JP6287762B2 - 表面実装インダクタの製造方法 - Google Patents

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本発明は、表面実装インダクタの製造方法に関する。
従来から、磁性粉と樹脂とを有する封止材でコイルを封止した表面実装インダクタが広く利用されている。例えば、特許文献1において、金属片を外部端子として使用した表面実装インダクタの製造方法が開示されている。この方法は、金属片にコイルの引き出し端部を溶接して接合し、コイルを封止材で封止して成形体を得る。その成形体から露出する金属片を加工して、外部端子を形成していた。
特許文献2においては、リードフレームを使用せず、コイルの引き出し端部を加工して外部端子とする表面実装インダクタの製造方法が開示されている。この方法は、断面が平角形状の導線(以下、平角線という)を巻回して形成したコイルを、封止材で封止して成形体を得る。
特開2003−290992 特開2004−193215
特許文献1の表面実装インダクタは、コイルと外部端子とを溶接して接合しているため、コイルと外部端子との接合部に、機械的ストレスや熱ストレスがかかっていた。また、コイルと外部端子との接合部には、接触抵抗が発生していた。
特許文献2の表面実装インダクタは、コイルの巻軸方向と平角線の幅広面とが垂直なので、コイルを巻回する際、コイルの内径部・外径部に機械的ストレスがかかっていた。
また、特許文献2の表面実装インダクタは、2つあるコイルの引き出し端部のうち、片方の引き出し端部が表面実装インダクタの底面付近から底面に向かって引き出され、もう片方の引き出し端部が表面実装インダクタの上面付近から底面に向かって引き出されているため、引き出し端部の長さが異なる。このため、コイルの形状は左右非対称となる。左右非対称なコイルを内蔵した表面実装インダクタは、一方の外部端子に入力した場合の電気的特性と、他方の外部端子に入力した場合の電気的特性が異なっていた。このような表面実装インダクタは、電気的特性の極性を示すマーキングを印字することが多い。
そこで、本発明は、コイルへの熱ストレス・機械的ストレスを低減し、コイルと外部端子との間に発生する接触抵抗を無くし、さらに、内蔵するコイルの形状が左右対称である表面実装インダクタの製造方法の提供を目的とする。
本発明は、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と充填材を含む封止材でコイルを封止した成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、導線を巻回するための1対の巻軸を有し、それぞれの巻軸にそれぞれ外径が異なるすくなくとも2つの巻回部分を設けた巻線機を用い、巻線機の1対の巻軸の先端を接触させた状態で、断面が平角形状の導線の途中を巻線機のスピンドルに接触させ、導線の両端部が外周に位置する様に2段に巻回した第1の巻回部と、その内径が第1の巻回部の外径以上となる様にコイルの巻軸に沿って互いに反対方向に位置をずらして巻回した第2の巻回部を備え、それぞれの第2の巻回部の外周から導線の端部を引き出して引き出し端部としたコイルを形成する工程と、コイルの両端から、1対のタブレットを嵌め合わせ、加熱圧縮してコイルを内蔵した成形体を形成する工程を備え、成形体内に、コイルが、巻軸が成形体の実装面と平行かつ、引き出し端部の表面が成形体の実装面の表面に露出する様に形成される。
本発明によって製造された表面実装インダクタによれば、コイルの引き出し端部を端子として使用することにより、コイルへの熱ストレス・機械的ストレスを低減し、さらにコイルと外部端子との間に発生する接触抵抗を無くすことができる。また、コイルの巻き軸方向とコイルの幅広面とが平行なので、巻回時に内径部と外径部とにかかる機械的ストレスを低減することができる。さらに、巻軸にそれぞれ外径が異なる少なくとも2つの巻回部分を設けた巻線機を用い、第2の巻回部を、その内径が第1の巻回部の外径となる様にコイルの巻軸に沿って互いに反対方向に位置をずらして巻回して形成するので、導線にかかる機械的ストレスを低減できる。
表面実装インダクタの実装面とコイルの巻き軸方向とが平行になるようにコイルを巻回することにより、コイルの形状を左右対称にすることができる。
以上より、コイルへの熱ストレス・機械的ストレスを低減し、抵抗値を抑え、さらに電気的特性の極性が無い表面実装インダクタの製造方法を提供することができる。
本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例で使用するコイルの斜視図である。 本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例で使用するコイルの巻回方法を示す図である。 本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例で使用するタブレットの斜視図である。 本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例で使用するタブレットの実装面の平面図である。 本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例を説明するための断面図である。 本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例を説明するための別の断面図である。 本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例で使用する別のコイルの斜視図である。
以下、本発明の表面実装インダクタの製造方法の実施例を図を参照しながら説明する。
図1に示すように、表面実装インダクタに使用するコイル2は、絶縁被覆を有する平角線をその両端部が外周に位置する様に巻回して形成された、左右対称な形状の空芯コイルである。コイル2は、平角線の両端部が外周に位置する様に2段に巻回した第1の巻回部2cと、その内径が第1の巻回部2cの外径以上となる様にコイルの巻軸に沿って互いに反対方向に位置をずらして巻回した第2の巻回部2dとを備え、それぞれの第2の巻回部2dの外周から平角線の端部である引き出し端部2bが引き出されている。引き出し端部2bはそれぞれ、コイル2の巻軸と垂直で、かつ、互いに反対方向に引き出され、末端が折り曲げられている。この様に形成されたコイル2は、巻軸方向と、平角線の幅広面2aとが平行なので、巻回時にコイル2の内径部・外径部に機械的なストレスがかからない。
コイル2の巻回方法について説明する。コイル2は、外径の異なる2つの巻回部分3a、3bを有する1対のスピンドル3を備えた巻線機を使用して、絶縁被覆を有する平角線を巻回して形成される。
1対のスピンドル3は、円柱形状の第1の巻回部分3aと、第1の巻回部分3aと中心軸が一致して隣接し、第1の巻回部分3aの外径より大きい外径を有する円柱状の第2の巻回部分3bと、第2の巻回部分3bと中心軸が一致して隣接する、第2の巻回部分3bの外径より大きい外径を有する円柱状の壁部とをそれぞれ有している。各巻回部分の巻軸方向の長さは、コイルに用いる平角線の幅の長さより長く、スピンドル3の先端3cは、第2の巻回部分3bとは反対方向にある、第1の巻回部分3aの端面部である。図2(a)に示すように、2つのスピンドル3は、先端3cが向かい合った状態になるよう配置される。
次に、図2(b)に示すように、平角線の途中の幅広面2aを、第1の巻回部分3aに接触させ、巻線の外径が第2の巻回部分3bの外径より大きくならないように、第1の巻回部分3aに、巻軸方向に2段に巻回する。これにより第1の巻回部分3aにそれぞれ第1の巻回部2cが形成される。次に、平角線の両端を第1の巻回部分3aからスピンドル3の巻回部分の巻軸に沿って、互いに反対方向に位置をずらし、第2の巻回部分3bに巻回して、図2(c)に示すように、第2の巻回部分3bにそれぞれ第2の巻回部2dが形成される。この第2の巻回部2bの外周から平角線を引き出して、これを加工して引き出し端部が形成される。引き出し端部2bはそれぞれ、コイル2の巻軸と垂直で、かつ、互いに反対方向に引き出され、末端が折り曲げられている。この状態でコイル2を加熱し、図2(d)に示すように、先端3c同士を接触させたスピンドルを引き離すことにより、左右対称な形状のコイル2を作製することができる。
成形体4について説明する。成形体4は、タブレット4aを2つ、組み合わせることによって形成される。タブレット4aは、金属磁性粉を有した充填材とエポキシ樹脂とを含んだ封止材から形成される。
図3に示すように、タブレット4aは、一つの側面に開口端を備えた立方体であり、内部にコイル2を収納するためのスペース4bを有している。開口端を有する面と向かい合う面の内壁の中央部からは、コイル2の巻軸に挿入するための軸4cが、開口端を有する面に向かって突出している。コイル2の巻軸に挿入される軸4cは円柱状に形成される。
タブレット4aの上面もしくは底面が実装面4eとなる。図4に示す様に、実装面4eの形状はそれぞれ長方形であり、この長方形を構成する4辺のうち、開口端に一番近い辺を含む、向かい合う一対の辺を短辺とし、他方の向かい合う一対の辺を長辺とする。実装面4eの短辺方向の両端部にはそれぞれ、コイル2の引き出し端部2bを引き出すための細長いスリット4dが設けられている。
次に、図5(a)〜(c)を用いて、コイルを封止する方法について説明する。
図5(a)、(b)は図4のA−A断面図であり、図5(c)は、実装面4eの平面図である。
図5(a)に示すように、コイル2の両側にタブレット4aを、開口端が向き合うようにして配置する。この時、一方のタブレット4aにコイル2の巻軸にタブレットの軸4cを挿入し、実装面4eのスリット4dからコイルの引き出し端部2bを、あらかじめ引き出しておく。次に、図5(b)に示すように、コイル2の巻軸方向の残りの端から、タブレットの軸4cがコイル2の空芯部に挿入されるように、他方の2つのタブレット4aを嵌め合わせる。タブレット4aの内部には、コイル2を収納するためのスペース4bが内部に設けられており、コイル2が2つのタブレット4aの内部に収納される。そして、コイル2の引き出し端部2bは、一方のスリット4dから、実装面の短辺と平行に引き出され、もう片方のスリット4dに入れ込まれる。さらに、この状態で、これらを成形金型を用いて加熱・圧縮することにより、図5(c)に示すように、コイル2の引き出し端部2bは、実装面4eに表面が露出するように埋め込まれた状態で固定され、また2つタブレット4aは押し固められて、コイル2が封止された成形体4となる。
次に、図6を用いて、引き出し端部を外部端子に加工する方法について説明する。図6は図5(c)のB−B断面図である。
実装面4eに表面が露出するように埋め込まれている引き出し端部2bは、幅広面2aにレーザーをあてられて、絶縁被覆が剥離される。平角線を用いているので、レーザー剥離の条件設定が容易であり、外部端子は全て同一の面に形成されているので、1回の工程で済ませることができる。次に、引き出し端部2bにSnをスパッタリングしてSn層を形成し、続いてNiとCrとを所定の割合で同時にスパッタリングし、Ni−Cu層を形成する。このようにスパッタリングをすることによって、引き出し端部2bを外部端子5へと加工することができる。平角線を用いているので、丸線に比べて固着強度が強く、端子平坦度も高い。
このようにして製造された表面実装インダクタ1は、内蔵されたコイル2の形状が左右対称なので、使用時にいずれの端子から入力しても、電気的特性は同じであり、極性を持たない。従って、極性を示すマーキングを印字する必要が無くなり、製造工程をひとつ省くことが出来るので、製造コストを抑えることができる。
以上、本発明の表面実装インダクタ及びその製造方法の実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、実施例のタブレットの形状は、開口端に一番近い辺を含む、向かい合う一対の辺を短辺とし、他方の向かい合う一対の辺を長辺としたが、短辺と長辺が逆になっても良い。また、コイルは、内径が同じである1つの層で構成されていても良いし、図7に示すように内径の異なる3つ以上の層で構成されていても良い。
コイルが、内径の異なる2層以上で構成されている場合は、内径の異なる層ごとに、最も内側にある層から、第1の巻回部、第2の巻回部…として巻回部の番号をつける。ある番号Xのつけられた巻回部(第Xの巻回部)の外径よりも、ある番号Xに1を足した巻回部(第X+1の巻回部)の内径が大きい。例えば、図7に示すように、内径の異なる3層で構成されたコイル12は、1番内側にある巻回部の外径より、2番目に内側にある巻回部の内径が大きく、2番目に内側にある巻回部の外径より、3番目に内側にある巻回部の内径が大きい。コイルの一番内側の巻回部の外径・内径が一番小さく、外側の巻回部になるにつれて、外径・内径が大きくなる。
図1に示すコイルの各巻回部は、それぞれ2段であったが、これに限定されるものではなく、4段以上に巻回しても良い。
また、3つ巻回部がある場合の第2の巻回部は、コイルの巻軸に沿って、斜めに傾斜しても良い。
スピンドルは、コイルの巻回部の数だけ巻回部分が必要となる。スピンドルが、複数の外径の異なる巻回部分を有する場合、最も外径の小さい巻回部分から順に第1の巻回部分、第2の巻回部分…として巻回部分の番号をつける。全ての巻回部分は円柱状で、中心軸が一致するように隣接し、ある番号Xのつけられた巻回部分(第Xの巻回部分)の外径より、ある番号Xから1を足した巻回部分(第X+1の巻回部分)の外径の方が大きい。また、巻回部分は、コイルの巻回部より1つ多く用意され、一番外径の大きい巻回部分は、コイルの巻回には使用せず、ストッパーとして扱う。
例えば、内径の異なる3つの巻回部を備えたコイルの巻回に用いるスピンドルは、円柱形状の第1の巻回部分と、第1の巻回部分に隣接して中心軸が一致し、第1の巻回部分の外径より大きい外径を有する、円柱状の第2の巻回部分と、第2の巻回部分に隣接して中心軸が一致し、第2の巻回部分の外径より大きい外径を有する、円柱状の第3の巻回部分と、第3の巻回部分に隣接して中心軸が一致し、第3の巻回部分の外径より大きい外径を有する、円柱状の壁部と、を有している。
また、第2の巻回部分はそれぞれ複数有していても良い。
さらに、スピンドルの形状は、左右対称でかつ、巻回を阻害しなければ、異なる形でも良い。例えば、各巻回部分がコイルの巻軸に沿って斜めに傾斜していても良いし、各巻回部分の間が段差ではなく、コイルの巻軸に沿って斜めに傾斜していても良い。
1 表面実装インダクタ
2、12 コイル
2a 幅広面
2b 引き出し端部
2c 第1の巻回部
2d 第2の巻回部
3 スピンドル
3a 第1の巻回部分
3b 第2の巻回部分
3c 先端
4 成形体
4a タブレット
4b スペース
4c 軸
4d スリット
4e 実装面
5 外部端子

Claims (3)

  1. 導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と充填材を含む封止材で該コイルを封止した成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、
    導線を巻回するための1対の巻軸を有し、それぞれの巻軸にそれぞれ外径が異なる少なくとも2つの巻回部分を設けた巻線機を用い、該巻線機の1対の巻軸の先端を接触させた状態で、断面が平角形状の導線の途中を巻線機のスピンドルに接触させ、導線の両端部が外周に位置する様に2段に巻回した第1の巻回部と、その内径が該第1の巻回部の外径以上となる様に該コイルの巻軸に沿って互いに反対方向に位置をずらして巻回した第2の巻回部を備え、それぞれの第2の巻回部の外周から該導線の端部を引き出して引き出し端部としたコイルを形成する工程と、
    該コイルの両端から、1対のタブレットを嵌め合わせ、加熱圧縮して該コイルを内蔵した成形体を形成する工程を備え、
    該成形体内に、該コイルが、巻軸が該成形体の実装面と平行かつ、該引き出し端部の表面が該成形体の実装面の表面に露出する様に形成されたことを特徴とする表面実装インダクタの製造方法。
  2. 前記巻線機の1対の巻軸は、それぞれ先端から離れるに従って外径が大きく形成された請求項1に記載の表面実装インダクタの製造方法。
  3. 前記第2の巻回部を複数備える請求項1又は請求項2に記載の表面実装インダクタの製造方法。
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