JP2011206793A - 鋼板の冷却方法、製造方法および製造設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板表面硬さの低い高強度鋼板を製造する鋼板の冷却方法、製造方法および製造設備を提供する。
【解決手段】テーブルロール及び該テーブルロールに対向する水切りロールによって区切られた複数の冷却ゾーンを備え、鋼板の上下面に水量密度2.0m/m ・min以上で冷却水を供給する冷却設備を用いた鋼板の冷却方法であって、熱間圧延後の鋼板を、Ar点以上の温度から、最上流側の冷却ゾーンで鋼板表層部がマルテンサイト変態開始点以下の温度となるまで加速冷却を行った後、続く1または複数の冷却ゾーンを空冷区間として一旦加速冷却を中断し、鋼板表層部温度が640℃以上となるまで復熱した後、その後の冷却ゾーンで鋼板の板厚平均温度が520℃以下となるまで再び加速冷却することを特徴とする鋼板の冷却方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板の冷却方法、製造方法および製造設備に関するものである。
熱間圧延によって厚板や薄板などの鋼板を製造するプロセスでは、例えば図7に示すような設備において、熱間粗圧延、仕上圧延を行った後、水冷または空冷を行って組織を制御している。水冷によって比較的低い温度、例えば450〜650℃程度に冷却すると、微細なフェライトやベイナイト組織が得られ、鋼板の強度を確保できるので、スプレー冷却水やラミナー冷却水などによって鋼板を冷却する技術が一般的である。
また近年では、鋼板の上下面に多数設置したノズルから冷却水を、高速で噴射して、非常に高い冷却速度を得て組織をより微細化し、鋼板の強度を上げる技術開発が盛んである。
しかし、高い冷却速度によって鋼板の強度を上げると、鋼板の用途によっては、急冷によって鋼板の表層が硬くなりすぎて、伸びが低下したり、溶接性が悪化したりする場合がある。これを防ぐための技術として、特許文献1の技術がある。
特許文献1の技術は、圧延長が長くなるラインパイプ用鋼板の鋼板の先端と尾端との冷却停止温度の偏差を縮小して、鋼板長手方向で均一な材質を得る目的で、鋼板先端部が加速冷却装置に搬入され、鋼板尾端が加速冷却装置を抜けるまで、一定の加速率で加速して、鋼板先端部から尾端部にかけて次第に鋼板の搬送速度が速くなるようにしたものである。
このようにすることによって、冷却停止温度の鋼板長手方向での偏差を縮小し、更に間欠冷却を行うことで冷却停止温度を上昇させて所望の冷却速度に制御しようとするものである。
特開2005−154841号公報
特許文献1の技術は、板厚が比較的薄い(20mm以下)鋼板ではある程度効果を得られるが、板厚が50mm以上ある鋼板では、所定の冷却開始温度から冷却終了温度まで冷却するには、冷却時間を長く設定する必要があるため、搬送速度を比較的遅く(例えば0.1〜0.8m/s程度)しなければならない。搬送速度が遅いほど、最初の1ゾーンで冷却される時間が長くなって、鋼板の表層が特に急冷され、マルテンサイト変態開始点(以下、Ms点とよぶ)以下まで一気に冷却されることとなる。したがって、板厚が厚く、搬送速度が遅い鋼板に対しては、特許文献1の技術では鋼板表面の硬度上昇を十分に抑えることができないという問題がある。
また、上面冷却を行った後に、次の冷却ゾーンで空冷を行う場合であっても、鋼板の形状が悪い場合などで水切りロールによって完全に水を切れない場合がある。このような場合、空冷ゾーンの鋼板上面で乗り水による冷却が行われ、十分な復熱ができず、表層の硬度を低減することができなくなる。部分的にであっても硬度が上限を超える場合があると、品質が保証できないという問題がある。
更に、空冷による復熱時間が長すぎるとその後の水冷の時間が足りず、冷却不足となる場合があるし、逆に復熱時間が短すぎると、鋼板表層の焼戻しが十分に行われず、硬度が許容上限を超えるという問題もある。
本発明は、上記に鑑み、熱間圧延後の鋼板の上下面に冷却水を供給する場合において、鋼板表面の硬度上昇を抑制し、かつ十分な強度をもつ鋼板を製造する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する。
第一の発明は、テーブルロール及び該テーブルロールに対向する水切りロールによって区切られた複数の冷却ゾーンを備え、鋼板の上下面に水量密度2.0m/m ・min以上で冷却水を供給する冷却設備を用いた鋼板の冷却方法であって、熱間圧延後の鋼板を、Ar点以上の温度から、最上流側の冷却ゾーンで鋼板表層部がマルテンサイト変態開始点以下の温度となるまで加速冷却を行った後、続く1または複数の冷却ゾーンを空冷区間として一旦加速冷却を中断し、鋼板表層部温度が640℃以上となるまで復熱した後、その後の冷却ゾーンで鋼板の板厚平均温度が520℃以下となるまで再び加速冷却することを特徴とする鋼板の冷却方法である。
第二の発明は、鋼板の板厚が50mm以上であり、冷却設備を通過する鋼板の搬送速度を1.0m/s以下とすることを特徴とする第一の発明に記載の鋼板の冷却方法である。
第三の発明は、第一または第二の発明に記載の鋼板の冷却方法により鋼板を冷却するとともに、前記最上流側の冷却ゾーン入側および前記空冷区間内に設けられた幅方向温度計を用いて鋼板上面の幅方向温度を測定し、これら測定された鋼板上面の幅方向温度から冷却開始温度および前記空冷区間における鋼板表層部の復熱温度とそれぞれの基準温度とを比較することにより、冷却後の鋼板表層部の硬度が許容値内か否かを判定することを特徴とする鋼板の製造方法である。
第四の発明は、テーブルロール及び該テーブルロールに対向する水切りロールによって区切られた複数の冷却ゾーンを備え、鋼板の上下面に水量密度2.0m/m ・min以上で冷却水を供給する鋼板の冷却設備と、該冷却設備の入側に設置された幅方向温度計と、前記複数の冷却ゾーンのうち、少なくとも上流側から第3または第4の冷却ゾーンに設置され、該冷却ゾーンが空冷区間である時に鋼板上面の幅方向温度を測定する幅方向温度計と、これら幅方向温度計により測定された鋼板上面の温度から冷却開始温度および前記空冷区間における鋼板表層部の復熱温度とそれぞれの基準温度とを比較することにより、冷却後の鋼板表層部の硬度が許容値内か否かを判定する表層硬度合否判定手段とを備えたことを特徴とする鋼板の製造設備である。
本発明の厚鋼板の冷却方法、製造方法および製造設備を用いることにより、鋼板表面の硬度上昇を抑制し、かつ十分な強度をもつ鋼板を製造することができる。また、製造された鋼板表層部の硬度が許容値内であることを保証することができる。
本発明の一実施形態に係る冷却設備の側面図である。 本発明の一実施形態に係る冷却設備の前半部分の側面図である。 本発明の設備によって鋼板を冷却した時の温度測定値の時間変化の一例を示す図である。 本発明の設備によって鋼板を冷却した時の幅方向温度分布の一例を示す図である。 本発明の設備によって鋼板を冷却した時の温度履歴の一例を示す図である。 本発明の設備と従来の設備で冷却した時の鋼板表層の硬さのばらつきを示す図である。 厚板圧延ラインの概略を説明する図である。
以下、厚板圧延プロセスにおける本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
図7は、本発明の実施に供する厚板圧延ラインの一例を示す概略図である。
加熱炉から抽出されたスラブは圧延機によって粗圧延と仕上圧延が施され、所定の仕上温度、仕上板厚とされた後、オンラインにて加速冷却設備に搬送される。冷却前にプリレベラを通して鋼板の形状を整えてから加速冷却を行うのが冷却後の鋼板形状には好適である。加速冷却設備では、鋼板上面側では、搬送方向に沿って膜状の冷却水を流す冷却設備が、鋼板下面側では、棒状冷却水を供給する冷却設備が配列されている。
そして、図1は本発明の一実施の形態における冷却設備全体を示した側面図である。
テーブルロール4,4間を1ゾーンとする冷却ゾーンが多数設けられており、それぞれのゾーンの上下に冷却ヘッダ1、2が配置されている。第1冷却ゾーンの入側、第3または第4冷却ゾーン、最終ゾーンの出側の上方に、それぞれ幅方向温度計5a、5b、5cがあり、搬送中の鋼板上面の幅方向温度を測定する。
図2は、本発明の一実施の形態における冷却設備の前半部分を示した側面図である。本冷却設備は、少なくともその前半部分に、テーブルロール4及びテーブルロール4に対向する水切りロール3によって区切られた複数の冷却ゾーンを備えている。そして、それぞれのゾーンの上下に配置された冷却ヘッダ1、2から、鋼板の上下面に水量密度2.0m/m ・min以上で冷却水を供給可能となっている。ここで、水量密度2.0m/m・min以上としたのは、水量密度が2.0m/m ・min未満では、鋼板面内でマルテンサイト変態する部分とベイナイト変態する部分が混在して、強度や伸びなどの製品材質がばらつく場合があるからである。なお、図2に示す冷却設備の例では、鋼板上面側は搬送方向に沿って膜状の冷却水を流す冷却設備が、鋼板下面側は棒状冷却水を供給する冷却設備が配置されているが、本発明の冷却設備の冷却方式はこれに限定されるものではない。
また、冷却設備の入側すなわち第1冷却ゾーンの入側には冷却開始前の鋼板上面の幅方向温度を測定する幅方向温度計5aが、さらに第3または第4の冷却ゾーンには当該冷却ゾーンが空冷区間である時に鋼板上面の幅方向温度を測定可能な幅方向温度5bが設置されている。これらの幅方向温度計5a、5bは、鋼板幅方向全体を同時に温度測定できるものでもよいし、幅方向に移動しながら幅方向全体の温度測定を行う走査型のものでもよい。そして、詳細は後述するが、これら幅方向温度計5a、5bにより測定された鋼板上面の幅方向温度から、冷却後の鋼板表層部の硬度が許容値内か否かを判定する表層硬度合否判定手段7を備えている。
次に、本発明の鋼板の冷却方法は、図1および図2に示したような複数の冷却ゾーンを備えた冷却設備を用いて、熱間圧延後の鋼板を、Ar点以上の温度から、最上流側の冷却ゾーンで鋼板表層部がマルテンサイト変態開始点(Ms点)以下の温度となるまで加速冷却し、続く1または複数の冷却ゾーンを空冷区間として冷却水を供給せずに一旦加速冷却を中断して鋼板表層部温度が640℃以上となるまで復熱させ、さらにその後の冷却ゾーンで冷却水を供給して鋼板の板厚平均温度が520℃以下となるまで再び加速冷却する。以下、詳細に説明する。
熱間圧延によって所定の寸法となった鋼板は、プリレベラによって形状が矯正された後、冷却設備内に搬送される。ここで、冷却開始温度はAr点以上の温度とする。冷却開始温度がAr点未満であると、冷却開始前に粗大なフェライトが一部変態生成して強度低下の原因となるからである。なお、冷却開始温度は、冷却設備入側の幅方向温度計5aにより計測される温度から、全幅でAr点以上の温度となっているか否かが確認される。
次に、冷却設備内に搬送された鋼板は、最上流側の冷却ゾーンすなわち第1冷却ゾーンにおいて、水量密度2.0m/m ・min以上で供給される冷却水によって、鋼板表層部がMs点以下となるまで急速冷却される。冷却水を大量に供給するので、鋼板表層1mm深さでの冷却初期の冷却速度は、100℃/s以上となる。
ここで、鋼板表層部がMs点以下となるまで急速冷却するのは、鋼板全面で一様にマルテンサイト変態をさせるためである。ちなみに、板厚が厚く、搬送速度の遅い鋼板の冷却において、鋼板全面にわたって表層部をベイナイト変態させるのは不可能である。それは、搬送速度が遅いと第1冷却ゾーンでの冷却時間が長くなり表面温度の低下を制御するのが難しいうえ、冷却水のかかり方や鋼板表面のスケール状態などが各部分によって異なるからである。
ここで、水切りロール3は搬送ラインのテーブルロール4と同じピッチで設置されるので、1ゾーン当りの長さは、テーブルロール間距離と同じく、0.8〜1.2m程度である。鋼板の板厚が50mm以上と厚く、搬送速度が遅い場合、例えば0.2m/sの時は、1ゾーン当り4〜6sの間水冷される。したがって、最初の水冷ゾーンを通過するだけで、鋼板表層の温度はMs点以下になる。
次に、第2〜4冷却ゾーンは空冷区間として冷却水を供給しないで、鋼板表層部が640℃以上となるまで復熱させる。鋼板表層部を640℃以上まで復熱させることにより、表層部が焼戻されて、表層の硬度上昇を抑制することができる。ここで、鋼板表層部が640℃以上まで復熱するのであれば空冷区間は1ゾーンでもよいが、通常は2ゾーン以上が必要である。また、空冷区間は4ゾーン以上であってもよいが、必要以上に長くするとその後の水冷時間が短くなるので、鋼板表層部が640℃以上まで復熱するのに必要十分なゾーン数を空冷区間として適宜選択することが好ましく、通常は2または3ゾーンとすればよい。
なお、水冷ゾーンと空冷ゾーンの間の水切りロール3での水切りが完全でなく、上流側の水冷ゾーンから冷却水が漏れてくることがまれにあるが、このような場合は、十分に復熱しない。したがって、鋼板上面の温度は、鋼板の上方に設置した幅方向温度計で必ず測定して、目標の温度以上に復熱したことを確認する必要がある。そこで、本発明では、空冷区間内に鋼板上面の幅方向温度を測定可能な幅方向温度計5bを設置して、空冷区間内で復熱した鋼板表面温度を測定する。その設置位置は、第2冷却ゾーンではまだ復熱が十分でない可能性が高いため、少なくとも第3または第4冷却ゾーンとすることが好ましい。水冷を1ゾーン、空冷を3ゾーンとする場合が最も多いことから、その場合には第4冷却ゾーンにつければよい。さらに、2ヶ所以上に設置するのは設備コストがかかるが、品質保証上重要であれば、第5冷却ゾーン以降を含めて2箇所以上に設置してもよい。なお、鋼板下面側では、上流側の水冷ゾーンからの冷却水の漏れの問題はないので、幅方向温度計でわざわざ復熱後の温度を確認する必要はない。
そして、空冷区間後の冷却ゾーンで再び冷却水を供給して、鋼板の板厚平均温度が520℃以下となるまで冷却する。目的とする強度および靭性を確保するためである。なお、冷却停止温度の下限は、目標とする強度や靭性により適宜決定すればよい。例えば、高い強度や靭性が要求される場合は、板厚平均で400℃とする場合がある。あるいは要求される強度や靭性が厳しくなければ、冷却停止温度の下限はもう少し高くした方が制御しやすいので、460℃とする場合もある。
図3は、図2に示した冷却パターンを適用した時の鋼板の温度履歴の一例であり、表層1mm深さ、板厚平均、板厚中心について示している。表層1mm深さでは、第1冷却ゾーンでの水冷により、Ms点以下(例えば380℃)となるが、その後の復熱によって660℃まで上昇するので、これによって表層部が焼戻されて、鋼板表面の硬度上昇を抑制することができる。
これに対して、板厚中心部を含む部分では水冷後の空冷区間で復熱中に熱拡散しても、まだAr変態点よりは高い。したがって、空冷後に再開する水冷中に初めて変態を開始するので、その水冷の冷却能力が高ければ組織が微細化して、高強度、高靭性が得られる。
図4は、幅方向温度計5bによって測定した温度分布の一例である。最エッジの部分を除いた測定有効幅のうち、データ処理によって最高温度と最低温度を抽出して出力する。
図5は、3つの幅方向温度計5a、5b、5cによって測定された温度分布を図4で説明した手法によりデータ処理した温度の鋼板長手方向分布を示したものであり、冷却開始時の最低温度、空冷区間での復熱時の最低温度、冷却終了(停止)時の最高・最低温度を示している。図5に示すように、冷却開始時の最低温度が全長にわたって許容値下限を上回っていれば、鋼板全面がAr点以上から冷却開始されたことが保証される。空冷区間での復熱時の最低温度が全長にわたって許容値下限を上回っていれば、鋼板全面の表層部分が焼戻しされ、硬度上昇を抑制できたことが保証される。冷却停止時の最高温度が許容上限を下回り、最低温度が許容下限を上回っていれば、目的とする強度、靭性が確保できたことが保証される。
したがって、図2に示す実施の形態では、表層硬度合否判定手段7を設けている。この表層硬度合否判定手段7は、幅方向温度計5a、5bによる鋼板上面の幅方向温度測定値を取り込み、幅方向温度計5aにより測定された冷却開始温度が基準温度(Ar点)以上の温度であるか否か、また、幅方向温度計5bにより測定された空冷区間における鋼板表層部の復熱後の温度が基準温度(640℃)以上であるか否かを判断し、いずれの条件も満足していれば、冷却後の鋼板表層部の硬度が許容値内であると判定する。
一方、例えば復熱温度が十分でない部分が測定されれば、その部分を鋼板表層の硬度上昇が許容値を超えた不良部であると判定し、その部分を切り捨てて出荷することによって品質を保証できるし、輻射加熱や誘導加熱するなど公知の技術を使うことによって、その部分の表層だけを焼戻しすることも可能である。
このように、本発明によれば、最初の水冷後の空冷中に、鋼板温度分布を全幅,全長に亘って測定することによって、復熱後の表面温度を鋼板全面にわたって確認することができるので、得られた製品の表層の硬度上昇が抑制されていることを保証することができる。
なお、本発明で硬度を抑制する鋼板表層部とは、鋼板表面から1mm以上3mm以内の深さの部分をいう。最表層1mm未満の部分を評価しないのは、スケールが付着していたり、脱炭の影響などにより、製品の表層硬さの代表的な値として適切ではないからである。また、表層から3mmを超える深さでは、表面からの熱伝導に時間がかかり、冷却速度がそれほど高くないから、硬度上昇は問題とならない。ちなみに、表層1mm深さの温度は、冷却開始前と冷却終了復熱後の鋼板表面温度の測定値と、水冷時間を把握すれば、一般的な熱伝導温度解析で容易に求めることができる。
以下、本発明の一実施例として、厚板圧延のプロセスにおいて、降伏応力355MPaクラスで表面のビッカース硬さの上限がHv350の造船用鋼板の冷却を行う場合について、図面に基づいて説明する。
図7に概略を示す厚板圧延設備において、加熱炉から抽出されたスラブを圧延機によって、成形、幅出し圧延を行った後、粗圧延を行い、さらに仕上圧延を行って板厚を80mm、板幅を4.5mとした。仕上圧延直後に測定した鋼板表面温度、すなわち仕上温度は800℃であった。この後に、プリレベラを通して、加速冷却設備において加速冷却を行った。冷却開始温度780℃、冷却終了温度420℃とし、その間の冷却条件は下記の通りである。なお、鋼板の搬送速度は、12.5mpmであった。
本発明例として、前記実施形態に示した冷却設備を用いた。
本冷却設備は、図2に示すように、テーブルロール間(距離は1m)を1ゾーンとして、最上流の第1冷却ゾーンで水冷を行った。その後、3ゾーンを空冷区間として復熱させ、残り8ゾーンで再び水冷を行った。
各水冷ゾーンでは、鋼板上面に2.0m/m min、鋼板下面に2.5m/m minの水量密度で冷却水を供給した。
鋼板の全幅全長について得られた温度実績は、以下の通りであった。冷却開始温度は、許容下限温度(Ar点温度)780℃に対して785℃以上の温度が得られた。最初の水冷により鋼板表層部を許容上限温度(Ms点温度)380℃に対して350℃以下の温度まで冷却した。復熱後の到達温度は、許容下限温度640℃に対して650℃以上の温度が得られた。冷却停止温度は、許容上限温度430℃、許容下限温度370℃に対して最高温度420℃、最低温度380℃が得られた。
温度の測定値は全て許容範囲内であったから、鋼板全面の品質を保証することができた。鋼板からサンプルを切り取って硬度測定を行った結果は、ビッカース硬さHv(荷重98N)は、図6に示すように最高でHv300であり、硬度の許容上限Hv350を十分満足した。
比較例として、特許文献1に記載された方法により、第1、3、5〜11ゾーンで水冷を行い、第2、4ゾーンで空冷を行った場合について調べた。硬度測定結果は、最高でHv400となり、硬度の許容上限Hv350を大きく上回った。これは、復熱による温度回復が十分でなかったためである。硬さを低減するためにC含有率を下げ、強度を維持するために、NbやMnを添加しなければならなかったので、発明例に比較して製造コストが高くなった。
1 上面冷却ヘッダ
2 下面冷却ヘッダ
3 水切りロール
4 テーブルロール
5 幅方向温度計
6 鋼板

Claims (4)

  1. テーブルロール及び該テーブルロールに対向する水切りロールによって区切られた複数の冷却ゾーンを備え、鋼板の上下面に水量密度2.0m/m ・min以上で冷却水を供給する冷却設備を用いた鋼板の冷却方法であって、熱間圧延後の鋼板を、Ar点以上の温度から、最上流側の冷却ゾーンで鋼板表層部がマルテンサイト変態開始点以下の温度となるまで加速冷却を行った後、続く1または複数の冷却ゾーンを空冷区間として一旦加速冷却を中断し、鋼板表層部温度が640℃以上となるまで復熱した後、その後の冷却ゾーンで鋼板の板厚平均温度が520℃以下となるまで再び加速冷却することを特徴とする鋼板の冷却方法。
  2. 鋼板の板厚が50mm以上であり、冷却設備を通過する鋼板の搬送速度を1.0m/s以下とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷却方法。
  3. 請求項1または2に記載の鋼板の冷却方法により鋼板を冷却するとともに、前記最上流側の冷却ゾーン入側および前記空冷区間内に設けられた幅方向温度計を用いて鋼板上面の幅方向温度を測定し、これら測定された鋼板上面の幅方向温度から冷却開始温度および前記空冷区間における鋼板表層部の復熱温度とそれぞれの基準温度とを比較することにより、冷却後の鋼板表層部の硬度が許容値内か否かを判定することを特徴とする鋼板の製造方法。
  4. テーブルロール及び該テーブルロールに対向する水切りロールによって区切られた複数の冷却ゾーンを備え、鋼板の上下面に水量密度2.0m/m ・min以上で冷却水を供給する鋼板の冷却設備と、該冷却設備の入側に設置された幅方向温度計と、前記複数の冷却ゾーンのうち、少なくとも上流側から第3または第4の冷却ゾーンに設置され、該冷却ゾーンが空冷区間である時に鋼板上面の幅方向温度を測定する幅方向温度計と、これら幅方向温度計により測定された鋼板上面の温度から冷却開始温度および前記空冷区間における鋼板表層部の復熱温度とそれぞれの基準温度とを比較することにより、冷却後の鋼板表層部の硬度が許容値内か否かを判定する表層硬度合否判定手段とを備えたことを特徴とする鋼板の製造設備。
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