JP6627469B2 - シャフト炉を用いた酸化鉄原料の還元方法 - Google Patents

シャフト炉を用いた酸化鉄原料の還元方法 Download PDF

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Description

シャフト炉を用いて、直接還元法による海綿鉄または間接法による銑鉄の製造方法に関する。特に、シャフト炉に装入する酸化鉄原料の還元粉化を抑制する技術に関するものである。
製鉄法は直接還元法と間接還元法に大別される。
直接還元法は、還元ガスとして、天然ガス、又は天然ガスを改質したガス(CO及びHが主成分)や石炭ガス(石炭をガス化した時に発生するガス)などを用いて、酸化鉄原料を還元する方法である(例えば特許文献1及び2参照)。その内、現在は、通称MIDREX法(特許文献3及び4)と呼ばれている常圧の竪型シャフト炉を用いる還元法が主流である。
MIDREX法で用いられる酸化鉄原料には、Feを主体とする鉄鉱石、又はその加工品である、(a)塊状鉄鉱石、(b)焼結鉱、及び/又は(c)粉状鉄鉱石を塊成化したペレット又はブリケット(以下、「ペレット等」)が用いられる。又、還元には、天然ガスを改質したガスが使用され、その温度は800℃〜1000℃、その組成はHとCOの合計濃度が90mol%程度、mol比:H/(H+CO)=0.52〜0.71、CO=0.5〜3.0mol%に設定されている。
間接還元法は、高炉法で広く行われている。高炉法で用いられる酸化鉄原料の主体は、Feを主体とする(b)焼結鉱、又は、(c)微粉状鉄鉱石を焼成したペレットが用いられる。又、還元には、固体のコークスが使用され、羽口から空気を供給してそれを部分燃焼しCO主体の還元ガスを発生させる。
直接還元法と間接還元法のいずれにおいても、シャフト炉を用いる場合には、安定操業の要件として、シャフト炉の通気確保が重要である。その際、シャフト炉上部における酸化鉄原料の還元粉化現象が問題となる。酸化鉄原料が還元粉化した場合、発生した粉がシャフト炉の通気を阻害し、生産障害を招く可能性がある。
特に、Hを含む還元ガスで酸化鉄原料を還元する場合、一般に焼結鉱より還元粉化しにくいペレット等でも還元粉化する場合がある(非特許文献1及び2参照)。
それ故、使用する酸化鉄原料に対して還元粉化の管理指標を設ける場合が多い。高炉法では、特に焼結鉱に対してJIS−RDI指標で30〜40%をその管理上限とすることが多い。直接還元法においても、還元プロセスにより管理指標は異なるが、例えば、MIDREX法では、ペレットはISO−RDIDR−3.15mmで2mass%以下、塊状鉄鉱石は5mass%以下、に管理されている。
尚、上記還元粉化の指標は、ISO11257(2007)(以下、「ISO試験」)として、その試験方法が定められている。そこでは、まず試料(粒径:16.0〜12.5mmが50%、12.5〜10.0mmが50%、重量:500g)をリンダー試験(還元温度:760℃、還元時間:300分、還元ガス組成:H−55.0%、CO−36.0%、CO−5.0%、CH−4.0%、還元ガス流量:13NL/minの還元条件にて、所定径の回転する円筒内にて還元する)と呼ばれる方法で還元処理する。ついで、反応処理後の試料を採り出した後、篩分を行い、10.0mm角の網を通過したもの(以下、−10.0mm)の割合、及び、3.15mm角の網を通過したもの(以下、−3.15mm)の割合を測定し、それぞれ値がISO−RDIDR−10.0mm、及び、ISO−RDIDR−3.15mmとして表示する。
〔従来知見〕
還元粉化現象については、高炉における焼結鉱のそれに関してこれまでさまざまな研究がなされている。それによると、粉化はヘマタイト(Fe)からマグネタイト(Fe)に還元する際の体積膨張によって生じる内部応力に起因しており、焼結鉱では550℃付近の温度で顕著となることがわかっている(非特許文献3)。
また、還元反応の反応様式、つまり反応がトポケミカルに進行する場合は、反応界面が明確に認められ、粉化が抑制され、非トポケミカルに進行する場合は、ペレットの半径方向に還元反応が均質進行して、粉化を助長するとする報告もある(非特許文献4)。
酸化鉄原料の還元反応の反応様式の定量方法として、還元反応した酸化鉄原料の断面組織をEPMA線分析による解析する方法や(非特許文献5)や還元反応実験の結果から、反応速度定数とガス拡散係数を解析し、反応様式を表わすThiele数(式(1))を導出する方法が(非特許文献6)が知られている。
反応様式は酸化鉄原料の物理的特性(成分、密度、気孔構造 等)により変化すると考えられている。
しかしながら、これらの還元反応様式やThiele数に関する報告は、酸化鉄原料の被還元性の観点から還元反応実験の結果を解析するものである。いずれの報告も、還元粉化現象へは適用された例はない。
特開昭63−213613号公報 特開2010−043314号公報 米国特許第3617227号明細書 米国特許第3748120号明細書
CAMP−ISIJ,Vol.22,pp.107(2009) CAMP−ISIJ,Vol.23,pp.875(2010) 鉄と鋼,Vol.68,pp.740(1982) 日本鐵鋼協會々誌,Vol.69,pp.742(1983) 鉄と鋼,Vol.67,pp.1943(1981) AIChE Journal,Vol.14,311(1968) 例えば、橋本健次著、反応工学(倍風館)(1993)
前述したように、シャフト炉を用いた製鉄法では、酸化鉄原料が炉内で還元粉化した場合、発生した粉がシャフト炉の通気を阻害し、生産障害を招く可能性がある。そこで、本発明は、酸化鉄原料がシャフト炉内で還元粉化しにくい操業方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について、特にペレットの直接還元において鋭意研究した。その結果、還元粉化現象はその還元反応様式に強く支配され、トポケミカルに還元が進行するほど還元粉化が抑制されること、酸化鉄原料の気孔構造から反応様式を表わすφ:Thiele数を導出可能であること、φ≧0.2になるように酸化鉄原料の選択や還元ガスの組成を制御することで還元粉化が抑制されることを見出した。
ここに、Thiele数は、固体触媒の反応分野において用いられている無次元数で、そこではφ≧10で反応律速になりトポケミカルに還元反応が進行し、φ≦0.2で拡散律速になり非トポケミカルに還元反応が進行することが知られている(非特許文献7)。
本発明のシャフト炉内での還元粉化抑制方法は、上記知見に基づいてなされたもので、Thiele数:φを0.2以上となるように使用する酸化鉄原料の選定や還元ガスの組成を調整することを骨子とする。その要旨は以下のとおりである。
シャフト炉を用いて酸化鉄原料を還元する還元方法において、前記酸化鉄原料の反応様式を表わすThiele数(φ)が0.2以上となるように、還元ガスのガス組成の調整及び/又は気孔率の大小に応じた酸化鉄原料の選定を行うことを特徴とする。ここで、Thiele数(φ)は式(1)から算出することができる。
ここに、 φ:Thiele数(−)
R:酸化鉄原料の粒径(m)
ρ:酸化鉄原料の密度(kg/m
:単体の反応速度定数(m/s/kg)
e,1:粒子内有効拡散係数(m/s)である。
(1)式で定めるThiele数(φ)を求めるに際して、(2)式で定める有効係数:ηと(3)式で定める変形Thiele数:Φを導出し、(4)式を逆算することでThiele数:φを導出してもよい。
ここに、 η:有効係数(−)
Φ:変形Thiele数
1s:固体表面ガス濃度(mol/m
1:反応界面ガス濃度(mol/m
:ガス反応速度(m/s/kg)である。
(1)〜(4)式中のパラメータを(5)〜(10)式に従って導出してもよい。
ここに、 ε:気孔率(−)
τ:迷宮度(−)
:気孔拡散係数(m/s)
K1:クヌーセン拡散係数(m/s)
1:分子拡散係数(m/s)
:平均気孔径(m)
T:温度(K)
M:還元ガスの分子量(g/mol)
σ:気孔径の標準偏差(m)
1:Hガスのmol分率(−)
i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスのmol分率(−)
1i:Hガスとiの相互分子拡散係数(m/s)
P:圧力(atm)
C_1:Hガスの臨界温度(K)
C_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界温度(K)
C_1:Hガスの臨界圧力(atm)
C_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界圧力(atm)
1:Hガスの分子量(g/mol)
:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの分子量(g/mol)
式(9)のn:3以上の自然数
本発明によれば、シャフト炉内での酸化鉄原料の還元粉化を抑制できる。その結果、シャフト炉の通気を改善し、海面鉄または銑鉄の安定した生産を継続することが期待できる。
還元反応後のペレットの組織観察写真で、(a)はトポケミカル反応により還元したペレット、(b)は非トポケミカル反応により還元したペレットを示す図である。 本発明のThiele数を満たすための、直接還元製鉄法の操業フローチャートである。 気孔率:ε、平均気孔径:r、Thiele数:φの関係を示すグラフである。 実施例で使用したペレットの気孔径分布測定結果である。 実施例でのEPMAによる還元反応の反応様式の導出方法である。 実施例でのRZIとThele数の関係を表した図である。 実施例の実験点を示す図であり、本発明のThiele数(図1)の根拠となる。
本発明は、酸化鉄原料を還元ガスで還元して海面鉄や銑鉄を製造する製鉄法において、酸化鉄原料のシャフト炉内での還元粉化を抑制する方法に関する。本発明は、酸化鉄原料の還元粉化現象が還元反応帯の幅で決まるという基本思想、および、酸化鉄原料の反応様式をThiele数:φで定義できること、それが0.2未満となると還元粉化が著しく増加すること、の新たな知見に基づいて成された。その骨子は、酸化鉄原料を操業条件に合わせて気孔率の観点から適正に選択したり、逆に酸化鉄原料に合わせて還元ガス組成を調整することより、シャフト炉内での酸化鉄原料の還元粉化量を抑制する。以下、酸化鉄原料としてペレットに、還元法として直接還元法を例に、本発明を説明する。
〔ペレットの還元粉化が還元形態に支配されることの説明〕
直接還元による還元鉄製造法においては、還元ガス中に多量にHを含むために、一般に焼結鉱より還元粉化しにくいペレット等でも還元粉化しやすくなる。このため、前述のように、MIDREX法で使用されるペレット等は、その還元粉化値が管理されている。しかし、還元ガス中に多量にHが存在する条件でどのような操業因子が還元粉化値を抑制できるか、これまで明確でなかった。
そこで、本発明者らは、ペレット気孔形態や還元ガスの組成を種々変更した還元粉化試験を行い、それらが還元粉化値に及ぼす影響を調べた。その結果、還元粉化量は、反応が非トポケミカルに進行するほど促進されるとの結論に至った。詳細なデータの一部は実施例で述べるが、還元後の代表的な例について、光学顕微鏡で観察した断面写真を図1に示す。図1(a)は還元粉化量が少なかった例で、反応がトポケミカルに進行して反応界面が明確に認められる。一方、図1(b)は還元粉化が多かった例で、反応界面が不明確であり、反応は均質に進行していることを示す。
〔ペレットの還元反応の反応様式がThiele数で表現できることの説明〕
固体触媒分野で反応様式を表す無次元数として、Thiele数:φが用いられている。固体表面上で関係するガス種が反応する機構は、触媒反応も本発明の対象とするペレットのガス還元においても同様である。従って、Thiele数:φによって還元反応の進行形態をうまく表現できることが合理的に期待される。実際、後述する実施例に示すように、Thiele数:φは反応様式と還元粉化量と強い相関関係があることがわかった。
〔Thiele数の計算方法〕
Thiele数:φの計算方法は、一つに限定されるものではなく、例えば以下の方法を例示できる。Thiele数:φは式(1)から直接算出してもよい。
ただし、φ:Thiele数(−)、R:酸化鉄原料の粒径(m)、ρ:酸化鉄原料の密度(kg/m)、k:単体の反応速度定数(m/s/kg)、De,1:粒子内有効拡散係数(m/s)である。ここで、酸化鉄原料の粒径:Rは、原料を篩分け、又は画像解析することによって粒度分布を測定し、この測定結果から得られる算術平均粒径とすることができる。粒子内有効拡散係数:De,1は、多孔質粒子の細孔の複雑さを考慮した有効拡散係数のことである。k(ペレットの形態を考慮しない物質単体の反応速度定数)は、例えば、非特許文献「鉄と鋼,Vol.57 (1971) 1441」に記載した以下の式(1)´から導出することができる。
ただし、ε:気孔率(−)、re:平均気孔径(m)、kc:化学反応速度定数(m/s/kg)、K:化学反応平衡定数(−)である。ここに、k(ペレットの形態を考慮しない物質単体の反応速度定数)が、推定困難な場合には、以下の変形Thiele数:Φを用いて、Thiele数:φを算出してもよい。
〔変形Thiele数を用いる方法〕
変形Thiele数を用いるφの計算方法においては、(2)式で定める有効係数:ηを用いてkを消去することで、(3)式で定める変形Thiele数:Φを導出し、(4)式によりφを逆算することで導出する。
ただし、η:有効係数(−)、C1s:固体表面ガス濃度(mol/m)、C1:反応界面ガス濃度(mol/m)、r:ガス反応速度(m/s/kg)である。ここで、有効係数:ηは見掛けの反応速度と、粒子内拡散の影響がなく、粒子内部でも外表面と同一の濃度、温度とした理想的な反応速度との比である。すなわち、粒子1個当たりの実際の反応速度を、粒子内部でも外表面と同一の濃度、温度としたときの粒子1個当たりの反応速度で除した値を有効係数:ηとすることができる。変形Thiele数:Φは、Thiele数:φと同様に反応様式を表す無次元数であり、Thiele数:φとは反応様式の閾値が異なる。すなわち、変形Thiele数:Φが0.1未満の場合は反応様式が非トポケミカル反応になり、変形Thiele数:Φが1超の場合は反応様式がトポケミカル反応になる。(1)〜(4)式中のパラメータは、(5)〜(10)式に従う。
ただし、ε:気孔率(−)、τ:迷宮度(−)、D:気孔拡散係数(m/s)、DK1:クヌーセン拡散係数(m/s)、D1:分子拡散係数(m/s)、r:平均気孔径(m)、T:温度(K)、M:還元ガスの分子量(g/mol)、σ:気孔径の標準偏差(m)、y1:Hガスのmol分率(−)、y:iのmol分率(−)、D1i:Hガスと還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスとの相互分子拡散係数(m/s)、P:圧力(atm)、TC_1:Hガスの臨界温度(K)、TC_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界温度(K)、PC_1:Hガスの臨界圧力(atm)、PC_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界圧力(atm)、M1:Hガスの分子量(g/mol)、M:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの分子量(g/mol)であり、式(9)のnは3以上の自然数である。ここで、τ:迷宮度(−)は多孔質粒子の細孔の複雑さを表す指標である。
また、上述の式(1)〜(10)において、ローマ字の記号に下付き表示された数字は、還元ガスに含まれるガス組成に対応しており、「1」はHガスに対応しており、「2〜n」は還元ガスの種類によって異なる。例えば、還元ガスにHガスとともにCOガス、COガス及びNガスが含まれている場合には、「2〜4」をそれぞれCOガス、COガス及びNガスとすることができる。さらに、CHガス及びHOガスが含まれている場合には、「5〜6」をそれぞれCHガス及びHOガスとすることができる。式(9)のnは3以上の自然数であり、還元ガスに含まれるガスの種類に応じて変動し、個々のガス毎に任意に番号を振り分けることができる。
前記図1の試料の場合を例として、Thiele数の計算方法を具体的に説明する。
ペレットを画像分析することにより粒度分布として10.0〜15.0mmが得られたため、その算術平均値である12.5mmを酸化鉄原料の粒径:Rとした。密度:ρ、気孔率:ε、平均気孔径:r及び気孔径の標準偏差:σは水銀圧入法による気孔径分布測定の結果を用いて算出した。次に式(8)により迷宮度:τを計算した。還元ガスの組成及び気孔径分布測定の結果に基づき、式(9)(10)により分子拡散係数:D1、式(7)によりクヌーセン拡散係数:DK1、式(6)により気孔拡散係数:D、式(5)により粒子内有効拡散係数:De,1をそれぞれ計算した。ガス反応速度:rは、後述のように、還元試験により測定した試料の重量変化値を用いて実測した。ガス濃度:C1sは還元ガスの組成より、単位変換を行い導出した。
これらの測定した数値をもとに、式()により変形Thele数:Φを導出し、式(4)によりThiele数:φを逆算して、導出した。計算に用いた各数値を表1A及び表1Bに示す。なお、表1A及び表1Bの水準の欄にそれぞれ記載したペレットA及びペレットBの組成は、後述する表2に記載する通りである。
〔ガス反応速度:rを実測する方法〕
ガス反応速度:rは実測試験を行い、還元前後の重量変化、または還元途中のガス分析値から計算することができる。試験温度は、還元粉化が発生しやすい実炉の炉上部の温度の測定値とするのが好ましい。またガス組成は、実炉の炉上部のガス組成の測定値に基づいて決定するのが好ましい。重量変化からガス反応速度:rを求める式を(11)式に示す。
ただし、m:試験前試料重量(kg)、m:試験後試料重量(kg)、R:試料中の酸化鉄と結合している酸素の重量(kg)、t:試験時間(s)である。
前述の変形Thiele数を用いる方法に準じてその他のパラメータを決定し、Thiele数:φが計算できる。
〔Thiele数の調整方法〕
直接還元炉の操業にあたって、Thiele数:φ≧0.2を満たす操業方法を図2のフローチャートに示す。
S1において、水銀圧入法によりペレットの気孔径分布を測定し、気孔率:ε、平均気孔径:r、気孔径の標準偏差:σを測定し、それらより迷宮度:τを推算する。S2において、垂直又は水平ゾンデにより炉頂温度を測定し、炉内550℃付近に存在する還元ガスのガス組成を測定する。S3において、上記ペレット500gを試料とし、上記炉頂ガス組成及び炉頂温度において還元試験を行い、試料の重量変化又はガス分析値からガス反応速度:rを決定する。S4において、S1〜S3の結果に基づいて、Thiele数:φを計算する。S5において、φ≧0.2ならば(S5 Yes)S6に進んでそのまま操業し、φ<0.2ならば(S5 No)S7に進んでφ≧0.2になるように還元ガスのガス組成の調整又は気孔率:εの大小に応じたペレットの選定を行う。
還元ガスの組成は、(a)CO濃度又はHO濃度、(b)H/(H+CO)比、及び/又は(c)H、HO、CO、CO以外のガス(例えば、NやCH)の調整により、Thele数:φを増すことができる。例えば、CO濃度を減ずると、粒子内有効拡散係数:De,1は大きく変化しないが、反応速度が小さくなり、Thele数が増大する。
また、ペレットの気孔率は、(a)鉄鉱石や金属鉄などの鉄源となる主原料、並びに石灰石、珪石、ドロマイト、ベントナイト、セメント及び石炭などの成分調整剤、塊成化補助剤、助燃剤となる副原料を粉砕する粉砕工程、(b)上記主原料及び副原料を配合する原料配合工程、(c)配合された原料を造粒して生ペレットを成形する造粒工程、及び/又は(d)この生ペレットを1220℃〜1300℃で加熱焼成して焼成ペレットとする焼成工程の(a)〜(d)の条件を適宜変更することで調整できる。
具体的には、(a)粉砕工程での粉砕粒度を大きくすること、(b)石炭配合量を増やすこと、(c)造粒水分を増やすこと、及び/又は(d)焼成温度を低下させること、によりペレットの気孔率は大きくなる。
ここで、図3は、気孔率:ε、平均気孔径:r、Thiele数:φの関係を示すグラフである。同図に記載するように、気孔率:ε及び平均気孔径:rを調整することで、Thiele数:φを調整することができる。
また、還元性の観点から、本発明の範囲内において、気孔率が大きいペレットを採択するのが好ましい。これは、酸化鉄原料の被還元性が良くなり、直接還元製鉄の生産性及び、成品還元率が向上するためである。なお、上述の実施形態では、還元ガスのガス組成の調整又は気孔率の大小に応じた酸化鉄原料の選定を行うことにより、Thele数:φを0.2以上となるように調整したが、これらの手段を併用してもよい。
また、更に好ましくは、本発明の範囲内において、酸化鉄原料を製造する段階で、選鉱処理及び/又は選炭処理を行い、事前に脈石成分(鉄分以外の成分)を除去する。これは、成品還元鉄を溶解する際のエネルギー(電力、燃料など)とスラグの低減のためである。
(実施例)
本発明で規定したThiele数:φの範囲において、還元粉化抑制効果が得られることを、以下の実施例を用いて説明する。本実施例では、2種類のペレット(A,B)を用いた。ペレットの平均直径は12.5mmであり、その組成、気孔率:ε、及び平均気孔径:rは表2のとおりである。なお、水銀圧入法による気孔率:ε及び平均気孔径:rの測定結果を図4に示す。
還元粉化の試験方法は、JISの還元粉化試験方法に準じ、使用する還元ガスの組成のみ種々に変更したものである。すなわち、ペレット重量:500g、還元温度:550℃、還元時間:30min、還元ガス流量:15NL/minで還元を行った後、還元後の試料を所定径の筒内で回転粉化を行わせ、ついで篩分を行い、−3.15mmの割合を測定する。さらに、還元試験後のペレットの断面組織のEPMA線分析を実施し、図5に示す反応方向のFe分布を解析し、グラフの傾きである反応帯指数RZIを反応様式の指標として算出した。
実験結果をガスの組成とともに表3に示す。
EPMAの線分析により算出した反応帯指数:RZIThiele数:φの関係を図6に示す。反応帯指数:RZIとThiele数:φには相関関係があり、本発明のThiele数:φの導出方法が妥当であることを示している。

図7の◆印で示すThiele数:φはいずれも0.2以上であり、還元粉化値もMIDREX法でペレットに要求される基準値2%以下にはならないものの、塊鉱石に対して要請する基準値5%以下であった。一方、図7の□印で示すThiele数:φは0.2以下から還元粉化値は急激に上昇し、5%を超えた。かかる実験結果に基づいて、Thiele数:φを0.2以上に規定した。
本発明は、詳細に上述したように、シャフト炉を用いた直接還元製鉄法に利用できる。
さらに、本発明は、高炉法、特に、天然ガスを吹き込み、比較的水素濃度の高い還元ガスを使用する場合の高炉法にも有効である。また、酸化鉄原料としてペレットにとどまらず、すべての酸化鉄原料に合理的に拡張できる。具体的には、Feを主体とする鉄鉱石、又はその加工品である、(a)塊状鉄鉱石、(b)焼結鉱、及び/又は(c)粉状鉄鉱石を塊成化したブリケットを用いることができる。

Claims (4)

  1. シャフト炉を用いて酸化鉄原料を還元する還元方法において、
    (1)式から算出されるThiele数(φ)が0.2以上となるように、
    還元ガスのガス組成の調整及び/又は気孔率の大小に応じた酸化鉄原料の選定を行うことを特徴とする還元方法。
    ただし、φ:Thiele数(−)、R:酸化鉄原料の粒径(m)、ρ:酸化鉄原料の密度(kg/m)、k酸化鉄原料の形態を考慮しない、物質単体の反応速度定数(m/s/kg)、De,1:粒子内有効拡散係数(m/s)である。
  2. シャフト炉を用いて酸化鉄原料を還元する還元方法において、
    3)式で定める変形Thiele数:Φを導出し、(4)式を逆算することで求めたThiele数:φが0.2以上となるように、
    還元ガスのガス組成の調整及び/又は気孔率の大小に応じた酸化鉄原料の選定を行うことを特徴とする還元方法
    ただしΦ:変形Thiele数、r:ガス反応速度(m/s/kg)、R:酸化鉄原料の粒径(m)、ρ :酸化鉄原料の密度(kg/m )、D e,1 :粒子内有効拡散係数(m /s)、1s:固体表面ガス濃度(mol/m、φ:Thiele数(−)である。
  3. (1)式中のパラメータを(5)〜(10)式に従って導出する請求項に記載の還元方法
    ただし、ε:気孔率(−)、τ:迷宮度(−)、D:気孔拡散係数(m/s)、DK1
    :クヌーセン拡散係数(m/s)、D1:分子拡散係数(m/s)、r:平均気孔径(m)、T:温度(K)、M:還元ガスの分子量(g/mol)、σ:気孔径の標準偏差(m)、y1:Hガスのmol分率(−) 、y:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスのmol分率(−)、D1i:Hガスと還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスとの相互分子拡散係数(m/s)、P:圧力(atm)、TC_1:Hガスの臨界温度(K)、TC_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界温度(K)、PC_1:Hガスの臨界圧力(atm)、PC_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界圧力(atm)、M1:Hガスの分子量(g/mol)、Mi:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの分子量(g/mol)であり、式(9)のnは3以上の自然数である。
  4. (3)及び(4)式中のパラメータを(5)〜(10)式に従って導出する請求項に記載の還元方法
    ただし、ε:気孔率(−)、τ:迷宮度(−)、D:気孔拡散係数(m/s)、DK1
    :クヌーセン拡散係数(m/s)、D1:分子拡散係数(m/s)、r:平均気孔径(m)、T:温度(K)、M:還元ガスの分子量(g/mol)、σ:気孔径の標準偏差(m)、y1:Hガスのmol分率(−) 、y:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスのmol分率(−)、D1i:Hガスと還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスとの相互分子拡散係数(m/s)、P:圧力(atm)、TC_1:Hガスの臨界温度(K)、TC_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界温度(K)、PC_1:Hガスの臨界圧力(atm)、PC_i:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの臨界圧力(atm)、M1:Hガスの分子量(g/mol)、Mi:還元ガスに含まれるHガス以外の各ガスの分子量(g/mol)であり、式(9)のnは3以上の自然数である。
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