以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造装置は、複合シートの製造装置である。図1及び図2には、本実施形態の複合シートの製造装置100で製造される一実施形態の複合シート1の斜視図が示されている。複合シート1は、第1シート1uと第2シート1dとが部分的に接合されて複数の接合部2が形成されており、第1シート1uが接合部2以外の部位において第2シート1dから離れる方向に突出する複数の凸部3を形成しているシートである。このように、複合シート1は、第1シート1uと第2シート1dとの積層体からなる。第1シート1uは、例えば複合シート1を吸収性物品の肌対向面を形成する表面シートに使用する場合には、該吸収性物品の着用状態において、着用者の身体側に位置するように使用するのが好ましい。そして、第2シート1dは、該吸収性物品の着用状態において、吸収体側に位置するように使用するのが好ましい。複合シート1は、第1シート1uを構成する繊維の繊維配向と一致する縦方向Xと、該縦方向Xに直交する横方向Yとを有している。縦方向Xは、複合シート1では、第2シート1dを構成する繊維の繊維配向とも一致しており、横方向Yは、第2シート1dを構成する繊維の繊維配向に直交する方向とも一致している。
縦方向Xは、複合シート1では、後述するように、第1ロール11を回転方向U(図3参照)に回転させて複合シート1を製造するときの搬送方向(MD)に一致している。また、横方向Yは、複合シート1では、後述するように、第1ロール11の軸心方向V(図5参照)にも一致している。
積層体である複合シート1は、上述したように、図1に示すように、第1シート1uと第2シート1dとの部分接合による接合部2を複数有し、第1シート1uが、接合部2以外の部位において第2シート1dから離れる方向に突出する複数の凸部3を形成している。複合シート1では、第2シート1dはほぼ平坦であり、第1シート1uに起伏の大きな凹凸が形成されて、複数の凸部3が形成されている。
第1シート1u及び第2シート1dは、シート材料から構成されている。シート材料としては、例えば不織布、織布及び編み地などの繊維シートや、フィルムなどを用いることができ、肌触り等の観点から繊維シートを用いることが好ましく、特に不織布を用いることが好ましい。第1シート1uと第2シート1dを構成するシート材料の種類は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
第1シート1u及び第2シート1dを構成するシート材料として、不織布を用いる場合の不織布としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体や、これらの不織布とフィルム等とを組み合わせた積層体を用いることもできる。これらのなかでも、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布を用いることが好ましい。第1シート1u及び第2シート1dを構成するシート材料として用いる不織布の坪量は、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上であり、また好ましくは50g/m2以下、より好ましくは30g/m2以下である。不織布の坪量は10g/m2以上50g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以上30g/m2以下であることが更に好ましい。
不織布を構成する繊維としては、各種の熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上のブレンド物として用いることができる。また、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維の形態で用いることができる。
接合部2は、複合シート1では、第1シート1uと第2シート1dとが一体的に加圧され、両シート1u,1dは何れも他の部分に比して高密度化しており、好ましくは、一方又は両方のシートの構成樹脂の溶融及びその後の固化により両シート1u,1d間が熱融着している。熱融着は、熱、超音波、高周波によって行われている。
複合シート1では、接合部2は、図1及び図2に示すように、縦方向Xに沿う長さL1と横方向Yに沿う長さL2とが同じ長さの正方形状の第1接合部21と、縦方向Xに平行に縦方向Xの全域に亘って延在する第2接合部22とを有している。第1接合部21は、矩形をしており、その矩形の各辺は縦方向X又は横方向Yと一致している。第2接合部22の横方向Yに沿う長さL3は、第1接合部21の横方向Yに沿う長さL2と一致していてもよいが、複合シート1では、第1接合部21の横方向Yに沿う長さL2よりも短く形成されている。
複合シート1では、図2に示すように、第1接合部21が横方向Yに沿って1種類の間隔L4で規則的に配置された第1接合部列2Raが、縦方向(X方向)に複数列配されている。また、第1接合部21が横方向Yに沿って1種類の間隔L5で規則的に配置された第2接合部列2Rbが、縦方向(X方向)に複数列配されている。そして、第1接合部列2Raと第2接合部列2Rbが、縦方向Xに交互に一定の間隔L6を空けて配された第1接合部群2Gを有している。そして、複合シート1では、第1接合部群2Gが、横方向Yに一定の間隔L7を空けて間欠的に配されている。
複合シート1では、第2接合部22は、図2に示すように、横方向Yの左右両端部に配されており、更に、横方向Yに隣り合う第1接合部群2G,2Gどうしの間の中間の位置に配されている。第2接合部22は、横方向Yに一定の間隔L8を空けて配されている。
複合シート1では、凸部3は、図1及び図2に示すように、合計6つの第1接合部21に囲まれた領域内に配された第1凸部31と、第2接合部22と合計3つの第1接合部21に囲まれた領域内に配された第2凸部32とを有している。第1凸部31は、第1接合部列2Raを構成する2個の第1接合部21,21、及び、縦方向Xにおいて、該第1接合部列2Raに隣り合う2つの第2接合部列2Rb,2Rbを構成する4個の第1接合部21,21の合計6個の第1接合部21によって囲まれた領域内に形成されている。第2凸部32は、1本の第2接合部22と、該第2接合部22に対して横方向Yに隣り合う第2接合部列2Rbを構成する該第2接合部22側の1個の第1接合部21、及び縦方向Xにおいて、該第2接合部列2Rbに隣り合う2つの第1接合部列2Ra,2Raを構成する該第2接合部22側の2個の第1接合部21,21の合計3個の第1接合部21とによって囲まれた領域内に形成されている。
複合シート1では、図1及び図2に示すように、合計6つの第1接合部21に囲まれた領域内に配された第1凸部31が、縦方向Xに沿って一定の間隔を空けて並んで配されており、且つ横方向Yに沿って一定の間隔を空けて並んで配されている。また、第2接合部22と合計3つの第1接合部21に囲まれた領域内に配された第2凸部32が、縦方向Xに沿って一定の間隔を空けて並んで配されており、且つ横方向Yに沿って間隔を空けて並んで配されている。縦方向Xにおいては、第2凸部32の頂部32Tが、縦方向Xに隣り合う第1凸部31の頂部31T,31Tどうしを結ぶ直線の中央部に位置するように配されている。横方向Yにおいては、一対の第2接合部22,22間において、第1凸部31の頂部31Tが、横方向Yに隣り合う第2凸部32の頂部32T,32Tどうしを結ぶ直線の中央部に位置するように配されている。
次に、本発明の複合シートの製造装置を、上述した複合シート1の製造装置100を例にとり図3〜図9を参照して説明する。図3には、複合シート1の製造装置100の全体構成が示されている。
複合シート1の製造装置100は、図3に示すように、凹凸形状の周面の第1ロール11と、第1ロール11の周面に対向して配され、第1ロール11の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状の周面の第2ロール12と、第1ロール11の周面に対向して配され、第1ロール11の周面に当接しているアンビルロール13とを備えている。第1ロール11は、周面に複数のロール凹部11c及びロール凸部11tを有する凹凸形状のロールである。第2ロール12は、第1ロール11のロール凹部11c及びロール凸部11tと噛み合い形状となっている複数のロール凹部12c及びロール凸部12tを周面に有する凹凸形状のロールである。アンビルロール13は、製造装置100では、ヒートロールであり、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15を有している。製造装置100では、第1ロール11のロール周面に対向して、第1ロール11の回転方向Uの上流側から下流側に向かって、第2ロール12、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15の順に配されている。
製造装置100は、第1シート1uの原反ロール(不図示)から繰り出された第1シート1uを、第1ロール11及び第2ロール12の噛み合い部分に供給し、第1ロール11のロール凹部11cに第2ロール12のロール凸部12tが入り込むことで、該第1シート1uが第1ロール11のロール凹部11c内に押し込まれて、複合シート1の凸部3に対応する立体賦形を行う装置である。また、製造装置100は、立体賦形された第1シート1uを第1ロール11の周面部に沿わせてそのまま保持して噛み合い部分から移動させた後、第2シート1dの原反ロール(不図示)から繰り出された第2シート1dを立体賦形された第1シート1uに重ね合わせるように供給して両シート1u,1dを、第1ロール11におけるロール凸部11tと第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15との間で加熱下に挟圧して接合部2を形成し、複合シート1を製造する装置である。
第1ロール11は、図4及び図5に示すように、周面に複数の歯を有する第1ロール歯車111と、第1ロール歯車111よりも歯先円直径の小さい第1ロールスペーサ112と、第1ロール歯車111の歯先円直径と同径のベアラーリング113とを複数枚組み合わせ、これらを同心状に取り付けてロール状に集積して形成されている。第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及びベアラーリング113は、それぞれ幅(歯幅)が異なっていてもよいが、複合シート1を製造する製造装置100では、第1ロール歯車111及び第1ロールスペーサ112の幅(歯幅)が同じで、その幅(歯幅)よりもベアラーリング113の幅(リング幅)が狭くなっている。
第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及びベアラーリング113は、図4に示すように、それぞれ、それらの軸心が開口しており、その開口に回転軸117が挿入される。第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及びベアラーリング113の開口にはそれぞれ切り欠き部114が形成されており、切り欠き部114にキー118が挿入される。これによって第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及びベアラーリング113を複数枚組み合わせたものの空回りが防止できる。
第1ロールスペーサ112は、製造装置100では、図4に示すように、円環状の第1ロールスペーサ112の中心から放射状に延びる多数の突起であるビーム115を有する形状となっている。第1ロールスペーサ112における各ビーム115は、その長さがいずれも同じになっている。第1ロールスペーサ112は、各ビーム115の先端を結ぶことで仮想的に形成される円の直径を便宜的に歯先円直径と定義すると、第1ロールスペーサ112の該歯先円直径は、第1ロール歯車111の歯先円直径よりも小さく、第1ロール歯車111の歯底円直径よりも小さくなっている。
ベアラーリング113は、製造装置100では、図4に示すように、円環状の形状となっている。ベアラーリング113は、その円直径が、第1ロール歯車111の歯先円直径と一致している。ベアラーリング113は、製造装置100では、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端にそれぞれ配された第1ベアラーリング113aと、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端よりも内側に、軸心方向Vに所定の間隔で配された第2ベアラーリング113bとを有している。
第1ロール歯車111及びベアラーリング113には、図4に示すように、回転軸(図示せず)が挿入される中心の開口を取り囲むように複数の開口部116が形成されている。各開口部116は同径であり、第1ロール歯車111及びベアラーリング113の円中心からそれぞれ等距離の位置に形成されている。複数の第1ロール歯車111及び複数のベアラーリング113にそれぞれ形成された開口部116の配置位置は一致しており、開口部116は、回転軸(図示せず)を挿入する開口に設けられた切り欠き部114に対応する位置を基準として、周方向に等間隔を空けて配されている。第1ロール歯車111及びベアラーリング113の有する開口部116の個数は、上述した第1ロールスペーサ112におけるビーム115の数と同数になっている。そして、第1ロール歯車111とベアラーリング113との間に、或いは、第1ロール歯車111と第1ロール歯車111との間に、第1ロールスペーサ112を組み付ける際には、各開口部116が、第1ロールスペーサ112における隣り合うビーム115,115の間にそれぞれ位置するように、第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及びベアラーリング113の順に、或いは、第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及び第1ロール歯車111の順に配置する。つまり、第1ロール歯車111及びベアラーリング113の開口部116を、第1ロールスペーサ112における周方向に隣り合う2つのビーム115,115と第1ロールスペーサ112の中心部とで構成される略V字形の領域内に配置する。或いは、第1ロール歯車111及び第1ロール歯車111の開口部116を、第1ロールスペーサ112における周方向に隣り合う2つのビーム115,115と第1ロールスペーサ112の中心部とで構成される略V字形の領域内に配置する。これらの略V字形の部位は、周面が凹凸形状になっている第1ロール11におけるロール凹部11cに相当する。一方、凹凸形状のロール凸部11tは、後述する第1ロール歯車111の歯111aの部分に相当する。
以上のように第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及びベアラーリング113の順に組み合わせた歯車群、或いは、第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112及び第1ロール歯車111の順に組み合わせた歯車群を複数組み付けると、第1ロール歯車111の開口部116とベアラーリング113の開口部116とが、第1ロール11の軸心方向Vに連なって、軸心方向Vに延びる複数の吸引路(図示せず)が第1ロール11の内部に形成される。この吸引路を、第1ロール11外に設置された吸引装置(不図示)に接続し、該吸引装置(不図示)を作動させることで、第1ロール11をその周面に形成されたロール凹部11cから内部に向けて第1シート1uを吸引することが可能となる。
図6には、複合シート1を製造する製造装置100の第1ロール11の周面を平面に展開した状態が示されている。同図中、矢印Uで示す方向が第1ロール11の回転方向であり、矢印Vで示す方向が第1ロール11の軸心方向である。また、同図中、ドットで示した矩形の領域が、第1ロール歯車111の歯111aの歯先面111fを示している。また、回転方向Uに直線上に延びる、斜線で示した領域が、ベアラーリング113のリング先端面113fを示している。図6に示すとおり、第1ロール歯車111の歯111aの歯先面111fは、製造される複合シート1の第1接合部21(図2参照)に対応しており、第1接合部21の形成予定位置である。ベアラーリング113のリング先端面113fは、製造される複合シート1の第2接合部22(図2参照)に対応しており、第2接合部22の形成予定位置である。
複合シート1の製造装置100では、図6に示すように、第1接合部21に対応する第1ロール歯車111の歯先面111fは、回転方向Uの長さL1’と軸心方向Vの長さL2’とが同じ正方形状となっている。ここで、歯先面111fの回転方向Uの長さL1’は、第1接合部21の縦方向Xの長さL1に対応しており、歯先面111fの軸心方向Vの長さL2’は、第1接合部21の横方向Yの長さL2に対応している。第2接合部22に対応するベアラーリング113のリング先端面113fは、回転方向Uに延びる直線上に形成されている。ここで、リング先端面113fの軸心方向Vの長さL3’は、第2接合部22の横方向Yの長さL3に対応している。即ち、製造装置100では、ベアラーリング113のリング幅が、第1ロール歯車111の歯幅よりも狭くなっている。
複合シート1の製造装置100の第1ロール11では、図6に示すように、第1ロール歯車111の歯先面111fが軸心方向Vに沿って1種類の間隔L4’で規則的に配置された第1歯先列111Raが、回転方向Uに複数列配されている。また、第1ロール歯車111の歯先面111fが軸心方向Vに沿って1種類の間隔L5’で規則的に配置された第2歯先列111Rbが、回転方向Uに複数列配されている。そして、第1歯先列111Raと第2歯先列111Rbとが、回転方向Uに交互に一定の間隔L6’を空けて配された第1歯先群111Gを有している。そして、第1ロール11では、第1歯先群111Gが、軸心方向Vに一定の間隔L7’を空けて間欠的に配されている。ここで、軸心方向Vに隣り合う歯先面111f,111fどうしの間隔L4’は、横方向Yに隣り合う第1接合部21,21どうしの間隔L4に対応している。また、軸心方向Vに隣り合う歯先面111f,111fどうしの間隔L5’は、横方向Yに隣り合う第1接合部21,21どうしの間隔L5に対応している。また、回転方向Uに隣り合う第1歯先列111Raと第2歯先列111Rbとの間隔L6’は、縦方向Xに隣り合う第1接合部列2Raと第2接合部列2Rbとの間隔L6に対応している。さらに、軸心方向Vに隣り合う第1歯先群111G,111Gどうしの間隔L7’は、横方向Yに隣り合う第1接合部群2G,2Gどうしの間隔L7に対応している。
複合シート1の製造装置100の第1ロール11では、図6に示すように、ベアラーリング113は、軸心方向Vに所定の間隔で配されている。好適に、ベアラーリング113を構成する第1ベアラーリング113aのリング先端面113fが、軸心方向Vの左右両端部に配されており、更に、軸心方向Vに隣り合う第1歯先群111G,111Gどうしの間の中間の位置に、ベアラーリング113を構成する第2ベアラーリング113bのリング先端面113fが配されている。リング先端面113fは、軸心方向Vに一定の間隔L8’を空けて配されている。軸心方向Vに隣り合うリング先端面113f,113fどうしの間隔L8’は、横方向Yに隣り合う第2接合部22,22どうしの間隔L8に対応している。製造装置100では、ベアラーリング113の第2ベアラーリング113bが、後述する第2ロール12の第2ロールスペーサ122に対応する位置に配されている。
複合シート1の製造装置100の第1ロール11は、第2ベアラーリング113bに隣接して第1ロールスペーサ112が配されるように集積して形成されている。具体的には、複合シート1の製造装置100の第1ロール11では、図6に示すように、第2ベアラーリング113bの軸心方向Vの左右に隣接して一対の第1ロールスペーサ112,112が配されている。製造装置100では、図4〜図6に示すように、軸心方向Vの左右外方端に一対の第1ベアラーリング113a,113aが配されており、一対の第1ベアラーリング113a,113aの間に、軸心方向Vに、第1ロール歯車111、第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112、第2ベアラーリング113b、第1ロールスペーサ112、第1ロール歯車111、第1ロール歯車111の順に配された配列をユニットT1として、該ユニットT1を軸心方向Vに複数並べて形成されており、軸心方向Vに隣り合う該ユニットT1,T1どうしの間に第1ロールスペーサ112が配されている領域を有している。
複合シート1の製造装置100の第1ロール11では、図6に示すように、第1ロール歯車111の歯111aの部分で囲まれた領域、或いは、第1ロール歯車111の歯111aの部分及びベアラーリング113のリング先端面113fで囲まれた領域がロール凹部11cとなる。ロール凹部11cは、上述した位置に配された6つの第1ロール歯車111の歯111aの歯先面111fで囲まれた領域内に第1ロール第1凹部11c1と、上述した位置に配された3つの第1ロール歯車111の歯111aの歯先面111fとベアラーリング113のリング先端面113fで囲まれた領域内に第1ロール第2凹部11c2とを有している。
複合シート1の製造装置100の第1ロール11では、図6に示すように、第1ロール第1凹部11c1が、回転方向Uに沿って一定の間隔を空けて並んで配されており、且つ軸心方向Vに沿って一定の間隔を空けて並んで配されている。また、第1ロール第2凹部11c2が、回転方向Uに沿って一定の間隔を空けて並んで配されており、且つ軸心方向Vに沿って間隔を空けて並んで配されている。回転方向Uにおいては、第1ロール第2凹部11c2の中心が、回転方向Uに隣り合う第1ロール第1凹部11c1の中心どうしを結ぶ直線の中央部に位置するように配されている。また、軸心方向Vにおいては、一対の第1ロール第2凹部11c2,11c2間において、第1ロール第1凹部11c1の中心が、軸心方向Vに隣り合う第1ロール第2凹部11c2の中心どうしを結ぶ直線の中央部に位置するように配されている。
複合シート1の製造装置100では、第2ロール12は、図3に示すように、第1ロール11のロール凹部11c及びロール凸部11tと噛み合い形状となっているロール凹部12c及びロール凸部12tを周面に有している。第2ロール12は、ロール凹部12c及びロール凸部12tが形成されるように、第1ロール11と同様に、複数の歯車が組み合わされて形成されているが、軸心方向に延びる複数の吸引路が内部に形成されていない。第2ロール12は吸引機構を有していないので、第1ロール11の第1ロール歯車111及び第2歯車112に形成されている開口部116は、第2ロール12を構成する歯車には不要である。また第2ロール12を構成するスペーサに、第1ロール11の第1ロールスペーサ112のビーム115を形成することも不要である。従って、第2ロール12を構成する各歯車の歯先の円直径は、第1ロール11よりも小さく、その分ロール凸部12tの数が少なくなっている。
複合シート1の製造装置100では、第2ロール12のロール凸部12tは、第1ロール11のロール凹部11cへの第2ロール12のロール凸部12tによる第1シート1uの押し込み位置において、第1ロール11のロール凹部11cに接触しないように、ロール凸部12tの歯先面の全周に隙間を有するように配置されている。また、第1ロール11と第2ロール12は、これ以外の部分においても、非接触状態で回転するように配置されている。
図7には、複合シート1を製造する製造装置100の第1ロール11と噛み合い関係となる第2ロール12の周面を平面に展開した状態が示されている。第2ロール12は、周面に複数の歯を有する第2ロール歯車121と、第2ロール歯車121よりも歯先円直径の小さい第2ロールスペーサ122とを複数枚組み合わせ、これらを同心状に取り付けてロール状に集積して形成されている。図7中、矢印Uで示す方向が第2ロール12の回転方向であり、矢印Vで示す方向が第2ロール12の軸心方向である。また、同図中、粗いドットで示した矩形の領域が、第2ロール歯車121の歯先面121fを示している。製造装置100では、第2ロール歯車121の歯幅が、第1ロール11の第1ロール歯車111の歯幅と一致している。また、第2ロール12は、第2ロールスペーサ122を備え、製造装置100では、第2ロールスペーサ122が、歯幅の異なる2種の第2ロール第1スペーサ122aと第2ロール第2スペーサ122bとを有している。第2ロール第1スペーサ122aの歯幅は、第2ロール歯車121の歯幅と同じであり、第1ロール11の第1ロールスペーサ112の幅(歯幅)とも一致している。また、第2ロール第2スペーサ122bの歯幅は、第2ロール第1スペーサ122aの歯幅よりも広く、製造装置100では、第1ロール11の2枚の第1ロールスペーサ112の幅(歯幅)と第1ロール11のベアラーリング113の幅(リング幅)とを合計した幅と一致している。言い換えれば、ベアラーリング113の幅(リング幅)が、第2ロール第2スペーサ122bの歯幅よりも狭くなっている。
複合シート1の製造装置100の第2ロール12では、図7に示すように、第2ロール歯車121、第2ロール第1スペーサ122a、第2ロール歯車121、第2ロール歯車121、第2ロール第1スペーサ122a、第2ロール歯車121の6つの部材がこの順で集積された集積体T2が、軸心方向Vに、並置され、軸心方向Vに隣り合う集積体T2,T2どうしの間に、第2ロール第2スペーサ122bが配された集積構造となっている。製造装置100では、第2ロールスペーサ122を構成する第2ロール第2スペーサ122bが、第1ロール11のベアラーリング113に対応する位置に配されている。
複合シート1の製造装置100の第2ロール12では、図7に示すように、第2ロール歯車121の歯先面121fは、回転方向Uの長さと軸心方向Vの長さとが同じ正方形状となっている。製造装置100では、歯先面121fの回転方向Uの長さは、第1ロール11の第1ロール歯車111における歯先面111fの回転方向Uの長さL1’と一致し、歯先面121fの軸心方向Vの長さは、第1ロール歯車111における歯先面111fの軸心方向Vの長さL2’と一致している。
複合シート1の製造装置100の第2ロール12では、図7に示すように、軸心方向Vに隣り合う第2ロール歯車121,121の2つの歯によって第2ロール第1凸部12t1が形成される。また、第2ロール歯車121の2つの歯によって第2ロール第2凸部12t2が形成される。このように、製造装置100では、第2ロール12のロール凸部12tは、第2ロール第1凸部12t1と第2ロール第2凸部12t2とを有している。第1ロール11と第2ロール12とが噛み合った状態においては、第2ロール第1凸部12t1が、第1ロール11の第1ロール第1凹部11c1と嵌まり合う。また、第2ロール第2凸部12t2は、第1ロール11の第1ロール第2凹部11c2と嵌まり合う。
図8には、複合シート1の製造装置100において、第1ロール11のロール凹部11cに、第2ロール12のロール凸部12tが噛み合った状態を平面に展開した状態が示されている。図8中、細かいドットで示した矩形の領域が、第1ロール11における第1ロール歯車111の歯先面111f及びベアラーリング113のリング先端面113fを示している。また、粗いドットで示した矩形の領域が、第2ロール12における第2ロール歯車121の歯先面121fを示している。図8から明らかなとおり、第1ロール11の第1ロール第1凹部11c1には、第2ロール第1凸部12t1が入り込んでいる。また、第1ロール11の第1ロール第2凹部11c2には、第2ロール第2凸部12t2が入り込んでいる。製造装置100では、第1ロール11のベアラーリング113と、第2ロール第2スペーサ122bとの配置位置が一致している。その後、立体賦形が行われた第1シート1uに対して第2シート1dが貼り合わされることで、目的とする複合シート1が得られる。
複合シート1の製造装置100では、図3に示すように、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15は、それぞれ、周面に凹凸を有していないフラットなアンビルロール13である。第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15は、加熱手段(図示せず)を備えている。この加熱手段で加熱された状態の第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15の周面と、第1ロール11のロール凸部11tとの間で第1シート1u及び第2シート1dを挟持したときに、両シート1u,1dどうしが熱融着により接合されて接合部2が形成されるようになっている。
アンビルロール13の直径、即ち製造装置100では、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15の直径は、第1ロール11における第1ロール歯車111の歯先円直径と異なることが好ましい。そうすることで、第1ロール11における第1ロール歯車111の歯先と、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15の周面との当接位置が回転ごとに異なるため、局所的な摩耗を抑制することができる。
次に、上述した製造装置100を用いて上述した構成のシート状物1を製造する製造方法を説明する。
製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、先ず、第1ロール11の外に設置された吸引装置(不図示)を作動させて、第1ロール11の軸心方向Vに延びる複数の吸引路(図示せず)を負圧にする。
次いで、製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、図3に示すように、第1ロール11及び第2ロール12を回転させ、所定温度に加熱した第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15を回転させる。
次いで、第1シート1uの原反ロール(不図示)から第1シート1uを繰り出す。これとは別に、第2シート1dの原反ロール(図示せず)から第2シート1dを繰り出す。繰り出された第1シート1uは、第1ロール11及び第2ロール12の噛み合い部分に供給される。そして、第1ロール11の第1ロール第1凹部11c1に第2ロール第1凸部12t1が入り込むことで、第1シート1u(図示せず)が第1ロール11内に押し込まれて第1凸部31に対応する立体賦形を行う。また、第1ロール11の第1ロール第2凹部11c2に第2ロール第2凸部12t2が入り込むことで、第1シート1u(図示せず)が第1ロール11内に押し込まれて第2凸部32に対応する立体賦形を行う。ここで、製造装置100では、第1ロール11のベアラーリング113と、第2ロール第2スペーサ122bとの配置位置が一致しており、ベアラーリング113の幅(リング幅)が、第2ロール第2スペーサ122bの幅(歯幅)よりも狭いので、ベアラーリング113の部分で第1シート1u(図示せず)が立体賦形されることはない。その為、ベアラーリング113が、第1凸部31に対応する立体賦形及び第2凸部32に対応する立体賦形に影響を与えないので、これらの立体賦形の精度が向上する。
次いで、製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、図3に示すように、第1シート1uを第1ロール11の周面に引き続き吸引して賦形状態を保持したまま、第2シート1dを重ね合わせ、その重ね合わせたものを、第1ロール11と所定温度に加熱した第1ヒートロール14との間で挟圧する。これによって、第1ロール11における第1ロール歯車111の歯先面111f上に位置する第1シート1uと第2シート1dとを熱融着によって接合して正方形状の第1接合部21を形成する。また、第1ロール11におけるベアラーリング113のリング先端面113f上に位置する第1シート1uと第2シート1dとを熱融着によって接合して回転方向Uに一直線状に延びる第2接合部22を形成する。
次いで、製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、図3に示すように、熱融着によって接合された第1シート1u及び第2シート1dの重ね合わせ体を、第1ロール11の周面に引き続き吸引保持した状態下で移動させ、該重ね合わせ体を、第1ロール11と所定温度に加熱した第2ヒートロール15との間で挟圧する。これによって、第1ロール11におけるロール凸部11tの歯先面111f,112f上に位置する第1シート1uと第2シート1dとを熱融着によって更に強固に接合して接合部2を形成する。
以上のようにして、製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、目的とする複合シート1を連続的に製造する。
製造装置100を用いるシート状物1の製造方法では、図9に示すように、第1ロール11では、ベアラーリング113が、軸心方向Vに所定の間隔で配されている。その為、アンビルロール13である第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15が加熱により膨張してしまったとしても、軸心方向Vに所定の間隔で配されたベアラーリング113によって、第1ロール11のロール凸部11tとアンビルロール13とが過度に当接する部分が発生し難く、ロール凸部11tの摩耗が発生し難く、製造装置100に振動も発生し難く、複合シート1の生産効率が向上する。
製造装置100の第1ロール11では、図9に示すように、ベアラーリング113が、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端にそれぞれ配された第1ベアラーリング113aと、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端よりも内側に、軸心方向Vに所定の間隔で配された第2ベアラーリング113bとを有している。その為、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15が加熱により膨張してしまったとしても、軸心方向Vの左右外方端に配された第1ベアラーリング113aと、第1ベアラーリング113aよりも内側で、軸心方向Vに所定の間隔で配された第2ベアラーリング113bとによって、第1ロール11のロール凸部11tとアンビルロール13とが過度に当接する部分が更に発生し難く、複合シート1の生産効率が更に向上する。
製造装置100の第1ロール11では、図9に示すように、第2ベアラーリング113bの軸心方向Vの左右に隣接して一対の第1ロールスペーサ112,112が配されている。その為、第1ロール11の第1ロール第2凹部11c2に第2ロール第2凸部12t2を入り込ませて、第1シート1uを第1ロール11内に押し込み第2凸部32に対応する立体賦形を行う際に、第1ロール第2凹部11c2から第1ロール11の内部に向けての吸引が安定的に行われ、第1シート1uの第1ロール第2凹部11c2内への吸引による賦形が行われ易く、第2凸部32の立体賦形の精度が更に向上する。
製造装置100の第1ロール11では、図9に示すように、軸心方向Vに、第1ロール歯車111、第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112、第2ベアラーリング113b、第1ロールスペーサ112、第1ロール歯車111、第1ロール歯車111の順に配された配列をユニットT1として、該ユニットT1を軸心方向Vに複数並べて形成されており、軸心方向Vに隣り合う該ユニットT1,T1どうしの間に第1ロールスペーサ112が配されている領域を有している。その為、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15が加熱により膨張してしまったとしても、各ユニットT1内の第2ベアラーリング113bによって、第1ロール11のロール凸部11tとアンビルロール13とが過度に当接する部分が更に発生し難く、複合シート1の生産効率が更に向上する。
製造された複合シート1は、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートに用いられる。
上述した効果を一層奏する観点から、複合シート1の製造装置100は、以下の要件を満たしていることが好ましい。
第1ロール歯車111における歯先面111fの回転方向Uの長さL1’は、0.5mm以上4.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上2.0mm以下であることが更に好ましい。
第1ロール歯車111における歯先面111fの軸心方向Vの長さL2’は、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.2mm以下であることが更に好ましい。
ベアラーリング113のリング先端面113fの軸心方向Vの長さL3’は、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.2mm以下であることが更に好ましい。
軸心方向Vに隣り合う歯先面111f,111fどうしの間隔L4’は、1.5mm以上6.0mm以下であることが好ましく、2.4mm以上3.6mm以下であることが更に好ましい。
軸心方向Vに隣り合う歯先面111f,111fどうしの間隔L5’は、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.2mm以下であることが更に好ましい。
回転方向Uに隣り合う第1歯先列111Raと第2歯先列111Rbとの間隔L6’は、0mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.3mm以上0.7mm以下であることが更に好ましい。
軸心方向Vに隣り合う第1歯先群111G,111Gどうしの間隔L7’は、1.0mm以上5.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上3.0mm以下であることが更に好ましい。
軸心方向Vに隣り合うリング先端面113f,113fどうしの間隔L8’は、3.5mm以上14mm以下であることが好ましく、5.6mm以上8.4mm以下であることが更に好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の複合シートの製造装置は、上述した実施形態の複合シート1の製造装置100に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態の製造装置100では、図4〜図6に示すように、第1ロール11は、ベアラーリング113が、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端にそれぞれ配された第1ベアラーリング113aと、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端よりも内側に、軸心方向Vに所定の間隔で配された第2ベアラーリング113bとを有しているが、第2ベアラーリング113bを有していれば、第1ベアラーリング113aを有していなくてもよい。
また、上述した実施形態の製造装置100では、図4〜図6に示すように、第1ロール11は、第2ベアラーリング113bの軸心方向Vの左右に隣接して一対の第1ロールスペーサ112,112が配されているが、配されていなくてもよい。例えば、図10〜図11に示すよう第1ロール11のように、第2ベアラーリング113bの軸心方向Vの左右に隣接して一対の第1ロール歯車111,111が配されていてもよい。
図10〜図11に示すよう第1ロール11では、ベアラーリング113が、第1ロール11の軸心方向Vの左右外方端にそれぞれ配された第1ベアラーリング113aと、第1ベアラーリング113よりも内側に、2つの第2ベアラーリング113b,113bとを有しているが、第1ロール歯車111、第1ロールスペーサ112、第2ベアラーリング113bの配置位置が、図4〜図6に示す第1ロール11と異なっている。図10〜図11に示すよう第1ロール11では、第2ベアラーリング113bの軸心方向Vの左右に隣接して一対の第1ロール歯車111,111が配されている。図10〜図11に示すよう第1ロール11を用いても、目的とする複合シート1を連続的に効率良く製造できる。
また、上述した実施形態の製造装置100では、図3に示すように、アンビルロール13が、第1ヒートロール14及び第2ヒートロール15の2つのヒートロールを有しているが、1つのヒートロールのみを有していてもよい。