<第1実施例>
図1を参照して、この発明の一実施例であるマルチ画面表示システム10は、マスター側表示装置12およびスレーブ側表示装置14を含む。スレーブ側表示装置14は、通信ケーブル16を通してマスター側表示装置12から表示用のデータ(表示データ)を受け取り、その表示データに従って、マスター側表示装置12と同じオブジェクト(またはコンテンツ)を大きなサイズで(拡大して)マルチ画面表示器18上に表示する。
マスター側表示装置12は、たとえばタブレット端末、電子黒板などである。マスター側表示装置12は、マスター側表示器として機能する、1つの画面で形成されているタッチ画面表示器20を含み、このタッチ画面表示器20はたとえば液晶表示器である。タッチ画面表示器20の画素数(解像度)は、縦(A)×横(B)である。つまり、タッチ画面表示器20のアスペクト比はB/Aである。
なお、タッチ画面表示器20の表示面はタッチパネルとして形成されているので、スレーブ側表示装置14で表示すべきオブジェクトをタッチ画面表示器20上での手書きで入力することができる。
スレーブ側表示装置14は、スレーブ側表示器として機能する、複数の表示画面が隣接して配置されたマルチ画面表示器18を含む。マルチ画面表示器18は、実施例では、縦(M)×横(N)個の表示画面22(11)‐22(MN)の集合で構成され、全体として1つの大画面パネルを形成する。マルチ画面表示器18それぞれの表示画面22(11)、…、22(MN)は、一例として液晶表示器である。
実施例においては、表示画面22(11)、…、22(MN)はすべて同じ縦および横サイズでありかつ同じ縦および横の画素数の表示画面であるので、マルチ画面表示器18の全体の画素数(解像度)は、1つの表示画面22の画素数を縦(c)×横(d)とした場合、縦C(=c×M)×横D(=d×N)で求められる。したがって、マルチ画面表示器18のアスペクト比はD/Cである。
なお、以下の記述においてマルチ画面表示器18を構成する各表示画面22(11)、…、22(MN)を区別する必要がないときは、単に表示画面22と呼ぶ。
各表示画面22はそれぞれ、上下の水平方向の横枠部24hおよび左右の垂直方向の縦枠部24vを有する。したがって、マルチ画面表示器18上においては、それらの横枠部24hおよび縦枠部24vの部分では、オブジェクトの表示がされない。
マスター側表示装置12は、スレーブ側表示装置14で表示するオブジェクトないしコンテンツのデータ(表示データ)を、たとえばRS232C(商品名)のような通信ケーブル16を介して、スレーブ側表示装置14に送る。また、マスター側表示装置12は、通信ケーブル16を介して、マルチ画面表示器18の構成情報、たとえば表示画面22の数すなわち画面数M×Nおよび画素数(解像度)C×Dをスレーブ側表示装置14から受け取る。
図2はマスター側表示装置12の電気的構成の一例を示すブロック図である。この図2において、タッチ画面表示器20が上述のようにマスター側表示器であり、CPU26などを含む他の部分がマスター側制御装置(マスター側制御手段)を構成する。
マスター側表示装置12は、全体的な制御を行うCPU26を含む。このCPU26は、コンピュータを構成し、バス28を通じて、記憶装置30および外部記憶装置32などの記憶装置に対してアクセスし、それらにデータを書き込みあるいはそれらからデータを読み出す。記憶装置30はこのマスター側表示装置12に内蔵されているもので、いずれも図示しないが、たとえばCPU26のワーク領域およびバッファ領域として用いられるRAM、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムをインストールするためのHDDなどを含む。
外部記憶装置32はたとえばUSBメモリのようにコネクタやケーブルなどの接続手段(図示せず)によって、マスター側表示装置12に着脱自在に装着される。外部記憶装置32が装着されると、CPU26はバス28を介してこの外部記憶装置32にアクセスできる。外部記憶装置32は必要に応じて装着されるものである。
たとえば、このマルチ画面表示システム10を利用するユーザが講演用のコンテンツを外部記憶装置32に予め記録しておき、講演時に持参した外部記憶装置32をマスター側表示装置12に装着することによって、大画面表示装置すなわちスレーブ側表示装置14上にそのコンテンツを表示して講演を進行させることができる。
表示制御回路34は、たとえばGPU(Graphics Processing Unit)、VRAM等を有し、CPU26の制御に従って、たとえば外部記憶装置32から読み出されたコンテンツデータに従って、タッチ画面表示器20にオブジェクトを表示する。たとえば、CPU26が外部記憶装置32からコンテンツデータを読み出し、そのコンテンツデータが記憶装置30に一時的に記憶され、その後記憶装置30から読み出されて表示制御回路34に与えられる。表示制御回路34では、コンテンツデータに従ってGPUがVRAM上で表示データを生成し、それをタッチ画面表示器20に与える。このようにして、マスター側表示装置12では、タッチ画面表示器20において、オブジェクトが表示される。
ただし、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20で表示する画像は、2次元画像でも3次元画像でもよい。
また、コンテンツデータは、外部記憶装置32にではなく、内蔵している記憶装置30に予め設定されていてもよい。
タッチ画面表示器20は、表示器表面にタッチパネルの機能を備えた表示器である。タッチパネル制御回路36は、そのタッチパネルに必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネルのタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU26に出力する。
ただし、タッチパネルとしては、実施例では静電容量方式を用いるが、その他電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。
通信回路38は、通信ケーブル16を用いて、スレーブ側表示装置14と通信し、そのスレーブ側表示装置14に対して、表示データを供給し、あるいは、スレーブ側表示装置14から、必要なデータ(上述の構成情報など)を受け取る。
ただし、通信回路38は、実施例のような有線通信でなく、無線通信によってスレーブ側表示装置14と通信するように変更されてもよい。
図3はスレーブ側表示装置14の電気的構成の一例を示すブロック図である。この図3において、マルチ画面表示器18が上述のようにスレーブ側表示器であり、CPU40などを含む他の部分がスレーブ側制御装置(スレーブ側制御手段)を構成する。
スレーブ側表示装置14は、マルチ画面表示器18での表示や通信などの全体的な制御を行うCPU40を含み、このCPU40はバス42を通じて、RAM44およびHDD46などの記憶装置に対してアクセスし、それらにデータを書き込みあるいはそれらからデータを読み出す。RAM44は、CPU40のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。HDD46は、スレーブ側表示装置14の主記憶装置であり、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムがインストールされ得る。
表示制御回路48は、たとえばVRAMを有し、通信回路50を介してマルチ画面表示器18から受け取る表示データに応じて、CPU40の制御に従って、マルチ画面表示器18上でオブジェクトを表示する。
たとえば、マルチ画面表示器18から送られてきた表示データはRAM44に一時的に記憶され、CPU40の指示に従ってその表示データがRAM44から読み出されて表示制御回路48に与えられる。表示制御回路48では、その表示データをVRAM上で、マルチ画面表示器18を構成する個々の表示画面のための個々の画面データに展開し、個々の画面データを対応の表示画面22(11)、…、22(MN)(図1)に与える。したがって、マスター側表示装置12から送られる表示データに従った大画面表示がこのマルチ画面表示器18上で行われ得る。つまり、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20と同じオブジェクトが、拡大されてマルチ画面表示器18で表示される。
ただし、スレーブ側表示装置14におけるこのような表示制御は単なる一例であって、限定されるものではない。たとえば、マルチ画面表示器18からは画像生成データを表示データとして送信し、他方、表示制御回路48にGPU(Graphics Processing Unit)を設けておき、CPU26の指示の下、GPUが、RAM44から読み出された画像生成データを用いて上述の画面データを生成するようにしてもよい。
なお、通信回路50は、マスター側表示装置12の通信回路38に応じて、有線通信回路または無線通信回路とされる。
図4は図2に示すマスター側表示装置12の記憶装置30に含まれるRAM(図示せず)のメモリマップの一例を示す図解図である。図4に示すように、マスター側表示装置12のRAMは、プログラム記憶領域52およびデータ記憶領域54を含む。プログラム記憶領域52には、表示制御プログラムが記憶される。表示制御プログラムは、通信プログラム52a、計算プログラム52b、境界線表示プログラム52c等を含む。
通信プログラム52aは、上述の通信回路38を用いて、スレーブ側表示装置14の通信回路50と通信するためのプログラムである。計算プログラム52bは、後述するように、マルチ画面表示器18の各表示画面22の横枠部24hおよび縦枠部24vに相当する境界線(図6:横境界線64hおよび縦境界線64v(後述))のタッチ画面表示器20上での表示位置を計算するためのプログラムである。
境界線表示プログラム52cは、上述の計算プログラム52bで計算したタッチ画面表示器20上の位置に、たとえば図5に示すような横境界線64hおよび縦境界線64vを表示するためのプログラムである。
データ記憶領域54には、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20の構成情報のデータ(画素数、縦×横A×B)54a、スレーブ側表示装置14から教えられたマルチ画面表示器18のマルチ画面表示器データ54bが記憶される。
データ記憶領域54に記憶される境界線位置データ54cは、計算プログラム52bで計算した、横境界線64hおよび縦境界線64v(図5)を表示する位置を示すデータである。
データ記憶領域54には接続フラグ54dが形成されるが、この接続フラグ54dは、マスター側表示装置12とスレーブ側表示装置14とがたとえば通信ケーブル16を介して接続状態にあるかどうかを示すフラグであ。この接続フラグ52dが「1」のとき両者は接続状態にあり、「0」のとき接続状態にはない。
表示制御プログラムを示す図6のフロー図を参照して、最初のステップS1では、CPU26は、通信回路38および50によって、通信ケーブル16を通してスレーブ側表示装置14の構成情報(マルチ画面表示器18のデータ)を取得する。このようにして取得されたマルチ画面表示器18のデータは、RAMに記憶される(54b)る。他方、タッチ画面表示器20のデータもデータ記憶領域54にタッチ画面表示データ54aとして記憶される。
そして、次のステップS3において、タッチ画面表示器20のアスペクト比B/Aがマルチ画面表示器18のアスペクト比D/Cと等しいかどうか(B/A=D/C?)、判断する。
ステップS3で“YES”と判断したとき、すなわちB/A=D/Cのとき、次のステップS5で、CPU26は数1および数2に従って、マルチ画面表示器18の各表示画面22の横枠部24hおよび縦枠部24vに相当する、タッチ画面表示器20上での図5に示す横境界線64hの位置および縦境界線64vの位置を計算する。
[数1]
(A/M)×m (m=1,2,…,M-1)
[数2]
(B/N)×n (n=1,2,…,N-1)
つまり、数1で示すように、マルチ画面表示器18における縦方向(垂直方向)における表示画面22の数Mでタッチ画面表示器20の縦方向(垂直方向)における画素数Aを割ると、表示画面22の横枠部24h(図1)に対応する横境界線64h(図5)をタッチ画面表示器20上で表示すべき位置が求まる。
同様にして、数2で示すように、マルチ画面表示器18における横方向(水平方向)における表示画面22の数Nでタッチ画面表示器20の横方向(水平方向)における画素数Bを割ると、表示画面22の縦枠部24v(図1)に対応する縦境界線64v(図5)タッチ画面表示器20上で表示すべき位置が求まる。
ステップS3で“YES”と判断したとき、すなわちタッチ画面表示器20のアスペクト比B/Aがマルチ画面表示器18のアスペクト比D/Cと等しいときには、図7に示すように、マルチ画面表示器18の横枠部24hおよび縦枠部24vにそのまま対応して横境界線64hおよび縦境界線64vの位置を求めればよい。
一例として、図7に示すように、表示画面22の横方向画素数が「1920」で、縦方向画素数が「1080」だとすると、マルチ画面表示器18の横方向総画素数Dは5760(=1920×3)となり、縦方向総画素数は3240(=1080×3)である。タッチ画面表示器20の横方向画素数が「1920」であり、縦方向画素数が「1080」であるとき、マルチ画面表示器18およびタッチ画面表示器20のアスペクト比は同じ(16:9)となる。このとき、マルチ画面表示器18の各表示画面22の横枠部24hは、1920(=5760÷3)画素毎に配置されるのであるから、タッチ画面表示器20においても、横境界線64hは、数1に従えば、640(=1920÷3)画素毎の位置に表示すればよいことが分かる。
タッチ画面表示器20に表示すべき縦境界線64v(図7)についても、同様に、マルチ画面表示器18の縦方向総画素数が3240(=1080×3)であり、マルチ画面表示器18の各表示画面22の縦枠部24vは、1080(=3240÷3)画素毎に配置されるのであるから、タッチ画面表示器20においても、縦境界線64vは、数1に従えば、360(=1080÷3)画素毎の位置に表示すればよい。
ステップS7ではこのようにしてステップS5すなわち計算手段においてタッチ画面表示器20の構成情報、たとえば縦横の画素数およびマルチ画面表示器18の構成情報、たとえば表示画面22の数(縦横)、解像度(縦横画素数)などに基づいて計算した横境界線64hおよび縦境界線64vのそれぞれの表示位置を記憶装置30の境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS3で“NO”を判断したとき、すなわち、タッチ画面表示器20とマルチ画面表示器18のアスペクト比が同じでないとき、ステップS9で、タッチ画面表示器20のアスペクト比の方がマルチ画面表示器18のアスペクト比より大きいかどうか判断する(B/A>D/C?)。このステップS9で“YES”のとき、すなわちB/A>D/Cのとき、ステップS11に進む。
タッチ画面表示器20のアスペクト比の方がマルチ画面表示器18のアスペクト比より大きいということは、図8に示すように。スレーブ側表示装置すなわちマルチ画面表示器18においては上下に黒帯66が表示されるということである(レターボックス形式という)。
この場合、ステップS11で、マルチ画面表示器18でレターボックス表示されるときの、タッチ画面表示器20において境界線64hおよび64vを表示すべき位置を、数3および数4で計算する。
[数3]
(BC/DM)×m−(BC−AD)/2D (m=1,2,…,M-1)
[数4]
(B/N)×n (n=1,2,…,N-1)
数3では、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の縦方向(垂直方向)の総画素数Cをマルチ画面表示器18の縦方向の表示画面22の数Mで割って表示画面22毎の横枠部24hの位置を求め、その結果に対して、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20の横方向の画素数Bとマルチ画面表示器18における横方向(水平方向)における総画素数Dとの比率を掛ける。つまり、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20およびスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の表示領域のアスペクト比は変わらないので、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20は縦横ともにD/B倍されてスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18に表示される。
そして、数3の後半(第2項)では、マルチ画面表示器18の上下に表示される黒帯66(図9)に対応するタッチ画面表示器20上での黒帯70の幅を計算する。つまり、タッチ画面表示器20の横方向画素数Bとマルチ画面表示器18の縦方向総画素数Cとの積BCから、タッチ画面表示器20の縦方向画素数Aとマルチ画面表示器18の横方向総画素数Dとの積ADを引いた結果を、マルチ画面表示器18の横方向総画素数Dの2倍(2D)で割ることによって、タッチ画面表示器20上での黒帯70の幅が算出できる。そして、数3の前半で求めた結果からその黒帯70の幅を差し引く(減算する)ことによって、タッチ画面表示器20で表示される上側の黒帯70を画面の外(上方)へ移動させ、それに応じて数3の前半で計算した横境界線64hの位置をその幅だけ上方へ移動する。
つまり、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の黒帯70は上端と下端で2等分されるとして、黒帯の領域は(C−AD/B)÷2で計算される。マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20はスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18のB/D倍されたものとなるので、黒帯70に相当する範囲を計算すると(BC−AD)/2Dとなる。したがって、数3の第2項は黒帯部分を差し引くということになる。
図8の例では、マルチ画面表示器18の縦方向総画素数Cは2880(=960×3)であり、横方向総画素数Dは3840(=1280×3)である。一方、タッチ画面表示器20の縦方向画素数Aは「1080」、横方向画素数Bは「1920」である。
したがって、C÷Mは960(=2880÷3)となり、B/Dは0.5(=1920÷3840)となり、(BC/DM)は480(=960×0.5)である。また、BC−ADは(5529600−4147200)であり、それを2Dで割ると、「180」となる。したがって、タッチ画面表示器20上では、一番上の横境界線64hは、そのタッチ画面表示器20の上端から300(=480−180)画素の位置に表示すべきと計算される。2番目および3番目の横境界線64hは、それぞれ480画素の間隔を維持して表示されるように計算される。
図8において、マルチ画面表示器18の上下の黒帯66の幅が(C−AD/B)÷2として示され、それを除く表示領域の縦方向がAD/Bとして示されている。他方、タッチ画面表示器20では、上下の黒帯70を含む縦方向がCB/Dとして示され、黒帯70の幅が(BC−AD)/2Dとして示されている。
なお、数4に従ってマルチ画面表示器18における横方向(水平方向)における表示画面22の数Nでタッチ画面表示器20の横方向(水平方向)における画素数Bを割ると、図8のようにタッチ画面表示器20のアスペクト比の方がマルチ画面表示器18のアスペクト比より大きい(B/A>D/C)ときの表示画面22の縦枠部24v(図1)に対応する縦境界線64v(図6)をタッチ画面表示器20上で表示すべき位置が求まる。このときの縦境界線64vの位置は、タッチ画面表示器20のアスペクト比とマルチ画面表示器18のアスペクト比とが等しいとき(B/A=D/C)と同じである。なぜなら、B/A>D/Cのときには、スレーブ側表示装置すなわちマルチ画面表示器18では、図8に示すように、マルチ画面表示器18の上下に黒帯66が表示されるものの、マルチ画面表示器18の左右方向は図7のようなB/A=D/Cのときと変化がないからである。
ステップS13ではこのようにしてステップS11すなわち計算手段においてタッチ画面表示器20の構成情報、たとえば縦横の画素数およびマルチ画面表示器18の構成情報、たとえば表示画面22の数(縦横)、解像度(縦横画素数)などに基づいて計算した横境界線64hおよび縦境界線64vのそれぞれの表示位置を記憶装置30の境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS9で“NO”を判断したときは、タッチ画面表示器20のアスペクト比の方がマルチ画面表示器18のアスペクト比より小さい(B/A<D/C)ことを意味し、このときには、図9に示すように、スレーブ側表示装置すなわちマルチ画面表示器18においては左右に黒帯が表示されるということである(ピラーボックスまたはサイドパネル形式という。)。
この場合、ステップS15に進み、スレーブ側表示装置であるマルチ画面表示器18でピラーボックス形式で表示されるときの、マスター側表示装置12におけるタッチ画面表示器20において境界線64hおよび64vを表示すべき位置を、数5および数6で計算する。
[数5]
(A/M)×m (m=1,2,…,M-1)
[数6]
(AD/CN)×n−(AD−BC)/2C (n=1,2,…,N-1)
数5に従って、マルチ画面表示器18における縦方向(垂直方向)における表示画面22の数Mでタッチ画面表示器20の縦方向(垂直方向)における画素数Aを割ると、図9のようにタッチ画面表示器20のアスペクト比の方がマルチ画面表示器18のアスペクト比より小さい(B/A<D/C)ときの表示画面22の横枠部24h(図1)に対応する横境界線64h(図6)をタッチ画面表示器20上で表示すべき位置が求まる。このときの横境界線64hの位置は、タッチ画面表示器20のアスペクト比とマルチ画面表示器18のアスペクト比とが等しいとき(B/A=D/C)と同じである。なぜなら、B/A<D/Cのときには、スレーブ側表示装置すなわちマルチ画面表示器18では、図9に示すように、マルチ画面表示器18の左右に黒帯70が表示されるものの、マルチ画面表示器18の上下方向は図8のようなB/A=D/Cのときと変化がないからである。
これに対して、数6に従って、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の横方向(水平方向)の総画素数Dをマルチ画面表示器18の横方向の表示画面22の数Nで割って表示画面22毎の縦枠部24vの位置を求め、その結果に対して、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20の縦方向の画素数Aとマルチ画面表示器18における縦方向(垂直方向)における総画素数Cとの比率を掛ける。つまり、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20およびスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の表示領域のアスペクト比は変わらないので、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20は縦横ともにC/A倍されてスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18に表示される。
そして、数6の後半(第2項)では、マルチ画面表示器18の左右に表示される黒帯70(図10)に対応するタッチ画面表示器20上での黒帯72の幅を計算する。つまり、タッチ画面表示器20の縦方向画素数Aとマルチ画面表示器18の横方向総画素数Dとの積ADから、タッチ画面表示器20の横方向画素数Bとマルチ画面表示器18の縦方向総画素数Cとの積BCを引いた結果を、マルチ画面表示器18の縦方向総画素数Cの2倍(2C)で割ることによって、タッチ画面表示器20上での黒帯72の幅が算出できる。そして、その黒帯72の幅を差し引く(減算する)ことによって、タッチ画面表示器20で表示すべき左側の黒帯72を画面の左方へ移動させ、それに応じて上で計算した縦境界線64vの位置をその幅だけ左方へ移動する。
つまり、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の黒帯72は右端と左端で2等分されるとして、黒帯の領域は(D-BC/A)÷2で計算される。マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20はスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18のC/A倍されたものとなるので、黒帯74に相当する範囲を計算すると(AD−BC)/2Cとなる。したがって、数6の第2項は黒帯部分を差し引くということになる。
図9の例では、マルチ画面表示器18の横方向総画素数Dは5760(=1920×3)であり、縦方向総画素数Cは3240(=1080×3)である。一方、タッチ画面表示器20の縦方向画素数Aは「960」、横方向画素数Bは「1280」である。
したがって、D÷Nは1920(=5760÷3)となり、A/Cは0.3(≒960÷3240)となり、(AD/CN)は576(=1920×0.3)である。また、AD−BCは(=5529600−4147200)であり、それを2Cで割ると、「213」(小数点以下切捨て)となる。したがって、タッチ画面表示器20上では、一番左の縦境界線64vは、そのタッチ画面表示器20の左端から363(=576−213)画素の位置に表示すべきと計算される。2番目および3番目の縦境界線64vは、それぞれ576画素の間隔を維持して表示されるように計算される。
図9において、マルチ画面表示器18の左右の黒帯72の幅が(D−BC/A)÷2として示され、それを除く表示領域のたて横方向がBC/Aとして示されている。他方、タッチ画面表示器20では、左右の黒帯74を含む横方向がAD/Cとして示され、黒帯74の幅が(AD−BC)/2Cとして示されているる
ステップS17ではこのようにしてステップS15すなわち計算手段においてタッチ画面表示器20の構成情報、たとえば縦横の画素数およびマルチ画面表示器18の構成情報、たとえば表示画面22の数(縦横)、解像度(縦横画素数)などに基づいて計算した横境界線64hおよび縦境界線64vのそれぞれの表示位置を記憶装置30の境界線位置データ54cとして記憶する。
そして、ステップS7またはS13またはS17の後、ステップS19において、マスター側表示装置12のCPU26は、図7または図8または図9に示すように、タッチ画面表示器20上に、横境界線64hおよび縦境界線64vをそれぞれ表示する。このとき、境界線64hおよび64vの太さ(ピクセル数)は、基本的には枠部24hおよび24vの太さ(幅:後述の図12(A)に示すt,b,l,r)に応じて決めるが、この実施例では、1ピクセルとしている。
この第1実施例に従ってマスター側表示装置12のタッチ画面表示器20上に、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の各表示画面22の枠部24hおよび24vに相当する境界線64hおよび64vを表示することによって、図10および図11を参照して説明する効果が期待できる。
詳しく説明すると、第1実施例が適用されていない場合の図1に示すマルチ画面表示システム10においては、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20には何も表示されていないので、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18で表示すべきオブジェクトを、タッチ画面表示器20の任意の位置に配置することになる。この場合、マルチ画面表示器18では、たとえば図10に示すように、各表示画面の枠部24hおよび/または24vにオブジェクトの一部が重なって、見えにくくなる。
これに対して、第1実施例を適用した図1のマルチ画面表示システム10では、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20上には、図11(A)に示すように、横境界線64hおよび縦境界線64vが表示されているため、マスター側表示装置12のユーザは、たとえば位置P1やP2等において、境界線64hおよび64vの位置を避けるように、オブジェクトを配置(設定)することができる。
そのため、このマスター側表示装置12のタッチ画面表示器20と同じオブジェクトをかくだいして表示するスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18上においても、図11(B)において位置P1やP2に示すように、枠部24hおよび24vに重ならないように表示することができる。
このような利点は、タッチ画面表示器20上に手書きによってオブジェクトを表示させる場合にも極めて効果的である。オブジェクトを手書き入力によって表示しようとする場合、第1実施例のようにタッチ画面表示器20上に境界線64hおよび64vが表示されていると、ユーザはその境界線の位置を避けて手書きオブジェクトを入力することができるので、その手書きオブジェクトをそのまま拡大して表示するスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18においても、手書きオブジェクトは枠部24hおよび24vを避けて表示することができる。
<第2実施例>
第2実施例では、スレーブ側表示装置14において枠補正をする場合に、マスター側表示装置12のタッチ画面表示器20で表示する境界線64hおよび64vの太さを計算する。
図12(A)を参照して、枠補正しない場合、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18において、各表示画面22の枠部24hおよび24vの部分で表示オブジェクトが分断されるため、枠部において表示が間延びして見にくくなっている。
なお、図12(A)の実施例では、上側の横枠部24hの幅がtピクセルであり、下側の横枠部24hの幅がbピクセルであり、右側の横枠部24vの幅がrピクセルであり、左側の横枠部24vの幅がlピクセルである。そして、これらの枠部の幅だけ、表示が間延びする。
これに対して、図12(B)に示すような枠補正が設定されている場合、あたかも枠部24hおよび24vにオブジェクトが表示されているように、枠部分においても表示を間延びさせずに表示する。たとえば、上側の横枠部24hに相当する位置でtピクセルにもオブジェクトを表示する。つまり、オブジェクトの表示を上側横枠部においてtピクセル分圧縮する。同様に、下側の横枠部24hにおいてbピクセル分、右側の横枠部24vにおいてrピクセル分、左側の横枠部24vにおいてlピクセル分、それぞれ表示が圧縮される。これが第2実施例で適用される「枠補正」である。
スレーブ側表示装置14においてこのような枠補正が設定されているかどうかは、たとえば通信ケーブル16を介してマスター側表示装置12が受信してマルチ画面表示器データ54bとして記憶する構成情報の中に、たとえばフラグ(枠補正フラグ)の形式で含まれていて、それを図6のステップS1で読み取ったとき、図4に示すRAMのデータ記憶領域54に記憶される。
したがって、第2実施例においては、マスター側表示装置12のCPU26(図2)は、図13のステップS31において、その枠補正フラグをチェックして、マルチ画面表示器18においてこのような枠補正が設定されているかどうかを判断する。なお、図13において、図6実施例と同じステップには、同じステップ番号が付けられている。
上で説明したように、ステップS5では、タッチ画面表示器20のアスペクト比とマルチ画面表示器18のアスペクト比が同じであるときの横境界線および縦境界線の表示位置を計算する。そして、そのステップS5に続くステップS31で枠補正が設定されていると判断したとき、CPU26は次のステップS33において、数7および数8で、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算する。
第1実施例では、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さは、たとえば1ピクセルであり、同じ太さであった。しかしながら、マルチ画面表示器18の側で上述のような枠補正をしている場合、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さは、枠部の太さを考慮して決められるべきであり、タッチ画面表示器20およびマルチ画面表示器18のアスペクト比が同じであるときには、数7および数8を採用する。
[数7]
(t+b)×(B/D)
[数8]
(l+r)×(A/C)
数7は、横境界線64hの太さを計算する。図12(A)で示した横枠部24hの太さtおよびbの和に、タッチ画面表示器20の横方向画素数Bとマルチ画面表示器18の横方向総画素数Dとの比率を掛けた値を、横境界線64hの太さとして計算する。つまり、横枠部の合計太さ(上側太さt+下側太さb)に画面サイズの縦方向の比率を掛けることによって、タッチ画面表示器20上で表示すべき横境界線64hの太さを決定する。
数8は、図12(A)で示した縦枠部24vの太さlおよびrの和に、タッチ画面表示器20の縦方向画素数Aとマルチ画面表示器18の縦方向総画素数Cとの比率を掛けた値を、縦境界線64vの太さとして計算する。つまり、縦枠部の合計太さ(左側太さl+右側太さr)に画面サイズの横方向の比率を掛けることによって、タッチ画面表示器20上で表示すべき縦境界線64vの太さを決定する。
たとえば、図12(A)における枠部の太さtおよびbが3ピクセル、lおよびrが5ピクセルだとすると、図7の場合の横境界線64hの太さは、(3+3)×1920/5760=2ピクセルとなる。同じ条件で計算すると、図7の縦境界線64vの太さは、(5+5)×1080/3240≒3ピクセル(四捨五入)となる。
そして、ステップS35では、ステップS5で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの表示位置とともに、ステップS33で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの太さのデータを、たとえば図4に示すデータ記憶領域54に境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS31で“NO”の場合には、第1実施例と同じように、ステップS5で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの表示位置をステップS11で境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS9では、タッチ画面表示器20のアスペクト比がマルチ画面表示器18のアスペクト比より大きいときの横境界線および縦境界線の表示位置を計算する。そして、そのステップS9に続くステップS37で枠補正が設定されているかどうか判断する。枠補正が設定されていると判断したとき、CPU26は次のステップS39において、数9および数10で、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算する。
[数9]
(t+b)×(A/C)
[数10]
(l+r)×(A/C)
タッチ画面表示器20のアスペクト比がマルチ画面表示器18のアスペクト比より大きいとき、図8に示すように、マルチ画面表示器18ではオブジェクトはレターボックス形式で表示されるので、タッチ画面表示器20においてはその上側の黒帯66を有効表示領域より上方に外すように、横境界線64hの位置を計算している。そこで、ステップS39では、タッチ画面表示器20の縦方向画素数Aとマルチ画面表示器18の縦方向総画素数Cの比率を共通に用いて、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算する。つまり、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18で横方向両端(左右端)に黒帯が表示される場合、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18とマスター側秘話装置14のタッチ画面表示器20の表示利用のアスペクト比が一定になるので、数9および数10において、ともにA/C倍され、タッチ画面表示器20の境界線64hおよび65vの位置が算出できるのである。
数9および数10に従って図8の具体例における横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算すると、(3+3)×1080/2880≒2ピクセル(四捨五入)および(5+5)×1080/2880≒4ピクセル(四捨五入)となる。
そして、ステップS41では、ステップS9で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの表示位置とともに、ステップS39で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの太さのデータを、たとえば図4に示すデータ記憶領域54に境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS37で“NO”の場合には、第1実施例と同じように、ステップS9で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの表示位置をステップS17で境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS15では、タッチ画面表示器20のアスペクト比がマルチ画面表示器18のアスペクト比より小さいときの横境界線および縦境界線の表示位置を計算する。そして、そのステップS15に続くステップS43で枠補正が設定されているかどうか判断する。枠補正が設定されていると判断したとき、CPU26は次のステップS39において、数9および数10で、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算する。
[数11]
(t+b)×(B/D)
[数12]
(l+r)×(B/D)
タッチ画面表示器20のアスペクト比がマルチ画面表示器18のアスペクト比より大きいとき、図9に示すように、マルチ画面表示器18ではオブジェクトはピローボックス形式で表示されるので、タッチ画面表示器20においてはその左側の黒帯70を有効表示領域より上方に外すように、縦境界線64vの位置を計算している。そこで、ステップS46では、タッチ画面表示器20の横方向画素数Bとマルチ画面表示器18の横方向総画素数Dの比率を共通に用いて、横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算する。つまり、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18で横方向両端(左右端)に黒帯が表示される場合、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18とマスター側秘話装置14のタッチ画面表示器20の表示利用のアスペクト比が一定になるので、数11および数12において、ともにB/D倍され、タッチ画面表示器20の境界線64hおよび65vの位置が算出できるのである。
数11および数12に従って図9の具体例における横境界線64hおよび縦境界線64vの太さを計算すると、(3+3)×1280/5760≒1ピクセル(四捨五入)および(5+5)×1280/5760≒2ピクセル(四捨五入)となる。
そして、ステップS47では、ステップS15で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの表示位置とともに、ステップS45で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの太さのデータを、たとえば図4に示すデータ記憶領域54に境界線位置データ54cとして記憶する。
ステップS43で“NO”の場合には、第1実施例と同じように、ステップS15で計算した横境界線64hおよび縦境界線64vの表示位置をステップS17で境界線位置データ54cとして記憶する。
そして、ステップS11、S17、S21、S35、S41またはS47に続いて、ステップS23において、対応するステップS11、S17、S21、S35、S41またはS47で記憶した境界線位置データ(太さデータを含む場合あり)に従って、タッチ画面表示器20において横境界線64hおよび縦境界線64vを表示する。
このように、第2実施例においては、スレーブ側表示装置14で図12に示すような「枠補正」を設定しているとき、その枠補正に合わせた太さの境界線をタッチ画面表示器20上で表示し、ユーザにその境界線を回避した表示オブジェクトの設定を促すことができる。
<第3実施例>
上述の第1実施例および第2実施例ではともに、マスター側表示装置12は、スレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の構成情報のデータを、無線通信または通信ケーブル16(図1)を用いる有線通信によって、取得した。しかしながら、有線にせよ無線にせよ、スレーブ側表示装置14の構成情報が通信によって取得できない場合も考えられる。たとえば、スレーブ側表示装置14が構成情報をマスター側表示装置12に送信できるように設定されていない場合などである。
この場合、マスター側表示装置12のCPU26は、図14に示すようなGUI58をタッチ画面表示器20に表示することによって、マルチ画面表示器18の構成情報、たとえば表示画面の数MN、表示画面の解像度cdなど手動的に入力させる。そのために、図示しないが、たとえば図4に示すマスター側表示装置の記憶装置30内のRAMには、GUI表示プログラムやGUI画像データが予め記憶される。
そのようなGUI表示プログラムは、マルチ画面表示器18の構成情報(画面数M×N、画素数(解像度)C×D)をスレーブ側表示装置14から受け取れない場合に、ユーザにそのような構成情報データ(マルチ画面表示器データ)を入力させるための、上述のGUI56を表示するためのプログラムである。
なお、図14に示すGUI56において、入力部58は、マルチ画面表示器18の画面数(大きさ)を縦×横、図1の実施例ではM×Nとして入力するための入力部であり、入力部60は、1つの表示画面22の解像度(画素数)を縦×横、図1の実施例ではc×dとして入力するための入力部である。
ただし、入力部62は、先に第2実施例で説明した枠補正がスレーブ側表示装置14で設定されているかどうかを入力するための入力部である。枠補正がスレーブ側表示装置14において設定されているとき入力部62にマークが入力される。
図1に示す実施例のマルチ画面表示システム10の第3実施例においては、マスター側表示装置12のCPU26は、最初のステップS01で、マスター側表示装置12がスレーブ側表示装置14に接続されているかどうか判断する。たとえば、記憶装置30内のRAMに設定されている接続フラグ54d(図4)を参照して、マスター側表示装置12がスレーブ側表示装置14と接続されているかどうか判断する。
マスター側表示装置12がスレーブ側表示装置14に接続されている場合には、第1実施例で説明したように、マスター側表示装置12は通信回路38および50によって通信ケーブル16を通してスレーブ側表示装置14の構成情報を取得できる(ステップS1)。
マスター側表示装置12がスレーブ側表示装置14に接続されていない場合には、通信によってスレーブ側表示装置14の構成情報のデータを取得することはできないので、CPU26は、ステップS02において、図14に示すGUI56をタッチ画面表示器20に表示する。
したがって、ユーザは、GUI56の各入力部58および60(必要な場合62にも)に必要な情報を入力する。実施例であれば、入力部58にN×Mを入力し、入力部60にc×dを入力する。したがって、マスター側表示装置12がスレーブ側表示装置14に接続されていない場合であっても、マスター側表示装置12はステップS1で、マルチ画面表示器18の構成情報のデータを取得することができる。
ステップS1以降については、図6または図13に従った動作が実行され得るので、ここでは繰り返しの説明はしない。
<第4実施例>
上述の第1‐第3実施例ではいずれも、タッチ画面表示器20上に境界線64hおよび64vを表示すべき位置(必要に応じて、太さも)は、マスター側表示装置12のCPU26が計算によって求めた。つまり、第1‐第3実施例では、計算手段(ステップS5、S9、S15)で計算した境界線表示位置が指示する位置に横境界線64hおよび縦境界線64vを表示した。
しかしながら、もし、そのとき使用するマスター側表示装置12のタッチ画面表示器20およびスレーブ側表示装置14のマルチ画面表示器18の仕様が既知のものの1つであるなら、境界線64hおよび64vを表示すべき位置(必要に応じて、太さも)は、予め設定しておいたテーブルから選択して設定することも可能である。
たとえば、図16に示すテーブル68においては、特定のタッチ画面表示器20に対してスレーブ側表示器として利用可能なマルチ画面表示器18(図1)の型式番号、実施例ではNo.1、No.2、No.3、No.4、…が左の列に示される。この型式は、構成がそれぞれ異なるマルチ画面表示器を特定する製品番号などである。
一例として、No.1は、たとえば図7に示すマルチ画面表示器18のような構成を持つマルチ画面表示器であり、No.2は、同じ図7に示すマルチ画面表示器18であるが枠補正の設定がされた構成を持つマルチ画面表示器であり、No.3は、たとえば図8に示すマルチ画面表示器18のような構成を持つマルチ画面表示器であり、No.4は、同じ図8に示すマルチ画面表示器18であるが枠補正の設定がされた構成を持つマルチ画面表示器であるとする。そして、マスター側表示器すなわちたちタッチ画面表示器20はたとえば図7のような構成の表示器を想定する。
この場合、右側の列の境界線位置データとして、No.1のマルチ画面表示器に対しては上記数1および数2で計算した表示位置64h1(1,2,…)および64v1(1,2,…)を設定すればよい。ただし、枠補正がないので、境界線の太さはたとえば1ピクセルとして設定しておく。No.2のマルチ画面表示器に対しては上記数1よび数2で計算した表示位置64h2(1,2,…)および64v2(1,2,…)と数7および数8で計算した境界線の太さを設定しておけばよい。No.3のマルチ画面表示器に対しては上記数3および数4で計算した表示位置64h3(1,2,…)および64v3(1,2,…)および1ピクセルの太さを設定する。No.4のマルチ画面表示器に対しては上記数3よび数4で計算した表示位置64h4(1,2,…)および64v4(1,2,…)と数9および数10で計算した境界線の太さを設定しておけばよい。
そして、このようなテーブル68をたとえば図4に示すRAMのデータ記憶領域54に記憶しておき、たとえば図14に示すようなGUIとしてタッチ画面表示器20に表示して、ユーザにどれかを選択させる。応じて、選択したスレーブ側表示器の型式番号が示す境界線位置データをテーブル68から読み出せば、そのとき選択したスレーブ側表示器に適合する位置および太さの横境界線および縦境界線をタッチ画面表示器20に表示させることができる。
さらに、マスター側表示装置12とスレーブ側表示装置14が常設されたものである場合には、そのようなマスター側表示装置12にはスレーブ側表示装置14の構成情報に応じた境界線64hおよび64vを固定的に表示するように設定しておけばよい。
第4実施例によれば、マスター側表示装置12において境界線64hおよび64vの表示位置をその都度計算しなくてもよい。そして、第1‐第3実施例では計算手段が表示位置指示手段を構成するのに対し、第4実施例では、RAMに予め記憶している位置データ(テーブル68)が表示位置指示手段として機能する。
なお、図1に示すマルチ画面表示システム10では、マスター側表示器とマスター側制御装置とを一体化した、たとえばタブレット端末や電子黒板などをマスター側表示装置12として利用した。しかしながら、たとえば図17に示すように、マスター側表示器とマスター側制御装置は別々に構成されてもよい。
図17の実施例のマルチ画面表示システム10において、マスター側制御装置としてコンピュータ12aが利用される。このコンピュータ12aは、たとえば図2においてタッチ画面表示器20を除きかつ必要に応じてキーボードやマウスなどの入力装置(図示せず)を設けた構成のコンピュータである。したがって、このコンピュータ12aは、上で説明したマスター側表示装置12のCPU26などと同様に動作し、表示データを通信ケーブル17を通してマスター側表示器すなわちタッチ画面表示器20に供給するとともに、同じ表示データを通信ケーブル16を介してスレーブ側表示装置14に供給する。したがって、この実施例においても、タッチ画面表示器20(マスター側表示器)とマルチ画面表示器18(スレーブ側表示器)が同じ表示データに基づいて同じオブジェクトを表示する。
図17の実施例では、マスター側表示器とマスター側制御装置が別々に構成されている点を除き、マスター側制御装置であるコンピュータ12aによって先に説明した第1ないし第4実施例と同様の動作を行う。したがって、ここでは繰り返しの説明は省略する。
なお、上述の実施例ではいずれも、マスター側表示器としてタッチ画面表示器20を用いた。しかしながら、マスター側表示器にタッチ画面機能が付与されていなくてもよい。必要な場合には、他の入力手段を設ければよい。
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、画面構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
さらに、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。