JP2013202457A - 濾過制御装置に対する操作方法、濾過制御装置による制御方法及び濾過制御装置 - Google Patents

濾過制御装置に対する操作方法、濾過制御装置による制御方法及び濾過制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】濾過材の破損を防ぎながら一定の濾過効率を維持した濾過を行う。
【解決手段】吸入ポンプ52および吐出ポンプ57の吸入圧力と吐出圧力との差が大きいほど濾過部内の汚濁水の流速が大きくなるので濾過効率は上がるが、あまりに大きいと、濾過壁533aおよび濾過室532bの濾過材が水圧に耐え切れずに破損するおそれがある。そこで、これらの吸入ポンプ52および吐出ポンプ57の吸入圧力と吐出圧力との差を一定以上に保つように、吐出ポンプ57の出力を段階的に高くする制御を行うことで、濾過部53の破損を防ぎながら一定の濾過効率を維持した濾過を行うようにする。
【選択図】図2

Description

本発明は、海洋、湖沼、河川、水路等において汚濁した水を濾過するための濾過制御方法及び濾過制御装置に関する。
海洋、湖沼、河川、水路等において浚渫や掘削などの作業を行うとき、その作業領域周辺の環境に配慮し、作業中に発生する汚濁の拡散を防止するよう求められることがある。このような要求に応えるため、例えば特許文献1〜4には、汚濁の拡散防止や水質の浄化に関する提案がなされている。
特開2009−95803号公報 特開平10−76285号公報 特開平7−229162号公報 特開2010−31606号公報
汚濁の除去には一般に、フィルタなどの濾過材が用いられる。単位時間当たりの汚濁の除去量(つまり濾過効率)を保持するためには、この濾過材にかかる水圧を大きくすればよい。しかし、濾過材に対する水圧が大きくなりすぎると、濾過材が破損するおそれがある。
そこで、本発明は、濾過材の破損を防ぎながら一定の濾過効率を維持した濾過を行うことが可能な濾過制御装置に対する操作方法、濾過制御装置による制御方法及び濾過制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、吸入ポンプによって吸入口から吸入された汚濁水を、濾過材を含む濾過部を通過させてから吐出ポンプによって吐出口から吐出する濾過装置を制御する濾過制御装置に対する操作方法であって、前記濾過部において前記吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力から、前記濾過部において前記吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力を減算した値が、予め決められた正の値以上となるように、前記吐出ポンプの出力を段階的に高くする操作を行うステップを有することを特徴とする濾過制御装置の操作方法を提供する。
上記方法において、前記濾過装置の制御開始時には、前記吐出ポンプによる吐出を開始せずに、前記吸入ポンプによる吸入を開始させる操作を行うステップを備えてもよい。
また、本発明は、吸入ポンプによって吸入口から吸入された汚濁水を、濾過材を含む濾過部を通過させてから吐出ポンプによって吐出口から吐出する濾過装置を制御する濾過制御装置による制御方法であって、前記濾過部において前記吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力と、前記濾過部において前記吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力とを取得するステップと、前記吐出圧力から前記吸入圧力を減算した値が予め決められた正の値以上となるように、前記吐出ポンプの出力を段階的に高くするステップとを備えることを特徴とする、濾過制御装置による制御方法を提供する。
また、本発明は、吸入口から吸入した汚濁水を、濾過材を含む濾過部を通過させてから吐出口より吐出する濾過装置を制御する濾過制御装置であって、前記濾過部において前記吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力と、前記濾過部において前記吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力とを取得する取得手段と、前記吐出圧力から前記吸入圧力を減算した値が、予め決められた正の値以上となるように、前記吐出ポンプの出力を段階的に高くする出力制御手段とを備えることを特徴とする濾過制御装置を提供する。
本発明によれば、濾過材の破損を防ぎながら一定の濾過効率を維持した濾過を行うことができる。
本実施形態に係る濾過システムの概要を示す図である。 濾過装置の斜視図である。 濾過部を図2のA−A方向に切断したときの断面図である。 本実施形態の動作を示すフローチャートである。 濾過制御装置の制御の一例を示す図である。 汚濁水の拡散防止効果を説明する図である。
図1は、本実施形態に係る濾過システム1の概要を示す図である。濾過システム1は、海洋、湖沼、河川、水路等の水中で浚渫や土砂投入などの各種作業を行う場所に設置される。濾過システム1は、矩形の枠10と、矩形の枠10の各辺に上端が固定されてその枠10から鉛直方向に吊り下げられるシート状のカーテン20と、各々のカーテン20に対し鉛直方向に延伸する方向に取り付けられたカーテン昇降ワイヤ30と、各々のカーテン20の下端に取り付けられた錘40と、カーテン20に囲まれた領域内に設けられる濾過装置50と、濾過装置50に通信線60を介して接続された濾過制御装置70とを備えている。
枠10は、その内部に空間ないし発泡材が設けられており、水面Sに浮かぶ浮力体として機能するとともに、水面S近くの汚濁物の枠10外への拡散を防止する。カーテンは、水中の汚濁物がカーテンに囲まれた領域の外に拡散するのを防止する。カーテン昇降ワイヤ30の上端は、図示せぬ作業船に搭載されたウインチなどの駆動機構に接続されている。カーテン昇降ワイヤ30は、このウインチによって巻き上げられたり下げられたりする。錘40は、例えば金属製のチェーンであり、カーテン20の下端に取り付けられている。この錘40は、カーテン20を鉛直方向に引っ張る役割を果たす。水中での作業は、この錘40が水底に着いた状態で行う場合と、この錘40が水底に着かない状態で行う場合とがある。
カーテン20に囲まれた領域は、水中での作業が行われる領域であり、以下、作業領域という。濾過装置50は、この作業領域の下方にある汚濁水を吸入し、これを濾過して汚濁物を取り除いてから、濾過した水を作業領域の上方からこの作業領域へと吐出する。濾過制御装置70は、作業船に搭載されたコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)のほか、インバータなどで構成するポンプ制御装置を含む制御部71と、ハードディスクなどの記憶部72と、通信I/Fなどの通信部73と、液晶ディスプレイ装置などの表示部74と、スイッチ、ダイヤルおよびキーボードなどの操作部75とを備えている。この濾過制御装置70は、作業船上で濾過作業を管理する作業員によって操作され、濾過装置50の動作を制御する。なお、図1では、お互いに向かい合った濾過装置50を2台図示しているが、濾過装置50の台数や向きは図1の例に限らない。
図2は、濾過装置50の斜視図である。図2(a)は、錘40が水底に着かない状態で作業を行う場合の濾過装置50aの構造を表しており、図2(b)は、錘40が水底に着いた状態で作業を行う場合の濾過装置50の構造を表している。図2(b)に示す濾過装置50は、水平方向に延びる1本の吸入管51と、吸入管51に接続された1つの吸入ポンプ52と、箱状の濾過部53と、吸入ポンプ52と濾過部53とを接続する1本の接続管54と、鉛直方向に延びる2本の中央管55と、各々の中央管55と濾過部53とを接続する2本の接続管56と、中央管55にそれぞれ接続された2つの吐出ポンプ57と、吐出ポンプ57にそれぞれ接続され鉛直方向に延びる2本の吐出立ち上がり管58と、吐出立ち上がり管58の上端に接続されて水平方向に延びる1本の吐出管59とを備える。なお、濾過部53の形状はボックス型に限らず、例えば管構造であってもよい。
吸入管51には、吸入口としての複数の穴51aが設けられている。吸入ポンプ52によってこの穴から吸入管51内部へと、矢印a方向に汚濁水が吸入される。濾過部53は、吸入した汚濁水を濾過して汚濁物を取り除く。吐出管59には、吐出口としての複数の穴59aが設けられており、濾過された水は吐出ポンプ57によってこれらの穴59aから矢印b方向へと吐出される。吸入ポンプ52及び吐出ポンプ57の近傍には、例えば透過光や散乱光或いは密度に基づいて汚濁水の濁り具合を計測する濁度計(図示略)が内蔵されている。
図2(b)に示す濾過装置50と図2(a)に示す濾過装置50aとの違いは、吸入管51の鉛直方向の位置である。図2(a)に示す濾過装置50aは、吸入ポンプ52と吸入管51との間に、L字状に曲がり、鉛直方向上方に延びる中央管52aを備えている。従って、図2(a)に示す濾過装置50aの吸入管51は、図2(b)に示す濾過装置50の吸入管51よりも高い位置にある。
次に図3(a)は、濾過部53を図2のA−A方向に切断したときの断面図である。濾過部53は、吸入管51から吸入された汚濁水を貯留する第一隔室531と、逆止弁532aがある空間を介して第一隔室531に通じている第二隔室532と、濾過室532bを介して第二隔室532に通じている第三隔室533と、濾過壁533aを介して第三隔室533に通じている第四隔室534とを備える。逆止弁532aは、第二隔室532から第一隔室531への汚濁水の逆流を防止する。第三隔室533は、第一隔室531や第二隔室532より大きな容積である。このため、第三隔室533においては、第一隔室531や第二隔室532と比較して汚濁水の流速が小さくなる。これにより、水よりも密度が大きい汚濁物が第三隔室533に沈殿したり、濾過壁533aに付着した土粒子などが剥がれて第三隔室533に蓄積しやすくなっている。
第二隔室532と第三隔室533の間に設けられている濾過室532bは、比較的径が大きく真水よりも密度の小さい木片などの浮遊物を除去する一方、作業や工事の期間中に水底から舞い上がることが予想される、比較的径が小さい土粒子などは通過させる。濾過室532bの水流方向に垂直な断面の面積は、第三隔室533と第四隔室534の間に設けられている濾過壁533aの水流方向に垂直な断面の面積よりも小さい。また、このため、濾過室532bを通過する汚濁水の流速は、濾過壁533aを通過する汚濁水の流速よりも大きい。濾過室532bに充填される濾過材としては、5〜100mm程度の目の粗いグラスウールや金ブラシような形状のもの、或いは、ふるいのような形状のものがある。これらのなかから、作業予定地に対する各種の調査から判明した浮遊物の大きさや種類によって、最適なものを選択すればよい。また、濾過材の設置方法としては、グラスウールや金ブラシのようなものはある程度の長さにわたって濾過室532bを埋める方法や、ふるいのようなものを使用する場合は複数層の積層構造とする方法が考えられる。また、作業予定地の環境によっては、幾種類かの目の粗さの濾過材を組み合わせてもよい。
濾過壁533aは、濾過室532bを通過した土粒子を除去する。濾過壁533aは、土粒子の除去に適した織布もしくは不織布でできたフィルタなどであり、その目の粗さは濾過室532bの濾過材よりも小さい。土粒子を取り除く効率を向上させるため、濾過壁533aの面積はできるだけ大きくとることが望ましい。この濾過材についても、作業予定地の環境によって最適なものを選択したり、また、幾種類かの濾過性能のものを組み合わせてもよい。
濾過室532bおよび濾過壁533aの濾過材の種類、寸法、数或いは形状は、作業予定地での試験運転にて最終的に決定することが望ましい。また、それぞれの隔室の寸法や形状は、作業予定地の環境や、吸入ポンプ52および吐出ポンプ57の性能に応じて、沈降効果や濾過効果が最適になるようなものを計算によって或いは試験によって決定すればよい。
第二隔室532の鉛直方向中央よりも下には、振動レベルセンサ532cが設けられている。振動レベルセンサ532cは、第二隔室532を通過せずにこの隔室に留まった汚濁物のうち、真水よりも密度の大きいものが堆積している状況を検出するために用いられる。具体的には、振動レベルセンサ532cは、第二隔室532の下方に向かって延びる棒状の振動ロッドを振動させており、この振動ロッドが第二隔室532内に堆積した汚濁物に触れることで、その振動が小さくなると、検出信号を出力する。このとき、第二隔室532に汚濁物が許容範囲の限界まで堆積していると判断される。同様の目的で、第三隔室533の鉛直方向中央よりも下に振動レベルセンサ533bが設けられている。さらに、第二隔室532及び第三隔室533のそれぞれの下端には、堆積物を排出するためのブラインドフランジ535が設けられている。
第一隔室531には圧力計531aが設けられている。この圧力計531aは、汚濁水の吸入が正常に行われているかどうかを判断するために利用される。具体的には、圧力計531aによって検出された圧力が予め決められた上下限の範囲内に収まる場合には、汚濁水の吸入が正常に行われていると判断し、検出された圧力が予め決められた上下限の範囲外となった場合には、汚濁水の吸入が正常に行われていないと判断する。予め決められた上下限の範囲とは、「基準圧P+差分圧α±変動圧β」である。ここで、P、α、βは、予め決められた正の値をとる定数であり、P>α>βである。
また、第四隔室534にも圧力計534aが設けられている。この圧力計534aは、水の吐出が正常に行われているかどうかを判断するために利用される。具体的には、圧力計534aによって検出された圧力が予め決められた上下限の範囲内に収まる場合には、水の吐出が正常に行われていると判断し、検出された圧力が予め決められた上下限の範囲外となった場合には、水の吐出が正常に行われていないと判断する。予め決められた上下限の範囲とは、「基準圧P±変動圧β」である。このように、基準圧Pは、第一隔室531における圧力および第四隔室534における圧力の基準であり、これら両者に共通の圧力である。差分圧αは、第一隔室531における圧力と第四隔室534における圧力との差分として予め決められた圧力である。変動圧βは、第一隔室531における圧力と第四隔室534における圧力とがそれぞれ変動し得る幅を決める値である。
第一隔室531における圧力の正常範囲が、「P+α±β」であるのに対し、第四隔室534における圧力の正常範囲は、「P±β」である。つまり、第四隔室534における圧力の正常範囲のほうが、第一隔室531における圧力の正常範囲よりも、少なくともα(定数)だけ小さくなっている。このαが大きいほど、水の吸入と吐出とをそれぞれ行うための水圧の差が大きくなるので、濾過部53内の汚濁水の流速も大きくなる。つまり、濾過部53を通過する単位時間当たりの汚濁水の水量が大きくなり、その濾過効率は上がる。しかし、このαがあまりに大きいと、濾過壁533aおよび濾過室532bの濾過材が水圧に耐え切れずに破損するおそれがある。このため、αの大きさは、第一隔室531および第二隔室532より大きな容積をとる第三隔室533において、現場での事前にサンプルを採取して求める汚濁物が沈降する流速を考慮したり、土粒子を含む単位体積あたりの汚濁水の密度などに応じて、適切な値に決めることが望ましい。例えばこの密度が大きいほどαも大きいが、濾過壁533aおよび濾過室532bの濾過材の強度によってαに上限が課されることになる。
吸入ポンプ52、吐出ポンプ57、圧力計531a,534a、振動レベルセンサ532c,533b及び濁度計は、いずれも通信線60によって濾過制御装置70に接続されている。濾過制御装置70の制御部71は、圧力計531a,534a、振動レベルセンサ532c,533b及び濁度計からの検出値を通信部73によって取得して表示部74に表示するとともに、操作部75が受け付けた作業者の操作に従って、通信部73から指示を送って吸入ポンプ52及び吐出ポンプ57の動作を制御する。吸入ポンプ52及び吐出ポンプ57の単位時間当たりの回転数などの出力状況は逐次、制御部71により表示部74に表示される。吸入ポンプ52、吐出ポンプ57、圧力計531a,534a、振動レベルセンサ532c,533b及び濁度計は、作業船から延びる電力線(図示略)にも接続されており、この電力線を介して作業船から供給される電力で動作する。
図3(b)は濾過部の別の構成である濾過部53aを示す断面図である。この構成では濾過室532bが無い。木材などの浮遊物が少ない場所では、このような構成の濾過部53aを用いてもよい。
図4は、本実施形態における動作手順を示すフローチャートである。図5は、濾過制御装置70の制御の一例を示す図であり、吸入ポンプ52の単位時間当たり回転数(単位時間当たり回転数を、以下では単に回転数という)と時間との関係、吐出ポンプ57の回転数と時間との関係、第一隔室531に設けられた圧力計531aの検出値と第四隔室534に設けられた圧力計534aの検出値と時間との関係を、それぞれグラフで模式的に示したものである。図4において、吸入圧力を実線で示し、吐出圧力を点線で示している。なお、図4では図示していないが、第一隔室531に設けられた圧力計531aは圧力(つまり濾過部53において吸入側に近い位置の圧力であり、吸入圧力という)を逐次検出しているし、第四隔室534に設けられた圧力計534aも圧力(つまり濾過部53において吐出側に近い位置の圧力であり、吐出圧力という)を逐次検出している。そして、濾過制御装置70の制御部71は上記の吐出圧力と吸入圧力とを通信部73によって取得して、逐次、記憶部72に記憶している。
濾過作業開始時において、作業員は、濾過制御装置70の操作部75を操作して、まず吸入ポンプ52のみを起動して動作を開始させる(ステップS1)。吸入ポンプ52の動作が安定すると、作業者は回転数を所定の値に調整する(ステップS2)。吸入ポンプ52のみが動作していて吐出ポンプ57が動作していなくても、汚濁水は吸入管51から吸入され濾過部53を通過して吐出管59から排出される。このとき、濾過室532b及び濾過壁533aにはまったく汚濁物が付着していないと仮定すると、濾過室532b及び濾過壁533aの水流に対する抵抗はほぼゼロである。よって、第一隔室531に設けられた圧力計531aの検出値(つまり吸入圧力)と、第四隔室534に設けられた圧力計534aの検出値(つまり吐出圧力)とはほぼ等しい。汚濁水の吸入に伴い、濾過室532b及び濾過壁533a(特に目が細かい濾過壁533a)に汚濁物が付着し、これらがいわゆる目詰まりの状態に近づくことで、濾過部53内の汚濁水の流れが滞ってくる。そうすると、吸入圧力が徐々に大きくなるとともに、吐出圧力が徐々に小さくなる。これが図5の時間0からT1までの期間における現象である。これにより、吸入圧力及び吐出圧力の差が徐々に大きくなる。
作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力を参照し、吸入圧力から吐出圧力を減算した値(つまり吸入圧力及び吐出圧力の差)がαに一致する、という所定の条件を満たしたと判断すると(ステップS3;YES)、操作部75を操作して、吐出ポンプ57を起動する(ステップS4)。そして、作業者は、吐出ポンプ57の回転数を所定の値R1にまで大きくする(ステップS5)。吐出ポンプ57が起動されてその回転数が大きくなると、濾過部53からの水の吐出が促進されるから、吐出圧力が瞬間的に又は短期間で大きくなるとともに、吸入圧力が瞬間的に又は短期間で小さくなる。これが図5の時間T1のときの現象である。
このとき(図5のT1)、吸入圧力と吐出圧力との差が極端に小さくなった場合(具体的には予め決められた値未満となった場合)には(ステップS6;NO)、濾過部53内の汚濁水の流れに対する抵抗がなくなったということだから、作業者は、濾過壁533aが破損するなどの異常が発生したと判断して、濾過装置50の動作を停止し、必要な点検作業や交換作業を行う(ステップS7)。
吸入圧力と吐出圧力との差が予め決められた値以上に保たれている場合には(ステップS6;YES)、作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力の監視を続ける。この後、汚濁水の濾過が進むに伴って濾過室532b及び濾過壁533a(特に目が細かい濾過壁533a)に汚濁物が付着し、再び目詰まりの状態に近づくと、吸入圧力が徐々に大きくなるとともに吐出圧力が徐々に小さくなってくる。これが図5の時間T1からT2までの期間における現象である。作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力を参照し、吸入圧力から吐出圧力を減算した値がαに一致すると(ステップS8;YES)、操作部75を操作して、吐出ポンプ57の回転数を、R1よりもさらに大きい値R2にする(ステップS9)。吐出ポンプ57の回転数が急激に大きくなると、濾過部53からの水の吐出が促進されるから、吐出圧力が瞬間的に又は短期間で大きくなるとともに、吸入圧力が瞬間的に又は短期間で小さくなる。これが図5の時間T2のときの現象である。
このとき(図5のT2)、吸入圧力と吐出圧力との差が極端に小さくなった場合(具体的には予め決められた値未満となった場合)には(ステップS10;NO)、作業者は、濾過壁533aが破損するなどの異常が発生したと判断して、濾過装置50の動作を停止し、必要な点検作業や交換作業を行う(ステップS7)。
一方、吸入圧力と吐出圧力との差が予め決められた値以上に保たれている場合には(ステップS10;YES)、作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力の監視を続ける。この後、汚濁水の濾過が進むに伴って濾過室532b及び濾過壁533a(特に目が細かい濾過壁533a)に汚濁物が付着し、再び目詰まりの状態に近づくと、吸入圧力が徐々に大きくなるとともに吐出圧力が徐々に小さくなってくる。これが図5の時間T2からT3までの期間における現象である。作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力を参照し、吸入圧力から吐出圧力を減算した値がαに一致すると(ステップS11;YES)、操作部75を操作して、吐出ポンプ57の回転数を、R2よりもさらに大きい値R3にする(ステップS12)。このR3は吐出ポンプ57の実用回転数としての許容範囲の上限である。従って、このステップS12において、吐出ポンプ57の回転数は許容範囲の上限に至ることになる。このとき、吐出圧力が瞬間的に又は短期間で大きくなるとともに、吸入圧力が瞬間的に又は短期間で小さくなる。これが図5の時間T3のときの現象である。
このとき(図5のT3)、吸入圧力と吐出圧力との差が極端に小さくなった場合(具体的には予め決められた値未満となった場合)には(ステップS13;NO)、作業者は、濾過壁533aが破損するなどの異常が発生したと判断して、濾過制御装置を操作して濾過装置50の動作を停止させ、必要な点検作業や交換作業を行う(ステップS7)。
一方、吸入圧力と吐出圧力との差が予め決められた値以上に保たれている場合には(ステップS13;YES)、作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力の監視を続ける。この後、汚濁水の濾過が進むに伴って濾過室532b及び濾過壁533a(特に目が細かい濾過壁533a)に汚濁物が付着し、再び目詰まりの状態に近づくと、吸入圧力が徐々に大きくなるとともに吐出圧力が徐々に小さくなってくる。これが図5の時間T3からT4までの期間における現象である。作業者は、表示部74に表示される吸入圧力及び吐出圧力を参照し、吸入圧力から吐出圧力を減算した値がαに一致すると(ステップS14;YES)、操作部75を操作して、濾過装置50の運転を停止する。これが図5の時間T4のときの現象である。そして、作業者は、濾過装置50を取り外して作業船上もしくは陸に引き上げ、ブラインドフランジ535を開放して、濾過装置50内に堆積した汚濁物を取り除く(ステップS15)。汚濁物が濾過材533aまたは濾過材532bに付着している場合は、接続管56に逆洗用ポンプを取り付け、このポンプを駆動させて吐出管59から濾過部543内に洗浄水を吸入させることで、濾過材533aまたは濾過材532aからの汚濁物の剥離を促して、濾過部53から汚濁物を排出させる(ステップS16)。
以上のように、作業者は、吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力から、吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力を減算した値が、予め決められた正の値であるα以上となるように、吐出ポンプ57の出力を段階的に高くする操作を行う。
作業者は、上記処理と並行して、表示部74に表示される振動レベルセンサ532c,533bの検出値を監視する。この検出値が予め決められた閾値を超えると、作業者は、濾過装置50を作業船に引き上げ、濾過装置50から濾過部53を取り外す。そして、作業者は、濾過部53において吐出管59につながる開口部から負圧をかけて濾過部53内の水を排出する。濾過部53から排出される水がおおよそなくなったら、作業者は、濾過部53下部のブラインドフランジを解放して堆積物をとりだす。このとき、堆積物はその含水率および容積が小さくなっているため、運搬が容易である。
図6は、汚濁水の拡散防止効果を説明する図である。図6(a)に示すように、吐出管59から吐出される水は、おおよそ水平方向の層状の水流Dとなる。この水流層Dが、その層の上下にある水の上下方向の移動を阻止する、いわゆる流体カーテンの役割を果たす。これにより、水深が深い領域から浅い領域へと汚濁水が拡散することが防止させる。また、吐出管59の水深を変えることで、任意の水深に上記の水流層を形成することができる。
図6(b)、(c)は、汚濁水の拡散防止効果の別の例を説明する図であり、濾過システム1を上方から見たときの平面図を示している。図6(b)に示すように、吐出管59の水の吐出方向bを調整して枠10内に矢印Cのような渦を発生させると、汚濁を渦内に滞留させた状態を保ち、枠10外への汚濁拡散を防ぐことが可能となる。さらに図6(c)に示すように、隣り合う濾過装置50どうしの間にガイドプレートgを設置すれば、さらに渦の水勢がつき、汚濁拡散効果が高くなる。このガイドプレートgは、濾過装置50の設置台数が少ないときは、枠10の角部だけではなく、辺部に設置してもよい。また、その形状(弧長、弦長、曲径など)は枠10の寸法によって決定すればよい。
以上のように、実施形態では、枠10内において汚濁した水を吸入し、それを濾過して再び枠10内に戻すことで、汚濁を低減させたり汚濁除去を促進させることができる。特に、吸入ポンプ52および吐出ポンプ57の吸入圧力と吐出圧力との差を一定以上に保つように吐出ポンプ57の出力を段階的に高くするという出力制御を行うことで、濾過部53の破損を防ぎながら一定の濾過効率を維持した濾過を行うことが可能となる。また、濾過部53には、逆流防止手段である逆止弁532aを設置してあるので、濾過装置50の運転停止時や引き上げ時に濾過部53内の堆積物が外に流出することがない。また、濾過部53には振動レベルセンサ532c,533bを設置してあるので、濾過部53内の堆積物が所定の量になったら回収することができる。濾過部53内の堆積物を排出する際は、吐出管59への開口部に負圧をかけて濾過部53内の水分を吸引することで、その内部の堆積物の含水率および容積を小さくし、その運搬を容易にすることができる。また、濾過された水を枠10内に戻すときに水流層Dを水面S付近もしくは水面Sから水底までの任意の深度に形成すれば、水底から舞い上がる汚濁を上方に拡散することが抑制される。また、濾過された水を枠10内に戻すときに、その水流によって枠10内に渦のような閉じた水流域を形成することで、汚濁拡散を抑制することも可能となる。
なお、実施形態では、作業者が濾過制御装置70の表示部74に表示された内容を監視しながら、操作部75を操作して濾過装置50を制御していたが、濾過制御装置70が作業者の判断や操作の一部又は全部を自ら自動的に行ってもよい。つまり、図4のステップS1〜S6、及び、ステップS8〜S14のうち一部又は全部の手順を記述したプログラムを記憶部72が記憶しており、制御部71は、このプログラムの手順に従って濾過装置50に対して各種指示を行ったり、濾過装置50から各種の応答を受け取ったりしながら、濾過装置50を制御する。この場合、濾過制御装置70は、濾過部53において吐出口である穴59aに近い位置の圧力として検出された吐出圧力と、濾過部53において吸入口である穴51aに近い位置の圧力として検出された吐出圧力とを取得する取得手段(制御部71及び通信部73)と、吸入圧力から吐出圧力を減算した値が、予め決められた正の値であるα以上となるように、吐出ポンプ57の出力を段階的に高くする出力制御手段(制御部71及び通信部73)として機能する。
1 濾過システム、10 枠、20 カーテン、30 カーテン昇降ワイヤ、40 錘、50 濾過装置、60 通信線、70濾過制御装置、71 制御部、72 記憶部、73 通信部、74 表示部、75 操作部、531 第一隔室、532 第二隔室、533 第三隔室、534 第四隔室、531a,534a 圧力計、532c,533b 振動レベルセンサ、532b 濾過室、533a 濾過壁

Claims (4)

  1. 吸入ポンプによって吸入口から吸入された汚濁水を、濾過材を含む濾過部を通過させてから吐出ポンプによって吐出口から吐出する濾過装置を制御する濾過制御装置に対する操作方法であって、
    前記濾過部において前記吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力から、前記濾過部において前記吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力を減算した値が、予め決められた正の値以上となるように、前記吐出ポンプの出力を段階的に高くする操作を行うステップを有することを特徴とする濾過制御装置の操作方法。
  2. 前記濾過装置の制御開始時には、前記吐出ポンプによる吐出を開始せずに、前記吸入ポンプによる吸入を開始させる操作を行うステップ
    を備えることを特徴とする請求項1記載の濾過制御装置の操作方法。
  3. 吸入ポンプによって吸入口から吸入された汚濁水を、濾過材を含む濾過部を通過させてから吐出ポンプによって吐出口から吐出する濾過装置を制御する濾過制御装置による制御方法であって、
    前記濾過部において前記吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力と、前記濾過部において前記吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力とを取得するステップと、
    前記吸入圧力から前記吐出圧力を減算した値が予め決められた正の値以上となるように、前記吐出ポンプの出力を段階的に高くするステップと
    を備えることを特徴とする、濾過制御装置による制御方法。
  4. 吸入口から吸入した汚濁水を、濾過材を含む濾過部を通過させてから吐出口より吐出する濾過装置を制御する濾過制御装置であって、
    前記濾過部において前記吐出口に近い位置の圧力として検出された吐出圧力と、前記濾過部において前記吸入口に近い位置の圧力として検出された吸入圧力とを取得する取得手段と、
    前記吸入圧力から前記吐出圧力を減算した値が、予め決められた正の値以上となるように、前記吐出ポンプの出力を段階的に高くする出力制御手段と
    を備えることを特徴とする濾過制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015096254A (ja) * 2013-11-15 2015-05-21 株式会社ディスコ 純水精製装置
CN114210117A (zh) * 2021-12-21 2022-03-22 陈丽群 一种废水处理用防堵塞智能排污泵

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