以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて詳細に説明する。
<パチンコ機の構造>
図1は、パチンコ機1の正面図であり、図2は、パチンコ機1の遊技盤2の正面図である。パチンコ機1は、支持体として機能する機枠3によって周囲が覆われており、その機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して、遊技盤2が設置されている。さらに、遊技盤2の前方には、ガラス板を嵌め込み設置してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に蝶着されている。
また、遊技盤2の前面には、外レール23および内レール24が円弧状に配設されており、それらの外レール23および内レール24によって遊技領域16が区画されている。さらに、外レール23と内レール24との間が、遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13となっている。また、遊技領域16の略中央上部には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられており、演出用表示部6の下方には、大型遊技部材26が設置されている(なお、大型遊技部材26については後述する)。
さらに、大型遊技部材26の左上方には、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、当該左打ち用スペースSLには、遊技球が通過可能なゲート部材32等が設けられている。また、大型遊技部材26の中央下側には、アウト口54が配置されている。
一方、大型遊技部材26の右方には、遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。当該右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、可動入賞装置(チューリップ式電動役物)18,18、扉部材が開閉可能な始動入賞装置17等が設けられている。また、遊技領域16には、多数の障害釘が植設されており、風車等が設置されている。加えて、遊技領域16の右下の外側には、特別図柄を表示するための7セグメント表示器からなる特別図柄表示部83が設けられている。
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、遊技球を発射装置10(図3参照)へ供給するための供給皿7と、供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8とが上下に併設されている。さらに、供給皿7の上方には、押しボタン25が押し込み操作可能に設けられており、貯留皿8の右側には、発射装置10を駆動させるためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、前扉4の上部には、効果音や各種のメッセージ音等を発生させるための一対のスピーカ14,14が設けられており、前扉4の側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを備えたランプ部材15,15が設けられている。
一方、図3は、パチンコ機の背面を示したものであり、機枠3の背面の上端際には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11が設けられている。また、その貯留タンク11の下側には、センターカバー21が設けられており、透明な合成樹脂によって箱状に形成された外カバーの内部に、各種の制御装置が内蔵されている。
<パチンコ機の制御機構>
図4は、パチンコ機1の制御機構を示したものであり、パチンコ機1には、主たる作動内容を制御するためのメイン制御手段31と、副次的な作動内容を制御するためのサブ制御手段41とが設けられている。メイン制御手段31は、CPU32、記憶手段33、タイマ34等を備えており、インターフェイス35を介して、始動入賞口(特定入賞口)19、可動入賞装置(大入賞装置)18、始動入賞装置17およびゲート部材20等に内蔵された各入賞検知器101,101・・、振分手段として機能する揺動部材80の駆動装置であるモータ121、特別図柄表示部83等と接続された状態になっている。
また、メイン制御手段31の記憶手段33には、ソレノイド90を所定のタイミングでON/OFF制御するためのプログラム等のパチンコ機1の主たる遊技内容を制御するための各種のプログラムや、各種のデータが記憶されている。
一方、サブ制御手段41は、CPU42、記憶手段43、タイマ44等を備えており、インターフェイス45を介して、演出用表示部6の表示内容を制御するための表示制御装置50、ランプ部材15,15等の発光態様を制御するための発光制御装置51、スピーカ14,14の効果音発生態様を制御するための音制御装置52等と接続されている。
<大型遊技部材の構造>
図5、図6は、大型遊技部材26の斜視図であり、大型遊技部材26は、側壁部71によって周囲が覆われており、その内外が完全に仕切られている。また、上部には、受入口72が設けられており、当該受入口72以外からは、遊技球を大型遊技部材26の内部へ進入させないようになっている。
また、大型遊技部材26の左後方には、受入口72と連通した球案内通路(図示せず)が設けられており、当該球案内通路の前方には、スロープ路73が設けられている。なお、スロープ路73の基端には、導球口73aが設けられており、当該導球口73aの部分が、球案内通路(図示せず)の先端と連通した状態になっている。
スロープ路73は、(上方から見て)反時計回りに湾曲したカーブを描きつつ、奥側から手前側へかけて下向きに緩やかに傾斜している。また、スロープ路73の両側には、一定幅の側壁が立設されている。そして、スロープ路73の途中に振分部材74が設けられている。当該振分部材74は、大型遊技部材26の左端に設置された料理人の模型の右手と、その右手に握られた包丁とを構成した状態になっている。
図7は、振分部材74を駆動させるための駆動機構103を示したものであり、駆動機構103は、振分部材74、鉄芯104を有したソレノイド90、アームシャフト93、作動部材98、フランジ95、コイルバネ96、基台97(図5、図6参照)等によって構成されている。
振分部材74は、帯電防止材を充填した合成樹脂によって一体的に形成されている。そして、嵌合孔を設けた連結部74bの左右に、包丁を模した略長方形の板状の制止部74aと、中空な直方体状の突出片74cとが設けられている。また、制止部74aの裏面には、略三角形の板状の誘導片74dが、その板面を制止部74aの底辺と略平行にした状態で、制止部74aの板面に対して直交するように設けられている。
アームシャフト93は、硬質の合成樹脂によって円柱状に形成されており、片端が振分部材74の連結部74bの嵌合孔内に固着されている。また、アームシャフト93の他端には、フランジ95が固着されており、当該フランジ95の外面には、係合ピン95bが、中心軸から偏心するように突設されている。
また、作動部材98は、支軸部98bの前後に、水平な係合溝を設けた係合部98cと、下向きの係合ピン98eを突設した略板状の作用片98aとが設けられており、支軸部98bの部分が、支軸ピン(図示せず)によって大型遊技部材26の基台97に枢着されている。そして、係合部98cの左側(パチンコ機1の前方から見た場合の左側)には、鉄板(図示せず)が固着されているとともに、係合部98cの係合溝98dには、アームシャフト93のフランジ95の係合ピン95bが係合した状態になっている。また、大型遊技部材26の基台97には、支持板97bが突設されており、その支持板97bの上面に設けられた係合突起97aと、作用片98aの係合ピン98eとの間に、コイルバネ96が設置されている。
上記の如く構成された駆動機構103は、ソレノイド90に電源が供給されていない状態においては、図7(a)の如く、コイルバネ96の付勢力により、作動部材98の作用片98aが上昇することによって、係合部98cが下降するため、アームシャフト93のフランジが、(パチンコ機1の前面から見て)反時計回りに回動し、それに伴って、振分部材74が上昇した状態となる(以下、OFF状態という)。そして、ソレノイド90に電源が供給されると、図7(b)の如く、ソレノイド90の鉄芯104の先端が作動部材98の係合部98cに固着された鉄板(図示せず)を吸い付けることによって、作動部材98の係合部98cが、コイルバネ96の付勢力に抗して上昇し、それに伴って、アームシャフト93のフランジ95が、(パチンコ機1の前面から見て)時計回りに回動するため、振分部材74が下降した状態となる(以下、ON状態という)。
また、図5、図6の如く、スロープ路73の内側には、遊技球を流下可能な第二流路76が、手前から奥方へかけて下向きに傾斜するように設けられており、スロープ路73と並んだ状態になっている。さらに、スロープ路73の側壁の途中には、開口82が形成されており、スロープ路73を流下した遊技球が、第二流路76へ流下可能になっている。また、スロープ路73の先端には、クランク形状のトンネル流下路77が連設されている。さらに、第二流路76の先端は、中央に窪み99を形成した上側導球路78、および、左側から回転テーブル84aに向かって遊技球を流下させるための下側導球路79と連通した状態になっている。
さらに、上側導球路78の窪み99の前方には、中央の稜線の左右を下向きに傾斜させた予備振分体106が設けられており、その中央の稜線が、窪み99の底面よりわずかに下方に位置した状態になっている。また、予備振分体106の前端には、ガード壁が設けられており、そのガード壁の上端縁が、中央の稜線や左右の傾斜面よりも僅かに上方に位置し、当該ガード壁の板面が、中央の稜線と直交した状態になっている。そして、上側導球路78および予備振分体106の下方には、振分手段として機能する揺動部材(所謂、クルーン)80が、左右に往復動可能に設けられている。さらに、揺動部材80の下側には、遊技球が転動可能な平板状のステージSが設けられており、当該ステージSには、複数の障害突起物85,85・・を突設した円盤状の回転テーブル84a,84bが、ステージSの法線方向の回転軸を中心として回転可能に併設されている。さらに、ステージSの前端縁の略中央には、始動入賞口(特定入賞口)19が設けられている(図5、図6参照)。
<特徴部分である振分手段の構造>
図8、図9、図10は、振分手段として機能する揺動部材80、および、その揺動部材80を左右に往復動させるための駆動機構105を示したものであり、駆動機構105は、皿本体113、駆動装置であるモータ(ステッピングモータ)121、クランクアーム123、センサ126、作動アーム128等によって構成されている。
皿本体113は、帯電防止材を充填した合成樹脂によって幅広で四隅を丸くした矩形の皿状に一体的に形成されている。そして、端部から中央にかけて下向きに膨出しており、上面を転動した遊技球を排出させるための排出孔114が中心に設けられており、下方に突出した状態になっている。そして、皿本体113の上面(凹状の曲面)が転動面113aとして機能し、その転動面113aと排出孔114(孔の周辺部分も含む)とが、一時滞留手段(所謂、クルーン)として機能するようになっている。また、皿本体113の後端縁には、横長な直方体状の固着体115が設けられており、その固着体115の中央および左右の後方には、軸着ボス116,116・・が後方へ突出するように設けられている。そして、中央の軸着ボス116には、金属によって長尺な円柱状に形成された作動シャフト117が固着されている。一方、左右の軸着ボス116,116には、それぞれ、金属によって長尺な円柱状に形成された補助シャフト118,118が固着されており、それらの補助シャフト118,118の後端には、それぞれ、係合体120,120が固着されている。
また、駆動装置であるモータ121は、左右に螺着片122,122を設けたケーシングによって覆われており、それらの螺着片122,122によって、大型遊技部材26のベース体111(図5、図6参照)に螺着されている。そして、当該モータ121の支軸には、クランクアーム123が固着されている。
クランクアーム123は、棒状のアーム本体の片端縁際に、略円柱状の作動ピン124がアーム本体と直交して外向きに突出するように設けられている。また、アーム本体の他端縁際には、固着孔を穿設した軸固定部125が設けられている。そして、クランクアーム123は、軸固定部125の固着孔にモータ121の支軸(断面非円形)を挿入させることによって、モータ121の支軸に固着された状態になっている。
一方、作動アーム128は、扁平な棒状に形成されており、上側の部分に、一定幅の規制スリット129が設けられている。そして当該規制スリット129によって、その内部に挿入させたクランクアーム123の作動ピン124の移動量を規制することができるようになっている。また、下端縁際には、中空円柱状の支軸枢着部131が、前方へ突出するように設けられている。さらに、その支軸枢着部131の側方(右側)には、鋭角な扇状の検知体130が外向きに突出するように設けられている。
また、センサ126は、先端が二股状になっており、作動アーム128の検知体130を通過させることができるようになっている。当該センサ126は、設置部材127によって、大型遊技部材26のベース体111に螺着されている。
一方、大型遊技部材26のベース体111(図5、図6参照)は、前面板が遊技盤2の盤面に対して略平行になるように鉛直に設けられており、その前面板と平行になるように、後面板(図示せず)が設けられている。そして、それらの前面板と後面板との間が中空状になっている。また、その前面板には、一定幅の長孔112が水平に設けられており、後面板にも同様な長孔(図示せず)が設けられている。さらに、後面板の前面側には、円柱状の作動支軸(図示せず)が、前方へ突出するように設けられている。
そして、駆動機構105の内の(皿本体113を除く)モータ121、クランクアーム123、センサ126、作動アーム128等は、そのベース体111の中空状部分に内蔵された状態になっている。また、作動アーム128の下端縁際の支軸枢着部131の内部に、ベース体111の後面板の前面側に突設された作動支軸(図示せず)が挿入された状態になっている。
一方、皿本体113は、後方に突設された作動シャフト117および補助シャフト118,118を、ベース体111の前面板に穿設された長孔112内に挿入させた状態で、底板部分がベース体111の前面板と略直交するように設置されている。そして、皿本体113の作動シャフト117は、ベース体111の前面板と後面板との間において、作動アーム128の規制スリット129内に入り込んだ状態になっている。また、左右の補助シャフト118,118の先端は、後面板の長孔112(図示せず)を通って、後面板の後方まで達しており、それぞれ、係合体120によって、後面板に係合された状態になっている(左右に移動可能に係合された状態になっている)。
上記の如く構成された駆動機構105においては、モータ121に電源が供給されると(回路に所定方向の電流が流れるように電源が供給されると)、図9の如く、モータ121の支軸が反時計回りに回転(逆回転)し、その支軸の回転に伴って、クランクアーム123が軸固定部125を中心として反時計回りに回転し、作動ピン124が反時計回りに円運動する。そして、そのように作動ピン124が円運動をすると、当該作動ピン124を規制スリット129内に挿入させた作動アーム128が、ベース体111の作動支軸(図示せず)を挿入させた支軸枢着部131を中心として、反時計回りに傾動する。そのため、作動シャフト117を(ベース体111の長孔112内で)規制スリット129内に挿入させ、かつ、左右の補助シャフト118,118をベース体111の長孔112内に挿入させた皿本体113が、水平な状態を保ったまま左方向にスライドする。
そして、所定の角度だけ作動アーム128が反時計回りに傾動すると、メイン制御手段31の制御によって、モータ121の回路に所定方向の電流が流れるような電源の供給が遮断され、回路に所定方向と逆方向の電流が流れるように電源が供給される。そのように電源が供給されると、図10の如く、モータ121の支軸が時計回りに回転(正回転)し、その支軸の回転に伴って、クランクアーム123が軸固定部125を中心として時計回りに回転し、作動ピン124が時計回りに円運動する。そして、そのように作動ピン124が円運動をすると、当該作動ピン124を規制スリット129内に挿入させた作動アーム128が、支軸枢着部131を中心として、時計回りに傾動するため、皿本体113が、水平な状態を保ったまま右方向にスライドする。
図11は、上記の如く皿本体113を左右に往復動させる際のモータ121への電源投入・投入停止のタイミングを示すタイムチャートであり、かかるモータ121への電源投入・投入停止は、メイン制御手段31によって制御される。そして、パチンコ機1への電源投入時から、所定の時間(約3.0秒)だけモータ121の支軸が時計回りに回転するようにモータ121へ電源が投入され(a)、しかる後、所定の時間(約0.16秒)だけモータ121への電源投入が停止され(b)、その後、再度、所定の時間(約3.0秒)だけモータ121の支軸が時計回りに回転するようにモータ121へ電源が投入される(c)。
さらに、所定の時間(約0.32秒)だけモータ121への電源投入が停止され(d)、その後、所定の時間(約3.0秒)だけモータ121の支軸が反時計回りに回転するようにモータ121へ電源が投入され(e)、しかる後、所定の時間(約0.16秒)だけモータ121への電源投入が停止された後に(f)、再度、所定の時間(約3.0秒)だけモータ121の支軸が反時計回りに回転するようにモータ121へ電源が投入される(g)。そして、所定の時間(約0.32秒)だけモータ121への電源投入が停止された後に(h)、上記した(a)〜(h)の如きモータ121への電源投入・停止が繰り返し実行される。
そして、そのような(a)〜(h)の如きモータ121への電源投入・停止によって、皿本体113が、「所定の時間(約3.0秒)だけ右方向にスライド→所定の時間(約0.16秒)だけ(中央で)停止→所定の時間(約3.0秒)だけ右方向にスライド→所定の時間(約0.32秒)だけ(右端で)停止→所定の時間(約3.0秒)だけ左方向にスライド→所定の時間(約0.16秒)だけ(中央で)停止→所定の時間(約3.0秒)だけ左方向にスライド→所定の時間(約0.32秒)だけ(左端で)停止」という動作を繰り返す。なお、皿本体113は、上記の如く作動制御されるため、左右の方向転換する位置、および、往復動する区間の中央で、それぞれ、所定の時間だけ停止する。また、パチンコ機1においては、皿本体113が往復動する区間の中央に位置したときに、排出孔114の位置(遊技盤2の盤面と平行な鉛直面内における位置)が、始動入賞口19の鉛直上方となるように調整されている(すなわち、皿本体113の往復動区間の中央が特定位置として設定されている)。
また、作動アーム128が所定の角度だけ反時計回りあるいは時計回りに傾動して、検知体130がセンサ126の二股状部分を通過すると、センサ126がメイン制御手段31に検知信号を送信することによって、揺動手段80が正常に作動していることをメイン制御手段31へ伝達する。そして、所定の時間を超えてセンサ126から検知信号が送信されない場合には、メイン制御手段31は作動エラーが生じた旨を演出用表示部6に表示する。
図12は、上記した揺動手段80の作動状態を監視する際の制御内容を示したものでああり、この作動状態監視処理は、メイン制御手段31によって繰り返し実行される。まず、S(Step)1で、タイマ34をセットし、続くS2で、センサ126から検知信号が送信されたか否か(すなわち、センサ126が検知体130の通過を確認したか否か)判断される。そして、“YES”と判断された場合には、“異常なし”と判断して、タイマ34をリセットしてからS1以降を繰り返し実行する。
一方、S2で“NO”と判断された場合には、S3で、タイマ34のセットから所定の時間(約10.0秒)が経過したか否か判断され、“YES”と判断された場合には、“異常発生”と判断して、演出用表示部6へのエラーメッセージの表示、音声によるエラー発生のアナウンス、発射装置10への電源供給停止等のエラー処理を実行する。
なお、S3で、“YES”と判断された場合(すなわち、タイマ34のセットからまだ所定の時間(約10.0秒)は経過していないと判断された場合)には、再度、S2を繰り返し実行する。上記の如き作動状態監視処理によって、万が一、揺動部材80が不正に停止させられた場合であっても、その事態を短時間の内に素早く把握することができる。
<パチンコ機の作動内容>
上記の如く構成されたパチンコ機1においては、遊技者によってハンドル9が回転操作されると、発射装置10によって遊技球が発射される。発射された遊技球は、外レール23および内レール24に案内されて遊技領域16の上方に打ち出され、しかる後に、遊技盤2に設けられた障害釘や風車等に衝突しながら流下する。そして、流下した遊技球が、大型遊技部材26内に進入すると、当該遊技球は、受入口72を介してスロープ路73へ送り出される。
スロープ路73に設けられた振分部材74は、メイン制御手段31により予め定められたタイミングでソレノイド90に電源が投入されることによって、所定のタイミングで上下動し、スロープ路73を流下中の遊技球を、第二流路76とトンネル流下路77とに振り分ける。すなわち、ソレノイド90がONになると、図7(b)の如く、振分部材74が下降し、ソレノイド90がOFFになると、図7(a)の如く、振分部材74が上昇する。そして、振分部材74が上昇すると、スロープ路73を流下する遊技球は、きわめて高い確率(約10球中9球)で、トンネル流下路77へ導かれ、振分部材74が下降すると、スロープ路73を流下する遊技球は、下降した振分部材74に衝突して、比較的に高い確率(約10球中5球)で、第二流路76へ導かれる。
そして、トンネル流下路77を流下した遊技球は、下側導球路79に振り分けられて、回転テーブル84aの障害突起物85,85・・と衝突しながら、ステージSを転動する。そして、ステージSを転動した遊技球の一部が、始動入賞口19に入賞し、それ以外の遊技球は、始動入賞口19の左右の排出口100,100に流下して、アウト球としてそのまま回収される。
一方、第二流路76を流下した遊技球は、上側導球路78に振り分けられて、揺動部材80の上面で転動する。すなわち、遊技球は、皿本体113の排出孔114から排出される前に、当該排出孔114の周囲を回転するように転動しながら徐々に減速する。そして、そのように揺動部材80の皿本体113の上面を転動した遊技球は、数秒から数十秒程度の滞留時間を経た後に、排出孔114からステージS上に排出される。なお、揺動部材80は、上記の如く、左右にスライドするため、排出孔114からステージS上のどの位置に遊技球が排出されるかを非常に予測しにくい。
上記の如く揺動部材80の皿本体113の上面で転動した遊技球が排出孔114からステージS上に排出される際に、揺動部材80がステージSの中央(幅方向の中央)の上方に位置している状態(図5、図6、図8の状態、すなわち、作動アーム128が鉛直に起立した状態)で、遊技球が排出孔114からステージS上に排出されると、その遊技球は、揺動部材80がステージSの左右の上方に位置している状態(図9あるいは図10の状態)で排出孔114からステージS上に排出された場合に比べて、高い確率で始動入賞口19に入賞する。また、パチンコ機1においては、上側導球路78に振り分けられた場合の方が、下側導球路79に振り分けられた場合よりも高い確率で始動入賞口19に入賞するように、揺動部材80の往復動作や回転テーブル84aの回転動作等が制御される。
そして、遊技球が始動入賞口(特定入賞口)19へ入賞すると、メイン制御手段31にて乱数を利用した「大当たり抽選」を実行する。そして、所定の確率で所謂「大当たり」が生起した場合には、演出用表示部6において所定の図柄(たとえば、「7、7、7」等)を表示した後、ゲート部材20への遊技球の通過を条件に開放する始動入賞装置17へ遊技球の入賞を契機として、可動入賞装置18,18を所定回数ずつ断続的に開成させるという動作を、所定回数(たとえば、16回)だけ繰り返すようになっている。したがって、始動入賞口19への入賞を契機とした「大当たり抽選」において「大当たり」となった場合には、遊技者は、高い確率で多くの賞品球を獲得することが可能となる。
<パチンコ機の効果>
パチンコ機1は、上記の如く、遊技球の通過によって遊技者への特典を付与可能な特定通過領域である始動入賞口19、および、その始動入賞口19を通過し易い流下態様と、始動入賞口19を通過しにくい流下態様とに、遊技球の流下態様を振り分け可能な振分手段である揺動部材80が遊技盤2の盤面上に設けられているとともに、その揺動部材80が、遊技球を一時滞留させる一時滞留手段(皿本体113の転動面113aおよび排出孔114)を有し、かつ、駆動手段であるモータ121によって移動可能に設けられたものであって、一時停留手段を介して振り分けられる遊技球を始動入賞口19に最も通過させやすい特定位置に位置している際に、所定の時間だけ停止する。
したがって、パチンコ機1は、揺動部材80の一時滞留手段での遊技球の滞留時間が一定でない上、揺動部材80が左右にスライドすることによって揺動部材80からの流下位置が不規則となるため、発射周期調整不正行為が行われたとしても、遊技領域16に打ち出された遊技球が何らの障害物を経由することなく始動入賞口19へ向かって転動してその始動入賞口19の内部へストレートに入り込む事態(すなわち、ストレート入球)が頻発することを効果的に防止することができる。それのみならず、振分手段である揺動部材80が特定位置に所定の時間だけ停止するため、始動入賞口19への遊技球の入賞率を容易に調整することができる。さらに、振分手段である揺動部材80が特定位置に所定の時間だけ停止することによって、一時滞留手段上で転動する遊技球が揺動部材80の移動との同期あるいは揺動部材80の移動による干渉によって長時間に亘って排出されない、という事態を回避することができる。
また、パチンコ機1は、揺動部材80が、遊技球を転動可能な皿本体113の転動面113aと、その転動面113aの略中央に位置しており遊技球を排出可能な排出孔114とを有しており、それらの転動面113aと排出孔114とが一時滞留手段(クルーン)として機能するようになっている。それゆえ、パチンコ機1は、転動面113aでの遊技球の転動継続時間が変化に富んでおり、揺動部材80の排出孔114からの排出位置が非常に予測しにくいため、発射周期調整不正行為によってストレート入球が頻発する事態をきわめて効果的に防止することができる。さらに、遊技盤2の盤面と平行な面内において排出孔114の位置が始動入賞口19の鉛直上方となる揺動部材80の位置が、特定位置として設定されているため、始動入賞口19への遊技球の入賞率の調整がきわめて容易である。
また、パチンコ機1は、揺動部材80が、遊技球を転動可能な皿本体113の転動面113aと、その転動面113aの略中央に位置しており遊技球を排出可能な排出孔114とを有しており、それらの転動面113aと排出孔114とが一時滞留手段(クルーン)として機能するようになっている。それゆえ、パチンコ機1は、転動面113aでの遊技球の転動継続時間が変化に富んでおり、揺動部材80の排出孔114からの排出位置が非常に予測しにくいため、発射周期調整不正行為によってストレート入球が頻発する事態をきわめて効果的に防止することができる。
<本発明の変更例>
なお、本発明に係る遊技機の構成は、上記実施形態の構成に何ら限定されるものではなく、振分手段(皿本体、駆動装置、作動アーム、クランクアーム、作動シャフト、補助シャフト等)、大型遊技部材、演出用表示部等の形状、構造等の構成や、大当たり時の作動内容等の遊技内容等を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
たとえば、振分手段は、上記実施形態の如く、ステッピングモータによって駆動されるものに限定されず、ソレノイド等の別の駆動装置によって駆動されるものに変更することも可能である。また、振分手段を、モータによって駆動されるものとする場合でも、その駆動機構は、スリットを設けた作動アーム、クランクアーム、作動シャフト、ベース体の長孔等を利用して、モータの支軸の回転運動を皿本体の直線運動に変換するものに限定されず、ラック・ピニオン等の他の機構を利用してモータの支軸の回転運動を皿本体の直線運動に変換するもの等に変更することも可能である。さらに、振分手段は、上記実施形態の如く、左右へスライドすることによって遊技球を振り分けるものに限定されず、前後へスライドスライドすることによって遊技球を振り分けるもの等、左右へのスライドとは異なる動作によって遊技球を振り分けるものに変更することも可能である。
また、揺動部材の往復動の内容(往復動の距離、停止時間、停止位置)を制御する方法も、上記実施形態の方法に限定されず、揺動部材を駆動させるためのモータへの電源投入・投入停止のタイミングを、必要に応じて適宜変更することができる。さらに、揺動部材の作動状態を監視するための方法も、上記実施形態の方法に限定されず、検知センサの種類・構造や作動監視処理の内容等を、必要に応じて適宜変更することができる。加えて、振分手段の作動状態を監視するための制御方法は、上記実施形態の如く、センサが所定の時間に亘って検知体の通過を検知しない場合にのみエラー処理を実行するものに限定されず、センサが所定の時間に亘って検知体を検知し続けた場合にもエラー処理を実施するもの等に変更することも可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、遊技領域、遊技盤、振分手段、大型遊技部材、制御装置等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、上述した全ての要素のうちの複数の要素を一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、あえて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であればきわめて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることが明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることに疑いの余地はない。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異しかない遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由にするのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。