以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は、本実施形態における小型油圧ショベルの構造を表す、右前方から見た斜視図である。図3は、左前方から見た斜視図であり、図4は、左後方から見た斜視図である。但し、図2、図3、及び図4は、外装カバーを取外した状態を示す。以降、小型油圧ショベルが図1に示す状態にて、運転席に着座した運転者の前側(図1中右側)、後側(図1中左側)、左側(図1中紙面に向かって奥側)、右側(図1中紙面に向かって手前側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
本実施形態の小型油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体2と、上部旋回体2に連結された多間接型の作業装置3とを備えている。そして、左右の走行モータ(図示せず)の回転駆動により、下部走行体1が走行するようになっている。また、旋回モータ(図示せず)の回転駆動により、上部旋回体2が旋回するようになっている。
オフセット式の作業装置3は、上部旋回体2(詳細には、後述する旋回フレームのブームブラケット)に上下方向に回動可能に連結されたロアブーム4と、ロアブーム4に左右方向に回動可能に連結されたアッパブーム5と、アッパブーム5に左右方向に回動可能に連結されたステー6と、ステー6に上下方向に回動可能に連結されたアーム7と、アーム7に上下方向に回動可能に連結されたバケット8(作業具)とを備えている。ロアブーム4とステー6の間には連結ロッド9が連結されており、この連結ロッド9は、ロアブーム4、アッパブーム5、及びステー6と共に平行リンクを構成している。
そして、ブームシリンダ10の伸縮駆動により、ロアブーム4が上下方向に回動する。オフセットシリンダ11の伸縮駆動により、アッパブーム5が左右方向に回動して、ステー6が左右方向に平行移動する。アームシリンダ12の伸縮駆動により、アーム7が上下方向に回動する。バケットシリンダ13(作業具シリンダ)の伸縮駆動により、バケット8が上下方向に回動するようになっている。
また、本実施形態の小型油圧ショベルは、超小旋回型と呼ばれるものである。すなわち、上部旋回体2の後端(詳細には、後述するカウンタウエイトの後面)により規定される旋回半径(後端旋回半径)の仮想円が下部走行体1の車幅以内に収まるように構成されている。上部旋回体2は、前述した後端旋回半径の仮想円に収まるように、上方から見て前側を切り欠いた円形状に構成されている。さらに、作業装置3が最小旋回半径となる姿勢であるときに、作業装置3により規定される旋回半径(フロント最小旋回半径)の仮想円が下部走行体1の車幅以内に収まるように構成されている。
上部旋回体2は、基礎構造体をなす旋回フレーム14と、旋回フレーム14の後端部に配置され、円弧状の後面を有するカウンタウエイト(図示せず)と、旋回フレーム14の前方左側に配置されたキャノピタイプの運転室ユニット15と、運転室ユニット15以外の部分を覆う外装カバー(詳細は後述)とを備えている。
運転室ユニット15は、フロア部材16と、このフロア部材16の後部に設けられて運転者が着座する運転席17と、運転席17の右側及び上側を覆うキャノピ18とを備えている。また、旋回モータの駆動及びアームシリンダ12の駆動を指示する十字操作式の作業用操作装置19Aと、ブームシリンダ10の駆動及びバケットシリンダ13の駆動を指示する十字操作式の作業用操作装置19Bと、左右の走行モータの駆動をそれぞれ指示する走行用操作装置20A,20Bと、オフセットシリンダ11の駆動を指示するオフセット用操作装置(図示せず)などを備えている。
フロア部材16は、運転者の足場となる床板部21と、床板部21の後側から立上がる台座部22とを有している。台座部22は、床板部21の後部から立上がる前面板22aと、前面板22aの上部から後方に延在する上面板22bと、上面板22bの後部から立上がる背面板22cとを有している。運転席17は、台座部22の上面板22bに載置されている。
旋回フレーム14の後側(詳細には、カウンタウエイトの前側)且つ台座部22の上面板22bの下側にはエンジンルーム23が形成されている。エンジンルーム23にはエンジン24が横置き状態で搭載されている。エンジンルーム23におけるエンジン24の左側には、油圧ポンプ25が設けられている。この油圧ポンプは、エンジン24によって駆動されて油圧アクチュエータ(詳細には、上述した左右の走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ10、オフセットシリンダ11、アームシリンダ12、及びバケットシリンダ13)に供給する圧油(作動油)を生成するようになっている。
床板部21の下側(言い換えれば、油圧ポンプ25の前側)には、複数の方向切換弁からなるコントロールバルブユニット26が設けられている。各方向制御弁は、操作装置の操作に応じて駆動され、油圧ポンプ25から油圧アクチュエータへ供給する圧油の流れを制御するようになっている。
エンジン24の右側には、ラジエータやオイルクーラ等の熱交換器27が設けられている。旋回フレーム14の前方右側(言い換えれば、熱交換器27の前側であって運転室ユニット15の右側)には金属製の作動油タンク28が設けられている。また、旋回フレーム14の前方右側には、作動油タンク28の前側に隣接するように樹脂製の燃料タンク29が設けられている。作動油タンク28は、作動油を貯留し、燃料タンク29は、エンジン24の燃料を貯留する。
外装カバーは、左前カバー30、左後カバー(図示せず)、エンジンカバー(図示せず)、熱交換器カバー31、右前カバー32、タンクカバー33、及び仕切カバー34等で構成されている。仕切カバー34は、作動油タンク28及び燃料タンク29が位置するスペースの左側側面を仕切るものである。右前カバー32は、側面から前面に向かって円弧状をなしている。
エンジンカバーは、ステーを介し上下方向に移動可能に設けられており、エンジンカバーを開いた状態でエンジン24の点検等を可能としている。熱交換器カバー31は、ヒンジを介し左右方向に回動可能に設けられており、熱交換器カバー31を開いた状態で熱交換器27の点検等を可能としている。タンクカバー33は、ヒンジを介し上下方向に回動可能に設けられており、タンクカバー33を開いた状態で燃料タンク29の燃料補充等を可能としている。
ここで、本実施形態の小型油圧ショベルの特徴として、後述する上側固定ブラケット35、横バンド36、及び下側固定ブラケット37を用いて、燃料タンク29を固定するように構成されている。図5〜図21を用いて説明する。
図5は、本実施形態における旋回フレーム14、作動油タンク28、及び燃料タンク29の組立構造を表す、右前方から見た斜視図である。図6は、図5から燃料タンク29を除外した状態を示す、右前方から見た斜視図である。図7は、本実施形態における旋回フレーム14の構造を表す、右前方から見た斜視図である。図8は、本実施形態における作動油タンク28の構造を表す、右前方から見た斜視図である。
図9は、本実施形態における燃料タンク29の構造を表す、右前方から見た斜視図であり、図10は、右下方から見た斜視図である(但し、便宜上、燃料タンク29の下面部と接触するラバーを二点鎖線で示す)。図11は、本実施形態における燃料タンク29の下部の構造を表す、右下方から見た部分拡大斜視図であり、燃料取出口及びドレンコックを取外した状態を示す。図12は、本実施形態における燃料タンク29の構造を表す上面図である。図13は、図12中矢印A方向から見た図であって、本実施形態における燃料タンク29の構造を表す後面図である。図14は、図12中矢印B方向から見た図であって、本実施形態における燃料タンク29の構造を表す左面図である。
図15は、本実施形態における上側固定ブラケット35の構造を表す斜視図である。図16は、本実施形態における横バンド36の構造を表す斜視図である。図17は、本実施形態における下側固定ブラケット37の構造を表す斜視図である。図18は、図5中断面C−Cによる断面図であって、本実施形態における下側固定ブラケット37の斜面板と燃料タンク29の斜面部の関係を表す鉛直断面図である。図19は、図5中断面D−Dによる断面図であって、本発明の一実施形態における下側固定ブラケット37の斜面板と燃料タンク29の斜面部の関係を表す水平断面図である。図20(a)及び図20(b)は、本実施形態における下側固定ブラケット37の作用効果を説明するための上面図であり、図20(a)が燃料タンク29の設置前の状態を示し、図20(b)が燃料タンク29の設置後の状態を示す。図21は、本実施形態における旋回フレーム14、燃料タンク29、及び仕切カバー34の組立構造を表す、右前方から見た斜視図である。
旋回フレーム14は、複数の底板で構成された底板部38と、底板部38上に立設された左前縦板39、右前縦板40、中横板41、左後縦板42、右後縦板43、及び後横板44とを有している。左前縦板39及び右前縦板40は、左右方向に互いに離間するとともに、前後方向に延在している。左前縦板39と右前縦板40の間には、ブームブラケット45及びシリンダブラケット46が設けられている。ブームブラケット45にはロアブーム4が回動可能に連結され、シリンダブラケット46にはブームシリンダ10が回動可能に連結される。
中横板41は、右前縦板40の後端から左前縦板39の後端を経由して左前縦板39の左側に突出するように、左右方向に延在している。左後縦板42は、中横板41を挟んで左前縦板39の後側に連続するように、前後方向に延在している。右後縦板43は、中横板41を挟んで右前縦板40の後側に連続するように、前後方向に延在している。後横板44は、右後縦板43の後端から左後縦板42の後端まで、左右方向に延在している。
作動油タンク28は、前面部47、後面部48、左面部49、右面部50、上面部51、及び下面部52を有している。前面部47の上方右側には、2つのねじ座53が設けられている。左面部49の上下方向中間部には、爪受部材54が設けられている。右面部50の上下方向中間部であって、爪受部材54と同じ高さ位置には、ねじ受部材55が設けられている。
燃料タンク29は、超小旋回型の小型油圧ショベルと後方小旋回型の小型油圧ショベルで共通して用いることが可能になっており、前面部56、後面部57、左面部58、右面部59、上面部60、及び下面部61A〜61Dを有している。また、後方小旋回型の小型油圧ショベルに用いられた場合(後述の図22及び図23参照)に仕切りカバー、運転室ユニット、及びスイングシリンダ等との干渉を避けつつ、タンクの容量(容積)を拡大するため、左面部58より突出した延長タンク部62を有している。燃料タンク29の上面部60にはキャップ付給油口63が設けられている。
燃料タンク29の右面部59は、右前カバー32に隣り合っており、円弧状の右前カバー32の内面に沿って円弧状に形成されている。右面部59の上下方向中間部には、フロート式の燃料残量検出器(図示せず)を取付けるため且つ燃料残量検出器に接続されたハーネス(図示せず)を配置するための窪み64が形成されている。
燃料タンク29の下面部61Aは、下面部61A〜61Dのうちの一番目に深い部分であって前側に位置し、旋回フレーム14の底板部38に貼付けられたラバー(クッション材)65Aと接触する。下面部61Bは、下面部61A〜61Dのうちの二番目に深い部分であって、旋回フレーム14の底板部38に貼付けられたラバー65Bと接触する。下面部61Cは、下面部61A〜61Dのうちの三番目に深い部分であって後側に位置し、旋回フレーム14の底板部38に貼付けられたラバー65Cと接触する。ラバー65Cは、ラバー65Bと比べ厚くなっている。下面部61Dは、下面部61A〜61Dのうちの最も浅い部分であって、前後方向中間に位置している。下面部61Bには、燃料取出口(配管継手)66が設けられ、下面部61Dには、ドレンコック(開閉弁)67が設けられている。
燃料タンク29の後面部57(第1面部)は、作動油タンク28の前面部47に対面しており、前面部47に貼付けられたラバー65Dと接触する。すなわち、作動油タンク28の前面部47は、燃料タンク29の後側への移動を規制するようになっている。燃料タンク29の延長タンク部62の端面部68(第2面部)は、旋回フレーム14の右前縦板40(右面板)に対面しており、右前縦板40に貼付けられたラバー65Eと接触する。すなわち、旋回フレーム14の右前縦板40は、燃料タンク29の左側への移動を規制するようになっている。
燃料タンク29は、右面部59の上側を切欠くことで形成された、切欠き上面部(底面部)69、及び切欠き上面部69の奥所から立上がる切欠き右面部(奥面部)70を有している。また、燃料タンク29の右面部59、前面部56、及び左面部58には、窪み64の上側であって爪受部材54及びねじ受部材55と同じ高さ位置には、水平方向に延在するバンド係合溝71が形成されている。燃料タンク29の右面部59の下側(詳細には、右面部59と下面部61Dの間)には斜面部72が形成されている。斜面部72は、右面部59の円弧状の接線方向に延在するとともに、下側に向かって(詳細には、下面部61Dに向かって)内側に傾斜している。
上側固定ブラケット35は、底面板73と、底面板73の左端から立上がる奥面板74と、底面板73の後端から立上がるとともに奥面板74の後端と接合された取付板75とを有している。取付板75には、左右方向に互いに離間して上下方向に長い2つの長穴76が形成されている。そして、2つのボルト77(図5及び図6参照)が2つの長穴76にそれぞれ挿通して作動油タンク28の2つのねじ座53(図6及び図8参照)にそれぞれ螺合することにより、上側固定ブラケット35が作動油タンク28に取付けられるようになっている。このとき、長穴76の長さ寸法とボルト77の径寸法との差分により、上側固定ブラケット35の上下方向の位置を調整可能とし、長穴76の幅寸法とボルト77の径寸法との差分により、上側固定ブラケット35の左右方向の位置を調整可能としている。
上側固定ブラケット35の底面板73にはラバー65Fが貼付けられており、ラバー65Fを介して底面板73が燃料タンク29の切欠き上面部69に当接する。すなわち、上側固定ブラケット35の底面板73は、燃料タンク29の上側への移動を規制するようになっている。また、上側固定ブラケット35の奥面板74にはラバー65Gが貼付けられており、ラバー65Gを介して奥面板74が燃料タンク29の切欠き右面部70に当接する。すなわち、上側固定ブラケット35の奥面板74は、燃料タンク29の右側への移動を規制するようになっている。
上側固定ブラケット35の取付板75には、キャッチ部材(図示せず)を取付けるための2つのボルト(図示せず)がそれぞれ螺合する2つのねじ穴78が形成されている。キャッチ部材は、タンクカバー33の閉じ状態を保持するために、タンクカバー33の内側に設けられたフック部材(図示せず)と係合するものである。そして、外部からの操作によってフック部材を回動して、フック部材とキャッチ部材の係合状態を解くことにより、タンクカバー33を開閉可能としている。
横バンド36は、金属製のバンド本体79と、バンド本体79の一端側に溶接された鉤状の爪部80と、バンド本体79の他端側に溶接されたねじ部81と、ねじ部81の基端側に溶接された固定ナット82とを有している。バンド本体79は、ラバー65Hで覆われている。そして、横バンド36の爪部80を作動油タンク28の爪受部材54の係合穴に係合しつつ、横バンド36のバンド本体79を燃料タンク29のバンド係合溝71に沿って掛けまわし、横バンド36のねじ部81を作動油タンク28のねじ受部材55の挿通穴に挿通する。その後、横バンド36のねじ部81にワッシャ83を取付けてダブルナット84を螺合することにより、横バンド36で燃料タンク29を縛り付けるようになっている。これにより、燃料タンク29の前側への移動を規制するようになっている。
下側固定ブラケット37は、斜面板85と、斜面板85を支持する支持板86とを有しており、支持板86の下部が旋回フレーム14の底板部38に溶接接合されている。下側固定ブラケット37の斜面板85は、燃料タンク29の斜面部72と同様、燃料タンク29の右面部59の円弧状の接線方向に延在するとともに、下側に向かって内側に傾斜している。下側固定ブラケット37の斜面板85にはラバー65Iが貼付けられており、ラバー65Iを介して斜面板85が燃料タンク29の斜面部72に当接する。そして、下側固定ブラケット37の斜面板85及び燃料タンク29の斜面部72が下側に向かって内側に傾斜していることから、燃料タンク29の自重によって燃料タンク29を内側へ押付ける力F(図20(a)及び図20(b)参照)を発生させるようになっている。
下側固定ブラケット37の斜面板85及び燃料タンク29の斜面部72が右面部59の円弧状の接線方向に延在していることから、押付け力Fは、右面部59の円弧状の中心(言い換えれば、上部旋回体2の旋回中心)に向けられている。そして、押付け力Fの後方向成分F1により、燃料タンク29の後面部57を作動油タンク28の前面部47に押付ける。また、押付け力Fの左方向成分F2により、燃料タンク29の延長タンク部62の端面部68を旋回フレーム14の右前縦板40に押付ける。これにより、燃料タンク29の位置決めが行えるとともに、燃料タンク29の右側及び前側への移動を規制するようになっている。すなわち、燃料タンク29を支持するようになっている。
次に、燃料タンク29の設置手順について説明する。旋回フレーム14に作動油タンク28を設置した後、旋回フレーム14に燃料タンク29を載置する。このとき、燃料タンク29の斜面部72が下側固定ブラケット37の斜面板85に当接することにより、燃料タンク29を内側へ押付ける力Fが発生する。この押付け力Fの後方向成分F1及び左方向成分F2により、燃料タンク29の位置決めを行うことができる。すなわち、燃料タンク29の後面部57が作動油タンク28の前面部47に当接するとともに、燃料タンク29の延長タンク部62の端面部68が旋回フレーム14の右前縦板40に当接する。その後、横バンド36及び上側固定ブラケット35を取付けて、燃料タンク29を固定する。
以上のように構成された本実施形態においては、燃料タンク29を固定するために1本の横バンド36を用いるため、特許文献1のように2本のバンドを用いる場合と比べ、燃料タンク29のバンド係合溝71を少なくすることができる。これにより、燃料タンク29の容量を増大することができる。
また、本実施形態においては、横バンド36に加えて、上側固定ブラケット35及び下側固定ブラケット37を用いるため、燃料タンク29を強固に固定して、燃料タンク29と右前カバー32との接触を防止することができる。
詳しく説明すると、上側固定ブラケット35の奥面板74によって燃料タンク29の上部の右側への移動を規制するとともに、下側固定ブラケット37の斜面板85によって燃料タンク29の下部の右側及び前側への移動を規制するので、油圧ショベルの稼働に伴う衝撃や振動或いは遠心力が作用しても、燃料タンク29が外側に振られて動くのを抑えることができる。そして、燃料タンク29の動き量を抑えることにより、燃料タンク29と右前カバー32の間の隙間を小さくすることができるため、燃料タンク29の容量を増大することができる。
下側固定ブラケット37の斜面板85は、右前カバー32の円弧状の接線方向に延在しているので、上部旋回体2の旋回時に作用する遠心力を十分に受けることができる。また、1つの下側固定ブラケット37で燃料タンク29の右側及び前側への移動を規制するため、2つの下側固定ブラケットで燃料タンク29の右側及び前側への移動を規制する場合と比べ、部品点数やコストを低減することができる。
なお、上記実施形態において、小型油圧ショベルは、超小旋回型である場合を例にとって説明したが、これに限られず、後方小旋回型であってもよい。このような変形例を、図22及び図23を用いて説明する。なお、本変形例において、上記実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
図22は、本変形例における小型油圧ショベルの構造を表す右側面図である。図23は、上記実施形態の図21に対応する、右前方から見た斜視図であり、本変形例における旋回フレーム、燃料タンク、仕切カバー、フロア部材、スイングポスト、及びスイングシリンダの組立構造を表す。
本変形例の小型油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体2Aと、上部旋回体2Aの前側にスイングポスト87を介し連結された作業装置3Aとを備えている。
スイングポスト87は、上部旋回体2Aの前側(詳細には、後述する旋回フレームのスイングブラケット)に左右方向に回動可能に連結されている。そして、スイングシリンダ88の伸縮駆動により、スイングポスト87が左右方向に回動し、ひいては作業装置3Aが左右方向に回動するようになっている。
作業装置3Aは、スイングポスト87に上下方向に回動可能に連結されたブーム89と、ブーム89に上下方向に回動可能に連結されたアーム7と、アーム7に上下方向に回動可能に連結されたバケット8とを備えている。そして、ブームシリンダ10、アームシリンダ12、及びバケットシリンダ13の伸縮駆動により、ブーム89、アーム7、及びバケット8が上下方向にそれぞれ回動するようになっている。
また、本変形例の小型油圧ショベルは、後方小旋回型と呼ばれるものである。すなわち、上部旋回体2Aの後端(詳細には、後述するカウンタウエイトの後面)により規定される旋回半径(後端旋回半径)の仮想円が下部走行体の車幅に基づいて予め設定された範囲である120%以内(本変形例では、車幅の100%以内)に収まるように構成されている。この車幅に対する上部旋回体2Aの後端位置の設定値は、後方小旋回型の特徴である上部旋回体2Aの旋回時に、周囲の障害物との干渉を抑制できる量として予め規定されている。
上部旋回体2は、基礎構造体をなす旋回フレーム14Aと、旋回フレーム14Aの後端部に配置され、円弧状の後面を有するカウンタウエイト90と、旋回フレーム14Aの前方左側に配置されたキャノピタイプの運転室ユニット15Aと、運転室ユニット15A以外の部分を覆う外装カバーとを備えている。運転室ユニット15Aは、フロア部材16と、このフロア部材16の後部に設けられて運転者が着座する運転席17と、運転席17の上側を覆うキャノピ18Aとを備えている。
旋回フレーム14Aは、複数の底板で構成された底板部38Aと、底板部38A上に立設された左前縦板(図示せず)、右前縦板40A、中横板(図示せず)、左後縦板(図示せず)、右後縦板(図示せず)、及び後横板(図示せず)とを有している。左前縦板及び右前縦板40Aは、上方から見てV字状に延在している。左前縦板及び右前縦板40Aの前側にはスイングブラケット(図示せず)が設けられ、スイングブラケットにはスイングポスト87が回動可能に連結される。
また、旋回フレーム14Aは、底板部38Aの前側かつ左前縦板の左側に設けられた左支持部材91と、底板部38Aの前側かつ右前縦板40Aの右側に設けられた右支持部材92とを有している。右支持部材92は、底板部38Aから立上がる鉛直板93と、鉛直板93の上端から水平方向に延在して右前縦板40Aに接合された水平板94とで構成されている。左支持部材91及び右支持部材92は、運転室ユニット15Aのフロア部材16を支持する。右支持部材92は、スイングシリンダ88を部分的に覆うようになっている。
旋回フレーム14の前方右側には、作動油タンク28の前側に位置するように樹脂製の燃料タンク29が設けられている。燃料タンク29は、上述したように超小旋回型の小型油圧ショベルと後方小旋回型の小型油圧ショベルで共通して用いることが可能になっており、左面部58の下側かつ延長タンク部62の前側に位置する当接面部95を有している(図23及び上述の図9、図14参照)。燃料タンク29の当接面部95(第2面部)は、旋回フレーム14の右支持部材92の鉛直板93(右面板)に対面しており、鉛直板93に貼付けられたラバー(図示せず)と接触する。すなわち、旋回フレーム14の右支持部材92の鉛直板93は、上記実施形態の旋回フレーム14の右前縦板40の代わりに、燃料タンク29の左側への移動を規制するようになっている。
そして、本変形例においても、上記実施形態と同様、上側固定ブラケット35、横バンド36、及び下側固定ブラケット37を用いて、燃料タンク29を固定するように構成されている。詳しく説明すると、上側固定ブラケット35の底面板73は、燃料タンク29の上側への移動を規制し、上側固定ブラケット35の奥面板74は、燃料タンク29の右側への移動を規制する。横バンド36は、燃料タンク29の前側への移動を規制する。
下側固定ブラケット37は、その斜面板85が燃料タンク29の斜面部72に当接することにより、燃料タンク29を内側に押付ける力Fを発生させる。そして、押付け力Fの後方向成分F1が燃料タンク29の後面部を作動油タンク28の前面部47に押付け、押付け力Fの左方向成分F2が燃料タンク29の当接面部95を旋回フレーム14の右支持部材92の鉛直板93に押付ける。これにより、燃料タンク29の位置決めが行えるとともに、燃料タンク29の右側及び前側への移動を規制する。
したがって、本変形例においても、上記実施形態と同様、右前カバー32と接触しないように燃料タンク29を強固に固定するとともに、燃料タンク29の容量を増大することができる。
また、上記実施形態及び変形例において、下側固定ブラケット37の支持板86は、旋回フレーム14の底板部38(又は旋回フレーム14Aの底板部38A)に溶接接合された場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、例えば図24及び図25で示す変形例のように、下側固定ブラケット37Aの支持板86Aは、断面L字形とし、燃料タンク29の右面部59の円弧状の接線方向に対して垂直な方向に長い例えば2つの長穴96が形成されてもよい。そして、2つの長穴96にそれぞれ挿通するとともに、旋回フレーム14の底板部38(又は旋回フレーム14Aの底板部38A)に形成された2つの取付穴(丸穴)97にそれぞれ挿通する2つのボルト98と、2つのボルト98にそれぞれ螺合する2つのナット99とを用いて、下側固定ブラケット37Aを旋回フレーム14の底板部38(又は旋回フレーム14Aの底板部38A)に取付けてもよい。このような変形例では、下側固定ブラケット37Aの位置を調整することができる。