JP6620441B2 - 放射性廃液処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力発電所から廃棄される汚染水に含まれる放射性物質の除去に好適な放射性廃液処理装置に関する。
従来、原子力発電所では、通常運転中にランドリードレンなどの液体廃棄物が発生している。この液体廃棄物は60Co(以下、コバルト−60)やトリチウム等の放射性物質を含んでいる。この液体廃棄物の処理においては、一般に、循環水系統による希釈によって放出基準濃度(3.7E−07Bq/cm)以下の濃度として系外へ放出しているが、循環水系統では、ポンプを稼働するための電力が大容量必要となっている。
一方、点検作業等によるプラント停止中においても、洗濯廃液等が日常的に発生しており、プラント停止中でも循環水系統による処理を行っているため、大容量の電力を消費している。これに対し、補機海水系による希釈処理は、ポンプの消費電力が少ない利点がある。この処理に好適に用いることができる方法として、特許文献1及び2には、逆浸透膜処理を行うことが開示されている。
すなわち、特許文献1には、汚染水を減圧雰囲気下で気化させて濃縮汚染水と蒸発水とに分離し、蒸発水に残存する放射性物質を逆浸透膜によって除去する処理が開示されている。特許文献2には、汚染水を逆浸透膜によって濃縮水と透過水とに膜分離した後、濃縮水を吸着材に吸着させて放射性物質を除去する処理が開示されている。逆浸透膜では、透過水の放射能を高効率で減衰させることができることから、補機海水系による希釈処理に適合させることができる。
以上のような特許文献1及び2による逆浸透膜処理では、コバルト−60等の放射性物質を含む放射性廃液の処理に適合しているが、トリチウム等を含んだ放射性廃液の場合には、処理が不十分となる問題があった。トリチウムは酸素と結合したトリチウム水として水に混在しており、水と共に逆浸透膜を透過する性質を有しているためである。なお、これに加えて、特許文献2では、放射性物質を取り除くために吸着材を用いており、吸着材の分だけ放射性廃棄物が増え、その処理が必要となる問題も有している。
これに対し、放射性廃液からトリチウム等を除去する従来の方法としては、特許文献3に開示されている。この特許文献3には、放射性汚染水を加熱してトリチウムを含む廃蒸気として気化させて被加熱残渣から分離する加熱工程と、被加熱残渣をさらに加熱して固形物とすると共に廃蒸気を気化させる乾燥工程と、加熱工程及び乾燥工程により気化した廃蒸気をまとめて再加熱し廃蒸気と同一体積中に希釈された濃度のトリチウムを含む排ガスを生成する再加熱工程とを備え、再加熱工程で生成した排ガスを大気中に放出して処理することが開示されている。しかしながら、この特許文献3では、コバルト−60等の放射性物質の除去を行うことが難しく、処理が不十分となる問題があった。
特開2013−40868公報 特開2013−96701公報 特開2015−4599公報
以上のように、逆浸透膜処理を行う特許文献1及び2では、トリチウム等を含んだ放射性廃液の処理が不十分であり、加熱処理を行う特許文献3では、コバルト−60等を含む放射性廃液の処理が不十分である問題があった。
本発明は、上記に鑑みてされたもので、その目的としては、コバルト−60等を含む放射性廃液、又はトリチウム等を含む放射性廃液の処理を十分に行うことができ、補機海水系や大気排気による希釈処理に適合させることにある。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、放射性廃液を加熱して蒸気を発生させる加熱手段と、前記蒸気を冷却して凝縮することにより復水を生成する復水器と、前記復水を逆浸透膜に供給して膜非透過の濃縮液と膜透過の透過液とに膜分離する逆浸透膜手段と、前記透過液を海水に希釈して外部に排出する希釈排出手段と、前記濃縮液を前記加熱手段に循環させる再循環ラインと、前記加熱手段から前記復水器へ蒸気を供給するラインとは異なるラインに設けられ、前記加熱手段で発生した蒸気を大気へ放出する排気手段と、前記加熱手段から前記復水器への蒸気の供給及び前記加熱手段から前記排気手段への蒸気の供給を制御する制御手段と、前記加熱手段へ供給される放射性廃液の導電率を検出する導電率センサと、を備え、前記制御手段は、前記導電率センサの検出値に応じて、前記加熱手段から前記復水器への蒸気の供給と前記加熱手段から前記排気手段への蒸気の供給とを切り換えるように制御することを特徴とする。

本発明によれば、コバルト−60等を含む放射性廃液、又はトリチウム等を含む放射性廃液の処理を十分に行うことができ、補機海水系による希釈処理に適合させることができる。
本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置の基本的な構成を示す配管図である。 本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置の制御系を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置の制御動作を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置によるコバルト−60を含む廃液の処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置によるトリチウムを含む廃液の処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る放射性廃液処理装置を示す配管図である。 本発明の第2実施形態に係る放射性廃液処理装置によってトリチウムを含む廃液の処理を行う処理槽の斜視図である。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、コバルト−60等を含む放射性廃液、又はトリチウム等を含む放射性廃液の処理を十分に行うことができ、補機海水系や大気排気による希釈処理に適合させるために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明の放射性廃液処理装置は、放射性廃液を加熱して蒸気を発生させる加熱手段と、前記蒸気を冷却して凝縮することにより復水を生成する復水器と、前記復水を逆浸透膜に供給して膜非透過の濃縮液と膜透過の透過液とに膜分離する逆浸透膜手段と、前記透過液を海水に希釈して外部に排出する希釈排出手段と、前記濃縮液を前記加熱手段に循環させる再循環ラインと、前記加熱手段から前記復水器へ蒸気を供給するラインとは異なるラインに設けられ、前記加熱手段で発生した蒸気を大気へ放出する排気手段と、を備えることを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、コバルト−60等を含む放射性廃液、又はトリチウム等を含む放射性廃液の処理を十分に行うことができ、補機海水系や大気排気による希釈処理に適合させることができる。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置1の基本的な構成を示す配管図である。
図1に示すように、放射性廃液処理装置1は、加熱手段3と、復水器7と、逆浸透膜手段9と、希釈排出手段10と、再循環ライン11と、排気手段13とを備えている。この放射性廃液処理装置1は、加熱手段3によって放射性廃液を蒸気とし、この蒸気を復水器7及び逆浸透膜手段9に供給してコバルト−60を含む低導電率廃液を処理する一方、加熱手段3で発生した蒸気を排気手段13に供給してトリチウムを含む高伝導率廃液を処理するものである。
加熱手段3は廃液(放射性廃液)15を加熱して蒸気を発生させるものであり、廃液15を供給するための廃液配管17に接続された廃液供給ライン19を有している。廃液供給ライン19には、加熱手段3を構成する循環ポンプ21、加熱器23及び濃縮器25が配置される。循環ポンプ21は加熱器23に廃液を送り込み、加熱器23は内部のヒーター27に供給された加熱用蒸気によって廃液を加熱して蒸発させる。濃縮器25には加熱器23で加熱されることにより蒸発した廃液の蒸気が導入される。濃縮器25内では、廃液の蒸気の一部が液化することにより液相となって下部に溜まり、液化しない蒸気は濃縮器25の上部から排出される。このとき放射性物質やスラッジ分は濃縮器25の下部の液相に残るため、蒸気の放射能が減衰される。
濃縮器25から蒸気を復水器7側に供給するため、濃縮器25の上部には、濃縮蒸気ライン29が接続されている。これに加えて、濃縮器25の上部には蒸気を排気手段13側に供給する排気ライン31が接続されている。これらの排気ライン31及び濃縮蒸気ライン29はそれぞれ異なるラインとなるように設けられるものである。そして、コバルト−60を含む放射性廃液の場合には、濃縮蒸気ライン29に蒸気を供給し、トリチウムを含む放射性廃液の場合には、排気ライン31に蒸気を供給して処理を行う。このため本実施形態では、放射性廃液に含まれる放射性物質の種類によって濃縮蒸気ライン29と排気ライン31とを切り換える制御を行うように構成している。なお、切り換え制御については、後述する。
コバルト−60を含む放射性廃液の処理のため、濃縮蒸気ライン29には、デミスタ5、復水器7及び逆浸透膜手段9が上流側から下流側に向かって順に配置される。デミスタ5は濃縮器25からの蒸気内に混入しているゴミ、ミスト等の不純物を除去する。復水器7は蒸気を冷却によって凝縮して復水を生成するものであり、冷却水が循環供給される冷却管33が内部に配管されている。復水器7の下流側のラインには、エネルギー回収タービン35を備えた高圧ポンプ37が設けられ、復水器7からの復水を加圧するようになっている。逆浸透膜手段9はこの高圧ポンプ37の下流側に配置される。エネルギー回収タービン35を備えた高圧ポンプ37は、逆浸透膜手段9に供給された高圧廃液のエネルギーを、タービン35を用いて回収してその駆動力に用いるものである。
高圧ポンプ37の出口側のラインには、2つに分岐したラインが接続される。逆浸透膜手段9は分岐した2つのラインのそれぞれに接続された第1逆浸透膜モジュール39及び第2逆浸透膜モジュール41を備えている。それぞれの逆浸透膜モジュール39、41の内部には逆浸透膜43が設けられている。高圧ポンプ37で加圧された復水がそれぞれのモジュール39、41内の逆浸透膜43に供給される。加圧状態の復水が逆浸透膜43に供給されると、放射性物質は逆浸透膜43を透過することがなく放射性廃液が濃縮されて一次側の濃縮水となる一方、水分子は逆浸透膜43を透過して二次側の透過液(二次水)となる。この膜分離により、逆浸透膜43を透過した二次水は放射性物質濃度が大幅に減衰する。このように放射能が減衰した二次水(透過液)では、循環水系統による希釈が必要なくなり、下流側に設けた排水用タンク45に貯留させ、希釈排出手段10によって海水に希釈した後、系外47に排出することができる。
逆浸透膜43の材質としては、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン等のうち一種を選択することができる。逆浸透膜43として酢酸セルロース膜を用いた場合、逆浸透膜43を透過した二次水の放射能を1/100程度まで減衰させることができる。この二次水を循環水系統による希釈を行うことなく、補機海水系(中型ポンプ)のみで希釈する場合、希釈水量は約1/13となる。この場合における放射性物質量は約1/100であるため、その濃度は管理目標値3.7E−07Bq/cmを下回り、系外47への排出が可能となる。
この実施形態では、逆浸透膜手段9を2つの逆浸透膜モジュール39、41によって形成しており、一方の逆浸透膜モジュールが故障した場合やメンテナンス時に停止した場合であっても、他方の逆浸透膜モジュールによる処理が可能となっている。逆浸透膜モジュールの数は2つに限定されるものではなく、1つの逆浸透膜モジュールであっても、3つ以上の逆浸透膜モジュールであっても良い。
希釈排出手段10は、逆浸透膜手段9の下流側に配置され、逆浸透膜手段9の逆浸透膜43を透過した透過液(二次水)を系外47に排出する。この希釈排出手段10は、逆浸透膜手段9からの透過液を貯留する排水用タンク45から系外47に向かうラインに接続された希釈手段89を備えている。希釈手段89はポンプ駆動によって排水用タンク45から排出される透過液を海水に希釈する。このような希釈排出手段10は、循環水によって透過液を希釈するものではなく、海水によって透過液を希釈するものである。
逆浸透膜モジュール39、41の一次側には、再循環ライン11が接続されている。再循環ライン11は高圧ポンプ37のエネルギー回収タービン35を通過した後、加熱手段3の廃液供給ライン19に連結されている。逆浸透膜モジュール39、41の一次側で濃縮された濃縮液は、高圧ポンプ37によって加圧されているため、エネルギー回収タービン35を介して再循環ライン11から加熱手段3の加熱器23に再循環され、加熱器23において再度、加熱処理された後、濃縮器25に導入される。濃縮器25の下方には廃液タンク49が接続されており、濃縮器25に導入された濃縮液は最終的にバンプ処理により廃液タンク49に貯留される。
排気手段13は排気筒51によって形成されており、濃縮器25の上部に接続された排気ライン31が最終的に排気筒51に接続される。すなわち排気ライン31は排気ファン53を備えた放出ライン55に接続され、この放出ライン55が排気筒51に接続されることにより排気ライン31が放出ライン55を介して排気筒51に接続される。排気ファン53としては原子力発電所の建屋に設けられた空調用のファンが用いられる。
排気ライン31及び排気筒51はトリチウムを含む蒸気を大気に放出するものである。トリチウムは逆浸透膜による除去が不可能である。このため、トリチウムを含む放射性廃液の場合には、加熱手段3の加熱器23で加熱して蒸気とした後、逆浸透膜手段9側の濃縮蒸気ライン29に供給することなく、蒸気を濃縮器25から排気ライン31に供給する。そして、排気ファン53からの空調エアにより希釈した後、排気筒51から大気に放出する処理を行う。
以上の処理により、日常的に発生するトリチウムを希釈法により簡単で安価に処理することができる。具体的な数値で示すと、床ドレン廃液の発生量が5t/dayの場合、10000m/hの排気ファン53による希釈で管理目標の5.0E−03Bq/cmを下回ることができる。又、プラント停止中であっても、作業等のために空調は稼働しており、各建屋の排気量の合計610000m/hで希釈することにより検出下限値付近にまで低減させることができる。この際、5t/dayの処理量では、希釈後の湿度の上昇が約7%であるため(外気温10℃での計算)、ドレンは生成されにくいものとすることができる。
トリチウムを含む放射性廃液は高導電率であるのに対し、コバルト−60を含む放射性廃液は低導電率であり、本実施形態では、放射性廃液の導電率を監視して逆浸透膜による処理又は大気放出による処理を切り換えるように制御する。
<制御系>
次に、導電率を監視することによる切り換え制御系について説明する。
図1に示すように、廃液15が供給される廃液配管17には導電率センサ57が設けられ、加熱手段3の濃縮器25の内部には水位レベル計59が設けられている。排気筒51にはトリチウムモニタ61が接続され、排出用タンク45から系外47に向かうラインには放射線測定センサ63が設けられている。
導電センサ57は廃液配管17を通過する廃液15の導電率を検出する。水位レベル計59は濃縮器25の内部の液相の水位を検出する。トリチウムモニタ61には、排気筒51に導入された蒸気の一部が取り出され、取り出した蒸気に含まれているトリチウムの濃度を検出する。放射線測定センサ63は排出用タンク45から取り出され、希釈排出手段10によって希釈された二次水の放射線量を検出する。
制御系は上述した検出手段に加えて、廃液や蒸気が通過するラインに設けた電磁弁を複数備えている。すなわち、濃縮器25の上部に接続された濃縮蒸気ライン29には循環側電磁弁65が設けられ、排気ライン31には排気側電磁弁67が設けられている。又、逆浸透膜手段9の逆浸透膜モジュール39、41の上流側の各ラインには、一次側電磁弁69、71が各モジュール39、41に対応するように設けられ、下流側の各ラインには、二次側電磁弁73、75が各モジュール39、41に対応するように設けられている。さらに、廃液タンク49の上流側のラインには、廃液タンク用電磁弁77が設けられている。これらの電磁弁は図2に示す制御手段79によって開閉動作が制御される。
図2は本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置1の制御系統を示すブロック図である。制御手段79はA/D変換部81、制御手段79の本体となる制御部83、電磁弁駆動部85、ポンプ駆動部87を備えている。電磁弁駆動部85は各電磁弁65、67、69、71、73、75、77の開閉を制御し、ポンプ駆動部87は高圧ポンプ37及び循環ポンプ21の駆動を制御する。A/D変換部81は導電率センサ57、放射線測定センサ63、トリチウムモニタ61及び水位レベル計59の検出信号を夫々にA/D変換して検出値として制御部83に出力する。これに基づいて制御部83は電磁弁駆動部85及びポンプ駆動部87に制御信号を出力する。
次に、制御手段79による制御について説明する。
導電率センサ57は処理される廃液15の導電率を検出し、検出した導電率は制御部83に出力される。このときにおいては、循環ポンプ21が駆動しており、加熱手段3の加熱器23で加熱された廃液15は蒸気となって濃縮器25に導入されている。導電センサ57が検出した導電率が所定の基準値(例えば、5×10−3Bq/cm3)を下回った場合、制御部83は廃液15が低電導率でありコバルト−60が含まれていると判断する。なお、廃液がコバルト−60に加えてセシウム、鉛、ビスマス等を含んでいても低電導率を示すものである。
廃液15を低電導率と判断した場合、制御部83は濃縮器25内の蒸気を逆浸透膜処理に供給する。このため制御部83は電磁弁駆動部85を駆動することにより循環側電磁弁65を開いて濃縮蒸気29への蒸気の導入を可能とする一方、排気側電磁弁67を閉じて排気ライン31への蒸気の供給を遮断する。これと共に制御部83は電磁弁駆動部85を駆動して逆浸透膜手段9の一次側電磁弁69、71及び二次側電磁弁73、75を開く。又、制御部83はポンプ駆動部87を駆動して高圧ポンプ37を駆動する。これにより蒸気はデミスタ5、復水器7を通過して復水となった後、逆浸透膜手段9に供給されて逆浸透膜43による膜分離が行われる。このような膜分離処理を行うことにより、二次水の放射性物質の濃度が管理目標値を下回るため、循環水系統による希釈が必要なくなり、希釈排出手段10が海水によって希釈する補機海水系(中型ポンプ)での希釈処理を行って系外47に放出することができる。
一方、廃液15の導電率が所定の基準値を超えている場合、制御部83は廃液15が高導電率であり、トリチウムが含まれていると判断する。これにより制御部83は濃縮器25内の蒸気を排気筒51に供給する。このため制御部83は電磁弁駆動部85を駆動することにより、排気側電磁弁67を開いて排気ライン31への蒸気の導入を可能とする一方、循環側電磁弁65を閉じて濃縮蒸気ライン29への蒸気の供給を遮断する。排気ライン31へ導入された蒸気は、排気ファン53からの空調エアによって希釈された後、排気筒51から大気に放出される。
以上のように、本実施形態では、廃液15の電導率の大小に応じて逆浸透膜処理又は大気放出処理に切り換えるものであり、コバルト−60を含む廃液又はトリチウムを含む廃液のいずれであっても良好に処理することができる。なお、原子力発電の実際では、機器から発生する廃液が低電導率であり、床面から発生する廃液が高電導率であることが明確に判っている場合がある。このように廃液発生源が明確となっている場合には、廃液の導電率を参考とすることなく、制御部83は廃液の発生源に応じて逆浸透膜処理又は大気放出処理を切り換える制御を行うことができる。
制御部83は放射線測定センサ63、トリチウムモニタ61及び水位レベル計59からの検出信号によって放射性廃液処理装置1を制御しており、以下、この制御について説明する。
放射線測定センサ63は排出用タンク45から系外47に排出される廃液(二次水)の放射量を検出しており、この検出値が所定の基準値(例えば、5×10−3Bq/cm3)を超えた場合、制御部83は逆浸透膜手段9での膜分離に支障があると判断する。これにより制御部83は電磁弁駆動部85を駆動して逆浸透膜手段9の一次側電磁弁69、71及び二次側電磁弁73、75を閉じる。これにより逆浸透膜の膜分離による廃液の処理が中止される。
トリチウムモニタ61は排気筒51に供給される蒸気のトリチウム濃度を検出する。検出値が所定の基準値(例えば、111Bq/cm3)を超えた場合、制御部83は電磁弁駆動部85を駆動して排気側電磁弁67を閉じ、排気筒51からの蒸気の大気放出を中止する。これによりトリチウムを高濃度に含む蒸気の大気放出が防止される。
水位レベル計59は濃縮器25の内部の液相の水位を検出する。検出した水位が所定の基準値(例えば、濃縮器25の高さに対して10%の水位)を超えている場合、基準値以下となるまで制御部83は廃液15の処理を継続させる。一方、水位が基準値以下となったとき、処理を終了する。
<放射性廃液処理装置の動作>
図3〜図5は本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置1の動作を示すフローチャートである。以下、温度等の具体的数値と共に動作について説明する。
図3は本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置1の放射性廃液15の導電率を検出する動作を示すフローチャートである。
ステップS10では加熱器23のヒーター27に加熱用蒸気を供給して加熱器23を約150℃に加熱して暖気状態とする。これにより加熱手段3に供給された放射性廃液15が蒸発して約150℃の蒸気となる。これと並行して廃液タンク49の入口側の廃液タンク用電磁弁77を閉じ同タンク49への放射性廃液の流入を防止する(ステップS20)。その後、廃液配管17から放射性廃液15を導入する(ステップS30)。廃液配管17には導電率センサ57が設けられており、導電率センサ57による放射性廃液15の導電率の検出が行われる。ステップS40では、導電率センサ57が検出した放射性廃液15の導電率と、予め設定した基準値とを比較する。放射性廃液15の導電率が基準値を下回っている場合、制御部83(制御手段79)はコバルト−60を含む放射性廃液であると判断し、処理1を行う。導電率が基準値を超えている場合、制御部83はトリチウムを含む放射性廃液であると判断し、処理2を行う。
図4は本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置1において導電率が基準値を下回った場合の処理(処理1)を示すフローチャートである。この場合は放射性廃液15にコバルト−60が含まれているため、制御部83は加熱手段3からの蒸気を逆浸透膜手段9に供給するように制御する。このため制御部83は排気側電磁弁67を閉じ(ステップS100)、循環側電磁弁65を開くように制御する(ステップS105)。ステップS105では、これと共に逆浸透膜手段9側の一次側電磁弁69、71及び二次側電磁弁73、75を開くように制御する。又、制御部83は循環ポンプ21を起動すると共に、高圧ポンプ37を起動する(ステップS110及びステップS115)。以上の制御により加熱手段3からの蒸気が逆浸透膜手段9に供給されて廃液処理が行われる(ステップS120)。
廃液処理においては、加熱手段3からの蒸気は約150℃の状態でデミスタ5を通過した後、復水器7に供給される。復水器には約30℃の冷却水が循環供給されており、蒸気が復水器7によって冷却されて凝縮することにより40〜50℃程度の復水が生成される。この復水は高圧ポンプ37の駆動により加圧されて逆浸透膜手段9に供給され、逆浸透膜手段9の逆浸透膜モジュール39、41内に導入され、逆浸透膜43による膜分離が行われる。この膜分離では放射性物質が逆浸透膜43を透過することがなく、復水(放射性廃液)が濃縮されて一次側の濃縮水となる一方、水分子が逆浸透膜43を透過して二次側の透過液(二次水)となる。この透過液(二次水)は、放射性物質濃度が大幅に減少しているため、循環水系統による希釈を行うことなく、希釈排出手段10が海水によって希釈する補機海水系による希釈処理の後、系外47に排出することができる。
この排出処理においては、放射性測定センサ63が二次水の放射量を検出しており、検出した放射量の検出値が予め設定された基準値と比較される(ステップS125)。検出値が基準値を超えている場合には、逆浸透膜43の不良等により逆浸透膜手段9での膜分離に支障があると判断し、制御部83は一次側電磁弁60、71及び二次側電磁弁73、75を閉じる(ステップS130)。この放射性測定センサ63の検出値と基準値との比較は、ステップS130に続くステップS135に示すように、再度行われる。ステップS135において放射量の検出値が基準値を超えている場合には、ステップS140に移行して廃液の処理が中止される。
ステップS125及びステップS135での比較において、放射量の検出値が基準値を下回っている場合、ステップS145に移行する。ステップS145では加熱手段3の濃縮器25内に設けた水位レベル計59が検出した水位と予め設定した基準値との比較を行う。検出した水位が基準値よりも下回っている場合には処理を中止し、検出した水位が基準値を超えている場合には、排出用タンク45内の二次水を海水によって希釈して系外47に放出する。ステップS150の処理の後はステップS120に移行する。
図5は本発明の第1実施形態に係る放射性廃液処理装置1において導電率が基準値を超えた場合の処理(処理2)を示すフローチャートである。この場合は放射性廃液15にトリチウムが含まれているため、制御部83は加熱手段3からの蒸気を排気手段13に供給するように制御する。このため制御部83は循環側電磁弁65を閉じ、排気側電磁弁67を閉じるように制御する(ステップS200及びステップS205)。また、制御部83は循環ポンプ21を駆動し(ステップS210)、これにより加熱手段3からの蒸気が連続的に排気ライン31に供給される。このとき、排気ファン53から空調エアが供給されており、蒸気は空調エアで希釈された後、排気筒51から大気放出される。
トリチウムモニタ61は排気筒51から放出される蒸気の一部をピックアップし、蒸気のトリチウム濃度を検出する。ステップS215では検出したトリチウム濃度を設定した基準値と比較し、検出濃度が基準値を超えた場合、ステップS230に移行し、検出濃度が基準値を下回った場合、ステップS220に移行する。
ステップS220では、濃縮器25に設けた水位レベル計59が濃縮器25内の濃縮液の水位を検出して所定の基準値と比較する。検出した水位が基準値を超えている場合、排気ファン53の運転を継続する。これにより、蒸気は空調エアによって希釈された後、排気筒51から大気放出される。検出した水位が基準値を下回っている場合、ステップS230に移行する。ステップS230では、制御部83が排気側電磁弁67を閉じるように制御し、これにより廃液の処理を中止する(ステップS235)。
<第1実施形態における効果>
(1)本実施形態の放射性廃液処理装置1によれば、コバルト−60を含む放射性廃液15を加熱手段3による加熱によって蒸気とした後、復水とし、復水を逆浸透膜手段9の逆浸透膜を膜過させる。この膜透過した透過液の放射性物質濃度が目標基準値よりも下回るため、循環水系統による希釈を行うことなく補機海水系による希釈だけで系外47に排出することができる。従って補機海水系による希釈処理に適合させることができる。又、トリチウムを含む放射性廃液15を加熱手段3による加熱によって蒸気とした後、排気手段13から大気へ放出する。このためコバルト−60を含む放射性廃液、又はトリチウムを含む放射性廃液の処理を十分に行うことができる。
(2)導電率センサ57の検出値が基準値を超えている場合は、放射性廃液がトリチウムを含むものと判断して放射性廃液を排気手段13から大気に放出し、導電率センサ57の検出値が基準値を超えていない場合は、放射性廃液がコバルト−60を含むものと判断して逆浸透膜手段9での処理を行う。このように放射性廃液の導電率を監視して処理を切り換えるため、コバルト−60を含む放射性廃液、又はトリチウムを含む放射性廃液の導電率に応じて適切な処理を行うことができる。
(3)トリチウムセンサ61が蒸気中のトリチウム濃度を検出し、トリチウム濃度が基準値を超えている場合は、排気手段13への蒸気の供給を停止するため、高濃度のトリチウムを含む蒸気の大気放出を防止することができる。
(4)水位レベル計59が検出した水位が基準値を超えている場合は、加熱手段3への放射性廃液15の供給を継続するため、放射性廃液15が連続的に処理され、迅速な処理を行うことができる。
<第2実施形態>
図6は本発明の第2実施形態に係る放射性廃液処理装置100の配管図、図7はトリチウムを含む廃液の処理を行う処理槽91の斜視図であり、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
第2実施形態に係る放射性廃液処理装置100は、廃液15がトリチウムを含む場合に、この廃液15をバブリング処理するものであり、図6に示すように廃液配管17の下流側に三方電磁弁からなる切換電磁弁93及びバブリング処理を行う処理槽91が設けられる。切換電磁弁93には第1配管97及び第2配管99が接続されており、第1配管97が加熱手段3に接続され、第2配管99が処理槽91に接続されている。
従って処理槽91は加熱手段3へのラインとは異なるラインに設けられる。廃液配管17に供給された放射性廃液15は切換電磁弁93によって第1配管97への供給又は第2配管99への供給に切り換えられる。この切り換えは制御手段95によって行われる。廃液配管17には導電率センサ57が設けられており、制御手段95は導電率センサ57が検出した導電率によって切換電磁弁93の切り換え動作を制御する。
処理槽91は廃液15が充填される槽本体91aを有し、この槽本体91aに第2配管99が挿入されている。第2配管99に加え、槽本体91a2にはバブリング管103が挿入されている。バブリング管103は水素ボンベ等の水素源107に接続されており、ポンプ105が駆動することにより水素源107からの気体水素を槽本体91aに導入する。槽本体91aには、気体排出ライン101が接続され、この気体排出ライン101が排気手段13としての排気筒51に接続されている。
制御手段95による切り換え制御は、導電センサ57が検出した廃液15の導電率の検出値によってなされるものであり、第1実施形態と同様に、検出値が所定の基準値を超えた場合は、制御手段95はトリチウムを含む高導電率の廃液であると判断して切換電磁弁93によって廃液15を処理槽99側の第2配管99に供給し、検出値が所定の基準値を下回った場合は、制御手段95はコバルト−60を含む低導電率の廃液であると判断して切換電磁弁93によって廃液15を加熱手段3に供給する。
加熱手段3の詳細について図示することを省略するが、第1実施形態と同様に循環ポンプ21、加熱器23及び濃縮器25を備えている(図1参照)。加熱手段3には、循環側電磁弁65を設けた濃縮蒸気ライン29が接続され、この濃縮蒸気ライン29にデミスタ5、図示することを省略した復水器7、高圧ポンプ37、逆浸透膜手段9が配置されると共に、逆浸透膜手段9の一次側の濃縮液を加熱手段3に再循環させる再循環ライン11が接続されている。以上の構成部材は図1に示すものと同様であり、加熱手段3に供給された廃液を蒸気とした後、冷却によって凝縮させて復水を生成し、この復水に対して逆浸透膜による膜分離を行う。
排気手段13についても、第1実施形態と同様であり、気体排出ライン101からの気体を排気ファン53からの空調エアで希釈した後、排気筒51から大気に放出する処理を行う。
図7は処理槽91を示し、先端部分に小孔が形成された状態でバブリング管103が槽本体91aの底部に沿って配置されている。槽本体91aに充填された廃液15にバブリング管103からの気体水素を吹き込むと、廃液15中のトリチウムが気体となって分離される。すなわち、トリチウムは水素の同位体のため化学的性質は水素と同じであり、トリチウムを含む廃液15に気体水素をバブリングさせると、水素とトリチウムが同位体交換を行うため(H+HTO→HT+HO(Tはトリチウムである。))、廃液15からトリチウムを気体として分離することができる。そして、気体として分離されたトリチウムを含むガスを排気ファン53からの空調エアで希釈した後、排気筒51から大気に放出して処理を行う。このような処理では、第1実施形態のようにトリチウムを含む蒸発させた蒸気とした後、大気排出することがないため、トリチウムを含む蒸気の結露を懸念する必要がなくなる。
以上の第2実施形態によれば、廃液15が高導電率の場合、廃液15を処理槽91に供給し、処理槽91でバブリングして廃液15からトリチウムを気体として分離して大気放出する一方、廃液15が低電導率の場合、廃液15を加熱手段3に供給し、逆浸透膜による膜分離を行って系外に排出する。このため、トリチウムを含む廃液、又はコバルト−60を含む廃液に応じて適切に処理を行うことができる。
<本発明の実施形態の構成、作用、効果>
<第1態様>
本発明の放射性廃液処理装置1は、放射性廃液15を加熱して蒸気を発生させる加熱手段3と、蒸気を冷却して凝縮することにより復水を生成する復水器7と、復水を逆浸透膜43に供給して膜非透過の濃縮液と膜透過の透過液とに膜分離する逆浸透膜手段9と、透過液を海水に希釈して外部に排出する希釈排水手段10と、濃縮液を加熱手段3に循環させる再循環ライン11と、加熱手段3から復水器7へ蒸気を供給するライン(濃縮蒸気ライン)29とは別のライン(排気ライン)31に設けられ、加熱手段3で発生した蒸気を大気へ放出する排気手段13と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、放射性廃液15を加熱手段3による加熱によって蒸気とした後、濃縮蒸気ライン29に蒸気を供給し復水器7で復水を生成し、この復水を逆浸透膜手段9による膜分離することにより放射性物質の濃度が目標基準値を下回った透過液(二次水)とする。このため、循環水系統による希釈を行うことなく補機海水系による希釈だけで系外47に排出することができる。従って補機海水系による希釈処理に適合させることができる。以上の処理によりコバルト−60を含む放射性廃液を処理することができる。
又、濃縮蒸気ライン29とは異なったライン(排気ライン)31では、加熱手段3による加熱によって放射性廃液を蒸気とした後、排気ライン31に蒸気を供給することにより排気手段13から大気へ放出する。この処理によりトリチウムを含む放射性廃液を処理することができる。このように、コバルト−60を含む放射性廃液、又はトリチウムを含む放射性廃液の処理を十分に行うことができる。
<第2態様>
本態様は、加熱手段3から復水器7への蒸気の供給及び加熱手段3から排気手段13への蒸気の供給を制御する制御手段79と、加熱手段3へ供給される放射性廃液15の導電率を検出する導電率センサ57と、をさらに備え、前記制御手段79は、導電率センサ57の検出値に応じて、加熱手段3から復水器7への蒸気の供給と加熱手段3から排気手段13への蒸気の供給とを切り換えるように制御することを特徴とする。
本態様によれば、導電率センサ57が放射性廃液15の導電率を検出し、この検出値に基づいて制御手段79が復水器7の蒸気の供給と排気手段13への蒸気の供給とを切り換えるため、放射性廃液15の導電率に応じた処理に切り換えることができる。このため、導電率が異なっているコバルト−60を含む放射性廃液、又はトリチウムを含む放射性廃液に応じて適切な処理を行うことができる。
<第3態様>
本態様の制御手段79は、導電率センサ57の検出値が基準値を超えている場合に、蒸気を加熱手段3から排気手段13に供給し、導電率センサ57の検出値が基準値を超えていない場合に、上記を加熱手段3から復水器7に供給するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、導電率センサ57の検出値が基準値を超えている場合、制御手段79は放射性廃液がトリチウムを含むものと判断し、放射性廃液を排気手段13に供給して大気放出し、導電率センサ57の検出値が基準値を超えていない場合、制御手段79は放射性廃液がコバルト−60を含むものと判断し、放射性廃液を復水器7に供給して逆浸透膜手段9での処理を行う。このように放射性廃液の導電率を監視して処理を切り換えるため、コバルト−60を含む放射性廃液、又はトリチウムを含む放射性廃液に応じて適切な処理を行うことができる。
<第4態様>
本態様は、排気手段13から大気へ放出される蒸気に含まれるトリチウム濃度を検出するトリチウムセンサ61をさらに備え、前記制御手段79は、トリチウムセンサ61が検出したトリチウム濃度が基準値を超えている場合に、加熱手段3から排気手段13への蒸気の供給を停止するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、トリチウムセンサ61が排気手段13における蒸気のトリチウム濃度を検出し、トリチウム濃度が基準値を超えている場合、制御手段79が排気手段13への蒸気の供給を停止するため、高濃度のトリチウムを含む蒸気の大気放出を防止することができる。
<第5態様>
本態様は、加熱手段3内の放射性廃液の水位を検出する水位レベル計59をさらに備え、前記制御手段79は、水位レベル計59が検出した水位が基準値を超えた場合に、加熱手段3への放射性廃液15の供給を継続するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、水位レベル計59が検出した水位が基準値を超えている場合に制御手段79が加熱手段3への放射性廃液15の供給を継続するため、放射性廃液15が連続的に処理され、迅速な処理を行うことができる。
<第6態様>
本発明の放射性廃液処理装置100は、放射性廃液を加熱して蒸気を発生させる加熱手段3と、蒸気を冷却して凝縮することにより復水を生成する復水器7と、復水を逆浸透膜43に供給して膜非透過の濃縮液と膜透過の透過液とに膜分離する逆浸透膜手段9と、透過液を海水に希釈して外部に排出する希釈排出手段10と、濃縮液を加熱手段3に循環させる再循環ライン11と、加熱手段3へ放射性廃液を供給するライン97とは異なるライン99に設けられ、放射性廃液をバブリングすることにより放射性物質を気体として分離する処理槽91と、処理槽91で分離した気体を大気へ放出する排気手段13と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、放射性廃液15を処理槽91に供給し、処理槽91でバブリングして廃液15から放射性物質を気体として分離して大気放出するため、トリチウムを含む放射性廃液を処理できる。一方、放射性廃液15を加熱手段3に供給し、逆浸透膜による膜分離を行った後、希釈して放射性物質を系外に排出するため、コバルト−60を含む放射性廃液を処理できる。このため、トリチウムを含む放射性廃液、又はコバルト−60を含む放射性廃液に応じて適切に処理を行うことができる。
<第7態様>
本態様は、放射性廃液15の加熱手段3への供給及び処理槽91への供給を制御する制御手段95と、記放射性廃液の導電率を検出する導電率センサ57とをさらに備え、制御手段95は、導電率センサ57の検出値が基準値を超えている場合に、放射性廃液15を処理槽91に供給し、検出値が基準値を超えていない場合に、放射性廃液15を加熱手段3に供給するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、放射性廃液15が高導電率の場合、廃液15を処理槽91に供給した後、処理槽91でバブリングして廃液15から放射性物質を気体として分離して大気放出する一方、放射性廃液15が低電導率の場合、廃液15を加熱手段3に供給し、逆浸透膜による膜分離を行って系外に排出するため、放射性廃液の導電率によって処理を切り換える。このため導電率が異なるトリチウムを含む廃液、又はコバルト−60を含む廃液に応じて適切に処理を行うことができる。
<第8態様>
本態様は、処理槽91は放射性廃液15に気体水素を吹き込むことにより放射性廃液15から放射性物質を気体として分離することを特徴とする。
本態様によれば、トリチウムを含む蒸気の結露を懸念する必要がなくなる。
1、100…放射性廃液処理装置、3…加熱手段、7…復水器、9…逆浸透膜手段、10…希釈排出手段、11…再循環ライン、13…排気手段、15…廃液、19…廃液供給ライン、21…循環ポンプ、23…加熱器、25…濃縮器、29…濃縮蒸気ライン、31…排気ライン、37…高圧ポンプ、53…排気ファン、57…導電率センサ、59…水位レベル計、61…トリチウムモニタ、63…放射線測定センサ、65…循環側電磁弁、67…排気側電磁弁、69、71…一次側電磁弁、73、75…二次側電磁弁、79、95…制御手段、91…処理槽、93…切換電磁弁、97…第1配管、99…第2配管、101…気体排出ライン、103…バブリング管

Claims (6)

  1. 放射性廃液を加熱して蒸気を発生させる加熱手段と、
    前記蒸気を冷却して凝縮することにより復水を生成する復水器と、
    前記復水を逆浸透膜に供給して膜非透過の濃縮液と膜透過の透過液とに膜分離する逆浸透膜手段と、
    前記透過液を海水に希釈して外部に排出する希釈排出手段と、
    前記濃縮液を前記加熱手段に循環させる再循環ラインと、
    前記加熱手段から前記復水器へ蒸気を供給するラインとは異なるラインに設けられ、前記加熱手段で発生した蒸気を大気へ放出する排気手段と、
    前記加熱手段から前記復水器への蒸気の供給及び前記加熱手段から前記排気手段への蒸気の供給を制御する制御手段と、
    前記加熱手段へ供給される放射性廃液の導電率を検出する導電率センサと、を備え、
    前記制御手段は、前記導電率センサの検出値に応じて、前記加熱手段から前記復水器への蒸気の供給と前記加熱手段から前記排気手段への蒸気の供給とを切り換えるように制御することを特徴とする放射性廃液処理装置。
  2. 前記制御手段は、前記導電率センサの検出値が基準値を超えている場合に、前記蒸気を前記加熱手段から前記排気手段に供給し、前記検出値が基準値を超えていない場合に、前記蒸気を前記加熱手段から前記復水器に供給するように制御することを特徴とする請求項に記載の放射性廃液処理装置。
  3. 前記排気手段から大気へ放出される蒸気に含まれるトリチウム濃度を検出するトリチウムセンサをさらに備え、
    前記制御手段は、前記トリチウムセンサが検出したトリチウム濃度が基準値を超えている場合に、前記加熱手段から前記排気手段への蒸気の供給を停止するように制御することを特徴とする請求項に記載の放射性廃液処理装置。
  4. 前記加熱手段内の放射性廃液の水位を検出する水位レベル計をさらに備え、
    前記制御手段は、前記水位レベル計が検出した水位が基準値を超えた場合に、前記加熱手段への放射性廃液の供給を継続するように制御することを特徴とする請求項に記載の放射性廃液処理装置。
  5. 放射性廃液を加熱して蒸気を発生させる加熱手段と、
    前記蒸気を冷却して凝縮することにより復水を生成する復水器と、
    前記復水を逆浸透膜に供給して膜非透過の濃縮液と膜透過の透過液とに膜分離する逆浸透膜手段と、
    前記透過液を海水に希釈して外部に排出する希釈排出手段と、
    前記濃縮液を前記加熱手段に循環させる再循環ラインと、
    前記加熱手段へ放射性廃液を供給するラインとは異なるラインに設けられ、前記放射性廃液をバブリングすることにより放射性物質を気体として分離する処理槽と、
    前記処理槽で分離した気体を大気へ放出する排気手段と、
    前記放射性廃液の前記加熱手段への供給及び前記処理槽への供給を制御する制御手段と、
    前記放射性廃液の導電率を検出する導電率センサと、を備え、
    前記制御手段は、前記導電率センサの検出値が基準値を超えている場合に、前記放射性廃液を前記処理槽に供給し、検出値が基準値を超えていない場合に、前記放射性廃液を前記加熱手段に供給するように制御することを特徴とする放射性廃液処理装置。
  6. 前記処理槽は、前記放射性廃液に気体水素を吹き込むことにより放射性廃液から放射性物質を気体として分離することを特徴とする請求項に記載の放射性廃液処理装置。
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