JP2005246510A - 金属材料の高平滑研削方法及び金属材料高平滑研削装置 - Google Patents

金属材料の高平滑研削方法及び金属材料高平滑研削装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない加工時間且つ高い加工精度で高平滑な面が得られる金属材料の高平滑研削方法及び金属材料高平滑研削装置を提供すること。
【解決手段】超砥粒砥石5で金属材料部材1の外周面を研削するに当たり、砥石周速度/工作物周速度を100以下とする本研削工程を行う金属材料の高平滑研削方法である。平均粒径40μm以上の砥粒から成る超砥粒砥石を用いる。
超砥粒砥石5を回転駆動させる砥石駆動手段、工作物1を回転駆動させる工作物駆動手段、及び砥石周速度/工作物周速度が10〜100になるように制御する周速度制御手段を備える金属材料の高平滑研削装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属材料の高平滑研削方法及び金属材料高平滑研削装置に係り、更に詳細には、超砥粒砥石により金属材料の表面を研削して高平滑にする金属材料の高平滑研削方法及び金属材料高平滑研削装置に関する。
従来から、金属材料の加工面を高平滑に仕上げるには、以下の
(1)研削+ラッピング(又は超仕上)
(2)荒研削+仕上げ研削(複数工程の研削加工)
などの工程が行われている。
しかし、工作物を加工工程が変わる毎に移し替える必要があるため、加工時間が長くなり、また工程及び加工設備が多くなるため、加工コストが高くなる。そこで、研削1工程のみで高平滑な面を得られるようにすることが望まれているが、従来の高平滑研削(プランジ研削)では、加工時間が大幅に長くなってしまうという問題点があった。
特開2003−94296号公報
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、少ない加工時間且つ高い加工精度で高平滑な面が得られる金属材料の高平滑研削方法及び金属材料高平滑研削装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、砥石周速度と工作物周速度の差を一定に保持することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
砥石周速度/工作物周速度を100以下にして研削することにより、加工変質層が抑制され高能率で研削できる。
以下、本発明の金属材料の高平滑研削方法について詳細に説明する。なお、本願特許請求の範囲及び本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
本発明は、超砥粒砥石を用いて円筒状又は略円筒状の金属材料部材(工作物)の外周面を研削する方法であって、砥石周速度/工作物周速度を100以下として研削する本研削工程(粗研削工程)を行うことを特徴とする。
これより、工作物1回転あたりの切込み量が小さくなるため、研削熱による工作物の面への溶着を防ぐことができ、高能率に研削できる。また、研削熱の工作物への流入を抑制できるため、加工変質層を小さくできる。
また、上記上記本研削工程においては、砥石周速度/工作物周速度を10〜100とすることが好適である。これは、砥石周速度/工作物周速度が10未満では、工作物があまりにも高速すぎて、研削がなりたたないことがあるためである。
更に、上記砥石周速度は120m/s以上であることが好適であり、例えば120〜350m/sに設定できる。これは、現状では120m/s未満では,研削抵抗が高くなり高能率に研削することができず、350m/s超で研削すると砥石の脱落や破損等の問題が起き易いためである。なお、砥石周速度と工作物周速度を共に高速化すると、研削時の切残し量が小さくなり易く、スパークアウト工程を行うときは処理時間を大幅に短縮でき、また加工時の工作物の変形量が小さくなるため、加工精度が向上する。
更にまた、上記超砥粒砥石は、平均粒径40μm以上の砥粒から成ることが好適であり、代表的には平均粒径60〜400μmm/sの砥粒から成る超砥粒砥石を使用できる。なお、平均粒径40μm未満の砥粒では,砥粒の保持力が弱くなり,砥粒が脱落しやすくなってしまう。
なお、この本研削工程は、研削能率20mm/mm・s以下の高能率研削に適用できる。
また、上記本研削工程(粗研削工程)において、切込み速度を段階的に小さくすることが好適である。これは、研削能率を大幅に大きくする(切込み速度を大きくする)と、研削面粗さ・加工変質層が大きくなり易いからである。具体的には、切込み速度の小さい仕上げ研削工程を追加して、少なくとも2ステップの切込み速度(粗研削工程+仕上げ研削工程)で加工することで、最終的に高平滑且つ加工変質層の小さい研削面が得られる。
更に、仕上げ研削工程時の砥石周速度は、上記本研削工程時の砥石周速度より小さいことが好適である。研削能率の低い条件では、発生する研削熱が小さく、工作物への熱の影響も小さい。従って、砥石周速度・工作物周速度を共に小さくすることで熱の影響を更に低減できる。また、砥石回転及び工作物回転の遠心力によるアンバランスの影響を小さくすることができるため、高精度且つ高平滑な面が得られる。
上記本研削工程、上記仕上げ研削工程のいずれか一工程の後又は両工程の後に、スパークアウト工程を行うことができる。高平滑な研削面を高い切込み速度の研削工程のみで得ることは困難であるが、スパークアウトを実施することで、短い研削時間で高平滑な面を得ることができるので有効である。特に、研削サイクルは、上記本研削工程、上記仕上げ研削工程及びスパークアウト工程の少なくとも3ステップから成ることが好適である。なお、スパークアウトとは、切込みを与えずに研削する処理を示す。
また、上記超砥粒砥石、上記金属材料部材のいずれか一方又は双方を、切込み方向に対して回転軸方向に揺動させながら研削することが好適である。砥石や工作物を揺動させながら砥石を切り込む(又はスパークアウトする)ことにより、更に高平滑な面が得られる。なお、揺動速度や揺動幅などは工作物に応じて適宜設定すれば良い。
上記超砥粒砥石としては、代表的には、砥粒がcBN(立方晶窒化ホウ素)、ダイヤモンドのいずれか一方又は双方であり、その砥石粒度が60〜400μmであり、結合材がビトリファイドボンドである超砥粒砥石を使用することが好適である。
このような超砥粒を使用することで砥粒強度の高い砥石となる。また、ビトリファイドボンドは、結合度が高く、目直し(ドレス)の必要も少ない。更に、砥石作業面にチップポケットが多く存在するため、目詰まりが起こりにくい。
また、上記超砥粒砥石は、ドレッサにより平坦化する工程を適宜行うことが好適である。例えば、上記ドレッサとして、上記超砥粒砥石の砥粒径より大きい砥粒径のダイヤモンドドレッサ粒から成るロータリドレッサを使用し、ダウンカットでのドレッシングリードを0.1mm/r.o.w.(revolution of wheel:砥石1回転あたり)以下且つ切込み量を5μm/pass以下としてドレッシング処理できる。このように、砥石の砥粒径より大きなダイヤモンドドレッサ粒を用いてダウンカットドレスをすることで、砥粒の微小破砕が促進され、その結果切れ刃の逃げ面の面積を小さくでき、砥石の切れ味が良くなる。
更に、上記平坦化工程においては、ドレッサ周速度/砥石周速度が0.6以上1.0未満、ドレッシングリードが0.01〜0.1mm/r.o.w.、切込み量が5μm/pass以下であることがより好適である。このように、ドレッサ周速度/砥石周速度を大きく、ドレッシングリードを小さくすることで、切れ味の悪化を抑制して高平滑に研削することができる。
更にまた、上記ドレッサは単石ドレッサ又はV型ドレッサであることが好適である。単石ドレッサまたはV型ドレッサを用いることで、安定したドレッシングが可能になり、研削面粗さのばらつきが少ない高平滑研削ができる。
次に、本発明の金属材料高平滑研削装置について詳細に説明する。
本発明の金属材料高平滑研削装置は、超砥粒砥石、砥石駆動手段、工作物駆動手段及び周速度制御手段を備える。また、上記砥石駆動手段は超砥粒砥石を回転駆動させ、上記工作物駆動手段は工作物を回転駆動させ、上記周速度制御手段は砥石周速度/工作物周速度が10〜100になるように制御する。これより、高能率に高平滑な面を加工することができる。
ここで、上記超砥粒砥石は、磁気軸受け又は流体軸受けで支持することができる。磁気軸受けは、動作をアクティブにコントロールすることができ、流体軸受けは、回転精度が良くまた軸受けで振動を減衰することができる。そのため、いずれかの軸受けを用いることにより高精度且つ高平滑な面を加工できる。
また、更に揺動手段を備え、上記超砥粒砥石又は上記工作物を切込み方向に対して回転軸方向に揺動させることができる。
更に、上記超砥粒砥石としては、例えば、砥粒がcBN、ダイヤモンドのいずれか一方又は双方であり、その砥石粒度が60〜400μmであり、結合材がビトリファイドボンドであるものを使用できる。このときは、砥粒強度の高い砥石が得られる。また、ビトリファイドボンドは、結合度が高く、目直し(ドレス)の必要も少ない。更に、砥石作業面にチップポケットが多く存在するため、目詰まりが起こりにくい。
更にまた、ドレッサを備え、上記超砥粒砥石を適宜平坦化することが好適である。砥粒の微小破砕が促進され、その結果切れ刃の逃げ面の面積を小さくでき、砥石の切れ味が良くなる。
なお、工作物の回転中心は回転センタを用いて保持することが望ましい。これより、工作物を高速に回転させることができ、高能率に高平滑な面を加工することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に、高平滑研削方法に用いる研削装置の構成例を示す。
円筒形状の工作物1は、バランス取りされたチャック2と回転センタ3により保持されており、主軸4に接続されたモータ(図示しない)を回転駆動することにより、工作物1は回転され、回転している砥石5をプランジで工作物1に接触させることで研削加工できる。
工作物1の材質はS45C(高周波焼入れ)であり、砥石5は粒度#80のビトリファイドCBNホイールを用いた。
また、図2に示すようにドレス工程を遂行した。
回転している砥石5に回転しているロータリドレッサ6をトラバースで切り込んで、砥石5を成形した。
ロータリドレッサ6は粒度#40のダイヤモンドロータリドレッサであり、ドレス条件は、砥石5の周速度を200m/s、ドレッサ6の周速度を160m/s(ドレッサ周速度/砥石周速度を0.8)、ドレッシングリードを0.01mm/r.o.w.、ドレッサ切込み量をφ2μm/passとした。
高平滑研削加工方法は、図3に示すように遂行した。
高平滑研削加工としては、工作物1に対する研削深さ、即ち砥石(研削用工具)5の切込み量が大きい粗研削工程と、砥石5の切込み量が小さい仕上げ研削工程と、スパークアウト工程とを行った。この場合、砥石5の周速度は、ドレッシング時の砥石周速度と同じ200m/sであり、工作物1の周速度は3.3m/s(砥石周速度/工作物周速度は60)であり、それぞれ一定とした。また、研削能率を6.3mm/mm・sとした。
粗研削工程においては、工作物1が1回転する際の切込み量を1.9μm/revとして研削加工した。工作物1の周速度が高速であるため、高い研削能率(高い切込み速度)であっても、工作物1の1回転あたりの切込み量を小さくすることができ、研削熱の影響は小さかった。そのため、加工変質層が小さく、研削面粗さの小さい面が得られ、仕上げ研削工程の取り代を小さくすることができた。
次に、工作物1が1回転する際の切込み量を0.06μm/revと設定して切込み量の小さい仕上げ研削工程を行った。この時の研削能率は0.21mm/mm・sとした。
更に、切込み量を0にしてスパークアウト研削を行なうことで、工作物1の研削面粗さと寸法精度を向上させた。なお、このスパークアウト研削については、研削の精度や時間を鑑みて実施/不実施を適宜選択しても良い。
(実施例2)
本高平滑研削加工方法は、図1に示される構成で行われ、実施例1と異なる点は、本研削工程における工作物1の周速度を2m/sとし、切込み量を3.1μm/revとした点にある(研削能率は同じ)。即ち、砥石周速度/工作物周速度の周速度比を100とした。この実施例においても、工作物1の1回転あたりの切込み量は小さいため、研削熱の影響は小さく、加工変質層の無い平滑面を得ることができた。
(実施例3)
本高平滑研削加工方法は、図1に示される構成で行われ、実施例1と異なる点は、仕上げ研削工程時に砥石5の周速度と工作物1の周速度を粗研削工程と変更させた点にある。
即ち、砥石5と工作物1の周速度が共に高速な粗研削工程と、砥石5と工作物1の周速度を共に粗研削工程より小さくした仕上げ研削工程と、スパークアウト工程とを行った。また、粗研削工程及びスパークアウト工程は、実施例1と同様の操作を繰り返した。
仕上げ研削工程では、砥石5の周速度は120m/s、工作物1の周速度は0.2m/s(砥石周速度/工作物周速度は600)とした。仕上げ研削工程の研削能率は小さいため、研削熱の影響による砥石作業面への溶着は発生しなかった。そのため、砥石周速度/工作物周速度が大きくなることで、研削面粗さは、本発明の実施の形態に係る高平滑研削方法と比較してさらに小さくなった。また、砥石5と工作物1の周速度が共に小さくすることで、それぞれの遠心力によるアンバランス量を大幅に小さくできるため、工作物1を高精度に研削できた。但し、実施例1の高平滑研削方法に対して、加工時間は長くなった。
(比較例)
本比較例においては、工作物周速度を1m/sとし、切込み量を6.3μm/revとした(研削能率は実施例1及び2と同じ)。砥石周速度/工作物周速度の周速度比が200となり、同一能率では切込み量も大きく設定しなければいけないため、本比較例においては、研削熱の影響が大きく、実施例に比べて工作物の表面粗さが悪化した。
円筒プランジ研削方法に用いた研削装置を示す概略図である。 ドレッシング工程を示す概略図である。 研削サイクルの一例を示すグラフである。
符号の説明
1 工作物
2 チャック
3 回転センタ
4 主軸
5 砥石
6 ロータリドレッサ

Claims (19)

  1. 超砥粒砥石を用いて円筒状又は略円筒状の金属材料部材の外周面を研削するに当たり、
    砥石周速度/工作物周速度が100以下で研削する本研削工程を行うことを特徴とする金属材料の高平滑研削方法。
  2. 上記本研削工程において、上記砥石周速度/工作物周速度が10〜100であることを特徴とする請求項1に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  3. 上記砥石周速度が120〜350m/sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  4. 上記超砥粒砥石が平均粒径40μm以上の砥粒から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  5. 上記本研削工程において、切込み速度を段階的に小さくすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  6. 上記本研削工程の後に、該本研削工程の工作物周速度より小さい工作物周速度で研削する仕上げ研削工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  7. 上記仕上げ研削工程の砥石周速度が、上記本研削工程の砥石周速度より小さいことを特徴とする請求項6に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  8. 上記本研削工程及び/又は上記仕上げ研削工程の後に、スパークアウト工程を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  9. 上記超砥粒砥石及び/又は上記金属材料部材を、切込み方向に対して工作物軸方向に揺動させながら研削することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  10. 上記超砥粒砥石は、砥粒がcBN及び/又はダイヤモンドでその砥石粒度が60〜400μmであり、結合材がビトリファイドボンドであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  11. 上記超砥粒砥石をドレッサにより平坦化する工程を適宜行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  12. 上記ドレッサは上記超砥粒砥石の砥粒径より大きい砥粒径のダイヤモンドドレッサ粒から成るロータリドレッサであり、ダウンカットでのドレッシングリードを0.1mm/r.o.w.以下且つ切込み量を5μm/pass以下とすることを特徴とする請求項11に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  13. 上記平坦化工程において、ドレッサ周速度/砥石周速度が0.6以上1.0未満、ドレッシングリードが0.01〜0.1mm/r.o.w.、切込み量が5μm/pass以下であることを特徴とする請求項11又は12に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  14. 上記ドレッサは単石ドレッサ又はV型ドレッサであることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削方法。
  15. 超砥粒砥石、砥石駆動手段、工作物駆動手段及び周速度制御手段を備える金属材料の高平滑研削装置であって、
    上記砥石駆動手段は超砥粒砥石を回転駆動させ、上記工作物駆動手段は工作物を回転駆動させ、上記周速度制御手段は砥石周速度/工作物周速度が10〜100になるように制御することを特徴とする金属材料の高平滑研削装置。
  16. 上記超砥粒砥石は、磁気軸受け又は流体軸受けで支持されていることを特徴とする請求項15に記載の金属材料の高平滑研削装置。
  17. 更に揺動手段を備え、上記超砥粒砥石又は上記工作物を切込み方向に対して回転軸方向に揺動させることを特徴とする請求項15又は16に記載の金属材料の高平滑研削装置。
  18. 上記超砥粒砥石は、砥粒がcBN及び/又はダイヤモンドでその砥石粒度が60〜400μmであり、結合材がビトリファイドボンドであることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削装置。
  19. 更にドレッサを備え、上記超砥粒砥石を適宜平坦化することを特徴とする請求項15〜18のいずれか1つの項に記載の金属材料の高平滑研削装置。
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