JP2015070153A - コモンモードチョークコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、2つの巻線との間に間隔を設けることなく、高い特性インピーダンスを得ることができるコモンモードチョークコイルを提供することである。【解決手段】コモンモードチョークコイル1は、x軸方向に延在するコア12と、コア12の巻芯部14に巻き回される巻線20と、巻線20と並走するように巻芯部14に巻き回される巻線21とを備えている。巻線21の重なり部αは、x軸方向と直交するz軸方向から見たとき、巻線20と重なる。また、巻線21の重なり部α以外の部分は、巻線20に対してx軸方向と略平行に並んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、コモンモードチョークコイルに関する。
従来のコモンモードチョークコイルとして、特許文献1に記載のコモンモードチョークコイルが知られている。この種の従来のコモンモードチョークコイルでは、巻芯部に巻き回される2つの巻線の間に間隔を設けることによって、高い特性インピーダンスを得ている。
しかし、従来のコモンモードチョークコイルでは、2つの巻線の間に間隔を設けるため、限られた巻芯部のスペース内で、多くの巻き数を得られないという問題があった。
特許第3973027号公報
本発明の目的は、高い特性インピーダンスを得ることができるコモンモードチョークコイルを提供することである。
本発明の一の形態に係るコモンモードチョークコイルは、
軸方向に延在する巻芯部を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回される第1の巻線と、
前記第1の巻線と並走するように前記巻芯部に巻き回される第2の巻線と、
を備え、
前記第2の巻線の一部は、前記軸方向と直交する方向から見たとき、前記第1の巻線と重なり、
前記第2の巻線の残余の部分は、前記第1の巻線に対して軸方向と略平行に並んでいること、
を特徴とする。
本発明の一の形態に係るコモンモードチョークコイルでは、第1の巻線と並走するように巻芯部に巻き回された第2の巻線の一部が、巻芯部の軸方向と直交する方向から見たとき、前記第1の巻線と重なっている。これにより、第1の巻線と第2の巻線との間に間隔を設けることなく、高い特性インピーダンスを得ることができる。
本発明によれば、コモンモードチョークコイルにおける2つの巻線との間に間隔を設けることなく、高い特性インピーダンスを得ることができる
一実施例であるコモンモードチョークコイルの外観図である。 製造過程におけるコモンモードチョークコイルの断面図である。 製造過程におけるコモンモードチョークコイルの断面図である。 製造過程におけるコモンモードチョークコイルの断面図である。 変形例であるコモンモードチョークコイルの外観図である。 一実施例であるコモンモードチョークコイルに相当するサンプル及び比較例であるコモンモードチョークコイルのサンプルにおける、特性インピーダンスと周波数の関係をしめしたグラフである。 変形例である巻線型電子部品の外観図である。 一実施例であるコモンモードチョークコイルに相当するサンプル及び比較例であるコモンモードチョークコイルのサンプルにおける、特性インピーダンスと周波数の関係をしめしたグラフである。 変形例である巻線型電子部品の外観図である。
(コモンモードチョークコイルの構成、図1参照)
一実施例に係るコモンモードチョークコイル1について図面を参照しながら説明する。以下で、巻芯部14の中心軸が延在している方向をx軸方向と定義する。また、x軸方向から平面視したとき、鍔部16の長辺に沿った方向をy軸方向と定義し、鍔部16の短辺に沿った方向をz軸方向と定義する。なお、x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
コモンモードチョークコイル1は、図1に示すように、コア12、巻線20,21及び外部電極22〜25を備えている。
コア12は、例えばフェライト、金属磁性体、アルミナ等の磁性材料、絶縁材料により構成され、巻芯部14及び鍔部16,18を含んでいる。
巻芯部14は、x軸方向に延在している角柱状の部材である。ただし、巻芯部14は、角柱状に限らず、円柱状であってもよい。
鍔部16,18は、巻芯部14におけるx軸方向の両端に設けられている。具体的には、鍔部16は、巻芯部14のx軸方向の負方向側の一端に設けられている。鍔部18は、巻芯部14のx軸方向の正方向側の他端に設けられている。
鍔部16は、直方体状の形状を成している。また、鍔部16のz軸方向の正方向側の面S1には、凸部16a,16bが、y軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順に並ぶように設けられている。また、凸部16a,16bは、互いに接触しないように間隔をあけた状態で並んでいる。凸部16aは、z軸方向から平面視すると、略矩形状を成しており、x軸方向の正方向側に位置する辺L1とy軸方向の正方向側に位置する辺L2との成す角には面取りが施されている。また、凸部16aのz軸方向の正方向側の面S2は平面である。凸部16bは、z軸方向から平面視すると、矩形状を成しており、凸部16bのz軸方向の正方向側の面S3は、平面である。
鍔部18は、直方体状の形状を成している。また、鍔部18のz軸方向の正方向側の面S4には、凸部18a,18bが、y軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順に並ぶように設けられている。また、凸部18a,18bは、互いに接触しないように間隔をあけた状態で並んでいる。凸部18aは、z軸方向から平面視すると、矩形状を成しており、凸部18aのz軸方向の正方向側の面S5は、平面である。凸部18bは、z軸方向から平面視すると、略矩形状を成しており、x軸方向の負方向側に位置する辺L3とy軸方向の負方向側に位置する辺L4との成す角には面取りが施されている。また、凸部18bのz軸方向の正方向側の面S6は平面である。
なお、鍔部16,18は、巻芯部14の中心を通りz軸と平行な直線に関して対称である。
外部電極22〜25は、Ni−Cr、Ni−Cu,Ni等のNi系合金やAg、Cu、Sn等により構成されている。外部電極22は、凸部16aの面S2とその周囲を覆うように設けられている。外部電極23は、凸部16bの面S3とその周囲を覆うように設けられている。外部電極24は、凸部18aの面S5とその周囲を覆うように設けられている。外部電極25は、凸部18bの面S6とその周囲を覆うように設けられている。
巻線20,21は、巻芯部14に巻き回されている導線であり、銅や銀といった導電性材料を主成分とする芯線がポリウレタン等の絶縁材料により被覆されることにより構成されている。
巻線20(第1の巻線)は、x軸方向の正方向側から平面視したときに反時計回りに周回しながら、x軸方向の正方向側に向かって進行するように巻芯部14に巻き回されている。巻線20のx軸方向の負方向側の一端は、面S2において外部電極22と接続され、巻線20のx軸方向の正方向側の他端は、面S5において外部電極24と接続されている。
巻線21(第2の巻線)は、巻線20と並走するように、巻芯部14に巻き回されている。すなわち、巻線21は、x軸方向の正方向側から平面視したときに反時計回りに周回しながら、x軸方向の正方向側に向かって進行するように巻芯部14に巻き回されている。また、巻線21のx軸方向の負方向側の一端は、面S3において外部電極23と接続され、巻線21のx軸方向の正方向側の他端は、面S6において外部電極25と接続されている。
そして、巻線21は、z軸方向(x軸方向と直交する方向)から見たとき、その一部が巻線20と2カ所で重なっている。この巻線20と巻線21とが重なる部分を、重なり部αと称す。また、巻線21における、重なり部α以外の部分(残余の部分)は、巻線20に対してx軸方向(軸方向と平行)に並ぶように巻芯部14に巻回されている。なお、重なり部αで、巻線20と巻線21とのx軸方向における位置関係が、入れ替わる。位置関係が入れ替わった巻線20と巻線21とは、この状態で一定距離だけ巻芯部14に巻回され、その後、再び巻線20と巻線21とが重なり、巻線20と巻線21との位置関係は元に戻る。
(巻線型電子部品の機能)
以上のように構成された巻線型電子部品1では、以下で説明するような機能を有する。
巻線型電子部品1では、巻線20,21の互いの中心軸が一致するように設けられているため、巻線20に流入した電流により発生した磁束が、巻線21を通過し、巻線21に流入した電流により発生した磁束が、巻線20を通過する。
このとき、コモンモードの電流により発生する磁束の方向は、同じ方向である。そのため、巻線20,21で発生した磁束同士が一体となって強め合い、コモンモードの電流に対してインピーダンスが発生する。
一方、ノーマルモードの電流が流れた場合には、巻線20において発生する磁束と巻線21において発生する磁束とは、逆方向となる。従って、ノーマルモードの電流に対しては、インピーダンスが発生しない。以上より、巻線型電子部品1は、コモンモードチョークコイルとして機能する。
(巻線型電子部品の製造方法 図2〜図4参照)
以下に、実施例である巻線型電子部品の製造方法について説明する。
まず、コア12の材料となるフェライトを主成分とした粉末を準備する。そして、準備したフェライト粉末を、雌型に充填する。充填した粉末を雄型で加圧することによって、巻芯部14の形状及び鍔部16,18の形状を成形する。
次に、巻芯部14及び鍔部16,18の成形終了後に焼成を行い、コア12が完成する。
そして、コア12の鍔部16,18の凸部16a,16b,18a,18bに外部電極22〜25を形成する。具体的には、まず、Agペーストが満たされた容器に凸部16a,16b,18a,18bを浸漬させて、各凹部にAgペーストを付着させる。次に、付着したAgペーストを乾燥させ、焼成することによって、凸部16a,16b,18a,18bに下地電極であるAg膜を形成する。さらに、電気めっきなどにより、Ni系合金の金属膜をAg膜上に形成する。以上により、外部電極22〜25が形成される。
次に、コア12の巻芯部14に巻線20,21を巻きつける。巻線20,21を巻きつける際には、図2に示すように、巻線20と巻線21とのx軸方向における一部の間隔を変え、いずれか一方の巻線が、他方の巻線と重なるように巻回する。そして、巻線20,21の両端を所定量だけ巻芯部14から引き出しておく。なお、巻回時における巻線20,21と巻芯部との密着状態や巻回時の巻線同士の間隔等によって、図3に示すように、巻線20と巻線21とのx軸方向の位置関係が完全に入れ替わる場合(本実施例)と、図4に示すように、巻線20と巻線21とが重なるものの、巻線20と巻線21との位置関係が完全に入れ替わらない場合(後述の第2変形例)がある。
最後に、巻線20,21の引き出された部分を外部電極22〜25に対して熱圧着により接続する。以上のような工程を経て、巻線型電子部品1が完成する。
(効果 図1、図5及び図6参照)
コモンモードチョークコイル1では、巻線20と並走するように巻芯部14に巻き回された巻線21が、x軸方向と直交する方向から見たとき、その重なり部αで、巻線20と重なっている。これにより、巻線20と巻線21との間に間隔を設けることなく、高い特性インピーダンスを得ることができる。
本願発明者は、上述の効果を確認するために実験を行った。具体的には、実験は、コモンモードチョークコイル1に相当する第1のサンプル、図5に示すような第1のサンプルに対して重なり部αが2つ多い変形例の第2のサンプル、及び第1のサンプルから重なり部αをなくした第3のサンプルを用いて特性インピーダンスを測定した。なお、各サンプルの大きさは、2.0mm×1.2mm×0.9mmである。
実験の結果、図6に示すように、40MHz〜200MHzの範囲において、第3のサンプルの特性インピーダンスに対して、第1のサンプルの特性インピーダンスが約5Ω高く、第1のサンプルの特性インピーダンスに対して、第2のサンプルの特性インピーダンスが約5Ω高くなった。他の周波数においても、第3のサンプルの特性インピーダンスに対して、第1のサンプルの特性インピーダンスの方が高く、第1のサンプルの特性インピーダンスに対して、第2のサンプルの特性インピーダンスの方が高くなった。この結果から、重なり部αの増加に伴い、特性インピーダンスが増加することが示された。つまり、巻線20と巻線21とが重なっていることにより、高い特性インピーダンスを得られることが確認された。
ところで、コモンモードチョークコイル1では、高い特性インピーダンスを得るために巻線20と巻線21との間に間隔を設ける必要がない。従って、コモンモードチョークコイル1では、2つの巻線の間に間隔を設けることによって高い特性インピーダンスを得る従来のコモンモードチョークコイルと比較して、多くの巻き数を得ることができる。その結果、コモンモードチョークコイル1は、従来のコモンモードチョークコイルと比較して、大きなコモンモードインピーダンスを得ることができる。
また、従来のコモンモードチョークコイルでは、2つの巻線の間に間隔を設けているため、2つの巻線は、巻芯部の軸方向に動くことができる。これにより、2つの巻線の間隔を一定に保つことが難しく、従来のコモンモードチョークコイルでは、安定した特性インピーダンスを得ることが困難であった。一方、コモンモードチョークコイル1では、2つの巻線の間隔ではなく、2つの巻線を重ねるか否かにより高い特性インピーダンスを得ているため、従来のコモンモードチョークコイルよりも、安定した特性インピーダンスを得ることができる。
(第1変形例、図7及び図8参照)
第1変形例であるコモンモードチョークコイル1Aとコモンモードチョークコイル1との相違点は、図7に示すように、巻線の巻回数である。
具体的には、コモンモードチョークコイル1Aでは、コモンモードチョークコイル1と比較して、巻線20,21の巻回数が少ないため、近接する巻線の間に間隔が設けられている部分がある。これにより、コモンモードチョークコイル1Aでは、近接する巻線の間隔を制御することができ、その結果、特性インピーダンスをより高くすることができる。コモンモードチョークコイル1Aにおける他の構成は、コモンモードチョークコイル1と同様である。従って、上記巻線の巻回数以外の説明は、電子部品1での説明のとおりである。
本願発明者は、上述の効果を確認するために実験を行った。具体的には、実験は、コモンモードチョークコイル1Aに相当する第4のサンプル、第4のサンプルに対して重なり部αが2つ多い第5のサンプル、及び第4のサンプルから重なり部αをなくした第6のサンプルを用いて特性インピーダンスを測定した。なお、各サンプルの大きさは、2.0mm×1.2mm×0.9mmである。
実験の結果、図8に示すように、30MHz〜1GHzの範囲において、第6のサンプルの特性インピーダンスが約80Ω、サンプル4の特性インピーダンスは約100〜115Ω、サンプル5の特性インピーダンスは約160〜175Ωを示した。従って、この結果から、コモンモードチョークコイル1Aでは、コモンモードチョークコイル1よりもさらに高い特性インピーダンスを得られることが確認された。
(第2変形例、図9参照)
第2変形例であるコモンモードチョークコイル1Bとコモンモードチョークコイル1との相違点は、図9に示すように、重なり部αの前後における巻線20,21の位置関係である。
具体的には、コモンモードチョークコイル1Bでは、重なり部αにおいて巻線20と巻線21とが完全に交差していない。したがって、コモンモードチョークコイル1Bでは、コモンモードチョークコイル1のように、巻線20と巻線21とのx軸方向における位置関係が完全に入れ替わることがない。コモンモードチョークコイル1Bにおける他の構成は、コモンモードチョークコイル1と同様である。従って、上記巻線の巻回数以外の説明は、電子部品1での説明のとおりである。
(他の実施例)
本発明に係るコモンモードチョークコイルは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、巻線の巻回数、巻線の間隔、コアにおける巻芯部や鍔部の形状、材料等は任意である。また、巻線を密に巻く部分を一部に設け、他の部分では間隔を設けて巻くなど、前記実施例それぞれを組み合わせてもよい。
以上のように、本発明は、コモンモードチョークコイルに有用であり、高い特性インピーダンスを得ることができる点で優れている。
1,1A,1B コモンモードチョークコイル
12 コア
14 巻芯部
16,18 鍔部
20,21 巻線(第1の巻線、第2の巻線)

Claims (3)

  1. 軸方向に延在する巻芯部を有するコアと、
    前記巻芯部に巻き回される第1の巻線と、
    前記第1の巻線と並走するように前記巻芯部に巻き回される第2の巻線と、
    を備え、
    前記第2の巻線の一部は、前記軸方向と直交する方向から見たとき、前記第1の巻線と重なり、
    前記第2の巻線の残余の部分は、前記第1の巻線に対して軸方向と略平行に並んでいること、
    を特徴とするコモンモードチョークコイル。
  2. 前記第2の巻線は、前記軸方向と直交する方向から見たとき、前記第1の巻線と2カ所で重なること、
    を特徴とする請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
  3. 前記第2の巻線は、前記軸方向と直交する方向から見たとき、前記第1の巻線と4カ所で重なること、
    を特徴とする請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
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