JP6616979B2 - メッキ部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法に関する。
近年、射出成形体等の表面に電気回路を形成する立体回路成形部品は、MID(Molded Interconnect Device)と呼称され、その応用範囲が急速に広まっている。MIDは、小型で複雑形状の成形体の表面に回路を形成できるため、電子部品の軽薄短小のトレンドに合致している。例えば、スマートフォンの筐体の表面にアンテナ等を形成した小型部品は中国で大量生産されている。また、自動車分野でもセンサーや照明部品へのMIDの適用が欧州を中心に活発に検討されている。また、自動車には、現在、大量のケーブルハーネス(ワイヤーハーネス)が使用されている。このケーブルハーネスをMIDに置き換えることにより、軽量化と組み立て工程数削減によるコストダウンが期待できる。
樹脂成形体等の絶縁性基材の表面に配線パターン(電気回路)を形成する方法として、例えば、以下に説明する方法が提案されている。まず、基材の表面全体に金属層を形成する。次に、形成した金属層をフォトレジストでパターニングし、その後、エッチングにより配線パターン以外の部分の金属層を除去する。これにより、基材表面に残された金属層によって配線パターンを形成できる。
また、フォトレジストを使用しない配線パターン(電気回路)の形成方法としては、レーザー光を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。まず、配線パターンを形成したい部分にレーザー光を照射して基材を粗化する。そして、基材全体に無電解メッキ触媒を付与すると、レーザー光照射部分には、他の部分と比較して無電解メッキ触媒が強固に付着する。次に、基材を洗浄すると、レーザー光照射部分のみに無電解メッキ触媒が残り、他の部分の触媒は容易に除去できる。レーザー光照射部分のみに無電解メッキ触媒が付着した基材に無電解メッキを施すことで、レーザー光照射部分、即ち、所定の配線パターンのみにメッキ膜を形成できる。レーザー光を利用した配線パターンの形成方法は、フォトマスク等を製造するコストや手間が省けるため、配線パターンの変更が容易である。
また、他の配線パターン(電気回路)の形成方法として、LDS(Laser Direct Structuring)法が実用化されている(例えば、非特許文献1、特許文献2)。LDS法では、まず、銅錯体を熱可塑性樹脂に練り込んで射出成形し、該銅錯体を含有した成形体表面にレーザー描画を行う。レーザー照射により銅錯体が金属化して無電解銅メッキの触媒活性が発現し、レーザー描画部のメッキが可能となる。LDS法は、複雑な形状の射出成形体の表面に回路を形成する立体回路成形部品(MID)の製造が可能であり、スマートフォンや自動車の製造において普及している。
LDS法のように触媒を成形体中に練り込む方法とは異なる方法も提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3には、短波長のフェムト秒レーザー光を用いて成形体表面に官能基を付与する方法が開示されている。成形体表面が極性基を有するので、メッキ膜との化学的な接着強度が発現する。
特許第3222660号公報 欧州特許第1274288号公報 特開2012−136769号公報
ウォルフガング・ジョン、「生産コストを削減する3次元コンポーネント」、Industrial Laser Solutions Japan、株式会社イーエクスプレス、2011年9月号、p.18‐22
しかし、特許文献1で提案されているレーザー光を利用した配線パターン(電気回路)の形成方法では、基材の種類や表面状態によっては、レーザー光照射部分以外にも無電解メッキ触媒が強固に付着し、洗浄によっても除去できない場合があった。例えば、無電解メッキ触媒が付着し易いフィラーを含有する基材、表面粗さが大きい基材、空隙を有する基材等は、無電解メッキ触媒が付着し易いため、洗浄しても無電解メッキ触媒が残存し易い。また、無電解メッキ触媒の種類や基材の種類によっては、無電解メッキ触媒が基材の内部に浸透する場合があり、基材に浸透した無電解メッキ触媒を洗浄によって除去することは困難であった。そして、このように所定の配線パターン以外の部分に無電解メッキ触媒が残存した基材に無電解メッキを施すと、当然に配線パターン以外の部分に無電解メッキ膜が生成し、問題となっていた。
また、LDS法は、専用樹脂の開発が必要となり、樹脂材料のコストが大幅に増大する問題があった。そして多量の銅錯体を樹脂に練り込むことにより樹脂が着色するため、透明樹脂に適用することは困難であった。また、シート状の薄肉成形体等に適用する場合、専用樹脂を用いる必要があるため少量多品種の量産が困難であった。また、LDS法を自動車のケーブルハーネスの代替部品等の大型部品の製造に適用しようとすると、次のような問題が生じる。まず、消費する専用樹脂材料が多くなるため、コストが上昇する。そして、レーザー装置を大型化する必要があり、量産において問題となる。更に、配線パターン同士が同一の基板上に隣接するため、配線パターン間の絶縁性も懸念される。
一方で、特許文献3では、特殊な樹脂材料を用いずに成形体表面を選択的にメッキすることが検討されている。しかし、レーザー描画のみにより、描画部とそれ以外の部分との成形体の表面特性に明確なコントラストをつけることは難しく、特許文献3の方法により、安定に選択的なメッキを行うことは困難であると考えられる。また、特許文献3の方法は高価な短波長レーザー加工機を必要とし、このことが、該方法の普及の妨げとなっている。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、基材の種類や形状及び状態に依存し難く、簡易な製造プロセスにより所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみに無電解メッキ膜を形成できるメッキ部品の製造方法を提供する。
本発明の第1の態様に従えば、メッキ部品の製造方法であって、基材の表面に触媒活性妨害層を形成することと、基材の表面の一部を加熱又は光照射することと、前記基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させることと、前記無電解メッキ触媒を保持した前記基材の表面に無電解メッキ液を接触させ、前記表面の加熱部分又は光照射部分に無電解メッキ膜を形成することとを含み、前記触媒活性妨害層が、触媒失活剤と、第1のポリマーとを含有し、第1のポリマーが、デンドリティックポリマーであることを特徴とするメッキ部品の製造方法が提供される。
本態様において、前記触媒失活剤が、ヨウ素、亜鉛、鉛、錫、ビスマス、アンチモン又はこれらの化合物のいずれかであってもよい。
本態様においては、前記触媒活性妨害層を形成することが、前記触媒失活剤と、第1のポリマーとを含む混合物を前記基材の表面に塗布することであってもよい。また、前記基材の表面の一部を加熱又は光照射することにより、前記表面の加熱部分又は光照射部分から、前記触媒活性妨害層を除去してもよい。また、前記触媒活性妨害層を形成すること、前記基材の表面の一部を加熱又は光照射すること、及び前記表面に無電解メッキ触媒を保持させることをこの順で行ってもよい。
本態様においては、前記触媒活性妨害層を形成することが、前記基材の表面に第1のポリマー層を形成することと、第1のポリマー層に前記触媒失活剤を浸透又は吸着させることとを含んでもよい。また、前記基材の表面に第1のポリマーを含む第1のポリマー層を形成すること、前記表面の一部を加熱又は光照射すること、第1のポリマー層に前記触媒失活剤を浸透又は吸着させること、及び前記基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させることをこの順で行ってもよい。また、基材の表面の一部を加熱又は光照射することにより、前記表面の加熱部分又は光照射部分から、第1のポリマー層を除去してもよい。
本態様においては、前記基材の表面の一部を加熱又は光照射することが、レーザー光を用いて前記基材表面にレーザー描画することであってもよい。
本態様においては、前記基材は、その表面に延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有し、前記領域に触媒活性妨害層を形成し、第1のパターンを形成する前記凸部及び/又は前記凹部を加熱又は光照射してもよい。また、加熱板を第1のパターンを形成する前記凸部に接触させて前記凸部を加熱してもよい。前記加熱板の表面には、その表面に延在する突出部により、前記基材の第1のパターンに対応する第2のパターンが形成され、前記基材の前記凸部により形成される第1のパターンに前記加熱板の前記突出部により形成される第2のパターンを接触させて、前記加熱板により前記基材を熱プレスし、前記凸部を加熱すると共に前記凸部の頂部に窪みを形成してもよい。
本態様においては、前記無電解メッキ触媒の保持後、又は前記無電解メッキ膜の形成後に、更に、前記触媒活性妨害層から前記触媒失活剤を除去してもよい。
本発明の参考態様に従えば、メッキ部品であって、基材と、前記基材表面に所定パターンを形成するメッキ膜と、前記メッキ膜が形成される所定パターンを除く前記基材表面に形成された、デンドリティックポリマーを含む樹脂層とを有することを特徴とするメッキ部品が提供される。
前記樹脂層の厚みが、0.01μm〜10μmであってもよい。前記無電解メッキ触媒がPdを含んでもよい。前記基材が、樹脂又は絶縁性の無機材料であってもよく、発泡セルを含む樹脂成形体であってもよく、ガラス、石英ガラス、シリコン又はセラミックスのいずれかであってもよく、ガラス、ポリフェニレンスルファイド又は液晶ポリマーのいずれかであってもよい。また、前記基材の表面は、凹部及び凸部を有し、前記凹部及び/又は前記凸部に前記メッキ膜が形成されていてもよい。また、前記無電解メッキ膜が前記基材上で電気回路を形成し、前記メッキ部品が電子部品であってもよい。
本発明では、基材表面の加熱部分又は光照射部分には無電解メッキ膜が形成され、一方、それ以外の部分では、触媒活性妨害層の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制される。これにより、本発明のメッキ部品の製造方法は、簡易な製造プロセスにより所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみに無電解メッキ膜を形成できる。また、本発明の方法は、基材選択の幅が広く、製造コストの削減も図れる。
第1の実施形態のメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。 図2(a)〜(c)は、第1の実施形態のメッキ部品の製造方法を説明する図である。 第2の実施形態のメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。 図4(a)〜(d)は、第2の実施形態のメッキ部品の製造方法を説明する図である。 図5(a)は、第3の実施形態で用いる基材の全体概略図であり、図5(b)は、基材の凸部及び凹部近傍の断面図である。 図6(a)〜(c)は、第3の実施形態のメッキ部品の製造方法を説明する図である。 図7(a)〜(c)は、第3の実施形態の変形例1のメッキ部品の製造方法を説明する図である。 第3の実施形態の変形例1のメッキ部品の全体概略図である。 第3の実施形態の変形例2のメッキ部品の凸部及び凹部近傍の断面図である。 第3の実施形態の変形例3のメッキ部品の凸部及び凹部近傍の断面図である。 実施例11で基材の成形に用いた射出成形機の全体概略図である。
[第1の実施形態]
(1)メッキ部品の製造方法
図1に示すフローチャートに従って、基材上に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。まず、図2(a)に示す基材10の表面に触媒活性妨害層11を形成する(図1のステップS1)。基材10の材料は特に限定されないが、表面に無電解メッキ膜を形成する観点から絶縁体が好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、光硬化性樹脂、セラミックス及びガラス等を用いることができる。中でも、成形の容易性や触媒失活剤の浸透し易さから、本実施形態で用いる基材は、樹脂から形成される樹脂基材が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン12(PA12)、ナイロン11(PA11)、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン9T(PA9T)、10Tナイロン、11Tナイロン、ナイロンMXD6(PAMXD6)、ナイロン9T・6T共重合体、ナイロン6・66共重合体等のポリアミドを用いることができる。ポリアミド以外の樹脂としては、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を用いることができる。
特に、ハンダリフロー耐性を有するメッキ部品を製造する場合には、耐熱性と成形性を兼ね備えた熱可塑性樹脂として、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン9T(PA9T)、10Tナイロン、11Tナイロン、ナイロンMXD6(PAMXD6)等の芳香族ナイロン及びこれらを含む共重合体が好ましい。そして、寸法安定性や剛性向上の観点から、これらの熱可塑性樹脂は、ガラスフィラーやミネラルフィラー等の無機フィラーが充填されてもよい。具体的には、ソルベイ アドバンスト ポリマーズ製のアモデル、クラレ製のジェネスタ、東洋紡製のバイロンアミド、三菱エンプラ東洋紡製のレニー等を用いることができる。また、メッキ部品にハンダリフロー耐性が要求されない場合には、汎用エンプラであるABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂とPCとのポリマーアロイ(ABS/PC)等を用いることができる。また、市販の熱可塑性樹脂を用いる場合、後工程のレーザー光照射工程においてレーザー光を吸収して熱を発生し易いように、黒色グレードとして市販されている黒色の熱可塑性樹脂を用いてもよい。尚、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。透明な熱硬化性樹脂を用いることで、透明でハンダリフロー耐性を有するデバイス(メッキ部品)を製造できる。光硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることができる。また、セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミ、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、シリコンウエハ等を用いることができる。
後工程のレーザー光照射工程において、レーザー光を吸収して熱を発生し易いように、基材10はカーボン等のフィラーや、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の光吸収色素を光吸収剤として含有してもよい。
本実施形態で用いる基材は、市販品であってもよいし、市販の材料から成形等により製造してもよい。例えば、粉末射出成形方法により複雑形状のセラミックス基材を製造してもよい。また、市販の熱可塑性樹脂を所望の形状に成形して、樹脂成形体(基材)を製造してもよい。熱可塑性樹脂の成形方法としては、汎用の射出成形方法や押出成形方法を用いることができる。樹脂成形体は、押出成形で製造するシート状の成形体であってもよい。また、基材は、光硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いて3Dプリンターにより造形してもよい。3Dプリンターを用いると、複雑形状の基材が製造でき、この基材を用いて複雑形状のMIDを製造できる。
本実施形態で用いる基材は、内部に発泡セルを有する発泡成形体であってもよい。基材として発泡成形体を用いることにより、軽量で寸法精度の高いMIDを製造できる。発泡成形体中の発泡セルは独立気泡であっても連続気泡であってもよい。発泡成形体は、化学発泡剤又は超臨界流体等の物理発泡剤を用いて、熱可塑性樹脂を発泡成形することにより製造できる。
触媒活性妨害層11(以下、適宜、「妨害層」と記載する)は、触媒失活剤と、第1のポリマーとを含有することが好ましい。触媒失活剤としては、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げ、結果として、無電解メッキの反応を抑制する物質であれば、任意の物質を用いることができる。触媒失活剤は、無電解メッキ触媒と直接反応して無電解メッキ触媒を被毒するか、又は無電解メッキ触媒と直接反応せずとも、触媒付与工程のいずれかの段階において、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げると推測される。このような触媒失活剤としては、例えば、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)等のメッキ触媒毒となる重金属及びその化合物、ヨウ素及びその化合物、過酸化物等の酸化剤等が挙げられる。中でも、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)及びその化合物は、無電解メッキ触媒に対しての被毒性が強いという点で好ましく、ヨウ素は、第1のポリマーへの浸透性が高い点で好ましい。これらの触媒失活剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
妨害層11に含まれる第1のポリマーとしては、特に限定されず、例えば、基材の材料として上述した熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。これらの樹脂材料は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。妨害層11において、第1のポリマーは触媒失活剤を基材表面に留めるバインダーとして機能する。第1のポリマーを含む妨害層11を基材表面に設けることにより、触媒失活剤が直接、吸着又は浸透し難い基材の表面に触媒失活剤を留めることができ、触媒失活剤により、メッキ膜形成を望まない部分の無電解メッキ反応を抑制できる。
妨害層11に含まれる第1のポリマーは、触媒失活剤を基材表面に留めるバインダー機能の観点から、基材との親和性が高いセグメント(以下、「基材親和性セグメント」と適宜、記載する)と、触媒失活剤と親和性が高いセグメント(以下、「触媒失活剤親和性セグメント」と適宜、記載する)とを有するブロック共重合体が好ましい。中でも、これら二種類のセグメントを有するデンドリティックポリマーが好ましい。デンドリティックポリマーとは、頻繁に規則的な分岐を繰り返す分子構造で構成されポリマーであり、デンドリマーとハイパーブランチポリマーに分類される。デンドリマーは、核となる分子を中心に、規則正しく完全に樹状分岐した構造をもつ、直径数nmの球形のポリマーであり、ハイパーブランチポリマーは、完全な樹状構造をもつデンドリマーとは異なり、不完全な樹状分岐をもつポリマーである。例えば、触媒失活剤親和性セグメントと、基材親和性セグメントとを樹状分岐部に配置したデンドリティックポリマーは、薄膜化しても触媒失活剤のバインダーとして効率よく機能する。また、デンドリティックポリマーの溶液は高濃度でも低粘度であるため、複雑形状の基材に対しても、均一な膜厚の妨害層11を形成できる。
第1のポリマーは、基材親和性セグメントと、触媒失活剤親和性セグメントとを有するハイパーブランチポリマーがより好ましい。例えば、ハイパーブランチポリマーの主鎖を基材親和性セグメントとし、樹状分岐部を触媒失活剤親和性セグメントとする。これにより、触媒失活剤親和性セグメント、及びそれと親和性の高い触媒失活剤を基材表面に高密度に配置できる。基材親和性セグメントは、基材の種類に応じて適宜選択でき、基材との密着性が高いものが好ましい。基材が樹脂である場合、例えば、アクリル基、エステル基、エポキシ基を有する脂肪族炭化水素セグメント又は芳香族炭化水素セグメントを用いることができ、基材がガラスやセラミックスの場合、例えば、ヒドロキシル基、シラノール基を有するセグメントを用いることができる。触媒失活剤親和性セグメントは、触媒失活剤の種類に応じて適宜選択でき、触媒失活剤に配位、吸着、反応等して複合体を形成し、触媒失活剤をトラップする官能基を有することが好ましい。触媒失活剤が、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)等のメッキ触媒毒となる重金属の場合には、例えば、ヒドロキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基等を有する極性セグメント;ピリジン等の複素環、キレート構造、アミド基、ジチオカルバメート基、ポリエーテル基等を有する上記重金属と親和性が高いセグメントを用いることができ、触媒失活剤がヨウ素等のハロゲンの場合、例えば、アミノ基、ジチオカルバメート基を用いることができる。
更に、妨害層11は、後工程のレーザー光照射工程において、レーザー光を吸収して熱を発生し易いように、カーボン等のフィラーや、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の光吸収色素を光吸収剤として含有してもよい。光吸収剤は、溶剤等に溶解又は分散させて妨害層11の表面に付与してもよいし、後述する触媒失活剤液の中に含有させて、触媒失活剤液と共に妨害層11に浸透又は吸着させてもよいが、作業の簡便性から妨害層11中に予め含有させておくことが好ましい。
基材10の表面に妨害層11を形成する方法は、特に限定されない。例えば、触媒失活剤と、第1のポリマーとを含む混合物を基材に直接、塗布してもよい。または、該混合物に基材を浸漬させて、基材表面に該混合物を塗布してもよい。具体的な形成方法としては、ディップコート、スクリーンコート、スプレーコート等が挙げられる。該混合物は、必要により有機溶剤や、上述した光吸収剤等を含有してもよい。また、第1のポリマーとして熱硬化樹脂や光硬化樹脂を用いる場合、第1のポリマーに代えて、第1のポリマーの前駆体であるモノマーを触媒失活剤と混合して基材表面に付与し、加熱や光照射により基材表面でモノマーを重合させて妨害層11を形成してもよい。
また、妨害層11を形成する他の方法として、まず、基材の表面に触媒失活剤を含まない、第1のポリマーを含む層(以下、適宜「第1のポリマー層」と記載する)を形成し、この第1のポリマー層に触媒失活剤を浸透又は吸着させてもよい。第1のポリマー層の形成方法は、触媒失活剤を含有しないこと以外、上述した妨害層11の形成方法と同様である。第1のポリマー層に触媒失活剤を浸透又は吸着させる方法は、例えば、固体のヨウ素のように昇華性を有する触媒失活剤を用いる場合、密閉容器中に第1のポリマー層を形成した基材と触媒失活剤を収容し、加熱等により触媒失活剤を昇華させ、昇華した気体の触媒失活剤を基材と接触させてもよい。他の方法としては、触媒失活剤を溶解又は分散させた触媒失活剤液を基材上の第1のポリマー層に接触させてもよい。触媒失活剤液を基材の第1のポリマー層に接触させる方法としては、触媒失活剤液を第1のポリマー層上に塗布してもよいし、触媒失活剤液に基材を浸漬してもよい。中でも、触媒失活剤付与の均一性と作業の簡便性の観点からは、触媒失活剤液に基材を浸漬する方法がよりより好ましい。
妨害層11の形成において触媒失活剤液を用いる場合、触媒失活剤液中の触媒失活剤の配合量(触媒失活剤濃度)は、特に限定されないが、触媒失活剤濃度が低すぎると基材に触媒失活剤を浸透又は吸着させることが困難になる。また、例えば、触媒失活剤としてヨウ素を用いた場合、ヨウ素濃度が高すぎると基材に残存するヨウ素が多くなり、メッキ膜形成後に該メッキ膜を腐食する虞がある。したがって、触媒失活剤液中の触媒失活剤濃度は、用いる第1のポリマー層への触媒失活剤の浸透又は吸着し易さに応じて決定できるが、例えば、0.01重量%〜20重量%が好ましい。
触媒失活剤液に用いる溶剤(溶媒)は、触媒失活剤が溶解又は分散可能な溶剤であり、且つ基材及び第1のポリマー層を変質させない溶剤であれば特に限定されない。例えば、水、アルコール、及びそれらの混合物が好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等を用いることができる。
触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、触媒失活剤液であるヨウ素溶液は、ヨウ素分子(I)と共にヨウ化物イオン(I-)を含むことが好ましい。例えば、ヨウ素溶液が、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム等のヨウ化物塩を含有することにより、ヨウ素溶液は、これら塩由来のヨウ化物イオン(I-)を含むことができる。ヨウ素溶液中において、ヨウ化物イオン(I-)はヨウ素(I)と結合して三ヨウ化物イオン(I -)を形成すると推測される。これにより、ヨウ素が溶媒に溶解し易くなり、また、ヨウ素の基材への浸透性も向上する。ヨウ素溶液中のヨウ化物塩の配合量は、ヨウ素分子(I)濃度や基材の種類に応じて適宜決定できるが、例えば、0.03重量%〜40重量%とすることができる。
更に、本実施形態の触媒失活剤液は、第1のポリマー層への親和性を向上させるために界面活性剤を含んでもよい。また、触媒失活剤液は、カーボン、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、アゾ化合物等の光吸収剤を含有してもよい。これにより、妨害層11は、レーザー光等の光を吸収して熱を発生し易くなる。本実施形態の触媒失活剤液は、上述した触媒失活剤、溶剤、更に、必要に応じて、ヨウ化物塩、界面活性剤等を従来公知の方法により混合して調製できる。
基材を浸漬するときの触媒失活剤液の温度は特に限定されないが、例えば、触媒失活剤の第1のポリマー層への浸透及び吸着を促進する観点からは室温以上、80℃以下が好ましい。基材の触媒失活剤液への浸漬時間は、触媒失活剤濃度や第1のポリマーの種類に応じて適宜決定できるが、例えば、10秒〜1時間が好ましい。
尚、第1のポリマー層に付与された触媒失活剤は、第1のポリマー層に浸透するか、第1のポリマー層の表面に吸着すると推測される。樹脂への浸透性が高いヨウ素を触媒失活剤として用いる場合には、ヨウ素は第1のポリマー層に浸透すると推測される。第1のポリマー層へ浸透したヨウ素は、第1のポリマー層中において、ヨウ素分子(I)、酸化数-I(マイナス1)の状態(I-)、更に、これらの結合した状態(I -)が混在した状態で存在していると推測される。
妨害層11は、基材の耐熱性等の物性に影響を与えないように、薄い方が好ましい。妨害層11の厚みは、例えば、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が更により好ましい。一方で、触媒失活剤を保持する観点からは、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上が更により好ましい。尚、所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制する観点から、妨害層11は、後述する無電解メッキ工程において、少なくとも無電解メッキ液と接触する基材表面の領域に形成することが好ましく、基材の表面全面に成形することがより好ましい。
次に、妨害層11が形成された基材の表面の一部に光を照射するか、又は基材表面の一部を加熱する(図1のステップS2)。光を照射する方法は、特に限定されず、例えば、レーザー光を基材表面に所定パターンに従って照射する方法(レーザー描画)や、光を照射しない部分をマスクした後に、基材表面全体に光を照射する方法等が挙げられる。基材表面の一部に光を照射することにより、光が熱に変換され、基材表面は加熱されると推測される。上述したように、基材が光吸収剤を含有する場合には、基材に照射された光を効率的に熱に変換できる。また、触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、基材表面に照射する光としては、ヨウ素(I)の吸収波長である波長409nm付近の光やI の吸収波長である波長397nm付近の光を用いてもよい。この場合、基材中に含まれるヨウ素等が光を吸収できる。また、基材の表面に光を照射せずに基材表面を加熱する方法としては、凸部によりパターンが形成された簡易金型等で基材表面を直接、熱プレスする方法が挙げられる。作業の簡便性及び加熱部分の選択性に優れていること、更に、パターンの変更及び微細化が容易であることから、レーザー描画により基材を加熱することが好ましい。
レーザー光は、例えば、COレーザー、YVOレーザー、YAGレーザー等のレーザー装置を用いて照射でき、これらのレーザー装置は、妨害層11に用いる第1のポリマーの種類に応じて選択できる。例えば、第1のポリマーがポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂である場合、COレーザー(炭酸ガスレーザー)のように透明樹脂が吸収し易いレーザー光源を用いることが好ましい。
本実施形態では、レーザー光を基材表面に所定パターンに従って照射すること(レーザー描画)によって、レーザー光の照射された部分が加熱され、加熱部分の妨害層11は除去される。ここで、「妨害層11の除去」とは、例えば、加熱部分の妨害層11が、蒸発により消失することを意味する。妨害層11が付与された基材10の表面に所定パターンのレーザー描画を行うことにより、図2(b)に示すように、所定パターンの妨害層除去部分10aと、妨害層11が残存している妨害層残存部分10bとを形成できる。尚、加熱部分である妨害層除去部分10aでは、妨害層11と共に基材10の表層部分が蒸発して消失してもよい。また、「妨害層11の除去」とは、妨害層11が完全に消失するだけでなく、後工程の無電解メッキ処理の進行に影響がない程度に妨害層11が残存する場合も含む。妨害層11が残存していても、後工程の無電解メッキ処理に影響なければ、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨害する機能が消失したことになる。更に、本実施形態では、妨害層11の加熱部分が変性又は変質して妨害層11として機能しなくなる場合も、「妨害層11の除去」に含める。例えば、第1のポリマーの触媒失活剤親和性セグメントが変性し、その結果、触媒失活剤を基材表面に保持できない場合が挙げられる。または、触媒失活剤が酸化等の化学変化により、触媒失活剤として機能できない場合が挙げられる。これらの場合、妨害層11の加熱部分は完全に消失するのではなく、変性物(変質物)が残存する。この変性物は、触媒活性を妨害する機能を有していない。このため、妨害層11が変性した部分も、図2(b)に示す妨害層11が消失した妨害層除去部分10aと同様の作用を生じる。
次に、レーザー光を照射した基材10の表面に無電解メッキ触媒を保持させる(図1のステップS3)。無電解メッキ触媒としては、無電解メッキ触媒能を有するものであれば任意のものを用いることができるが、例えば、Pd、Ni、Pt、Cu等の金属微粒子、金属錯体、金属アルコキシド等を用いることができ、中でも、触媒活性能が高いPdを含む無電解メッキ触媒が好ましい。
無電解メッキ触媒を基材表面に保持させる方法は、特に限定されない。例えば、無電解メッキ触媒を溶媒に溶解又は分散させた触媒液を調製し、その触媒液を基材に塗布する、又は触媒液に基材を浸漬することにより、基材の表面に無電解メッキ触媒を付与してもよい。触媒付与の均一性の観点からは、触媒液に基材を浸漬する方法が好ましい。
触媒液に用いる溶媒は、触媒を溶解又は分散できる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素等を用いることができる。炭化水素としては、市販の高沸点溶剤(エクソンモービル社製、アイソパー)等を用いてもよい。触媒液に用いる無電解メッキ触媒は、メッキ触媒活性の高さから、パラジウム錯体が好ましく、具体的には、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、アセチルアセトナトパラジウム(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体等を用いることができる。触媒液中の無電解メッキ触媒の配合量(触媒濃度)は、例えば、0.01重量%〜5重量%とすることができる。
無電解メッキ触媒を基材表面に付与する他の方法としては、市販の無電解メッキ用触媒液を用いた汎用の方法、例えば、センシタイザー・アクチベータ法やキャタライザー・アクセラレータ法が挙げられる。センシタイザー・アクチベータ法では、まず、無電解メッキ触媒が吸着し易くなるように、例えばSn2+を含む液で基材の表面を処理し(センシタイザー処理)、次に、無電解メッキ触媒(例えば、Pd2+)を含む液に基材を浸漬する(アクチベータ処理)。キャタライザー・アクセラレータ法では、まず、無電解メッキ触媒を含む液(例えば、Sn2+とPd2+の混合によって得られるパラジウムコロイド液)に基材を浸漬し(キャタライザー処理)、次に基材を塩酸溶液等に浸せきしてメッキ触媒の金属を基材の表面に析出させる(アクセラレータ処理)。
次に、前記基材10の表面に無電解メッキ液を接触させる(図1のステップS4)。これにより、図2(c)に示すように、基材表面の加熱部分に無電解メッキ膜85を形成し、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品100を製造できる。無電解メッキ液としては、目的に応じて任意の汎用の無電解メッキ液を使用しできるが、触媒活性が高く液が安定であるという点から、無電解ニッケルリンメッキ液、無電解銅メッキ液、無電解ニッケルメッキ液が好ましい。
無電解メッキ膜85上には、更に、異なる種類の無電解メッキ膜を形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。基材上のメッキ膜の総厚みを厚くすることにより、所定パターンのメッキ膜を電気回路として用いた場合に電気抵抗を小さくできる。メッキ膜の電気抵抗を下げる観点から、無電解メッキ膜上に積層するメッキ膜は、無電解銅メッキ膜、電解銅メッキ膜、電解ニッケルメッキ等が好ましい。また、電気的に孤立した回路には電解メッキを行えないため、このような場合は、無電解メッキにより、基材上のメッキ膜の総厚みを厚くすることが好ましい。また、ハンダリフローに対応できるようメッキ膜パターンのハンダ濡れ性を向上させるために、錫、金、銀等のメッキ膜をメッキ膜パターンの最表面に形成してもよい。
本実施形態では、妨害層11が残存している妨害層残存部分10bと、加熱により妨害層11が除去された、所定パターンの妨害層除去部分10aが基材表面に存在する。そして、この基材表面に前記無電解メッキ触媒を付与して、無電解メッキ液を接触させることにより、所定パターンの妨害層除去部分10aのみに、無電解メッキ膜を形成できる。この理由は定かではないが、妨害層残存部分10bにおいては、触媒失活剤が無電解メッキ触媒と直接反応して被毒するか、又は無電解メッキ触媒と直接反応せずとも、触媒付与工程のいずれかの段階において、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げると推測される。例えば、触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、ヨウ素が無電解メッキ触媒であるパラジウム等の金属と直接反応して、触媒活性能を有さないヨウ化パラジウムを形成するか、又はパラジウムを酸化させて、触媒活性能を有さない酸化パラジウムを形成すると推測される。一方、妨害層除去部分10aには触媒失活剤が存在しないため、無電解メッキ膜が生成する。このため、本実施形態では、様々な材質の基材に対して簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。
上で説明した本実施形態の製造方法は、更に、妨害層11から触媒失活剤を除去する、触媒失活剤除去工程を含んでもよい。尚、触媒失活剤除去工程における「触媒失活剤の除去」とは、触媒失活剤を基材から取り除くことを意味し、触媒活性剤が変性(変質)して基材に残存することは含まない。
以下に、触媒失活剤としてヨウ素を用いた場合の触媒失活剤を除去する工程について説明する。本実施形態では、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、基材からヨウ素を除去することが好ましい。ヨウ素は金属と反応し易く、基材内に残存するとメッキ膜を腐食させる虞があるためである。
基材からヨウ素を除去する方法としては、基材を洗浄液で洗浄することによってヨウ素を溶出させて除去する方法や、基材の周囲の雰囲気を加熱又は減圧することによってヨウ素を昇華させて除去する方法が挙げられる。ヨウ素の洗浄に用いる洗浄液は、ヨウ素を溶解させ、かつ基材を変質させない液であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、及びそれらの混合物が好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどが挙げられる。洗浄液には、ヨウ素の溶解性を高めるためにヨウ化物イオンを含有していてもよく、基材への親和性をあげるために界面活性剤を含有してもよい。
また、ヨウ素を除去する方法としては、妨害層11中のヨウ素の少なくとも一部を還元する還元処理を行い、ヨウ化物イオンとカチオンを含むヨウ素化合物を生成し、生成したヨウ素化合物を妨害層11から除去することがより好ましい。ヨウ素をヨウ化物イオンとすることで、水等の洗浄液への溶解性が高まり、妨害層11からヨウ素を除去し易くなる。さらに、ヨウ化物イオンはヨウ素と比べて金属との反応性が低いため、妨害層11に残存しても金属を腐食する虞が低い。
妨害層11中のヨウ素の還元には、通常の還元剤を用いることができ、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、グルコースなどの糖類、チオ硫酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。例えば、チオ硫酸ナトリウムによる還元の場合は、基材をチオ硫酸ナトリウム溶液に浸漬させることにより、下記の化学反応式(1)に示すように、ヨウ素分子(I)は還元され、酸化数-I(マイナス1)の状態(NaI)となる。
Figure 0006616979
また、妨害層11中のヨウ素の還元は、還元剤を上述した触媒液に含有させることによって行うこともできる。更に、無電解メッキ液中に含まれる還元剤や無電解メッキ中に発生する水素によって、妨害層11中のヨウ素を還元してもよい。
還元処理の後、基材を上述した洗浄液で洗浄することにより妨害層11からヨウ素を除去してもよい。この場合、ヨウ素はヨウ素化合物となって水等の洗浄液に溶解し、容易に基材から除去できる。
また、別途、妨害層11からヨウ素を除去する工程を実施しなくとも、無電解メッキ工程において、妨害層11からヨウ素が除去される場合もある。例えば、触媒失活剤としてヨウ素を用い、無電解メッキ触媒としてパラジウムを用いた場合、図2(b)に示す無電解メッキ工程前の妨害層11は、パラジウムとヨウ素が反応して生成したヨウ化パラジウムが存在する。しかし、その後、一定時間の無電解銅メッキを行うと、ヨウ化パラジウムがメッキ液に溶出し、基材から除去できる。
ヨウ素以外の触媒失活剤を用いる場合においても、ヨウ素を除去するのと同様に、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、触媒失活剤を除去してもよい。特に、触媒失活剤がイオン性化合物あり、且つメッキ膜を電気配線パターンとして用いる場合、配線間の絶縁性が低下する恐れがあるため、触媒失活剤を除去することが好ましい。触媒失活剤を除去する方法としては、触媒失活剤を溶解する溶剤を用いて基材を洗浄する方法が好ましい。例えば、触媒失活剤としてトリフェニルアンチモンジクロリドを用いる場合、トリフェニルアンチモンジクロリドは非水溶性であるが、メチルエチルケトンなど有機溶剤に可溶である。このため、トリフェニルアンチモンジクロリドは、メッキ工程では基材表面から脱離しないが、メッキ工程後にメチルエチルケトンに浸漬させて十分に洗浄させることによって、基材表面から除去できる。
以上説明した本実施形態のメッキ部品の製造方法は、触媒失活剤が直接、吸着又は浸透し難い基材に対しても、妨害層11中の第1のポリマーを介して基材の表面に触媒失活剤を付与できる。したがって、本実施形態の製造方法は、基材選択の幅が広い。例えば、触媒失活剤を直接、付与し難い、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、セラミックス、ガラス等も基材として用いることができる。また、表面粗さが大きい基材、空隙を有する基材、表面に発泡痕ある発泡成形体等に、直接、触媒失活剤を付与しようとすると、基材表面に均一に付与できず、ムラが生じる場合がある。本実施形態の製造方法では、第1のポリマーを介して触媒失活剤を付与することにより、触媒失活剤を基材表面に均一に付与できる。更に、本実施形態の製造方法では、従来のLDS法とは異なり、汎用の熱可塑性樹脂をそのまま使用して基材を製造できるため、大幅なコストダウンを図ることができ、シート状成形体の少量多品種の生産にも対応可能である。このように、基材選択の幅が広い本実施形態のメッキ部品の製造方法は、従来では困難であったレンズやメガネ等光学部材や薄肉シート形状の立体回路成形体を簡便な方法により製造可能である。
また、従来の無電解メッキ方法においては、無電解メッキ触媒付与工程と、無電解メッキ工程との間で基材を固定する固定治具の交換を行わずに、これらの工程を連続して実施すると、固定治具上にも無電解メッキ膜が形成される問題が生じていた。本実施形態では、基材への触媒活性妨害層の形成工程(図1のステップS1)において、基材と共に基材の固定治具上にも触媒活性妨害層を形成することにより、この問題を解決できる。即ち、固定治具上に形成された触媒活性妨害層により、無電解メッキ膜の形成が抑制される。したがって、基材の固定治具の交換を行う必要がなく、メッキ部品の製造効率を改善できる。
(2)メッキ部品
図2(c)に本実施形態で製造する、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品100を示す。メッキ部品100は、基材10と、基材10の表面に所定パターンを形成するメッキ膜85と、メッキ膜85が形成される所定パターンを除く基材表面に形成される触媒活性妨害層11とを有する。触媒活性妨害層11は、第1のポリマーを含有する樹脂層である。触媒活性妨害層は、更に、触媒失活剤を含有してもよいし、また、上述した触媒失活剤除去工程を実施することにより、触媒失活剤を含有しなくともよい。触媒活性妨害層11の膜厚は、上述したように、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が更により好ましく、一方で、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上が更により好ましい。
所定パターンのメッキ膜85は導電性を有していてもよい。この場合、所定パターンのメッキ膜85は、電気配線パターン、電気回路等として機能し、所定パターンのメッキ膜85を有するメッキ部品100は、電子部品として機能する。また、所定パターンのメッキ膜85は、基材10の一面のみに平面的に形成させてもよいし、基材10の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成されてもよい。所定パターンのメッキ膜85が基材10の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成され、且つ導電性を有する場合、所定パターンのメッキ膜85は立体電気回路として機能し、このような所定パターンのメッキ膜85を有するメッキ部品100は、立体回路成形部品(MID)として機能する。
メッキ部品100が電子部品として機能する場合、メッキ膜85を含む電気配線パターンにおいて、隣接する電気配線間に触媒活性妨害層11が存在する。この触媒活性妨害層11により電気配線間の絶縁性が向上し、電子部品の配線密度を高められる。また、電子部品においては、電圧の印加により電気配線から金属イオンが排出されるマイグレーションという課題がある。本実施形態のメッキ部品100は、隣接する電気配線間の触媒活性妨害層11が電気配線から排出される金属イオンをトラップし、配線間での電気ショートを未然に防止することも期待できる。
<変形例1>
上で説明した本実施形態では、触媒活性妨害層11は、触媒失活剤と、第1のポリマーとを含有したが、本実施形態はこれに限定されない。触媒活性妨害層11が、触媒活性を妨害する機能を有する第2のポリマーを含む場合には、触媒活性妨害層11は触媒失活剤を含有しなくともよい。触媒活性を妨害する機能を有する第2のポリマーとしては、重金属である無電解メッキ触媒をトラップする官能基を有するポリマーが挙げられる。無電解メッキ触媒をトラップする官能基とは、無電解メッキ触媒に配位、吸着、反応等して複合体を形成する官能基である。例えば、アミノ基、カルボキシル基、チオ尿素基、チオール基、イミダゾール基、イミノ二酢酸(IDA)基、ポリアミン基、アミノリン酸基、イソチオニウム基、ジチオカルバミン酸基、グルカミン基等が挙げられる。特に、複数の官能基が無電解メッキ触媒に配位し、強固なキレート構造を形成するポリマーが好ましい。第2のポリマーにトラップされた無電解メッキ触媒は、触媒として機能できない。これにより、触媒活性妨害層11か形成された基材10の表面で、無電解メッキ膜の形成を抑制できる。
基材への密着性向上の観点から、第2のポリマーは、基材との親和性が高いセグメント(以下、「基材親和性セグメント」と適宜、記載する)と、無電解メッキ触媒をトラップする官能基を有する、無電解メッキ触媒と親和性が高いセグメント(以下、「無電解メッキ触媒親和性セグメント」と適宜、記載する)とを有するブロック共重合体が好ましい。中でも、これら二種類のセグメントを有するデンドリティックポリマーが好ましく、ハイパーブランチポリマーがより好ましい。例えば、ハイパーブランチポリマーの主鎖を基材親和性セグメントとし、樹状分岐部を無電解メッキ触媒親和性セグメントとする。これにより、無電解メッキ触媒親和性セグメントを基材表面に高密度に配置できる。基材親和性セグメントは、上述した第1のポリマーと同様に基材の種類に応じて適宜選択できる。
尚、本変形例の触媒活性妨害層11は、第2のポリマー以外のポリマーを含まなくてもよいし、また、第2のポリマーと共に、触媒活性を妨害する機能を有さない他のポリマーを含んでもよい。また、本変形例で説明した第2のポリマーには、上述した本実施形態の第1のポリマーとしても用いることができるポリマーも含まれる。
<変形例2>
上で説明した本実施形態及びその変形例1において製造されたメッキ部品100は、図2(c)に示すように、第1のポリマー又は第2のポリマーを含む触媒活性妨害層11を有するが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の製造方法は、更に、基材表面から妨害層11を除去する工程を含んでもよい。本変形例では、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、基材から触媒活性妨害層11を除去する。したがって、本実施形態で製造されるメッキ部品は、図2(c)に示すメッキ部品100とは異なり、妨害層11を有さない。
基材から妨害層11を除去する方法としては、基材を洗浄液で洗浄することによって、第1のポリマー又は第2のポリマーを洗浄液に溶出させて除去する方法が挙げられる。洗浄液は、第1のポリマー又は第2のポリマーを溶解させ、かつ基材を変質させない液であれば特に限定されず、基材、第1のポリマー、及び第2のポリマーの種類に応じて、適宜、選択できる。例えば、第1のポリマー又は第2のポリマーがトルエンに溶解するアクリル樹脂であり、基材がナイロン6Tを主成分とする樹脂基材である場合、基材をトルエンに浸漬して洗浄することにより、基材を変質させずに妨害層11を除去できる。
[第2の実施形態]
図3に示すフローチャートに従って、基材上に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。本実施形態では、第1のポリマー層の形成(図3のステップS11)、基材の表面の加熱又は光照射(同、ステップS2)、第1のポリマー層への触媒失活剤の浸透又は吸着(同、ステップS12)、基材表面への無電解メッキ触媒の付与(同、ステップS3)及び無電解メッキ(同、ステップS4)をこの順に実施する。
まず、第1の実施形態と同様の方法により、図4(a)の基材10の表面に第1のポリマー層12を形成する(図3のステップS11)。本実施形態で用いる基材10は、第1の実施形態と同様のものを用いることができるが、触媒失活剤が直接、吸着又は浸透し難い基材が特に適している。そのような基材10としては、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、液晶ポリマー、ガラス、セラミックス等が挙げられる。また、第1のポリマー層12を形成する第1のポリマーとしては、第1の実施形態と同様のものを用いることができるが、触媒失活剤が吸着又は浸透し易いポリマーが好ましい。このような第1のポリマーとしては、基材親和性セグメントと、触媒失活剤親和性セグメントとを有するブロック共重合体が好ましく、これら二種類のセグメントを有するデンドリティックポリマーがより好ましく、これら二種類のセグメントを有するハイパーブランチポリマーが、更により好ましい。本実施形態においては、第1のポリマー層12は、基材10よりも、触媒失活剤が吸着又は浸透し易い材料が好ましい。
次に、第1の実施形態と同様の方法により、基材10の表面の加熱又は光照射(図3、ステップS2)を行なう。例えば、第1のポリマー層12が付与された基材10の表面に所定パターンのレーザー描画を行うと、図4(b)に示すように、加熱部分の第1のポリマー層12は除去され、所定パターンの第1のポリマー層除去部分10cが形成される。尚、第1の実施形態と同様に、加熱部分の妨害層11は、消失せずに、加熱により変質して第1のポリマー層12として機能しなくなってもよい。
次に、第1の実施形態と同様の方法により、第1のポリマー層12へ触媒失活剤の浸透又は吸着を行う(図3、ステップS12)。触媒失活剤が、第1のポリマー層12に吸着又は浸透することにより、図4(c)に示すように、基材10の表面には、第1のポリマーと触媒失活剤を含む触媒活性妨害層11が形成される。一方、本実施形態では、第1のポリマー層除去部分10cには、触媒失活剤は吸着又は浸透しないか、吸着又は浸透したとしても、その吸着量又は浸透量は後のメッキ膜形成に影響を与えない程度の微量である。第1のポリマー層除去部分10cに触媒失活剤を吸着若しくは浸透させない、又は吸着量若しくは浸透量を微量とする方法は、特に限定されない。例えば、基材10として、触媒失活剤が直接、吸着又は浸透し難いポリフェニレンスルファイド(PPS)、液晶ポリマー、ガラス、セラミックス等を用いる方法が挙げられる。この場合、触媒失活剤を吸着又は浸透し易い第1のポリマー層12には多量の触媒失活剤が吸着又は浸透する。一方で、第1のポリマー層除去部分10cには触媒失活剤が吸着又は浸透しないか、吸着又は浸透したとしても、その吸着量又は浸透量は微量である。また、他の方法としては、触媒失活剤を溶解又は分散させた触媒失活剤液を第1のポリマー層12に接触させる場合に、触媒失活剤液の濃度及び接触時間を調整する方法が挙げられる。第1のポリマー層12は、基材10よりも、触媒失活剤が吸着又は浸透し易い。このため、触媒失活剤液の濃度及び接触時間を調整することによって、第1のポリマー層12に多量の触媒失活剤を吸着又は浸透させ、一方で、第1のポリマー層除去部分10cには触媒失活剤を吸着又は浸透させないか、吸着又は浸透したとしても、その吸着量又は浸透量を微量とすることができる。触媒失活剤液の濃度及び接触時間は、第1のポリマー及び基材の種類によって、適宜、調整できる。
次に、第1の実施形態と同様の方法により、基材10の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(図3のステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、図4(d)に示すように、基材表面の加熱部分(第1のポリマー層除去部分10c)に無電解メッキ膜85を形成し、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品200を製造する。
更に、本実施形態は、第1の実施形態と同様に、必要に応じて、無電解メッキ膜上に、異なる種類の無電解メッキ膜を形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。また、第1の実施形態と同様に、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図3のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、基材から触媒失活剤を除去してもよし、妨害層11を除去してもよい。
本実施形態では、第1の実施形態と同様、様々な材質の基材に対して簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。特に、触媒失活剤を直接、付与し難い、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ガラス、セラミックス等を基材とした場合に有用である。
また、第1の実施形態では、触媒活性妨害層11の形成工程(図1のステップS1)と、無電解メッキ触媒の付与工程(図1のステップS3)との間に、基材の加熱又は光照射工程(図1のステップS2)を挟む。これに対して、本実施形態では、触媒活性妨害層11を形成した後(図3のステップS12の後)、連続的して無電解メッキの付与工程(図3のステップS3)及び無電解メッキ工程(図3のステップS4)を行うことができる。したがって、本実施形態では、基材の加熱又は光照射工程において、温度変化や基材11への摩擦に起因して、触媒活性妨害層11から触媒失活剤が離脱したり、触媒失活剤が基材表面の加熱部分(図4(c)の第1のポリマー層除去部分10c)へ拡散したりする虞がない。よって、より確実に選択的にメッキ膜85を形成できる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、表面に延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有する基材を用いる。そして、第1のパターンを形成する凸部及び/又は凹部に無電解メッキ膜を形成する。第1の実施形態と同様に、図1に示すフローチャートに従って、本実施形態のメッキ部品の製造方法について説明する。
まず、延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有する基材の表面に、触媒活性妨害層を付与する(図1のステップS1)。
図5(a)及び(b)に示す本実施形態の基材60は板状体であって、一方の面60a上に、複数の直線状に延在する凸部61が略平行に配列され、隣接する凸部61同士の間に凹部62が形成される。このように、本実施形態では、基材60の面60aの全面に、複数の凸部61によって所定の第1のパターンが形成される。即ち、本実施形態では、基材60の面60aの全面が、第1のパターンが形成された領域である。
基材の材料は、第1の実施形態と同様のものを使用でき、基材は市販品であってもよいし、市販の材料から成形等により製造してもよい。基材表面の凸部及び凹部は、成形時に同時に形成してもよし、成形後に切削加工、エッチング、熱プレス等によって形成してもよい。
面60a上に延在する凸部61の断面形状は特に限定されないが、凸部を金型を用いて形成する場合、金型が抜けやすいように、面60aから離れるほど先細りする形状が好ましく、例えば、半円、三角形、台形等が挙げられる。本実施形態では、凸部61の断面形状を台形とする。尚、凸部61の断面形状とは、凸部61において、面60aに垂直で、且つ、凸部60の延在方向に垂直な断面の形状である。
後述する凸部61の加熱工程において凹部62に熱が拡散するのを防ぐ観点から、凸部61の幅Wは、0.1mm〜100mmが好ましく、2mm〜10がより好ましく、高さHは、0.05mm〜10mmが好ましく、0.1mm〜5mmがより好ましく、ピッチPは、0.5mm〜100mmが好ましく、1mm〜10mmがより好ましい。また、凸部61を均一に加熱する観点から、凸部61の高さHは、ほぼ一定が好ましい。
触媒活性妨害層11は、第1の実施形態と同様の方法により形成できる。触媒活性妨害層11は、基材60の少なくとも所定の第1のパターンが形成された領域に付与する。
次に、図6(a)に示すように、加熱板70を用いて、第1のパターンを形成する凸部61の頂部61aを加熱する(図1のステップS2)。このとき、加熱板70を頂部61aに直接、接触させて熱プレスしてもよいし、加熱板70を頂部61aに近づけることにより十分に頂部61aを加熱できるのであれば、加熱板70は直接頂部61aに接触させなくてもよい。加熱板70としては、例えば、ステンレス、アルミ等の安価な金属板を使用できる。基材の凸部61を加熱する加熱温度、加熱時間、また、プレスする場合におけるプレス圧力は、基材の融点等の耐熱性、触媒活性妨害層の種類等に依存して適宜決定できる。例えば、加熱温度(加熱板の温度)は、100℃〜350℃、加熱時間は、1秒〜120秒、プレス圧力は、1kgf/cm〜1000kgf/cmとすることができる。
図6(b)に示すように、加熱された凸部61の頂部61aに存在する触媒活性妨害層11は、頂部61aの表面から除去される。尚、基材及び加熱条件によっては、触媒活性妨害層11と共に頂部61aの表層部分が蒸発して消失してもよい。このように、本実施形態では、凸部61の頂部61aを加熱することにより、基材60の表面に、頂部61aを含む第1のパターンの妨害層除去部分が形成される。そして、頂部61a以外の領域が、妨害層残存部分となる。
次に、第1の実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(図1のステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、加熱した頂部61aのみに無電解メッキ膜85が形成され、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品300を製造できる。更に、本実施形態は、第1の実施形態と同様に、必要に応じて、無電解メッキ膜上に、異なる種類の無電解メッキ膜を形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。また、第1の実施形態と同様に、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、基材から触媒失活剤又は触媒活性妨害層11を除去してもよい。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、簡易な製造プロセスにより第1のパターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、第1のパターンのみに無電解メッキ膜を形成できる。更に、本実施形態では、メッキ膜を形成する部分を凸部61とすることで、凸部61以外への熱の拡散を抑制でき、明確なメッキ膜パターンを形成できる。また、本実施形態のメッキ膜を電気配線パターンや電気回路として利用する場合、配線となるメッキ膜85は凸部61の頂部61a上に形成されているため、隣接する配線間の実効的な配線間距離が長くなり、配線間の絶縁性能が向上する。これにより、電子部品の配線密度を高められる。また、本実施形態では、レーザー光を用いず、安価なステンレス、アルミ等で形成可能な加熱板を用いて基材60を加熱するため、安価に短時間で大型のMIDを製造可能である。製品形状に合わせた加熱板(プレス型)も加工が容易なアルミで簡便に作製することができる。更に、本実施形態では、加熱部分を凸部61とすることで、凸部61と接触する面70aが平面である加熱板70を用いることができる。即ち、所望のメッキ膜のパターン毎に加熱板を用意する必要がなく、製造コストを削減できる。
<変形例1>
次に、図7(a)〜(c)及び図8に示す、本実施形態の変形例1について説明する。上述した本実施形態では、凸部60と接触する面70aが平面である加熱板70を用いたが(図6(a)参照)、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図7(a)に示すような加熱板90を用いて、基材60を熱プレスしてもよい。加熱板90は、基材60と接触する面90a上に延在する突出部91を有する。突出部91は、面90a上に、基材60の第1のパターンに対応する第2のパターンを形成する。本変形例では、基材の加熱工程(図1のステップS2)において、基材60の凸部61により形成される第1のパターンに、加熱板90の突出部91により形成される第2のパターンを接触させて、加熱板90により基材60を熱プレスする。これにより、図7(b)に示すように、凸部61の頂部61aに、突出部91に対応する窪み61bが形成される。その後、第1の実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(図1のステップS3)、無電解メッキ液を接触さる(同、ステップS4)。これにより、本変形例では、図7(c)及び図8に示すように、窪み61b内に無電解メッキ膜85が形成され、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品400を製造できる。無電解メッキ膜85が窪み61b内に形成されることで、本変形例では、無電解メッキ膜85の基材60に対する密着強度が向上する。加熱板90の突出部91が基材60の凸部61に窪み61bを形成するため、突出部91の幅W1及び高さH1は、それぞれ、凸部61の幅W及び高さHより小さいことが好ましい。本実施形態では、凸部61よりも小さい突出部91により基材60を加熱するため、凸部61周辺への熱の拡散を抑えられる。
<変形例2>
次に、図9に示す本実施形態の変形例2について説明する。上述した本実施形態では、凸部60により第1のパターンが形成され、無電解メッキ膜85を凸部61に形成したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図9に示すように、凹部62により第1のパターンが形成され、凹部62の底62aに無電解メッキ膜85を設けてもよい。上述した本実施形態では、基材60に触媒活性妨害層11を形成した後(図1のステップS1)、加熱された加熱板70を用いて、凸部61の頂部61aを加熱して加熱部分の触媒活性妨害層11を除去する(同、ステップS2)。一方、本変形例では、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60に触媒活性妨害層11を形成した後(同、ステップS1)、凹部62の底62aにレーザー光を照射することにより、レーザー照射部分の触媒活性妨害層11を除去する(図1のステップS2)。その後、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を付与し(同、ステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、レーザー光を照射した底62aのみに無電解メッキ膜85が形成され、メッキ部品500を製造できる。本変形例では、レーザー光照射を使用するため、加熱板を用いる場合と比較して、加熱部分周辺への熱の拡散を抑えられる。このため、凸部及び凹部の大きさを小さくして、電子部品の配線密度を更に高められる。例えば、レーザー光を用いる場合、図5(b)に示す凸部61の幅Wは、10μm〜1000μmが好ましく、50μm〜500μmがより好ましく、高さHは、10μm〜200μmが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、ピッチPは、10μm〜1000μmが好ましく、30μm〜100μmがより好ましい。
<変形例3>
更に、図10に示す本実施形態の変形例3について説明する。本変形例では、図10に示すように、凸部61及び凹部62により第1のパターンが形成され、凸部61の頂部61aと、凹部62の底62aとの両方に無電解メッキ膜85を形成する。まず、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60に触媒活性妨害層11を形成する(図1、ステップS1)。その後、凸部61の頂部61a及び凹部62の底62aの両方に存在する触媒活性妨害層11を除去する。触媒活性妨害層11を除去する方法としては、例えば、頂部61a及び底62aの両方にレーザー光を照射してもよいし、他の方法としては、頂部61aには加熱板を接触させ、底62aにはレーザー光を照射してもよい(図1、ステップS2)。その後、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(同、ステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、頂部61a及び底62aの両方に無電解メッキ膜85が形成され、メッキ部品600を製造できる。本変形例では、凸部61と凹部62の両方にメッキ膜を形成することで、電子部品の配線密度を更に高められる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。
[実施例1]
本実施例では、基材として樹脂成形体(ナイロン)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとしてアクリル樹脂を、触媒失活剤としてヨウ素を用いた。
(1)樹脂成形体の成形
汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて、高融点(310℃)のガラス繊維45%含有芳香族ナイロン(GF強化芳香族ナイロン)(東洋紡製、バイロアミドMJ−385JT)を4cm×6cm×0.2cmの板状体に成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
本実施例では、基材表面にアクリル樹脂層(第1のポリマー層)を形成し、アクリル樹脂層にヨウ素を浸透させて触媒活性妨害層を形成した。まず、アミノエチルアクリルポリマー(日本触媒製、ポリメントNK−350、固形分濃度45%)33.3gに、トルエン(和光純薬製試薬)266gを加えて撹拌し、濃度5重量%の樹脂用溶液を調製した。この樹脂溶液をディップコートにて基材に塗布し、80℃の乾燥機で5分間乾燥させた。これにより、基材上にアクリル樹脂層を形成した。
アクリル樹脂層の膜厚を以下に説明する方法により測定した。まず、本実施例と同一の条件で樹脂層を形成した膜厚測定用試料を作製した。膜厚測定用試料の樹脂層の一部を金属製スパチュラで傷をつけて基材を露出させ、レーザー顕微鏡(キーエンス製、VK−9710)で樹脂層表面と露出した基材表面との段差を測定し、この測定値を樹脂層の膜厚とした。アクリル樹脂層の膜厚は、1.5μmであった。
次に、以下の手順で、ヨウ素濃度1.5重量%、ヨウ化カリウム濃度6重量%、水とエタノール混合溶液を溶媒とするヨウ素溶液を調製した。まず、水194.5gにヨウ化カリウム(和光純薬製試薬)18.0gを溶解し、ヨウ化カリウム水溶液を調製した。次に、調製したヨウ化カリウム水溶液に、ヨウ素(和光純薬製試薬)4.5gを加え、攪拌して完全に溶解させた。更にエタノール(和光純薬製試薬)83.0gを加え、ヨウ素溶液を得た。このヨウ素溶液に、アクリル樹脂層を形成した基材を浸漬させ、室温で1分間放置した。成形体をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。これにより、ヨウ素がアクリル樹脂層に浸透し、成形体上にヨウ素とアクリル樹脂を含む触媒活性妨害層が形成された。尚、ヨウ素溶液への浸漬前後で、アクリル樹脂層の膜厚に変化はないと推測される。したがって、触媒活性妨害層の膜厚は、上述した膜厚測定試料により測定された樹脂層の膜厚と同一であり、1.5μmである。
(3)レーザー描画
触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体に、レーザー描画装置(キーエンス製、MD−V9929WA、YVOレーザー、波長1064nm)を用いて、レーザー強度80%、描画速度500mm/sec、周波数50kHzでレーザー描画を行った。描画したパターンは、5mm×5cm領域を0.1mmピッチで複数個並べたパターンである。
(4)無電解メッキ触媒の付与
レーザー描画を行った成形体の表面に、市販の無電解メッキ用触媒液を用いた汎用の方法により、無電解メッキ触媒を付与した。まず、レーザー描画を行った成形体を常温の感応性付与剤(奥野製薬工業製、センシタイザー)に浸漬し、5分間超音波を照射してセンシタイザー処理を行い、成形体表面にスズコロイドを吸着させた。その後、成形体を感応性付与剤から取り出し、十分に水洗した。次に、成形体を常温の触媒化処理剤(アクチベータ、奥野製薬工業製)に浸漬し、2分間放置してアクチベータ処理を行い、成形体表面にパラジウムを吸着させた。その後、樹脂成形体を触媒化処理剤から取り出し、十分に水洗した。
(5)無電解メッキ
無電解メッキ触媒を付与した成形体を61℃の無電解銅メッキ液(奥野製薬工業製、OPC−NCA)に15分浸漬して、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例2]
本実施例では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとしてハイパーブランチポリマーを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(ナイロン)を成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
本実施例では、基材表面にハイパーブランチポリマー層(第1のポリマー層)を形成し、ハイパーブランチポリマー層にヨウ素を浸透させて触媒活性妨害層を形成した。尚、本実施例で用いたハイパーブランチポリマーは、主鎖がスチレン系ポリマーであり、樹状分岐部の末端にジチオカルバメート基を有する。主鎖が基材との親和性が高いセグメント(基材親和性セグメント)であり、樹状分岐部が触媒失活剤と親和性が高いセグメント(触媒失活剤親和性セグメント)である。
まず、ハイパーブランチポリマー(日産化学工業株式会社製、HYPERTECH HPS−200)6.0gをメチルエチルケトン(和光純薬製試薬)92.5gに溶解させ、更に酢酸エチル(和光純薬製試薬)92.5gを加え、濃度3.0重量%の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液をディップコートにて基材に塗布し、80℃の乾燥機で5分間乾燥させた。これにより、基材上にハイパーブランチポリマー層を形成した。次に、実施例1と同様のヨウ素溶液にハイパーブランチポリマー層を形成した基材を浸漬させ、室温で3分間放置した。基材をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。これにより、ヨウ素がハイパーブランチポリマー層に浸透し、基材上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、1.0μmであった。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例3]
本実施例では、基材として樹脂成形体(ポリフェニレンスルファイド(PPS))を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形
ナイロンの代わりに、ガラス繊維強化PPS(帝人株式会社製、1040G、黒色)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
実施例2と同様の方法により、基材上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層を形成した。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、1.0μmであった。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した基材に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例4]
本実施例では、基材としてガラスを、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを、レーザー描画にCOレーザー描画装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
(1)基材
基材として、7.6cm×5.2cm×1.0cmのガラス板(松波ガラス工業株式会社製、大型スライドグラスS9112を用意した。
(2)触媒活性妨害層の形成
実施例2と同様の方法により、基材上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層を形成した。ハイパーブランチポリマー層にヨウ素が浸透したことにより、基材表面は茶色に変色した。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、0.9μmであった。
(3)レーザー描画
レーザー描画装置として、COレーザー描画装置(パナソニック製、LP−310、光源CO、レーザー発振部の出力:平均12W、発光ピーク波長:10.6μm)を用い、レーザー強度80%、描画速度500mm/secでレーザー描画を行った。描画パターンは、実施例1と同様とした。
(4)無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
レーザー描画を行った成形体に、実施例1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例5]
本実施例では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを、メッキ液として無電解ニッケルメッキ液を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(ナイロン)を成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
実施例2と同様の方法により、成形体上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層を形成した。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、1.0μmであった。
(3)レーザー描画及び無電解メッキ触媒の付与
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画及び無電解メッキ触媒の付与をこの順に行った。
(4)無電解メッキ
無電解メッキ触媒を付与した成形体を85℃の無電解ニッケルメッキ液(奥野製薬工業製、SEP−RCH−LF)に15分浸漬して、成形体表面に無電解ニッケル膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例6]
本実施例では、基材として樹脂成形体(ナイロン)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとしてハイパーブランチポリマーを、触媒失活剤としてヨウ素を用いた。本実施例で用いたハイパーブランチポリマーは、実施例2で用いたハイパーブランチポリマーとは異なり、主鎖がスチレン系ポリマーであり、樹状分岐部の末端にアミノ基を有する。主鎖が基材との親和性が高いセグメント(基材親和性セグメント)であり、樹状分岐部が触媒失活剤と親和性が高いセグメント(触媒失活剤親和性セグメント)である。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(ナイロン)を成形した。
(2)アミノ基を有するハイパーブランチポリマーの合成
以下に説明する合成工程(a)〜(c)により、実施例2で用いたハイパーブランチポリマーの樹状分岐部末端のジチオカルバメート基をアミン基に置換した。
合成工程(a)ハロゲン原子を樹状分岐部末端に有するハイパーブランチポリマーの合成
還流管を取り付けた500ml反応フラスコに、ハイパーブランチポリマー(日産化学工業株式会社製、HYPERTECH HPS−200)18g、クロロホルム100gを入れて系内を窒素置換し、攪拌によりクロロホルムにポリマーを溶解させてハイパーブランチポリマー溶液を調製した。また、別の窒素置換容器において、クロロホルム80gに臭素30gを溶解し、臭素溶液を調製した。反応フラスコ内のハイパーブランチポリマー溶液に臭素溶液を滴下により加えて、3時間還流して合成反応を行い、反応物が溶解した液(反応液)を得た。合成反応後、反応フラスコ内の反応液を25℃まで冷却し、反応液中に生成した橙色沈殿物をろ過にて除去した。沈殿物を除去した反応液に飽和食塩水及び20重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて、反応液から水溶性成分を除去して反応液を洗浄した。洗浄した反応液をメタノール800gに滴下して、反応物を沈殿させて、分離、乾燥を行い、黄色粉末を得た。得られた黄色粉末を再度、クロロホルム75gに溶解し、得られた溶液を800gのメタノールに滴下して再沈殿させて、分離、乾燥を行い、無色粉末7.5gを得た。得られた無色粉末は、合成工程(a)の出発物質であるハイパーブランチポリマーのジチオカルバメート基が臭素に置換されたハイパーブランチポリマーであった。
合成工程(b)第三級アミノ基を樹状分岐部末端に有するハイパーブランチポリマーの合成
還流管を取り付けた300ml反応フラスコに、合成工程(a)で得たハイパーブランチポリマー6g、N,N−ジメチルホルムアミド60g、フタルイミドカリウム7gを入れて系内を窒素置換した。この反応フラスコ内の混合物を撹拌しながら、温度80℃で5時間加熱して合成反応を行い、反応物が溶解した液(反応液)を得た。合成反応後、反応フラスコ内の茶褐色の反応液を25℃まで冷却し、イオン交換水120gを加えて反応物を再沈殿させて、ろ過し、茶色固体を得た。この固体をクロロホルム60gに溶解し、メタノール500gを加えて再沈殿させ、ろ過、乾燥を行い、薄茶色粉末7gを得た。得られた薄茶色粉末は、合成工程(b)の出発物質であるハイパーブランチポリマーの臭素が第3級アミノ基に置換されたハイパーブランチポリマーであった。
合成工程(c)第一級アミノ基を樹状分岐部末端に有するハイパーブランチポリマーの合成
還流管を取り付けた300ml反応フラスコに、合成工程(b)で得たハイパーブランチポリマー6.0g、N,N−ジメチルホルムアミド60g、ヒドラジン一水和物3.5gを入れて系内を窒素置換した。この反応フラスコ内の混合物を撹拌しながら、温度153℃で5時間加熱して合成反応を行い、反応物が溶解した液(反応液)を得た。合成反応後、反応フラスコ内の反応液を温度25℃まで冷却し、得られた茶褐色の反応液をアセトン300gを入れたビーカーに移して再沈殿させて、ろ過、乾燥を行い、薄茶色固体2.8gを得た。得られた薄茶色固体は、合成工程(c)の出発物質であるハイパーブランチポリマーの第3級アミノ基が第1級アミノ基に置換されたハイパーブランチポリマーであった。
(3)触媒活性妨害層の形成
合成した第1級アミノ基を有するハイパーブランチポリマー2.7gを、1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬製試薬)177.3gに溶解させ、濃度1.5重量%の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液をディップコートにて基材に塗布し、150℃の乾燥機で5分間乾燥させた。これにより、基材上にハイパーブランチポリマー層を形成した。次に、実施例1と同様のヨウ素溶液にハイパーブランチポリマー層を形成した基材を浸漬させ、室温で1分間放置した。基材をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。これにより、ヨウ素がハイパーブランチポリマー層に浸透し、基材上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、0.6μmであった。
(4)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例7]
本実施例では、基材としてポリフェニレンスルファイド(PPS)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを、触媒失活剤としてヨウ素を用いた。また、実施例1とは異なり、基材表面のポリマー層へ触媒失活剤を付与する前に、レーザー描画を行った。
(1)樹脂成形体の成形
実施例3と同様の方法により、基材として樹脂成形体(PPS)を成形した。
(2)ポリマー層の形成
以下に説明する方法により、基材表面にハイパーブランチポリマー層(第1のポリマー層)を形成した。実施例2で調製した濃度3.0重量%のハイパーブランチポリマー溶液50gにメチルエチルケトンと酢酸エチルの1:1混合溶液150gを加え、濃度0.5重量%の樹脂溶液を調製した。この樹脂をディップコートにて基材に塗布し、80℃の乾燥機で5分間乾燥させた。
(3)レーザー描画
ポリマー層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画を行った。
(4)触媒失活剤の付与
実施例1で調製した1.5重量%ヨウ素溶液20gに、水280gを加えて、0.1重量%ヨウ素溶液を調製した。このヨウ素溶液に、レーザー描画を施した基材を浸漬し、室温で30秒間放置した。その後、基材をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。これにより、ヨウ素がハイパーブランチポリマー層に浸透し、成形体上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、0.1μmであった。
(5)無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例8]
本実施例では、基材として樹脂成形体(ナイロン)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを、触媒失活剤としてヨウ素を用いた。また、実施例1とは異なり、ハイパーブランチポリマーに触媒失活剤を混合して成形体上に塗布することにより、触媒活性妨害層を形成した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(ナイロン)を成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
本実施例では、ハイパーブランチポリマーに触媒失活剤を混合して成形体上に塗布することにより、触媒活性妨害層を形成した。まず、ヨウ素1.0gを、酢酸エチル99gに溶解させ、1重量%ヨウ素溶液を調製した。次に、ハイパーブランチポリマー(日産化学工業株式会社製、HYPERTECH HPS−200)2gをメチルエチルケトン98gに溶解させ、2重量%ハイパーブランチポリマー溶液を調製した。このハイパーブランチポリマー溶液を攪拌しながら、先に調製したヨウ素溶液をゆっくりと滴下し、ヨウ素とハイパーブランチポリマーの混合溶液を調製した。この混合溶液をディップコートにて基材に塗布し、常温で放置して乾燥させた。これにより、成形体上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、0.5μmであった。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例9]
本実施例では、基材として樹脂成形体(ナイロン)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを、触媒失活剤としてトリフェニルアンチモンジクロリドを用いた。また、実施例1とは異なり、ハイパーブランチポリマーに触媒失活剤を混合して成形体上に塗布することにより、触媒活性妨害層を形成した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(ナイロン)を成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
本実施例では、ハイパーブランチポリマーに触媒失活剤を混合して成形体上に塗布することにより、触媒活性妨害層を形成した。まず、トリフェニルアンチモンジクロリド3gを、メチルエチルケトン97gに溶解させ、3重量%トリフェニルアンチモンジクロリド溶液を調製した。次に、ハイパーブランチポリマー(日産化学工業株式会社製、HYPERTECH HPS−200)6gをメチルエチルケトン94gに溶解させ、6重量%ハイパーブランチポリマー溶液を調製した。このハイパーブランチポリマー溶液とトリフェニルアンチモンジクロリド溶液とを混合し、トリフェニルアンチモンジクロリドとハイパーブランチポリマーの混合溶液を調製した。この混合溶液をディップコートにて基材に塗布し、常温で放置して乾燥させた。これにより、成形体上にトリフェニルアンチモンジクロリドとハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、1.1μmであった。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例10]
本実施例では、基材として樹脂成形体(ナイロン)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとしてアクリル樹脂を、触媒失活剤として硫化アンチモンを用いた。また、実施例1とは異なり、アクリル樹脂に触媒失活剤を混合して成形体上に塗布することにより、触媒活性妨害層を形成した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(ナイロン)を成形した。
(2)触媒活性妨害層の形成
本実施例では、アクリル樹脂に触媒失活剤を混合して成形体上に塗布することにより、触媒活性妨害層を形成した。まず、硫化アンチモン1gを、イソプロピルアルコール(和光純薬製試薬)99gに溶解させた後、不溶物をろ過にて除去し、硫化アンチモン溶液を調製した。次に、アミノエチル化アクリルポリマー(日本触媒製、ポリメントNK−350、固形分濃度45%)13.3gをイソプロピルアルコール86.7gに溶解させ、6重量%アミノエチル化アクリルポリマー溶液を調製した。このアミノエチル化アクリルポリマー溶液と硫化アンチモン溶液とを混合し、硫化アンチモン溶液とアミノエチル化アクリルポリマーの混合溶液を調製した。この混合溶液をディップコートにて基材に塗布し、常温で放置して乾燥させた。これにより、成形体上に硫化アンチモンとアミノエチル化アクリルポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、1.1μmであった。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[実施例11]
本実施例では、基材として発泡成形体(ポリカーボネートとABSのアロイ樹脂)を、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして実施例2で用いたものと同様のハイパーブランチポリマーを、触媒失活剤としてヨウ素を用いた。また、本実施例では、表面に延在する凸部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有する基材を用いた。
(1)樹脂成形体の成形
(a)射出成形装置
図11に示す、本実施例で用いた射出成形機1000について説明する。射出成形機1000は、可塑化スクリュ70を備えた可塑化シリンダ700と、可塑化シリンダ700に物理発泡剤である窒素を供給する圧力14MPaの窒素ボンベ80と、可塑化シリンダ700から溶融樹脂が射出充填される金型90が設けられた型締めユニット900とを備える。溶融樹脂と接触する金型90の表面には台形状の直線溝を含むパターンが形成されている。
可塑化シリンダ700は、従来公知の可塑化シリンダと同様に、可塑化シリンダ700の後方側から見た場合に、可塑化スクリュ70を反時計回りに回転させると溶融樹脂を前方(下流側、金型90側)に送る正回転をし、時計回りに回転させると逆回転するように構成されている。また、可塑化シリンダ700は、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化して溶融樹脂とする可塑化ゾーン71、溶融樹脂と物理発泡剤を混練する高圧混練ゾーン72、物理発泡剤と混練した溶融樹脂の樹脂内圧を低下させ、物理発泡剤の一部を溶融樹脂から分離させる減圧ゾーン73が形成される。
高圧混練ゾーン72には、導入バルブ76を介して窒素ボンベ80が接続している。減圧ゾーン73には、ベント74が設けられ、ベント74には背圧弁75が接続されている。溶融樹脂から分離した物理発泡剤は、ベント74及び背圧弁75を介して可塑化シリンダ700の外部へ排気される。そして、減圧ゾーン73の圧力は、背圧弁75の設定圧力により一定に制御できる。本実施例では、背圧弁75の設定圧力を8MPaとした。高圧混練ゾーン72と減圧ゾーン73の間には、これらの連通状態を一時的に遮断するシール機構Sが配設されている。シール機構Sは、可塑化スクリュ70を逆回転することにより、高圧混練ゾーン72と減圧ゾーン73との連通を遮断し、可塑化スクリュ70を正回転することにより両ゾーンを連通させる。本実施例では、シール機構Sとして、国際公開公報第2012/120637号に開示されるシール機構を用いた。
(b)成形方法
まず、可塑化シリンダ700の可塑化ゾーン71において、ポリカーボネートとABSのアロイ樹脂(帝人製、マルチロンTN−7500−MC)を可塑化溶融して溶融樹脂とした。可塑化スクリュ70を正回転することにより、溶融樹脂を可塑化ゾーン71から高圧混練ゾーン72へ送った。次に、可塑化スクリュ70を逆回転させ、シール機構Sにより高圧混練ゾーン72と減圧ゾーン73との連通を遮断した。高圧混練ゾーン72と減圧ゾーン73との連通を遮断した状態で、窒素ボンベ80中の窒素を減圧弁にて10MPaに減圧し、導入バルブ76を2秒間開放して高圧混練ゾーン72に導入し、溶融樹脂と混合した。窒素と溶融樹脂を混合した後、可塑化スクリュ70を正回転に戻した。これにより、高圧混練ゾーン72と減圧ゾーン73とが連通し、窒素と混合された溶融樹脂は減圧ゾーン73に送られて減圧され、溶融樹脂中の窒素の一部が溶融樹脂から分離され、背圧弁から可塑化シリンダの外へ排気された。可塑化シリンダ70を更に正回転することにより、窒素が分離された溶融樹脂を下流へ送り計量し、計量した溶融樹脂を金型90内へ射出充填した。金型90に圧力20MPaの保圧をかけた後、キャビティの厚みが2倍となるように金型90を開くコアバック法にて、比重を50%軽量化した発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、縦100mm×横200mm×厚み4mmの平板であり、金型の直線溝を含むパターンに対応して、凸部によるパターン(第1のパターン)が形成されていた。図5(b)に示す、凸部の幅(台形の底辺)Wは1mm、高さHは1mm、ピッチPは2mmとした。また、凸部の長さは50mmとし、基材の表面に10本の凸部を含む第1のパターンを形成した。本実施例の発泡成形体の平均セル径は40μmであった。また、成形体の表面には、Raが数μm程度の筋状のスワルマークと呼ばれる発泡痕が認められた。
(2)触媒活性妨害層の形成
本実施例では、基材表面にハイパーブランチポリマー層(第1のポリマー層)を形成し、ハイパーブランチポリマー層にヨウ素を浸透させて触媒活性妨害層を形成した。まず、ハイパーブランチポリマー(日産化学工業株式会社製、HYPERTECH HPS−200)10gをメチルエチルケトン(和光純薬製試薬)、190gに溶解させ、濃度5重量%の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液をディップコートにて基材に塗布し、80℃の乾燥機で5分間乾燥させた。これにより、基材上にハイパーブランチポリマー層を形成した。
次に、実施例1で調製した1.5重量%ヨウ素溶液にハイパーブランチポリマー層を形成した基材を浸漬させ、室温で5分間放置した。その後、成形体をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。これにより、ヨウ素がハイパーブランチポリマー層に浸透し、成形体上にヨウ素とハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層が形成された。ハイパーブランチポリマー層にヨウ素が浸透したことにより、基材表面は茶色に変色した。実施例1と同様の方法により触媒活性妨害層の厚みを測定した。触媒活性妨害層の厚みは、1.4μmであった。
(3)基材の加熱
ホットエンボス装置(エンジアリング・システム社製、AHHE0101)を用いて、図6(a)に示すように、基材60を熱プレスした。凸部61を加熱する加熱板70として、凸部61と接触する面70aが平坦な平板状のアルミ鋼材を含むプレス板を用いた。まず、上部プレス板(加熱板)70と、下部プレス板(図示せず)との間に、凸部61が上部プレス板(加熱板)70と対向するように基材60を配置した。そして、上部プレス板(加熱板)70の温度を180℃、下部プレス板の温度を室温(25℃)とし、プレス時間10秒間、プレスストローク10μmで、基材60を熱プレスした。上部プレス板(加熱板)70により熱プレスされた凸部61の頂部61aは、茶色から白色に変色していた。これから、加熱により、頂部61aの触媒活性妨害層が蒸発して除去されたと推測される。また、発泡セルに変形は認められなかった。
(4)無電解メッキ触媒の付与
触媒化処理剤(アクチベータ、奥野製薬工業製)に基材を浸漬する時間を1分間としたこと以外は、実施例1と同様の方法により基材へ無電解メッキ触媒を付与した。
(5)無電解メッキ
実施例1と同様の方法により、無電解メッキを行った。これにより、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実施例のメッキ部品を得た。
[比較例1]
本比較例では、触媒活性妨害層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
[比較例2]
本比較例では、基材上に触媒活性妨害層を形成する代わりに、直接、触媒失活剤(ヨウ素)を付与した以外は、実施例3と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例3と同様の方法により、基材として樹脂成形体(PPS)を成形した。
(2)触媒失活剤の付与
実施例1で調製した1.5重量%ヨウ素溶液に基材を浸漬させ、室温で3分間放置した。基材をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
ヨウ素を付与した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。以上説明した製造方法により、本比較例のメッキ部品を得た。
[比較例3]
本比較例では、基材上に触媒活性妨害層を形成する代わりに、直接、触媒失活剤(ヨウ素)を付与した以外は、実施例4と同様の方法により本比較例のメッキ部品を製造した。
(1)基材
基材として、実施例4で用いたガラス板と同様のガラス板を用意した。
(2)触媒失活剤の付与
実施例4と同様の方法により、基材をヨウ素溶液に浸漬させて引き上げた。本比較例では、実施例4とは異なり、基材の色の変化は認められなかった。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
ヨウ素を付与した成形体に、実施例4と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。以上説明した製造方法により、本比較例のメッキ部品を得た。
[比較例4]
本比較例では、基材上に形成した樹脂層に触媒失活剤(ヨウ素)を付与する工程を設けなかったこと以外は、実施例3と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例3と同様の方法により、基材として樹脂成形体(PPS)を成形した。
(2)樹脂層の形成
実施例2で調製した3重量%ハイパーブランチポリマー溶液をディップコートにて基材に塗布し、80℃の乾燥機で5分間乾燥させた。これにより、基材上にハイパーブランチポリマー層を形成した。
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
ハイパーブンランチポリマー層を形成した成形体に、実施例3と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。以上説明した製造方法により、本比較例のメッキ部品を得た。
[評価]
以上説明した実施例1〜11及び比較例1〜4において製造したメッキ部品を目視にて観察し、以下の評価基準に従ってメッキ析出性とメッキ選択性を評価した。結果を表1に示す。
(1)メッキ析出性
○:レーザー描画部又は加熱部分にメッキ膜が成長している。
×:レーザー描画部又は加熱部分にメッキ膜が成長していない。
(2)メッキ選択性
○:レーザー描画部のみ又は加熱部分のみにメッキ膜が成長している。
×:メッキ膜が基材全体に成長している
Figure 0006616979
表1に示すように、実施例1〜11ではメッキ析出性及びメッキ選択性が共に良好であった。レーザー描画部又は加熱部分においては、触媒活性妨害層が除去されたために無電解メッキ膜が生成し、一方、それ以外の部分においては、触媒活性妨害層の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
実施例3、4及び7で用いたPPS及びガラスの基材は、触媒失活剤が、直接、浸透又は吸着し難い。実施例3、4及び7では、触媒失活剤が浸透又は吸着し難い基材であっても、触媒活性妨害層中のポリマーにより触媒失活剤をポリマー表面に留めることができ、選択的なメッキ膜の形成ができた。
また、上述のように、実施例11で基材として用いた発泡成形体の表面には発泡痕が認められた。このような基材に直接、触媒失活剤を付与した場合、基材表面に触媒失活剤が不均一に付着し、触媒失活性能にばらつきが生じる。実施例11では、発泡痕によって表面性の悪化した発泡成形体であっても、触媒活性妨害層中のポリマーにより触媒失活剤を表面に均一に塗布でき、選択的なメッキ膜の形成ができた。
一方、比較例1〜4では、メッキ膜が基材全体に成長してしまい、選択的なメッキ膜の形成ができなかった(メッキ析出性:○、メッキ選択性:×)。基材上に触媒活性妨害層を形成しなかった比較例1では、メッキ液に基材を入れた瞬間にメッキ反応が激しく生じて、15分後にはメッキ液が分解した。そして、基材全体にメッキ膜が形成された。また、触媒活性妨害層を形成する代わりに、基材に直接、触媒失活剤を付与した比較例2及び3においても、比較例1と同様に、メッキ液に基材を入れた瞬間にメッキ反応が激しく生じて、基材全体にメッキ膜が形成された。比較例2及び3で用いたPPS及びガラスの基材は、触媒失活剤であるヨウ素が浸透又は吸着し難い。このため、触媒失活剤であるヨウ素が基材上に留まることが出来ず、基材全体にメッキ膜が形成されたと推測される。
また、触媒活性妨害層の代わりに、基材上に触媒失活剤を含有しない樹脂層のみを形成した比較例4においても、比較例1と同様に、メッキ液に基材を入れた瞬間にメッキ反応が激しく生じて、基材全体にメッキ膜が形成された。比較例4で樹脂層形成に用いたポリマーはハイパーブランチポリマーであるが、無電解メッキ触媒をトラップする官能基を有さない。即ち、比較例4で用いたポリマーは、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨害する機能を有するポリマー(第2のポリマー)ではない。そのため、触媒失活剤を含有しない比較例4の樹脂層は、無電解メッキ反応を抑制することができず、基材全体にメッキ膜が形成されたと推測される。
本発明のメッキ部品の製造方法によれば、様々な材質の基材に対して簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。したがって、本発明は、電気回路を有する電子部品や、三次元回路部品(MID:Molded Interconnect Device)の製造に利用できる。
10 基材
10a 触媒活性妨害層除去部分
10b 妨害層残存部分
10c 第1のポリマー層除去部分
11 触媒活性妨害層
12 第1のポリマー層
60 基材
61 凸部
61a 凸部の頂部
61b 窪み
62 凹部
62a 凹部の底
70、90 加熱板
85 無電解メッキ膜
100、200、300、400、500、600 メッキ部品
1000 射出成形機

Claims (15)

  1. メッキ部品の製造方法であって、
    基材の表面に触媒活性妨害層を形成することと、
    基材の表面の一部を加熱又は光照射することと、
    前記基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させることと、
    前記無電解メッキ触媒を保持した前記基材の表面に無電解メッキ液を接触させ、前記表面の加熱部分又は光照射部分に無電解メッキ膜を形成することとを含み、
    前記触媒活性妨害層が、触媒失活剤と、第1のポリマーとを含有し、
    第1のポリマーが、デンドリティックポリマーであることを特徴とするメッキ部品の製造方法。
  2. 前記触媒失活剤が、ヨウ素、亜鉛、鉛、錫、ビスマス、アンチモン又はこれらの化合物のいずれかであることを特徴とする請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  3. 前記触媒失活剤が、ヨウ素であることを特徴とする請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  4. 前記デンドリティックポリマーが、ハイパーブランチポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  5. 前記触媒活性妨害層を形成することが、
    前記触媒失活剤と、第1のポリマーとを含む混合物を前記基材の表面に塗布することであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  6. 前記触媒活性妨害層を形成することが、
    前記基材の表面に第1のポリマーを含む第1のポリマー層を形成することと、
    第1のポリマー層に前記触媒失活剤を浸透又は吸着させることとを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  7. 前記基材の表面の一部を加熱又は光照射することにより、前記表面の加熱部分又は光照射部分から、前記触媒活性妨害層を除去することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  8. 前記触媒活性妨害層を形成すること、前記基材の表面の一部を加熱又は光照射すること、及び前記表面に無電解メッキ触媒を保持させることをこの順で行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  9. 前記基材の表面に第1のポリマー層を形成すること、前記表面の一部を加熱又は光照射すること、第1のポリマー層に前記触媒失活剤を浸透又は吸着させること、及び前記基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させることをこの順で行うことを特徴とする請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  10. 基材の表面の一部を加熱又は光照射することにより、前記表面の加熱部分又は光照射部分から、第1のポリマー層を除去することを特徴とする請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  11. 前記基材の表面の一部を加熱又は光照射することが、レーザー光を用いて前記基材表面にレーザー描画することであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  12. 前記基材は、その表面に延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有し、
    前記領域に触媒活性妨害層を形成し、
    第1のパターンを形成する前記凸部及び/又は前記凹部を加熱又は光照射することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  13. 前記基材は、その表面に延在する凸部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有し、
    加熱板を第1のパターンを形成する前記凸部に接触させて前記凸部を加熱することを特徴とする請求項12に記載のメッキ部品の製造方法。
  14. 前記加熱板の表面には、その表面に延在する突出部により、前記基材の第1のパターンに対応する第2のパターンが形成され、
    前記基材の前記凸部により形成される第1のパターンに前記加熱板の前記突出部により形成される第2のパターンを接触させて、前記加熱板により前記基材を熱プレスし、前記凸部を加熱すると共に前記凸部の頂部に窪みを形成することを特徴とする請求項13に記載のメッキ部品の製造方法。
  15. 前記無電解メッキ触媒の保持後、又は前記無電解メッキ膜の形成後に、更に、前記触媒活性妨害層から前記触媒失活剤を除去することを含む請求項1〜14のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
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