JP6619571B2 - 清水領域形成方法 - Google Patents

清水領域形成方法

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Description

本発明は、清水領域形成装置及び清水領域形成方法に関し、詳しくは、水中の壁体についての水中作業のために前記壁体の前面に清水領域を形成する装置及び方法に関する。
特許文献1には、撮影手段と検査面との間に配置され、内部に透明な流体が充填可能な可撓性の透明シートを有し、前記透明シートに設けたシート開口部から検査面側に透明な流体を噴射し、検査面の検査を行う、液中の壁面の検査装置及び検査方法が開示されている。
特許第3079391号公報
近年、ダム堤体の補修・改修などを潜水士が行うことで、既存ダムの有効利用が図られる場合がある。
ダム堤体についての水中作業では、ダム湖水が濁水であると、視界不良によって作業効率が低下し、作業工程の遅延や作業コストの増大など招くことになる。
そこで、本願発明は、ダム堤体などの壁体についての水中作業を、視界を確保できる清水領域で行わせるのに適した、清水領域形成装置及び清水領域形成方法を提供することを目的とする。
そのため、本願発明の第1態様における清水領域形成方法は、水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法である。前記清水領域形成装置は、前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、互いに間隔を空けて対向し、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、前記壁部材に設けられた取手部と、を備える。前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれる。前記清水領域形成方法は、前記一対の壁部材の各々の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、前記放水部から放水される清水の流れがコアンダ効果によって前記壁体及び前記一対の壁部材の各々に引き寄せられるように、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、を含む
本願発明の第2態様における清水領域形成方法は、水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法である。前記清水領域形成装置は、清水領域形成ユニットを前記壁体の左右方向に複数並べて構成される。前記清水領域形成ユニットは、前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、前記放水部の上方領域を挟んで左右方向に対向して配置され、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、を備える。前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれる。前記清水領域形成方法は、前記一対の壁部材の各々の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、前記放水部から放水される清水の流れがコアンダ効果によって前記壁体及び前記一対の壁部材の各々に引き寄せられるように、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、を含む。
本願発明の第3態様における清水領域形成方法は、水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法である。前記清水領域形成装置は、前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、互いに間隔を空けて対向し、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、を備える。前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれる。前記一対の壁部材は、弾性を有する枠部材を介して前記壁体に付けられる。前記枠部材は、前記一対の壁部材の前記壁体側の端縁に沿って延びる一対の縦部と、前記一対の縦部の各々の前記放水部側の端部同士を連結するように延びる横部とが一体となってU字状に形成される。前記枠部材は、可撓性を有するU字状の袋体と、前記袋体に入れられた流動体とにより構成される。前記清水領域形成方法は、前記一対の壁部材の各々の端縁を前記枠部材を介して前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、前記放水部から放水される清水の流れがコアンダ効果によって前記壁体及び前記一対の壁部材の各々に引き寄せられるように、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、を含む。
本願発明の第4態様における清水領域形成方法は、水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法である。前記清水領域形成装置は、前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、互いに間隔を空けて対向し、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、を備える。前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれる。前記清水領域形成方法は、前記一対の壁部材の各々の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、を含む。前記清水領域形成方法は、可撓性を有しかつ浮力の微調整が可能な袋に清水を入れること、この清水が入れられた前記袋を、前記壁体に付けられた前記清水領域形成装置の近傍に沈めること、及び、前記袋に設けられた孔からポンプによって前記囲み内に清水を放水するように前記放水部を構成すること、を更に含む。
上記発明によると、透明度が高く潜水士の視界を確保できると共に、水中の壁体に潜水士が直接アクセスできる清水領域を水中の壁体の前面に形成でき、壁体についての水中作業の効率を改善できる。
本発明の実施形態における清水領域形成装置の構成図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は上面図である。 本発明の実施形態における清水領域形成装置の使用状態を示す状態図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。 本発明の実施形態における清水領域形成装置の使用状態を示す側面図である。 本発明の実施形態における清水領域形成装置でのコアンダ効果を説明するための図であり、(A)は壁部材を備えない場合の濁度分布を示し、(B)は壁部材を備える場合の濁度分布を示す図である。 本発明の実施形態における枠部材を備える清水領域形成装置の構成を示す図であり、(A)は上面図、(B)は背面図である。 本発明の実施形態における枠部材によるシール状態を示す断面図である。 本発明の実施形態における袋体と内容物(流動物)とで構成される枠部材を示す斜視図である。 本発明の実施形態における大型の清水領域形成装置の使用状態を示す断面図である。 本発明の実施形態における大型の清水領域形成装置の構成を示す図であり、(A)は背面図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は上面図である。 本発明の実施形態における大型の清水領域形成装置の放水部を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態における枠部材及び重量枠を備える大型の清水領域形成装置の構成を示す図であり、(A)は背面図、(B)は側面図、(C)は上面図である。 本発明の実施形態における重量枠の作用を説明するための図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1−図3は、本発明に係る清水領域形成装置の一例を示す。
清水領域形成装置1は、水中の壁体の前面に清水領域を形成して作業領域の視覚を確保するのに用いられる装置である。前記壁体は、例えば、ダム堤体や堤防などである。
清水領域形成装置1は、清水を放水する放水部2を構成するケース10と、ケース10の上に設けられる囲い部30とで構成され、ケース10及び囲い部30は、例えばポリプロピレンやアクリルなどの樹脂材料で形成される。
ケース10は、中空の箱状に形成され、上面11に清水の放水口となる矩形の開口部12が形成され、底面13に配管14を通すための貫通孔15が形成される。
貫通孔15に挿通される配管14の両端開放部にはフランジ14a,14bが形成され、ケース10の内部に配置される第1フランジ部14aには、濁水をろ過して透明度が高い清水とするためのフィルタ16が連結され、フィルタ16は配管14を介してケース10に支持される。
フィルタ16として、ポリプロピレンやポリエステルなどの樹脂材料で形成されるフェルトろ材で構成されるフィルタなどの公知のフィルタを適宜用いることができる。
そして、フィルタ16によってろ過されて透明度を増した清水は、ケース10の内部に放出された後、下流側の開口部12(後述する整流板20)を介してケース10の外部に放水される。
一方、ケース10の外部に配置される第2フランジ部14bには図2に示すようにホース18の一端が連結され、ホース18の他端には水中ポンプ17の吐出口17aが連結される。
また、ホース18の途中には、ボールバルブなどの開閉バルブ19が配置されている。
更に、ケース10の上面11に形成された開口部12には、整流板20が取り付けられる。
整流板20として、例えば複数の孔が全面に穿設された板状部材を用いることができ、更に、係る板状部材を相互に上下方向に間隔を空けて複数重ねて構成することもできる。また、整流板20として、ルーバーを用いることもできる。
上記のケース10、配管14、フィルタ16、水中ポンプ17、ホース18、開閉バルブ19、整流板20によって、囲い部30に清水を放水する放水部(清水供給部)2が構成される。
囲い部30は、ケース10の上面11を底面とし、開口部(放水口)12の上方領域を挟んで左右方向に対向して配置される一対の壁部材(側壁)31a,31bを備えて構成される。
一対の壁部材31a,31bは、ケース10の両側面を上方に延長するようにして設けられ、囲い部30は前面32a、背面32b及び上面32cが開放面をなす。そして、放水部2は、壁部材31a,31bで挟まれる領域に向けて清水を放水する。
壁部材31a,31bそれぞれの外側の面には、潜水士が清水領域形成装置1を手で支えるための取手部33a,33bを設けてあり、潜水士が取手部33a,33bを持って清水領域形成装置1を水中で移動させたり、作業位置に固定したりすることができるようにしてある。
なお、清水領域形成装置1のケース10及び壁部材31a,31bからなる筐体部分の大きさは、全高が0.5m〜1.5m程度で、幅及び奥行が0.5m〜1.5m程度に設定される。
ここで、潜水士50がダム堤体などの水中の壁体40について補修・改修などの水中作業を行うときに、作業領域周辺の水(ダム湖水)が濁水であるために十分な視界を確保できない場合は、清水領域形成装置1を用いて壁体40の作業領域の前面に清水領域を形成する。
詳細には、図2、図3に示すように、壁体40の作業領域に囲い部30の開放面である背面32bが重なるように、壁部材31a,31bの背面32b側の端縁を水中の壁体40に付けた状態に清水領域形成装置1を支持する。
これにより、左右の壁部材31a,31bと壁体40とが連接し、放水部2から放水される清水の流れを左右の壁部材31a,31b及び壁体40によって3方から囲む囲みが形成される。
清水領域形成装置1の背面を壁体40に付けて設置する場合、壁体40に設けたアンカーに清水領域形成装置1を係合させて固定したり、清水領域形成装置1にブイ(浮き)を取り付けて作業領域の水深に浮かせたり、クレーンによって清水領域形成装置1を水中に吊り下げたりすることができる。
また、潜水士50が取手部33a,33bを持って清水領域形成装置1を壁体40の所定位置に押し付けた状態で、水中作業を行うことも可能である。
上記のようにして清水領域形成装置1を壁体40の作業領域に設置した状態で、水中ポンプ17を稼働させ開閉バルブ19を開くと、水中ポンプ17は周囲の濁水を吸込口17bから吸い込み、水中ポンプ17の吐出口17aから吐出された濁水は、フィルタ16に圧送される。
そして、フィルタ16は、水中ポンプ17から送られた濁水をろ過し、透明度が高い清水をケース10の内部に放出する。ケース10の内部に放出された清水は、ケース10の上面11に形成された開口部12に固定された整流板20で整流されて、左右の壁部材31a,31b及び壁体40によって3方が囲まれる囲み領域32に放水され、放水された清水は壁体40に沿って囲み領域32内を下方から上方に向けて流れる。
ここで、図3に示したように、水中ポンプ17が清水領域形成装置1の下方などの濁水領域から濁水を吸い込むように構成することができるが、水中ポンプ17の吸い込み位置は図3に例示した位置に限定されない。例えば、水中ポンプ17の吸込口17bを囲み領域32の上方開放端付近に配置し、囲み領域32内を下方から上方に向けて流れた清水が濁水に混じってしまう前に(換言すれば、ダム湖水の透明度よりも高いうちに)再度水中ポンプ17に吸い込まれて循環するように構成することができる。係る構成では、水中ポンプ17が吸い込む水の透明度が高くなって(不純物粒子の濃度が低くなって)フィルタ16に捕集される不純物粒子の量が減り、フィルタ16のろ過能力をより長い期間に亘って維持させることが可能となり、フィルタ16の交換、洗浄の頻度が減って経済的に清水領域形成装置1を使用できる。
このように、左右の壁部材31a,31b及び壁体40によって3方が囲まれる囲み領域32の底面を放水口として下方から上方に向けて清水が放水されることで、囲み領域32(囲い部30内)に清水領域が形成される。
つまり、壁体40の作業領域に清水領域形成装置1を付けるように設置することで、清水領域形成装置1の壁部材31a,31b(囲い部30)が壁体40と連接し、放水部2から放水される清水の流れを囲む囲みを形成し、係る囲み内に清水を放水することで、囲み内に清水領域を形成する。
なお、図3のようにして清水領域形成装置1により清水領域を形成する場合には、濁水と囲み領域32内に放水される清水との温度差を小さくすることが、清水領域の安定形成のためには望ましい。
ここで、放水部2は壁体40に沿って流れる方向に清水を放水するが、放水された清水は、コアンダ効果により壁部材31a,31bと壁体40とで囲まれた囲み領域32に寄せられる。
これにより、清水領域は壁体40の直前に形成され、清水領域と壁体40との間に濁水域が生じることが抑制される。
潜水士50は、壁体40の作業領域の前に形成された清水領域によって、壁体40の作業領域を観察するための視界を確保でき、更に、壁体40に直接触れて補修・改修作業を行うことが可能である。従って、例えば壁体40がダムの堤体である場合は、ダム湖水が濁っていても高い作業効率で堤体の補修・改修作業を行え、作業工程の遅延や作業コストの増大を抑制できる。
なお、放水部2は、壁体40の作業域近傍の水よりも透明度が高い水を放水する機能を有する装置であればよく、図3に示した、壁体40近傍の濁水をろ過して放水する構成に限定されない。
例えば、放水部2は、壁体40の作業域から離れた清水域の清水や、清水タンクに予め貯留されている清水を放水する構成とすることができ、係る構成においてはフィルタ16を省略できる。
また、可撓性を有しかつ浮力の微調整が可能な袋に清水を入れ、この清水が入った袋を壁体40に付けた清水領域形成装置1の近傍に沈め、袋に設けた孔からポンプによって囲み領域32内に清水を放水させるようにして、放水部2を構成することができる。
但し、フィルタ16を備えた放水部2では、ダム堤体付近のダム湖水が濁水であっても、ダム堤体近傍に水中ポンプ17を設置できると共に長い配管や清水タンクが不要で清水領域形成装置1を低廉かつ簡易に構成でき、更に、適当な清水域が付近に無い場合や、清水タンクの設置が困難な環境でも清水の放水を行えるという汎用性を有する。
また、図1及び図2に示した清水領域形成装置1では、放水部2を構成するケース10と囲い部30とが一体的に形成されるが、囲い部30に対してケース10を着脱可能に(換言すれば、囲い部30とケース10とを分離可能に)構成することができる。また、ケース10の底面13がフィルタ16及び配管14と一体に取り外せるよう構成したり、ケース10の側面にフィルタ16を出し入れできる開口部を設け、当該開口部を着脱可能な蓋部材で覆う構成としたりすることができる。そして、係る構成を備えることで、詰まったフィルタ16の交換作業を行えるようになり、交換作業を水中で行わせることも可能である。清水領域形成装置1から取り外したフィルタ16は、新品、又は、高圧水による洗浄や逆洗などによって詰まりを解消した再生品と交換される。
なお、清水領域形成装置1に取り付けた状態のまま、フィルタ16の詰まりを逆洗や加振などによって解消させることも可能である。
また、一対の壁部材31a,31b(囲い部30)を備えずに放水部2のみで清水領域形成装置を構成し、壁体40の前の領域を壁部材で囲まずに、放水部2から壁体40に沿って清水を放水させることによっても、清水領域を形成することは可能である。
しかし、上記の清水領域形成装置1のように、壁部材31a,31bと壁体40とによって清水の放水領域(清水の流れ)を囲んでコアンダ効果を利用できるようにすれば、壁体40の直前のより広い範囲に清水領域を安定的に形成することができる。
図4は、左右の壁部材31a,31bで囲むことなく壁体40の前面に清水を放出させた場合(図4(A))、及び、左右の壁部材31a,31bと壁体40とによって3方が囲まれる囲み領域に清水を放出させた場合(図4(B))について、それぞれ清水領域の形成範囲(濁度比分布)をシミュレーションした結果を示す。
図4は、正方形状の放水口の1辺の長さを1mとし、図4(B)では係る放水口を挟んで壁部材が対向するように配置し、更に、清水の放水流量を800L/分、濁水及び清水の温度を共に18℃、濁水の濁度を100mg/Lとしたときに、放水開始から10分が経過した時点での放水口から0.5mの高さにおける濁度比の分布を示す。
図4(A)の左右の壁部材で放水領域を囲まない場合では、壁体40の直前における清水領域の左右方向の幅が放水口の幅よりも狭く、清水領域が壁体40表面に直交する方向に細長い形状になっている。
これに対し、図4(B)の左右の壁部材31a,31bで囲んだ場合では、壁体40の直前における清水領域の左右方向の幅が放水口の幅(壁部材31a,31bの間隔)と略同等であり、図4(A)の場合とは逆に、清水領域が壁体40の左右方向に細長い形状になっていて、左右の側壁部材31a,31bで挟まれる領域の略全域で視界を確保できることになる。
上記の図4(A)、(B)における清水領域の大きさ、形状の違いは、コアンダ効果によるものである。
つまり、図4(B)のように、左右の壁部材31a,31b及び壁体40によって3方が囲まれる囲み領域内に清水を放水する場合、清水の流れが左右の壁部材31a,31b及び壁体40に引き寄せられるコアンダ効果により、清水領域が左右方向に広がりかつ壁体40側に寄って形成される。
一方、図4(A)のように、清水の放水領域(清水の流れ)を左右方向から囲む壁部材を設けない場合は、コアンダ効果によって清水の流れが引き寄せられる壁が左右方向に存在しないため、形成される清水領域の左右方向の幅が左右の壁部材で囲んだ場合よりも狭くなり、潜水士の視界を確保できる領域の左右方向の幅も狭くなる。
換言すれば、清水領域形成装置1において、壁体40と連接する左右の壁部材31a,31bを設け、清水の流れがコアンダ効果により左右の壁部材31a,31b及び壁体40に引き寄せられるように清水を壁体40に沿って放水させることで、清水領域の形成性能を高めることができる。
ところで、清水領域形成装置1の背面を水中の壁体40に付けたときに清水領域形成装置1と壁体40との間に大きな隙間があると、係る隙間を介して囲み領域32内に濁水が浸入したり、隙間を介して囲み領域32内の清水が外部に漏れ出すことで、清水領域の透明度の低下や透明度のばらつきを生じさせたり、清水領域を縮小させたりする可能性がある。
ここで、壁体40の表面が平らであれば前記隙間は十分に小さくなるから、外部からの濁水の浸入や外部への清水の漏れ出しは少なくなり、清水領域形成装置1は安定的に清水領域を形成できる。
これに対し、壁体40の表面に凹凸(不陸)があると、係る凹凸の部分で大きな隙間が生じ、この隙間を介して外部から濁水が浸入したり清水が外部に漏れ出したりして、清水領域形成装置1による清水領域の形成能力を低下させる。
そこで、清水領域形成装置1の背面と壁体40との隙間を埋める手段(シール手段)を備え、壁体40の凹凸による清水領域の形成能力の低下を抑制できるようにした、清水領域形成装置1の第2の実施形態を、図5に従って説明する。
図5に示す清水領域形成装置1は、図1に示した清水領域形成装置1に対し、弾性を有する枠部材(シール部材、シール手段)60を囲い部30と壁体40との接触面に設け、囲い部30がこの枠部材60を介して壁体40に付けられる構成とした点が異なる。
枠部材60は、左右の壁部材31a,31bの壁体40側(背面側)の端縁に沿って上下方向に延びる縦部60a,60bと、ケース10の壁体40側の面(背面)の上端(換言すれば、壁部材31a,31bで挟まれる囲み領域32の底側)に左右方向に沿って延びる横部60cとが一体となってU字状に形成される。
枠部材60は、壁部材31a,31b及びケース10よりも背面側(壁体40側)に突出し、清水領域形成装置1の背面を水中の壁体40に押し付けるようにすると、壁部材31a,31b及びケース10が壁体40に当たらずに、枠部材60が壁体40に突き当たる。
そして、図6に示すように、壁体40の凹凸に応じて枠部材60が弾性変形して、側壁部材31a,31b及びケース10と壁体40との隙間を埋め、壁体40と清水領域形成装置1との接触面から囲み領域32内に濁水が浸入することや囲み領域32内の清水が外部に漏れ出すことが抑制される。
これにより、清水領域形成装置1を設置する壁体40の表面(壁体40の作業領域)に凹凸があっても、清水領域形成装置1による清水領域の形成能力を高く維持できる。
枠部材60は、ゴムなどの弾性材料で形成することができる。また、枠部材60は、ポリ塩化ビニルなどの樹脂材料やゴムなどで形成される可撓性を有する袋体に、流動体(水などの液体やジェル体)を入れて形成することができる。
図7は、袋体と内容物(流動体)とで構成される枠部材60の一例を示す。
図7において、ポリ塩化ビニルなどの樹脂材料やゴムなどで形成される可撓性を有する袋体61は、側壁部材31a,31bの長さ及び間隔に合わせたU字状に形成され、この袋体61内に液体(水)やジェル体などの流動体62を入れて密閉される。
ここで、図7に示すように、U字状をなす袋体61の内部容積部のうちの両上端部に、流動体62で充たされない空洞部63が形成され、清水領域形成装置1を壁体40に押し付けたときに、壁体40の凹凸に応じて袋体61が変形すると共に袋体61内での流動体62の液面が上下し得るように構成されている。
但し、袋体61と流動体62とで構成される枠部材60として、袋体61の内部が全て流動体62で満たされた枠部材60を用い、袋体61が弾性変形して袋体61の容積が変化することで凹凸を吸収する構成とすることができる。また、袋体61に空気などの気体を入れて枠部材60を構成することができるが、空気の浮力による清水領域形成装置1の浮きを抑制する必要がある。
ところで、上記実施形態における清水領域形成装置1は、囲み領域32の開放面である前面32aから潜水士50が壁体40にアクセスできるように構成された小型の装置であるが、囲み領域内に潜水士50が入って水中作業を行えるような大型の清水領域形成装置を囲い部と放水部とで構成することができる。
図8は、囲み領域の大きさを潜水士50が入って水中作業を行える大きさ(例えば、囲み領域32の高さ10m程度、奥行き5m程度)とした第3の実施形態における清水領域形成装置1における作業状態を例示する。また、図9は、図8に示した大型の清水領域形成装置1の構造を示す三面図である。
図8、図9に示す清水領域形成装置1は、図1に示した小型の清水領域形成装置1と同様に、囲い部70と放水部80とを備えて構成される。
囲い部70は、直方体状の囲み領域75を形成する筐体構造をなし、両側面は壁体40の左右方向に対向する一対の壁部材71a,71bで形成され、正面は壁体40に対向する仕切り壁71cで仕切られ、底面は床部材71dで構成され、囲み領域75の上面75a及び壁体40側となる背面75bが開放面になっている。
床部材71dには、整流板82が取り付けられる開口部(放水口)81が開口され、図10に示すように、開口部81の下側には整流板82と共に放水部80を構成する各種のデバイスが取り付けられる。
具体的には、フィルタ83が内設されるケース84が開口部81の下側に取付けられ、ケース84の底面84aに設けた貫通孔85に、一端がフィルタ83に連結される配管86が挿通され、ケース84の外部に配置される配管86の他端にはホース87の一端が連結される。そして、ホース87の他端には、水中ポンプ88の吐出口88aが連結され、ホース87の途中には開閉バルブ89を設けてある。
係る構成により、水中ポンプ88が吸込口88bから吸い込んだ水は、ホース87及び配管86を介してフィルタ83に送られ、フィルタ83でろ過された後ケース84内に放出され、ケース84の上面に開口する開口部81に固定されている整流板82によって整流されて、囲み領域75内に放水される。
図9に示す例では、床部材71dの左右方向の略中央で壁体40(背面75b)寄りの位置に開口部(放水口)81を設けてあり、壁部材71a,71bが壁体40と連接するように清水領域形成装置1を壁体40に付けたときに、開口部(放水口)81から壁体40に沿って清水が放水されるよう構成してある。
なお、壁体40の左右方向に間隔を空けて複数の放水部80を設置することができる。
図8、図9に示した清水領域形成装置1の囲い部70は、開放面である背面側が壁体40に付けられることで周囲の4面及び底面が閉塞され上面だけが開放面となる溜り部を形成するから、放水部80が放水する清水によって囲い部70内の濁水を清水に置き換えて清水を溜めることができる。
例えば、囲い部70内の濁水よりも温度の低い(比重の重い)清水を放水部80によって囲い部70内に放水することで、囲い部70内の濁水を追い出して清水を溜めることができる。
濁水よりも温度の低い清水を放水部80によって囲い部70内に放水させるには、水中ポンプ88が、囲い部70よりも水深の深い場所(標高の低い場所)から水を吸い込むようにする方法がある。
大型の清水領域形成装置1を、ダム堤体などの水中の壁体40の前に設置するには、クレーンで清水領域形成装置1を壁体40の前の水中に吊り下げる方法や、クレーンで清水領域形成装置1を水中にまで降ろし、壁体40に設けたアンカーに固定する方法などを用いることができる。
そして、図8に示したように、壁体40の作業領域を囲むように、清水領域形成装置1を壁体40に付け、囲い部70内に清水領域を形成させてから、潜水士50が囲い部70内に入って壁体40の補修・改修作業を行うようにする。
大型の清水領域形成装置1の場合も、囲い部70内に清水領域が形成されることで、囲い部70内で作業する潜水士50の視界が確保され、潜水士50による壁体40の補修・改修作業を効率良く行わせることができる。
また、大型の清水領域形成装置1においても、壁体40に清水領域形成装置1を付けたときの囲い部70と壁体40との隙間を埋めるために、弾性を有する枠部材を備えるようにし、この枠部材を介して清水領域形成装置1が壁体40に接触する構成とすることができる。
図11は、枠部材を備えた大型の清水領域形成装置1の一例を示す。
図11において、枠部材90は、壁部材71a,71bそれぞれの背面75b側(壁体40側)の端縁に沿って上下方向に延びる縦部90a,90bと、床部材71dの背面75b側(壁体40側)の端縁に沿って左右方向に延びる横部90cとが一体となってU字状に形成される。
枠部材90は、壁部材71a,71b及び床部材71dよりも背面75b側に突出し、清水領域形成装置1の背面を水中の壁体40に押し付けるようにすると、枠部材90が壁体40に突き当たり、壁体40の凹凸に応じて枠部材90が弾性変形して、側壁部材71a,71b及び床部材71dと壁体40との隙間を埋める。
従って、清水領域形成装置1を付ける壁体40に凹凸があっても、壁部材71a,71b及び床部材71dと壁体40との接触面における隙間を十分に小さくでき、隙間を介して濁水が内部に入ったり逆に隙間を介して清水が外部に漏れ出すことを抑制でき、壁体40の凹凸によって清水領域の形成性能が低下することを抑制できる。
なお、枠部材90は、小型の清水領域形成装置1に設けられる枠部材60と同様に、ゴムなどの弾性材料で形成することができ、ポリ塩化ビニルなどの樹脂材料やゴムなどで形成される可撓性を有する袋体に水などの液体やジェル体を入れて形成することができる(図7参照)。
また、潜水士が内部に入って水中作業を行う大型の清水領域形成装置1では、クレーンによって清水領域形成装置1を水中の壁体40前に吊り下げるようにした場合に、清水領域形成装置1を壁体40に押し付ける力が不十分となって、枠部材90を壁体40の凹凸に沿って十分に弾性変形させることができず、隙間が残ってしまう可能性がある。
このような押し付け力不足の対策として、壁体40が勾配をもつ場合には、側壁部材71a,71b及び床部材71dと枠部材90との間に押し付け力を発生する重量枠91を挟む構成とすることができる。
重量枠91は、枠部材90(袋体の内容物)よりも比重が大きい金属などの材料で、枠部材90の形に沿うU字型に形成される。
つまり、重量枠91は、枠部材90の上下方向に延びる部分90a,90bに沿って設けられる縦部91a,91bと、枠部材90の左右方向に延びる部分90cに沿って設けられる横部91cとが一体となってU字状に形成される。
そして、壁体40が勾配θをもつ場合、図12に示すように、重量枠91の重力質量の分力として清水領域形成装置1を壁体40に押し付ける力が発生し、重量枠91を備えない場合に比べて清水領域形成装置1を壁体40に押し付ける力が増し、枠部材90を壁体40の凹凸に沿って十分に弾性変形させることができるようになる。
これにより、壁体40の凹凸部分で清水領域形成装置1と壁体40との間に隙間が生じることを抑制でき、隙間を介した濁水又は清水の漏洩を小さくして、清水領域の形成性能を改善できる。
なお、図1−図3に示した小型の清水領域形成装置1においても上記の重量枠を備えるようにすることで、同様の作用効果を奏することができる。
また、清水領域形成装置1において、枠部材60、90を、図7に例示したような袋体と袋体に充填される水とで構成する場合、水中作業が終了して清水領域形成装置1を水上に揚重するときに、袋体から水を抜いて空気に置換することで袋体が浮力を発生するようにして、揚重の負荷を軽減することができる。
また、袋体から水を抜いた状態で陸上での移送を行わせ、清水領域形成装置1を水中に降ろすときに袋体に水を入れるようにすれば、陸上での移送作業の負荷を軽減できる。
また、濁水よりも温度の低い清水を貯留するタンクを設け、当該タンクの清水を放水部80が囲い部70内に放水する構成とすることができる。
また、図9又は図11に示した大型の清水領域形成装置1において放水部を備えない構成とし、開放面である上面から溜り部内に清水を放水させるためのホースを差し入れて付近の濁水よりも低温でかつ透明度の高い清水を溜り部内に放水したり、開放面である上面から溜り部内に凝集剤を投入して不純物粒子を凝集沈殿させたりして、溜り部内に清水を溜めることができる。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば種々の変形態様を採り得ることは自明である。
上記実施形態において、清水領域形成装置1は、壁体40に連接する壁部材として、壁体40の左右方向に対向する一対の壁部材31a,31bを備えるが、左右方向の壁を左右にいずれか一方のみとし、清水の流れがコアンダ効果によって壁部材と壁体とが接触する角部に寄せされるように構成することができる。
また、図1−図3の清水領域形成装置1は、図1(A)の上下方向を天地方向として使用する形態に限定されず、例えば、清水の流れ方向が略水平方向になるように設置して、清水領域を形成させることができる。
また、壁体40の左右方向に対向する一対の壁体とこの一対の壁体で挟まれる囲み領域内に放水する放水部とを備える清水領域形成ユニットを、壁体40の左右方向に複数並べて清水領域形成装置1を構成することができる。
また、壁体40の左右方向に対向する一対の壁部材31a,31bは、放水部2から放水される清水の流れ方向の下流側ほど、相互の間隔が広がるように設けることができる。
また、放水部2を構成するフィルタ16を、配管内に設け、フィルタの軸方向の一方端を濁水の入口とし他方端を清水の出口とすることができる。
また、ケース10内にフィルタ16を設ける構成において、配管14がケース10の側壁を貫通する構成とすることができる。
なお、出願当初の請求項は以下の通りであった。
請求項1:
水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置であって、
前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、前記壁体と連接して前記放水部から放水される清水の流れを囲む壁部材とを備えた、清水領域形成装置。
請求項2:
清水の流れをコアンダ効果によって前記壁体と前記壁部材とで囲まれた領域に寄せる、請求項1記載の清水領域形成装置。
請求項3:
前記放水部は、水中ポンプと、前記水中ポンプから送られる水をろ過するフィルタと、前記フィルタの下流側に配置した整流板とを含む、請求項1又は2記載の清水領域形成装置。
請求項4:
前記フィルタは上面が開放面であるケース内に配置され、前記フィルタと前記ケースの外に配置される前記水中ポンプの吐出口とが前記ケースを貫通する配管で連通され、前記整流板は前記ケースの前記開放面に固定され、前記壁部材は前記ケースの上側に立設される、請求項3記載の清水領域形成装置。
請求項5:
前記壁部材は、弾性を有する枠部材を介して前記壁体に付けられる、請求項1から4のいずれか1つに記載の清水領域形成装置。
請求項6:
前記壁体は勾配をもち、
前記枠部材を前記壁体に押し付ける分力を発生する重量枠を備えた、請求項5記載の清水領域形成装置。
請求項7:
水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法であって、
壁部材の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記壁部材で囲みを形成し、
前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を放水して前記囲み内に清水領域を形成する、
清水領域形成方法。
1…清水領域形成装置、2…放水部、10…ケース、16…フィルタ、17…水中ポンプ、20…整流板、30…囲い部、31a,31b…壁部材、32…囲み領域、40…壁体(ダム堤体)

Claims (9)

  1. 水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法であって、
    前記清水領域形成装置は、
    前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、
    互いに間隔を空けて対向し、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、
    前記壁部材に設けられた取手部と、
    を備え、
    前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれ、
    前記清水領域形成方法は、
    前記一対の壁部材の各々の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、
    前記放水部から放水される清水の流れがコアンダ効果によって前記壁体及び前記一対の壁部材の各々に引き寄せられるように、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、
    を含む、
    清水領域形成方法。
  2. 前記放水部は、水中ポンプと、前記水中ポンプから送られる水をろ過するフィルタと、前記フィルタの下流側に配置した整流板とを含む、請求項1に記載の清水領域形成方法
  3. 前記フィルタは上面が開放面であるケース内に配置され、前記フィルタと前記ケースの外に配置される前記水中ポンプの吐出口とが前記ケースを貫通する配管で連通され、前記整流板は前記ケースの前記開放面に固定され、前記一対の壁部材は前記ケースの上側に立設されて前記ケースの前記開放面の上方領域を挟んで互いに対向する、請求項2に記載の清水領域形成方法
  4. 前記一対の壁部材は、弾性を有する枠部材を介して前記壁体に付けられる、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の清水領域形成方法
  5. 前記壁体は勾配をもち、
    前記枠部材を前記壁体に押し付ける分力を発生する重量枠を備え、
    前記重量枠は前記枠部材よりも比重が大きい材料で形成された、請求項4に記載の清水領域形成方法
  6. 水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法であって、
    前記清水領域形成装置は、清水領域形成ユニットを前記壁体の左右方向に複数並べて構成され、
    前記清水領域形成ユニットは、
    前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、
    前記放水部の上方領域を挟んで左右方向に対向して配置され、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、
    を備え、
    前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれ、
    前記清水領域形成方法は、
    前記一対の壁部材の各々の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、
    前記放水部から放水される清水の流れがコアンダ効果によって前記壁体及び前記一対の壁部材の各々に引き寄せられるように、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、
    を含む、
    清水領域形成方法。
  7. 水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法であって、
    前記清水領域形成装置は、
    前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、
    互いに間隔を空けて対向し、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、
    を備え、
    前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれ、
    前記一対の壁部材は、弾性を有する枠部材を介して前記壁体に付けられ、
    前記枠部材は、前記一対の壁部材の前記壁体側の端縁に沿って延びる一対の縦部と、前記一対の縦部の各々の前記放水部側の端部同士を連結するように延びる横部とが一体となってU字状に形成され、
    前記枠部材は、可撓性を有するU字状の袋体と、前記袋体に入れられた流動体とにより構成され、
    前記清水領域形成方法は、
    前記一対の壁部材の各々の端縁を前記枠部材を介して前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、
    前記放水部から放水される清水の流れがコアンダ効果によって前記壁体及び前記一対の壁部材の各々に引き寄せられるように、前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、
    を含む、
    清水領域形成方法。
  8. 前記流動体は液体又はジェル体である、請求項7に記載の清水領域形成方法
  9. 水中の壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成装置を用いて前記壁体の前面に清水領域を形成する清水領域形成方法であって、
    前記清水領域形成装置は、
    前記壁体に沿って清水を放水する放水部と、
    互いに間隔を空けて対向し、各々が前記壁体と連接して、前記放水部から放水される清水の流れを囲む一対の壁部材と、
    を備え、
    前記放水部から放水される清水の流れが前記壁体と前記一対の壁部材とによって3方から囲まれ、
    前記清水領域形成方法は、
    前記一対の壁部材の各々の端縁を前記壁体に付けて前記壁体及び前記一対の壁部材で囲みを形成すること、及び、
    前記壁体に沿うように前記囲み内に清水を前記放水部から放水して前記囲み内に清水領域を形成すること、
    を含み、
    前記清水領域形成方法は、
    可撓性を有しかつ浮力の微調整が可能な袋に清水を入れること、
    この清水が入れられた前記袋を、前記壁体に付けられた前記清水領域形成装置の近傍に沈めること、及び、
    前記袋に設けられた孔からポンプによって前記囲み内に清水を放水するように前記放水部を構成すること、
    を更に含む、
    清水領域形成方法。
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