JP6624113B2 - 急冷焼入れ装置 - Google Patents

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本発明は、高温の金属板を液体に浸漬させて冷却する急冷焼入れ装置に関する。
鋼板をはじめとする金属板を製造する際には、連続焼鈍設備において、加熱後に金属板を冷却し、相変態を起こさせるなどして材質の造り込みを行う。近年、自動車業界では車体の軽量化と衝突安全性の両立を目的として、高張力鋼板(ハイテン)の適用が進んでおり、そのような需要動向に対応するために、高張力鋼板の製造に有利な急速冷却(急冷)技術の重要性が増している。最も冷却速度が速い水焼入れ法としては、加熱された高温の鋼板を水中に浸漬させると同時に、水中内に設けられたクエンチノズルにより冷却水を鋼板に噴射し、急冷を行う方法が一般的である。しかしながら、その急冷の際に、金属板に反りや波状変形などの面外変形による形状不良が発生することが、問題となっている。
このような問題に対して、特許文献1では、連続焼鈍炉での急冷焼入時に生じる金属板の波状変形を抑制するために、急冷焼入工程に付される鋼板の張力を変えることができる張力変更手段として、ブライドルロールを急冷焼入部前後に設ける手法が提案されている。
また、特許文献2では、焼入れ開始点(冷却開始点)において、金属板幅方向で圧縮方向の熱応力が発生し、金属板が座屈することによって形状不良が発生することに着目し、冷却により板幅方向での圧縮応力が発生している領域またはその近傍領域で、金属板両面側から拘束することにより面外変形を抑制する手法が提案されている。
そして、特許文献3では、急冷焼入れ装置内に一対の拘束ロールを配置し、該拘束ロールで金属板を両面側から拘束することにより、面外変形を抑制する手法が提案されている。
特開2011−184773号公報 特開2003−277833号公報 WO2016/084283号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、高温の鋼板に大きな張力をかけるため鋼板の破断が起きるおそれがあった。また、高温の鋼板に接触する急冷焼入部前のブライドルロールには、大きなサーマルクラウンが発生するため、ブライドルロールと鋼板がブライドルロールの幅方向に不均一に接触し、その結果、鋼板に座屈や疵が発生し、鋼板形状を改善することができないという問題があった。
また、特許文献2に記載された方法を検証した結果、特許文献2に記載された方法では金属板の形状矯正効果が小さいことがわかった。
そして、特許文献3の急冷焼入れ装置を用いると、急冷焼入れ時の金属板の変形を防止できるものの、冷却水を噴射する噴射装置を金属板が通過する際に、一時的に金属板の冷却速度が低下することで、金属板の特性が低下するという課題が見出された。具体的には、金属板の冷却速度の低下に起因して、所望の金属板の材料特性、例えば所望の引張強度を有する金属板が得られない場合があった。
本発明はかかる事情に鑑みて完成されたものであって、高温の金属板の急冷焼入れ時に金属板に発生する形状不良を抑制しつつ、金属板の冷却速度が低下することを抑制できる金属板の急冷焼入れ装置を提供することを課題とする。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下のような知見を得た。金属板の製造においては、水中への浸漬および冷却水の噴射による高温の金属板の急冷中に、金属板にマルテンサイト変態を起こさせる組織制御が用いられる場合があるが、マルテンサイト変態が起こると組織が急速に体積膨張するため、複雑で不均一な凹凸状の形状になってしまうことがある。マルテンサイト組織を有するような高張力鋼板(高強度鋼板)は、急冷焼入れ時に、熱収縮中に変態膨張が生じるMs点からMf点の近傍で、鋼板に最も大きな応力が働き、形状が崩れる。なお、Ms点とはマルテンサイト変態が開始する温度のことであり、Mf点とはマルテンサイト変態が終了する温度のことである。
また、Ms点からMf点にかけてマルテンサイト変態が生じるが、この温度域での金属板の冷却速度が低下すると、金属板の材料特性(例えば引張強度)も低下する。
そして、本発明者らの検討によると、急冷焼入れ時の金属板の変形を抑制するために特許文献3のように拘束ロールで金属板を両面側から拘束すると、特に高温の金属板と接する拘束ロールの近傍において、ノズルから金属板に向かって噴射された冷却水が拘束ロールに阻まれて流速が低下し冷却水が金属板の両面まで到達し難くなることにより、拘束ロールの近傍にて金属板の冷却速度の低下が起こりやすいことが見出された。
本発明は上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1] 高温の金属板を液体に浸漬させて冷却する急冷焼入れ装置であって、
前記金属板を浸漬させる液体を収容する浸漬槽と、
少なくとも一部が前記浸漬槽に収容される液体中に位置するように設けられ、前記金属板の両面側から前記金属板に冷却液を噴射する複数のノズルを備えた液体噴射装置と、
前記ノズルと前記金属板が通過する金属板通板ラインとの間に設けられ、前記金属板を拘束する一対の拘束ロールとを備え、
前記拘束ロールが、前記液体噴射装置の前記ノズルから噴射される冷却液が通過可能な溝を有することを特徴とする急冷焼入れ装置。
[2] 前記溝は、溝幅が5〜20mm、溝深さが5〜20mmであることを特徴とする[1]に記載の急冷焼入れ装置。
[3] 前記溝のピッチは、6.5〜35mmであり、溝幅の1.3倍以上2.0倍以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の急冷焼入れ装置。
[4] 前記拘束ロールは、前記拘束ロールの前記溝が設けられていない外周面に、前記金属板より軟質な素材からなる軟質層を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1つに記載の急冷焼入れ装置。
本発明の急冷焼入れ装置によれば、金属板を両面側から拘束する拘束ロールを設けることにより高温の金属板の急冷焼入れ時に金属板に発生する形状不良(変形)を抑制しつつ、拘束ロールの近傍において金属板の冷却速度が一時的に低下してしまうことを抑制することができる。したがって、本発明の急冷焼入れ装置を用いることにより、形状が良好で且つ所望の引張強度等の材質特性を有する金属板を製造することができる。
実施形態1の急冷焼入れ装置を示す模式図である。 図1の急冷焼入れ装置の水噴射装置付近を示す拡大図である。 急冷焼入れ装置の拘束ロールを説明する模式図である。 実施形態1の急冷焼入れ装置の拘束ロールの断面図である。 実施形態1の急冷焼入れ装置の拘束ロールの他の例を示す断面図である。 実施形態2の急冷焼入れ装置の拘束ロールの断面図である。
(実施形態1)
本実施形態の急冷焼入れ装置を、図1〜図4を用いて説明する。図1は、実施形態1の急冷焼入れ装置を示す模式図である。図2は、図1の急冷焼入れ装置の水噴射装置付近を示す拡大図である。図3は、急冷焼入れ装置の拘束ロールを説明する模式図であり、図3(a)は従来技術にかかる急冷焼入れ装置の拘束ロールの模式図であり、図3(b)は実施形態1の急冷焼入れ装置の拘束ロールを説明する模式図である。図4は、実施形態1の急冷焼入れ装置の拘束ロールの断面図である。この急冷焼入れ装置は、連続焼鈍炉の均熱帯の出側に設けられた冷却設備に適用される。
図1に示すように、本実施形態の急冷焼入れ装置10は、鋼板(鋼帯)11を浸漬させる水12を収容する水槽(浸漬槽)13と、鋼板11に冷却水を噴射する水噴射装置14を備えている。また、急冷焼入れ装置10は、水槽13に収容される水12中に位置するように設けられ、鋼板11の搬送方向(通板方向)を変更するシンクロール15を備えている。
そして、水噴射装置14は、その一部が水槽13内に収容される水12中に位置するように設けられ、図1においては、鋼板11が通過する鋼板通板ラインの両側に相対し所定の隙間を介して設置されている。また、水噴射装置14は、鋼板11の幅方向に延び鋼板11にその両面側から冷却水を噴射する複数のノズル16を有している。ノズル16は、鋼板11が通過する鋼板通板ラインの両側に、鋼板11の搬送方向に所定の隙間を介して、図1においては8つずつ配置されている。また、図1においては、ノズル16は全て、水槽13内に収容される水12中に位置するように設けられている。
また、急冷焼入れ装置10は、鋼板11をその両側から拘束する一対の拘束ロール20を備えている。図1においては、拘束ロール20は、その中心軸が鋼板11の搬送方向と垂直になるように配置されている。そして、拘束ロール20は、鋼板通板ラインとノズル16との間に設けられている、すなわち、拘束ロール20は、水噴射装置14のノズル16から鋼板11に噴射された冷却水が鋼板11へ向かう流路上に設けられている。また、図1においては、拘束ロール20は、水槽13に収容される水12中に配置されるように設けられている。
このような急冷焼入れ装置10では、水噴射装置14の少なくとも一部が水12中に位置するように水槽13に水12が収容され、鋼板11を連続的に通板しながら加熱、均熱、冷却および再加熱を行う連続焼鈍炉の均熱帯から排出された高温の鋼板11が、水槽13の上方から水12中に搬送される。そして、水噴射装置14のノズル16から鋼板11の両面に冷却水が噴射され、鋼板11が急冷される。このように水12中への浸漬および冷却水の噴射により例えば冷却水の温度まで冷却された鋼板11は、水槽13の出口19から排出されて、次の工程へと搬送される。
ここで、鋼板11は、水槽13に収容された水12中、すなわち水槽13の水面より下方において、水噴射装置14のノズル16から噴射された冷却水によって急冷されることにより熱収縮する。特に、鋼板11がマルテンサイト変態を生じるような材料の場合には、鋼板11の温度がマルテンサイト変態が開始する温度であるMs点からマルテンサイト変態が終了する温度であるMf点となったときに、鋼板11に急激な熱収縮と変態膨張が同時に生じ、鋼板11に働く応力が最も大きくなり、形状が崩れる。
この鋼板11の変形を抑制するために、本実施形態ではマルテンサイト変態が生じる領域に、鋼板11を拘束する一対の拘束ロール20を水12中に配置している。すなわち、水噴射装置14のノズル16と鋼板通過ラインとの間であって所定の鋼板搬送方向の位置に、一対の拘束ロール20を配置して拘束ロール20で鋼板11を両面側から拘束することにより、鋼板11を急冷する際に鋼板11に発生する変形を抑制している。Ms点からMf点の間に鋼板11は膨張し、また、Mf点に近づくに従って鋼板11のマルテンサイト変態が進行し、変形しにくくなることから、鋼板11の温度がMs点に達する位置の直後に拘束ロール20を配置することが望ましい。なお、Ms点やMf点の温度は、鋼板11の成分組成から算出することができる。また、鋼板11がMs点に達する位置は、鋼板11に熱電対を取り付けて焼入れを行う等の方法により決定することができる。
そして、本発明においては、急冷焼入れ装置10が有する拘束ロール20は、水噴射装置14のノズル16から噴出される冷却水が通過可能な溝を少なくとも一つ有する。具体的には、急冷焼入れ装置10が有する拘束ロール20は、図3(a)に示す従来の急冷焼入れ装置が有する円筒状の拘束ロール40の外周に、例えば円周方向の溝が設けられた形状を有する。換言すると、拘束ロール20は、図3(b)および図4に示すように、中心軸側に凹んだ溝部22と、従来の円筒状の拘束ロール40の外周部を維持した非溝部23とを有する。このように拘束ロール20が溝部22を有することにより、水噴射装置14から噴出される冷却水が溝部22を通過可能になるため、拘束ロール20近傍で鋼板11の冷却速度が低下することを抑制できる。
詳述すると、図2において矢印で示されるように、水噴射装置14の内側において、水噴射装置14のノズル16から噴射された冷却水は、鋼板11の両面に当たる。この際に、拘束ロール20よりも鋼板11の搬送方向の上流側に位置するノズル16aからの冷却水および鋼板11の搬送方向の下流側に位置するノズル16cから噴射された冷却水は鋼板11に当たって十分な冷却能を発揮する。一方で、拘束ロールと鋼板11の搬送方向で重なる位置にあるノズル16bから噴射された冷却水は、従来技術にかかる急冷焼入れ装置においては、拘束ロールに鋼板11への流路が阻まれるため、流速が低下し鋼板11まで到達し難くなる。このため、従来技術にかかる急冷焼入れ装置においては、拘束ロールの近傍において冷却速度が低下しやすくなることが見出された。
そして、拘束ロールは鋼板11と接触していることから、流速が最も低下する位置は拘束ロールと鋼板11との接点近傍である。したがって、鋼板11の冷却速度の低下を抑制するためには、拘束ロールと鋼板11との接点近傍において拘束ロールにより生じる冷却水の流速の低下を抑制すればよい。このような知見に基づいて、本発明においては、拘束ロール20として、水噴射装置14から噴出される冷却水が通過可能な溝を有するものを用いることとした。拘束ロール20に溝を設けることにより、拘束ロール20と鋼板11との接点において、冷却水の流れを阻害しにくくすることができ、拘束ロール20と鋼板11との接点近傍の冷却水の流速の低下を抑制し冷却水を鋼板11に到達できるようにすることができる。これにより、本発明においては、拘束ロール20により急冷焼入れ時に鋼板11に発生する形状不良を抑制しつつ、所望の材質特性を有する鋼板11(例えば高張力鋼板)に必要な冷却速度を確保することができる。なお、図3(b)および図4においては、複数の溝部22を有する場合を例示したが、拘束ロール20は溝部22を少なくとも1つ有していればよい。ただし、冷却速度の低下の抑制効果が高くなるため、拘束ロール20は溝部22を複数有することが好ましい。また、溝部22の形状は、ノズル16から噴射される冷却水が通過可能であればよく、図3(b)および図4の形状に限定されず、例えば、円筒状のロールの外周に螺旋状に設けられていてもよい。
拘束ロール20が有する溝の幅(溝幅w)は、5〜20mmが好適である。溝幅がこの範囲内であれば、溝幅が狭すぎることにより生じる冷却水の流れの阻害や、ロール際での冷却能力の低下が生じ難く、また、溝幅が広すぎることによる拘束ロールの形状制御能力の低下が抑制される。また、拘束ロール20が有する溝の深さ(溝深さd)は、5〜20mmが好適である。溝深さがこの範囲内であれば、溝深さが浅すぎることにより生じる冷却水の流れの阻害や、ロール際での冷却能力の低下が生じ難く、また、溝深さが深すぎることにより生じる拘束ロールの剛性の低下や、形状制御能力の低下が抑制される。また、拘束ロール20が有する溝のピッチ(溝と溝との間隔p)は、6.5〜35mmが好適である。溝のピッチがこの範囲内であれば、溝のピッチが細かすぎる(小さすぎる)ことにより生じる形状制御能力の低下が生じ難くなり、また、溝のピッチが粗すぎる(大きすぎる)ことによる冷却能力の低下の発生が抑制される。拘束ロール20が有する溝のピッチpは、溝幅wの1.3倍以上2.0倍以下であることが好適である。溝幅wに対する溝のピッチpの割合が図4の拘束ロールよりも小さい拘束ロールの例を図5に示す。図5は、実施形態1の急冷焼入れ装置の拘束ロールの他の例を示す断面図であり、図5の拘束ロール20Aは、溝のピッチpが溝幅wの1.3倍である。
一対の拘束ロール20は、その中心軸を鋼板11の搬送方向に互いにずらして配置してもよいが、拘束ロール20近傍では、冷却能力が変化し、鋼板11表裏面の温度差(両面での温度差)が発生して反りの原因になるため、図1等に示すように、中心軸は鋼板11の搬送方向に互いにずらさずに配置することが望ましい。なお、拘束ロール20の材質は特に限定されないが、例えば金属製である。
上記では、マルテンサイト変態を生じさせる冷却を行なう急冷焼入れ装置について記載したがこれに限定されず、その他の変態をさせる冷却を行なってもよい。
また、上記では、連続焼鈍炉の均熱帯の出側に設けられた急冷焼入れ装置について記載したがこれに限定されず、その他の加熱炉の出側に設けられてもよい。
また、上記では水噴射装置14の一部が水12中に配置された急冷焼入れ装置について記載したが、水噴射装置14全体が水12中に浸漬されていてもよい。
また、上記ではノズル16として鋼板通板ラインの両側にそれぞれ8つずつノズル16を設けた急冷焼入れ装置について記載したが、鋼板11を両面側から冷却できればよく、鋼板通過ラインの両側にそれぞれ1つずつでも、それぞれ複数設けられていてもよい。
また、上記では、鋼板を水冷する例を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。本発明の技術思想は広く、鋼板以外の金属板全般の冷却に適用することができ、また、水以外の液体により冷却する急冷焼入れ装置全般にも適用可能である。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2の急冷焼入れ装置の拘束ロールの断面図である。本実施形態の急冷焼入れ装置は、拘束ロールとして軟質層を有する拘束ロール20Bを用いた以外は実施形態1と同様であり、重複する説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の急冷焼入れ装置が有する拘束ロール20Bは、拘束ロール20Bの溝(溝部22)が設けられていない外周面、すなわち、非溝部23の表面に、鋼板11より軟質な素材からなる軟質層31を有する。本発明においては拘束ロールとして溝を設けたものを用いているが、非溝部23が角を有すると、該角が鋼板11と接触し、疵の発生原因となる場合がある。そのため、本実施形態においては、拘束ロール20Bの非溝部23の表面に、鋼板11より軟質な素材からなる軟質層31を設けている(ライニング)。なお、溝部22には、軟質層31は設けなくてもよい。軟質層31を構成する鋼板11より軟質な素材(ライニング材)の耐熱温度はMs点以上が望ましく、400℃以上が好適である。軟質層31の厚さ(ライニング厚)aは、拘束ロール20Bの金属製の箇所と鋼板11が接触しない程度であればよく、例えば5mm以上である。また、ライニング材の硬度(Hs)は、例えば50以上100以下であればよい。
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、実施例はなんら本発明を限定するものではない。
図1の急冷焼入れ装置10を用い、板厚1.0mm、板幅1m、引張強度1470MPa級の高張力冷延鋼板を、通板速度100mpmで製造した。鋼板11の焼入れ開始温度(水槽13への浸漬開始温度)が750℃で、水温30℃まで冷却を行った。鋼板11の温度が400℃となる位置に一対の拘束ロール20を設置した。
実施例1〜13では、拘束ロールとして表1に記載する寸法の溝を設けた拘束ロール20を用いた。また、実施例14〜21については、拘束ロールとして、表1に記載する寸法の溝を有し且つ溝以外の部分(非溝部23)に耐熱ゴム(尾高ゴム株式会社 ハイマックスI)によるライニングを行ってゴム層(軟質層31)を設けた図6の拘束ロール20Bを用いた。表1にゴム層の厚さおよびゴム硬度を示す。なお、ゴム硬度Hsについては、デュロメータを用い、JIS K 6253に準拠して測定した。
実施例および比較例で製造された鋼板について、引張強度、鋼板形状、疵面積率を評価した。評価結果を表1に示す。引張強度は、引張方向が圧延方向となるように、JIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施して求め、引張強度が1470MPa未満の場合は×、1470MPa以上1500MPa未満の場合は○、1500MPa以上の場合は◎と評価した。また、鋼板形状判定については、鋼板の反りが7mm以下の場合は◎、鋼板の反りが7mm超え10mm以下の場合は○、鋼板の反りが10mm超えの場合は×とした。疵については、検査台において、鋼板表面の拘束ロール起因の疵の拘束ロール外周面全体に対する面積率を表2に記述した。
拘束ロールにノズル16から噴射された冷却水が通過できる溝を有する実施例1〜21では、鋼板の形状が良好であり、且つ、引張強度が高く冷却速度低下が抑制されていることが確認された。溝幅5〜20mm、溝深さ5〜20mm、溝のピッチが6.5〜35mm、溝のピッチが溝幅の1.3倍以上2.0倍以下を満たす溝を有する拘束ロールを用いた実施例2〜4、7〜8、11、12、14〜21では、引張強度がより高く冷却速度低下の抑制効果が高く、且つ、鋼板形状もより良好であった。また、ゴム層を設けた実施例14〜21では、拘束ロールによる疵の発生も抑制されていた。一方、溝を有さない拘束ロールを用いた比較例1では、鋼板の形状は良好なものの、引張強度が所定の数値に到達しておらず、実施例に比べて冷却速度が低下していた。
Figure 0006624113
10 急冷焼入れ装置
11 鋼板
12 水
13 水槽
14 水噴射装置
15 シンクロール
16 ノズル
19 出口
20、20A、20B 拘束ロール
22 溝部
23 非溝部
31 軟質層

Claims (3)

  1. 高温の金属板を液体に浸漬させて冷却する急冷焼入れ装置であって、
    前記金属板を浸漬させる液体を収容する浸漬槽と、
    少なくとも一部が前記浸漬槽に収容される液体中に位置するように設けられ、前記金属板の両面側から前記金属板に冷却液を噴射する複数のノズルを備えた液体噴射装置と、
    前記ノズルと前記金属板が通過する金属板通板ラインとの間に、前記金属板の温度がMs点からMf点である領域に設けられ、前記金属板を拘束する一対の拘束ロールとを備え、
    前記拘束ロールが、溝幅が5〜20mm、溝深さが5〜20mmであり、溝のピッチが、6.5〜35mmで、且つ、溝幅の1.3倍以上2.0倍以下であり、前記液体噴射装置の前記ノズルから噴射される冷却液が通過可能な溝を有することを特徴とする急冷焼入れ装置。
  2. 前記拘束ロールは、前記拘束ロールの前記溝が設けられていない外周面に、前記金属板より軟質な素材からなる軟質層を有することを特徴とする請求項1に記載の急冷焼入れ装置。
  3. 前記溝は、前記拘束ロールの外周に螺旋状に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の急冷焼入れ装置。
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