JP6623717B2 - エレクトロクロミック表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック表示装置及びその製造方法に関し、特に多色表示が可能なエレクトロクロミック表示装置及びその製造方法に関する。
近年、紙に替わる電子媒体として電子ペーパーへのニーズが高まり、その開発が盛んに行なわれている。特に、高い色再現性と表示メモリ性を兼ね備えた有機エレクトロクロミック(以下、「EC」ともいう)材料からなるEC表示装置は、次世代電子ペーパーの候補として有望視されている。
EC表示装置は、EC化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色表示装置として期待されている。EC表示装置は、通常は一対の対向した電極間に電流を印加し、それぞれの電極表面における活物質の酸化還元反応による呈色反応を用いた電気化学素子の1つである。
例えば特許文献1には、複数の表示電極が形成された表示基板と、複数の対向電極が形成された対向基板とを有し、EC層が表示電極上に設けられ、対向電極としてアクティブマトリクスTFT(Thin Film Transistor)を使用した構造が開示されている。開示された構造は、複数の表示電極には微細なパターニングが不要であることと、1つのアクティブマトリクスTFTパネルで3つの表示電極を切り替えることで、高い開口率でフルカラー表示画像が得られることに特徴がある。しかしながら、この構造には、複数の表示電極間でのクロストークの問題や、表示画像の保持性能に課題が残っていた。
そのような表示画像の保持性能を向上させる方法として、特許文献2に開示されたような構造が提案されている。この構造では、EC層、及び、対向電極層を画素サイズに分断し、駆動用に設けられたアクティブマトリクスTFTと各EC層と電気的に接続させて、画素ごとに独立駆動させるようになっている。ここで、EC層は表示基板に結合されている。また、対向電極層は対向基板に結合されている。
しかしながら、特許文献2に開示されたような従来の装置にあっては、多層化した各EC層を個別にアクティブマトリクスTFTに接続させる必要があるため、微細化が非常に困難で、歩留まりが悪いという課題があった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、歩留まりが良く、優れたフルカラー表示が可能なエレクトロクロミック表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置は、支持基板と、前記支持基板上に設けられたコンタクト電極と、前記支持基板と離間して設けられたプラスチック基板と、前記プラスチック基板と、当該プラスチック基板上に設けられた電極と、当該電極上に設けられた電気化学活性層とからなる複数の要素と、前記複数の要素における複数の前記電気化学活性層にわたって含浸された電解質層と、前記コンタクト電極と、前記複数の要素における複数の前記電極とをそれぞれ接続する導電パスと、を備え、前記複数の電気化学活性層のうち少なくとも1つはエレクトロクロミック層であるエレクトロクロミック表示装置において、各前記要素における前記電気化学活性層上に前記導電パスの端部が形成されており、厚み方向に隣接する2つの前記要素に関して、一方の要素における前記導電パスの端部と、他方の要素における前記プラスチック基板との間に接合部が配置されることを特徴とする。
本発明によれば、歩留まりが良く、優れたフルカラー表示が可能なエレクトロクロミック表示装置及びその製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態としてのEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施の形態としてのEC表示装置の別の構成例を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施の形態としてのEC表示装置の更に別の構成例を示す概略断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施の形態としてのEC表示装置の構成例を示す概略断面図、(b)は、第1及び第2の要素の平面図である。 (a)は、本発明の第3の実施の形態としてのEC表示装置の構成例を示す概略断面図、(b)は、第1〜第4の要素の平面図である。 本発明の第4の実施の形態としてのEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 本発明の第4の実施の形態としてのEC表示装置の製造工程の一例を示す工程図である(その1)。 本発明の第4の実施の形態としてのEC表示装置の製造工程の一例を示す工程図である(その2)。 (a)は、実施例1のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図である。 (a)は、実施例2のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図、(c)は、第3の要素の平面図である。 (a)は、実施例3のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図、(c)は、第3の要素の平面図、(d)は、第4の要素の平面図である。 比較例1のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 比較例2のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 実施例4のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 (a)は、実施例4のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図である。 実施例5のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 (a)は、実施例5のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図、(c)は、第3の要素の平面図、(d)は、第4の要素の平面図である。 比較例3のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 (a)は、比較例3のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図、(c)は、第3の要素の平面図、(d)は、第4の要素の平面図である。 実施例6のEC表示装置における第1の要素の平面図である。 実施例7のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 (a)は、実施例7のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図、(c)は、第3の要素の平面図、(d)は、第4の要素の平面図である。 実施例8のEC表示装置の構成例を示す概略断面図である。 (a)は、実施例8のEC表示装置における第1の要素の平面図、(b)は、第2の要素の平面図、(c)は、第3の要素の平面図、(d)は、第4の要素の平面図である。
以下、本発明について実施の形態を示して、詳細かつ具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜3に示すように、本発明の第1の実施の形態としてのEC表示装置10〜12は、支持基板1と、封止基板2と、支持基板1上に設けられた複数のコンタクト電極3と、を有し、支持基板1上に複数の要素E1〜E4がそれぞれ離間して設けられる。第1の要素E1は、支持基板1と離間して設けられた第1のプラスチック基板4aと、第1のプラスチック基板4a上に設けられた第1の電極5aと、第1の電極5a上に設けられた第1の電気化学活性層6aとからなる。第2の要素E2は、第1の要素E1と離間して設けられた第2のプラスチック基板4bと、第2のプラスチック基板4b上に設けられた第2の電極5bと、第2の電極5b上に設けられた第2の電気化学活性層6bとからなる。第3の要素E3は、第2の要素E2と離間して設けられた第3のプラスチック基板4cと、第3のプラスチック基板4c上に設けられた第3の電極5cと、第3の電極5c上に設けられた第3の電気化学活性層6cとからなる。第4の要素E4は、第3の要素E3と離間して設けられた第4のプラスチック基板4dと、第4のプラスチック基板4d上に設けられた第4の電極5dと、第4の電極5d上に設けられた第4の電気化学活性層6dとからなる。
EC表示装置10において、複数の電気化学活性層6a,6bのうち少なくとも1つはEC層である。また、EC表示装置11において、複数の電気化学活性層6a〜6cのうち少なくとも1つはEC層である。また、EC表示装置12において、複数の電気化学活性層6a〜6dのうち少なくとも1つはEC層である。また、EC表示装置10〜12は、複数の要素における複数の電気化学活性層6にわたって含浸された電解質層7と、コンタクト電極3と複数の要素における複数の電極5とをそれぞれ電気的に接続する複数の導電パス8と、を備える。各要素における電気化学活性層6上には、導電パス8の端部80が形成されている。
ここで、第1の導電パス8aは、支持基板1上の複数のコンタクト電極3のうちの1つと第1の電極5aとを電気的に接続する。第2の導電パス8bは、複数のコンタクト電極3のうちの1つと第2の電極5bとを電気的に接続する。第3の導電パス8cは、複数のコンタクト電極3のうちの1つと第3の電極5cとを電気的に接続する。第4の導電パス8dは、複数のコンタクト電極3のうちの1つと第4の電極5dとを電気的に接続する。
EC表示装置10〜12においては、厚み方向に隣接する2つの要素に関して、一方の要素における導電パス8の端部80と、他方の要素におけるプラスチック基板4の間に接合部としての接合材9が配置されている。接合材9は、導電パス8の直上に形成された構成となっている。以下、図1〜3を参照し、各構成要素について詳しく説明する。
<支持基板>
支持基板1上には、支持基板1上に離間して積層される各要素からの導電パス8と電気的に接続するためのコンタクト電極3が必要となる。コンタクト電極3は、外部駆動電源に接続するための電気配線や、駆動装置と接続されることにより、各電気化学活性層6a〜6dに電圧を印加することが可能となる。支持基板1としては透明、不透明を問わずあらゆる材料を用いることができる。すなわち、透明基板として、ガラス基板、プラスチックフィルム等の基板や、不透明な基板として、シリコン基板、ステンレス等の金属基板、又はこれらを積層したものなど、種々の基板を用いることができる。また、コンタクト電極3やそれに接続する電気配線を設けるためにプリント基板(PCB基板、Printed Circuit Board)などを組み合わせて用いてもよい。
EC表示装置10〜12は、反射型表示素子や透過型表示素子として用いることができる。透過型表示素子であれば支持基板1として少なくとも透明基板が好ましく、反対に反射型表示素子であれば支持基板として白色基板が好ましい。白色基板としては、白色プラスチック基板や、前述の支持基板1に更に白色反射層を設けることで準備ができる。
<白色プラスチック基板>
白色プラスチック基板としては、プラスチック樹脂に白色顔料粒子を混練して基板状に加工したものなどを用いることができる。ここで、プラスチック樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂等を用いることができる。また、白色顔料粒子としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、酸化セシウム、酸化イットリウム等を用いることができる。
<白色反射層>
白色反射層は白色顔料粒子を分散した樹脂を塗布形成する、等によって作製することができる。白色反射層に含まれる白色顔料粒子の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、酸化セシウム、酸化イットリウム等が用いられる。白色顔料粒子を分散させる樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの各種高分子樹脂材料を用いることができる。白色反射層を形成する方法としてはスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<コンタクト電極>
コンタクト電極3は支持基板1上に形成され、導電パス8a〜8dと接続される。コンタクト電極材料としては、導電性を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物、あるいはアルミ、チタン、亜鉛、金、銀、白金等の金属類、カーボン、又はそれらの複合膜などを用いることができる。コンタクト電極3は、それぞれの要素の電極5a〜5dと接続されるため、支持基板1上に複数に分離して設けられる。
コンタクト電極3の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの成膜方法とシャドーマスク法、フォトリソグラフィ法、リフトオフ法などの各種パターニング技術を組み合わせて用いることができる。また、コンタクト電極3の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法も用いることができる。これらの中でも、パターニングが不可能なものについては前述の各種パターニング方法との組み合わせにより好適にコンタクト電極3を形成することができる。
支持基板1上に形成されるコンタクト電極3は、EC表示装置10〜12の画素電極として作用する。このため、支持基板1及びコンタクト電極3としては、ドットマトリクス表示に用いられるアクティブマトリクス装置やパッシブマトリクス装置などを用いることができる。なかでも、TFTを用いたアクティブマトリクスTFTを好適に用いることができる。アクティブマトリクスTFTは、シリコン半導体、酸化物半導体、カーボン半導体、有機半導体などを活性層に用いることができる。シリコン半導体としては、アモルファスシリコンやポリシリコンなどが挙げられる。酸化物半導体としては、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)などが挙げられる。カーボン半導体としては、グラフェンやカーボンナノチューブなどが挙げられる。有機半導体としてはペンタセンなどが挙げられる。これらの中でも、比較的移動度が高い低温ポリシリコンTFTやIGZO−TFTなどが好適に用いることができる。
コンタクト電極3の大きさは、それぞれの要素と接続するための導電パス8a〜8dの大きさと同等かそれ以下の場合には精密な位置合わせが必須となる。この場合はコンタクト電極3を不透明な金属類で形成することが可能である。しかし、コンタクト電極3の材料として透明電極を選択すると、導電パス8a〜8dの大きさを超えるコンタクト電極3を設けることで位置合わせが比較的容易になるという利点がある。すなわち、下層にある支持基板1の透明性や白色反射性を損なうことなくコンタクト電極3や導電パス8a〜8dを形成することができるため好適に用いることができる。
<プラスチック基板>
プラスチック基板4a〜4dは、表示電極としての電極5a〜5dを支持するための基板である。プラスチック基板4a〜4dの材料としては、透明な材料であれば特に限定されるものではなく、PETやPCを始めとした様々な材料を使用することができる。
プラスチック基板4a〜4dの厚みとしては、貫通する導電パス8の電気的接続に影響を及ぼすが、10μmから400μmまで適宜に選択することができる。厚みが薄い方が電気的接続に有利であるが、取り扱いが困難になるという短所もある。プラスチック基板4a〜4dとしては、電解質を含有できる多孔質プラスチック基板を用いることや、あらかじめプラスチック基板中に電解質となるイオンを含有しているものなども用いることができる。これらを用いることで電気化学活性層6a〜6dの電気化学反応が促進され、応答速度が速くなることが期待できる。
多孔質プラスチック基板については、様々な方法を利用して多孔質形状を作製することができる。例えば、高分子溶液の相変化を利用して多孔質を形成する方法や、多孔質形成のための添加剤をポリマーに混合・分散して、成型後に除去する方法、プラスチック基板の一部分の結合を化学的に切断する又は結合反応を行うことにより多孔質を形成する方法がある。さらに、中性子線、レーザ等を照射して多孔質体を形成する方法、高分子微細片を加熱等により融着して多孔質体を成型する方法、発泡剤を利用して細孔を形成する方法など多岐にわたる。また、多孔質の細孔径は、電解質層7が含有するイオンを通過させることができる大きさ以上であれば問題なく、1nmから100μm程度から選択すればよい。細孔径が大きすぎると外光を散乱し、透明性に問題が出てくる可能性があるが、電解質層7との屈折率差を無くすことによって透明性も問題なくなるため、好適に用いることができる。
<電極>
電気化学活性層6a〜6dを活性化させるための電極5a〜5dの材料としては、導電性を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なかでも透明性を有する電極が好適に用いることができる。透明性を有する電極の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物などが挙げられる。また、透明性を有する銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、金属酸化物等のネットワーク電極又はこれらの複合層も選択可能である。透明性を有しない電極としては、例えばアルミ、チタン、亜鉛、銀、金、白金などの金属類、又はそれらを含む合金や、カーボンなどが挙げられる。
電極5a〜5dの作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、電極の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法も用いることができる。透明な電極の光学透過率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60%以上100%未満が好ましく、90%以上100%未満がより好ましい。光学透過率が、60%未満であると、表示画像が暗くなり、明るさや色鮮やかさなどの表示性能が劣るという弊害が生じる。また、透明な電極の膜厚は、特に制限されるわけではないが、ITO電極の場合であれば10〜300nmが好ましい。
<電気化学活性層(EC層)>
EC層は、EC材料を含んでおり、EC材料としては、無機EC化合物、有機EC化合物のどれを用いても構わない。また、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子も用いることができる。無機EC化合物としては、例えば酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。また、有機EC化合物としてはビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。また、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
具体的には、ポリマー系、色素系のEC化合物としては、例えば、低分子系有機EC化合物や、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が用いられる。低分子系有機EC化合物としては、例えばアゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系が用いられる。
特に、EC層は、ビオロゲン系化合物又はビピリジン系化合物を含むことが好ましい。これらの材料は発消色電位が低く、複数の表示電極構成においても良好な色値を示す。ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物に関しては公知のものも使用することができる。例えば、ビオロゲン系については、特許第3955641号公報、特開2007−171781号公報、ビピリジン系については、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報などに例示がある。
上記中、特に、好ましくは、下記の一般式(1)で表されるビピリジン系化合物を含むことがよい。これらの材料は発消色電位が低いため、複数の表示電極を有するEC表示装置を構成した場合においても、還元電位により良好な発色の色値を示す。
<一般式(1)>
Figure 0006623717
なお、一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換基を有しても良い炭素数1から8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1又はR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、Si(OC2k+1から選ばれる置換基を有する。Xは1価のアニオンを表す。nは0、1又は2を表す。kは0、1又は2を表す。Aは置換基を有しても良い炭素数1から20のアルキル基、アリール基、複素環基を表す。
一方、金属錯体系の化合物としては、例えば、プルシアンブルー、鉄シアノ錯体、ルテニウムシアノ錯体、オスミウムシアノ錯体、タングステンシュウ酸錯体、希土類ジフタロシアニン錯体等が挙げられる。金属酸化物系の化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化バナジウム等が挙げられる。
また、EC層としては、導電性又は半導体性微粒子に有機EC化合物を担持した構造を用いることが特に望ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の超微粒子(導電性又は半導体性からなる)を焼結し、その超微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基などの極性基を有する有機EC化合物を吸着させた構造である。このような構造とすれば、超微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機EC化合物に電子が注入されるため、発色濃度が大きく発消色の速度が大きい。
さらに、超微粒子を用いることでEC層として透明な膜を形成することができるため、高い白反射率を得ることができる。また、複数種類の有機EC化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。EC層の好ましい膜厚範囲は0.1〜10μmである。膜厚が0.1μmよりも薄い場合、発色濃度を得にくくなる。また、膜厚が10μmよりも厚い場合、製造コストが増大するとともに、着色によって視認性が低下しやすい。
導電性又は半導体性微粒子としては特に限定されるものではないが、金属酸化物が望ましい。材料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。
電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタンが用いられたとき、特に発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。あるいは、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン、から選ばれる一種、もしくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。また、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、EC化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」ともいう)が大きい微粒子が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にEC化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色表示が可能である。
これらEC層の形成方法としては、各種真空成膜法や塗布成膜法を用いることができる。真空成膜法としては例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、塗布成膜法としてはスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法も用いることができる。
<貫通孔>
後述する図9〜11等に示すように、各要素には導電パス8a〜8dのための貫通孔15が設けられている。また、各要素の導電パス8が形成される領域に、複数の貫通孔15からなる貫通孔群16がレーザによって形成されていてもよい。また、各要素の貫通孔群16が形成された領域以外であって、各要素の導電パス8が形成される領域に、レーザによって貫通孔15が形成されていてもよい。
貫通孔15を形成する方法として、貫通孔15を設けないところにレジスト材を形成し、プラズマ照射やエッチング液等でエッチングする各種パターニング法、針状の刃で物理的に貫通孔を設ける方法が考えられる。また、直接表示電極に各種放射線を輻射して細孔を形成させる方法等も考えられる。なかでもパルスレーザなどを用いたレーザ加工法は、レーザ強度や波長などのコントロールが容易であり、細孔を形成する材料に合わせた加工法が選択できるため特に好適に用いることができる。また、貫通孔15を設ける材料の吸収波長と、レーザの発振波長、周波数、パルス幅、照射径などのエネルギー密度を調整することで、貫通孔15の大きさの制御が可能である。またレーザの照射側にある材料の方が照射されるエネルギーが強く貫通孔を設けやすいため、自然と貫通孔の大きさも大きくなる傾向がある。
貫通孔15の大きさは、貫通孔15内に設ける導電パス8a〜8dの抵抗と、表示エリアとなるEC層の面積から決定される。つまり、小さすぎる貫通孔では導電パスの抵抗が上昇してしまう原因になり、大きすぎる貫通孔は、EC層の面積を減らしてしまうため表示性能の低下の原因になる。貫通孔15の大きさとしては1μmから1mmが好ましく、更には10μmから200μm以下が好ましい。例えば、EC層の面積が1mm×1mmである場合は、貫通孔15を直径100μmの円形で形成するとEC層の有効領域が99%以上となる。このように、貫通孔15の大きさはEC層の面積に応じて選択することが好ましい。
各要素上に設けられた電極5a〜5dとコンタクト電極3の間の抵抗は、電極5a〜5dとそれぞれ導電パス8a〜8dとの間の接触抵抗と、それぞれ導電パス自体の抵抗の和として表される。電極5a〜5dとコンタクト電極3の間の電気的な接触の信頼性を上げるためには、それぞれの抵抗成分を下げる必要がある。上記のように電極5a〜5dと導電パス8a〜8dとの接触面積を増やすことや、1つの導電パスを形成するために同一の要素に複数の貫通孔15を設けることで、電極5a〜5dと導電パス8a〜8dの接触抵抗を下げることが可能である。また、導電パス8a〜8dの大きさ(貫通孔15の径)を大きくすることや、複数の導電パスを用いることで導電パス自体の抵抗を低減させることが可能となる。
<電気化学活性層(非EC層)>
複数の電気化学活性層6a〜6dのうちEC層でないもの(非EC層)は、対を成すEC層の電位を制御するための電極として機能する。非EC層は、EC層の発色を視覚的に妨げない範囲で電気化学活性な材料であれば、特に限定されるものではないが、金属酸化物が望ましい。材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸素ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。
<電解質層>
電解質層7は、複数の電気化学活性層6にわたって含浸されるように設けられ、複数の電気化学活性層6の間でイオンを移動させることで電荷を移動させ、EC層の発色/消色反応を起こすために必須である。電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
また、イオン液体も用いることができる。イオン液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン液体には、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有するものがある。
このような分子構造の例としては、カチオン成分としてN,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩などのイミダゾール誘導体、N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩などのピリジニウム誘導体など芳香族系の塩、又は、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウムなど脂肪族4級アンモニウム系の塩が挙げられる。一方、アニオン成分としては大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物がよく、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどが挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン液体を用いることができる。
これらの電解質材料を溶媒に溶解して電解液として用い、電解質層7に用いることも可能である。溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類やそれらの混合溶媒などを用いることができる。
また、電解質、例えば電解液は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型など様々な形態をとることが可能である。特に電解液はゲル状、固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止から好ましい。
固体化手法としては、電解質と溶媒を樹脂(ポリマー)中に保持することがよい。高いイオン伝導度を維持しつつ固体強度が得られるためである。さらに、樹脂(ポリマー)としては光硬化が可能な樹脂(光硬化性樹脂)が好ましい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより樹脂と電解質材料を含む電解質層を薄膜化して形成する方法に比べて、光硬化性樹脂を用いた場合には低温かつ短時間で素子を製造できる利点がある。
なお、電解質層7の膜厚は0.5〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは1〜50μmである。この理由は、電解質層7の膜厚が50μmよりも厚いと電荷が拡散しやすく、また、膜厚が1μmよりも薄いと電解質としての機能の保持が困難になるためである。
<封止基板>
視認側に配置される封止基板2としては、透明な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス基板や各種プラスチックフィルムなどが挙げられる。また、水蒸気バリア性、ガスバリア性、視認性を高めるために、封止基板2の表裏面に透明絶縁層、反射防止層などがコーティングされていてもよい。
<封止層>
封止基板2と支持基板1の間には、電解質層7が大気に暴露されることを防止するための封止層が設けられることが望ましい。電気化学反応は大気中の水や酸素の影響を受けて反応電位が変動し、素子の耐久性が悪くなることがあるため、そのような影響を排除するために封止層は有用である。封止層に用いられる材料としては、例えばエポキシ系、アクリル系などの接着剤が挙げられる。また、シールタイプの封止材やガラスフリット封止など様々な材料・技術も利用可能である。封止材には、大気からの水蒸気バリア性、ガスバリア性はもちろんのこと、電解質層7に対する耐性も必要であるため、電解質層7中の溶媒や溶質に影響を受けないように封止材の材料を選定する必要がある。
<導電パス>
図1〜3,9〜11等に示すように、本実施の形態では、第1の導電パス8aは、第1の要素E1に設けられた貫通孔15を通じて設けられる。また、第2の導電パス8bは、第1の要素E1に設けられた貫通孔15と、第2の要素E2に設けられた貫通孔15の両者を通じて設けられる。また、第3の導電パス8cは、第1の要素E1に設けられた貫通孔15と、第2の要素E2に設けられた貫通孔15と、第3の要素E3に設けられた貫通孔15とを通じて設けられる。また、第4の導電パス8dは、第1の要素E1に設けられた貫通孔15と、第2の要素E2に設けられた貫通孔15と、第3の要素E3に設けられた貫通孔15と、第4の要素E4に設けられた貫通孔15とを通じて設けられる。
導電パス8a,8bに用いる材料は、導電性があるものであれば特に限定されるものではない。例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物、あるいは亜鉛、白金等の金属、カーボン、又はそれらの複合膜などを用いることができる。
導電パス8は、各要素に設けられた貫通孔15にわたって形成する必要があるため、導電性微粒子を含むインク(導電ペースト)を用いて形成することが望ましい。導電ペーストは、導電性材料を微粒子にし、分散媒となる溶剤や分散剤、結着剤となる各種ポリマー等を含むものが挙げられる。特に銀や金などのナノメタルインクや、グラフェンやカーボンナノチューブ等の分散液、カーボンペーストなどが有用である。導電パス8の形成方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法も用いることができる。なかでもインクジェットプリント法やスクリーン印刷法などのパターニングが可能な各種印刷法が好適に用いられる。
<接合材>
接合材9は、プラスチック基板4a〜4d間に配置され、両者の基板の密着性を向上させている。基板間の密着性が悪い場合、素子の耐久性の低下が懸念される。そのような影響を排除するために接合材9は有用である。接合材9に用いられる材料は、プラスチック基板4a〜4d間を接合するものであれば特に限定されるものではなく、例えばエポキシ系、アクリル系などの接着剤が挙げられる。特に、接合材9を形成する材料として、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いた場合には、プラスチック基板との接合部位が素子作製後も電解質層7等に溶け出すことがなく、安定したEC表示装置を作製することが可能になるため好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係るEC表示装置10〜12は、接合材9を用いて厚み方向に隣接する2つの要素間の密着性を向上させているため、歩留まりが良く、駆動信頼性の高いフルカラー表示に展開可能な多色表示デバイスを実現することができる。なお、従来のEC表示装置において、複数の要素間の密着性を向上させるために接着剤を使用した場合、接着剤を塗布した領域は電解質が浸透せず、結果として発色領域や駆動領域を低下させる要因となっていた。これに対して、本実施の形態に係るEC表示装置10〜12においては、接合材9は、導電パス8の直上に形成されるため、電気化学活性層6やコンタクト電極3と接触することがない。このため、発色面積を低下させることなく、高いコンタクト信頼性を有するEC表示装置を実現することができる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の第2の実施の形態について、図面を用いて説明する。第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。
図4に示すように、本発明の第2の実施の形態としてのEC表示装置20においては、複数のコンタクト電極3を有する支持基板1上に、第1の要素E1と第2の要素E2がそれぞれ離間して設けられる。また、第1及び第2の要素E1,E2が有する第1及び第2の電気化学活性層6a,6bは、それぞれ電解質層7により含浸される。
第1の要素及び第2の要素には、それぞれ貫通孔15が設けられており、貫通孔15を通じてそれぞれの導電パス8a,8bが形成される。このとき、第2の導電パス8bは第1の要素を貫通するように設けられており、第1の導電パス8aと第2の導電パス8bが電気的に絶縁するように第1の電極5aの一部は取り除かれて不連続になっている。このとき、第1及び第2の導電パス8a,8bの絶縁のために取り除かれる第1の電極5aの上に形成される第1の電気化学活性層6aも除去されて不連続になっていることが好ましい。これは、電気化学活性層が導電性を有するためであり、第1の導電パス8aと第2の導電パス8bとの間の絶縁性を高めるために有効である。
また、第1及び第2の導電パス8a,8bのための貫通孔15については、第1のプラスチック基板4aと第1の電極5aに設けられた貫通孔の径よりも、第1の電気化学活性層6aに設けられた貫通孔の径の方が大きいことが好ましい。また、第2のプラスチック基板4bと第2の電極5bに設けられた貫通孔の径よりも、第2の電気化学活性層6bに設けられた貫通孔の径の方が大きいことが好ましい。これは、第1及び第2の電極5a,5bの露出面積を大きくすることで電極と導電パスの電気的接触を改善し、コンタクト抵抗による電圧降下を抑制し、EC層の発消色電圧の低減に有効であるためである。また、接触抵抗の低減のために、第1及び第2の要素に複数の貫通孔を設けて、第1及び第2の導電パス8a,8bをそれらの貫通孔の中に形成して、第1及び第2の電極5a,5bと電気的に接続させてもよい。さらに、大気中の酸素や水分から電解質層7や電気化学活性層6a,6bを保護するために、封止基板や封止層が設けられていることが好ましい。
<電気化学活性層>
第2の実施の形態では、第1及び第2の電気化学活性層6a,6bのうち、少なくとも1つがEC層であることが必要である。電気化学活性層として少なくとも1つは電気的刺激によって色変化を伴うEC層である必要があるが、色変化を伴わない電気化学活性層は、EC層の対極層として作用することができる。
<エレクトロクロミック層>
EC層では、電気的な酸化還元反応によって色変化を伴う電気化学反応が起こる。EC層はその材料によって、電気的に還元されて透明から着色する還元発色型と、電気的に酸化されて透明から着色する酸化発色型に分けられる。例えばビピリジン化合物の1つであるビオロゲンは、還元されると透明から青色に着色する還元発色型EC材料である。反対にプルシアンブルーは酸化されると透明から青色に着色する酸化発色型EC材料である。
本実施の形態の第1の電気化学活性層6aと第2の電気化学活性層6bは、それぞれ酸化発色型EC材料と還元型EC材料で形成されることが望ましい。これは、両者の電気化学反応を利用することで、単位電荷当たりの発色濃度が高く、発色効率の良いEC表示装置を提供できるからである。また、吸収スペクトルの異なるEC材料を選択することで、単独では実現できない様々な色や、黒に着色するEC表示装置も得られる。
<対極層>
本発明では、特に大きな色変化を伴わない電気化学活性層を対極層と呼ぶ。これら対極層は、EC層の逆反応をすることでそれぞれの電気化学反応を安定化させ、エレクトロクロミック反応に必要な電位差を小さくする効果などが期待できる。例えば、EC層が還元発色型の場合、対極層としては酸化反応できる材料であることが望ましい。対極層に用いられる材料としては、EC層と同様に無機化合物、有機化合物のどれを用いても構わない。
対極層は、酸化還元反応に伴う可視光域での光吸収帯の変化が小さい(ほぼ色変化のない)EC材料と捉えることができるため、EC層と同様の材料を選択することができる。例えば、有機化合物であれば、一般式(1)に記載されるビピリジン誘導体は、一般式(1)中のAの共役長の調整により、可視光域に吸収帯を発現しないように分子設計することも可能である。また、無機化合物でも例えば、酸化アンチモン錫や酸化チタンなどは、電気化学的な酸化還元反応での可視光域の吸収変化が小さく、対極層の材料として利用することができる。対極層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、対極層の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法も用いることができる。
<プラスチック基板>
プラスチック基板4a,4bとしては第2の実施の形態では透明・不透明を問わず用いることができる。例えば、視認側である第2の電気化学活性層6bが色変化を伴うEC層、第1の電気化学活性層6aが色変化を伴わない対極層である場合には、第1及び第2のプラスチック基板4a,4bを白色プラスチック基板で設けることができる。この場合、EC表示装置の白色反射率が向上し、表示特性の向上が期待できる。
また、後述の第3、第4の電気化学活性層を設けた第3の実施の形態では、第3、第4の電気化学活性層をEC層とした場合には、同様に第1及び第2のプラスチック基板4a,4bとして白色プラスチック基板を用いることができる。白色プラスチック基板としては、例えば白色顔料を分散させたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やアクリル樹脂基板などが市販されている。また、第1の実施の形態で説明した白色反射層を透明基板に設けることで白色基板を準備することができる。また、白色プラスチック基板の場合には十分な白色度を得るために数100μm程度の厚みが必要な場合もある。
<電極>
第2の実施の形態ではプラスチック基板4a,4bと同様に、電気化学活性層6a,6bとプラスチック基板4a,4bの選択によっては、透明性を有しない作用電極も利用することができる。例えば、視認側である第2の電気化学活性層6bが色変化を伴うEC層、第1の電気化学活性層6aが色変化を伴わない対極層である場合には、第2のプラスチック基板4bを白色プラスチック基板として、第1の電極5aに不透明な材料を選択することができる。
<電極、電気化学活性層のパターニング>
第2の実施の形態では、第1の要素E1には電極5aが形成されているため、第2の導電パス8bは第1の電極5aと交差するように設けられる。しかし、電極5aと第2の導電パス8bとは電気的には絶縁である必要があるため、第1の電極5aの一部は不連続となっていることが必要である。ここで、不連続であるとは、電極の一部が除去されて連続に繋がっていない、つまり電極層内で導通しない領域があるということである。第1の電極5aで、電気的に絶縁されている領域に貫通孔15を設けることで、第1の電極5aの大部分と第2の導電パス8bとの絶縁が確保される。
第1の電極5aで不連続となる領域は、貫通孔15及び第2の導電パス8bの大きさよりも大きく設けられる必要がある。また、不連続となる電極は、領域の周囲の部分が除去されて内部と外部とに分断されてもよいし、領域内の電極全てを除去しても構わない。電極の除去方法としては、レジスト材を形成し、プラズマ照射やエッチング液でエッチングする各種パターニング法や、直接電極に各種放射線を輻射し除去する方法等を用いることができる。なかでもパルスレーザなどを用いたレーザ加工法は、プラスチック基板4aを残しての電極の除去や、プラスチック基板4aごと除去し、第1及び第2の導電パス8a,8bの絶縁性を高めることができるなど、加工の自由度が高く好適に用いることができる。
第2の実施の形態では、支持基板1は複数のコンタクト電極3を備え、要素の数と同数の2つのコンタクト電極3が1つの画素を形成する。これらの画素が行方向と列方向とにマトリクスをなして配列し、第1及び第2の要素E1,E2が画素ごとに分断され、隣接する画素とは電気的に絶縁される。これによってEC表示装置でマトリクス表示が可能になる。EC表示装置を画素に分断する工程では、電気化学活性層や電極と同様にレーザ加工法を好適に用いることができる。また、第1及び第2の要素E1,E2を同時にレーザ加工法で切断することで、1つの画素において第1及び第2の要素E1,E2の大きさを揃えることも可能となる。
<駆動原理>
第2の実施の形態では、第1の電気化学活性層6aと第2の電気化学活性層6bの間に電位差が生じるように、支持基板1のそれぞれのコンタクト電極3に電圧が印加される。つまり、電流は、支持基板1⇔コンタクト電極3⇔第1の導電パス8a⇔第1の電極5a⇔第1の電気化学活性層6a⇔電解質層7⇔第2の電気化学活性層6b⇔第2の電極5b⇔第2の導電パス8b⇔コンタクト電極3⇔支持基板1の経路を通じて流れる。第1の電気化学活性層6aと第2の電気化学活性層6bは同一の電解質層7中に存在し、イオン伝導による電気的な導通が可能となる。
以上説明したように、第2の実施の形態に係るEC表示装置20は、第1の電極5aの一部が除去されて不連続となる領域を有しており、第2の導電パス8bが第1の要素E1を貫通するための貫通孔15がこの領域に形成されている。これにより、第1の電極5aの大部分と第2の導電パス8bとの絶縁を確保することができ、1つの駆動基板を用いて駆動信頼性の高いフルカラー表示に展開可能なEC表示装置を実現することができる。また、積層された各EC層を支持基板1へ歩留まり良く電気的に接続することが可能となり、安価なEC表示装置が提供される。また、従来の方法と比較して簡便な方法によって効率良くEC表示装置を製造することが可能となる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の第3の実施の形態について、図面を用いて説明する。第1又は第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。
図5に示すように、本発明の第3の実施の形態としてのEC表示装置21においては、複数のコンタクト電極3を有する支持基板1上に、第1の要素E1と第2の要素E2と第3の要素E3と第4の要素E4とがそれぞれ離間して設けられる。また、第1〜第4の要素E1〜E4が有する第1〜第4の電気化学活性層6a〜6dは、それぞれ電解質層7により含浸される。第1の要素E1には4箇所の、第2の要素E2には3箇所の、第3の要素E3には2箇所の、第4の要素E4には1箇所の貫通孔15が設けられており、これらの貫通孔15を通じてそれぞれの導電パス8a〜8dが形成される。このとき、第2の導電パス8bは第1の要素E1を、第3の導電パス8cは第1及び第2の要素E1,E2を、第4の導電パス8dは第1〜第3の要素E1〜E3を貫通するように設けられている。つまり、ある要素に電気的に接続された導電パス8は、当該要素と支持基板1との間に別の要素がある場合に、その別の要素を貫通してコンタクト電極3と接続されることとなる。
また、第1〜第4の導電パス8a〜8dがそれぞれ電気的に絶縁するように、第1〜第3の電極5a〜5cの一部は取り除かれて不連続になっている。このとき、第1〜第4の導電パス8a〜8dの絶縁のために取り除かれる第1〜第3の電極5a〜5cの上にそれぞれ形成される第1〜第3の電気化学活性層6a〜6cも同時に除去されて不連続になっていることが好ましい。
また、第1〜第4の導電パス8a〜8dのための貫通孔15については、第1のプラスチック基板4aと第1の電極5aに設けられた貫通孔の径よりも、第1の電気化学活性層6aに設けられた貫通孔の径の方が大きいことが好ましい。また、第2のプラスチック基板4bと第2の電極5bに設けられた貫通孔よりも、第2の電気化学活性層6bに設けられた貫通孔の径の方が大きいことが好ましい。また、第3のプラスチック基板4cと第3の電極5cに設けられた貫通孔の径よりも、第3の電気化学活性層6cに設けられた貫通孔の径の方が大きいことが好ましい。また、第4のプラスチック基板4dと第4の電極5dに設けられた貫通孔の径よりも、第4の電気化学活性層6dに設けられた貫通孔の径の方が大きいことが好ましい。これは、それぞれ第1の導電パス8aと第1の電極5aとの間、第2の導電パス8bと第2の電極5bとの間、第3の導電パス8cと第3の電極5cとの間、第4の導電パス8dと第4の電極5dとの間の接触抵抗の低減に有効である。
<電気化学活性層>
第3の実施の形態では、第1〜第4の電気化学活性層6a〜6dのうち、少なくとも1つがEC層であることが必要である。さらには、第1〜第4の電気化学活性層6a〜6dのうち、3つの電気化学活性層がEC層であることが望ましく、それらは透明からそれぞれシアン、マゼンタ、イエローに着色するEC層であることが望ましい。さらに、第1の電気化学活性層6aは対極層であり、第2〜第4の電気化学活性層6b〜6dがEC層であることが望ましい。また、最も支持基板1に近い側に対極層となる電気化学活性層を配置することが望ましい。これは、前述のようにプラスチック基板として白色プラスチック基板を用いることでEC表示装置の白色度を向上させることができるためである。
シアン、マゼンタ、イエローの3原色は、減法混色と呼ばれる色表現を構成する。これら3色を重ねるごとに暗くなり、3色等量で混合すると黒色になる。減法混色は印刷物などの反射による色表現に用いられ、EC表示装置としては最適な色表現方法である。
これらシアン、マゼンタ、イエローの3原色に発色するEC層としては、有機・無機を問わずに用いることができる。しかし、それぞれの酸化還元電位があまりに乖離すると電気的なコントロールが困難になるため、3原色は同様の材料系で揃えた方が好ましい。例えば、有機化合物であれば、一般式(1)に記載されるビピリジン誘導体は、一般式(1)中のAの共役長の調整により、それぞれシアン、マゼンタ、イエローに発色する材料を得ることができ、好適に用いることができる。また、他の有機化合物や無機化合物も3原色に発色する材料であれば用いることが可能である。
<電極、電気化学活性層のパターニング>
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、第2の導電パス8bは第1の電極5aと電気的に絶縁である必要があるため、第1の電極5aの一部は除去されて不連続になっている必要がある。また、第3の導電パス8cは第1及び第2の電極5a,5bと電気的に絶縁である必要があるため、第1及び第2の電極5a,5bの一部は除去されて不連続になっている必要がある。また、第4の導電パス8dは第1〜第3の電極5a〜5cと電気的に絶縁である必要があるため、第1〜第3の電極5a〜5cの一部は除去されて不連続になっている必要がある。
第3の実施の形態では、支持基板1は複数のコンタクト電極3を備え、要素の数と同数の4つのコンタクト電極3が1つの画素を形成する。これらの画素が行方向と列方向とにマトリクスをなして配列し、第1〜第4の各要素E1〜E4が画素ごとに分断され、隣接する画素とは電気的に絶縁される。これによってEC表示装置でマトリクス表示が可能になる。EC表示装置を画素に分断する工程は、第2の実施の形態と同様にレーザ加工法を好適に用いることができる。また、第1〜第4の各要素E1〜E4を同時にレーザ加工法で切断することで、1つの画素においてそれぞれの要素の大きさを揃えることも可能となる。
<駆動原理>
第3の実施の形態では、任意の電気化学活性層の間に電位差が生じるように、支持基板1のそれぞれのコンタクト電極3に電圧が印加される。つまり、電流は、支持基板1⇔コンタクト電極3⇔第nの導電パス8⇔第nの電極5⇔第nの電気化学活性層6⇔電解質層7⇔第mの電気化学活性層6⇔第mの電極5⇔第mの導電パス8⇔コンタクト電極3⇔支持基板1の経路を通じて流れる。ここで、n,mは1〜4のうち互いに異なる2つの数を示す。第1の電気化学活性層6aが対極層であり、第2〜第4の電気化学活性層6b〜6dがEC層である場合、対極層と各EC層の間に電位差が生じるように、それぞれ対応するコンタクト電極3間に電圧が印加されることが望ましい。
以上説明したように、第3の実施の形態に係るEC表示装置21は、第1〜第3の電極5a〜5cの一部が除去されて不連続となる領域を有している。さらに、ある要素に電気的に接続された導電パス8は、当該要素と支持基板1との間に別の要素がある場合に、その別の要素を貫通してコンタクト電極3と接続される。これにより、1つの駆動基板を用いて駆動信頼性の高いフルカラー表示が可能なEC表示装置を実現することができる。
(第4の実施の形態)
以下、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置及びその製造方法の第4の実施の形態について、図面を用いて説明する。第1〜第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する場合がある。
図6に示すEC表示装置22は、1つの支持基板1上に第3の実施の形態のEC表示装置21が複数配置された形態を有する。第4の実施の形態では、支持基板1上に形成された1つのEC表示装置21の構成、すなわち、4つのコンタクト電極3、第1〜第4の要素E1〜E4、第1〜第4の導電パス8a〜8dが1つの画素を形成する。この画素は1つの支持基板1上に複数配置され、それぞれの画素は互いに離間して配置される。さらに、それぞれの画素の第1〜第4の電気化学活性層6a〜6dは、それぞれ電解質層7により含浸される。
図7,8に、図6に示すEC表示装置22の製造方法のフロー図を示す。
<第1工程>
まず、複数のコンタクト電極3を有する支持基板1上に、第1のプラスチック基板4a上に第1の電極5aと第1の電気化学活性層6aを形成した第1の要素E1を配置する。第1の要素E1には、コンタクト電極3の位置に合わせて1つの画素当たり4箇所の貫通孔15が設けられている。その4箇所の貫通孔15のうち3箇所の貫通孔15の周りで第1の電極5a及び第1の電気化学活性層6aの一部が除去されて不連続になっている(図7(1))。さらに、第1の要素E1に設けられた貫通孔15に、コンタクト電極3と電気的に接続するように導電性微粒子を含む導電性インク17が流し込まれ、それぞれ第1の導電パス8aと第2〜第4の導電パス8b〜8dの一部が形成される(図7(2))。
<第2工程>
さらに、第1工程により得られた構成の上に、第2のプラスチック基板4b上に第2の電極5b及び第2の電気化学活性層6bを形成した第2の要素E2を配置する。第2の要素E2には、第2〜第4の導電パス8b〜8dの位置に合わせて1つの画素当たり3箇所の貫通孔15が設けられている。第3及び第4の導電パス8c,8dに合わせて形成した貫通孔15の周りでは、第2の電極5b及び第2の電気化学活性層6bの一部が除去されて不連続になっている(図7(2))。さらに、第2の要素E2に設けられた貫通孔15に導電性微粒子を含む導電性インク17が流し込まれて、それぞれ第2の導電パス8bと、第3及び第4の導電パス8c,8dの一部が形成される(図7(3))。
<第3工程>
さらに、第2工程により得られた構成の上に、第3のプラスチック基板4c上に第3の電極5c及び第3の電気化学活性層6cを形成した第3の要素E3を配置する。第3の要素E3には、第3及び第4の導電パス8c,8dの位置に合わせて1つの画素当たり2箇所の貫通孔15が設けられている。第4の導電パス8dに合わせて形成した貫通孔15の周りでは、第3の電極5c及び第3の電気化学活性層6cの一部が除去されて不連続になっている(図7(3))。さらに、第3の要素E3に設けられた貫通孔15に導電性微粒子を含む導電性インク17が流し込まれて、それぞれ第3の導電パス8cと、第4の導電パス8dの一部が形成される(図7(4))。
<第4工程>
さらに、第3工程により得られた構成の上に、第4のプラスチック基板4d上に第4の電極5d及び第4の電気化学活性層6dを形成した第4の要素E4を配置する。第4の要素E4には、第4の導電パス8dの位置に合わせて1つの画素当たり1箇所の貫通孔15が設けられている(図7(4−1))。さらに、第4の要素E4に設けられた貫通孔15に導電性微粒子を含む導電性インク17が流し込まれて、第4の導電パス8dが形成される(図8(4−2))。
つまり、第1〜第3工程においては、導電パス8の周りの電極5が一部除去される。また、第2〜第4工程においては、1つの要素上に別の1つの要素が配置され、当該別の1つの要素に設けられた貫通孔15に、既に形成された導電パス8と電気的に接続するように導電性インク17が流し込まれる。
第1〜第4工程における、各要素E1〜E4に設けられる貫通孔15の加工、電極5a〜5cと電気化学活性層6a〜6cの一部除去は、レーザ加工法を好適に用いて加工ができる。また、第1〜第4工程ではあらかじめ貫通孔15、電極5a〜5d、及び電気化学活性層6a〜6dのパターニング加工を施した要素E1〜E4を配置し、導電性インク17による導電パス8a〜8dを形成するという一連の工程を示した。しかし、未加工の要素を配置し、下のコンタクト電極3や導電パス8a〜8dの位置に合わせて貫通孔15を形成し、次いで導電性インク17で導電パス8a〜8dを形成した後に電極5a〜5d、電気化学活性層6a〜6dのパターニング加工を施してもよい。前者の場合は要素E1〜E4の配置に精密なアラインメントが必要で、プラスチック基板4a〜4dの熱膨張の影響を受けることが問題となるが、後者の場合はそのような問題点が解消されるメリットがある。
<第5工程>
続いて、隣接画素で繋がっていたそれぞれの要素E1〜E4を各画素に分断し、画素を形成する(図8(5))。この工程もレーザ加工法を好適に用いることができ、画素ごとに要素E1〜E4を個別に配置するよりもはるかに高い生産性が期待できる。1つの画素でそれぞれの要素を同じ大きさで形成できるため、第5工程では全ての要素E1〜E4をまとめて切断することが望ましい。しかし、第1〜第4工程で各要素を個別に画素に分断してもよい。この場合、レーザ加工法を用いる場合は、低い照射エネルギーで処理可能であることが期待できる。
<第6工程>
最後に、電解質層7を各画素における各要素E1〜E4に充填する(図8(6))。光硬化性樹脂を含む電解液を各画素間に浸透させた後、紫外線照射により硬化させたゲル電解質層などを好適に用いることができる。第5工程で分断された画素間の間隙から電解質を含む液体が毛細管現象により充填される。さらに、減圧や加圧処理によって要素間に残った僅かな気泡を除去することもできる。電解質層7の充填工程は画素へ分断した後に行なうことが最も好ましいが、第1〜第4工程のそれぞれの要素を配置する際に電解質を含む液体を間に挟む工程に代えてもよい。あるいは、この工程と画素分断後の充填工程とを併用してもよく、この方法であれば確実に要素間に電解質層7を形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
下記〔1〕〜〔6〕により、図1に示す構成に準拠して、EC表示装置10を作製した。
〔1〕電解質材料の調製
電解質層7に用いる電解質材料として過塩素酸テトラブチルアンモニウムの炭酸プロピレン溶液(TBAP、濃度0.1mol/l)を調製した。
〔2〕第1の要素(対向電極層)の作製
まず、以下に示したATO分散液(固形分量4.5質量%)を調製した。
・T−1(三菱マテリアル電子化成株式会社製):45質量部
・HW140SF(DIC株式会社製):49質量部
・テトラフルオロプロパノール:906質量部
次いで、第1のプラスチック基板(ルミラーS10 東レ社製)4a上にスパッタリング法により約50nmの厚さのITO膜を形成して第1の電極5aとし、その上に調整した上記ATO分散液をスピンコート法により塗布し10nmのATO膜を作製した。その後、90℃で15分間アニール処理を行うことによって、平均厚みが300nmの酸化スズ粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成して第1の電気化学活性層6aとした。
〔3〕第2の要素の作製
第2のプラスチック基板(ルミラーS10 東レ社製)4b上にスパッタリング法により約50nmの厚さのITO膜を形成して第2の電極5bとした。さらに、その上に酸化チタン微粒子分散液(SP210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、90℃で15分間のアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成した。続いて、この上にマゼンタ発色するEC化合物であるビオロゲン化合物の2wt% 2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を1分間浸した後に90℃で10分間のアニール処理を施し、第2の電気化学活性層6bとしてのEC層を形成した。
〔4〕第1の要素の設置
支持基板1上に形成された複数のコンタクト電極3の上に〔2〕にて作成された第1の要素E1を重ね、図9(a)の様に0.1mm角の貫通孔群16、1.8mm角の貫通孔15、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を1mmφの円状に塗布して導電パス8aとし、第1の要素E1を対応するコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔5〕第2の要素の設置
第1の要素E1のカーボンペースト塗布領域(端部80)上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第2の要素E2を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第2の要素E2の固定を行った。次に、図9(b)の様に0.1mm角の貫通孔群16、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8bとすることにより、第2の要素E2を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔6〕EC表示装置10の作製
〔5〕で作製した部材に〔1〕で調製した電解質材料を塗布した。ここで、EC層はポーラスな構造であることから、電解質材料は表示電極界面まで十分に浸透する。次いで、封止基板2を電解質材料面に重ね合わせて実施例1のEC表示装置10を作製した。
上記実施例1のEC表示装置10において反射率試験の実施を行った。試験は下記コンタクト信頼性試験方法による。結果を下記表1に示す。
<試験1:コンタクト信頼性試験>
作製したEC表示装置について、4.0mC/cm電荷量となるように一定の電圧を10秒間印加し全ベタ発色させた際、発色しない画素数の割合をカウントすることで、コンタクト不良の程度を調べ、下記基準にて評価した。
[評価基準]
◎:コンタクト不良割合 5%未満
○:コンタクト不良割合 5%以上10%未満
△:コンタクト不良割合 10%以上
次いで、上記実施例1のEC表示装置10において発色濃度試験の実施を行った。試験は下記発色濃度試験方法による。結果を下記表1に示す。
<試験2:発色濃度試験>
作製したEC表示装置について、マゼンタ発色するEC層部に4.0mC/cm電荷量となるように一定の電圧を10秒間印加し発色させ、波長550nmの反射率をOcean Optics社製 USB4000で測定した。それらの値を用いて発色濃度を下記基準にて評価した。
[評価基準]
◎:波長550nmの反射率が10%未満である場合
○:波長550nmの反射率が10%以上30%未満である場合
△:波長550nmの反射率が30%以上である場合
<実施例2>
下記〔1〕〜〔8〕により、図2に示す構成に準拠して、EC表示装置11を作製した。なお、〔1〕〜〔3〕については実施例1の〔1〕〜〔3〕と同様であるため説明を省略する。
〔4〕第3の要素の作製
第3のプラスチック基板(ルミラーS10 東レ社製)4c上にスパッタリング法により約50nmの厚さのITO膜を形成して第3の電極5cとした。さらに、その上に酸化チタン微粒子分散液(SP210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、90℃で15分間のアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成した。続いて、この上にシアン発色するEC化合物であるビオロゲン化合物の2wt% 2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を1分間浸した後に90℃で10分間のアニール処理を施し、第3の電気化学活性層6cとしてのEC層を形成した。
〔5〕第1の要素の設置
支持基板1上に形成された複数のコンタクト電極3の上に〔2〕にて作成された第1の要素E1を重ね、図10(a)の様に0.1mm角の貫通孔群16、1.8mm角の貫通孔15、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を1mmφの円状に塗布して導電パス8aとし、第1の要素E1を対応するコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔6〕第2の要素の設置
第1の要素E1のカーボンペースト塗布領域(端部80)上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第2の要素E2を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第2の要素E2の固定を行った。次に、図10(b)の様に0.1mm角の貫通孔群16、1.8mm角の貫通孔15、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8bとすることにより、第2の要素E2を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔7〕第3の要素の設置
第2の要素E2のカーボンペースト塗布領域(端部80)上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第3の要素E3を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第3の要素E3の固定を行った。次に、図10(c)の様に0.1mm角の貫通孔群16、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8cとすることにより、第3の要素E3を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔8〕EC表示装置11の作製
〔7〕で作製した部材に〔1〕で調製した電解質材料を塗布した。ここで、EC層はポーラスな構造であることから、電解質材料は表示電極界面まで十分に浸透する。次いで、封止基板2を電解質材料面に重ね合わせて実施例2のEC表示装置11を作製した。作製したEC表示装置11について、実施例1と同様にして試験1,2を行った。結果を表1に示した。
<実施例3>
下記〔1〕〜〔10〕により、図3に示す構成に準拠して、EC表示装置12を作製した。なお、〔1〕〜〔3〕については実施例1の〔1〕〜〔3〕と同様であり、〔4〕については実施例2の〔4〕と同様であるため説明を省略する。
〔5〕第4の要素の作製
第4のプラスチック基板(ルミラーS10 東レ社製)4d上にスパッタリング法により約50nmの厚さのITO膜を形成して第4の電極5dとした。さらに、その上に酸化チタン微粒子分散液(SP210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、90℃で15分間のアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成した。続いて、この上にイエロー発色するEC化合物であるビオロゲン化合物の2wt% 2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を1分間浸した後に90℃で10分間のアニール処理を施し、第4の電気化学活性層6dとしてのEC層を形成した。
〔6〕第1の要素の設置
支持基板1上に形成された複数のコンタクト電極3の上に〔2〕にて作成された第1の要素E1を重ね、図11(a)の様に0.1mm角の貫通孔群16、1.8mm角の貫通孔15、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を1mmφの円状に塗布して導電パス8aとし、第1の要素E1を対応するコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔7〕第2の要素の設置
第1の要素E1のカーボンペースト塗布領域(端部80)上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第2の要素E2を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第2の要素E2の固定を行った。次に図11(b)の様に0.1mm角の貫通孔群16、1.8mm角の貫通孔15、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8bとすることにより、第2の要素E2を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔8〕第3の要素の設置
第2の要素E2のカーボンペースト塗布領域(端部80)上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第3の要素E3を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第3の要素E3の固定を行った。次に図11(c)の様に0.1mm角の貫通孔群16、1.8mm角の貫通孔15、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8cとすることにより、第3の要素E3を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔9〕第4の要素の設置
第3の要素E3のカーボンペースト塗布領域(端部80)上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第4の要素E4を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第4の要素E4の固定を行った。次に図11(d)の様に0.1mm角の貫通孔群16、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8dとすることにより、第4の要素E4を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔10〕EC表示装置12の作製
〔9〕で作製した部材に〔1〕で調製した電解質材料を塗布した。ここで、EC層はポーラスな構造であることから、電解質材料は表示電極界面まで十分に浸透する。次いで、封止基板2を電解質材料面に重ね合わせて実施例3のEC表示装置12を作製した。作製したEC表示装置12について、実施例1と同様にして試験1,2を行った。結果を表1に示した。
<比較例1>
下記〔1〕〜〔6〕により、図1に示す構成に準拠して、図12に示すようなEC表示装置30を作製した。ただし、EC表示装置30は、接合材9を有しない点で図1のEC表示装置10とは異なっている。なお、〔1〕〜〔4〕については実施例1の〔1〕〜〔4〕と同様であるため説明を省略する。
〔5〕第2の要素の設置
第1の要素E1上に第2の要素E2を重ね、UV照射によりシール材を硬化させ、第2の要素E2の固定を行った。次に、図9(b)の様に0.1mm角の貫通孔群16、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8bとすることにより、第2の要素E2を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔6〕EC表示装置30の作製
〔5〕で作製した部材に〔1〕で調製した電解質材料を塗布した。ここで、EC層はポーラスな構造であることから、電解質材料は表示電極界面まで十分に浸透する。次いで、封止基板2を電解質材料面に重ね合わせて比較例1のEC表示装置30を作製した。作製したEC表示装置30について、実施例1と同様にして、試験1,2を行った。結果を表1に示した。
<比較例2>
下記〔1〕〜〔6〕により、図1に示す構成に準拠して、図13に示すようなEC表示装置31を作製した。ただし、EC表示装置31は、接合材9が第1の電気化学活性層6a上に配置されている点で図1のEC表示装置10とは異なっている。なお、〔1〕〜〔4〕については実施例1の〔1〕〜〔4〕と同様であるため説明を省略する。
〔5〕第2の要素の設置
第1の要素E1のカーボンペースト塗布領域を除いた領域上に光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を1mmφの円状に塗布し、第2の要素E2を重ね、UV照射によりシール材を硬化させて接合材9とし、第2の要素E2の固定を行った。次に、図9(b)の様に0.1mm角の貫通孔群16、及び画素分割領域をレーザにより形成した。その後に、0.1mm角の貫通孔群16上にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を滴下して導電パス8bとすることにより、第2の要素E2を対応する駆動電極としてのコンタクト電極3と電気的に接続した。
〔6〕EC表示装置31の作製
〔5〕で作製した部材に〔1〕で調製した電解質材料を塗布した。ここで、EC層はポーラスな構造であることから、電解質材料は表示電極界面まで十分に浸透する。次いで、封止基板2を電解質材料面に重ね合わせて比較例2のEC表示装置31を作製した。作製したEC表示装置31について、実施例1と同様にして、試験1,2を行った。結果を表1に示した。
Figure 0006623717
表1の結果から、実施例1はコンタクト信頼性及び発色濃度に関していずれも良好な結果を示した。これは、導電ペースト塗布領域上で接着剤を使用することにより、非発色領域を生じさせることなく、EC層及び対向電極層間の密着性を向上させることができたためである。これは、実施例2,3のようにEC層の数が増えた素子構成に関しても同様であり、良好な結果が得られている。一方、比較例1では発色濃度は良好であったものの、接着剤を使用していないためにEC層及び対向電極層間の密着性が悪く、コンタクトの信頼性が不十分な結果となった。また、比較例2では、接着剤と接しているEC層部が非発色領域となるために十分な発色濃度が得られない結果となった。
<実施例4>
図14に示すEC表示装置40を作製した。
[第1の要素]
第1のプラスチック基板4aとしての30mm×30mmのPETフィルム(ルミラーS10 東レ社製)にスパッタリング法でITOを50nmの厚さで成膜して第1の電極5aとした。ITOのシート抵抗は約100Ω/□であった。ここに固形分濃度4.5質量%のATO分散液をスピンコートし、約300nmのATO層を得て第1の電気化学活性層6aとした。ATO分散液は、平均粒径20nmの酸化アンチモン錫透明導電粉末(T−1 三菱マテリアル社製)95質量部と、水溶性ウレタン樹脂(HW−140S DIC社製)49質量部と、テトラフルオロプロパノール906質量部との混合液とした。
さらに、図15(a)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて18箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、9箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極とATO層を50μm幅で除去し第1の要素E1を得た。
[第2の要素]
第2のプラスチック基板4bとしての30mm×30mmのPETフィルム(ルミラーS10 東レ社製)にスパッタリング法でITOを50nmの厚さで成膜して第2の電極5bとした。ITOのシート抵抗は約100Ω/□であった。ここに酸化チタン分散液(SP−210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、約1μmの酸化チタン多孔質層を得た。さらに、シアン発色するEC化合物であるビオロゲン誘導体化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(1質量%)をスピンコートし、120℃で10分間のアニール処理により、酸化チタン粒子とEC化合物からなる第2の電気化学活性層を得た。さらに図15(b)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて9箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。これにより、第2の要素E2を得た。
[支持基板]
40mm×40mmのガラス基板上にスパッタリング法により約100nmの厚さのAPC電極と10nmのITO電極を、メタルマスクを介して成膜した。これにより、36箇所のコンタクト電極3と、それぞれのコンタクト電極に接続されガラス基板周辺部へ伸びる引き出し配線とを形成した。さらに、その上にスクリーン印刷により約20μmの厚さの白色ソルダーレジスト(PSR−4000 LEW−5 太陽インキ製造株式会社製)を成膜した。そして、コンタクト電極の位置に合わせて0.5mm×0.5mmの大きさのスルーホールをフォトリソグラフィ法により形成し、白色支持基板を得た。
[各要素のコンタクト工程]
支持基板1上に第1の要素E1を配置し、支持基板1上の36箇所のコンタクト電極3の位置と、第1の要素E1に設けた18箇所の貫通孔15の位置を合わせて配置した。さらに、第1の要素E1に設けた18箇所の貫通孔15全てにカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。このとき、周辺部のITO電極とATO層を除去した9箇所の貫通孔15に設けた導電パス8bはそれぞれが電気的に絶縁されていた。続いて第2の要素E2を配置し、第2の要素E2に設けた9箇所の貫通孔15と先に形成した導電パス8の位置を合わせて配置した。さらに、第2の要素E2に設けた9箇所の貫通孔15全てにカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8bを形成した。
[画素への分断工程]
レーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて図15(a),(b)で示す一点鎖線上を数回スキャンし、第1及び第2の要素E1,E2を画素に分断した。それぞれのコンタクト電極3に接続された引き出し配線は互いに電気的に絶縁しており、また第2の導電パス8bと引き出し配線はコンタクト電極3を通じて電気的に接続され、レーザ加工により引き出し配線が分断されていないことを確認した。
[電解質層の充填]
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムの炭酸プロピレン溶液(TBAP、濃度0.1mol/L)を調製し、封止基板2としての32mm×32mmのガラス基板を、電解質溶液を介して第1及び第2の要素E1,E2が形成された支持基板1に貼り合せた。60℃に保ちつつ3分間の減圧処理を行なうことで気泡を除去し、電解質材料を十分に第1及び第2の要素E1,E2に含浸させた。さらに、封止基板2の周辺部を、光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を用いて封止し、実施例4のEC表示装置を得た。
[発色試験]
それぞれの画素において、第1の電気化学活性層に接続された引き出し配線を正極に、第2の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極につなぎ、3.5Vの電圧を1秒間印加した。選択した画素は均一にシアン色に発色した。全ての画素で同様にシアン色の発色が確認できた。
<実施例5>
図16に示すEC表示装置41を作製した。
[第1の要素]
実施例4の第1の要素E1とは貫通孔15並びに電極パターニング加工の位置を変更した。図17(a)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて36箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、27箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極とATO層を50μm幅で除去し第1の要素E1を得た。
[第2の要素]
実施例4の第2の要素E2とは貫通孔15並びに電極パターニング加工の位置を変更した。図17(b)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて27箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、18箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極と第2の電気化学活性層6bを50μm幅で除去し第2の要素E2を得た。
[第3の要素]
実施例4の第2の要素E2とは酸化チタン多孔質層に吸着する色素、貫通孔15、並びに電極パターニング加工の位置を変更した。シアン発色するEC化合物に変えて、イエロー発色するEC化合物であるビオロゲン誘導体化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(1質量%)を、酸化チタン多孔質層にスピンコートした。120℃で10分間のアニール処理により、酸化チタン粒子とEC化合物からなる第3の電気化学活性層6cを得た。図17(c)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて18箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、9箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極と第3の電気化学活性層6cを50μm幅で除去し第3の要素E3を得た。
[第4の要素]
実施例4の第2の要素E2とは酸化チタン多孔質層に吸着する色素、貫通孔15、並びに電極パターニング加工の位置を変更した。シアン発色するEC化合物に変えて、マゼンタ発色するEC化合物であるビオロゲン誘導体化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(1質量%)を、酸化チタン多孔質層にスピンコートした。120℃で10分間のアニール処理により、酸化チタン粒子とEC化合物からなる第4の電気化学活性層6dを得た。図17(d)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて9箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とし、第4の要素E4を得た。
[各要素のコンタクト工程]
支持基板1上に第1の要素E1を配置し、支持基板1上の36箇所のコンタクト電極3の位置と、第1の要素E1に設けた36箇所の貫通孔15の位置を合わせて配置した。さらに、第1の要素E1に設けた36箇所の貫通孔15全てにカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。このとき、第1の要素E1の周辺部のITO電極とATO層を除去した27箇所の貫通孔15に設けた導電パス8はそれぞれが電気的に絶縁されていた。
続いて第2の要素E2を配置し、第2の要素E2に設けた27箇所の貫通孔15と先に形成した導電パス8の位置を合わせて配置した。さらに、第2の要素E2に設けた27箇所の貫通孔15全てにカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。このとき、第2の要素E2の周辺部のITO電極とATO層を除去した18箇所の貫通孔15に設けた導電パス8はそれぞれが電気的に絶縁されていた。
さらに第3の要素E3を配置し、第3の要素E3に設けた18箇所の貫通孔15と先に形成した導電パス8の位置を合わせて配置した。さらに、第3の要素E3に設けた18箇所の貫通孔15全てにカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。このとき、第3の要素E3の周辺部のITO電極とATO層を除去した9箇所の貫通孔15に設けた導電パス8はそれぞれが電気的に絶縁されていた。最後に第4の要素E4を配置し、第4の要素E4に設けた9箇所の貫通孔15と先に形成した導電パス8の位置を合わせて配置した。さらに、第4の要素E4に設けた9箇所の貫通孔15全てにカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。
[画素への分断工程]
レーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて図17(a)〜(d)で示す一点鎖線上を数回スキャンし、第1〜第4の要素E1〜E4をそれぞれ画素に分断した。それぞれのコンタクト電極3に接続された引き出し配線は互いに電気的に絶縁していた。
[電解質層の充填]
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムの炭酸プロピレン溶液(TBAP、濃度0.1mol/L)を調製し、封止基板2として32mm×32mmのガラス基板を、電解質溶液を介して第1〜第4の要素E1〜E4が形成された支持基板1に貼り合せた。60℃に保ちつつ3分間の減圧処理を行なうことで気泡を除去し、電解質材料を十分に第1〜第4の要素E1〜E4に含浸させた。さらに、封止基板2の周辺部を、光硬化型シール材(TB3035B スリーボンド社製)を用いて封止し、実施例5のEC表示装置を得た。
[発色試験]
ある一つの画素において、第1の電気化学活性層に接続された引き出し配線を正極に、第4の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極につなぎ、3.5Vの電圧を1秒間印加したところ、選択した画素は均一にマゼンタ色に発色した。また他の画素において、第1の電気化学活性層に接続された引き出し配線を正極に、第3の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極につなぎ、3.5Vの電圧を1秒間印加したところ、選択した画素は均一にイエロー色に発色した。また別の画素において、第1の電気化学活性層に接続された引き出し配線を正極に、第2の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極につなぎ、3.5Vの電圧を1秒間印加したところ、選択した画素は均一にシアン色に発色した。
またある画素では、第2、第3の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極にそれぞれ接続し3.5Vの電圧を1秒間印加することでグリーン色の発色を得た。またある画素では、第3、第4の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極にそれぞれ接続し3.5Vの電圧を1秒間印加することでレッド色の発色を得た。またある画素では、第1、第3の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極にそれぞれ接続し3.5Vの電圧を1秒間印加することでブルー色の発色を得た。さらにある画素では、第1〜第3の電気化学活性層に接続された引き出し配線を負極にそれぞれ接続し3.5Vの電圧を1秒間印加することでブラック色の発色を得た。しかし、第4の電気化学活性層のうち2箇所でコンタクト不良のために発色しない画素があった。
<比較例3>
実施例5と比べて、第1〜第3の要素E1〜E3の作製と、各要素のコンタクト工程を以下に記すように変更して、図18に示す比較例3のEC表示装置50を作製した。
[第1の要素]
実施例5の第1の要素E1とは貫通孔15並びに電極パターニング加工の位置を変更した。図19(a)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて36箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を9箇所と、1.8mm×1.8mmの領域を27箇所抜き落として貫通孔15を作製し、第1の要素E1を得た。
[第2の要素]
実施例5の第2の要素E2とは貫通孔15並びに電極パターニング加工の位置を変更した。図19(b)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて27箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を9箇所と、1.8mm×1.8mmの領域を18箇所抜き落として貫通孔15を作製し、第2の要素E2を得た。
[第3の要素]
実施例5の第3の要素E3とは貫通孔15並びに電極パターニング加工の位置を変更した。図19(c)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて18箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を9箇所と、1.8mm×1.8mmの領域を9箇所抜き落として貫通孔15を作製し、第3の要素E3を得た。
[第4の要素]
実施例5と同様の工程によって、図19(d)に示す第4の要素E4を得た。
[各要素のコンタクト工程]
支持基板1上に第1の要素E1を配置し、支持基板1上の36箇所のコンタクト電極3の位置と、第1の要素E1に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15の位置を合わせて配置した。さらに、第1の要素E1に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。続いて第2の要素E2を配置し、第2の要素E2に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15の位置を合わせて配置した。さらに、第2の要素E2に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。
続いて第3の要素E3を配置し、第3の要素E3に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15の位置を合わせて配置した。さらに、第3の要素E3に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。最後に第4の要素E4を配置し、第4の要素E4に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15の位置を合わせて配置した。さらに、第4の要素E4に設けた0.5mm×0.5mmの9箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。
[発色試験]
実施例5と同様の発色試験を実施した。マゼンタ、イエロー、シアン、グリーン、レッド、ブルー、ブラックの発色を確認できた。しかし、第4の要素のうち8箇所、第3の要素のうち3箇所でコンタクト不良のために発色しない画素があった。
<実施例6>
実施例5のうち、第1〜第4の要素E1〜E4に設ける0.5mm×0.5mmの貫通孔の大きさを、図20の第1の要素E1を例に示すように、9個の0.1mm×0.1mmの貫通孔15の集まりである貫通孔群16に代えて実施例6のEC表示装置を作製した。
[発色試験]
実施例5と同様の発色試験を実施した。マゼンタ、イエロー、シアン、グリーン、レッド、ブルー、ブラックの発色を確認できた。しかし、第4の要素のうち1箇所だけ発色しない画素があった。
<実施例7>
実施例5のうち、図21に示すように第1〜第4の要素に設ける貫通孔、及び電極パターニング加工、電気化学活性層パターニング加工を変更して実施例7のEC表示装置60を作製した。
[第1の要素]
実施例5の第1の要素E1とは貫通孔、電極パターニング加工、及び電気化学活性層パターニング加工を変更して第1の要素E1を作製した。図22(a)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて36箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、27箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極とATO層を50μm幅で除去した。さらにレーザ出力を弱めて9箇所の太線内を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域でITO電極を残してATO層のみを除去して第1の要素E1を得た。
[第2の要素]
実施例5の第2の要素E2とは貫通孔、電極パターニング加工、及び電気化学活性層パターニング加工を変更して第2の要素E2を作製した。図22(b)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて27箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、18箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極と第2の電気化学活性層を50μm幅で除去した。さらにレーザ出力を弱めて9箇所の太線内を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域でITO電極を残して第2の電気化学活性層のみを除去し、第2の要素E2を得た。
[第3の要素]
実施例5の第3の要素E3とは貫通孔、電極パターニング加工、及び電気化学活性層パターニング加工を変更して第3の要素E3を作製した。図22(c)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて18箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。またレーザ出力を調整し、9箇所の破線上を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域で先に成膜したITO電極と第3の電気化学活性層を50μm幅で除去した。さらにレーザ出力を弱めて9箇所の太線内を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域でITO電極を残して第3の電気化学活性層のみを除去し、第3の要素E3を得た。
[第4の要素]
実施例5の第4の要素E4とは貫通孔、電極パターニング加工、及び電気化学活性層パターニング加工を変更して第4の要素E4を作製した。図22(d)に示すようにレーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて9箇所の実線上を数回スキャンし、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。レーザ出力を弱めて9箇所の太線内を数回スキャンし、1.8mm×1.8mmの領域でITO電極を残して第4の電気化学活性層のみを除去し、第4の要素E4を得た。
[発色試験]
実施例5と同様の発色試験を実施した。印加電圧を3Vへ低下させてもマゼンタ、イエロー、シアン、グリーン、レッド、ブルー、ブラックの発色を確認できた。また、どの画素においてもコンタクト不良は認められなかった。
<実施例8>
実施例5の第1〜第4の要素の作製及び各要素のコンタクト工程を以下のように変更して図23に示す実施例8のEC表示装置61を作製した。
[第1の要素]
第1のプラスチック基板4aとしての30mm×30mmのPETフィルム(ルミラーS10 東レ社製)にスパッタリング法でITOを50nmの厚さで成膜して第1の電極5aとした。ITOのシート抵抗は約100Ω/□であった。ここに固形分濃度4.5質量%のATO分散液をスピンコートし、約300nmの第1の電気化学活性層6aとしてのATO層を得て第1の要素E1とした。ATO分散液は、平均粒径20nmの酸化アンチモン錫透明導電粉末(T−1 三菱マテリアル社製)95質量部と、水溶性ウレタン樹脂(HW−140S DIC社製)49質量部と、テトラフルオロプロパノール906質量部との混合液とした。
[第1の要素のコンタクト工程]
第1の要素E1を支持基板1上に配置し、レーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて、図24(a)に示すようにコンタクト電極3の位置に合わせて36箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。さらに、その36箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。続いてレーザ加工機を用いて図24(a)に示す27箇所の破線上を数回スキャンし、導電パス8の周囲でPETフィルム、ITO電極、ATO層を含む第1の要素E1を一部切断した。
[第2の要素]
第2のプラスチック基板4bとしての30mm×30mmのPETフィルム(ルミラーS10 東レ社製)にスパッタリング法でITOを50nmの厚さで成膜して第2の電極5bとした。ITOのシート抵抗は約100Ω/□であった。ここに酸化チタン分散液(SP−210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、約1μmの酸化チタン多孔質層を得た。さらに、シアン発色するEC化合物であるビオロゲン誘導体化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(1質量%)をスピンコートし、120℃で10分間のアニール処理を行った。これにより、酸化チタン粒子とEC化合物からなる第2の電気化学活性層6bを得て第2の要素E2とした。
[第2の要素のコンタクト工程]
第2の要素E2を支持基板1上に配置し、レーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて、図24(b)に示すようにコンタクト電極3の位置に合わせて27箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。さらに、その27箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。続いてレーザ加工機を用いて図24(b)に示す18箇所の破線上を数回スキャンし、導電パス8の周囲でPETフィルム、ITO電極、第2の電気化学活性層6bを含む第2の要素E2を一部切断した。
[第3の要素]
第3のプラスチック基板4cとしての30mm×30mmのPETフィルム(ルミラーS10 東レ社製)にスパッタリング法でITOを50nmの厚さで成膜して第3の電極5cとした。ITOのシート抵抗は約100Ω/□であった。ここに酸化チタン分散液(SP−210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、約1μmの酸化チタン多孔質層を得た。さらに、イエロー発色するEC化合物であるビオロゲン誘導体化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(1質量%)をスピンコートし、120℃で10分間のアニール処理を行った。これにより、酸化チタン粒子とEC化合物からなる第3の電気化学活性層6cを得て第3の要素E3とした。
[第3の要素のコンタクト工程]
第3の要素E3を支持基板1上に配置し、レーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて、図24(c)に示すようにコンタクト電極3の位置に合わせて18箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。さらに、その18箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。続いてレーザ加工機を用いて図24(c)に示す9箇所の破線上を数回スキャンし、導電パス8の周囲でPETフィルム、ITO電極、第3の電気化学活性層6cを含む第3の要素E3を一部切断した。
[第4の要素]
第4のプラスチック基板4dとしての30mm×30mmのPETフィルム(ルミラーS10 東レ社製)にスパッタリング法でITOを50nmの厚さで成膜して第4の電極5dとした。ITOのシート抵抗は約100Ω/□であった。ここに酸化チタン分散液(SP−210 昭和電工セラミックス社製)をスピンコートし、約1μmの酸化チタン多孔質層を得た。さらに、マゼンタ発色するEC化合物であるビオロゲン誘導体化合物の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(1質量%)をスピンコートし、120℃で10分間のアニール処理を行った。これにより、酸化チタン粒子とEC化合物からなる第4の電気化学活性層6dを得て第4の要素E4とした。
[第4の要素のコンタクト工程]
第4の要素E4を支持基板1上に配置し、レーザ加工機(Nd:YAGレーザ、波長:266nm、パルス幅:11ナノ秒 ワイイーデータ社製)を用いて、図24(d)に示すようにコンタクト電極3の位置に合わせて9箇所の実線上を数回スキャンした。これにより、0.5mm×0.5mmの領域を抜き落として貫通孔15とした。さらに、その9箇所の貫通孔15にカーボンペースト(CH−8 十条ケミカル社製)を塗布した後、120℃のオーブンで15分間アニールし、直径約1mmの導電パス8を形成した。
[発色試験]
実施例5と同様の発色試験を実施した。マゼンタ、イエロー、シアン、グリーン、レッド、ブルー、ブラックの発色を確認できた。しかし、第4の要素のうち1箇所でコンタクト不良のために発色しない画素があった。
1 支持基板
2 封止基板
3 コンタクト電極
4a 第1のプラスチック基板(プラスチック基板4)
4b 第2のプラスチック基板(プラスチック基板4)
4c 第3のプラスチック基板(プラスチック基板4)
4d 第4のプラスチック基板(プラスチック基板4)
5a 第1の電極(電極5)
5b 第2の電極(電極5)
5c 第3の電極(電極5)
5d 第4の電極(電極5)
6a 第1の電気化学活性層(電気化学活性層6)
6b 第2の電気化学活性層(電気化学活性層6)
6c 第3の電気化学活性層(電気化学活性層6)
6d 第4の電気化学活性層(電気化学活性層6)
7 電解質層
8a 第1の導電パス(導電パス8)
8b 第2の導電パス(導電パス8)
8c 第3の導電パス(導電パス8)
8d 第4の導電パス(導電パス8)
9 接合材(接合部)
10〜12,20〜22,40,41,60,61 EC表示装置(エレクトロクロミック表示装置)
15 貫通孔
16 貫通孔群
17 導電性インク
80 端部
E1 第1の要素
E2 第2の要素
E3 第3の要素
E4 第4の要素
特開2012−128217号公報 特表2005−535930号公報

Claims (8)

  1. 支持基板と、
    前記支持基板上に設けられたコンタクト電極と、
    前記支持基板と離間して設けられたプラスチック基板と、
    前記プラスチック基板と、当該プラスチック基板上に設けられた電極と、当該電極上に設けられた電気化学活性層とからなる複数の要素と、
    前記複数の要素における複数の前記電気化学活性層にわたって含浸された電解質層と、
    前記コンタクト電極と、前記複数の要素における複数の前記電極とをそれぞれ接続する導電パスと、を備え、
    前記複数の電気化学活性層のうち少なくとも1つはエレクトロクロミック層であるエレクトロクロミック表示装置において、
    各前記要素における前記電気化学活性層上に前記導電パスの端部が形成されており、厚み方向に隣接する2つの前記要素に関して、一方の要素における前記導電パスの端部と、他方の要素における前記プラスチック基板との間に接合部が配置されることを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
  2. 前記接合部が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂より成る請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置。
  3. 前記接合部が前記導電パスの直上に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示装置。
  4. 前記導電パスと前記電極とを電気的に接続するための複数の貫通孔を、複数の前記要素に設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示装置。
  5. 各前記要素において、前記プラスチック基板と前記電極に設けられた前記貫通孔の径よりも、前記電気化学活性層に設けられた前記貫通孔の径の方が大きいことを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック表示装置。
  6. 前記支持基板は複数の前記コンタクト電極を備え、
    前記複数の要素の数と同数の前記コンタクト電極が1つの画素を形成し、
    前記画素が行方向と列方向とにマトリクスをなして配列し、
    前記複数の要素がそれぞれ隣接する前記画素間で離間していることを特徴とする請求項5に記載のエレクトロクロミック表示装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法において、
    前記支持基板上に1つの前記要素を配置し、当該1つの要素に設けられた前記貫通孔に、前記コンタクト電極と電気的に接続するように導電性微粒子を含むインクを流し込み、前記導電パスを形成する工程と、
    前記1つの要素上に別の1つの前記要素を配置し、当該別の1つの前記要素に設けられた前記貫通孔に、既に形成された前記導電パスと電気的に接続するように導電性微粒子を含むインクを流し込む工程と、
    を含むことを特徴とするエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法において、
    前記導電パスの周りの前記電極を一部除去する工程を更に含むことを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック表示装置の製造方法。
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