JP6623928B2 - コモンモードフィルタ - Google Patents

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本発明は、電源装置に用いられるコモンモードフィルタに関する。
従来から、コモンモードノイズを除去するフィルタとして、コモンモードフィルタが使用されている。特許文献1に記載のコモンモードフィルタは、トロイダルコアに導線を巻回した構成なので、高い実効透磁率を有し、優れたノイズ除去性能を得ることができる。
特開平6−36951
電源装置など、大電流用のコモンモードフィルタに使用する導線は、大きい断面積を確保できる、断面平角形状の導線が望ましい。しかし、トロイダル形状のコアに導線を巻回する場合、機械を用いた自動巻線は困難である。人の手で巻回することは可能だが、手間がかかる上、電気的特性にばらつきが大きくなってしまう。
そこで、上記課題に鑑み、本発明は、断面平角形状の導線を機械で巻回できる構造のコモンモードフィルタの提供を目的とした。
本発明は、磁性体コアと、前記磁性体コアに巻回された第1及び第2の導線と、前記第1及び第2の導線によって形成されたコイルと、前記コイルと前記磁性体コアを内蔵する素体と、前記素体の実装面の四隅に、互いに対角線に位置する様に配置された第1電極と第3電極、および、第2電極と第4電極、とを備えたコモンモードフィルタにおいて、前記第1及び前記第2の導線は断面平角形状の導線で、厚み方向に重ねられた状態で固定され、前記第1の導線の長さは、前記第2の導線の長さより長く、前記コイルの末端はそれぞれ、前記第1の導線の末端と、前記第1の導線の末端から所定の間隔をあけた前記第2の導線と、で構成され、前記素体は、前記コイルを、その巻軸が前記実装面と平行になるように内蔵し、前記素体の実装面に配置した前記第1電極と前記第3電極に、前記第1の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、前記素体の実装面に配置した前記第2電極と前記第4電極に、前記第2の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続したことを特徴とした。
本発明によれば、断面平角形状の導線を使用することにより、大電流に対応可能となる。また、機械で巻回できる構造なので、量産する際に電気的特性のばらつきが少ない。
本発明の実施例で使用するコイルを巻回する工程を説明する斜視図である。 本発明の実施例で使用するコイルに、磁性体コアを挿入する工程を説明する斜視図である。 本発明の実施例で使用するコイルを樹脂でコーティングしたときの斜視図である。 本発明の実施例で使用するコイルを、ブロックに封止する工程を説明する斜視図である。 本発明の実施例の素体の斜視図である。 本発明の実施例のコモンモードフィルタの外観図である。図6(a)はコモンモードフィルタの斜視図を示し、図6(b)はコモンモードフィルタの側面からみた平面図を示し、図6(c)はコモンモードフィルタの実装面からみた平面図を示し、図6(d)はコモンモードフィルタの上面からみた平面図を示す。
以下、本発明の実施例を、図を参酌しながら説明する。
図1を用いて、コイルを巻回する工程を説明する。図1(a)〜(f)は、本発明の実施例のコモンモードフィルタに使用するコイルを巻回する工程を示す斜視図である。コイルは、巻軸を有する巻線機(図示せず)を使用し、断面平角形状の、第1および第2の導線を巻回して形成する。第1の導線および第2の導線は、加熱することによって皮膜が融着する線材を用いる。
巻線機の巻軸2は、図1(a)に示すように、外径の異なる2つの円柱が同心円状に繋がった構造となっている。径の小さい円柱を巻芯21とする。この巻軸2を2つ用い、図1(b)に示すように、巻芯21の先端部が互いに接触するよう配置する。そして、図1(c)に示すように、第1の導線31および第2の導線32を厚み方向に重ねた状態で、導線の幅広面を巻軸2の巻芯21に当接させる。重ねられた2本の導線のうち、内側の導線が第1の導線31、外側の導線が第2の導線32である。第1の導線31の幅広面は、巻軸2の巻芯21と接している。
図1(d)に示すように、第1の導線31および第2の導線32を同時に巻回し、巻軸方向に並置される2つの第1の巻回部41を形成する。そして、第1の導線31および第2の導線32の両端を巻芯に沿って、互いに反対方向へとずらし、第1の導線31の幅広面の一部を第1の巻回部41上に当接させる。そして、繰り返し巻回し、第1の巻回部41上に第2の巻回部42を形成する。第2の巻回部42は、最内周の幅広面の一部が第1の巻回部41上に接している。
それぞれの第2の巻回部42の外周から、第1の導線31の末端31aと第2の導線32の末端32aを引き出す。第2の導線32の長さは第1の導線31の長さよりも僅かに短いため、第2の導線32の末端32aは、第1の導線31の末端31aから所定の間隔をあけて第2の巻回部42側に位置する(図1(e))そして、図1(f)に示すように、第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを、第2の巻回部42の外周から垂直方向に引き伸ばす。そして、第1の巻回部41と第2の巻回部42と第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを加熱して形状を固定し、コイル4を得る。
図2〜図4を用いて、コイルを素体に封止する工程を説明する。図2は、本発明の実施例で使用するコイルに、磁性体コアを挿入する工程を説明する斜視図である。図3は、本発明の実施例で使用するコイルを樹脂でコーティングしたときの斜視図である。図4は、本発明の実施例で使用するコイルを、ブロックに封止する工程を説明する斜視図である。
コイル4に磁性体コア5を挿入する工程について、説明する。磁性体コア5は、円柱を同心円状に二つ繋げた構造である。それぞれの円柱の外径は、第1の巻回部41および第2の巻回部42の内径と略同じである。図2(a)に示すように、コイル4の両側に磁性体コア5を配置し、コイル4の空芯部分に挿入する。磁性体コア5は、図2(b)に示すように、略隙間無くコイル4の内部に収まる。
磁性体コア5とコイル4を樹脂でコーティングする工程について、説明する。図示しない円筒形状の金型に、磁性体コア5が挿入されたコイルを入れる。そして、第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを金型から露出するように引き出してから、金型に絶縁性の熱可塑性樹脂を注入する。そして、樹脂を加熱して硬化し、金型から取り出す。以上より、図3に示すように、磁性体コア5が挿入されたコイル4を内蔵した、外装体6を得ることができる。第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aはそれぞれ、外装体6から露出して引き出されている。引き出されたそれぞれの第1の導線の末端31aが互いに対角線上に位置し、それぞれの第2の導線の末端32aが互いに対角線上に位置している。
磁性体コア5とコイル4を素体7に内蔵する工程について説明する。素体7は、箱状のブロック8と、蓋状のブロック9から成り、箱状のブロック8と蓋状のブロック9はそれぞれ、樹脂と磁性粉とを含んだ熱可塑性の封止剤から成る。
箱状のブロック8は、図4(a)に示すように、上面に開口端を備えた立方体形状であり、内部にコイル4を収納するためのスペースを有している。開口端を取り囲む縁は、蓋状のブロックと勘合する凹部81が形成されている。
蓋状のブロック9は平板形状を有し、端部に設けられた凸部91と、中央部に設けられた4つの細長い形状のスリット92を備えている。中央に設けられた4つのスリット92はそれぞれ、蓋状のブロック9の中心に対して対称に設けられ、ブロック9の中心側は終端し、ブロック9の外側は開口している。そして、両端に設けられた凸部91はそれぞれ、箱状のブロック8の開口端を取り囲む縁の凹部81に勘合する。
第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aが真上に引き出された外装体6を、箱状のブロック8に入れる。そして、図4(b)に示すように、上方から蓋状のブロック9を被せ、4つのスリット91からそれぞれ、第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを引き出す。第1の導線の末端31aは、互いに対角線上に位置するスリット92から引き出し、同様に、第2の導線の末端32aも、互いに対角線上に位置するスリット92から引き出す。そして、引き出された第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを、その幅広面が実装面に延在するように折り曲げる。
図5、図6を用いて、素体を形成する工程を説明する。図5は、本発明の実施例の素体の斜視図である。図6は本発明の実施例のコモンモードフィルタの外観図である。図6(a)はコモンモードフィルタの斜視図を示し、図6(b)はコモンモードフィルタの側面からみた平面図を示し、図6(c)はコモンモードフィルタの実装面からみた平面図を示し、図6(d)はコモンモードフィルタの上面からみた平面図を示す。
磁性体コア5とコイル4を、箱状のブロック8と蓋状のブロック9に内蔵した状態で、図示しない金型を用いて加熱・圧縮し、素体7を得る。素体7は、図5に示すように、実装面に4つの台形71が形成された立方体である。そして、図6に示すように、4つの台形71の上面にそれぞれ、第1電極11、第2電極12、第3電極13、第4電極14を形成する。第1電極11と第3電極13、および、第2電極12と第4電極14はそれぞれ、実装面の四隅に、互いに対角線に位置するように形成する。第1電極11と第3電極13はそれぞれ、第1の導線31の末端31aと電気的に接続され、第2電極12と第4電極14はそれぞれ、第2の導線32の末端32aと電気的に接続される。
4つの台形71によって延面距離を長くすることができるので、電極間の絶縁性が高い。
以上、記載したように、コイルを巻回する工程、磁性体コアを挿入する工程、コイルを樹脂でコーティングする工程、素体にコイルを内蔵する工程、電極を形成する工程を経て、コモンモードフィルタを作製することができる。本実施例のコモンモードフィルタは、断面平角形状の導線を使用しているため大電流にも対応可能で、なおかつ、従来のトロイダルコアを用いるコモンモードフィルタに比べ、機械での製造が容易である。
1 コモンモードフィルタ
11 第1の電極
12 第2の電極
13 第3の電極
14 第4の電極
2 巻軸
21 巻芯
31 第1の導線
31a 第1の導線の末端
32 第2の導線
32a 第2の導線の末端
4 コイル
41 第1の巻回部
42 第2の巻回部
5 磁性体コア
6 外装体
7 素体
71 台形
8 箱状のブロック
81 凹部
9 蓋状のブロック
91 凸部
92 スリット

Claims (5)

  1. 磁性体コアと、
    前記磁性体コアに巻回された第1及び第2の導線と、
    前記第1及び第2の導線によって形成されたコイルと、
    前記コイルと前記磁性体コアを内蔵する素体と、
    前記素体の実装面の四隅に、互いに対角線に位置する様に配置された第1電極と第3電極、および、第2電極と第4電極、と
    を備えたコモンモードフィルタ1において、
    前記第1及び前記第2の導線は断面平角形状の導線で、
    前記第1の導線の長さは、前記第2の導線の長さより長く、
    前記第1の導線と前記第2の導線とは、厚み方向に重ねられ、
    前記コイルの引き出し端部はそれぞれ、前記第1の導線の末端と、前記第2の導線の末端と、で構成され、
    前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間には、導線の長さ方向に所定の間隔が設けられ、
    前記素体は、前記コイルを、その巻軸が前記実装面と平行になるように内蔵し、
    前記素体の実装面に配置した前記第1電極と前記第3電極に、前記第1の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、
    前記素体の実装面に配置した前記第2電極と前記第4電極に、前記第2の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続したことを特徴とするコモンモードフィルタ。
  2. 前記第1の導線の中央と、前記第2の導線の中央と、は固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
  3. 前記素体の実装面の外形は略長方形であり、前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間の間隔は、前記素体の実装面を構成する長方形の長辺の長さ以下、であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のコモンモードフィルタ。
  4. 前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間の間隔は、前記素体の実装面を構成する長方形の短辺の長さ以下、であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のコモンモードフィルタ。
  5. 前記第1の導線の末端と前記第1の導線の末端との間の間隔は、前記第1電極と第3電極との最短距離以下、であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のコモンモードフィルタ。
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