JP2014013814A - コイル製造方法およびコイル製造システム - Google Patents

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政彦 武田
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Abstract

【課題】容易かつ効率よくコイルを製造することができるコイル製造方法およびコイル製造システムを提供する。
【解決手段】線材10を螺旋状に巻回して鼓状螺旋体(螺旋体)20aを形成する螺旋化工程と、鼓状螺旋体20aをその巻中心軸CL1方向に縮める縮小化工程と、鼓状螺旋体20aが縮んだ状態を保持させる定形化工程と、によりコイル20を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイル製造方法およびコイル製造システムに関する。
一般に、携帯電話や携帯端末などの電子機器には通信等の信号処理のために種々のコイルが用いられている。このコイルは、電子機器等へ実装するために、空芯コイルをモールドした状態で提供される(特許文献1参照)。近年の電子機器等の小型化、低価格に伴い、コイル等の電子部品も小型化及び低コスト化が要求されており、コイルの製造に巻線機が導入されている。また、コイルの小型化には、電気接続等を容易にするアルファ巻(外外巻)の空芯コイルが用いられる。このアルファ巻の空芯コイルは、線材の両端部がコイルの最外層から延びているため、コイル自体が小さくてもモールド時に電気的な接続が容易であり、小型化に適している。アルファ巻の空芯コイルは、まず線材を半分量だけ巻芯に巻き付け、この巻終わりを保持しつつ、残りの線材を巻芯に逆向きに巻き付けることで、線材の両端部がコイルの最外層から延びた状態を形成している(特許文献2参照)。
特開2010−147272号公報 特開2001−267171号公報
従来のコイルの製造方法は、巻芯に対して線材を巻き付けているため、この線材を把持して巻芯の周りを周回するツールを用いている。従って、ツールの周回速度には限界があり、時間あたりのコイルの製造個数を増やすことは難しくなっている。特に、アルファ巻の空芯コイルを製造する場合には、半分量だけ線材を巻芯に巻き付け、残った半分量の線材を逆向きに巻芯に巻き付けることから、複数のツールを駆動するとともに、その駆動も複雑となるためコイルの製造に時間がかかる要因となっている。また、コイル等の電子部品について低価格化の要望も大きく、コイルにおいても時間当たりの製造個数を増加させ、さらなる低コスト化を実現する必要がある。また、従来のコイル製造装置は、上記のように空芯コイルを製造するに際して、線材を把持し、かつ、巻芯のまわりを高速で周回するといった複雑に動作するツールを設ける必要がある。このような複雑かつ高速で移動するツールは高精度かつ高耐久性を確保することが必要となり、装置を複雑なものとしてコストの増加を招くものとなる。
本発明は、上記事情に鑑みたものであり、コイルを容易かつ効率よく製造することにより、時間当たりの製造個数を増加させて低コスト化を実現できるとともに、複雑な動作を必要とするツールを用いることなくコイルを製造できるようにした、コイル製造方法およびコイル製造システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のコイル製造方法は、線材を螺旋状に巻回させて螺旋体を形成する螺旋化工程と、螺旋体をその巻中心軸方向に縮める縮小化工程と、螺旋体が縮んだ状態を保持させる定形化工程と、を有することを特徴とする。これによれば、線材を先ず螺旋形状として、次にこれを全長方向に縮めた後にこの縮めた状態を保持させているので、線材を巻芯等に精度よく巻き付ける作業が不要となる。また、それぞれの工程を同一箇所で作業する必要がなく、それぞれの工程を離れた場所で行うことが可能となる。
また、本発明のコイル製造システムは、線材を螺旋状に巻回させて螺旋体を形成する螺旋処理ユニットと、螺旋体をその巻中心軸方向に縮める縮小処理ユニットと、螺旋体が縮んだ状態を保持させる定形処理ユニットと、を有することを特徴とする。これによれば、螺旋処理ユニットにより線材を螺旋形状とし、これを縮小処理ユニットにより全長方向に縮めるとともに、定形処理ユニットにより縮んだ状態を保持させるため、線材を巻芯等に高精度かつ高速で巻き付けるためのツール等が不要となる。また、このような複雑な駆動を要するツール等が不要となるため、製造システムの構築が容易である。
本発明のコイル製造方法では、螺旋体を形成してこれを縮めて保持させるといった簡単な動作でコイルを製造でき、高精度な作業が不要となるので効率よくコイルを製造することができる。従って、時間当たりの製造個数を増加させてコイルの製造コストを低減させることができる。また、このコイル製造方法では、それぞれの工程を同一箇所で作業する必要がなく、それぞれの工程を離れた場所で行うことができるので、それぞれの工程に適した環境で作業を実施でき、それぞれの工程の効率化を図ることでコイル製造の効率化を図ることができる。
また、螺旋化工程で、線材を繰り出すことにより巻き変形を与えつつ巻中心軸方向に送るようにした場合は、螺旋体を容易かつ効率よく製造することができ、コイルの製造速度をより一層向上させることができる。また、螺旋体として、その両端からそれぞれ中央部分へ向かうに従って径を縮小させた鼓状螺旋体を形成する場合は、巻中心軸方向から見て径が順次小さくなるので、螺旋体を縮めると巻線同士が重なった状態となり、縮小化した際の線材同士のぶつかり合いを抑制するので不良品の発生を抑制できる。しかも、螺旋体を鼓状とすることにより、これを縮めて形成されたコイルは線材の両端部がコイルの最外層から延びた状態となるので、アルファ巻のコイルを容易かつ効率よく製造することができる。
また、縮小化工程において、螺旋体をその巻中心軸方向に縮める際に、線材を塑性変形させる場合は、螺旋体を縮めた状態を容易に維持させることができ、その後の定形化工程での取り扱い性を向上させることができる。また、縮小化工程及び定形化工程を、螺旋化工程が行われる場所から離間させて行う場合は、縮小化工程及び定形化工程を螺旋化工程から分離して工程管理ができ、螺旋化工程の処理速度と縮小化工程及び定形化工程の処理速度との差を考慮して、一方の処理速度が速いときには他方の工程を複数配置して並列化するなど、効率のよい製造工程を構築することができる。また、縮小化工程及び定形化工程が並行して行われる場合は、処理速度が速い螺旋化工程に対して複数の縮小化工程及び定形化工程を行うので、螺旋化工程の休止時間を短くして、時間あたりのコイル製造個数を増加させることができる。また、定形化工程において、螺旋体が縮んだ状態を樹脂により保持させる場合は、螺旋体が縮んだ状態を効率よく定形化することができる。また、定形化工程において、線材に予め被覆されている樹脂を加熱することにより行う場合は、線材同士の絶縁状態を確保しつつ容易に定形化を行うことができ、しかも別途樹脂等を塗布する必要がない。また、加熱方法として熱風を用いる場合は、縮んだ状態の螺旋体など複雑な形状であっても容易かつ確実に加熱することができる。また、定形化工程において、螺旋体をその巻き径方向に変形させる場合は、長円状または楕円状のコイルを容易かつ確実に製造できる。
本発明のコイル製造システムでは、線材を巻芯等に高精度かつ高速で巻き付けるためのツール等が不要となり、容易かつ効率よくコイルを製造することができる。また、このような複雑に動作するツール等が不要となるため、製造システムを構築するためのコストを低減することができる
また、縮小処理ユニットが、螺旋処理ユニットに対して近接及び離間可能な移動機構を有する場合は、縮小処理ユニットがこの螺旋体を受け取った後にこの場所を離れることにより、螺旋処理ユニットは、次の螺旋体形成に取り掛かることで螺旋体を効率よく製造できる。さらに、縮小処理ユニットが螺旋処理ユニットから離れることができるので、螺旋処理とそれ以降の処理とを分離してそれぞれ異なる環境下で別々に実施できる。また、一つの螺旋処理ユニットに対して複数の縮小処理ユニットを備える場合は、縮小処理以降の作業が螺旋処理よりも時間がかかるときに、複数の縮小処理ユニットを駆動することで螺旋処理ユニットが休止する時間を短縮でき、時間当たりのコイルの製造個数を増加させることができる。
また、定形処理ユニットが、二以上の縮小処理ユニットに対して同時に、螺旋体が縮んだ状態をそれぞれ保持させる場合は、定形処理ユニットを複数の縮小処理ユニットに対して共用できるので、システムの簡略化を図ることができる。また、定形処理ユニットが加熱装置を備える場合は、線材が予め樹脂で被覆されているときに、この樹脂を加熱することで容易に螺旋体が縮んだ状態を保持することができる。また、加熱装置が、螺旋体に向けて熱風を放出する熱風生成部を備える場合は、加熱に必要な熱風を容易かつ確実に生成でき、さらに熱風の向きを調整することにより加熱する部分を容易に変更できる。また、定形処理ユニットが、螺旋体をその巻き径方向に変形させるプレス部を備える場合は、長円状または楕円状のコイルを簡単な構成で確実に製造できる。
第1実施形態に係るコイル製造方法及びコイル製造システムを示す斜視図である。 図1の螺旋化工程及び螺旋処理ユニットにおいて、螺旋体の形成初期を示す斜視図である。 図2の螺旋処理ユニットをY方向に見た正面図である。 図2の螺旋処理ユニットをX方向に見た側面図であり、(a)は大径の巻回状態、(b)は小径の巻回処理状態である。 図1の螺旋化工程及び螺旋処理ユニットにおいて、螺旋体の形成後期を示す斜視図である。 鼓状螺旋体を示す説明図である。 図1の縮小化工程及び縮小処理ユニットにおいて、螺旋体を縮める前の状態を示す斜視図である。 図1の縮小化工程及び縮小処理ユニットにおいて、螺旋体を縮めた状態を示す斜視図である。 図1の縮小化工程及び縮小処理ユニットにおいて、螺旋処理ユニットから離れた状態を示す斜視図である。 図1の定形化工程及び定形処理ユニットを示す斜視図である。 第1実施形態によって製造されたコイルであって、(a)は斜視図、(b)は巻中心軸方向から見た側面図、(c)は巻中心軸方向と直交する方向から見た正面図である。 第2実施形態に係るコイル製造方法及びコイル製造システムを示す要部拡大斜視図である。 第2実施形態により製造されたコイルを示す斜視図である。 第3実施形態に係るコイル製造方法及びコイル製造システムの全体構成を示すブロック図である。 第4実施形態に係るコイル製造方法及びコイル製造システムの全体構成を示すブロック図である。 第5実施形態に係るコイル製造方法及びコイル製造システムを示す側面図である。 第6実施形態に係るコイル製造方法及びコイル製造システムを示す斜視図である。 第6実施形態によって製造されたコイルの拡大写真である。
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸とも、それぞれ矢印方向を+方向とし、+方向と反対の方向を−方向とする。また、図面においては実施形態を説明するため、部分的に大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表している。
(第1実施形態)
図1〜図11は、第1実施形態に係るコイル製造方法およびコイル製造システムの一例を示している。図1は、コイル製造方法を適用したコイル製造システム100である。このコイル製造システム100は、鼓状螺旋体(螺旋体)20aを形成する螺旋処理ユニット11と、鼓状螺旋体20aを巻中心軸CL1方向に縮めて縮小螺旋体20bとする縮小処理ユニット12と、縮小螺旋体20bの形態を保持させてコイル20とする定形処理ユニット13とを備えている。
螺旋処理ユニット11は、線材10を螺旋状に巻回させて鼓状螺旋体20を形成する螺旋化工程を実施する。この螺旋処理ユニット11は、図2に示すように、線材ガイド1と、線材供給部2と、巻き成形ツール3と、線材カッタ4と、初期成形ガイド5とを備えている。線材ガイド1は、線材10をY軸方向にガイドするガイド部1aを備え、ガイド部1aの先端であって線材10を成形空間に送り出すための繰り出し口1bを備えている。また、線材ガイド1は、図3に示すように、側面の下方側がZ軸方向に対して傾斜角θ1で傾斜した傾斜面1cが形成されている。この傾斜角θ1は、線材10を巻き始めた際の先端10aが、線材ガイド1の側面(傾斜面1c側)に抜けるような角度に設定され、線材10の幅や巻き始めの曲率半径等によって適宜設定される。ただし、傾斜面1cは、平面であることに限定されず、例えば外側に向けて膨らんだ状態または内側に向けて凹んだ状態等の曲面であってもよい。
線材供給部2は、図2に示すように、線材10を挟んだ状態の一対の駆動ローラ2a及び従動ローラ2bを備えている。駆動ローラ2aは、電気モータ等の駆動系M2によって回転することにより、この駆動ローラ2a及び従動ローラ2bに挟まれた状態の線材10を−Y軸方向に送る。線材10の送り量は、駆動ローラ2a(または従動ローラ2b)の回転量によって決定される。その制御としては、駆動ローラ2a等の回転量をエンコーダ等で計測しながら駆動系M2のモータを制御するなど、各種制御方法が用いられる。なお、線材供給部2は、複数対の駆動ローラ2a及び従動ローラ2bを線材10の送り方向に並べて配置したものでもよい。また、線材10は、図示しないが、ロール状にストックされた状態から線材供給部2へ送られている。
線材10は、線材供給部2によって−Y軸方向に送られ、線材ガイド1のガイド部1aを通って繰り出し口1bから成形空間へ繰り出される。ここで、この線材10は、断面形状が長方形の平角線であって、例えば銅や鉄などの導電性金属材料の表面を樹脂で被覆した自己融着線が用いられる。被覆する樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルイミドなどが絶縁層として用いられ、その表面にポリヴィニルブチラール、ポリアミドなどが融着層として用いられる。ただし、線材10として自己融着線を用いるか否かは任意である。また、線材10は、長辺が幅Lで短辺が厚さtの長方形断面であり(図6参照)、図2〜図4に示すように、幅L方向をX軸方向とした状態(厚さt方向をZ軸方向とした状態)すなわち横状態で繰り出し口1bから繰り出される。なお、線材10としては、平角線を用いることに限定されず、断面が円形の丸線を用いてもよい。
巻き成形ツール3は、角柱状の部材であって、下端に至る側面に傾斜角θ2で傾斜した成形面3aが設けられる(図4参照)。また、巻き成形ツール3は、上下方向(Z軸方向)に移動可能な状態で支持されており、電気モータや油圧等を利用した駆動系M3の駆動により、成形面3aを繰り出し口1bの前方に配置した状態と、上方(+Z軸方向)へ退避した状態と、にそれぞれ移動する。また、巻き成形ツール3は、上端部分にX軸と平行な軸部を有し(図示せず)、この軸部を中心として回転可能であり、電気モータや油圧等を利用した駆動系M3aの駆動により、成形面3aを繰り出し口1bから離間させた状態と、近接させた状態とにそれぞれ移動する(図4参照)。ただし、巻き成形ツール3を回転可能とする構成に限定されない。例えば、線材ガイド1をY軸方向に移動可能にすることにより、成形面3aを繰り出し口1bから離間させた状態と、近接させた状態と、にそれぞれ設定可能となる。なお、成形面3aは線材10が当接して滑るため、耐摩耗性材料が用いられ、鏡面に仕上げられる。また、成形面3aは平面であることに限定されず、例えば、内側に向けて凹ませてP方向(図2参照)に相当するような曲面であってもよい。
線材カッタ4は、図1及び図2に示すように、繰り出し口1bに対して斜め上方から進退可能な状態で支持されており、電気モータや油圧等を利用した駆動系M4の駆動により退避状態から進行し、繰り出し口1bから突出した線材10を切り刃4aで切断する。なお、切り刃4aに近い部分は、他の部材との干渉等を避けるために細く形成される。ただし、線材カッタ4は、このような構成に限定されず、レーザーカッタなど線材10を切断可能な任意の構成を用いることができる。また、線材カッタ4は、螺旋処理ユニット11に備えることに限定されず、例えば、後述する縮小処理ユニット12に設けられてもよい。この場合、線材カッタ4は、縮小処理ユニット12の動作後または動作中に線材10を切断するように配置される。
初期成形ガイド5は、図1及び図2に示すように、先端には平面状のガイド面5aを有する棒状の部材であって、X軸方向に移動可能な状態で支持されており、電気モータや油圧等を利用した駆動系M5の駆動により、ガイド面5aを繰り出し口1bの下方に位置させた状態と、この位置から退避させた状態とにそれぞれ移動する。この初期成形ガイド5は、図3に示すように、線材10を巻き始めの段階でその先端10aが線材ガイド1の側面(傾斜面1c)に抜けていくように案内するものである。なお、ガイド面5aは、線材10の側面10bが当接するものであり、所定の精度で形成される。また、初期成形ガイド5を設けるか否かは任意である。
なお、螺旋処理ユニット11は、上記したような線材ガイド1等を用いる構成に限定されない。例えば、巻芯に線材10を巻き付けるツールを備えたユニットなど、螺旋体を形成可能な各種装置を用いることが可能である。
縮小処理ユニット12は、螺旋体(鼓状螺旋体20a)を巻中心軸CL1方向に縮めて縮小螺旋体20bとする縮小化工程を実施する。この縮小処理ユニット12は、図1に示すように、第1保持部材6と、第2保持部材7と、移動機構8とを備えている。第1保持部材6は、図1及び図5に示すように、移動軸CL2方向(X軸方向)に配置された丸棒状の部材であって、円形の先端面6bのほぼ中央から長手方向(X軸方向)に伸びた状態でピン6aが設けられる。先端面6bの外径は、処理対象の螺旋体(鼓状螺旋体20a)の外径より大きく形成される。ピン6aの長さは、鼓状螺旋体20aの長さに対してほぼ同一か、わずかに長く形成される。なお、ピン6aは、図7に示すように、鼓状螺旋体20aを巻中心軸CL1方向に貫通できる外径に形成される。また、第1保持部材6は、移動軸CL2方向に移動可能な状態で支持されており、電気モータや油圧等を利用した駆動系M6の駆動により移動軸CL2方向に移動し、後述する第2保持部材7に対して近接または離間する。
第2保持部材7は、第1保持部材6と同様に、移動軸CL2方向に配置された丸棒状の部材であって、第1保持部材6の先端面6bに対向する先端面7bを備え、先端面7bのほぼ中央から長手方向(X軸方向)にピン穴7aが設けられる。先端面7bの外径は、先端面6bと同様に、処理対象の螺旋体(鼓状螺旋体20a)の外径より大きく形成される。ピン穴7aは、ピン6aが入り込める内径及び深さに形成される。また、第2保持部材7は、X軸方向に移動可能な状態で支持されており、電気モータや油圧等を利用した駆動系M7の駆動により移動軸CL2方向に移動して、第1保持部材6に対して近接または離間する。すなわち、第1保持部材6及び第2保持部材7は、同じ移動軸CL2方向に移動し、互いに近接した状態または離間した状態となる。双方が近接した状態では、先端面6bと先端面7bとが対向し、ピン6aがピン穴7aに入り込んだ状態となる。ただし、ピン6a及びピン穴7aを設けるか否かは任意である。
移動機構8は、駆動系M8の駆動により、第1保持部材6及び第2保持部材を線材ガイド1に対して近接または離間させる。移動機構8は、第1保持部材6及び第2保持部材7を一体として移動させる場合の他に、別々に移動させてもよい。また、移動機構8は、任意の構成が適用可能であり、例えば、第1保持部材6及び第2保持部材7の双方をステージで支持し、このステージをガイド等に沿って移動させる構成や、ステージをロボットアームで移動させる構成などがある。なお、6自由度のロボットアームを用いることにより、第1保持部材6等を任意の方向へ移動させることができる。なお、移動機構8を設けるか否かは任意である。移動機構8を設けない場合は、螺旋体(鼓状螺旋体20a)を形成する成形空間内で螺旋体の縮小化工程等のその後の工程が行われる。
定形処理ユニット13は、縮小螺旋体20bの形態(鼓状螺旋体20aを巻中心軸CL1方向に縮めた形態)を保持させてコイル20とする定形化工程を実施する。この定形処理ユニット13は、図1に示すように、縮小螺旋体20bを加熱するための加熱装置9を備えている。加熱装置9は、図10に示すように、ダクト17から外気を取り込んで熱風を生成する熱風生成部14と、生成された熱風を移送する配管15と、熱風の放出口16を備えている。熱風生成部14は、ブロワ14aと、電熱ヒータ18を有する加熱部14bと備えている。このブロワ14aによりダクト17から取り込まれた空気は、加熱部14bの電熱ヒータ18で加熱された後、配管15を介して放出口16から熱風Fとなって放出される。このとき、熱風Fの温度は、例えば線材10を被覆している融着層の樹脂の一部もしくは全部を軟化または溶融可能な温度に設定される。熱風Fの流量は、縮小螺旋体20bのほぼ全体を熱風Fで囲むことができるような流量に設定される。なお、加熱源として電熱ヒータ18に限定されず、各種熱源を利用可能である。また、放出口16は、加熱したい箇所に合わせて形状や大きさなどは変更可能である。さらに、放出口16は一つに限定されず、配管15の途中で分岐させて複数の放出口16を配置してもよい。
また、定形処理ユニット13は、縮小処理ユニット12の移動機構8のような全体で移動するための移動機構や、放出口16を移動させるための移動機構が設けられてもよい。このような移動機構を有する場合、定形化工程に際して、定形処理ユニット13が縮小処理ユニット12まで移動するか、または放出口16が縮小螺旋体20aまで移動する。なお、定形処理ユニット13が移動機構を有していない場合は、縮小処理ユニット12が定形処理ユニット13まで移動して、縮小螺旋体20bを放出口16の前方まで運ぶことになる。
なお、定形処理ユニット13として、上記のような加熱装置9を用いることに限定されない。例えば、加熱媒体として、空気に代えて窒素等の不活性なガスや水または油等の液体を用いてもよい。また、線材10を被覆している樹脂を溶融可能なマイクロ波等を射出する装置を用いてもよい。また、内部が所定温度に加熱された加熱室を用い、この加熱室内に縮小処理ユニット12とともに縮小螺旋体20bを入れるものであってもよい。さらに、図10に示すように、第1保持部材6及び第2保持部材7にそれぞれシート状のヒータ22,23が設けられた定形処理ユニット13aを用いてもよい。この定形処理ユニット13aでは、ヒータ22,23の熱が第1保持部材6及び第2保持部材7を介して縮小螺旋体20bに伝達される。なお、ヒータ22,23は、配線22a,23aを介して電源等に接続される。この定形処理ユニット13aを用いる場合は、第1保持部材6及び第2保持部材7は熱伝導性の高い材質で形成される。ただし、ヒータ22,23は、第1保持部材6等の外周に設けられることに代えて、内部に設けられてもよい。
また、図10に示すように、紫外線(UV)硬化性の樹脂Rを滴下するノズル24と、樹脂Rが滴下された縮小螺旋体20bに向けて紫外線(UV光)を照射するUVランプ25とで構成された定形処理ユニット13bを用いてもよい。樹脂Rの滴下量は、硬化後に縮小螺旋体20bの形態を保持できればよいので、縮小螺旋体20bの一周にわたって樹脂Rで覆う必要はなく、縮小螺旋体20bの一部分であってもよい。また、UV硬化性の樹脂Rに代えて、ノズル24から熱硬化性の樹脂を滴下してもよい。この場合、UVランプ25に代えてヒータ等の加熱装置が用いられる。また、ノズル24から、予め溶融させた樹脂や各種接着剤を吐出させて縮小螺旋体20bに樹脂や接着剤を塗布してもよい。この場合、塗布部分に向けて送風し、樹脂や接着剤の固化を行ってもよい。
なお、螺旋処理ユニット11及び縮小処理ユニット12、定形処理ユニット13のそれぞれに備える可動部材は、その駆動タイミングや移動速度、移動量について、図示しない制御装置によって制御される。また、それぞれの可動部材には、動作状態を検出する各種センサが設けられ、これらセンサの信号を制御装置に入力してもよい。この場合、制御装置は、センサからの信号に基づいて各可動部材の駆動を制御する。
このコイル製造システム100は、上記のような螺旋処理ユニット11等を有しているので、線材10を巻芯等に高精度かつ高速で巻き付けるためのツール等が不要となり、容易かつ効率よくコイルを製造することができる。また、このような複雑に動作するツール等が不要となるため、コイル製造システム100を構築するためのコストを低減することができる
このコイル製造システム100を用いたコイル20の製造方法について説明する。
<螺旋化工程>
図1〜図6を参照して、線材10を螺旋状に巻回させて鼓状螺旋体20a(螺旋体)を形成する螺旋化工程について説明する。先ず、駆動系M3を駆動させて巻き成形ツール3を下方(−X軸方向)に移動させ、成形面3aを繰り出し口1bの前方に配置させる。さらに、駆動系M3aを駆動して巻き成形ツール3を移動させ、図4(a)に示すような、成形面3aが繰り出し口1bから離れた最大径Enの巻き成形位置となるように設定する。この状態で、駆動系M2を駆動して線材供給部2の駆動ローラを回転させ、線材10を−Y軸方向に送り出す。これにより、線材10は、繰り出し口1bから成形空間に繰り出される。
繰り出された線材10は、その先端10aが、巻き成形ツール3の成形面3aに当接する。この先端10aは、成形面3aが傾斜角θ2で傾斜していることにより、当接した後に成形面3aを滑りながら下方(−Z軸方向)に案内される。これにより線材10は下向きに塑性変形する。そして、線材10が繰り出されることにより、巻き成形ツール3の成形面3aに線材10の平面部10cが当接かつ摺動して、巻中心軸CL1を中心としたP方向(図2参照)への曲げ変形が連続的に生じる。なお、線材10の先端10aに近い部分は、直線状態のままとなっており、後のコイルの端部となる。なお、初期成形ガイド5は、駆動系M5の駆動によりガイド面5aが繰り出し口1bの下方に位置した状態まで移動し、待機した状態となっている。
線材10は、さらに繰り出されると、先端10aが線材ガイド1の方へ向かう状態となる。このとき、初期成形ガイド5は、ガイド面5aで線材10の側面10bを+X軸方向に押して、先端10aが傾斜面1c側に抜けるようにガイドする。そして、図2及び図3、図4(a)に示すように、線材10の側面10bが傾斜面1cにガイドされることにより、線材10は、先端10aが傾斜角θ1により+X軸方向に送られた状態に塑性変形する。従って、線材10は、連続的に繰り出されることにより、このようなP方向への曲げ変形と+X軸方向への送り変形とで3次元的に塑性変形し、巻中心軸CL1を中心としてA1方向(+X軸方向、図5参照)へ螺旋状に巻回される。
なお、初期成形ガイド5は、線材10の先端10aが傾斜面1cを進んだ段階で不要となり、駆動系M5の駆動により−X軸方向へ移動して退避状態となる。また、線材10を巻き始めた当初(線材10の先端10aがほぼ一周した段階、ほぼ一巻きした段階)までは、線材供給部2による線材10の送り速度は、先端10aのガイド等が行われるため比較的低速に設定される。また、線材10の先端10aは、初期成形ガイド5を利用せずに傾斜面1cへ抜けていく場合もある。従って、初期成形ガイド5を用いるか否かは任意であるが、用いることにより先端10aを確実に傾斜面1cへ案内することができる。
線材10を巻き始めた当初は、図4(a)に示すように、線材10の巻き径が最大径Enとなるように、巻き成形ツール3の成形面3aの位置が設定されている。この状態から、線材10の繰り出しが進むにしたがって、巻き成形ツール3は、駆動系M3aを駆動することによりB1方向へ移動して繰り出し口1bとの距離を縮めていき、図4(b)に示すように、成形面3aが繰り出し口1bに最も近接した状態となる。これにより、線材10は、図6に示すように、A1方向(+X軸方向)へ螺旋状に巻回されながら、その巻き径が最大径Enから順次En−1、・・・と減少し、最少径E1となる。最少径E1まで線材10が螺旋状に巻回された段階で、鼓状螺旋体20aの前半部分の形成が終了する。
なお、図6では説明のために巻き数を減少した状態で示している。また、径変化は連続的であり、最大径En等は、図6において便宜的に設定した巻き径である。巻き径の減少率は、図6に示すように、線材10の一巻きあたり(1周あたり)厚さtよりも大きく減少するように設定される。従って、巻き成形ツール3は、この減少率を実施するため、図4(a)に示す離間状態からB1方向に連続的に移動して図4(b)に示す近接状態となるよう、駆動系M3aの駆動によって制御される。
続いて、図4(b)に示すように、成形面3aが繰り出し口1bに近接した状態から、線材10の繰り出しが進むにしたがって、巻き成形ツール3は、駆動系M3aの駆動によりB2方向へ移動して繰り出し口1bから離れていき、図4(a)に示すように、成形面3aが繰り出し口1bから最も離間した状態に戻る。これにより、線材10は、図6に示すように、最少径E1に続けてA1方向(+X軸方向)へ螺旋状に巻回されながら、その巻き径が最小径D1から順次D2、・・・と拡大し、最大径Enとほぼ同一の最大径Dnとなる。最大径Dnまで線材10が螺旋状に巻回された段階で、鼓状螺旋体20aの後半部分の形成が終了する(図5参照)。
なお、最小径D1から最大径Dnまでの径変化は連続的であり、最大径Dn等は、図6において便宜的に設定した巻き径である。巻き径の拡大率は、図6に示すように、線材10の1周あたり厚さtよりも大きく拡大するように設定される。従って、巻き成形ツール3は、この拡大率を実施するため、図4(b)に示す近接状態からB2方向に連続的に移動し、図4(a)に示す離間状態となるよう、駆動系M3aの駆動によって制御される。なお、この螺旋化工程で形成された鼓状螺旋体20aは、図5や図6に示すように、その両端からそれぞれ中央部分へ向かうに従って径を縮小させた鼓状となっている。この鼓状螺旋体20aを巻中心軸CL1方向から見ると、線材10が重ならないような渦巻き状となっている。
なお、鼓状螺旋体20aのように巻き径の変化を与える方法として、巻き成形ツール3をB1方向及びB2方向へ移動させることに限定されない。例えば、巻き成形ツール3を回転移動させずに、上下方向(Z軸方向)の位置を変化させることで螺旋体への径変化を与えることが可能である。すなわち、成形面3aは傾斜角θ2を有しているため、巻き成形ツール3の上下方向の位置によって成形面3aと繰り出し口1bとの距離が変化し、この距離の変化を利用して線材10の巻き径を変化させることが可能である。具体的には、巻き成形ツール3を上方に位置させると、成形面3aの下側部分が繰り出し口1bに対向するので、両者の間隔が広くなって線材10を大きな径で巻き成形させることができる。一方、巻き成形ツール3を下方に位置させると、成形面3aの上側部分が繰り出し口1bに対向するので、両者の間隔が狭くなって線材10を小さな径で巻き成形させることができる。従って、線材10を繰り出しながら巻き成形ツール3を上方位置から下方へ移動させることで、線材10の巻き径を順次縮小させることができ、続いて巻き成形ツール3を下方位置から上方へ移動させることで、線材10の巻き径を順次拡大させることができる。これにより、上記と同様な鼓状螺旋体20aが形成される。なお、巻き成形ツール3を上下方向のみで移動させる場合は、回転させるための駆動系M3a等が不要となる。
このように、螺旋化工程での一連の作業により鼓状螺旋体(螺旋体)20aの形成が完了する。なお、螺旋化工程では、螺旋体を鼓状に形成することに限定されず、径変化のない螺旋体や、一端から他端に向けて径が拡大または縮小する螺旋体を形成してもよい。前者の螺旋体は、巻き成形ツール3が線材10の繰り出し中に移動しないように所定位置に固定されることで形成される。後者の螺旋体は、線材10の巻き始めから巻き終わりにかけて、巻き成形ツール3を連続的にB1方向またはB2方向に移動することで形成される。なお、それぞれの巻き成形ツール3の動作は、駆動系M3aを制御することにより行われる。
この螺旋化工程では、線材10を繰り出すことにより巻き変形を与えつつ巻中心軸CL1方向に送ることで螺旋体(鼓状螺旋体20a)が形成されるので、螺旋体を容易かつ効率よく製造することができる。さらに、繰り出された線材10の巻き径は、巻き成形ツール3を移動させることにより容易に変更することができる。ただし、螺旋化工程としては、線材10を繰り出して螺旋体を形成することに限定されない。例えば、線材10を巻芯に対して螺旋状に巻き付けた後に、巻芯を抜いて螺旋体を形成してもよい。巻芯の形状に応じた螺旋体が形成されるので、鼓状の巻芯を用いることにより鼓状螺旋体20aを形成することが可能となる。また、巻芯に線材10を巻き付ける方法としては、固定された巻芯の周りを、線材10を把持したツールが周回することで線材10を巻芯に巻き付ける方法や、巻芯に線材10の先端を固定するとともに、巻芯を回転させることで線材10を巻芯に巻き付ける方法などがある。また、線材10を巻き付けた後、巻芯を残したまま後工程に送ることも可能である。
<縮小化工程>
図1及び図5、図7〜図9を参照して、螺旋体20aを巻中心軸CL1方向に縮めて縮小螺旋体20bとする縮小化工程について説明する。まず、螺旋化工程の終了に先だって、第1保持部材6及び第2保持部材7は、予め互いの間隔を広くした非挟持状態で待機位置に待機する。この非挟持状態では、図1に示すように、第1保持部材6のピン6aの先端と、第2保持部材7の先端面7bとの間隔が、鼓状螺旋体(螺旋体)20aの全長L0(図7参照)より広くなっている。また、待機位置は、図1及び図5に示すように、移動軸CL2が螺旋化工程での巻中心軸CL1に対して−Y軸方向に所定量だけシフトした位置である。なお、待機位置までの移動は、駆動系M8の駆動を受けた移動機構8によって行われる。
螺旋化工程が終了すると、巻き成形ツール3は、駆動系M3の駆動により上方(+Z軸方向)に退避する。巻き成形ツール3の退避完了後、線材供給部2は、駆動系M2を駆動して所定量の線材10を送り出し、鼓状螺旋体20aを−Y軸方向に所定量移動させ、図7に示すように、その巻中心軸CL1を移動軸CL2とほぼ一致させる。次に、第1保持部材6は、駆動系M6の駆動により移動軸CL1に沿って+X軸方向に移動し、ピン6aを鼓状螺旋体20a内に貫通させつつ先端面6bが鼓状螺旋体20aに当接した段階で停止する。このように、ピン6aが鼓状螺旋体20a内を貫通することにより、−Y軸方向に所定量移動してやや不安定状態となった鼓状螺旋体20aを支持することができる。さらに、鼓状螺旋体20aが繰り出し口1bから離れるため、第1保持部材6及び第2保持部材7が移動軸CL2方向に移動した際に線材ガイド1との干渉を防ぐことができる。
続いて、第2保持部材7は、駆動系M7の駆動により移動軸CL2に沿って−X軸方向に移動する。なお、第2保持部材7が移動は、第1保持部材6の移動と同時、または移動停止後、または移動中、のいずれのタイミングで開始してもよい。第2保持部材7は、さらに−X軸方向へ移動して、ピン穴7bにピン6aを嵌め入れながら鼓状螺旋体20aを先端面6a,7aで挟み込み、図8に示すように、先端面7bが先端面6bに対して距離2Lとなった段階で停止する。このように、先端面7bが先端面6bに近づくことにより、図8に示すように、鼓状螺旋体(螺旋体)20aは、巻中心軸CL1方向に縮められて縮小螺旋体20bとなる。なお、ピン穴7bにピン6aが入り込むことにより、第1保持部材6と第2保持部材7との位置決めを行い、先端面6bと先端面7bとで精度よく鼓状螺旋体20aを挟むことができる。
なお、鼓状螺旋体20aは、線材10の1周あたり厚さt以上を減少または拡大した巻き径の鼓状であるため、巻中心軸CL1方向に縮められると巻き径が大きい線材10の内側に次々と線材10が入り込んだ状態となる。さらに、鼓状螺旋体20aは、図6に示すように、線材10の幅がLであり、かつ中央線CL3から左右両端に向けて同様に巻き径を拡大させている。従って、先端面7bと先端面6bとの距離が2Lまで縮められると、図6に示す中央線CL3から左右の部分それぞれが両端の最大径(En,Dn)の内側に入り込み、その結果、縮小螺旋体20bの全長(巻中心軸CL1方向の長さ)は、左右両端の線材10を並べた二つ分の幅2Lとなる。
また、螺旋体を鼓状とすることにより、この鼓状螺旋体20aを縮めると巻線10同士が重なった状態となるので、縮めた際の線材10同士のぶつかり合いを抑制でき、不良品の発生を減少できる。しかも、螺旋体を鼓状とすることにより、これを縮めて形成されたコイル20は線材10の両端部がコイル20の最外層から延びた状態となるので、アルファ巻のコイルを容易に製造することが可能となる(図11参照)。
また、縮小螺旋体20bは、鼓状螺旋体20aを縮める際に線材10の全部または一部を塑性変形させた状態となっている。線材10として、剛性が低い銅線などを用いた場合は、縮小化工程で塑性変形させやすい。このように、塑性変形させることにより、鼓状螺旋体20aを縮めた状態(縮小螺旋体20bの状態)を容易に維持させることができる。これにより、その後の定形化工程を実施する際に縮小螺旋体20bを精度よく挟み続ける必要がなく、縮小螺旋体20bと第1及び第2保持部材6,7の先端面6bとの間に隙間を生じさせることや、縮小螺旋体20bを第1保持部材6のピン6aから取り外すことが可能になるなど、取り扱い性を向上させることができる。ただし、縮小化工程において、線材10を塑性変形させることに限定されず、線材10を弾性変形させてもよい。
続いて、図8に示すように、第1保持部材6及び第2保持部材7により縮小螺旋体20bを挟んだ状態で、線材カッタ4は、駆動系M4の駆動により斜め上方(待機位置)から繰り出し口1bに向けて進み、切り刃4aにより繰り出し口1bの部分で線材10を切断する。線材10の切断後、線材カッタ4は、駆動系M4の駆動により上方へ退避して待機状態に戻る。なお、第1保持部材6及び第2保持部材7は繰り出し口1bから離れており、かつ線材カッタ4の切り刃4a部分が細いため、線材カッタ4が第1保持部材6等と干渉することはない。なお、縮小螺旋体20bとした後に線材10を切断することに限定されない。例えば、第1保持部材6及び第2保持部材7により鼓状螺旋体20aを挟む途中で、線材カッタ4により線材10を切断してもよい。また、第2保持部材7にカッタを設けた場合は、−X軸方向へ移動することにより、鼓状螺旋体20aを挟みつつ線材10を切断可能となる。
線材10が切断された後、移動機構8は、図9に示すように、駆動系M8の駆動により、縮小螺旋体20bを挟んだまま第1保持部材6及び第2保持部材7を繰り出し口1b(螺旋化工程が行われる場所)から離れるようにS1方向(−Y軸方向)へ移動させる。また、第1保持部材6及び第2保持部材7により鼓状螺旋体20aを挟む途中で線材10が切断された場合は、鼓状螺旋体20aを挟みながら移動機構8によるS1方向への移動が行われてもよい。なお、第1保持部材6等が移動機構8により繰り出し口1bから離れることにより、螺旋処理ユニット11は、次の螺旋化工程に取り掛かることができる。さらに、第1保持部材6等が繰り出し口1bから離れるので、螺旋化工程とそれ以降の工程とを分離してそれぞれ異なる環境下で別々に処理を実施できる。
なお、線材10が切断された後に縮小螺旋体20bを移動させるか否かは任意である。移動機構8がない場合または移動機構8を駆動しない場合は、線材10が切断された後、第1保持部材6及び第2保持部材7は図8に示す状態を維持するとともに、この状態でその後の定形化処理を実施する。また、移動機構8による移動方向としてS1方向に限定されない。移動機構8として6自由度のロボットアーム等が用いられた場合は、3次元的に任意の方向へ移動可能である。なお、移動先としては、後工程である定形化処理が行われる場所などである。ただし、定形処理ユニット13が移動機構を持つ場合は、双方がアクセス可能な位置を移動先として設定できる。
<定形化工程>
図10を参照して、縮小螺旋体20bの形態を保持させてコイル20とする定形化工程について説明する。縮小処理ユニット12の第1保持部材6及び第2保持部材7は、縮小螺旋体20bを挟んだまま移動機構8によって移動し、図10に示すように、縮小螺旋体20bを放出口16の前方に配置させる。なお、定形処理ユニット13が移動機構を持っている場合は、定形処理ユニット13を縮小螺旋体20bまで移動させるか、または放出口16を縮小螺旋体20bまで移動させるか、いずれであってもよい。
続いて、加熱装置9が駆動される。熱風生成部14は、ブロワ14aを駆動するとともに、加熱部14bの電熱ヒータ18に通電を行う。これにより、ダクト17から取り込まれた外気(空気)は、ブロワ14aにより加熱部14bに送られる。この加熱部14bで電熱ヒータ18により加熱された空気は、配管15を介して放出口16から熱風Fとして縮小螺旋体20bに向けて放出される。この熱風Fにより縮小螺旋体20bは加熱され、線材10を被覆している融着層の樹脂の一部もしくは全部を軟化または溶融させる。なお、放出口16は、縮小螺旋体20bに近接して配置されるので、熱風Fにより縮小螺旋体20bを効率よく加熱することができる。また、放出口16は、熱風Fの放出時に移動してもよく、縮小螺旋体20bの周りを移動しながら熱風Fを放出し、熱風Fが効率よくあたるようにしてもよい。なお、ブロワ14a及び電熱ヒータ18の制御により、樹脂を溶融等させるための熱風Fの温度及び流量がそれぞれ設定される。また、加熱源としては、電熱ヒータ18の他に、各種熱源、各種装置やプラントの排熱、工場建屋内の高温蒸気などが用いられる。
線材10を被覆する樹脂が溶融等した後、加熱装置9の駆動を停止するか、または熱風Fを放出する向きを縮小螺旋体20bから外すことにより、溶融等していた樹脂が再度硬化する。その際、線材10同士の接触部分が接着されることにより、縮小螺旋体20bの形態すなわち鼓状螺旋体20aをその巻中心軸CL1方向へ縮めた形態が保持され、完成品であるコイル20となって定形化工程が終了する。なお、溶融等した樹脂の硬化は自然冷却の他に、別途送風することにより強制的に冷却させてもよい。この場合、ブロワ14aからの空気が加熱部14bとは別の流路に切り替えられて、常温のまま冷却用として放出されるようにしてもよい。また、鼓状螺旋体20aを縮めた後から樹脂が硬化するまでは縮小螺旋体20bの形態がまだ保持されていないので、第1保持部材6及び第2保持部材7で縮小螺旋体20bを挟んだ状態が維持されている。従って、定形化工程の実施の一部において、縮小化工程も継続して行われたものといえる。
定形化工程では、縮小螺旋体20b(螺旋体が縮んだ状態)を樹脂により保持させるので、螺旋体が縮んだ状態を効率よく定形化することができる。さらに、絶縁性の樹脂が線材10間に入り込んで硬化するので、導体同士の絶縁性を向上させることができる。また、線材10に予め被覆されている樹脂を用いることにより、別途樹脂等を塗布する必要がなく、縮小螺旋体20b(線材10)を加熱することで容易に定形化を行うことができる。また、加熱方法として熱風Fを用いることにより、縮小螺旋体20bのような複雑な形状であっても容易かつ確実に加熱することができる。
なお、定形化工程は、加熱空気である熱風Fを用いて縮小螺旋体20bを加熱することに限定されない。例えば、加熱媒体として、空気に代えて窒素等の他の不活性なガスや、水または油等の液体、などを用いてもよい。また、線材10を被覆している融着層の樹脂を溶融可能なマイクロ波等を用いて縮小螺旋体20bを加熱してもよい。また、所定温度に加熱された加熱室(加熱炉)内に縮小処理ユニット12を入れて縮小螺旋体20bを加熱してもよい。さらに、図10に示すように、第1保持部材6及び第2保持部材7にそれぞれ設けられたシート状のヒータ22,23(定形処理ユニット13a)を駆動して、第1保持部材6及び第2保持部材7を介した熱伝達により縮小螺旋体20bを加熱してもよい。この場合、定形処理ユニット13aであるヒータ22,23は、縮小処理ユニット12とともに移動することになり、移動機構8が定形処理ユニット13aの移動機構としても機能する。
また、縮小螺旋体20bを加熱することにより定形化工程を行うことに限定されない。例えば、図10に示す定形処理ユニット13bを用いてもよい。この定形処理ユニット13bでは、紫外線(UV)硬化性の樹脂Rをノズル24から縮小螺旋体20bへ滴下し、この樹脂Rが縮小螺旋体20bの全部または一部に広がった後にUVランプ25からUV光を照射して樹脂Rを硬化させ、縮小螺旋体20bの形態を保持させている。また、UV硬化性の樹脂Rに代えて、ノズル24から熱硬化性の樹脂を縮小螺旋体20bへ滴下し、この樹脂が縮小螺旋体20bの全部または一部に広がった後にヒータ等で加熱して樹脂を硬化させ、縮小螺旋体20bの形態を保持させてもよい。また、ノズル24から、予め溶融させた樹脂や各種接着剤を縮小螺旋体20bへ吐出し、樹脂や接着剤の固化により縮小螺旋体20bの形態を保持させてもよい。
定形化工程が終了した後、第1保持部材6及び第2保持部材7は、それぞれの駆動系M6,M7の駆動により、先端面6a,7aを開いてピン6aをピン穴7aから抜いた状態まで、第1保持部材6は−X軸方向へ、第2保持部材7はX軸方向へそれぞれ移動する。なお、ピン6aをピン穴7aから外せばよいので、第1保持部材6及び第2保持部材7のいずれか一方を移動させてもよい。これにより、図1に示すように、コイル20は第1保持部材6等から落下し、回収される。なお、図1では、第1保持部材6等が定形化工程を行った場所からS2方向(−Y軸方向)へ移動した後にコイル20を落下させているが、これに限定されず、S2方向として下方(−Z軸方向)に移動させる場合や、定形化工程を行った場所でコイル20を落下させてもよい。
なお、コイル20は、図1に示すように、第1保持部材6等がX軸方向に移動しただけではピン6aに残って外れない場合がある。従って、この定形処理ユニット13は、ピン6aからコイル20を外すための各種機構が設けられてもよい。例えば、棒状部材等で押すことによりコイル20をピン6aから外すものや、瞬間的なエアを供給して風力によりコイル20をピン6aから外すもの、コイル20が磁性体である場合には磁力によりコイル20をピン6aから外すもの、ピン6aを下向きに傾けてコイル20を滑り落とすようにしたもの、など各種機構が用いられる。
以上の各工程を経て製造されたコイル20は、図11(a),(b),(c)に示すように、中央線CL3の左右に左側巻部20Lと右側巻部20Rとが巻中心軸CL1に沿って並んだ形状となっている。このコイル20の外径は、鼓状螺旋体20aの形成時に生じた最外径En,Dnと同様である。また、コイル20の全長(巻中心軸CL1方向の長さ)は、左側巻部20Lおよび右側巻部20Rにおける2本分の線材10の幅Lの合計であり、2Lである。なお、コイル20は、端部21L,21Rのそれぞれが左側巻部20Lおよび右側巻部20Rの最外層から延びた状態となっており、いわゆるアルファ巻き(外外巻き)のコイル(空芯コイル)である。
このコイル製造方法によれば、螺旋体(鼓状螺旋体20a)を形成してこれを縮めて保持させるといった簡単な動作でコイル20を製造でき、高精度な作業が不要となるので効率よくコイルを製造することができる。従って、時間当たりの製造個数を増加させてコイル20の製造コストを低減させることができる。また、このコイル製造方法では、それぞれの工程を同一箇所で作業する必要がなく、それぞれの工程を離れた場所で行うことができるので、それぞれの工程に適した環境で作業を実施でき。例えば、定形化工程で樹脂等を滴下する場合、その樹脂のミスト等が螺旋処理ユニット11に付着するのを防止できる。また、この実施形態では、線材10として平角線を用いているが、これに代えて断面が円形の丸線を用いてもよい。この丸線を用いる場合も、螺旋化工程で鼓状螺旋体が形成され、これを縮小化工程で巻中心軸方向に縮めて定形化工程で保持することよりコイル20と同様のアルファ巻きのコイルが製造される。また、螺旋化工程で、径変化のない螺旋体や、一端から他端に向けて径が拡大または縮小する螺旋体を形成した場合も同様であり、縮小化工程で巻中心軸方向に縮めて定形化工程で保持することよりコイルが製造される。
(第2実施形態)
図12及び図13は、第2実施形態に係るコイル製造方法およびコイル製造システムの一例を示している。なお、線材10は、第1実施形態と同様の平角線が用いられる。図12は、コイル製造方法を適用したコイル製造システム101である。このコイル製造システム101は、第1実施形態のコイル製造システム100と同様に、鼓状螺旋体(螺旋体)33aを形成する螺旋処理ユニット11aと、鼓状螺旋体33aを巻中心軸CL4方向に縮める縮小処理ユニット12aと、図示しないが鼓状螺旋体33aを縮めた状態を保持させてコイル33とする定形処理ユニットとを備えている。
螺旋処理ユニット11aは、図12に示すように、線材ガイド26と、線材供給装置27と、巻き成形ツール28と、線材カッタ29と、初期成形ガイド30とを有している。線材ガイド26は、平角線である線材10を、幅L方向をZ軸方向とした状態すなわち縦状態でY軸方向にガイドするガイド部26aを有している。従って、線材10は、繰り出し口26bから幅L方向をZ軸方向とした縦状態で繰り出される。また、線材ガイド26の傾斜面26cは、巻き始めに際して縦状態の線材10の先端が抜ければよいので、線材ガイド1の傾斜面1cの傾斜角θ1より小さくできる。線材供給装置27の駆動ローラ27a、従動ローラ27b、駆動系M27は、第1実施形態の線材供給部2のそれぞれと同様である。ただし、線材10を縦状態で送るため、駆動ローラ27a及び従動ローラ27bは、X軸方向に並べた状態で配置される。
巻き成形ツール28及び駆動系M28,M28aは第1実施形態に示す巻き成形ツール3等とそれぞれ同様である。なお、図示しないが、縦状態の線材10を安定して巻くことができるように、成形面には溝加工等を施してもよい。線材カッタ29及び駆動系M29は、第1実施形態に示す線材カッタ4等とそれぞれ同様である。ただし、縦状態の線材10を容易に切断できるように、線材切断時の進行方向や、切り刃29aの形状などを適宜変えてもよい。初期成形ガイド30及び駆動系M30は、第1実施形態に示す初期成形ガイド5等とそれぞれ同様である。なお、ガイド面30aには線材10の平面部10cが当接する。
縮小処理ユニット12aは、図12に示すように、第1保持部材31と、第2保持部材32と、図示しない移動機構とを備えている。第1保持部材31及び駆動系M31は、第1実施形態に示す第1保持部材6等と同様である。なお、ピン31aは、成形された鼓状螺旋体33aに合わせた外径及び長さに設けられる。また、先端面31bは、鼓状螺旋体33aの最大径に合わせて設けられ、第1実施形態に示す第1保持部材6の先端面6bより外径が大きくなっている。第2保持部材32及び駆動系M32は、第1実施形態に示す第2保持部材7等と同様である。なお、ピン穴32aは、第1保持部材31のピン31a合わせた内径及び深さに設けられる。また、先端面32bは、先端面31bと同様に鼓状螺旋体33aの最大径に合わせて設けられ、第1実施形態に示す第2保持部材7の先端面7bより外径が大きくなっている。
定形処理ユニットは、図示しないが、第1実施形態に示す定形処理ユニット13等と同様のものが用いられる。また、螺旋処理ユニット11a及び縮小処理ユニット12a、定形処理ユニットのそれぞれに備える可動部材は、その駆動タイミングや移動速度、移動量について、第1実施形態と同様に、図示しない制御装置によって制御される。また、それぞれの可動部材には、動作状態を検出する各種センサが設けられ、これらセンサの信号を制御装置に入力してもよい。この場合、制御装置は、センサからの信号に基づいて各可動部材の駆動を制御する。
このコイル製造システム101を用いたコイル33の製造方法は、第1実施形態のコイル製造システム100と同様である。螺旋化工程では、線材10が繰り出されることにより、巻中心軸CL4を中心としてA2方向(+X軸方向)に鼓状螺旋体33aが形成される。縮小化工程では、図示しないが、鼓状螺旋体33aの巻中心軸CL4を移動軸CL5に一致させた状態で、鼓状螺旋体33aを第1保持部材31及び第2保持部材32で挟んで縮小螺旋体とする。なお、このときの先端面31b,32bの間隔は、2tである(図13参照)。定形化工程では、図示しないが、縮小螺旋体の形態を保持させてコイル33とする。
なお、コイル33を製造するための各工程において、螺旋処理ユニット11a及び縮小処理ユニット12a、定形処理ユニットの各構成部材の動作や作用等は、第1実施形態に示すそれぞれと同様である。また、螺旋化工程で形成される鼓状螺旋体33aは、図12に示すように、線材10の巻き径の減少率または拡大率が、線材10の一巻きあたり(1周あたり)幅Lよりも大きく減少または拡大させるように設定される。なお、鼓状螺旋体33aの最大径は、第1実施形態に示す鼓状螺旋体20aより大きくなっている。
製造されたコイル33は、図13に示すように、径が大きな線材10の内側に径が小さな線材10が順次入り込んだ状態の左側巻部33Lと右側巻部33Rとが巻中心軸CL4に沿って並んだ形状となっている。また、コイル33の全長(巻中心軸CL4方向の長さ)は、左側巻部33Lおよび右側巻部33Rにおける2本分の線材10の厚さtの合計であり、2tである。従って、第1実施形態で製造されたコイル20より全長が短く、薄いコイルとなっている。なお、コイル33は、端部34L,34Rのそれぞれが左側巻部33Lおよび右側巻部33Rの最外層から延びた状態となっており、いわゆるアルファ巻き(外外巻き)のコイル(空芯コイル)である。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係るコイル製造方法およびコイル製造システムの一例を示している。図14は、コイル製造方法を適用したコイル製造システム102をブロック図として表している。なお、第3実施形態の説明においては、前掲の第1実施形態と同一または同等の構成要素には同符号を付して説明を適宜簡略もしくは省略する。このコイル製造システム102は、一つの螺旋処理ユニット11に対して複数の縮小処理ユニット12(12−1,12−2,・・・,12−n)と、縮小処理ユニット12−1等のそれぞれに対応するように、同数の定形処理ユニット13(13−1,13−2,・・・,13−n)とで構成されている。
螺旋処理ユニット11及び縮小処理ユニット12、定形処理ユニット13は、図14に示すように、制御装置35からの制御信号C1,C2,C3によりそれぞれ動作する。なお、制御装置35は、予め設定されたプログラムに基づいて制御信号C1,C2,C3のそれぞれを出力する。また、制御装置35は、図14に示すように、コイル製造システム102の外部装置としているが、これに限定されず、コイル製造システム102が備える内部装置であってもよい。制御装置35は、データバス37を介して中央制御装置38に接続されている。中央制御装置38は、この制御装置35の他にデータバス37に接続されている他のコイル製造システムや、コイル搬送装置、検査装置、リペア装置、モールド成形装置など、複数の装置を統合的に制御する。ただし、制御装置35がデータバス37に接続されるか否かは任意である。
縮小処理ユニット12−1等のそれぞれは、ロボットアーム等の移動機構8を備えており、それぞれの第1保持部材6等が螺旋処理ユニット11に対して近接及び離間可能となっている。また、このロボットアームによって縮小処理ユニット12−1等を定形所処理ユニット13−1等のそれぞれまで移動させることができる。ただし、移動機構8は、縮小処理ユニット12−1等のそれぞれに設けられることに限定されず、2以上の縮小処理ユニット12−1等を一つの移動機構8で共用させてもよい。なお、定形処理ユニット13−1等のそれぞれが移動機構を備えている場合は、定形処理ユニット13−1等が縮小処理ユニット12−1等のそれぞれまで移動可能となる。
このコイル製造システム102によりコイル20を製造する方法について説明する。まず、制御装置35からの制御信号C1により螺旋処理ユニット11が鼓状螺旋体20a(螺旋体)を形成する。次に、制御信号C2により縮小処理ユニット12−1は第1保持部材6等を駆動して鼓状螺旋体20aの縮小化工程を行う。このとき、第1保持部材6等は、鼓状螺旋体20aの形成後に螺旋処理ユニット11へ向けて移動する場合の他に、鼓状螺旋体20aの形成途中に螺旋処理ユニット11まで移動して待機しておく場合のいずれでもよい。鼓状螺旋体20aを縮めた後または縮める途中で線材10が切断されると、移動機構8により縮小処理ユニット12−1は移動して螺旋処理ユニット11から離間する。なお、縮小処理ユニット12−1が動作している間は、他の縮小処理ユニット12−2等は退避状態となっている。
縮小処理ユニット12−1が螺旋処理ユニット11から離間すると、制御信号C1により螺旋処理ユニット11が次の鼓状螺旋体20a(螺旋体)の形成を開始する。ほぼ同時に、制御信号C2により、次の縮小処理ユニット12−2は、第1保持部材6等を移動機構8によって螺旋処理ユニット11まで移動させ、縮小化工程を行うための待機状態となる。そして、鼓状螺旋体20aが形成されると、縮小処理ユニット12−2は第1保持部材6等を駆動して鼓状螺旋体20aの縮小化工程を行い、線材10の切断後に、移動機構8により移動して螺旋処理ユニット11から離間する。この縮小処理ユニット12−2の動作中に、先に離間している縮小処理ユニット12−1は、定形処理ユニット13−1まで移動して、制御装置35からの制御信号C3により縮小螺旋体20bに対する定形化工程を行ってコイル20を製造する。このように、前の縮小処理ユニットが螺旋処理ユニット11から離間して定形処理ユニットにより定形化工程を行う間に、螺旋処理ユニット11は次の螺旋化工程を開始するとともに、次の縮小処理ユニットが動作を開始する、といった一連の動作が連続して行われる。
従って、螺旋処理ユニット11により鼓状螺旋体20a(螺旋体)を形成する(螺旋化工程)速度が、定形処理ユニット13により縮小螺旋体20bの形態を保持させる(定形化工程)速度より速い場合、定形化工程(縮小化工程を含めて)を複数並列に行うことにより、螺旋処理ユニット11による休止時間(アイドルタイム)を短縮して、時間当たりのコイル20の製造個数を増加させることができる。特に、定形化工程として線材10を被覆した樹脂を溶融及び硬化させる場合は、ある程度の時間がかかるため、一つの螺旋処理ユニット11に対して縮小処理ユニット12及び定形処理ユニット13を複数設けることは効果的である。
縮小処理ユニット12及び定形処理ユニット13の設置数は、鼓状螺旋体20aを形成するまでの時間をT1、鼓状螺旋体20aの全長を縮めた後に線材10を切断して離間するまでの時間をT2とし、離間してからコイル20とするまでの時間をT3とすると、T3/(T1+T2)から判断される。例えば、T1:2秒、T2:1秒、T3:15秒であれば、前式によれば、縮小処理ユニット12及び定形処理ユニット13は5セットで螺旋処理ユニット11の休止時間をほぼ解消することができる。このように、コイル20は、定形化処理に時間がかかる場合であっても、縮小処理ユニット12等の設置数を調整することにより、次々と製造されることになる。なお、縮小処理ユニット12及び定形処理ユニット13の設置数は上記式によることに限定されず、2以上の任意の設置数とすることができる。また、上記式以上の設置数を設け、必要数以外を順次停止させてメンテナンスを行ってもよい。
また、このコイル製造システム102では、縮小化工程及び定形化工程を、螺旋化工程が行われる場所から離間させて行うので、縮小化工程及び定形化工程を螺旋化工程から分離して工程管理ができ、それぞれの工程に適した環境で効率よく作業を実施できる。また、処理速度が速い螺旋化工程に対して複数の縮小化工程及び定形化工程を並行して行うので、螺旋化工程の休止時間を短くして、時間あたりのコイル20の製造個数を増加させることができる。さらに、螺旋化工程に対して複数の定形化工程を並行して行うので、定形化工程の時間を長く取ることができる。また、このコイル製造システム102は、第1実施形態で示した螺旋処理ユニット11、縮小処理ユニット12、定形処理ユニット13に限定されず、第1及び第2実施形態で示した他の螺旋処理ユニット11等を用いてもよい。
(第4実施形態)
図15は、第4実施形態に係るコイル製造方法およびコイル製造システムの一例を示している。図15は、コイル製造方法を適用したコイル製造システム103をブロック図として表している。なお、第4実施形態の説明においては、前掲の第1及び第3実施形態と同一または同等の構成要素には同符号を付して説明を適宜簡略もしくは省略する。このコイル製造システム103は、一つの螺旋処理ユニット11と、複数の縮小処理ユニット12(12−1,12−2,・・・,12−n)と、一つの定形処理ユニット13cとで構成されている。
螺旋処理ユニット11及び縮小処理ユニット12、定形処理ユニット13cは、図15に示すように、制御装置36からの制御信号C1,C2,C4によりそれぞれ動作する。なお、制御装置36は、予め設定されたプログラムに基づいて制御信号C1,C2,C4のそれぞれを出力する。また、制御装置36は、図15に示すように、コイル製造システム103の外部装置としているが、これに限定されず、コイル製造システム103が備える内部装置であってもよい。制御装置36がデータバス37に接続される点は、図14に示す制御装置35と同様である。ただし、制御装置36がデータバス37に接続されるか否かは任意である。また、縮小処理ユニット12は、図14に示すものと同様に動作し、設置数も上記式等により設定される。
定形処理ユニット13cは、複数の縮小処理ユニット12−1等に対して、それぞれの縮小螺旋体20bに同時に定形化工程を実施できるような構成が採用される。例えば、第1実施形態の定形処理ユニット13のように加熱装置9を備え、複数の放出口16が別々の縮小螺旋体20bに向けて熱風Fを放出させるものであってもよい。また、複数の縮小処理ユニット12を収容可能な加熱室を用いたものであってもよい。さらに、この定形処理ユニット13cが移動機構を有するか否かは任意である。
このコイル製造システム103によりコイル20を製造する方法について説明する。なお、制御装置36からの制御信号C1,C2による螺旋処理ユニット11及び縮小処理ユニット12−1等の動作は、図14に示す制御装置35による動作と同様である。定形処理ユニット13cは、制御装置36の制御信号C4により、縮小処理ユニット12−1の縮小螺旋体20bに対して定形化工程を行い、コイル20を製造する。ただし、この縮小螺旋体20bに対する定形化工程の終了後または終了前に、次の縮小螺旋体20bが縮小処理ユニット12−2とともに移動してくるので、定形処理ユニット13cは、複数の縮小螺旋体20bに対応するため、ほぼ連続して動作することになる。従って、制御装置36からの制御信号C4は連続動作を指示する信号で足りる。このように、一つの定形処理ユニット13cは、複数の縮小処理ユニット12−1等によって共用された状態となっている。
なお、このコイル製造システム103では、複数の縮小処理ユニット12−1等の縮小螺旋体20bに対して、一つの定形処理ユニット13cで同時に定形化工程を行うので、第3実施形態と同様に、螺旋処理ユニット11による休止時間を短縮して、時間当たりのコイル20の製造個数を増加させることができる。また、縮小化工程及び定形化工程を螺旋化工程が行われる場所から離間させる効果や、螺旋化工程に対して複数の縮小化工程や定形化工程を並行して行う効果については、第3実施形態のコイル製造システム102と同様である。さらに、一つの定形処理ユニット13cを、二以上の縮小処理ユニット12−1等に対して共用しているので、定形処理ユニットを縮小処理ユニット12−1等ごとに配置する必要がなく、システムの簡略化を図ることができる。
また、このコイル製造システム103は、第1実施形態で示した螺旋処理ユニット11、縮小処理ユニット12に限定されず、第1及び第2実施形態で示した他の螺旋処理ユニット11等を用いてもよい。また、図15では、一つの定形処理ユニット13cを用いているが、これに代えて、複数の定形処理ユニットを配置し、それぞれが二以上の縮小処理ユニット12−1等の縮小螺旋体20bに対して定形化処理を行うものであってもよい。
(第5実施形態)
図16は、第5実施形態に係るコイル製造方法およびコイル製造システムの一例を示している。図16は、コイル製造方法を適用したコイル製造システム104である。なお、第5実施形態は、図15に示す第4実施形態をやや具体化したものであり、その説明において前掲の第1及び第4実施形態と同一または同等の構成要素には同符号を付して説明を適宜簡略もしくは省略する。このコイル製造システム104は、一つの螺旋処理ユニット11と、複数の縮小処理ユニット12(12−1,12−2,・・・,12−n)と、一つの定形処理ユニット13cとで構成されている。なお、螺旋処理ユニット11は、図1に示すものと同様である。
コイル製造システム104は、図示しない駆動系の駆動により、回転軸40を中心として矢印方向に約60度づつ回転するドラム39を有している。このドラム39の外周には、6本のステー39aが等間隔で放射方向に設けられている。複数の縮小処理ユニット12−1等のそれぞれは、各ステー39aの先端に設けられる。なお、各縮小処理ユニット12−1等は、第1実施形態に示す第1保持部材6等により構成される。従って、各縮小処理ユニット12−1等は、ドラム39の回転に応じて移動し、例えば縮小処理ユニット12−1はS11方向〜S16方向へ移動して元の位置に戻る。すなわち、このドラム39は縮小処理ユニット12−1等の移動機構である。なお、各縮小処理ユニット12−1等は、所定の位置(図16では縮小処理ユニット12−1の位置)で、螺旋処理ユニット11の前方(螺旋化工程を行う空間)に配置される。なお、ドラム39に設けられる縮小処理ユニット12−1等の数や間隔は任意である。
定形処理ユニット13cは、ブロワ41a及びヒータ等の加熱部41bを備える加熱装置41と、加熱装置41により内部42aが加熱される加熱室42とで構成される。加熱室42は、ドラム39の外周の一部を囲んだ円弧状で、かつ内部42aに各縮小処理ユニット12−1等が通過できるように設けられる。また、加熱室42は、その内部42aに、同時に二つまたは三つの縮小処理ユニット12−1等が入るような全長に設けられ、入口42b及び出口42cに、それぞれ開閉可能なシャッタが設けられる。ただし、定形処理ユニットとしては、図16に示すものに限定されない。例えば、加熱室42を使用せずに、加熱部41で生成した熱風を複数の縮小処理ユニット(例えば、縮小処理ユニット12−2,12−3など)に向けて同時に放出して定形化工程を行うものや、その他UV硬化性の樹脂等を滴下するものでもよい。
このコイル製造システム103によりコイル20を製造する方法について説明する。
螺旋処理ユニット11により螺旋体が形成されると、この螺旋処理ユニット11に対応している縮小処理ユニット12−1は、第1保持部材6等により螺旋体を縮めるとともに、ドラム39が反時計回りに約60度回転することによりS11方向へ移動し、入口42bから加熱室42の内部42aに入る。なお、入口42bのシャッタは、縮小処理ユニットの通過時に開き、それ以外は閉じている。縮小処理ユニット12−1が加熱室42に入ったタイミングで、次の縮小処理ユニット12−2は、螺旋処理ユニット11の前方に配置される。なお、螺旋処理ユニット11は、先の縮小処理ユニット12−1が離れた段階で次の螺旋体の形成を開始している。そして、縮小処理ユニット12−2は、この螺旋体の縮小化工程を行いつつ、S11方向へ移動して加熱室42入り込む。このように、ドラム39が約60度づつ回転するごとに、次の縮小処理ユニットが螺旋処理ユニット11の前方に配置されて螺旋体の縮小化工程を行う。
加熱室42に入った縮小処理ユニット12−1等は、ドラム39の回転ごとにS12方向、S13方向へと移動する。その間、螺旋体は縮められた状態のまま加熱室42の内部42aで加熱され、線材10に被覆する樹脂の溶融等を行う。さらにドラム39が回転すると、縮小処理ユニット12−1は、S14方向に移動して加熱室42の出口42cから出て最下方部に位置する。このS14方向への移動の間に螺旋体を冷却して樹脂を硬化させ、螺旋体を縮めた状態を保持させて定形化工程を行う。その後、第1保持部材6等を駆動してコイル20を落下させて回収する。続いて、縮小処理ユニット12−1は、S15方向及びS16方向へ移動することにより、螺旋処理ユニット11の前方に戻る。他の縮小処理ユニット12−2等も同様に定形化工程の後に螺旋処理ユニット11の前方に戻る。なお、螺旋体への加熱時間を長くするために加熱室42を長くしてもよい。また、溶融等した樹脂の冷却時間を確保するために、コイル20の回収をS15方向へ進んだ後の位置としてもよい。
このコイル製造システム104では、第4実施形態と同様の効果に加え、ドラム39等を用いることにより、複数の縮小処理ユニット12−1等に対する移動機構を簡単かつ容易に設けることができ、システムの簡略化を図ることができる。なお、ドラム39の回転軸40を鉛直方向に配置して、ドラム39を水平回転させてもよい。また、螺旋処理ユニット11及び縮小処理ユニット12−1等、定形処理ユニット13cのそれぞれに備える可動部材は、その駆動タイミングや移動速度、移動量について、第1実施形態と同様に、図示しない制御装置によって制御される。また、それぞれの可動部材には、動作状態を検出する各種センサが設けられ、これらセンサの信号を制御装置に入力してもよい。この場合、制御装置は、センサからの信号に基づいて各可動部材の駆動を制御する。
(第6実施形態)
図17及び図18は、第6実施形態に係るコイル製造方法およびコイル製造システムの一例を示している。図17は、コイル製造方法を適用したコイル製造システム105である。なお、第6実施形態の説明においては、前掲の第1実施形態と同一または同等の構成要素には同符号を付して説明を適宜簡略もしくは省略する。このコイル製造システム105は、鼓状螺旋体(螺旋体)44aを形成する螺旋処理ユニット11と、鼓状螺旋体44aを巻中心軸CL1方向に縮めて縮小螺旋体44bとする縮小処理ユニット12と、縮小螺旋体44bの形態を保持させてコイル44とする定形処理ユニット13dとを備えている。
鼓状螺旋体44a及び縮小螺旋体44bは、第1実施形態に示す鼓状螺旋体20a及び縮小螺旋体20bと同様である。ただし、第1実施形態と異なるのは、縮小螺旋体44bの両端部が互いに逆方向に伸びた状態となっている。このような縮小螺旋体44bの両端部の形態は、鼓状螺旋体44aを形成する際に、線材10の切断位置を調整することにより実現する。線材10の切断位置の調整は、線材供給部2による線材10の繰り出し量を制御することで行う。
定形処理ユニット13dは、第1保持部材6及び第2保持部材7で挟んだ状態の縮小螺旋体44bに対して、その巻き径方向(図6に示す最大径En,Dnの方向)に変形させるためのプレス部43を備えている。プレス部43は、図17に示すように、縮小螺旋体44bに対して上下方向(Z軸方向)に移動可能な状態で支持された上側プレス部43a及び下側プレス部43bを有している。上側プレス部43a及び下側プレス部43bは、電気モータや油圧等を利用した駆動系M43の駆動により、離間した状態からそれぞれ移動して近接し、縮小螺旋体44bを挟んで変形させる。なお、この変形を許容するために、第1保持部材6のピン6aは、縮小螺旋体44bの内径(最少径)との間に隙間を形成するような外径に形成されている。なお、縮小螺旋体44bを挟む方向は上下方向に限定されず、水平方向(Y軸方向)や斜め方向であってもよい。さらに、上側プレス部43a及び下側プレス部43bは、縮小螺旋体44bを挟む部分を平面としているが、これに限定されず、曲面などを用いてもよい。
このコイル製造システム105を用いたコイル44の製造方法を説明する。なお、螺旋処理ユニット11による螺旋化工程や、縮小処理ユニット12による縮小化工程は、第1実施形態のコイル製造システム100と同様である。なお、縮小化工程において、第1保持部材6及び第2保持部材7で挟まれた縮小螺旋体44bは、線材10の両端部が縮小螺旋体44bの上側であって、かつ双方とも水平方向(Y軸方向)に延びた状態となっている。次に、定形化工程では、駆動系M43の駆動により、上側プレス部43a及び下側プレス部43bで縮小螺旋体44bを上下から挟み、この縮小螺旋体44bをその巻き径方向(上下方向、Z軸方向)に変形させて長円状(または楕円状)とする。この状態で放出口16から熱風Fを放出することにより縮小螺旋体44bは加熱され、線材10を被覆した樹脂を軟化または溶融させる。その後、縮小螺旋体44bを冷却して樹脂を硬化させることにより、この縮小螺旋体44bは、変形した状態すなわち長円状の状態で定形化されたコイル44となって回収される。
コイル44は、図17に示すように、左右の端部45L,45Rが互いに反対方向に水平方向に延び、かつ上下方向の径を小さくした水平方向に長い長円状となっている。図18は、このコイル製造システム105によって製造された長円状のコイル44を示している。なお、コイルとしてこれに限定されず、例えば、コイル44と同じように左右の端部45L,45Rが互いに反対方向に水平方向に延び、かつ水平方向の径を小さくした上下に長い長円状のコイルとしてもよい。この場合、プレス部43は、縮小螺旋体44bを水平方向(Y軸方向)から挟んで変形させる。
また、プレス部43により縮小螺旋体44bを挟む(変形させる)タイミングは、熱風Fを放出する前に限定されない。例えば、先に熱風Fを放出させ、線材10を被覆した樹脂が軟化を始めたタイミングで縮小螺旋体44bを挟むといった熱風Fの放出途中や、熱風Fの放出後のタイミングで縮小螺旋体44bを挟んで変形させてもよい。また、上側プレス部43a及び下側プレス部43bの一方または双方にヒータ等を内蔵させ、このヒータ等の熱を上側プレス部43a等に伝達させて縮小螺旋体44bを加熱してもよい。この場合、プレス部43が加熱装置としても機能する。
このコイル製造システム105では、第1実施形態と同様の効果に加え、長円状または楕円状に変形したコイル44を、プレス部43を用いることにより容易かつ簡単な構成で効率よく製造することができる。また、螺旋処理ユニット11及び縮小処理ユニット12、定形処理ユニット13dのそれぞれに備える可動部材は、その駆動タイミングや移動速度、移動量について、第1実施形態と同様に、図示しない制御装置によって制御される。また、それぞれの可動部材には、動作状態を検出する各種センサが設けられ、これらセンサの信号を制御装置に入力してもよい。この場合、制御装置は、センサからの信号に基づいて各可動部材の駆動を制御する。
以上の実施形態では図示の形状等に限定されず、各構成部材の機能や用途などを逸脱しない範囲で形状等の変更は可能である。また、第1〜第6実施形態で説明した内容を適宜組み合わせることも可能である。また、第3〜第5実施形態では螺旋処理ユニット11を一つとしているが、複数配置してもよい。また、第6実施形態のように、縮小化工程で用いた第1保持部材6等で縮小螺旋体44bを保持したまま定形化工程を行うことに限定されない。例えば、縮小化工程の後、第1保持部材6から縮小螺旋体44bを外して、他のプレス装置を用いて縮小螺旋体44bを変形させ、さらに他の加熱装置によって縮小螺旋体44bを加熱するような定形化工程を実施してもよい。
En,Dn…最大径(巻き径方向)
F…熱風
R…樹脂
CL1,CL4…巻中心軸
9…加熱装置
10…線材
11,11a…螺旋処理ユニット
12,12a…縮小処理ユニット
13,13a,13b,13c,13d…定形処理ユニット
14…熱風生成部
20,33,44…コイル
20a,33a,44a…鼓状螺旋体(螺旋体)
43…プレス部
100,101,102,103,104,105…コイル製造システム

Claims (17)

  1. 線材を螺旋状に巻回させて螺旋体を形成する螺旋化工程と、
    前記螺旋体をその巻中心軸方向に縮める縮小化工程と、
    前記螺旋体が縮んだ状態を保持させる定形化工程と、
    を有することを特徴とするコイル製造方法。
  2. 前記螺旋化工程では、前記線材を繰り出すことにより、当該線材に対して巻き変形を与えつつ巻中心軸方向に送ることで前記螺旋体を形成することを特徴とする請求項1に記載のコイル製造方法。
  3. 前記螺旋化工程は、前記螺旋体として、その両端からそれぞれ中央部分へ向かうに従って径を縮小させた鼓状螺旋体を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコイル製造方法。
  4. 前記縮小化工程は、前記螺旋体をその巻中心軸方向に縮める際に、線材を塑性変形させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のコイル製造方法。
  5. 前記縮小化工程及び前記定形化工程は、前記螺旋化工程が行われる場所から離間した場所で行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコイル製造方法。
  6. 前記縮小化工程及び前記定形化工程は並行して行われることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のコイル製造方法。
  7. 前記定形化工程は、前記螺旋体が縮んだ状態を樹脂により保持させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のコイル製造方法。
  8. 前記定形化工程は、線材に予め被覆されている樹脂を加熱することにより行うことを特徴とする請求項7記載のコイル製造方法。
  9. 前記加熱として熱風を用いることを特徴とする請求項8記載のコイル製造方法。
  10. 前記定形化工程は、前記螺旋体をその巻き径方向に変形させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のコイル製造方法。
  11. 線材を螺旋状に巻回させて螺旋体を形成する螺旋処理ユニットと、
    前記螺旋体をその巻中心軸方向に縮める縮小処理ユニットと、
    前記螺旋体が縮んだ状態を保持させる定形処理ユニットと、
    を有することを特徴とするコイル製造システム。
  12. 前記縮小処理ユニットは、前記螺旋処理ユニットに対して近接及び離間可能な移動機構を有することを特徴とする請求項11記載のコイル製造システム。
  13. 一つの前記螺旋処理ユニットに対して、複数の前記縮小処理ユニットを備えることを特徴とする請求項11または請求項12記載のコイル製造システム。
  14. 前記定形処理ユニットは、二以上の前記縮小処理ユニットに対して同時に前記螺旋体が縮んだ状態をそれぞれ保持させることを特徴とする請求項13記載のコイル製造システム。
  15. 前記定形処理ユニットは、前記螺旋体が縮んだ状態を保持するための樹脂を加熱する加熱装置を備えることを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載のコイル製造システム。
  16. 前記加熱装置は、前記螺旋体に向けて熱風を放出するための熱風生成部を備えることを特徴とする請求項15記載のコイル製造システム。
  17. 前記定形処理ユニットは、前記螺旋体をその巻き径方向に変形させるプレス部を備えることを特徴とする請求項11〜請求項16のいずれか一項に記載のコイル製造システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016092096A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 東光株式会社 表面実装インダクタの製造方法
CN114864277A (zh) * 2022-06-06 2022-08-05 深圳市振亚达电子有限公司 一种电子变压器生产用线圈卷绕装置

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