JP6552987B2 - メッキ部品 - Google Patents
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Description
図1に示すフローチャートに従って、基材上に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。まず、基材表面に触媒失活剤を付与する(図1のステップS1)。基材の材料は特に限定されないが、表面に無電解メッキ膜を形成する観点から絶縁体が好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、光硬化性樹脂、セラミックス及びガラス等を用いることができる。中でも、成形の容易性や触媒失活剤の浸透し易さから、本実施形態で用いる基材は、樹脂から形成される樹脂基材が好ましい。
図2に示すフローチャートに従って、基材上に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。本実施形態では、基材として、無電解メッキ触媒を含有する成形体を用いる。成形体が既に無電解メッキ触媒を含有しているため、本実施形態では、第1の実施形態で行う、基材の表面に無電解メッキ触媒を付与する工程(図1のステップS3)を省略できる。本実施形態では、無電解メッキ触媒を含有する成形体を成形することにより(図2のステップS11)、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させることができる。
本実施形態では、表面に延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有する基材を用いる。そして、第1のパターンを形成する凸部及び/又は凹部に無電解メッキ膜を形成する。第1の実施形態と同様に、図1に示すフローチャートに従って、本実施形態のメッキ部品の製造方法について説明する。
本実施例では、基材として樹脂成形体を成形した。そして、成形した樹脂成形体上への触媒失活剤の付与、レーザー描画による樹脂成形体の加熱、無電解メッキ触媒の付与、無電解メッキ、触媒失活剤の除去をこの順に行って、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。尚、触媒失活剤としては、ヨウ素を用いた。
汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて、ナイロン6T(PA6T)(ソルベイ アドバンスト ポリマーズ製、アモデルAS−1566HS、黒色グレード)を4cm×6cm×0.2cmの板状体に成形した。
以下の手順で、ヨウ素濃度1.5重量%、ヨウ化カリウム濃度6重量%、水とエタノール混合溶液を溶媒とするヨウ素溶液を調製した。まず、水194.5gにヨウ化カリウム(和光純薬製試薬)18.0gを溶解し、ヨウ化カリウム水溶液を調製した。次に、調製したヨウ化カリウム水溶液に、ヨウ素(和光純薬製試薬)4.5gを加え、攪拌して完全に溶解させた。更にエタノール(和光純薬製試薬)83.0gを加え、ヨウ素溶液を得た。
ヨウ素を付与した樹脂成形体に、レーザー描画装置(キーエンス製、MD−V9929WA、YVO4レーザー、波長1064nm)を用いて、所定のパターンに沿ってレーザー光を照射した。レーザー描画は、描画速度500mm/sec、周波数50kHz、パワー80%で行った。本実施例でレーザー描画したパターンは、ピッチ500μm、線幅200μm、長さ4cmの複数の直線を含むパターンである。即ち、パターンのライン・アンド・スペース(L/S)は、200μm/300μmであった。
レーザー描画を行った樹脂成形体を触媒液に浸漬して、樹脂成形体の表面に無電解メッキ触媒を付与した。まず、ヘキサン(和光純薬製試薬)300gにヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)(Aldrich製試薬)1.5gを溶解して、パラジウム錯体濃度(触媒濃度)0.5重量%の触媒液を調製した。
無電解ニッケルリンメッキ液(カニゼン製、SE−666)を500ccのトールビーカーに入れ、無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体をメッキ液に浸漬し、80℃で15分間、無電解メッキを行った。無電解メッキ後、樹脂成形体をメッキ液から取り出して十分に水洗した。無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、レーザー描画部分のみに泡が発生していた。この泡は水素であると推測され、これから、レーザー描画部分のみで無電解メッキ反応が生じていたことが確認できた。
無電解メッキを行った樹脂成形体から、以下の方法によりヨウ素を除去した。まず、チオ硫酸ナトリウム(和光純薬製試薬)49.5gを水280gに溶解し、チオ硫酸ナトリウム濃度15重量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液を調製した。調製したチオ硫酸ナトリウム水溶液を300ccのトールビーカーに入れ、無電解メッキを行った樹脂成形体をチオ硫酸ナトリウム水溶液に浸漬し、室温で10分間放置した。その後、樹脂成形体をチオ硫酸ナトリウム水溶液から取り出し、十分に水洗した。
以上説明した製造方法により製造したメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画を行った所定パターンのみにメッキ膜が形成されており、所定パターン以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素がレーザー光照射によって除去されて存在しないため無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例では、レーザー描画の代わりに、高温のステンレス板を基材に押し当てて熱プレスすることにより基材の一部分を加熱した。また、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与した。また、ヨウ素の還元処理は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
まず、実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形し、次に、樹脂成形体にヨウ素を付与した。
まず、2cm×4cm×0.5cmのステンレス板を用意し、150℃に加熱した。そして、150℃のステンレス板を樹脂成形体に1分間押し当てて、樹脂成形体の一部分を加熱した。その後、10分間放置して、樹脂成形体を室温まで冷却した。
感応性付与剤(センシタイザー、奥野製薬製)を300ccのトールビーカーに入れ、ステンレス板を用いて加熱した樹脂成形体を感応性付与剤に浸漬し、室温で3分間放置した。その後、樹脂成形体を感応性付与剤から取り出し、十分に水洗した。次に、触媒化処理剤(アクチベータ、奥野製薬製)を300ccのトールビーカーに入れ、樹脂成形体を触媒化処理剤に浸漬し、30℃で1分間放置した。その後、樹脂成形体を触媒化処理剤から取り出し、十分に水洗した。
実施例1と同様の方法により、無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体に無電解メッキを行った。無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、樹脂成形体の加熱部分のみに泡が発生していた。この泡は水素であると推測され、これから、加熱部分のみで無電解メッキ反応が生じていたことが確認できた。
300ccのトールビーカーにエタノールを入れ、基材を入れて1時間放置し、基材中のヨウ素を洗浄した。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、加熱部分のみにメッキ膜が形成されており加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素が加熱によって除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例では、メッキ部品として、所定パターンのメッキ膜が球面上に立体的に形成された3次元形状の立体回路部品(MID)を製造した。まず、基材として半球状の樹脂成形体を成形し、成形した樹脂成形体上への触媒失活剤の付与、レーザー描画による樹脂成形体の加熱、無電解メッキ触媒の付与、触媒失活剤の除去、無電解メッキをこの順に行った。尚、触媒失活剤としては、ヨウ素を用いた。
まず、実施例1と同様の射出成形機及び熱可塑性樹脂を用いて、直径6cm、高さ3cm、肉厚1mm、の半球状の成形体を成形し、次に実施例1と同様の方法により樹脂成形体にヨウ素を付与した。
実施例1と同様のレーザー描画装置を用い、実施例1と同様のレーザー描画条件で、ヨウ素を付与した樹脂成形体の球面上に所定パターンのレーザー描画を行った。
本実施例では、実施例2と同様に市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与した。
無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体から、以下の方法によりヨウ素を除去した。まず、水素化ホウ素ナトリウム4.0g(和光純薬製試薬)をエタノール800gに溶解し、0.5重量%水素化ホウ素ナトリウム溶液を調製した。調製した水素化ホウ素ナトリウム溶液1000gに、無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体を浸漬し、室温で5分間放置した。その後、樹脂成形体を水素化ホウ素ナトリウム溶液から取り出し、十分に水洗した。
析出レートの高い無電解銅メッキ液(奥野製薬製、OPCカッパーNCA)を2000ccのトールビーカーに入れ、ヨウ素還元処理後の樹脂成形体をメッキ液に浸漬した。60℃で1時間、無電解メッキを行い、厚み7μmの銅メッキ膜を形成した。無電解メッキ後、樹脂成形体をメッキ液から取り出して十分に水洗した。
以上説明した製造方法により製造したメッキ部品(立体回路部品、MID)の写真を図3に示す。本実施例で製造したメッキ部品は、レーザー描画を行った所定パターンのみにメッキ膜が形成されており、所定パターン以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素がレーザー光照射によって除去されて存在しないため無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例では、メッキ部品として、表面にメッキ膜によって配線のモデルパターンが形成された部品を製造した。まず、基材として平板状の樹脂成形体を成形し、成形した樹脂成形体上への触媒失活剤の付与、レーザー描画による樹脂成形体の加熱、無電解メッキ触媒の付与、無電解メッキをこの順に行った。本実施例では、触媒失活剤の除去は行わなかった。尚、触媒失活剤としては、ヨウ素を用いた。
まず、実施例1と同様の射出成形機を使用し、熱可塑性樹脂として高融点(310℃)で植物由来の芳香族ナイロン(東洋紡製、バイロアミド)を用いて、10cm×10cm×0.2cmの平板状の成形体を成形し、次に実施例1と同様の方法により樹脂成形体にヨウ素を付与した。本実施例で用いた芳香族ナイロンは、融点が高く、ソリやバリが少なく成形性に優れるため、MIDに好適である。
実施例1と同様のレーザー描画装置を用い、実施例1と同様のレーザー描画条件で、ヨウ素を付与した樹脂成形体上に所定の回路パターンのレーザー描画を行った。回路パターンは、ピッチ300μm、500μm、1.0mm及び1.5mmの4種類のピッチの回路パターンとし、各回路パターンにおける線幅は、200μmとした。したがって、各回路パターンのライン・アンド・スペース(L/S)は、200μm/100μm、200μm/300μm、200μm/800μm、200μm/1300μmであった。
本実施例では、実施例2と同様に市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与した。
実施例3と同様に無電解銅メッキ液を用いて、実施例3と同様の方法で無電解メッキを行った。
以上説明した製造方法により製造した配線のモデルパターンが形成された部品(メッキ部品)の写真を図4に示す。図4に示す領域Aにピッチ300μmの回路パターン、領域Bにピッチ500μmの回路パターン、領域Cにピッチ1.0mmの回路パターン及び領域Dにピッチ1.5mmの回路パターンを形成した。図4の領域Bにおけるピッチ500μmの回路パターンの拡大写真を図5に示す。本実施例で製造したメッキ部品は、ピッチ300μmの回路パターンでは、一部配線間がつながっている箇所が散見されたが、図5に示すように、ピッチ500μm以上の回路パターンでは配線の短絡は見られなかった。この結果から、本実施例の方法によって、高機能樹脂材料を用いて簡易なプロセスで、電気回路が形成されたメッキ部品(電子部品)を製造できることが確認された。
本実施例では、基材として、無電解メッキ触媒を含有する成形体を成形した。そのため、基材への無電解メッキ触媒の付与は行なわなかった。また、無電解メッキ前に塩酸による無電解メッキ前処理を行った。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
(a)第1の樹脂ペレットの製造
サイフォン式の液化二酸化炭素ボンベへとつながる第1の配管と、背圧弁を介して外部へとつながる第2の配管とを有する250ccの耐圧容器を用意した。第1及び第2の配管それぞれに、第1及び第2のバルブを設け、初期のバルブの状態は、両バルブとも閉とした。この耐圧容器に、親水性セグメントを有するブロック共重合体のペレット(三洋化成工業製、PL1251)(原料ペレット)80g、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)(Aldrich製試薬)(無電解メッキ触媒)160mgを配置して密閉した。耐圧容器を10℃に冷却し、第1のバルブを開放して第1の配管を介して耐圧容器内に液体二酸化炭素を導入した。耐圧容器内の圧力が4.5MPaになったことを確認してから、第1のバルブを閉めた。次に、背圧弁を10MPaに設定した後、第2のバルブを開放して耐圧容器を加熱した。耐圧容器内を圧力10MPa、温度40℃を保持した状態で、第2のバルブを開放したまま耐圧容器を2時間加熱した。加熱停止後、5時間放置して耐圧容器の温度を室温まで下げた。その後、背圧弁を開放して耐圧容器から二酸化炭素を放出した。耐圧容器内の圧力が大気圧に戻った後、耐圧容器からヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウムが浸透したブロック共重合体のペレット(第1の樹脂ペレット)を取り出した。
第2の樹脂ペレットとして、ガラス繊維33重量%含有の66ナイロン(東レ製、アミランCM3001G33)を用いた。得られた第1の樹脂ペレット10重量%、第2の樹脂ペレット90重量%の割合で混合し、混合したペレットを実施例1と同様の汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて4cm×8cm×0.2cmの板状体に成形した。
実施例1と同様の方法により、樹脂成形体にヨウ素を付与し、その後、レーザー描画を行った。
無電解メッキ前に、レーザー描画を行った基材を常温の塩酸(3.0N)に5分間浸漬させた。このメッキ前処理により、基材中の66ナイロンの表面が膨潤し、後工程の無電解メッキ処理においてメッキ液が基材に浸透し易くなった。
次に、メッキ前処理を行った樹脂成形体に、実施例1と同様の方法により無電解メッキを行った。無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、樹脂成形体のレーザー描画部分のみに泡が発生していた。この泡は水素であると推測され、これから、レーザー描画部分のみで無電解メッキ反応が生じていたことが確認できた。
実施例1と同様の方法により、樹脂成形体(基材)からヨウ素を除去した。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画部分のみにメッキ膜が形成されており加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、レーザー光照射によって成形体表面が粗化され、これにより、ヨウ素によって被毒していない無電解メッキ触媒が基材表面に露出し、また、無電解メッキ液の基材への浸透が促進され、無電解メッキの反応性が向上したため、メッキ膜が形成されたと推測される。一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本比較例では、基材へのヨウ素の付与(実施例1の工程(2))、及びヨウ素の還元および除去(実施例1の工程(6))を行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法により、メッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。但し、本比較例では、無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、基材全面から泡が激しく発生していた。このため、メッキ液の分解を防ぐ目的で、基材の無電解メッキ液への浸漬時間は、実施例1より短い30秒間とした。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本比較例のメッキ部品は、基材全面にメッキ膜が形成されていた。また、レーザー描画部分と、それ以外の部分を比較すると、メッキ膜の成長に差は見られなかった。本比較例では基材へのヨウ素付与を行っていないため、無電解メッキ触媒は被毒していない。そのため、レーザー光照射の有無とは無関係に、基材全面にメッキ膜が生成したと推測される。
本比較例では、基材へのヨウ素の付与(実施例1の工程(2))、及びヨウ素の還元および除去(実施例1の工程(6))を行わなかった。それ以外は、実施例5と同様の方法により、メッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。但し、本比較例では、無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、基材全面から泡が激しく発生していた。このため、メッキ液の分解を防ぐ目的で、基材の無電解メッキ液への浸漬時間は、実施例5より短い5分間とした。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本比較例のメッキ部品は、基材全面にメッキ膜が形成されていた。また、レーザー描画部分と、それ以外の部分を比較すると、メッキ膜の成長に差は見られなかった。本比較例では基材へのヨウ素付与を行っていないため、無電解メッキ触媒は被毒していない。そのため、レーザー光照射の有無とは無関係に、基材全面にメッキ膜が生成したと推測される。
本比較例では、レーザー描画(実施例1の工程(3))を行わなかった以外は、実施例1と同様に基材に対して各処理を実施した。しかし、本比較例では、基材表面に無電解メッキ膜は生成しなかった。本比較例では基材へのヨウ素付与を行い、その後、レーザー光等を用いた基材の加熱を行っていない。そのため、基材の全面にヨウ素が浸透した状態であり、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例では、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与し、無電解メッキ液として無電解銅メッキ液を用いた。また、触媒失活剤の除去は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
まず、実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形し、次に、樹脂成形体にヨウ素を付与した。
実施例1と同様のレーザー描画装置を用い、実施例1と同様のレーザー描画条件で、ヨウ素を付与した樹脂成形体上に所定パターンのレーザー描画を行った。描画したパターンは、5mm×5cmの領域を0.1mmピッチで複数個並べたパターンである。
実施例2と同様の市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により、レーザー光を照射した基材に無電解メッキ触媒を付与した。感応性付与剤(センシタイザー)に基材を浸漬して超音波を照射する時間を5分間としたこと、その後、触媒化処理剤(アクチベータ)に基材を浸漬する時間を2分間としたこと以外は、実施例2と同様の方法により基材へ無電解メッキ触媒を付与した。
無電解メッキ触媒を付与した成形体を60℃の無電解銅メッキ液(奥野製薬工業製、OPC−NCA)に15分浸漬して、成形体表面に厚み1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
以上説明した製造方法により製造したメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画を行った所定パターンのみにメッキ膜が形成されており、所定パターン以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素がレーザー光照射によって除去されて存在しないため無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例で製造したメッキ部品のメッキ膜が形成された部分とメッキ膜が形成されなかった部分のXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)分析を行った。但し、XPS分析の分析深さは数nmであり、メッキ膜が存在すると触媒等の検出が不可能になる。したがって、本分析では、触媒付与の工程まで行い、無電解メッキ膜を形成しない試料を分析試料とした。
分析試料としては、下記の試料A〜Cの3種類を用意した。
試料A:レーザー光照射部分
基材にヨウ素の付与、レーザー描画、無電解めっき触媒の付与及びレーザー描画を行い、レーザー描画部分を試料片とした。
試料B:レーザー光非照射部分
基材にヨウ素の付与、レーザー描画、無電解めっき触媒の付与及びレーザー描画を行い、レーザー描画部分以外の部分を試料片とした。
試料C:リファレンス(ヨウ素付与せず)
基材にヨウ素を付与しなかった以外は、試料Bと同様とした。
(a)試料表面の元素濃度
表1に、各試料表面の元素濃度を示す。
各試料のPd3dスペクトルを検出して分離し、スペクトルのライブラリデータベースより、337.6eVをPd錯体、336.6eVを酸化パラジウム又はヨウ化パラジウム、335.3eVを酸化数0の金属Pdに帰属させた。金属Pdは、触媒能を有している。一方、酸化パラジウム又はヨウ化パラジウムとして存在するPdは、触媒能失活状態のPdである。また、Pd錯体は、アクチベータに含まれているPd錯体(塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硫酸パラジウム)である。各試料における、Pdの各化学状態の比率を表2に示す。
本実施例では、基材として、表面に凸部により第1のパターンが形成された樹脂成形体を用いて、第1のパターンに選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
まず、実施例1と同様の射出成形機及び熱可塑性樹脂を用いて、片面に凸部により第1のパターンが形成されている縦100mm×横200mm×厚み3mmの平板を成形した。表面に台形状の直線溝が形成された金型を用いて成形体を成形することで、成形体の成形と同時に成形体表面に第1のパターンを形成した。図6(b)に示す、凸部の幅(台形の底辺)Wは1mm、高さHは1mm、ピッチPは2mmとした。また、凸部の長さは50mmとし、基材の表面に10本の凸部を含む第1のパターンを形成した。次に、実施例1と同様の方法により、樹脂成形体にヨウ素を付与した。基材にヨウ素に浸透したことにより、基材表面は茶色に変色した。
ホットエンボス装置(エンジアリング・システム社製、AHHE0101)を用いて、図7(a)に示すように、基材60を熱プレスした。凸部61を加熱する加熱板70として、凸部61と接触する面70aが平坦な平板状のアルミ鋼材を含むプレス板を用いた。まず、上部プレス板(加熱板)70と、下部プレス板(図示せず)との間に、凸部61が上部プレス板(加熱板)70と対向するように基材60を配置した。そして、上部プレス板(加熱板)70の温度を180℃、下部プレス板の温度を室温(25℃)とし、プレス時間10秒間、プレスストローク10μmで、基材60を熱プレスした。上部プレス板(加熱板)70により熱プレスされた凸部61の頂部61aは、茶色から白色に変色していた。これから、加熱により、頂部61aのヨウ素が蒸発して除去されたと推測される。
実施例2と同様の市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により、熱プレスした基材に無電解メッキ触媒を付与した。感応性付与剤(センシタイザー)に基材を浸漬して超音波を照射する時間を5分間としたこと以外は、実施例2と同様の方法により基材へ無電解メッキ触媒を付与した。
実施例6と同様の方法により、成形体表面に厚み約1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、加熱部分である、第1のパターンを形成する凸部61の頂部61aのみにメッキ膜が形成された。加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。第1のパターン部分においては、ヨウ素が加熱によって除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、第1のパターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例では、実施例7と同様に、基材として表面に凸部により第1のパターンが形成された樹脂成形体を用いて、第1のパターンに選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。但し、本実施例では、実施例7とは異なり、表面に突出部を含む第2のパターンが形成されている加熱板を用いた。
実施例7と同様の方法により、基材として、片面に凸部により第1のパターンが形成されている樹脂成形体を成形し、実施例1と同様の方法により、樹脂成形体にヨウ素を付与した。基材にヨウ素が浸透したことにより、基材表面は茶色に変色した。
実施例7と同様のホットエンボス装置を用いて、図8(a)に示すように、基材60を熱プレスした。凸部61を加熱する加熱板90は平板状のアルミ鋼材を含むプレス板であり、基材60と接触する面90a上に延在する突出部91を有する。突出部91は、面90a上に、基材60の第1のパターンに対応する第2のパターンを形成する。本実施例では、基材60の凸部61により形成される第1のパターンに、加熱板90の突出部91により形成される第2のパターンを接触させて、加熱板90により基材60を熱プレスした。熱プレスの条件は、実施例7と同様とした。上部プレス板(加熱板)90によりプレスされた凸部61の頂部61aには、突出部91に対応する窪み61bが形成された。また、頂部61aは、茶色から白色に変色した。これから、加熱により、頂部61aのヨウ素が蒸発して除去されたと推測される。
実施例7と同様の方法により、熱プレスした基材に無電解メッキ触媒を付与し(センシタイザー・アクチベータ法)、メッキ触媒を付与した成形体表面に厚さ約1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、加熱部分である、第1のパターンを形成する凸部61の窪み61b内のみにメッキ膜が形成された。加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。第1のパターン部分においては、ヨウ素が加熱によって除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、第1のパターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例では、触媒失活剤としてトリフェニルアンチモンジクロリドを用い、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与し、メッキ液として無電解銅メッキ液を用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形した。
トリフェニルアンチモンジクロリド(東京化成工業製試薬)4.0gに、メチルエチルケトン(和光純薬製試薬)196.0gを加えて撹拌し、2%トリフェニルアンチモンジクロリドを調製した。この溶液に基材を浸漬した後、基材を溶液から垂直に引き上げて乾燥し、トリフェニルアンチモンジクロリドを表面に付着させた。
実施例1と同様の方法により、トリフェニルアンチモンジクロリドを付着させたに基材上に所定パターンのレーザー描画を行った。
実施例3と同様の方法により、無電解メッキ触媒を付与した基材に無電解メッキを行い、厚み7μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
メチルエチルケトン500ccをトールビーカーに入れ、メッキ後の基材を浸漬させ、ゆすりながら3分間洗浄した。更に、メチルエチルケトンを新しい液に入れ変えて再度洗浄を行った後、常温で乾燥させた。
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画部分のみにメッキ膜が形成されておりレーザー描画部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、トリフェニルアンチモンジクロリドが除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、トリフェニルアンチモンジクロリドの存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
61 凸部
61a 凸部の頂部
61b 窪み
62 凹部
62a 凹部の底
70、90 加熱板
85 無電解メッキ膜
100、200、300、400 メッキ部品
Claims (7)
- メッキ部品であって、
基材と、
メッキ膜と、
無電解メッキの反応を抑制する物質である触媒失活剤とを含み、
前記基材の表面の一部に前記メッキ膜が形成され、
前記基材の前記メッキ膜が形成された部分とは異なる部分の表面領域に前記触媒失活剤が存在し、
前記基材と前記メッキ膜との間に、前記触媒失活剤が存在しないか、又はメッキ反応を抑制する機能が消失している前記触媒失活剤の変性物が存在していることを特徴とするメッキ部品。 - 前記触媒失活剤が、ヨウ素、亜鉛、鉛、錫、ビスマス、アンチモン又はこれらの化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のメッキ部品。
- 前記触媒失活剤が、加熱により蒸発又は昇華する物質であることを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ部品。
- 前記基材が、ポリアミドを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメッキ部品。
- 前記ポリアミドが、芳香族ナイロンであることを特徴とする請求項4に記載のメッキ部品。
- 前記無電解メッキ膜が前記基材上で電気回路を形成し、前記メッキ部品が電子部品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のメッキ部品。
- 前記基材が、立体形状の面、又は複数の面を有し、
前記メッキ膜が、前記立体形状の面の表面に沿って、又は前記複数の面に亘って形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のメッキ部品。
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