JP6620266B1 - タンタル塩化物および、タンタル塩化物の製造方法 - Google Patents

タンタル塩化物および、タンタル塩化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

この発明のタンタル塩化物は、TaCl5を含有し、TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量が、1質量%以下である。

Description

この発明は、タンタル塩化物および、タンタル塩化物の製造方法に関するものであり、特には、TaCl5の純度を高めることのできる技術を提案するものである。
五塩化タンタルを含むタンタル塩化物は、たとえば、冷却剤の製造に使用されるフッ素化炭化水素生成の共触媒や、耐腐食性導電体の添加剤の他、マイクロプロセッサやメモリチップ製造用の超高純度化学蒸着前駆体等として用いられることがある。
上述した用途のなかでも特に、五塩化タンタルを有機金属化学蒸着法(MOCVD)や原子層堆積法(ALD)等に用いる場合は、五塩化タンタルを極めて高い純度で含むタンタル塩化物が必要になる場合がある。
なお、特許文献1は、タンタルスクラップから高純度タンタル及びタンタル誘導体を回収する技術に関するものであるが、その回収過程で、タンタルスクラップを250℃以上に加熱して直接塩素ガスと反応させ無水塩化物を得ることが記載されている。また、それにより得られる塩化物の沸点差を利用し、タンタル以外の低沸点物及び高沸点物を蒸留精製により除去することが記載されている。そしてこれによれば、高純度の五塩化タンタルが得られるとされている。
但し、特許文献1は、加熱する際の温度の適正化や装置内でのタンタルスクラップの実際の配置態様等については何ら記載されておらず、具体的なタンタルの塩化方法が検討されているとは言い難い。
特開平3−28334号公報
現在市場で入手可能な一般的なタンタル塩化物は、五塩化タンタルよりも低級の四塩化タンタルその他の低級塩化タンタルが比較的多い量で含まれ、五塩化タンタルの純度の低いものであった。
また現状では、五塩化タンタルを高い純度で含むタンタル塩化物を有効に製造することのできる方法について十分に検討されているとは言い難い。
特許文献1には、タンタルスクラップを加熱する際の温度を250℃以上とすることが記載されているも、このような温度条件を設定するだけでは、所定の高い純度の五塩化タンタルを得ることはできなかった。
この発明は、従来のこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、五塩化タンタルより低級の塩化タンタルの含有量が少ないタンタル塩化物および、タンタル塩化物の製造方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、タンタル塩化物を製造する際に、塩素雰囲気下でタンタル原料を加熱してタンタル原料を塩化するに当り、次のような知見を得た。すなわち、タンタル原料の塩化では、タンタル塩化装置を用いて、その原料反応管にタンタル原料の充填層を形成することが重要である。その上で、発明者は、加熱時のタンタル原料の反応温度及び、原料反応管に供給する塩素ガスの流速を、それぞれ所定の範囲とすることにより、製造されるタンタル塩化物中の低級塩化タンタルの含有量を有効に低減できることを見出した。
このような知見の下、この発明のタンタル塩化物は、TaCl5を含有し、TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量が、1質量%以下である。
ここで、TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量は、0.1質量%以下であることが好ましい。
この発明のタンタル塩化物は、Ta及びClの合計含有量が、好ましくは99.999質量%以上、より好ましくは99.9999質量%以上である。
この発明のタンタル塩化物は、不純物であるNa、K、Co、Fe、Ni、Cu、Cr、Mg、Al、Nb、W、Mo、U及びThの合計含有量が、1質量ppm以下であることが好ましい。
この発明のタンタル塩化物の製造方法は、塩素雰囲気下でタンタル原料を加熱し、タンタル原料を塩化してタンタル塩化物を製造する方法であって、タンタル塩化装置を用いて、前記タンタル塩化装置の原料反応管にタンタル原料を充填してタンタル原料の充填層を形成し、前記原料反応管に塩素ガスを供給して当該原料反応管を塩素雰囲気とする工程と、加熱時のタンタル原料の反応温度を200℃〜700℃とし、タンタル原料の加熱時に、前記原料反応管に供給する塩素ガスの流速を0.05cm/s〜0.82cm/sとする工程とを含むものである。
この発明のタンタル塩化物の製造方法では、塩素ガスは、前記原料反応管でタンタル原料の充填方向と同方向に流動させることが好適である。
この発明のタンタル塩化物の製造方法では、前記原料反応管でのタンタル原料の充填方向が、水平面に対して傾斜もしくは直交する方向になるように、前記原料反応管を立てて設置し、塩素ガスを、タンタル原料の充填層の下方側から上方側に向けて流動させることが好ましい。
この発明のタンタル塩化物の製造方法では、タンタル原料の加熱時に、タンタル原料の充填層の、塩素ガスが流入するガス流入側部分を前記反応温度とし、タンタル原料の充填層の、塩素ガスが流出する側の残部を、前記反応温度よりも低温で234℃〜468℃とすることが好ましい。
この発明のタンタル塩化物の製造方法では、前記原料反応管でのタンタル原料の充填密度を、0.1g/cm3〜5.0g/cm3とすることが好ましい。
この発明によれば、TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量が、1質量%以下と少ないタンタル塩化物を製造することができる。このような低級塩化タンタルの含有量が少なく、主としてTaCl5からなるタンタル塩化物は、有機金属化学蒸着法(MOCVD)や原子層堆積法(ALD)等に好適に用いることができる。
低級塩化タンタルの含有量を求めるための加熱減量試験に用いる試験装置を示す断面図である。 この発明の一の実施形態のタンタル塩化物を製造することのできるタンタル塩化装置の一例を示す断面図である。 実施例5で用いたタンタル塩化装置を示す断面図である。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のタンタル塩化物は、主としてTaCl5からなり、TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量が、1質量%以下である。このタンタル塩化物は、好ましくはTa及びClの合計含有量が99.999質量%以上である。このタンタル塩化物は、不純物としてNa、K、Co、Fe、Ni、Cu、Cr、Mg、Al、Nb、W、Mo、U及びThからなる群から選択される少なくとも一種を含有することがあるが、それらの合計含有量は1質量ppm以下であることが好ましい。
(五塩化タンタル)
TaCl5の含有量は、99質量%以上、特に99.9質量%以上であることが好適である。TaCl5の含有量がこれより低い場合、タンタル塩化物を前駆体としてMOCVDもしくはALD等で成膜した場合に、その膜の特性が所期したものにならないこと、またそれを用いて製造された半導体基板の性能低下を招くおそれがある。一方、TaCl5の含有量は高ければ高いほど望ましいので、その上限値はない。
タンタル塩化物の構成物質は、TaCl5、低級塩化物及び不純物であるので、TaCl5の含有量は、100質量%から低級塩化タンタル及び不純物の含有量を差し引いて算出することができる。低級塩化タンタル及び不純物の含有量の各測定方法については後述する。
(低級塩化タンタル)
TaCl5より低級の塩化タンタルとしては、たとえば、TaCl3、TaCl4、Ta6Cl14、TaCl2等を挙げることができる。タンタル塩化物中のこのような低級塩化タンタルは、高純度前駆体の製造での歩留り悪化の理由より、できる限り少ないことが望ましい。したがって、低級塩化タンタルの合計含有量は、1質量%以下とし、好ましくは0.1質量%以下とする。
低級塩化タンタルの含有量は、加熱減量試験を行って残渣率を求めることにより測定する。この加熱減量試験は、図1に示すような試験装置51を用いて行うことができる。図1に示す試験装置51は、直径30mmの管状容器52の各端部に、排気口53及びアルゴン投入管54を設け、その管状容器52の周囲にヒーター55を配置したものである。
図1の試験装置51で加熱減量試験を行うには、3gのタンタル塩化物の試料をボート56上に載せて、これを管状容器52内に配置する。次いで、アルゴン投入管54から管状容器52内にアルゴンを0.1L/minで投入しながら、ヒーター55で試料を加熱し、管状容器52の内部温度を300℃で1時間にわたって保持する。このとき、内部温度は、図示しない熱電対より測定可能である。昇温速度は16℃/minとする。その後、自然冷却により降温して内部温度が50℃以下に低下してから、ボート56とともに試料を回収して秤量する。秤量値より、低級塩化タンタルの含有量は、式:低級塩化タンタル含有量(質量%)=試料の加熱後の質量/加熱前の質量×100で算出することができる。なおこの試験は、水分が0.1質量ppm未満のグローブボックス内で実施する。
(組成)
タンタル塩化物は、Ta及びClの合計含有量が99.999質量%以上、さらに99.9999質量%以上であることが好ましい。また、Ta及びCl以外の、不純物であるNa、K、Co、Fe、Ni、Cu、Cr、Mg、Al、Nb、W、Mo、U及びThからなる群から選択される少なくとも一種を含有することがあるが、その場合、Na、K、Co、Fe、Ni、Cu、Cr、Mg、Al、Nb、W、Mo、U及びThの合計含有量は、1質量ppm以下であることが好適である。これらの元素の含有量は誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により測定する。
上記のような不純物の含有量が多くなると、半導体基板の性能低下となるおそれがある。
(製造方法)
上述したようなタンタル塩化物は、たとえば図2に例示するようなタンタル塩化装置1を用いて製造することができる。
図2に示すタンタル塩化装置1は、内部でメタルのタンタル原料Mtが配置されて、塩素ガスの供給下でタンタル原料Mtを加熱する円管状等の原料反応管2と、原料反応管2の周囲に設けられて原料反応管2を加熱する原料加熱ヒーター(図では省略)と、原料反応管2に連通し、原料反応管2での反応により生じた気体のタンタル塩化物が流入して析出する塩化物回収室4とを備えるものである。
より詳細には、このタンタル塩化装置1では、原料反応管2は、その中心軸線が水平面に対して傾斜もしくは直交する向き、ここでは水平面に対してほぼ90°をなす向きで立てて配置されている。原料反応管2の内部には、タンタル原料Mtが充填されて、そこにタンタル原料Mtの充填層が形成されている。タンタル原料Mtの充填層の、塩化物回収室4から遠方側に位置する後端部の後方側(図2では下方側)には、粒状の石英が充填されていて、そのさらに後方側には、タンタル原料Mtの充填層に向けて塩素ガスを供給する塩素供給口5が設けられている。なお、塩素供給口5は、図示は省略するが、横断面に等間隔に設けた複数個の小孔からなるもの等として、原料反応管2の横断面で均等に塩素ガスを供給できるものとしてもよい。
原料反応管2内のタンタル原料Mtの前端部の前方側、すなわち、塩化物回収室4に近い側には、原料反応管2と実質的に平行に配置されて原料反応管2での反応により生じたタンタル塩化物を塩化物回収室4へ導く連通管6が、水平通路を介して原料反応管2と連結されて設けられる。
したがって、図示のタンタル塩化装置1では、原料反応管2内で、塩素供給口5からの塩素ガスの供給による塩素雰囲気の下、原料加熱ヒーター(図では省略)によりタンタル原料Mtが加熱されることで、そこでタンタル塩化物が気体として生成される。そして、当該タンタル塩化物は、原料反応管2から水平通路及び連通管6を順次に通過した後、容器状の塩化物回収室4に流入し、塩化物回収室4で冷却により析出する。なお、気体のタンタル塩化物とともに流動する塩素ガスは、連通管6の途中で分岐させて設けた塩素排出口(図では省略)に流れて、その先の図示しない水酸化ナトリウム溶液等に通して捕集される。
タンタル原料Mtは、原料反応管2のタンタル原料Mtの充填層の上方側に設けた原料投入口(図では省略)から投入することが可能である。それにより、反応により減少するタンタル原料Mtの充填層のタンタル原料Mtを原料投入口から補充して、タンタル塩化物を連続的に製造することができる。
このようなタンタル塩化装置1を用いてタンタル塩化物を製造するに当っては、原料反応管2内でのタンタル原料Mtの反応温度が200℃〜700℃になるようにタンタル原料Mtを加熱する。これはすなわち、タンタル原料Mtの反応温度が高すぎると、TaCl5より低級の塩化タンタルが多く生成されるので、製造されるタンタル塩化物中の低級塩化タンタルの合計含有量を十分低減することができない。一方、タンタル原料Mtの反応温度が低すぎると、反応が進まず、TaCl5を有効に生成させることができない。このような観点より、タンタル原料Mtの反応温度は、300℃〜700℃とすることが好ましく、さらに400℃〜600℃とすることがより一層好ましい。
上述したタンタル原料Mtの反応温度にコントロールするには、原料反応管2の周囲の原料加熱ヒーターの設定温度を調整することが重要であることは勿論であるが、その他に、原料反応管2に供給する塩素ガスの流速を調整することもまた肝要である。塩素ガスの流速は、タンタル原料Mtの発熱量を変化させ、タンタル原料Mtの反応温度に影響を及ぼすからである。
具体的には、タンタル原料Mtの加熱時に、原料反応管2に供給する塩素ガスの流速は、0.05cm/s〜0.82cm/sとすることが好ましい。塩素ガスの流速を0.05cm/s未満とすれば、生産速度の低下が懸念される。この一方で、塩素ガスの流速を0.82cm/sより大きくすると、反応熱により反応温度上昇し高温となり低級塩化物が多く発生してしまう可能性がある。それ故に、塩素ガスの流速は、より好ましくは、0.08cm/s以上、また0.57cm/s以下とする。塩素ガスの流速は、投入塩素流量をタンタル原料Mtの充填層の部分の断面積で除して算出することとする。投入塩素流量は流量計により測定する。
また、タンタル原料Mtの反応温度を制御するに際しては、原料反応管2でのタンタル原料Mtの充填密度を、0.1g/cm3〜5.0g/cm3とすることが好適である。これはすなわち、タンタル原料Mtの充填密度が5.0g/cm3より大きい場合は、反応箇所が分散せずに局所的となって、反応熱で高温となるおそれがある。また、充填密度が0.1g/cm3より小さい場合は、均等な充填が難しく、タンタル原料Mtの充填層内で塩素の片流れが生じ、反応箇所が局所的となる可能性がある。タンタル原料Mtの充填密度は、より好ましくは0.8g/cm3以上、特に好ましくは1.3g/cm3〜2.4g/cm3とする。
タンタル原料Mtの充填密度は、容積が判っている容器にタンタル原料Mtを充填し、充填したタンタル原料Mtの質量を測定し求めることとする。上述したような充填密度を得るため、タンタル原料Mtの形状を制御することができる。
図2に示すタンタル塩化装置1では、原料反応管2内で、タンタル原料Mtを、下方側から上方側に向けて充填している。また塩素ガスも、このタンタル原料Mtの充填方向と同じ方向に、原料反応管2内を下方側から上方側に向けて流動する。このように、塩素ガスを、原料反応管2でタンタル原料Mtの充填方向と同方向に流動させることにより、タンタル原料Mtの充填層の後端部側(図2では下方側)から反応が生じ、当該反応により生成したタンタル塩化物は、未反応の前端部側(図2では上方側)を通過することになる。これによって、反応により生成したタンタル塩化物に含まれ得る低級塩化タンタルが、タンタル原料Mtの充填層の未反応の前端部に付着し、これを容易に分離させることができる。その結果として、低級塩化タンタルの含有量がより一層少ないタンタル塩化物を製造することができる。なお、図示のタンタル塩化装置1の場合は、タンタル原料Mtの充填層の、反応が生じる後端部とは逆側の前端部側から、先述した原料投入口9を通じてタンタル原料Mtを供給できるので、より効率的な連続製造が可能になる。
上述したようなタンタル原料Mtの充填層の前端部での低級塩化タンタルの除去をさらに有効に行わせるため、原料反応管2の周囲に配置した原料加熱ヒーターが、原料反応管2の軸線方向の途中に、その周りを取り囲む断熱仕切壁を有することが好ましい。また原料加熱ヒーターは、断熱仕切壁を隔てた原料反応管2の各部分を互いに異なる温度で加熱できるように、断熱仕切壁により分割された高温加熱用ヒーター部(図では省略)と低温加熱用ヒーター(図では省略)を有することが好適である。
この場合、高温加熱用ヒーター部は、タンタル原料Mtの充填層のほぼ軸線方向の全体にわたってその周囲に配置することができる。また、低温加熱用ヒーター部は、原料反応管2のタンタル原料Mtの充填層より前方側の部分の周囲に配置することができる。なお、高温加熱用ヒーター部の下端と低温加熱用ヒーター部の上端にはそれぞれ、断熱部材(図では省略)を配置して内部の加熱空間を区画する。
このような原料加熱ヒーターによれば、タンタル原料Mtの充填層の、主として反応を生じさせようとする後端部(塩素ガスが流入するガス流入側部分)は、高温加熱用ヒーター部により比較的高温に加熱することができる。一方、当該後端部の反応で生じたタンタル塩化物が通過するタンタル原料Mtの充填層の前端部(塩素ガスが流出する側の残部)は、それよりも低温に、好ましくは234℃〜468℃に加熱することができる。
それにより、タンタル原料Mtの充填層の後端部であるガス流入側部分の反応で生じたタンタル塩化物に含まれ得る低級塩化タンタルは、塩素ガスの流動方向の前方側にあるタンタル原料Mtの充填層の残部で、低級塩化タンタルの沸点である468℃以下の温度に冷却されて、そこで液化・固化する。これによって、低級塩化タンタルをより効果的に分離させることができる。
タンタル原料Mtの充填層の残部の温度が468℃を上回ると、そこで低級塩化タンタルが有効に液化・固化せず、それによって、製造されるタンタル塩化物中の低級塩化タンタルの含有量を十分に低減させることができない可能性が否めない。また、タンタル原料Mtの充填層の残部の温度を234℃未満とした場合は、五塩化タンタルが液化し回収できない懸念がある。
このような観点より、タンタル原料Mtの充填層の残部の温度は、234℃〜468℃とすることがより好ましく、特に234℃〜300℃とすることがさらに好ましい。
タンタル原料Mtの充填層のガス流入側部分は、上述したタンタル原料Mtの反応温度(200℃〜700℃)とすることにより、TaCl5を有効に生成させることができる。なお、タンタル原料Mtの反応温度は、タンタル原料Mtの充填層に挿入して配置した熱電対により測定可能である。
以上に述べた製造方法では、製造しようとするタンタル塩化物の純度を高めるとの観点から、高純度のメタルのタンタル原料Mtを用いることが好適である。具体的には、タンタル塩化物の目標とするTa及びClの合計含有量(99.999質量%以上、さらには99.9999質量%以上)に合わせて、金属タンタルの純度が、好ましくは5N以上、さらに好ましくは6N以上であるタンタル原料Mtとする。
また同様の観点より、タンタル塩化装置1は、少なくともタンタル塩化物が接触し得る部分、図示の例では原料反応管2、水平通路、連通管6及び塩化物回収室4を石英製とし、タンタル塩化物の製造に先立って当該石英製の部分をフッ酸で洗浄して、付着している不純物を除去することが好ましい。石英製とすることにより密閉性が大きく高まって、水分の混入する可能性が極めて低くなる点でも有利である。なお、アルミナなどのセラミックスは、加工が困難であり、またガス透過性が高いので望ましくない。
次に、この発明のタンタル塩化物を試験的に製造し、その効果を確認したので、以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
図2及び図3に示すタンタル塩化装置のそれぞれを用いて、金属のタンタル原料を反応域に配置し、表1に示す各条件の下で、塩素を供給しながら、原料加熱ヒーターでタンタル原料を加熱し、タンタル塩化物を製造した。それにより回収室に得られたタンタル塩化物を分析・定量した結果も表1に示す。なお、各タンタル塩化物の表1に記載した成分以外の成分は、実質的に塩素のみであると考えられる。
なお、表1には、タンタル原料を製造するに当って塩素ガスを供給した間で、タンタル原料の反応温度が最も高くなった反応最高温度を示しているが、いずれの比較例1、2及び実施例1〜5でも、タンタル原料の反応温度が200℃以上になるようにタンタル原料を加熱した。なお実施例5では、タンタル原料の充填層の残部(塩素ガスが流出する側)のヒーター温度を、270℃とした。
Figure 0006620266
表1に示すように、比較例1及び2ならびに実施例1〜4では、図2に示す先述のタンタル塩化装置を用いたが、実施例5では、図3に示すタンタル塩化装置を用いた。図3のタンタル塩化装置は、図2のものと類似の構成を有するが、図3のタンタル塩化装置では、原料反応管内のタンタル原料の充填層の後端部の後方側である上方側から塩素ガスが供給されて、原料反応管内で生成される気体のタンタル塩化物が原料反応管を下方側に向けて流動し、そこからタンタル塩化物は、傾斜通路を経て連通管内を下方側に向けて流れた後、回収室内で析出する。
表1に示す結果より、タンタル原料の反応温度を200℃〜700℃とした実施例1〜5はいずれも、五塩化タンタルより低級の塩化タンタルである低級塩化物の含有量が十分に低減されたことが解かる。一方、比較例1、2では、タンタル原料の反応最高温度が高かったことに起因して、低級塩化物が比較的多く生成された。
よって、この発明によれば、五塩化タンタルより低級の塩化タンタルの含有量が少ないタンタル塩化物を有効に製造できることが示唆された。
1 タンタル塩化装置
2 原料反応管
4 塩化物回収室
5 塩素供給口
6 連通管
51 試験装置
52 管状容器
53 排気口
54 アルゴン投入管
55 ヒーター
56 ボート
Mt タンタル原料

Claims (10)

  1. TaCl5を含有し、TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量が、1質量%以下であるタンタル塩化物。
  2. TaCl5より低級の塩化タンタルの合計含有量が、0.1質量%以下である請求項1に記載のタンタル塩化物。
  3. Ta及びClの合計含有量が99.999質量%以上である請求項1又は2に記載のタンタル塩化物。
  4. Ta及びClの合計含有量が99.9999質量%以上である請求項3に記載のタンタル塩化物。
  5. 不純物であるNa、K、Co、Fe、Ni、Cu、Cr、Mg、Al、Nb、W、Mo、U及びThの合計含有量が、1質量ppm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンタル塩化物。
  6. 塩素雰囲気下でタンタル原料を加熱し、タンタル原料を塩化してタンタル塩化物を製造する方法であって、
    タンタル塩化装置を用いて、前記タンタル塩化装置の原料反応管にタンタル原料を充填してタンタル原料の充填層を形成し、前記原料反応管に塩素ガスを供給して当該原料反応管を塩素雰囲気とする工程と、
    加熱時のタンタル原料の反応温度を200℃〜700℃とし、タンタル原料の加熱時に、前記原料反応管に供給する塩素ガスの流速を0.05cm/s〜0.82cm/sとする工程とを含む、タンタル塩化物の製造方法。
  7. 塩素ガスを、前記原料反応管でタンタル原料の充填方向と同方向に流動させる、請求項6に記載のタンタル塩化物の製造方法。
  8. 前記原料反応管でのタンタル原料の充填方向が、水平面に対して傾斜もしくは直交する方向になるように、前記原料反応管を立てて設置し、塩素ガスを、タンタル原料の充填層の下方側から上方側に向けて流動させる、請求項7に記載のタンタル塩化物の製造方法。
  9. タンタル原料の加熱時に、タンタル原料の充填層の、塩素ガスが流入するガス流入側部分を前記反応温度とし、タンタル原料の充填層の、塩素ガスが流出する側の残部を、前記反応温度よりも低温で234℃〜468℃とする、請求項7又は8に記載のタンタル塩化物の製造方法。
  10. 前記原料反応管でのタンタル原料の充填密度を、0.1g/cm3〜5.0g/cm3とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載のタンタル塩化物の製造方法。
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