JP6515680B2 - スクラルファート含有液状組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、スクラルファートを含有する液状組成物に関するものである。
スクラルファートは胃で潰瘍部に特異的に付着し、保護膜(ペースト)を形成することで潰瘍を物理的に保護する。近年、スクラルファートの特徴を食道炎や食道潰瘍、小腸や大腸潰瘍、口内炎等の胃以外の患部に適用させる試みがなされている。例えば、特開平8−268895号公報(特許文献1)では、分子中にカルボキシル基を2つ以上有するか又は水酸基を1つ以上有する有機カルボン酸とスクラルファートとを併用することにより、食道炎や潰瘍、小腸・大腸潰瘍、口内炎等への付着性を高める技術が公開されている。
また、特開2000−119186号公報(特許文献2)では、スクラルファートとクエン酸ナトリウム等のpH調整剤とを併用することにより、肛門直腸部等の中性粘膜上層部に対するスクラルファートの付着力を向上させる手法が開示されている。
特開平4−234324号公報(特許文献3)では、スクラルファートを含有する咀嚼可能な錠剤に関する発明が開示されている。この発明では、スクラルファートにゲル形成剤と糖成分とを組み合わせることによって、錠剤が大きくなりすぎることなく、味又は有効成分の溶解性を不利に変えることなく糖成分の含有量を低減することができることが記載されている。
このように、スクラルファートを含有する薬剤の付着性や服用性に関する検討は多くなされているが、分散安定性や製造適性に関しては未だ改善の余地がある。
なお、本発明に関連するそのほかの先行技術文献としては、国際公開第2005/000279号(特許文献4)を挙げることができる。
特開平8−268895号公報 特開2000−119186号公報 特開平4−234324号公報 国際公開第2005/000279号
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔や食道のような通過時間の短い器官の粘膜に対する良好な付着性を有すると共に、分散安定性や製造適性にも優れたスクラルファート含有液状組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、先にスクラルファート、有機酸及び水の混合比を最適化することで、製造性や経時分散安定性に優れると共に、口腔や食道のような通過時間の短い器官の粘膜に対して、組成物中のスクラルファートを十分に付着させることができる液状組成物が得られることを知見した(特願2014−219119号)。しかし、上記で得られる液状組成物は、ムチン相互作用性が高く付着性に優れているものの、その配合(スクラルファート/水の配合質量比や有機酸配合量等)の範囲から外れた場合、特に水の量が多い場合には沈殿を生じやすく、分散安定性や製造適性が悪くなることが多かった。
そこで、本発明者らは更なる検討を行い、上述したスクラルファート、有機酸及び水に加えて中性電解質を配合することにより、意外にも食道等の粘膜に対する良好な滞留性(付着性)を有しつつ、分散安定性及び製造適性にも優れるスクラルファート含有液状組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記のスクラルファート含有液状組成物を提供する。
[1](A)スクラルファート、(B)有機酸、(C)水及び(D)中性電解質を含有し、(B)/(A)で表される配合質量比が0.1〜0.7、(A)/(C)で表される配合質量比が0.06〜2.5であり、(D)中性電解質を総イオン濃度0.4〜1.0mol/Lで含有し、pHが2〜5であることを特徴とするスクラルファート含有液状組成物。
[2](D)中性電解質が塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム及びメグルミン塩酸塩から選ばれる1種又は2種以上である[1]記載のスクラルファート含有液状組成物。
[3](A)成分の配合量が、液状組成物中5〜60質量%である[1]又は[2]記載のスクラルファート含有液状組成物。
[4](B)成分の配合量が、液状組成物中2〜20質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載のスクラルファート含有液状組成物。
[5]20℃における粘度が、10〜5,000mPa・sである[1]〜[4]のいずれかに記載のスクラルファート含有液状組成物。
本発明によれば、口腔や食道のような通過時間の短い器官の粘膜に対して良好な付着性を有すると共に、分散安定性や製造適性に優れるスクラルファート含有液状組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のスクラルファート含有液状組成物は、(A)スクラルファート、(B)有機酸、(C)水及び(D)中性電解質を所定の比率で配合することによって得られるものである。
(A)スクラルファート
(A)スクラルファート(ショ糖オクタ硫酸エステルアルミニウム塩)は、粘膜炎症部のタンパク質と結合して炎症部を被覆・保護しながら修復する作用を有し、「胃の絆創膏」とも呼ばれる薬物である。本発明では、胃の炎症部への効果の他、口腔内崩壊錠とすることによって、胸焼けの原因である食道の炎症部にも優れた効果を発揮することができる。
(A)スクラルファートの配合量は、特に限定されないが、液状組成物中5〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましい。(A)成分の配合量を上記範囲内とすることで、一回に無理なく飲めて十分な薬効を発現する製剤とすることができ、良好な製造適性が得られる。一方、(A)成分の配合量が多すぎた場合は製造適性(製造過程でのハンドリング性)などに問題を生じる場合がある。また、(A)成分の1回あたりの服用量は、一回に無理なく飲めて十分な薬効を発現する製剤とすることができ、良好な製造適性が得られる点から、100〜2,000mgの範囲とすることが好ましい。
(B)有機酸
(B)有機酸としては特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、風味、分散安定性の点から、アルギン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、酪酸、マレイン酸及びフマル酸から選ばれる1種以上が好ましく、特にクエン酸、リンゴ酸及び乳酸が好ましい。
(B)成分の配合量は、液状組成物中2〜20質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましく、5〜12質量%が更に好ましい。(B)成分の配合量を上記範囲の下限以上とすることで、粘膜付着性や分散安定性が向上し、上限以下とすることで、粘膜付着性が向上する。本発明において、(B)/(A)で表される配合質量比は0.1〜0.7である。この比率が0.1未満となると分散安定性や粘膜付着性が低下することがある。一方、上記比率が0.7を超えると粘膜付着性が低下することがある。
(C)水
(C)水の配合量は、液状組成物中10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましい。なお、本発明において、(A)/(C)で表される配合質量比は0.06〜2.5であり、0.06〜0.8が好ましい。この比率が0.06未満となると粘膜付着性が低下することがあり、2.5を超えると粘度が高くなりすぎて製造適性が悪化するおそれや、湿性粉末となって液状組成物が得られないことがある。
(D)中性電解質
(D)中性電解質とは、本発明においては、水中で陽イオンと陰イオンに電離して溶解するもので、0.1質量%水溶液のpHが4〜10を示すものをいう。具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、エリソルビン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等の電解質、メグルミン塩酸塩等のアミノ糖又はその誘導体、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸又はその塩、システイン、グルタミン、グルタミン酸又はその塩、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン及びチロシン等のアミノ酸又はその誘導体等を例示することができる。本発明では、製造適性の観点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム及びメグルミン塩酸塩を用いることがより好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムを用いることが更に好ましい。上記の中性電解質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)成分の配合量は、電解質が水溶液中で電離したときの総イオン濃度(mol/L)により設定され、本発明では0.4〜1.0mol/Lの範囲とする。総イオン濃度が0.4mol/Lを下回ると分散安定性、製造適性が得られないことがある。また、総イオン濃度が1.0mol/Lを上回ると、付着性が低下するほか、塩味が強くなり味が悪くなってしまうことがある。本発明において、上記総イオン濃度は、電解質が水に溶解した際に発生する陽イオンと陰イオンの総量から計算される。例えば、1molの塩化ナトリウムを1Lの水に溶解した場合、塩化ナトリウムは1molのナトリウムイオンと1molの塩化物イオンとに電離するため、総イオン濃度は2mol/Lと計算される。同様に、1molの塩化カルシウムを1Lの水に溶解した場合の総イオン濃度は3mol/Lとなる。
[液状組成物]
本発明の「液状」とは、常温において液体の状態であることを意味し、特に制限されるものではないが、粘度(20℃)が概ね50,000mPa・s以下である流動体を意味する。本発明のスクラルファート含有液状組成物では、ハンドリング(製造適性)の観点から低粘度であるほうが好適である。本発明において、その範囲は特に制限されるものではないが、5,000mPa・s以下が好ましく、1,000mPa・s以下がより好ましい。液状組成物の粘度を上記範囲の上限以下とすることで、製剤をそのまま服用するときの喉ごし感や口残り感を減弱することができ、服用性が向上する。また、スクラルファート含有液状組成物の粘度が5,000mPa・sを超えると、当該液状組成物の製造時にプロペラ攪拌機等の攪拌装置の使用が困難になったり、均一に混合するのに長時間を要する等の問題が生じることがある。一方、その下限も特に制限されるものではないが、分散安定性の観点から10mPa・s以上であることが好ましい。
なお、粘度の測定方法は、B型粘度計(例えば、東機産業社製,RB−80)、2番、3番又は4番ローター(粘度に応じて変更)を用い、回転数12rpm/20℃で測定する。本発明において、製造適性とは、スクラルファート含有液状組成物の包装容器への充填時、スクラルファート含有液状組成物にさらなる製剤化処理(ミクロゲル化等)を加えるために次製造プロセスに移行する際に、高粘度では攪拌、ライン輸送等が困難で、製造適性上望ましくないため、液状組成物粘度は一定の値以下であることをいう。
また、スクラルファート含有液状組成物のpH(25℃)は2〜5の範囲が好ましく、より好ましくは3.5〜4.8である。上記pHが2を下回ると、渋味、収れん味が強くなり服用性の点で好ましくなく、5を超えると分散安定性や製造適性で問題が生じる場合がある。
スクラルファート自体の1回服用量は、好ましくは100〜2,000mg、より好ましくは200〜1,500mgである。スクラルファート含有液状組成物に別途制酸剤を加えたり、ソフトチュアブルカプセルに内包させたりすることにより、服用する。
本発明のスクラルファート含有液状組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で任意成分を適宜配合することができる。任意成分としては、制酸剤、その他の有効成分、賦型剤、結合剤、アルコール、崩壊剤、甘味剤、滑沢剤、防腐剤、香料、色素等が挙げられる。
本発明のスクラルファート含有液状組成物が適用される剤型としては、当該液状組成物をそのまま液剤としてもよく、更に増粘剤、懸濁剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、乳化剤、基剤等の任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することで、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤(ロータリー式ソフトカプセル剤、シームレスソフトカプセル剤、ソフトチュアブルカプセル剤)、ゼリー剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤とすることができる。本発明においては、特に液剤、ハードカプセル剤、ソフトチュアブルカプセル剤が好ましい。
アルコールとしては、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、パラチニット、ラクチトール等の糖アルコール、単糖、オリゴ糖及び多糖類のほか、PEG、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコールを配合できる。また、エタノール等の低級アルコールも配合できる。
高分子化合物としては、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、アルギン酸及びアルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸誘導体、グアガム、ジェランガム、タマリンドガム、アルファ化デンプン、プルラン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、寒天等の水溶性多糖類、ゼラチン及びカゼイン等の水溶性タンパク質を配合してもよい。これら高分子化合物を配合することで製剤を増粘させ、高付着性ゲル組成物の嚥下性等の服用性が向上すると共に、口腔粘膜や食道粘膜等の疾患部への滞留性が増し、治療効果が高められると期待できる。
その他の有効成分としては、ラニチジン又はラニチジン塩酸塩、ファモチジン、シメチジン、塩酸ロキサチジンアセタート、ニザチジン、ラフチジン、ランソプラゾール、ラベプラゾール、オメプラゾール等の胃酸分泌抑制剤、ピレンゼピン、アトロピン、及びスコポラミン等のムスカリン受容体拮抗薬、アルジオキサ、アズレン、L−グルタミン、及びレバミピド等の防御因子促進剤のほか、コウボク流エキス、ソウジュツ流エキスなど健胃生薬成分を配合してもよい。
その他の添加剤としては、例えば液剤、懸濁剤の場合では、精油類の香料、メントール等の嬌味成分、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム及びソルビトール等の糖類からなる甘味料、アルキルパラベン及び安息香酸等の防腐剤、その他にも界面活性剤、基剤など、目的剤形に合わせて自由に配合することができる。
[製造方法]
本発明のスクラルファート含有液状組成物は、(A)スクラルファート、(B)有機酸、(C)水及び(D)中性電解質を、特別な攪拌・混合を行う必要なく、公知の攪拌・混合法で製造することができる。攪拌装置としては、スターラー攪拌、プロペラ攪拌、ホモジナイザーや乳化機等が挙げられる。更に、本液状組成物は、下記の製造方法によりソフトカプセル剤やハードカプセル剤とすることができる。(A)〜(D)成分を混合するより望ましい形態としては次の通りである。(B)有機酸及び(D)中性電解質を予め(C)水に溶解・分散しておき、攪拌しながら(A)スクラルファートを添加することで、沈殿等を生じることなく均一分散した液状組成物を得ることができる。
[ソフトカプセル]
ゼラチン基剤の外皮膜中に本発明のスクラルファート含有液状組成物を内包して製する。一般的なソフトカプセルの製造方法(打ち抜き法等)で得られる。外皮には、ゼラチン、デンプン、グリセリン等の水溶性成分、カラギーナン等の植物性基剤を配合することもできる。内包物の液状組成物には、スクラルファート、酸、水の他に、水分活性を下げる目的で糖、糖アルコール(マンニトール、エリスリトール、ショ糖等)を更に添加してもよい。特に、ソフトチュアブルカプセルとする場合は甘味剤(スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK、ソーマチン等の人工甘味料)、香料を内用液に溶かし込んで添加してもよい。
[ハードカプセル]
ゼラチン、プルラン、セルロース等の可食性基剤からなる外皮に本発明のスクラルファート含有液状組成物を内包して製する。カプセル自体は、一般的な方法(浸漬法等)で得られる剤を用いることができる。内包物の充填は、ポンプ式等液剤充填に用いられる方法が好ましい。ソフトカプセルの場合と同様の目的で、糖アルコールを液状組成物に溶かし込んで添加してもよい。
なお、本発明のスクラルファート含有液状組成物をカプセル剤とする場合、当該液状組成物と皮膜との質量比は、液状組成物/皮膜=0.5〜8.0とすることが好ましい。ソフトカプセル剤やハードカプセル剤とした場合は、口腔内で咀嚼又は舐めて皮膜を溶かして内包物(液状組成物)を口内で暴露させることにより口腔粘膜に滞留させたり、暴露した内包物を嚥下して食道粘膜を通過させることで食道粘膜に直接作用させたりする。本発明のように1回服用量を小容量(1回の服用量として0.5〜50g程度、好ましくは1〜30g程度、より好ましくは2〜10g程度)とすることで、特に嚥下直後はその大半が食道に滞留するため、すぐに胃に流れてしまうことがない。これらによって、高い治療効果が期待できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、比率は質量比を示す。なお、以下の実施例で用いたスクラルファート(富士化学工業(株)製、「スクラルファート水和物」)には12質量%の水分が含まれる。そのため、例えば実施例1における「スクラルファート水和物」の配合量は568.2mg(500÷(1−0.12))であり、精製水の配合量はスクラルファート水和物から持ち込まれる水分を差し引いた1331.8mg(1400−68.2)である。
[実施例1〜13、比較例1〜10]
下記表の組成に従い、(B)有機酸及び(D)中性電解質を(C)水(精製水)に溶解し、スターラー攪拌(回転数100〜1,000rpm)を続けながら(A)スクラルファート粉末を添加し、一昼夜攪拌後、スクラルファート含有液状組成物を得た。
上記で得られたスクラルファート含有液状組成物について、下記評価を行った。結果を表1〜3に示す。なお、組成の記載において、上段の数字は実際の配合量(mg)を、下段の括弧内の数字はスクラルファート含有液状組成物中の割合(質量%)を示す。
[粘膜付着性]
スクラルファート含有液状組成物(スクラルファート(無水物)500mg相当)に所定量のムチン溶液(ブタ胃由来ムチン75mg相当、和光純薬(株)製)を添加したときの粘度ηM+FをE型粘度計タイプのレオメーター(AR2000、TAインストルメンツ製、測定せん断速度=0.1〜10s-1)で測定した。別途、液状組成物自体の粘度ηF、ムチン溶液自体の粘度ηMを測定し、下記式によりムチン相互作用性Δηを算出した。
Δη=ηM+F/(ηM+ηF
粘膜付着性の判定基準は、Δη値が1.5以上を合格とした。また、Δη値が3.5以上のものについては、粘膜との相互作用(すなわち付着性)が高く、より好ましいと評価した。Δη値の上限は特に限定されないが、服用性の面から20以下が好ましい。
なお、粘膜付着性をムチンとの相互作用性Δη値で評価する手法は、例えば論文「Carbohydrate Polymers 71(2008)170−179」でも示されているように、一般的な方法として用いられている。
[分散安定性]
スクラルファート含有液状組成物5gを15mLディスポーサブル試験管に封入し、50℃(苛酷試験)75%RH、6週間保存後の外観を観察し、初期状態(均一な透明液体)からの変化を下記基準で評価し、点数をつけた。
〈判定基準〉
4:変化なく、全体として均一・透明
3:白濁域が存在するが、全体として均一
2:沈殿が生成(相分離)し不均一(振とうで一時的に解消)
1:沈殿が生成(相分離)し不均一で振とうしても解消しない
3点以上を合格とする。
[製造適性]
スクラルファート含有液状組成物の粘度を測定し、製造適性を評価した。
(方法)スクラルファート含有液状組成物の粘度を、上記の液状組成物の項目に記載した測定方法と同様の方法で測定(B型粘度計使用、20℃、回転数12rpm、ローターNo.3又は4を使用)で測定し、「製造適性」を下記判定基準で評価した。
〈判定基準〉
3:1,000mPa・s以下
2:1,000mPa・sを超え5,000mPa・s以下
1:5,000mPa・sを超える
2点以上を合格とする。

Figure 0006515680







Figure 0006515680



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Figure 0006515680
表1〜3の結果より、(A)スクラルファート、(B)有機酸、(C)水及び(D)中性電解質を所定の比率で含有し、本発明の要件を満足する実施例において、分散安定性や粘膜付着性が高く、製造適性に優れていることが確認された。特に、(A)/(C)で表される配合質量比を好適範囲である0.06〜0.8とすることで、より優れた製造適性が得られた。
一方、表4の結果からは以下のことが確認された。
比較例1は、(D)成分を含有しなかったため、沈殿が生成し固化した。
比較例2は、(D)成分の代替として中性電解質ではないショ糖を配合したため、沈殿が生成し固化した。
比較例3は、(B)成分を含有しないため、沈殿が生成してしまい、粘膜付着性も低い結果となった。
比較例8は、(B)/(A)で表される配合質量比が大きすぎたため、粘着性を有する半固形ゲル状となってしまい、製造適正に課題を有した。
比較例9は、(B)/(A)で表される配合質量比が小さすぎたため、粘膜付着性が低い結果となった。
比較例10は、(D)成分の代替として中性電解質ではない水酸化ナトリウムを配合したため、液状組成物のpHが5を上回り、湿性粉末化した状態となった。
上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
スクラルファート水和物:富士化学工業(株)製、「日局スクラルファート水和物」、分子量:2,075
乳酸:DSP五協フード&ケミカル(株)製、「90%DL−乳酸」、分子量:90.08
クエン酸:和光純薬工業(株)製、「クエン酸」、分子量:134.09
リンゴ酸:和光純薬工業(株)製、「DL−リンゴ酸」、分子量:192.13
精製水:共栄製薬(株)製、「精製水(蒸留)」
塩化ナトリウム:和光純薬工業(株)製、「塩化ナトリウム」、1molの塩化ナトリウムから発生するイオンの個数:2mol、分子量:58.5
塩化カルシウム(無水):和光純薬工業(株)製、「塩化カルシウム(無水)」、1molの塩化カルシウムから発生するイオンの個数:3mol、分子量:110.98
メグルミン塩酸塩:東京化成工業(株)製、「N−メチル−D−グルカミン塩酸塩」、1molのメグルミン塩酸塩から発生するイオンの個数:2mol、分子量:195.22
グルコン酸カルシウム(無水):関東化学(株)製、「D−Gluconic Acid,Calcium Salt,99%」、1molのグルコン酸カルシウムから発生するイオンの個数:3mol、分子量:430.38
酢酸ナトリウム(無水):和光純薬工業(株)製、「酢酸ナトリウム」、1molの酢酸ナトリウムから発生するイオンの個数:2mol、分子量:82.03
ショ糖:和光純薬工業(株)製、「スクロース」、分子量:342
水酸化ナトリウム:和光純薬工業(株)製、「水酸化ナトリウム」、1molの塩化カルシウムから発生するイオンの個数:1mol、分子量:40.0

Claims (5)

  1. (A)スクラルファート、(B)有機酸、(C)水及び(D)中性電解質を含有し、(B)/(A)で表される配合質量比が0.1〜0.7、(A)/(C)で表される配合質量比が0.06〜2.5であり、(D)中性電解質を総イオン濃度0.4〜1.0mol/Lで含有し、pHが2〜5であることを特徴とするスクラルファート含有液状組成物。
  2. (D)中性電解質が塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム及びメグルミン塩酸塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のスクラルファート含有液状組成物。
  3. (A)成分の配合量が、液状組成物中5〜60質量%である請求項1又は2記載のスクラルファート含有液状組成物。
  4. (B)成分の配合量が、液状組成物中2〜20質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載のスクラルファート含有液状組成物。
  5. 20℃における粘度が、10〜5,000mPa・sである請求項1〜4のいずれか1項記載のスクラルファート含有液状組成物。
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