(実施の形態1)
図1を参照して、実施の形態1における濃縮装置および濃縮方法について説明する。図1は、本実施の形態における濃縮装置の概略図である。
本実施の形態における濃縮装置は、第1蒸発器としてフラッシュ型蒸発器51を備える。フラッシュ型蒸発器は、液体を飽和蒸気圧以下の圧力の雰囲気中に配置することによりフラッシュ蒸発を行う装置である。
本実施の形態におけるフラッシュ型蒸発器51は、処理液45を加熱して、処理液45の蒸気を排出するように形成されている。フラッシュ型蒸発器51は、主タンクとしてのフラッシュ缶11を含む。フラッシュ缶11は、内部が空洞に形成されている。フラッシュ缶11は、内部に処理液45を貯留することができるように形成されている。フラッシュ缶11には、処理液45を供給するための管68が接続されている。フラッシュ缶11には、内部にて生成された蒸気を排出するための管62が接続されている。また、本実施の形態におけるフラッシュ缶11には、水位を計測するための水位計が配置されている。
本実施の形態におけるフラッシュ型蒸発器51は、フラッシュ缶11に貯留する処理液45を循環するための循環流路を含む。循環流路には、管61が配置されている。フラッシュ型蒸発器51は、循環ポンプ13を含む。循環ポンプ13は、フラッシュ缶11の底部に接続されている。フラッシュ型蒸発器51は、散布器15を備える。散布器15は、循環ポンプ13に接続されている。散布器15は、フラッシュ缶11の上部に配置されている。散布器15は、処理液45をフラッシュ缶11の内部に散布できるように形成されている。
フラッシュ型蒸発器51は、加熱器としてのヒータ16を備える。ヒータ16は、熱交換器である。ヒータ16は、循環ポンプ13によって循環する処理液45を加熱するように形成されている。本実施の形態においては、蒸気生成機器としてのボイラで生成された生蒸気が管66を通ってヒータ16に送られる。ヒータ16において、処理液45と生蒸気との間で熱交換が行われて処理液45が加熱される。ヒータ16の出口には、蒸気ドレンを排出するためのドレンポンプ37が接続されている。
本実施の形態のボイラにおいては、清浄な水が加熱されて蒸気が生成される。清浄な水は、有機物などの不純物を含まない水であり、ボイラにおいては、不純物を含まない蒸気が生成される。
本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ型蒸発器51から排出される蒸気を凝縮する凝縮手段としての凝縮器18を備える。凝縮器18は、管62に接続されている。凝縮器18は、熱交換器である。凝縮器18は、フラッシュ缶11から排出された蒸気を冷却するように形成されている。凝縮器18には、矢印101に示すように冷却水が供給されている。凝縮器18にて、熱交換が行われる。熱交換を行った冷却水は、矢印102に示すように排出される。
本実施の形態における濃縮装置は、凝縮水ポンプ19を備える。凝縮水ポンプ19は、凝縮器18に接続されている。凝縮水ポンプ19は、凝縮器18で凝縮された凝縮水を排出することができるように形成されている。凝縮水ポンプ19の下流側では、凝縮水を排出する流路が分岐するように形成されている。
本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ缶11の内部を減圧するための排気機器としての真空ポンプ20を備える。真空ポンプ20は、凝縮器18に接続されている。フラッシュ缶11は、蒸気を排出する管62および凝縮器18を通して排気される。排気機器としてはこの形態に限られず、フラッシュ缶の内部を排気できるように形成されていれば構わない。
本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ型蒸発器51から排出される蒸気に混入する不純物の濃度を検知する検知手段として、電気伝導度計55を備える。電気伝導度計55は、凝縮器18で生成された凝縮水の電気伝導度を計測して、蒸気に混入する不純物の濃度を検知するように形成されている。本実施の形態における電気伝導度計55は、凝縮器18の出口に接続されている管65に配置されている。
本実施の形態における濃縮装置は、濃縮液ポンプ14を備える。濃縮液ポンプ14は、循環ポンプ13に接続されている。濃縮液ポンプ14は、濃縮された処理液45を排出することができるように形成されている。
本実施の形態においては、フラッシュ缶11に処理液45を供給する管68に、流入遮断弁としての開閉弁26が配置されている。開閉弁26は、フラッシュ型蒸発器51への処理液45の流入経路を遮断できるように形成されている。
また、循環ポンプ13と濃縮液ポンプ14との間には、流出遮断弁としての開閉弁27が配置されている。開閉弁27は、処理液45が散布器15に向かう分岐よりも濃縮液ポンプ14に近い流路に配置されている。開閉弁27は、フラッシュ型蒸発器51からの処理液45の流出経路を遮断できるように形成されている。
本実施の形態における濃縮装置は、開閉弁26,27を閉じることにより、フラッシュ型蒸発器51に対して、処理液45が流入する経路および処理液45が流出する経路が遮断される。
本実施の形態における濃縮装置は、流入遮断弁および流出遮断弁の開閉を制御する制御手段として、図示しない制御装置を備える。制御装置は、フラッシュ型蒸発器51において処理液45を蒸発濃縮するときに、流入遮断弁および流出遮断弁を全閉に制御するように形成されている。本実施の形態における制御装置は、開閉弁26,27を全閉に制御した状態で、フラッシュ型蒸発器51を運転状態に制御するように形成されている。
本実施の形態における濃縮装置は、凝縮器18から排出される凝縮水の流路を切り替える流路切替手段として、開閉弁47〜49を備える。本実施の形態においては、開閉弁47〜49の開閉状態を制御することにより、凝縮水の排出流路が変更される。凝縮水は、第1凝縮水、第2凝縮水または第3凝縮水として回収される。本実施の形態における制御装置は、電気伝導度計55からの信号を受信して、開閉弁47〜49の開閉状態を制御するように形成されている。
濃縮液ポンプ14から濃縮液を排出する管には、開閉弁29が配置されている。それぞれの開閉弁26,27,29,47〜49は、流路を遮断したり開放したりできるように形成されている。
処理液には、複数の物質が含まれている場合がある。本実施の形態における処理液45は、電子部品を製造する工場から排出される廃液である。本実施の形態における処理液45は、低沸点の物質および高沸点の物質を含む。
本発明における低沸点とは、蒸発させる圧力条件下において水の沸点より低い沸点を示し、高沸点とは、蒸発させる圧力条件下において水の沸点より高い沸点を示す。濃縮装置の蒸発缶の内部が大気圧よりも低いときには、その圧力での沸点を示す。低沸点の物質としては、たとえば、大気圧中で処理液を蒸発させる場合に沸点が80℃以下の物質である。高沸点の物質としては、たとえば、大気圧中で処理液を蒸発させる場合に沸点が150℃以上の物質である。
本実施の形態において、処理液に含まれる物質は有機物である。本実施の形態における処理液には、低沸点の物質として一のアルコール系の溶剤、および高沸点の物質として他のアルコール系の溶剤が含まれている。
次に、本実施の形態における濃縮方法について説明する。本実施の形態においては、フラッシュ型蒸発器51を閉じた系にして濃縮を行なう。本実施の形態においては、制御装置により自動運転が行われる。始めに制御装置は、開閉弁27を閉じる状態に制御する。制御装置が開閉弁26を開いた状態に制御することにより、矢印80に示すように、処理液45がフラッシュ缶11に供給される。バッチ処理を行うための第1バッチの処理液45が供給される。本実施の形態においては、処理液45を略20m3供給する。制御装置が開閉弁26を閉じた状態に制御することにより、フラッシュ型蒸発器51の処理液45の流入および流出の経路が遮断される。
次に、フラッシュ缶11の内部で、処理液45を蒸発させる第1蒸発工程を行なう。第1蒸発工程においては、制御装置が循環ポンプ13を駆動することにより、矢印81に示すように、処理液45がフラッシュ缶11の底部からヒータ16に移送される。ヒータ16には、矢印85に示すように、生蒸気が供給されている。ヒータ16に供給される蒸気により処理液45が加熱される。処理液45は、矢印82に示すように、散布器15に送られる。散布器15は、処理液45を散布する。
制御装置が真空ポンプ20を駆動することにより、矢印87に示すように排気が行われる。ここで、真空ポンプ20を駆動することにより、凝縮器18および管62を通して、フラッシュ缶11の内部を排気することができる。フラッシュ缶11の内部の圧力は低下して減圧状態になる。
散布器15から、加熱された処理液45が散布されることにより、減圧雰囲気中に処理液45が配置される。この時に、処理液45がフラッシュ蒸発を起こして蒸気が生成される。
処理液45の蒸気は、矢印83に示すように、凝縮器18に送られて冷却される。凝縮器18では、蒸気が凝縮されて凝縮水が生成される。制御装置が凝縮水ポンプ19を駆動することにより、凝縮水は、矢印84に示すように排出される。凝縮水の電気伝導度が電気伝導度計55により測定される。電気伝導度計55の信号は、制御装置に送信される。
一方で、制御装置は、第1蒸発工程を開始するときに、開閉弁47を開状態に制御する。制御装置は、開閉弁48,49を閉状態に制御する。フラッシュ型蒸発器51から排出される蒸気の凝縮水は、初期凝縮水として第1凝縮水の排出流路に導かれる。
本実施の形態においては、蒸発を開始すると、始めに低沸点の物質が凝縮水に混入することにより電気伝導度が上昇する。次に、低沸点の物質の減少とともに電気伝導度が下がる。低沸点の物質が減少して凝縮水に混入する物質が少なくなると、電気伝導度が小さくなる。
制御装置は、凝縮水の電気伝導度が小さくなったことを検知して、開閉弁47を閉状態に制御するとともに、開閉弁48を開状態に制御する。フラッシュ型蒸発器51から排出される蒸気の凝縮水は、中期凝縮水として第2凝縮水の排出流路に導かれる。
処理液の濃縮が進み、蒸気に高沸点の物質が含まれるようになると、電気伝導度が再び上昇する。制御装置は、凝縮水の電気伝導度が上昇したことを検知して、開閉弁48を閉状態にするとともに、開閉弁49を開状態に制御する。フラッシュ型蒸発器51から排出される蒸気の凝縮水は、後期凝縮水として第3凝縮水の排出流路に導かれる。
このように、本実施の形態においては、制御装置が電気伝導度計55の信号を受信して、それぞれの開閉弁47〜49を制御する。開閉弁47〜49の開閉においては、たとえば、電気伝導度の判定値を設けて、この判定値により開閉の制御を行うことができる。蒸発工程の途中に開閉弁47〜49の開閉状態を制御することにより、凝縮水をそれぞれの種類ごとに分けて回収することができる。
ヒータ16に供給された生蒸気は、ヒータ16において熱交換を行うことにより、蒸気ドレンとなる。蒸気ドレンは、ドレンポンプ37が駆動することにより、矢印86に示すように系外に排出される。
本実施の形態においては、フラッシュ型蒸発器51に処理液45が補給されたり、フラッシュ型蒸発器51から処理液45が排出されたりすることがない遮断された状態で蒸発が行われる。このため、フラッシュ缶11においては、処理液45の液面が下がる。フラッシュ缶11に残存する処理液45は、濃縮されて体積が小さくなる。本実施の形態においては、フラッシュ缶11に残存する体積が略4m3になるまで濃縮を継続する。
本実施の形態における第1蒸発工程は、主タンクの水位計により計測された水位が既定の高さになった時に第1蒸発工程を終了する。本実施の形態においては、制御装置が水位計からの信号を受信して、フラッシュ型蒸発器51を停止するように制御する。
次に、制御装置は、開閉弁27,29を開いた状態にして濃縮液ポンプ14を駆動する。濃縮された処理液45は、矢印88に示すように濃縮液として排出される。排出された濃縮液は、たとえば、焼却処理などにより処分したり、再利用したりする。
次に、本実施の形態においては、バッチ処理にて処理液45を蒸発させる第2蒸発工程を行う。本実施の形態の第2蒸発工程は、第1蒸発工程と同様の工程である。このように、本実施の形態においては、同様の蒸発工程を繰り返し行う。
図4を参照して、従来の技術においては、低沸点の物質を含む処理液の蒸発を行った場合、連続的に処理液45が蒸発缶31に供給されているために、蒸発缶31から排出される蒸気には常に低沸点の物質が混入していた。すなわち、凝縮水には低沸点の物質が混入していた。また、高沸点の物質も連続的に高濃度の濃縮液から蒸発するために、凝縮水に混入する不純物の量が多くなっていた。
または、図4を参照して、蒸発缶31に処理液45を補給する一方で蒸発缶31からの流出経路を遮断した状態で蒸発を行う方法が考えられる。この方法では、蒸発缶31の処理液45の水位が一定になるように、蒸発減量分の処理液45が供給されながら濃縮が行われる。処理液45が所定の濃度になったときに、蒸発を終了して濃縮された処理液45を蒸発缶31から取り出す。この方法においても、低沸点の物質を含む処理液45の蒸発を行った場合、連続的に処理液45が蒸発缶31に供給されているために、蒸発缶31から排出される蒸気には常に低沸点の物質が混入する。
図1を参照して、本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ型蒸発器51への処理液45の流入および処理液45の流出が遮断された状態で運転を行なう。蒸発工程において、フラッシュ缶11にて蒸発濃縮を行うと、蒸発の開始後、速やかに低沸点の物質が蒸気とともに排出され、この後、低沸点の物質が蒸気に混入することが抑制される。このように、多量の低沸点の物質が連続して凝縮水に混入することを防止できる。
一方で、高沸点の物質は、主に処理液45の濃度が高くなったときに蒸気に混入して凝縮水の不純物になる。このため、低沸点の物質が混入する初期と、高沸点の物質が混入する終期との間の中期において、低沸点の物質および高沸点の物質の混入が抑制された凝縮水を得ることができる。本実施の形態においては、流路切替手段が排出流路を切り替えることにより、主に低沸点の物質が含まれる凝縮水、低沸点の物質および高沸点の物質の混入が抑制された凝縮水、および主に高沸点の物質が含まれる凝縮水に分別して回収することができる。
本実施の形態においては、検知手段としての電気伝導度計55が配置され、凝縮器18から排出される凝縮水の電気伝導度を計測することにより、凝縮水に含まれる不純物の濃度を測定することができる。さらに、凝縮水に含まれる不純物の濃度から蒸気に含まれる不純物の濃度を算出することができる。この結果、凝縮水を容易に複数種類に分けて回収することができる。
分別して回収した凝縮水のうち、蒸発の初期に排出された主に低沸点の物質を含む凝縮水、および蒸発の終期に排出された主に高沸点の物質を含む凝縮水は、たとえば焼却処理を行なうことができる。これに対して、凝縮水のうち蒸発の中期に排出される不純物の濃度が低い凝縮水は、たとえば、そのまま放流したり再使用したりすることができる。このように、凝縮水に含まれる物質の種類や濃度に応じて選択的な処理を行なうことができる。
従来の技術における生物処理においては、廃液の含有成分、微生物の種類または含有成分の濃度等によって、生物処理を行うための希釈が必要になる。たとえば、特定の有機物の濃度が高い場合には、バクテリア等の分解能力が不十分となるために希釈が必要になる。このため、廃液を処理する設備が大きくなってしまったり、処理量が少なくなったりしてしまう。本実施の形態における濃縮装置は、設備を小型にすることができる。また、廃液の含有成分等に関わらず処理を行うことができる。
本実施の形態においては、処理液に2種類の物質が含まれていたが、この形態に限られず、1種類の物質を含む処理液または3種類以上の物質を含む処理液に対しても本発明を適用することができる。
たとえば、処理液に低沸点の物質のみが含まれている場合には、蒸発工程の初期には、主に低沸点の物質が含まれている凝縮水が排出される。蒸発工程の中期以降においては、低沸点の物質の混入が少ない凝縮水が排出される。または、たとえば処理液に高沸点の物質のみが含まれている場合には、蒸発工程の初期および中期には、高沸点の物質の混入の少ない凝縮水が排出される。蒸発工程の終期においては、主に高沸点の物質が含まれる凝縮水が排出される。それぞれの凝縮水の回収においては、排出経路を変更することにより、処理液に含まれる物質に対応させて流路切替手段を制御することが好ましい。
本実施の形態における検知手段としての電気伝導度計は、凝縮器から排出される凝縮水の電気伝導度を計測するように配置されているが、この形態に限られず、凝縮水の電気伝導度を測定できる任意の位置に配置することができる。または、検知手段は、蒸気に混入する不純物の濃度を検知できれば、任意の形態を採用することができる。
本実施の形態の蒸発工程においては、高沸点の物質が蒸気に混入するまで蒸発を継続しているが、この形態に限られず、任意の時期に蒸発工程を終了しても構わない。たとえば、高沸点の物質が多量に凝縮水に混入する前に蒸発工程を終了しても構わない。
また、本実施の形態においては、初期凝縮水、中期凝縮水および終期凝縮水に分類して凝縮水を回収しているが、この形態に限られず、任意の期間で分離しても構わない。たとえば、初期と終期とに分離して回収しても構わない。さらに、本実施の形態においては、それぞれの期間に排出される凝縮水を分別しているが、この形態に限られず、任意の回収を行うことができる。たとえば、不純物が含まれる初期と後期との凝縮水を第1凝縮水として、不純物の混入が抑制された中期の凝縮水を第2凝縮水としても構わない。
本実施の形態おいては、主タンクの水位を計測して第1蒸発工程の終了時期を定めているが、この形態に限られず、たとえば、蒸気の凝縮水の電気伝導度を計測する電気伝導度計の測定値により第1蒸発工程の終了時期を定めても構わない。
本実施の形態における濃縮装置は、主タンクの内部を減圧するための排気機器と、主タンクに貯留する処理液を主タンクの上部から散布するための散布器と、主タンクの上部から散布される処理液を加熱するための加熱器とを備える。すなわち、本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ型蒸発器を備える。この構成により、主タンクの処理液を貯留する体積を大きくすることができて、高い濃度まで濃縮を行うことができる。
たとえば、図4に示す水平管型蒸発器においては、蒸発缶31の内部に伝熱器34が配置されているために、蒸発缶31の内部空間のうち、処理液45を貯留する空間が小さくなってしまう。図1を参照して、本実施の形態においては、フラッシュ缶11の内部に伝熱器を配置する必要がないため、フラッシュ缶11の内部に多くの処理液45を投入することができる。この結果、高い濃度まで処理液の濃縮を行うことができる。または、主タンクとしてのフラッシュ缶11の体積を小さくすることができ、濃縮装置の小型化を図ることができる。
また、第1蒸発器としてフラッシュ型蒸発器を採用することにより、処理液を加熱するための熱交換器にスラリーが付着することを抑制することができる。たとえば、図4に示す水平管型蒸発器においては、伝熱管34aの内部に蒸気が流れ、伝熱管34aの外面で処理液45が加熱されるとともに蒸発される。このために、伝熱管34aの表面にスラリーが堆積し易くなる。図1を参照して、本実施の形態においては、ヒータ16で処理液45を加熱している。処理液45がヒータ16を通るときには、ヒータ16の伝熱管の内部を通る。処理液45は、循環ポンプ13によって強制的に流されるために、ヒータ16の伝熱管の内部でスラリーが堆積することを抑制できる。
本実施の形態における検知手段は、電気伝導度計を含むが、この形態に限られず、検知手段は、第1蒸発器から排出される蒸気に混入する不純物の濃度が検知可能に形成されていれば構わない。たとえば、既知の処理液を処理する場合には、主タンクに配置される水位計によって計測された水位を用いて、蒸気に混入する不純物の濃度が計測可能に形成されていても構わない。
本実施の形態においては、凝縮手段として凝縮器が配置されているが、この形態に限られず、凝縮手段としては蒸気を凝縮させる任意の構成を採用することができる。また、流路切替手段として排出流路に分岐が形成され、分岐の下流側のそれぞれの流路に開閉弁が配置されているが、この形態に限られず、流路切替手段は、流路を切り替える任意の構成を採用することができる。
本実施の形態における濃縮装置は、流路切替手段を備えているが、この形態に限られず、濃縮装置に接続される外部の装置に流路切替手段が配置されていても構わない。たとえば、濃縮装置に接続される凝縮水の回収装置に流路切替手段が配置されていても構わない。さらに、本実施の形態においては、濃縮装置の制御手段が、流路切替手段を制御しているが、この形態に限られず、流路切替手段は、外部の装置により制御されていても構わない。
また、本実施の形態における濃縮装置は、制御装置によって第1蒸発器の流入遮断弁および流出遮断弁の開閉を制御しているが、この形態に限られず、手動により流入遮断弁および流出遮断弁の開閉を行っても構わない。
本実施の形態においては、処理液や凝縮水の移送をポンプによって行っているが、この形態に限られず、移送が可能な任意の装置や方法を採用することができる。また、第1蒸発器としてフラッシュ型蒸発器が採用されているが、この形態に限られず、任意の蒸発器を採用することができる。
(実施の形態2)
図2を参照して、実施の形態2における濃縮装置および濃縮方法について説明する。図2は、本実施の形態における濃縮装置の概略図である。濃縮装置がフラッシュ型蒸発器を備え、フラッシュ型蒸発器にて生成される蒸気が凝縮器で凝縮されることは、実施の形態1と同様である。
本実施の形態における濃縮装置は、補助タンク12を備える。本実施の形態における補助タンク12は、フラッシュ缶11よりも容積が小さく形成されている。本実施の形態においては、フラッシュ缶11の容積が25m3であるのに対して、補助タンク12の容積は5m3である。
本実施の形態においては、フラッシュ缶11と補助タンク12との間を、処理液45が相互に移送されるように形成されている。本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ缶11の処理液45を補助タンク12に移送することができるように形成されている。濃縮液ポンプ14の出口には、補助タンク12に処理液を移送する管63が接続されている。
また、濃縮装置は、補助タンク12の処理液45をフラッシュ缶11に移送することができるように形成されている。本実施における濃縮装置は、移送ポンプ39を備える。移送ポンプ39は、補助タンク12の内部とフラッシュ缶11を接続する管64に配置されている。
補助タンク12からフラッシュ缶11に処理液を移送するための管64には、流入遮断弁としての開閉弁28が配置されている。濃縮液ポンプ14から補助タンク12に向かう管63には、開閉弁30が配置されている。それぞれの開閉弁28,30は、流路を遮断したり開放したりできるように形成されている。
次に、本実施の形態における濃縮方法について説明する。本実施の形態においては、フラッシュ型蒸発器51を閉じた系にして濃縮を行なう。始めに制御装置は、開閉弁27,28を閉じる状態に制御する。フラッシュ型蒸発器51の処理液45の流出経路が遮断される。
制御装置が開閉弁26を開いた状態に制御することにより、矢印80に示すように、処理液45がフラッシュ缶11に供給される。バッチ処理を行うための第1バッチの処理液45が供給される。本実施の形態においては、処理液45を略20m3供給する。制御装置が開閉弁26を閉じた状態に制御することにより、フラッシュ型蒸発器51の処理液45の流入経路が遮断される。
次に、バッチ処理にて第1バッチの処理液45を蒸発させる第1蒸発工程を行う。第1蒸発工程においては、フラッシュ缶11の内部で、処理液45を蒸発させる。本実施の形態における第1蒸発工程は、実施の形態1における第1蒸発工程と同様である。蒸気の凝縮水の回収についても実施の形態1と同様である。
本実施の形態における第1蒸発工程においては、濃縮された処理液45のほぼ全てを補助タンク12に移送できるまで継続する。本実施の形態においては、フラッシュ缶11に残存する体積が略4m3になるまで濃縮を継続する。フラッシュ缶11に残存する処理液45の体積が、補助タンク12の容積よりも小さくなったときに第1蒸発工程を終了する。本実施の形態においては、主タンクの水位計により計測された水位が既定の高さになった時に第1蒸発工程を終了する。制御装置が水位計からの信号を受信して、フラッシュ型蒸発器51を停止するように制御する。
次に、制御装置は、開閉弁29を閉じた状態に制御して、開閉弁30を開く状態に制御する。制御装置は、開閉弁27を開いた状態にして濃縮液ポンプ14を駆動する。濃縮された処理液45は、矢印89に示すように、管63を通って補助タンク12に移送される。本実施の形態においては、全ての濃縮液を補助タンク12に移送して保管する。ここで、フラッシュ缶11に残存する全ての濃縮液を補助タンク12に移送せずに、一部の濃縮液を移送しても構わない。
次に、バッチ処理にて第2バッチの処理液45を蒸発させる第2蒸発工程を行う。本実施の形態の第2蒸発工程は、第1蒸発工程と同様の工程である。制御装置は、開閉弁27を閉じた状態に制御する。制御装置が開閉弁26を開いた状態に制御することにより、矢印80に示すように、第2バッチの処理液45がフラッシュ缶11に供給される。本実施の形態においては、第1バッチの処理液45と同じ量の略20m3の処理液45が投入される。フラッシュ缶11に投入される処理液45の量は、それぞれのバッチ処理毎に異なっていても構わない。
次に、制御装置は、第1蒸発工程と同様に開閉弁26〜28を閉じた状態に制御する。制御装置は、ヒータ16に蒸気が供給された状態で、真空ポンプ20および循環ポンプ13を駆動する。処理液45の濃縮が行なわれる。本実施の形態においては、第2蒸発工程においても、処理液45の体積が略4m3になるまで濃縮を行なっている。蒸気の凝縮水の回収については、第1蒸発工程と同様である。
第2蒸発工程が終了したら、補助タンク12に貯留しておいた第1バッチの濃縮された処理液45をフラッシュ缶11に戻す。本実施の形態においては、制御装置の制御により開閉弁28を開いて移送ポンプ39を駆動する。矢印90に示すように処理液45をフラッシュ缶11に移送する。本実施の形態においては、第1バッチで濃縮された処理液(略4m3)と第2バッチ目で濃縮された処理液(略4m3)とが混合されて、混合液(略8m3)がフラッシュ缶11に貯留される。
次に、濃縮された処理液45を、バッチ処理にて更に濃縮する第3蒸発工程を行なう。制御装置は、開閉弁26〜28を閉じた状態に制御する。制御装置は、開閉弁47,48を閉状態に制御する。また、開閉弁49を開状態に制御する。制御装置がヒータ16、真空ポンプ20および循環ポンプ13を駆動する状態に制御することにより、処理液45の濃縮を行なう。第3蒸発工程においては、濃縮された処理液45が更に濃縮される。
本実施の形態の第3蒸発工程においては、既に濃縮された処理液の蒸発濃縮が行なわれる。濃縮された処理液には低沸点の物質がほとんど含まれないために、凝縮水には主に高沸点の物質が含まれる。蒸気の凝縮水は、主に高沸点の物質が含まれる第3凝縮水として回収される。
第3蒸発工程においては、たとえば、フラッシュ缶11の内部の処理液45の体積が略4m3になるまで濃縮を行なう。本実施の形態においては、水位計により計測された水位を検知することにより第3蒸発工程を終了する。
第3蒸発工程が終了したら、制御装置は、開閉弁27および開閉弁29を開いた状態に制御する。制御装置は、開閉弁30を閉じた状態に制御する。濃縮液ポンプ14を駆動することにより、矢印88に示すように、濃縮液を排出する。
濃縮装置においては、処理液が高い濃度まで濃縮されることが好ましい場合がある。たとえば、廃液の濃縮装置であれば、濃縮後の処理液が廃棄処分されるために、濃縮後の処理液の体積は小さいことが好ましい。しかしながら従来の技術においては、蒸発を行なっているときにも、濃度の低い処理液が蒸発缶に供給されるために、処理液を高い濃度まで濃縮することができなかった。
高い濃度まで濃縮を行なうためには、主タンクとしてのフラッシュ缶の容積を大きくすることが考えられるが、設備が非常に大きくなってしまう。本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ缶の容積を小さくすることができて、装置全体を小型にすることができる。
本実施の形態における濃縮装置は、第1蒸発工程にて処理液45を濃縮した後に、補助タンク12にて濃縮された処理液45を保管しておくことができる。第2蒸発工程にて新たな処理液45を濃縮した後に、補助タンク12に溜めていた処理液45をフラッシュ缶11に戻して、さらに濃縮を行なうことができる。このため、処理液45を高い濃度まで濃縮することができる。
蒸発器の主タンクは、濃縮運転を可能にするための最小保有水量を有する。本実施の形態においては、矢印81,82に示すように、循環流路において処理液45を循環する必要があるために、この循環運転を可能にする最小保有水量以上の処理液45をフラッシュ缶11に保有しておく必要がある。従来の技術においては、この最小保有水量未満では運転を行なうことができずに濃縮の限界があった。しかし、本実施の形態においては、補助タンクを用いることにより、濃縮された処理液を一時的に保管することができて、更なる濃縮を行なうことができる。この結果、高い濃度まで濃縮を行なうことができる。
本実施の形態における補助タンクは、散布器から処理液を散布するために必要な主タンクの最小保有水量よりも容量が大きくなるように形成されている。この構成により、主タンクの処理液が最小保有水量になるまで濃縮を行った後に、濃縮された処理液の全てを補助タンクに移送することができて、効率よく濃縮を行うことができる。
本実施の形態においては、処理液に2種類の物質が含まれていたが、この形態に限られず、1種類の物質を含む処理液または3種類以上の物質を含む処理液に対しても本発明を適用することができる。
たとえば、処理液に低沸点の物質のみが含まれている場合には、第1蒸発工程および第2蒸発工程のそれぞれの工程において、初期には、主に低沸点の物質が含まれている凝縮水が排出される。蒸発工程の中期以降においては、低沸点の物質の混入が少ない凝縮水が排出される。第3蒸発工程においては、低沸点の物質の混入が少ない凝縮水が排出される。
または、たとえば処理液に高沸点の物質のみが含まれている場合には、第1蒸発工程および第2蒸発工程のそれぞれの工程において、初期および中期には、高沸点の物質の混入の少ない凝縮水が排出される。蒸発工程の終期においては、主に高沸点の物質が含まれる凝縮水が排出される。第3蒸発工程においては、主に高沸点の物質が含まれている凝縮水が排出される。
本実施の形態の第1蒸発工程および第2蒸発工程のそれぞれの工程においては、高沸点の物質が蒸気に混入するまで蒸発を継続しているが、この形態に限られず、任意の時期にそれぞれの蒸発工程を終了しても構わない。また、本実施の形態においては、第1蒸発工程、第2蒸発工程および第3蒸発工程の3回の蒸発工程を行っているが、この形態に限られず、任意の回数で蒸発工程を行うことができる。
本実施の形態においては、補助タンクを濃縮された処理液を一時的に溜めておくタンクとして用いているが、この形態に限られず、処理液に高沸点の物質が含まれ、低沸点の物質が含まれていない場合には、濃縮装置に供給される処理液(原液)を溜めておくタンクとして補助タンクを用いることができる。すなわち、蒸発器の主タンクに処理液を供給するときに、補助タンクにも処理液を溜めておいて、第1蒸発工程を行った後に、補助タンクの処理液を主タンクに加えて第2蒸発工程を行っても構わない。
本実施の形態においては、1個の主タンクに対して1個の補助タンクが配置されているが、主タンクおよび補助タンクの数に制限はなく、任意の個数を採用することができる。たとえば、補助タンクを複数配置して、主タンクでの濃縮および補助タンクへの移送を繰り返し行った後に、最終的に全ての補助タンクの濃縮液を主タンクに戻して、更なる濃縮を行なっても構わない。
その他の構成、方法、作用および効果については、実施の形態1と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
(実施の形態3)
図3を参照して、実施の形態3における濃縮装置および濃縮方法について説明する。
図3は、本実施の形態における濃縮装置の概略図である。濃縮装置がフラッシュ型蒸発器を備えることや補助タンクを備えることは実施の形態2と同様である。本実施の形態における濃縮装置は、熱効率の向上を図るための水蒸発器およびエゼクタを備える。
本実施の形態における濃縮装置は、第2蒸発器としての水平管型蒸発器52を備える。水平管型蒸発器52は、水蒸発器である。水蒸発器は、清浄な水を蒸発させて不純物の混入のない蒸気を生成する蒸発器である。
本実施の形態における水平管型蒸発器52は、蒸発缶21を含む。蒸発缶21は、内部に空洞を有する。蒸発缶21は、内部に清浄な水42を溜めることができるように形成されている。
本実施の形態における水平管型蒸発器52は、フラッシュ型蒸発器51から排出される蒸気を凝縮させる凝縮手段としての伝熱器24を含む。伝熱器24は、蒸発缶21の内部に配置されている。伝熱器24は、伝熱管24aを含む。伝熱管24aは、水平方向に延びるように形成されている。伝熱器24は、ヘッダ部24b,24cを含む。ヘッダ部24bは蒸気の入口側のヘッダ部であり、ヘッダ部24cは蒸気の出口側のヘッダ部である。ヘッダ部24b,24cには、複数の伝熱管24aが接続されている。
本実施の形態における水平管型蒸発器52は、循環ポンプ22を備える。水平管型蒸発器52は、循環ポンプ22に接続されている散布器23を有する。散布器23は、蒸発缶21の内部に配置されている。散布器23は、伝熱器24の上側に配置されている。散布器23は、伝熱管24aに処理液を散布するように形成されている。
本実施の形態における濃縮装置は、フラッシュ型蒸発器51を備える。フラッシュ缶11の蒸気の出口には、管62が接続されている。管62は、水平管型蒸発器52の伝熱器24のヘッダ部24bに接続されている。フラッシュ型蒸発器51にて生成される蒸気は、伝熱器24に供給されている。水平管型蒸発器52は、フラッシュ型蒸発器51にて生成される蒸気を熱源として水42を蒸発する。
本実施の形態における濃縮装置は、真空ポンプ20を備える。真空ポンプ20は、伝熱器24のヘッダ部24cに接続されている。真空ポンプ20が駆動することにより、伝熱器24および管62を通じて、フラッシュ缶11の内部が減圧されるように形成されている。
本実施の形態における濃縮装置は、エゼクタ17を備える。エゼクタ17は、ヒータ16に供給される生蒸気が通る管66に配置されている。エゼクタ17には、水平管型蒸発器52で生成された蒸気がエゼクタ17に供給されるように管69が接続されている。エゼクタ17の出口は、ヒータ16に接続されている。ヒータ16の凝縮水の出口は、水平管型蒸発器52の蒸発缶21に接続されている。
本実施の形態における濃縮装置は、凝縮水ポンプ25を備える。凝縮水ポンプ25は、伝熱器24のヘッダ部24cに管65を介して接続されている。凝縮水ポンプ25の出口には、伝熱器24のヘッダ部24cに戻る管60が接続されている。管60は、凝縮水ポンプ25のミニマムフローラインを構成する。凝縮水の一部をヘッダ部24cに戻すことにより、凝縮水ポンプ25の空運転を防止する。
本実施の形態における濃縮装置は、検知手段としてフラッシュ缶11から排出された蒸気の凝縮水の電気伝導度を測定するための電気伝導度計55を備える。本実施の形態における電気伝導度計55は、管60に配置されている。
本実施の形態における濃縮装置において、フラッシュ型蒸発器51にて処理を行なう方法については実施の形態2と同様である。本実施の形態における濃縮装置において、フラッシュ缶11にて生成される処理液45の蒸気は、矢印91に示すように、管62を通って伝熱器24に送られる。
フラッシュ缶11にて生成された蒸気は、伝熱器24において、水42と熱交換を行って凝縮水46になる。凝縮水46は、矢印92,94に示すように、凝縮水ポンプ25によって排出される。凝縮水46の一部は、矢印93に示すように、伝熱器24のヘッダ部24cに戻される。凝縮水46の回収方法は、実施の形態2と同様である。
水平管型蒸発器52においては、蒸発缶21の内部に貯留する水42が、矢印96,97に示すように、循環ポンプ22によって散布器23に送られる。水は、散布器23によって、伝熱管24aの外側の表面に散布される。水の一部は、伝熱管24aの外側の表面において蒸気になる。蒸発缶21の内部で発生した蒸気の一部は、矢印98に示すように、管69を通ってエゼクタ17に吸引される。
エゼクタ17の出口からは、蒸発缶21の内部で生成された蒸気の一部が吸引されて吸引蒸気よりも昇温された混合蒸気が排出される。エゼクタ17では、蒸気が圧縮されて出口での温度が高くなる。このため、高い温度の蒸気をヒータ16に供給することができる。
ヒータ16においては、混合蒸気と処理液45との熱交換が行われて、処理液45が加熱される。ヒータ16を通った蒸気は凝縮して、矢印95に示すように、蒸発缶21に凝縮水として移送される。伝熱管24aの表面に散布された水42は、一部が蒸発して蒸気となるとともに、一部が液滴41となって落下する。液滴41は、ヒータ16から排出された凝縮水と混合されて加熱される。蒸発缶21の内部で生じる蒸気のうち、過剰な蒸気は、矢印100に示すように、図示しない凝縮器に導かれることにより回収される。
本実施の形態における濃縮装置においては、フラッシュ型蒸発器51にて生成される蒸気の排熱を利用して、処理液を加熱するための新たな蒸気を生成することができる。この蒸気にて処理液を加熱することができるために、熱効率が向上する。特に、ヒータに供給する蒸気を生成するために水蒸発器とエゼクタとを組み合わせた構成を採用することにより、生蒸気を減らすことが可能になって熱効率が向上する。
本実施の形態において、矢印98に示すエゼクタ17に供給される蒸気は、水蒸発器の蒸気である。この蒸気は、有機物などの不純物が含まれていない蒸気である。このため、蒸発缶21に貯留する水42および矢印100に示すように排出される蒸気にも、有機物などの不純物は含まれていない。本実施の形態において、フラッシュ缶11の出口に接続されている系統は、ヒータ16に蒸気を送る系統と隔離されている。このために、ヒータ16に蒸気を送る系統に有機物などの不純物が混入することを回避できる。この結果、有機物などの不純物が含まれた凝縮水を少なくすることができる。
その他の構成、方法、作用および効果については、実施の形態1および2と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
上記に記載の実施の形態は、本発明を限定するものではなく例示である。また、それぞれの図において、同一の部分および相当する部分には、同一の符号を付している。