これに限定されず、超砥粒砥石は、CBN砥石であってもよいし、金属体21は、元素周期表における5A族に属するものであれば他の金属であってもよい。
2.本実施形態においては、金属体21に孔22を設けた。しかし、これに限定されず、金属体21は孔22が形成されていない構造のものであってもよい。
3.本実施形態においては、特に言及していないが、研削盤1としていわゆる数値制御研削盤や倣い研削盤等を用いることができる。
<第2実施形態>
以下、図7に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態における超砥粒砥石のツルーイング方法は、第1実施形態から砥石スピンドル10の移動の仕方を変更したものであり、その他は第1実施形態のものと同一である。第1実施形態の構成と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態においては、砥石回転数は19100回転/分(周速度10m/秒)、金属体回転数は700回転/分(周速度0.4m/秒)、送り速度は0.8mm/分とした。また、図7は、本発明の第2実施形態を図3に対応させて示したものだが、砥石スピンドル10の移動の仕方を分かり易くするために図3より大きい縮尺で図示している。
第2実施形態では、まず、図7のX1に示すように、第1軸S1を第2軸S2に対して垂直に維持して、第1軸S1が金属体21の第1底面211の外径の2分の1より第2軸S2から離れるようにダイヤモンド軸付砥石11の位置を調整する。このとき、研削面111の第1軸S1方向の中央部が、第1軸S1に対して垂直で第2軸S2を含む面(以降、所定面という)内に位置するようにダイヤモンド軸付砥石11の第1軸S1方向の位置を調整する。次に、砥石スピンドル10を回転させてダイヤモンド軸付砥石11を第1軸S1の軸回りで回転させるとともに、ワークスピンドル20を回転させて金属体21を第2軸S2の軸回りで回転させる。そして、第1軸S1が所定面内において所定のRの円弧の軌跡を描くように、すなわち、ダイヤモンド軸付砥石11が図7で示すX2、X3、X4、X5に示す状態をこの順で経るように、砥石スピンドル10を移動させる。より詳細には、X2に示す状態は、ダイヤモンド軸付砥石11の研削面111の第1軸S1方向の中央部が、金属体21の第1底面211においてその中心部から第1軸S1及び第2軸S2に垂直な半径方向に離れた位置に近接して対向した状態となっている。X3に示す状態は、第1軸S1が第2軸S2と交差した状態となっている。X4に示す状態は、研削面111の第1軸S1方向の中央部が、所定面内において第2軸S2を対称軸としてX2と線対称で位置した状態となっている。X5に示す状態は、研削面111の第1軸S1方向の中央部が、所定面内において第2軸S2を対称軸としてX1と線対称で位置した状態となっている。より具体的にいえば、第1軸S1は、X2で示した状態の第1軸S1より金属体21から離れた側に位置している第2軸S2上の固定点Qとの距離を一定に保ちながら、X1に示した状態から、第2軸S2と交差するまで第2軸S2側に移動したのち移動方向を反転させずにこの移動した距離と同一距離第2軸S2から離れる側に移動する。これにより、金属体21の第1底面211に研削面111の外径の2分の1より大きいRの球冠状の凹形状211Bが形成される。よって、研削面111が、第1軸S1を含む平面で切った断面において半径方向外側に研削面111の外径の2分の1より大きいRで凸となる凸形状に形成される。
本実施形態では、第1軸S1が所定面内において描く円弧の軌跡のRを変更することにより、研削面111を所望のRの凸形状に形成できる。より詳細には、第1軸S1が所定面内において描く円弧の軌跡のRを、「研削面111に形成したい所望のRから、研削面111の外径の2分の1を引いた差」とすることで、研削面111を所望のRの凸形状に形成できる。すなわち、例えば、第1軸S1が所定面内において描く円弧の軌跡のRを「研削面111に形成したい所望のRである7mmから、研削面111の外径の2分の1である5mmを引いた差」の2mmとすることで、固定点Qから研削面111までの長さの最大値が7mmとなり、金属体21の第1底面211に形成される凹形状211BのRが7mmとなる。よって、研削面111を、第1軸S1を含む平面で切った断面において半径方向外側に7mmのRで凸となる円弧状の凸形状に形成できる。なお、本実施形態において金属体21の第1底面211に形成可能な凹形状のRは、少なくとも研削面111の外径の2分の1より大きいRである。
以上のように構成される本実施形態では、金属体21の第1底面211をダイヤモンド軸付砥石11の研削面111で研削する、という簡便な操作で、研削面111を第1軸S1を含む平面で切った断面において研削面111の外径の2分の1より大きいRで半径方向外側に凸となる円弧状の凸形状に形成できる。
以上、第2実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
1.本実施形態においては、超砥粒砥石としてダイヤモンド砥石を用いるとともに、金属体21としてニオブを用いた。そして、金属体21に孔22を設けた。しかし、これに限定されず、第1実施形態と同様に、超砥粒砥石はCBN砥石であってもよいし、金属体21は元素周期表における5A族に属するものであればニオブ以外の金属であってもよいし、金属体21は孔22が形成されていない構造のものであってもよい。また、研削盤1としていわゆる数値制御研削盤や倣い研削盤等を用いることもできる。
2.本実施形態においては、第1軸S1と固定点Qとの距離を一定に保ちながら、砥石スピンドル10を第1軸S1が第2軸S2と交差するまで第2軸S2側に移動させたのち移動方向を反転させずにこの移動した距離と同一距離第2軸S2から離れる側に移動させる、という移動操作を、1回だけ行う構成とした。しかし、これに限定されず、上記移動操作は複数回行ってもよい。すなわち、例えば、ダイヤモンド軸付砥石11がX1、X2、X3、X4、X5に示す状態をこの順で経るように砥石スピンドル10を移動させたのち、移動方向を反転させて、ダイヤモンド軸付砥石11がX5、X4、X3、X2、X1に示す状態をこの順で経るように砥石スピンドル10を移動させてもよい。
3.本実施形態においては、特に言及していないが、本実施形態の第1軸S1の動作を数値制御により行う場合、例えば、半径値を入力する方式の円弧補間によって第1軸S1を動作させてもよいし、中心座標を入力する方式の円弧補間によって第1軸S1を動作させてもよい。
<第3実施形態>
以下、図8及び図9に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、ダイヤモンド平形研削砥石の研削面が、ダイヤモンド平形研削砥石の軸を含む平面で切った断面において半径方向内側に凹形状となるようにツルーイングする方法である。
図8に示すように、第3実施形態では、備え付けのドレッサ装置を有する平面研削盤を用いる。すなわち、先端部に平形研削砥石を取付け可能な砥石スピンドル30と、ドレッサ装置のドレッサスピンドル40と、を備えた研削盤2を用いる。砥石スピンドル30及びドレッサスピンドル40は、それぞれ図示しないモータに接続されており、軸周りに回転可能となっている。砥石スピンドル30の回転軸を第1軸S1Aとして示し、ドレッサスピンドル40の回転軸を第2軸S2Aとして示す。砥石スピンドル30は、図示しない移動機構により、ドレッサスピンドル40と平行な状態を維持したまま、ドレッサスピンドル40に対して相対的に移動可能となっている。本実施形態の超砥粒砥石のツルーイング方法においては、ドレッサスピンドル40に対し、通常のドレッサの代わりに後述する金属体41を取付ける構成となっている。
図8に示すように、砥石スピンドル30には、ダイヤモンド平形研削砥石31が取付けられる。ダイヤモンド平形研削砥石31は、外周面に研削面311が形成されており、研削前の研削面311の外径が205mm、中心軸軸方向の長さが15mm、砥石粒度が230番、結合剤がレジンボンド、結合度がN、集中度が100となっている。ダイヤモンド平形研削砥石31の研削面311は、ダイヤモンド平形研削砥石31の中心軸を含む平面で切った断面において半径方向内側に19mmのRで凹となるようにあらかじめ形成されている。ダイヤモンド平形研削砥石31は、その中心に形成された装着孔に砥石スピンドル30が装着されることで、砥石スピンドル30に同軸で取付けられる。すなわち、ダイヤモンド平形研削砥石31の中心軸は、砥石スピンドル30の回転軸である第1軸S1Aと一致する軸であり、ダイヤモンド平形研削砥石31は、砥石スピンドル30が回転することで一体的に第1軸S1Aの軸回りで回転する構成となっている。ダイヤモンド平形研削砥石31が、特許請求の範囲の「超砥粒砥石」に相当する。
図8に示すように、ドレッサスピンドル40には、金属体41が取付けられる。金属体41は、略円盤形に形成されており、元素周期表における5A族に属するニオブの無垢材からなる。金属体41は、研削前の外周面411の外径が110mm、中心軸軸方向の長さが5mmとなっている。金属体41の外周面411は、金属体41の中心軸を含む平面で切った断面において半径方向外側に約8mmのRで凸となるようにあらかじめ形成されている。金属体41は、その中心に形成された装着孔にドレッサスピンドル40が装着されることで、ドレッサスピンドル40に同軸で取付けられる。すなわち、金属体41の中心軸は、ドレッサスピンドル40の回転軸である第2軸S2Aと一致する軸であり、金属体41は、ドレッサスピンドル40が回転することで一体的に第2軸S2Aの軸回りで回転する構成となっている。なお、金属体41の外周面411とは、第2軸S2Aに対して垂直な面同士を連結する面のことをいう。
図8及び図9に基づいて、本実施形態の超砥粒砥石のツルーイング方法の具体的な手順について説明する。なお、図9では、ダイヤモンド平形研削砥石31の動きを分かり易くするために、第1軸S1A上におけるダイヤモンド平形研削砥石31の厚み中間点を点Paとして図示している。まず、砥石スピンドル30を回転させてダイヤモンド平形研削砥石31を第1軸S1Aの軸回りで回転させるとともに、ドレッサスピンドル40を回転させて金属体41を第2軸S2Aの軸回りで回転させる。次に、第1軸S1Aを第2軸S2Aに対して平行に維持して、ダイヤモンド平形研削砥石31の研削面311を金属体41の外周面411に当てる。この状態で、砥石スピンドル30を第2軸S2Aに近接又は離隔させながら、ダイヤモンド平形研削砥石31の点Paが金属体41側に凸となる円弧を描くように第2軸S2Aに沿って移動させる。これにより、研削面311を、第1軸S1Aを含む平面で切った断面において半径方向内側に所要のRで凹となる凹形状に形成する。
本実施形態のツルーイング方法により、ダイヤモンド平形研削砥石31の研削面311を厳密なR精度の凹形状に形成することのできる条件を検証する。検証方法は、ダイヤモンド平形研削砥石31の研削面311を19mmのRの凹形状から20mmのRの凹形状に形成することを目標としたツルーイングを行い、研削面311の凹形状のRが誤差0.05mm以内であれば厳密なR精度の凹形状に形成できた、とするものである。上記検証においては、金属体41の外周面411の凸形状のRを変更してそれぞれ研削を行った。研削条件は、砥石回転数を1000回転/分(周速度10.7m/秒)、金属体回転数を356回転/分(周速度2.1m/秒)、送り速度を200mm/分として、点Paが金属体41の第2軸S2方向中央部に対応する位置から離れるように移動するときに、研削面311で金属体41の外周面411を2μmずつ切り込むものとした。実験結果を表1に示す。
Figure 2017189845

表1に示すように、金属体41の外周面411が研削前において6.20mm〜6.23mmのRの凸形状のとき、ダイヤモンド平形研削砥石31の研削面311を厳密なR精度の凹形状に形成できることがわかった。
以上のように構成される本実施形態では、金属体41の外周面411をダイヤモンド平形研削砥石31の研削面311で研削する、という簡便な操作で、研削面311を第1軸S1Aを含む平面で切った断面において半径方向内側に所要のRで凹となる凹形状に形成することができる。
<第4実施形態>
以下、図10及び図11に基づいて、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態における超砥粒砥石のツルーイング方法は、第3実施形態から超砥粒砥石の種類、及び、第1軸の移動の仕方を変更したものであり、その他は第3実施形態のものと同一である。第3実施形態の構成と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、第4実施形態では、砥石スピンドル30にCBN平形研削砥石51が取付けられる。CBN平形研削砥石51は、外周面に研削面511が形成されており、研削前の研削面511の外径が205mm、厚さが15mm、砥石粒度が230番、結合剤がレジンボンド、結合度がN、集中度が90となっている。CBN平形研削砥石51の研削面511は、CBN平形研削砥石51の中心軸を含む平面で切った断面において半径方向外側に19mmのRで凸となるようにあらかじめ形成されている。CBN平形研削砥石51は、その中心に形成された装着孔に砥石スピンドル30が装着されることで、砥石スピンドル30に同軸で取付けられる。すなわち、CBN平形研削砥石51の中心軸は、砥石スピンドル30の回転軸である第1軸S1Aと一致する軸であり、CBN平形研削砥石51は、砥石スピンドル30が回転することで一体的に第1軸S1Aの軸回りで回転する構成となっている。CBN平形研削砥石51が、特許請求の範囲の「超砥粒砥石」に相当する。
図10及び図11に基づいて、本実施形態の超砥粒砥石のツルーイング方法の具体的な手順について説明する。なお、図11では、CBN平形研削砥石51の動きを分かり易くするために、第1軸S1A上におけるCBN平形研削砥石51の厚み中間点を点Pbとして図示している。まず、砥石スピンドル30を回転させてCBN平形研削砥石51を第1軸S1Aの軸回りで回転させるとともに、ドレッサスピンドル40を回転させて金属体41を第2軸S2Aの軸回りで回転させる。次に、第1軸S1Aを第2軸S2Aに対して平行に維持して、CBN平形研削砥石51の研削面511を金属体41の外周面411に当てる。この状態で、砥石スピンドル30を第2軸S2Aに近接又は離隔させながら、CBN平形研削砥石51の点Pbが金属体41の反対側に凸となる円弧を描くように第2軸S2Aに沿って移動させる。これにより、研削面511を、第1軸S1Aを含む平面で切った断面において半径方向外側に所要のRで凸となる凸形状に形成する。
本実施形態のツルーイング方法により、CBN平形研削砥石51の研削面511を厳密なR精度の凸形状に形成することのできる条件を検証する。検証方法は、CBN平形研削砥石51の研削面511を19mmのRの凸形状から20mmのRの凸形状に形成することを目標としたツルーイングを行い、研削面511の凸形状のRが誤差0.05mm以内であれば厳密なR精度の凸形状に形成できた、とするものである。上記検証においては、金属体41の外周面411の凸形状のRを変更してそれぞれ研削を行った。研削条件は、砥石回転数を1000回転/分(周速度10.7m/秒)、金属体回転数を356回転/分(周速度2.1m/秒)、送り速度を200mm/分として、点Pbが金属体41の第2軸S2方向中央部に対応する位置から離れるように移動するときに、研削面511で金属体41の外周面411を2μmずつ切り込むものとした。実験結果を表2に示す。
Figure 2017189845
表2に示すように、金属体41の外周面411が研削前において6.20mm〜6.23mmのRの凸形状のとき、CBN平形研削砥石51の研削面511を厳密なR精度の凸形状に形成できることがわかった。
以上のように構成される本実施形態では、金属体41の外周面411をCBN平形研削砥石51の研削面511で研削する、という簡便な操作で、研削面511を第1軸S1Aを含む平面で切った断面において半径方向外側に所要のRで凸となる凸形状に形成することができる。
以上、第3実施形態及び第4実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
1.第3実施形態及び第4実施形態においては、金属体41としてニオブを用いた。しかし、これに限定されず、金属体41は、元素周期表における5A族に属するものであれば、他の金属であってもよい。
2.第3実施形態及び第4実施形態においては、超砥粒砥石の研削面を湾曲した凹形状又は凸形状に形成する構成を示した。しかし、これに限定されない。すなわち、例えば、超砥粒砥石の軸を含んだ平面で切った断面において、研削面が第1軸に対して斜めに直線的に延びるように形成されている構成であってもよい。
3.第3実施形態及び第4実施形態においては、超砥粒砥石の研削面に凹形状又は凸形状を1つだけ形成する構成を示した。しかし、これに限定されない。すなわち、例えば、超砥粒砥石の厚み方向で凹形状又は凸形状を複数個連続して形成することで、超砥粒砥石の軸を含む平面で切った断面において研削面が波打つような形状に形成することもできる。
4.第3実施形態及び第4実施形態においては、特に言及していないが、研削盤2としていわゆる数値制御研削盤や倣い研削盤等を用いることができる。
11 ダイヤモンド軸付砥石(超砥粒砥石)
111 研削面
21 金属体
211 第1底面(底面)
22 孔
S1 第1軸
S2 第2軸
31 ダイヤモンド平形研削砥石(超砥粒砥石)
311 研削面
41 金属体
411 外周面
S1A 第1軸
S2A 第2軸
51 CBN平形研削砥石(超砥粒砥石)
511 研削面

Claims (5)

  1. 外周面に研削面が形成された略円盤形の超砥粒砥石をその中心軸である第1軸の軸回りで回転させるとともに、
    元素周期表における5A族に属する金属又は該金属を有効成分として含有する合金である略円柱形の金属体をその中心軸である第2軸の軸回りで回転させた状態で、
    前記第1軸を前記第2軸に対して垂直又は平行に維持して、前記超砥粒砥石の前記研削面を前記金属体に当てた状態で、前記第1軸を前記第2軸に対して相対移動させながら前記超砥粒砥石の前記研削面の外径が前記第1軸の延びる方向における各点に応じて連続的に変化するように前記金属体を研削することで、
    前記金属体の切り粉が前記超砥粒砥石に含まれる結合剤を機械的に除去すると同時に、前記研削面と前記金属体との接触部位に摩擦熱を発生させて前記金属体と前記結合剤との間で化学反応を起こさせる超砥粒砥石のツルーイング方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1軸を前記第2軸に対して垂直に維持して、前記研削面の前記第1軸方向の中央部を前記金属体の底面の中心部に近接して対向させたのち、前記第1軸を前記第2軸に沿って前記金属体側に移動させて前記金属体の底面を前記研削面で研削する超砥粒砥石のツルーイング方法。
  3. 請求項1において、
    前記第1軸を前記第2軸に対して垂直に維持して、前記研削面の前記第1軸方向の中央部を前記金属体の底面において該底面の中心部から前記第1軸及び前記第2軸に垂直な半径方向に離れた位置に近接して対向させたのち、前記第1軸と該第1軸より前記金属体から離れた側に位置する前記第2軸上の固定点との距離を一定に保ちながら、前記第1軸を前記第2軸と交差するまで前記第2軸側に移動させたのち移動方向を反転させずにこの移動した距離と同一距離前記第2軸から離れる側に移動させて前記金属体の底面を前記研削面で研削する超砥粒砥石のツルーイング方法。
  4. 請求項1において、
    前記第1軸を前記第2軸に対して平行に維持して、前記研削面を前記金属体の外周面に当てた状態で、前記第1軸を前記第2軸に近接又は離隔させながら前記超砥粒砥石を前記第2軸に沿って移動させて前記金属体の外周面を前記研削面で研削する超砥粒砥石のツルーイング方法。
  5. 請求項2及び請求項3において、
    前記金属体に、前記第2軸上を延びて前記金属体の前記底面で開口する孔が設けられている超砥粒砥石のツルーイング方法。

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