JP6627485B2 - ゲル組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1](A)スクラルファート18〜70質量%、(B)有機酸7〜30質量%、(C)水、及び(D)中和増粘剤を配合してなるゲル組成物であって、分散媒と分散質から構成され、分散質中のショ糖オクタ硫酸エステル/アルミニウム比が質量比で0.3〜1.4であり、かつpHが5.0〜8.0であることを特徴とするゲル組成物。
[2](B)/(A)で表される配合質量比が0.1〜1.2である[1]記載のゲル組成物。
[3](D)中和増粘剤が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩から選ばれる1種又は2種以上である[1]又は[2]記載のゲル組成物。
[4]更に、(E)水不溶性無機粒子として、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸マグネシウムアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上を含有する[1]〜[3]のいずれか1項記載のゲル組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか1項記載のゲル組成物を含有する内服剤。
[6]ゲル組成物の含有量が20〜90質量%である[5]記載の内服剤。
[7](A)スクラルファート、(B)有機酸、及び(C)水を配合して、(A)/(C)で表される配合質量比が0.8〜6、(B)有機酸の配合量が7.5〜40質量%である液状組成物を調製した後、該液状組成物に対して(D)中和増粘剤を配合してpHを5.0〜8.0に調整することを特徴とするゲル組成物の製造方法。
[8](A)スクラルファート、(B)有機酸、及び(C)水を配合して、(A)/(C)で表される配合質量比が0.8〜6、(B)有機酸の配合量が7.5〜40質量%である液状組成物を調製した後、該液状組成物の温度を5〜50℃に維持しながら、該液状組成物に対して(D)中和増粘剤を10〜180分かけて配合し、pHを5.0〜8.0に調整する[7]記載のゲル組成物の製造方法。
本発明のゲル組成物は、(A)スクラルファート、(B)有機酸、及び(C)水を所定の比率で配合してなる液状組成物に対して、(D)中和増粘剤を配合してpH5.0〜8.0に調整することによって得られるものである。なお、以下の説明において、「液状組成物」とは上記(A)〜(C)成分を配合した段階の液状の組成物を意味し、「ゲル組成物」とは上記液状組成物に対して(D)成分を配合してpHを調整し、更に必要に応じて他の成分を配合して得た上記(A)〜(D)成分の相互作用物であり、ゲル状の組成物を意味する。また、(A)スクラルファート18〜70質量%、(B)有機酸7〜30質量%、(C)水、及び(D)中和増粘剤を配合してなるゲル組成物であって、分散媒と分散質から構成され、分散質中のショ糖オクタ硫酸エステル/アルミニウム比が質量比で0.3〜1.4であり、かつpHが5.0〜8.0であることを特徴とするゲル組成物となる。
(A)スクラルファート(ショ糖オクタ硫酸エステルアルミニウム塩)は、粘膜炎症部のタンパク質と結合して炎症部を被覆・保護しながら修復する作用を有し、「胃の絆創膏」とも呼ばれる薬物である。本発明では、胃の炎症部への効果の他、口腔内崩壊錠とすることによって、胸焼けの原因である食道の炎症部にも優れた効果を発揮することができる。
(B)有機酸としては特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、風味、分散安定性の点から、アルギン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、酪酸、マレイン酸及びフマル酸から選ばれる1種以上が好ましく、特にクエン酸、リンゴ酸及び乳酸が好ましい。
(C)水の液状組成物中の配合量は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。一方、(C)水のゲル組成物中の配合量は4〜55質量%が好ましく、9〜45質量%がより好ましく、15〜40質量%が更に好ましい。なお、液状組成物中では、(A)/(C)で表される配合質量比が0.8〜6であり、0.8〜4が好ましい。
この比率が、0.8未満又は6を超えると分散安定性が得られず、次工程(後述する(D)成分等を配合する工程)へ進むのが困難になる場合がある。
(D)中和増粘剤としては特に限定されず、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩から選ばれる1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。本発明では、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩のほか、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化アルミナマグネシウム等の制酸剤を使用することができる。本発明では、製造性の観点から、特に炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム及び水酸化マグネシウムを好適に用いることができる。なお、上記(D)成分の中には、後述する(E)水不溶性無機粒子を兼ねる成分も含まれる。また、(D)成分として水溶性の成分を配合した場合、当該成分は水に溶解して消費される(金属イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン等が系中に残る)。
(E)水不溶性無機粒子としては、マグネシウム系無機粒子を好適に用いることができる。具体例としては、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸マグネシウムアルミニウム等の制酸剤粒子、スメクタイト、ベントナイト及びモンモリロナイト等の無機粘土鉱物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、(E)成分の中には合成ヒドロタルサイトのような(D)成分としても機能する成分も含まれる。そのため、上記(D)成分として、(E)成分としても機能する成分が配合された場合は、当該(E)成分は配合しなくてもよい。一方、上記(D)成分として、水溶性の成分が配合された場合は、上記(E)成分を更に配合することで、ゲル組成物の分散安定性や粘膜付着性を一層高めることができる。なお、上記(E)成分の粒子は、例えば顔料等のように水に溶解せず懸濁状態で系中に存在し、生成したゲルと水素結合等の相互作用によりネットワークを形成していると考えられ、ムチンとの相互作用向上にも重要な役割を果たしていると推測される。
本発明の「液状」とは、粘度(25℃)が100〜50,000mPa・sである流動体を意味する。粘度は、製造適性の点から、100〜10,000mPa・sが好ましい。また、この範囲とすることで、服用性(飲み込みやすさ)も良好となる。なお、粘度の測定方法は、B型粘度計(例えば、東機産業社製,RB−80)、3又は4番ローター(粘度に応じて変更)を用い、回転速度12rpm/20℃で測定する。本発明において、製造適性とは、スクラルファート液状組成物の包装容器への充填時、スクラルファート液状組成物にさらなる製剤化処理(ミクロゲル化等)を加えるために次製造プロセスに移行する際に、高粘度では攪拌、ライン輸送等が困難で、製造適性上望ましくないため、液状組成物粘度は一定の値以下であることをいう。また、液状組成物のpH(25℃)は、粘膜付着性の点から、3.0〜4.5の範囲が好ましい。
本発明の「ゲル組成物」とは、分散媒と分散質(粒子)から構成され、分散質は主にショ糖オクタ硫酸エステルと水酸化アルミニウムと有機酸の複合体、分散媒の主成分は水からなり、分散媒と分散粒子の相互作用によって分散粒子が全体に均一分散することで長期間分散が安定化されており、全体としては流体物であり、チキソトロピー性を有する組成物を意味する。チキソトロピー性を有するとは、せん断速度として0.1s-1、および10s-1で測定したときの粘度の比(ρ0.1s-1/ρ10s-1)が1〜20となるものを指す。前記粘度は、E型粘度計タイプのレオメーターで測定することができる。
まず、(A)スクラルファート、(B)有機酸、及び(C)水を所定の比率で混合して液状組成物を得る。次に、上記で得た液状組成物に対して(D)中和増粘剤を配合して所定のpHに調整することにより本発明のゲル組成物を得ることができる。また、(D)成分を配合してpHを調整した後、必要に応じて更に(E)水不溶性無機粒子や(F)2価の金属イオンによってゲル化しない水溶性アニオン性高分子化合物等の各成分を配合することにより、粘膜付着性や服用性を更に向上させることができる。
ゼラチン基剤の外皮膜中に本発明のゲル組成物を内包して製する。一般的なソフトカプセルの製造方法(打ち抜き法等)で得られる。外皮には、ゼラチン、デンプン、グリセリン等の水溶性成分、カラギーナン等の植物性基剤を配合することもできる。内用物のゲル組成物には、スクラルファート、酸、水の他に、水分活性を下げる目的で無機塩(ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物等)、糖アルコール(マンニトール、エリスリトール、ショ糖等)を更に添加してもよい。特に、ソフトチュアブルカプセルとする場合は、矯味剤として甘味成分(糖類等の天然甘味料、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK、ソーマチン等の人工甘味料)、香料を内用液に溶かし込んで添加してもよい。
ゼラチン、プルラン、セルロース等の可食性基剤からなる外皮に本発明のゲル組成物を内包して製する。カプセル自体は、一般的な方法(浸漬法等)で得られる剤を用いることができる。内用物の充填は、粉末充填で一般的に用いられる方法(オーガー式、ダイコンプレス式、ファンネル式等が知られている)ではなく、ポンプ式等の液剤充填に用いられる方法が好ましい。ソフトカプセルの場合と同様の目的で、無機塩や糖アルコールを液状組成物に溶かし込んで添加してもよい。
下記表の組成に従い、以下の通り組成物を調製した。
(1)液状組成物の調製
(B)有機酸を(C)水(精製水)に溶解した。続いて(A)スクラルファート粉末を添加し、10時間攪拌して液状組成物1〜10(液1〜10)を得た(スクラルファート液状組成物:粘度100〜48,000mPa・s)。上記液状物の詳細については表1に示した。
上記(1)で得た液状組成物を温調ジャケット付きの混合機(みづほ工業(株)製真空乳化機「PVQ−3UN」)に投入し、下記の各表に示した温度に維持して、プロペラ攪拌しながら(D)中和増粘剤の粉体を所定時間かけて定量速度で添加してpHを所定の範囲に調整してゲル組成物を得た。また、必要に応じて更に(E)水不溶性無機粒子を添加した。なお、(E)成分を添加する場合、上記で得たゲル組成物と(E)成分とをホモミキサーを用いて更に30分プロペラ攪拌して混合した。
スクラルファート10gを200mLビーカーに計り取り、1N塩酸160mLを添加して室温で1時間攪拌した。続いて1N水酸化ナトリウム溶液160mLを徐々に添加し、pHを4.0に調整した後、更に1時間攪拌した。続いて遠心分離管に移し、2,000rpmで5分間遠心分離して沈殿物を回収した。得られた沈殿物を精製水で2回洗浄(遠心分離、同条件)し、ゲル組成物とした。
ゲル組成物(スクラルファート500mg相当)に所定量のムチン溶液(ブタ胃由来ムチン75mg相当、和光純薬工業(株)製)を添加したときの粘度ηM+FをE型粘度計タイプのレオメーター(AR2000,TAインストルメンツ製、測定せん断速度=0.1〜10s-1)で測定した。別途、ゲル組成物自体の粘度ηF、ムチン溶液自体の粘度ηMを測定し、下記式によりムチン相互作用性Δηを算出した。
Δη=ηM+F/(ηM+ηF)
粘膜付着性の判定基準は、Δη値が1.5以上を合格とした。3以上のものがより好ましく、5以上のものが更に好ましい。Δη値の上限は特に限定されないが、服用性の面から20以下が好ましい。
なお、粘膜付着性をムチンとの相互作用性Δη値で評価する手法は、例えば論文「Carbohydrate Polymers 71(2008)170−179」でも示されているように、一般的な方法として用いられている。
4人のパネラー(健常な成人男女)が、上記で作製したゲル組成物(スクラルファートは全て約500mgを含有)を水等を使用せずにそのまま服用し、該ゲル組成物の「歯への付着性」、「収れん味」及び「熱感」等を以下の基準で官能評価した。
〈判定基準〉
「歯への付着性」、「収れん味」
4:付着・収れん味をほとんど感じない
3:付着・収れん味がやや感じられるが、許容できる
2:付着・収れん味があり服用しづらい
1:付着・収れん味が非常に強く服用に耐えない
「熱感」、「塩味」、「ヒリヒリ感」
4:ほとんど感じない
3:やや感じるが許容できる
2:強く感じ、服用しづらい
1:非常に強く感じ、服用に耐えない
いずれの評価項目もパネラー4人の評価の平均値が3.0点以上を合格とした。3点と2点と1点では服用性に大きな差異があり、1点は服用することが極めて困難(吐き出してしまう)なほど味が悪い。
作製したゲル組成物を遠心分離管にとり、2,000rpm、30分(室温)で遠心分離して上澄みを除去した。沈殿物に精製水を添加、洗浄して遠心分離で上澄みを除去した。同操作を2回繰り返した。得られた沈殿物のショ糖オクタ硫酸エステル含量とアルミウム含量を各々求め、ショ糖オクタ硫酸エステル/アルミニウム比(質量比)を求めた。
ショ糖オクタ硫酸エステル含量は「日局・スクラルファート」定量法(HPLC法)に準じて実施した。アルミニウム含量は、「日局・乾燥水酸化アルミニウムゲル」定量法(逆滴定法)に準じて酸化アルミニウム量を求め、アルミニウム量に換算した。実施例9、13、14及び17、比較例5、8及び10について測定した。
比較例1は、(A)/(C)で表される配合質量比が低すぎるため、液状組成物を調製した直後に沈殿が固化してしまい、ゲル組成物を調製することができなかった。
比較例2は、(A)/(C)で表される配合質量比が高すぎるため、液状組成物を調製した直後に沈殿が固化してしまい、ゲル組成物を調製することができなかった。
比較例3は、(B)有機酸の配合量が少なすぎるため、液状組成物を調製した直後に沈殿が固化してしまい、ゲル組成物を調製することができなかった。
比較例4は、(B)有機酸の配合量が多く、(B)/(A)で表される配合質量比が高すぎるため、粘膜付着性が低い上、強い不快味を呈するものとなった。
比較例5は、(B)有機酸が配合量されていないため、粘膜付着性の劣るものとなった。
比較例6及び7は、(B)有機酸を使用せずに、リン酸や塩酸等の無機酸を使用したものであり、液状組成物が作製できないか、作製できたとしても粘膜付着性は劣るものしかできなかった。
比較例8は、ゲル組成物のpHが低すぎるため、強い不快味を呈するものとなった。
比較例9は、ゲル組成物のpHが高すぎるため、粘膜付着性に劣るものとなった。
比較例10は、特公平5−76927号公報に記載された方法に準じて調製したゲル組成物(スクラルファート500mg相当)であるが、実施例のゲル組成物に比較して粘膜付着性が劣るものであった。
上記の製造方法に従って表7に示した配合のゲル組成物を調製した。次いで、該ゲル組成物に対してキサンタンガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及び精製水を下記表に示す割合で配合し、所定量のスクラルファートを含むスクラルファート含有ゲル組成物配合内服剤を得た。得られた製剤については、上記の手順に従って粘膜付着性及び服用性を評価すると共に、下記の条件及び手順に従ってモデル動物に投与し、その食道炎抑制効果を比較評価した。
(1)動物
7週齢のSD系雄性ラットを1週間予備飼育後、試験に供した。
(2)処置
(2−1)絶食
処置前日より絶食を行った。
(2−2)検体投与
下記の群構成に従い、結紮処置の120分前に検体を投与した。
a.コントロール群
2.5%ヒドロキシプロピルスターチ、n=12
b.比較群
比較製剤1:アルサルミン内服液10%、0.60mL/kg、n=13
比較製剤2:実施製剤1から「その他」2成分を除し、(D)成分を比較例9と同量にしてpHを8.1とした製剤、0.60mL/kg、n=7
比較製剤3:メタケイ酸アルミン酸マグネシウム10%と合成ヒドロタルサイト5%のみ含有した製剤、0.60mL/kg、n=5
c.実施製剤群
実施製剤1:(a)0.30mL/kg、n=7;(b)0.60mL/kg、n=7
(2−3)食道炎発生処置
検体投与120分後に幽門部及び前胃・腺胃境界部を縫合糸にて結紮し、食道炎を発生させた。
結紮4時間後に開腹し、食道におけるびらん・潰瘍の有無、病変面積を測定した。
(3)評価方法
食道炎の発生状況を下記の基準に従ってスコア化し、各群の平均スコアを算出し、下記の式から食道炎抑制率を算出した。
スコア0:食道炎の発生なし
スコア1:粘膜のびらん
スコア2:病変面積30mm2未満
スコア3:病変面積30mm2以上
スコア4:食道穿孔
食道炎のスコアは、薬剤非投与群でスコア3以上の食道全体に及ぶ重篤な食道炎を生じる。スコア1以下では、ほとんど出血等を認めない著明に改善された状態を示す。
食道炎の抑制効果を、モデル動物を用いてスコア化し評価する手法は、例えば論文「Therapeutic Research vol.18 No.12, 3943−50(1997)」でも示されているように、一般的な方法として用いられている。
食道炎抑制率(%)=(1−(各群の食道炎スコア/コントロール群の食道炎スコア))×100
実施製剤1では、本発明の要件を満足するゲル組成物を使用することにより、極めて優れた粘膜付着性及び服用性を示すと共に、生物試験においても極めて優れた食道炎抑制効果が得られることが確認された。
比較製剤1は、実施製剤1と同量の(A)スクラルファートを単独で使用した例であるが、粘膜付着性が実施製剤1に比べて劣り、食道炎抑制効果も低いことが確認された。
比較製剤2は、実施製剤1と同量の(A)成分を配合したゲル組成物であるが、(D)成分添加後のpHが本発明で規定する範囲を超えているため、粘膜付着性が実施製剤1に比べて劣るものとなり、食道炎抑制効果も低いものとなった。
比較製剤3は、(A)成分を使用せず、(E)成分のみを使用した場合の例であるが、粘膜付着性は全くなく、本発明の効果を全く奏さないことが確認された。
スクラルファート:富士化学工業(株)製、「スクラルファート水和物」
乳酸:DSP五協フード&ケミカル(株)製、90%DL−乳酸
リン酸:和光純薬工業(株)製、「リン酸」
塩酸:関東化学(株)製、塩酸(試薬)
精製水:共栄製薬(株)製、「精製水(蒸留)」
炭酸水素ナトリウム:旭硝子(株)製、「重炭酸ナトリウムKP」
炭酸カルシウム:純正化学(株)製、「炭酸カルシウム」
水酸化ナトリウム:和光純薬工業(株)製、水酸化ナトリウム(試薬)
炭酸マグネシウム:和光純薬工業(株)製、炭酸マグネシウム(試薬)
水酸化マグネシウム:和光純薬工業(株)製、水酸化マグネシウム(試薬)
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:富士化学工業(株)製、「ノイシリン(UFL2又はNFL2N)」
合成ヒドロタルサイト:協和化学工業(株)製、「アルカマックVF」
酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製、「酸化マグネシウム」
キサンタンガム:DSP五協フード&ケミカル(株)製、「エコーガム」
アルギン酸プロピレングリコールエステル:(株)キミカ製、「キミロイド」
Claims (8)
- (A)スクラルファート18〜70質量%、(B)有機酸7〜30質量%、(C)水、及び(D)中和増粘剤を配合してなるゲル組成物であって、分散媒と分散質から構成され、分散質中のショ糖オクタ硫酸エステル/アルミニウム比が質量比で0.3〜1.4であり、かつpHが5.0〜8.0であることを特徴とするゲル組成物。
- (B)/(A)で表される配合質量比が0.1〜1.2である請求項1記載のゲル組成物。
- (D)中和増粘剤が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載のゲル組成物。
- 更に、(E)水不溶性無機粒子として、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム及びケイ酸マグネシウムアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載のゲル組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のゲル組成物を含有する内服剤。
- ゲル組成物の含有量が20〜90質量%である請求項5記載の内服剤。
- (A)スクラルファート、(B)有機酸、及び(C)水を配合して、(A)/(C)で表される配合質量比が0.8〜6、(B)有機酸の配合量が7.5〜40質量%である液状組成物を調製した後、該液状組成物に対して(D)中和増粘剤を配合してpHを5.0〜8.0に調整することを特徴とするゲル組成物の製造方法。
- (A)スクラルファート、(B)有機酸、及び(C)水を配合して、(A)/(C)で表される配合質量比が0.8〜6、(B)有機酸の配合量が7.5〜40質量%である液状組成物を調製した後、該液状組成物の温度を5〜50℃に維持しながら、該液状組成物に対して(D)中和増粘剤を10〜180分かけて配合し、pHを5.0〜8.0に調整する請求項7記載のゲル組成物の製造方法。
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