JP2016148116A - メッキ部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できるメッキ部品の製造方法により製造可能なメッキ部品を提供する。【解決手段】メッキ部品であって、基材と、メッキ膜と、触媒失活剤とを含み、前記基材の表面の一部に前記メッキ膜が形成され、前記メッキ膜が形成された部分とは異なる部分の表面領域に前記触媒失活剤が存在する。【選択図】 図4

Description

本発明は、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品に関する。
近年、射出成形体等の表面に電気回路を形成する立体回路成形部品は、MID(Molded Interconnect Device)と呼称され、その応用範囲が急速に広まっている。MIDは、小型で複雑形状の成形体の表面に回路を形成できるため、電子部品の軽薄短小のトレンドに合致している。例えば、スマートフォンの筐体の表面にアンテナ等を形成した小型部品は中国で大量生産されている。また、自動車分野でもセンサーや照明部品へのMIDの適用が欧州を中心に活発に検討されている。また、自動車には、現在、大量のケーブルハーネス(ワイヤーハーネス)が使用されている。このケーブルハーネスをMIDに置き換えることにより、軽量化と組み立て工程数削減によるコストダウンが期待できる。
樹脂成形体等の絶縁性基材の表面に配線パターン(電気回路)を形成する方法として、例えば、以下に説明する方法が提案されている。まず、基材の表面全体に金属層を形成する。次に、形成した金属層をフォトレジストでパターニングし、その後、エッチングにより配線パターン以外の部分の金属層を除去する。これにより、基材表面に残された金属層によって配線パターンを形成できる。
また、フォトレジストを使用しない配線パターン(電気回路)の形成方法としては、レーザー光を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。まず、配線パターンを形成したい部分にレーザー光を照射して基材を粗化する。そして、基材全体に無電解メッキ触媒を付与すると、レーザー光照射部分には、他の部分と比較して無電解メッキ触媒が強固に付着する。次に、基材を洗浄すると、レーザー光照射部分のみに無電解メッキ触媒が残り、他の部分の触媒は容易に除去できる。レーザー光照射部分のみに無電解メッキ触媒が付着した基材に無電解メッキを施すことで、レーザー光照射部分、即ち、所定の配線パターンのみにメッキ膜を形成できる。レーザー光を利用した配線パターンの形成方法は、フォトマスク等を製造するコストや手間が省けるため、配線パターンの変更が容易である。
また、他の配線パターン(電気回路)の形成方法として、LDS(Laser Direct Structuring)法が実用化されている(例えば、非特許文献1、特許文献2)。LDS法では、まず、銅錯体を熱可塑性樹脂に練り込んで射出成形し、該銅錯体を含有した成形体表面にレーザー描画を行う。レーザー光照射により銅錯体が金属化して無電解銅メッキの触媒活性が発現し、レーザー描画部分のメッキが可能となる。LDS法は、複雑な形状の射出成形体の表面に回路を形成する立体回路成形部品(MID)の製造が可能であり、スマートフォンや自動車の製造において普及している。
LDS法のように触媒を成形体中に練り込む方法とは異なる方法も提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3には、短波長のフェムト秒レーザー光を用いて成形体表面に官能基を付与する方法が開示されている。成形体表面が極性基を有するので、メッキ膜との化学的な接着強度が発現する。
特許第3222660号公報 欧州特許第1274288号公報 特開2012−136769号公報
ウォルフガング・ジョン、「生産コストを削減する3次元コンポーネント」、Industrial Laser Solutions Japan、株式会社イーエクスプレス、2011年9月号、p.18‐22
しかし、特許文献1で提案されているレーザー光を利用した配線パターン(電気回路)の形成方法では、基材の種類や表面状態によっては、レーザー光照射部分以外にも無電解メッキ触媒が強固に付着し、洗浄によっても除去できない場合があった。例えば、無電解メッキ触媒が付着し易いフィラーを含有する基材、表面粗さが大きい基材、空隙を有する基材等は、無電解メッキ触媒が付着し易いため、洗浄しても無電解メッキ触媒が残存し易い。また、無電解メッキ触媒の種類や基材の種類によっては、無電解メッキ触媒が基材の内部に浸透する場合があり、基材に浸透した無電解メッキ触媒を洗浄によって除去することは困難であった。そして、このように所定の配線パターン以外の部分に無電解メッキ触媒が残存した基材に無電解メッキを施すと、当然に配線パターン以外の部分に無電解メッキ膜が生成し、問題となっていた。
また、LDS法は、専用樹脂の開発が必要となり、樹脂材料のコストが大幅に増大する問題があった。そして多量の銅錯体を樹脂に練り込むことにより樹脂が着色するため、透明樹脂に適用することは困難であった。また、シート状の薄肉成形体等に適用する場合、専用樹脂を用いる必要があるため少量多品種の量産が困難であった。また、LDS法を自動車のケーブルハーネスの代替部品等の大型部品の製造に適用しようとすると、次のような問題が生じる。まず、消費する専用樹脂材料が多くなるため、コストが上昇する。そして、レーザー装置を大型化する必要があり、量産において問題となる。更に、配線パターン同士が同一の基板上に隣接するため、配線パターン間の絶縁性も懸念される。
一方で、特許文献3では、特殊な樹脂材料を用いずに成形体表面を選択的にメッキすることが検討されている。しかし、レーザー描画のみにより、描画部分とそれ以外の部分との成形体の表面特性に明確なコントラストをつけることは難しく、特許文献3の方法により、安定に選択的なメッキを行うことは困難であると考えられる。また、特許文献3の方法は高価な短波長レーザー加工機を必要とし、このことが、該方法の普及の妨げとなっている。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、基材の種類や形状及び状態に依存し難く、簡易な製造プロセスにより所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみに無電解メッキ膜を形成できるメッキ部品の製造方法により製造可能なメッキ部品を提供する。
本発明に従えば、メッキ部品であって、基材と、メッキ膜と、触媒失活剤とを含み、前記基材の表面の一部に前記メッキ膜が形成され、前記基材の前記メッキ膜が形成された部分とは異なる部分の表面領域に前記触媒失活剤が存在することを特徴とするメッキ部品が提供される。
本発明においては、前記触媒失活剤は、無電解メッキの反応を抑制する物質であってもよい。
前記触媒失活剤が、ヨウ素、亜鉛、鉛、錫、ビスマス、アンチモン又はこれらの化合物のいずれかであってもよい。
本発明においては、前記触媒失活剤が、加熱により蒸発又は昇華する物質であってもよい。
前記基材が、ポリアミドを含んでもよい。
また、前記ポリアミドが、芳香族ナイロンであってもよい。
本発明においては、前記無電解メッキ膜が前記基材上で電気回路を形成し、前記メッキ部品が電子部品であってもよい。
本発明において、前記基材が、立体形状の面、又は複数の面を有し、前記メッキ膜が、前記立体形状の面の表面に沿って、又は前記複数の面に亘って形成されていてもよい。
本発明のメッキ部品を製造可能な製造方法では、基材表面の加熱部分又は光照射部分には無電解メッキ膜が形成され、一方、それ以外の部分では、触媒失活剤の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制される。これにより、簡易な製造プロセスにより所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみに無電解メッキ膜を形成できる。本発明のメッキ部品は、基材選択の幅が広く、製造コストの削減も図れる。
第1の実施形態のメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。 第2の実施形態のメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。 実施例3で製造したメッキ部品(立体回路部品、MID)の写真である。 実施例4で製造した配線のモデルパターンが形成されたメッキ部品の写真である。 図4の領域Bにおけるピッチ500μmの回路パターンの拡大写真である。 図6(a)は、第3の実施形態で用いる基材の全体概略図であり、図6(b)は、基材の凸部及び凹部近傍の断面図である。 図7(a)〜(c)は、第3の実施形態のメッキ部品の製造方法を説明する図である。 図8(a)〜(c)は、第3の実施形態の変形例1のメッキ部品の製造方法を説明する図である。 第3の実施形態の変形例1のメッキ部品の全体概略図である。 第3の実施形態の変形例2のメッキ部品の凸部及び凹部近傍の断面図である。 第3の実施形態の変形例3のメッキ部品の凸部及び凹部近傍の断面図である。
[第1の実施形態]
図1に示すフローチャートに従って、基材上に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。まず、基材表面に触媒失活剤を付与する(図1のステップS1)。基材の材料は特に限定されないが、表面に無電解メッキ膜を形成する観点から絶縁体が好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、光硬化性樹脂、セラミックス及びガラス等を用いることができる。中でも、成形の容易性や触媒失活剤の浸透し易さから、本実施形態で用いる基材は、樹脂から形成される樹脂基材が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン12(PA12)、ナイロン11(PA11)、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン9T(PA9T)、10Tナイロン、11Tナイロン、ナイロンMXD6(PAMXD6)、ナイロン9T・6T共重合体、ナイロン6・66共重合体等のポリアミドを用いることができる。ポリアミド以外の樹脂としては、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を用いることができる。
特に、ハンダリフロー耐性を有するメッキ部品を製造する場合には、耐熱性と成形性を兼ね備えた熱可塑性樹脂として、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン9T(PA9T)、10Tナイロン、11Tナイロン、ナイロンMXD6(PAMXD6)等の芳香族ナイロン及びこれらを含む共重合体が好ましい。そして、寸法安定性や剛性向上の観点から、これらの熱可塑性樹脂は、ガラスフィラーやミネラルフィラー等の無機フィラーが充填されてもよい。具体的には、ソルベイ アドバンスト ポリマーズ製のアモデル、クラレ製のジェネスタ、東洋紡製のバイロンアミド、三菱エンプラ東洋紡製のレニー等を用いることができる。また、メッキ部品にハンダリフロー耐性が要求されない場合には、汎用エンプラであるABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂とPCとのポリマーアロイ(ABS/PC)等を用いることができる。また、市販の熱可塑性樹脂を用いる場合、後工程のレーザー光照射工程においてレーザー光を吸収して熱を発生し易いように、黒色グレードとして市販されている黒色の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。透明な熱硬化性樹脂を用いることで、透明でハンダリフロー耐性を有するデバイス(メッキ部品)を製造できる。光硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることができる。また、セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミ、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、シリコンウエハ等を用いることができる。
後工程のレーザー光照射工程において、レーザー光を吸収して熱を発生し易いように、基材はカーボン等のフィラーや、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の光吸収色素を光吸収剤として含有してもよい。光吸収剤は、溶剤等に溶解又は分散させて基材表面に付与してもよいし、後述する触媒失活剤液の中に含有させて、触媒失活剤液と共に基材に浸透させてもよいが、作業の簡便性から基材中に予め含有させておくことが好ましい。
本実施形態で用いる基材は、市販品であってもよいし、市販の材料から成形等により製造してもよい。例えば、粉末射出成形方法により複雑形状のセラミックス基材を製造してもよい。また、市販の熱可塑性樹脂を所望の形状に成形して、樹脂成形体(基材)を製造してもよい。熱可塑性樹脂の成形方法としては、汎用の射出成形方法や押出成形方法を用いることができる。樹脂成形体は、押出成形で製造するシート状の成形体であってもよい。また、基材は、光硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いて3Dプリンターにより造形してもよい。3Dプリンターを用いると、複雑形状の基材が製造でき、この基材を用いて複雑形状のMIDを製造できる。
本実施形態では、基材表面の所定パターン以外の部分において、触媒失活剤によってメッキ膜の生成が抑制される。したがって、従来の方法では使用できなかった無電解メッキ触媒が付着し易いフィラーを含有する基材、表面粗さが大きい基材、空隙を有する基材等も使用できる。触媒失活剤が表面に浸透又は吸着できる基材であれば、透明樹脂、熱硬化性樹脂、セラミックス、ガラスも基材として用いることができる。また、従来のLDS法とは異なり、汎用の熱可塑性樹脂をそのまま使用して基材を製造できるため、大幅なコストダウンを図ることができ、シート状成形体の少量多品種の生産にも対応可能である。このように、本実施形態のメッキ部品の製造方法は、基材選択の幅が広い。これにより、本実施形態のメッキ部品の製造方法は、従来では困難であったレンズやメガネ等光学部材や薄肉シート形状の立体回路成形体を簡便な方法により製造可能である。
触媒失活剤としては、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げ、結果として、無電解メッキの反応を抑制する物質であれば、任意の物質を用いることができる。触媒失活剤は、無電解メッキ触媒と直接反応して無電解メッキ触媒を被毒するか、又は無電解メッキ触媒と直接反応せずとも、触媒付与工程のいずれかの段階において、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げると推測される。このような触媒失活剤としては、例えば、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)等のメッキ触媒毒となる重金属及びその化合物、ヨウ素及びその化合物、過酸化物等の酸化剤等が挙げられる。中でも、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)及びその化合物は、無電解メッキ触媒に対しての被毒性が強いという点で好ましく、ヨウ素は、樹脂基材への浸透性が高い点で好ましい。
基材表面に触媒失活剤を付与する方法は、特に限定されない。例えば、固体のヨウ素のように昇華性を有する触媒失活剤を用いる場合、密閉容器中に基材と触媒失活剤を収容し、加熱等により触媒失活剤を昇華させ、昇華した気体の触媒失活剤を基材と接触させてもよい。他の方法としては、触媒失活剤を溶解又は分散させた触媒失活剤液を基材に接触させてもよい。触媒失活剤液を基材に接触させる方法としては、触媒失活剤液を基材に塗布する、触媒失活剤液に基材を浸漬する等が挙げられる。中でも、触媒失活剤付与の均一性と作業の簡便性の観点からは、触媒失活剤液と基材を接触させる方法が好ましく、触媒失活剤液に基材を浸漬する方法がより好ましい。所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制する観点から、触媒失活剤は、後述する無電解メッキ工程において、少なくとも無電解メッキ液と接触する基材表面の領域に付与することが好ましく、基材の表面全面に付与することがより好ましい。
触媒失活剤液中の触媒失活剤の配合量(触媒失活剤濃度)は、特に限定されないが、触媒失活剤濃度が低すぎると基材に触媒失活剤を浸透又は吸着させることが困難になる。また、例えば、触媒失活剤としてヨウ素を用いた場合、ヨウ素濃度が高すぎると基材に残存するヨウ素が多くなり、メッキ膜形成後に該メッキ膜を腐食する虞がある。したがって、触媒失活剤液中の触媒失活剤濃度は、用いる基材への触媒失活剤の浸透し易さ又は吸着し易さに応じて決定できるが、例えば、0.01重量%〜12重量%が好ましい。
触媒失活剤液に用いる溶剤(溶媒)は、触媒失活剤が溶解又は分散可能な溶剤であり、且つ基材を変質させない溶剤であれば特に限定されない。例えば、水、アルコール、及びそれらの混合物が好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等を用いることができる。
触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、触媒失活剤液であるヨウ素溶液は、ヨウ素分子(I)と共にヨウ化物イオン(I-)を含むことが好ましい。例えば、ヨウ素溶液が、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム等のヨウ化物塩を含有することにより、ヨウ素溶液は、これら塩由来のヨウ化物イオン(I-)を含むことができる。ヨウ素溶液中において、ヨウ化物イオン(I-)はヨウ素(I)と結合して三ヨウ化物イオン(I -)を形成すると推測される。これにより、ヨウ素が溶媒に溶解し易くなり、また、ヨウ素の基材への浸透性も向上する。ヨウ素溶液中のヨウ化物塩の配合量は、ヨウ素分子(I)濃度や基材の種類に応じて適宜決定できるが、例えば、0.03重量%〜40重量%とすることができる。
更に、本実施形態の触媒失活剤液は、基材への親和性を向上させるために界面活性剤を含んでもよい。また、触媒失活剤液は、カーボン、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、アゾ化合物等の光吸収剤を含有してもよい。これにより、触媒失活剤液が浸透した基材は、レーザー光等の光を吸収して熱を発生し易くなる。本実施形態の触媒失活剤液は、上述した触媒失活剤、溶剤、更に、必要に応じて、ヨウ化物塩、界面活性剤等を従来公知の方法により混合して調製できる。
基材を浸漬するときの触媒失活剤液の温度は特に限定されないが、例えば、触媒失活剤の基材への浸透及び吸着を促進する観点からは室温以上、80℃以下が好ましい。基材の触媒失活剤液への浸漬時間は、触媒失活剤濃度や基材の種類に応じて適宜決定できるが、例えば、10秒〜1時間が好ましい。
尚、基材表面に付与された触媒失活剤は、基材に浸透するか、基材表面に吸着すると推測される。これにより、触媒失活剤は基材の表面領域に存在する。ここで、基材の表面領域とは、触媒失活剤が基材に浸透又は吸着することにより、触媒失活剤が存在する領域である。触媒失活剤は、触媒失活剤が浸透した場合には、基材の内部の表面近傍に存在し、触媒失活剤が吸着した場合には、基材の表面上に存在すると推測される。したがって、基材の表面領域は、基材の内部の表面近傍の領域及び基材の表面上を含む。基材として樹脂基材を用い、樹脂基材への浸透性が高いヨウ素を触媒失活剤として用いる場合には、ヨウ素は樹脂基材に浸透すると推測される。触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、基材へ浸透したヨウ素は、基材中において、ヨウ素分子(I)、酸化数-I(マイナス1)の状態(I-)、更に、これらの結合した状態(I -)が混在した状態で存在していると推測される。
また、基材表面に触媒失活剤を吸着させる場合、基材への触媒失活剤の吸着を促進させるために、基材表面に基材と反応するシランカップリング剤を付与してもよい。例えば、シランカップリング剤を溶解した溶液を基材表面に塗布した後、加熱により基材とシアンカップリング剤を反応させて、基材表面にシランカップリング剤を固定化する。シランカップリグン剤溶液を塗布する方法としては、ディップコート、スクリーンコート、スプレーコートなどの方法が挙げられる。基材表面にシアンカップリング材を固定化した後、触媒失活剤を基材表面に付与する。
次に、触媒失活剤が付与された基材の表面の一部に光を照射するか、又は基材表面の一部を加熱する(図1のステップS2)。光を照射する方法は、特に限定されず、例えば、レーザー光を基材表面に所定パターンに従って照射する方法(レーザー描画)や、光を照射しない部分をマスクした後に、基材表面全体に光を照射する方法等が挙げられる。基材表面の一部に光を照射することにより、光が熱に変換され、基材表面は加熱されると推測される。上述したように、基材が光吸収剤を含有する場合には、基材に照射された光を効率的に熱に変換できる。また、触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、基材表面に照射する光としては、ヨウ素(I)の吸収波長である波長409nm付近の光やI の吸収波長である波長397nm付近の光を用いてもよい。この場合、基材中に含まれるヨウ素等が光を吸収できる。また、基材の表面に光を照射せずに基材表面を加熱する方法としては、凸部によりパターンが形成された簡易金型等で基材表面を直接、熱プレスする方法が挙げられる。作業の簡便性、加熱部分の選択性の観点から、レーザー描画により基材を加熱することが好ましい。
レーザー光は、例えば、COレーザー、YVOレーザー、YAGレーザー等のレーザー装置を用いて照射でき、これらのレーザー装置は、基材の種類に応じて選択できる。例えば、基材がポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂成形体である場合、COレーザー(炭酸ガスレーザー)のように透明樹脂成形体が吸収し易いレーザー光源を用いることが好ましい。
レーザー光を基材表面に所定パターンに従って照射すること(レーザー描画)によって、レーザー光の照射された部分は加熱され、加熱部分に存在する触媒失活剤は除去される。ここで、「触媒失活剤の除去」とは、例えば、加熱部分の触媒失活剤が、蒸発又は昇華により消失する場合を意味する。したがって、触媒失活剤が付与された基材の表面に所定パターンのレーザー描画を行うことにより、触媒失活剤が浸透又は吸着して残存している触媒失活剤残存部分と、所定パターンの触媒失活剤除去部分とを形成できる。尚、基材及びレーザーの種類、レーザーパワー等によっては、加熱部分は、触媒失活剤と共に基材表面の表層部分が蒸発して消失してもよい。また、「触媒失活剤の除去」とは、触媒失活剤が完全に消失するだけでなく、後工程の無電解メッキ処理の進行に影響がない程度に触媒失活剤の量が減少することも含む。触媒失活剤が微量残存していても、後工程の無電解メッキ処理に影響なければ、メッキ反応を妨害する機能が消失したことになる。更に、本実施形態では、加熱部分の触媒失活剤が変性又は変質して触媒失活剤として機能しなくなる場合も、「触媒失活剤の除去」に含める。例えば、触媒失活剤が酸化等の化学変化により、触媒失活剤として機能できない場合である。この場合、加熱部分の触媒失活剤は完全に消失するのではなく、変性物(変質物)が残存する。この変性物は触媒失活能を失っているため、触媒失活剤の変性物が残存する部分も、触媒失活剤が消失した部分と同様の作用を生じる。
次に、レーザー光を照射した基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる(図1のステップS3)。無電解メッキ触媒としては、無電解メッキ触媒能を有するものであれば任意のものを用いることができるが、例えば、Pd、Ni、Pt、Cu等の金属微粒子、金属錯体、金属アルコキシド等を用いることができ、中でも、触媒活性が高いPdを含む無電解メッキ触媒が好ましい。
無電解メッキ触媒を基材表面に保持させる方法は、特に限定されない。例えば、無電解メッキ触媒を溶媒に溶解又は分散させた触媒液を調製し、その触媒液を基材に塗布する、又は触媒液に基材を浸漬することにより、基材の表面に無電解メッキ触媒を付与してもよい。触媒付与の均一性の観点からは、触媒液に基材を浸漬する方法が好ましい。
触媒液に用いる溶媒は、触媒を溶解又は分散できる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素等を用いることができる。炭化水素としては、市販の高沸点溶剤(アイソパー、エクソンモービル社製)等を用いてもよい。触媒液に用いる無電解メッキ触媒は、メッキ触媒活性の高さから、パラジウム錯体が好ましく、具体的には、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、アセチルアセトナトパラジウム(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体等を用いることができる。触媒液中の無電解メッキ触媒の配合量(触媒濃度)は、例えば、0.01重量%〜5重量%とすることができる。
無電解メッキ触媒を基材表面に付与する他の方法としては、市販の無電解メッキ用触媒液を用いた汎用の方法、例えば、センシタイザー・アクチベータ法やキャタライザー・アクセラレータ法が挙げられる。センシタイザー・アクチベータ法では、まず、無電解メッキ触媒が吸着し易くなるように、例えばSn2+を含む液で基材の表面を処理し(センシタイザー処理)、次に、無電解メッキ触媒(例えば、Pd2+)を含む液に基材を浸漬する(アクチベータ処理)。キャタライザー・アクセラレータ法では、まず、無電解メッキ触媒を含む液(例えば、Sn2+とPd2+の混合によって得られるパラジウムコロイド液)に基材を浸漬し(キャタライザー処理)、次に基材を塩酸溶液等に浸せきしてメッキ触媒の金属を基材の表面に析出させる(アクセラレータ処理)。
次に、前記基材の表面に無電解メッキ液を接触させる(図1のステップS4)。これにより、基材表面の加熱部分に無電解メッキ膜を形成し、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造できる。無電解メッキ液としては、目的に応じて任意の汎用の無電解メッキ液を使用しできるが、触媒活性が高く液が安定であるという点から、無電解ニッケルリンメッキ液が好ましい。
上述のように、本実施形態では、触媒失活剤が浸透又は吸着して残存している触媒失活剤残存部分と、加熱により触媒失活剤が除去された、所定パターンの触媒失活剤除去部分が成形体表面に存在する。そして、この成形体表面に前記無電解メッキ触媒を付与して、無電解メッキ液を接触させることにより、所定パターンの触媒失活剤除去部分のみに、無電解メッキ膜を形成できる。この理由は定かではないが、触媒失活剤残存部分においては、無電解メッキ触媒が触媒失活剤と直接反応して被毒するか、又は触媒失活剤が無電解メッキ触媒と直接反応せずとも、触媒付与工程のいずれかの段階において、触媒失活剤が、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げると推測される。例えば、触媒失活剤としてヨウ素を用いる場合、ヨウ素が無電解メッキ触媒であるパラジウム等の金属と直接反応して、触媒能を有さないヨウ化パラジウムを形成するか、又はパラジウムを酸化させて、触媒能を有さない酸化パラジウムを形成すると推測される。一方、触媒失活剤除去部分には触媒失活剤が存在しないため、無電解メッキ膜が生成する。このため、本実施形態では、様々な材質の基材に対して簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。
以上説明した無電解メッキ膜上には、更に、異なる種類の無電解メッキ膜を形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。基材上のメッキ膜の総厚みを厚くすることにより、所定パターンのメッキ膜を電気回路として用いた場合に電気抵抗を小さくできる。メッキ膜の電気抵抗を下げる観点から、無電解メッキ膜上に積層するメッキ膜は、無電解銅メッキ膜、電解銅メッキ膜、電解ニッケルメッキ等が好ましい。また、電気的に孤立した回路には電解メッキを行えないため、このような場合は、無電解メッキにより、基材上のメッキ膜の総厚みを厚くすることが好ましい。また、ハンダリフローに対応できるようメッキ膜パターンのハンダ濡れ性を向上させるために、錫、金、銀等のメッキ膜をメッキ膜パターンの最表面に形成してもよい。
本実施形態の製造方法は、更に、基材から触媒失活剤を除去する触媒失活剤除去工程を含んでもよい。尚、触媒失活剤除去工程における「触媒失活剤の除去」とは、触媒失活剤を基材から取り除くことを意味し、触媒活性剤が変性(変質)して基材に残存することは含まない。また、「触媒失活剤の除去」は、触媒失活剤を完全に取り除くだけでなく、触媒失活剤の量を減少させることも含む。
以下に、触媒失活剤としてヨウ素を用いた場合の触媒失活剤を除去する工程について説明する。本実施形態では、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、基材からヨウ素を除去することが好ましい。ヨウ素は金属と反応し易く、基材内に残存するとメッキ膜を腐食させる虞があるためである。
基材からヨウ素を除去する方法としては、基材を洗浄液で洗浄することによってヨウ素を溶出させて除去する方法や、基材の周囲の雰囲気を加熱又は減圧することによってヨウ素を昇華させて除去する方法が挙げられる。ヨウ素の洗浄に用いる洗浄液は、ヨウ素を溶解させ、かつ基材を変質させない液であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、及びそれらの混合物が好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどが挙げられる。洗浄液には、ヨウ素の溶解性を高めるためにヨウ化物イオンを含有していてもよく、基材への親和性をあげるために界面活性剤を含有してもよい。
また、ヨウ素を除去する方法としては、基材中のヨウ素の少なくとも一部を還元する還元処理を行い、ヨウ化物イオンとカチオンを含むヨウ素化合物を生成し、生成したヨウ素化合物を基材から除去することがより好ましい。ヨウ素をヨウ化物イオンとすることで、水等の洗浄液への溶解性が高まり、基材からヨウ素を除去し易くなる。さらに、ヨウ化物イオンはヨウ素と比べて金属との反応性が低いため、基材に残存しても金属を腐食する虞が低い。
基材中のヨウ素の還元には、通常の還元剤を用いることができ、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、グルコースなどの糖類、チオ硫酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。例えば、チオ硫酸ナトリウムによる還元の場合は、基材をチオ硫酸ナトリウム溶液に浸漬させることにより、下記の化学反応式(1)に示すように、ヨウ素分子(I)は還元され、酸化数-I(マイナス1)の状態(NaI)となる。
Figure 2016148116
また、基材中のヨウ素の還元は、還元剤を上述した触媒液に含有させることによって行うこともできる。更に、無電解メッキ液中に含まれる還元剤や無電解メッキ中に発生する水素によって、基材中のヨウ素を還元してもよい。
還元処理の後、基材を上述した洗浄液で洗浄することにより基材からヨウ素を除去してもよい。この場合、ヨウ素はヨウ素化合物となって水等の洗浄液に溶解し、容易に基材から除去できる。
ヨウ素以外の触媒失活剤を用いる場合においても、ヨウ素を除去するのと同様に、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、触媒失活剤を除去してもよい。特に、触媒失活剤がイオン性化合物あり、且つメッキ膜を電気配線パターンとして用いる場合、配線間の絶縁性が低下する恐れがあるため、触媒失活剤を除去することが好ましい。触媒失活剤を除去する方法としては、触媒失活剤を溶解する溶剤を用いて基材を洗浄する方法が好ましい。例えば、触媒失活剤としてトリフェニルアンチモンジクロリドを用いる場合、トリフェニルアンチモンジクロリドは非水溶性であるが、メチルエチルケトンなど有機溶剤に可溶である。このため、トリフェニルアンチモンジクロリドは、メッキ工程では基材表面から脱離しないが、メッキ工程後にメチルエチルケトンに基材を浸漬させて十分に洗浄することによって、基材表面から除去できる。
以上説明した本実施形態の製造方法において、所定パターンのメッキ膜は導電性を有していてもよい。この場合、所定パターンのメッキ膜は、配線パターン、電気回路等として機能し、所定パターンのメッキ膜を有するメッキ部品は、電子部品として機能する。また、所定パターンのメッキ膜は、基材の一面のみに平面的に形成させてもよいし、基材の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成されてもよい。所定パターンのメッキ膜が基材の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成され、且つ導電性を有する場合、所定パターンのメッキ膜は立体電気回路として機能し、このような所定パターンのメッキ膜を有するメッキ部品は、立体回路成形部品(MID)として機能する。
尚、本実施形態においては、基材表面への触媒失活剤の付与(図1のステップS1)、基材の表面の加熱又は光照射(同、ステップS2)、基材表面への無電解メッキ触媒の付与(同、ステップS3)をこの順に実施する。メッキ工程の直前に触媒を付与することで、空気酸化等による触媒活性失活を防げるため、これらの工程はこの順に実施することが好ましいが、必ずしもこの順序で実施する必要はない。例えば、基材表面への無電解メッキ触媒の付与(同、ステップS3)、触媒失活剤の付与(図1のステップS1)、基材の表面の加熱又は光照射(同、ステップS2)の順に実施してもよいし、基材表面への触媒失活剤の付与(図1のステップS1)、無電解メッキ触媒の付与(同、ステップS3)、基材の表面の加熱又は光照射(同、ステップS2)の順に実施してもよい。
[第2の実施形態]
図2に示すフローチャートに従って、基材上に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。本実施形態では、基材として、無電解メッキ触媒を含有する成形体を用いる。成形体が既に無電解メッキ触媒を含有しているため、本実施形態では、第1の実施形態で行う、基材の表面に無電解メッキ触媒を付与する工程(図1のステップS3)を省略できる。本実施形態では、無電解メッキ触媒を含有する成形体を成形することにより(図2のステップS11)、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させることができる。
まず、無電解メッキ触媒を含有する成形体を成形する方法(図2のステップS11)について説明する。無電解メッキ触媒を含有する成形体の成形方法は特に限定されないが、国際公開第2013/129659号に開示される方法によって成形できる。例えば、親水性セグメントを有するブロック共重合体(以下、適宜「ブロック共重合体」と記載する)と、無電解メッキ触媒とを含有する第1の樹脂ペレットを製造し、第1の樹脂ペレットと共に熱可塑性樹脂(第2の樹脂ペレット)を用いて成形体を成形してもよい。ブロック共重合体は、成形体の成形過程又は成形後において、成形体表面に向って無電解メッキ触媒を伴って移動し、無電解メッキ触媒と共に成形体の表面近傍に偏析する傾向がある。これにより、成形体の表面近傍は、ブロック共重合体により親水化され、更に無電解メッキ触媒の濃度が高まり、成形体のメッキ反応性が向上する。
このような第1及び第2の樹脂ペレットを用いて成形体を製造する方法において、第1の樹脂ペレットは、マスターバッチであり、第2の樹脂ペレットは、マスターバッチが配合されるベース樹脂に相当する。マスターバッチとは、染料、顔料、その他の添加剤等の機能性材料を高濃度に含有した樹脂ペレットであり、機能性材料を含有しないベース樹脂に混合され、ベース樹脂と共に成形される。マスターバッチを用いると、機能性材料を直接ベース樹脂に添加して成形することと比較して、材料の取り扱い性が容易で秤量精度も向上する。
第1の樹脂ペレットが含有する親水性セグメントを含むブロック共重合体は、親水性セグメントを有し、更に、親水性セグメントとは異なる他のセグメント(以下、適宜「他のセグメント」と記載する)を有する。親水性セグメントには、アニオン性セグメント、カチオン性セグメント、ノニオン性セグメントを用いることができる。アニオン性セグメントとしては、ポリスチレンスルホン酸系、カチオン性セグメントとしては、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体系、ノニオン性セグメントとしては、ポリエーテルエステルアミド系、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン系、ポリエーテルエステル系が挙げられる。成形体の耐熱性を確保し易いことから、親水性セグメントは、ポリエーテル構造を有するノニオン性セグメントが好ましい。ポリエーテル構造としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシトリメチレン基、ポリオキシテトラメチレン基等のオキシアルキレン基、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマーが含まれ、特にポリエチレンオキシドが好ましい。
ブロック共重合体の他のセグメントは、親水性セグメントよりも疎水性であれば任意であるが、例えば、ナイロン、ポリオレフィン等を用いることができる。
ブロック共重合体は市販品を用いてもよく、例えば、三洋化成工業製ペレスタット(登録商標)、ペレクトロン(登録商標)等を用いることができる。例えば、三洋化成工業製ペレスタットNC6321、1251は、親水性セグメントのポリエーテルと、他のセグメントのナイロンをエステル結合でコポリマー化したブロック共重合体である。
第1の樹脂ペレットが含有する無電解メッキ触媒としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。第1の樹脂ペレット中の無電解メッキ触媒の含有量は、無電解メッキの反応性の観点から、0.1重量ppm以上が好ましく、1重量ppm以上とすることがより好ましい。また、上限は、例えば、後述する成形体の製造方法における、加圧二酸化炭素への無電解メッキ触媒の飽和溶解度等で決まるため、無電解メッキ触媒の種類に依存する。
第1の樹脂ペレットの製造方法は任意であるが、国際公開第2013/129659号に開示される方法によって製造できる。例えば、押出成形機を用いて、可塑化溶融したブロック共重合体に無電解メッキ触媒が溶解した加圧二酸化炭素を混合して押出成形し、押出成形体を粉砕して第1の樹脂ペレットを得てもよい。加圧二酸化炭素は、無電解メッキ触媒の溶媒であると共に、ブロック共重合体の可塑剤としても作用し、無電解メッキ触媒がブロック共重合体に均一に分散することを促進する。したがって、無電解メッキ触媒を用いて製造された第1の樹脂ペレットを用いて、メッキ部品を製造すると、均一で高品質なメッキ膜を得られる。加圧二酸化炭素を用いずに、第1の樹脂ペレットを製造することも可能であるが、以上の理由から加圧二酸化炭素を用いることが好ましい。
また、高圧容器内で、ペレット状のブロック共重合体(原料ペレット)に、無電解メッキ触媒が溶解した加圧二酸化炭素を接触させる方法によって、第1の樹脂ペレットを製造してもよい。この場合、加圧二酸化炭素と共に無電解メッキ触媒が原料ペレットに浸透し、無電解メッキ触媒を含有する第1の樹脂ペレットを製造できる。
次に、製造した第1の樹脂ペレットと共に第2の樹脂ペレットを可塑化溶融して、汎用の射出成形機、押出成形機等の成形機を使用し、汎用の成形方法により、無電解メッキ触媒を含有する成形体を成形する。第2の樹脂ペレットの材料としては、第1の実施形態の基材に用いられる材料として挙げられている熱可塑性樹脂を用いることができる。第2の樹脂ペレットは、耐熱性の観点から、ブロック共重合体を含まないことが好ましい。また、第2の樹脂ペレットは、第1の樹脂ペレットが無電解メッキ触媒を含んでいるので、無電解メッキ触媒を含む必要はなく、コスト低減の観点からは、無電解メッキ触媒を含まないことが好ましい。
次に、無電解メッキ触媒を含有する成形体(基材)に対して、第1の実施形態と同様の方法により、触媒失活剤の付与(図2のステップS1)、レーザー描画等による基材の加熱(同、ステップS2)、無電解メッキ(同、ステップS3)、基材からの触媒失活剤(ヨウ素)の除去をこの順に実施する。これにより、基材表面の加熱部分のみに無電解メッキ膜を形成できる。
本実施形態において、基材表面の加熱部分のみに無電解メッキ膜を形成できるメカニズムは以下のように推測される。無電解メッキ触媒を含有する成形体(基材)に触媒失活剤を付与することにより(図2のステップS1)、基材表面の無電解メッキ触媒は被毒する。しかし、本実施形態において、無電解メッキ触媒は外部から付与されているのではなく、成形体内部に練り込まれている。そのため、触媒失活剤の浸透深さより深い、基材の内部にも無電解メッキ触媒は存在しており、触媒失活剤と接触しない内部の無電解メッキ触媒は被毒しない。表層部の無電解メッキ触媒が被毒した状態の基材にレーザー光を照射すると(同、ステップS2)、レーザー光照射部分の熱可塑性樹脂が蒸発することにより表面が粗化し、成形体内部に存在する被毒していない無電解メッキ触媒が基材表面に露出する。更に、基材表面が粗化することにより、無電解メッキ液が浸透し易くなり、浸透した無電解メッキ液は基材内部の被毒していない無電解メッキ触媒と接触し、内部からメッキ膜が成長する。一方、レーザー光照射部分以外の部分では、触媒失活剤の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制される。このように、本実施形態においても、簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、表面に延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有する基材を用いる。そして、第1のパターンを形成する凸部及び/又は凹部に無電解メッキ膜を形成する。第1の実施形態と同様に、図1に示すフローチャートに従って、本実施形態のメッキ部品の製造方法について説明する。
まず、延在する凸部及び/又は凹部によって所定の第1のパターンが形成された領域を有する基材の表面に、触媒失活剤を付与する(図1のステップS1)。
図6(a)及び(b)に示す本実施形態の基材60は板状体であって、一方の面60a上に、複数の直線状に延在する凸部61が略平行に配列され、隣接する凸部61同士の間に凹部62が形成される。このように、本実施形態では、基材60の面60aの全面に、複数の凸部61によって所定の第1のパターンが形成される。即ち、本実施形態では、基材60の面60aの全面が、第1のパターンが形成された領域である。
基材の材料は、第1の実施形態と同様のものを使用でき、基材は市販品であってもよいし、市販の材料から成形等により製造してもよい。基材表面の凸部及び凹部は、成形時に同時に形成してもよし、成形後に切削加工、エッチング、熱プレス等によって形成してもよい。
面60a上に延在する凸部61の断面形状は特に限定されないが、凸部を金型を用いて形成する場合、金型が抜けやすいように、面60aから離れるほど先細りする形状が好ましく、例えば、半円、三角形、台形等が挙げられる。本実施形態では、凸部61の断面形状を台形とする。尚、凸部61の断面形状とは、凸部61において、面60aに垂直で、且つ、凸部60の延在方向に垂直な断面の形状である
後述する凸部61の加熱工程において凹部62に熱が拡散するのを防ぐ観点から、凸部61の幅Wは、0.1mm〜100mmが好ましく、2mm〜10mmがより好ましく、高さHは、0.05mm〜10mmが好ましく、0.1mm〜5mmがより好ましく、ピッチPは、0.5mm〜100mmが好ましく、1mm〜10mmがより好ましい。また、凸部61を均一に加熱する観点から、凸部61の高さHは、ほぼ一定が好ましい。
触媒失活剤は、第1の実施形態と同様の物質を用いることができ、また、第1の実施形態と同様の方法により基材表面に付与できる。触媒失活剤は、少なくとも、所定の第1のパターンが形成された領域に付与する。図7(a)に示すように、基材60に付与された触媒失活剤80は、基材60の表面近傍(表層部分)に浸透するか、又は基材60の表面に吸着すると推測される。
次に、図7(a)に示すように、加熱板70を用いて、第1のパターンを形成する凸部61の頂部61aを加熱する(図1のステップS2)。このとき、加熱板70を頂部61aに直接、接触させて熱プレスしてもよいし、加熱板70を頂部61aに近づけることにより十分に頂部61aを加熱できるのであれば、加熱板70は直接頂部61aに接触させなくてもよい。加熱板70としては、例えば、ステンレス、アルミ等の安価な金属板を使用できる。基材の凸部61を加熱する加熱温度、加熱時間、また、プレスする場合におけるプレス圧力は、基材の融点等の耐熱性、触媒失活剤の種類等に依存して適宜決定できる。例えば、加熱温度(加熱板の温度)は、100℃〜350℃、加熱時間は、0.1秒〜120秒、プレス圧力は、1kgf/cm〜1000kgf/cmとすることができる。
図6(b)に示すように、加熱された凸部61の頂部61aに存在する触媒失活剤80は蒸発又は昇華して頂部61aの表面から除去される。尚、基材及び加熱条件によっては、触媒失活剤と共に頂部61aの表層部分が蒸発して消失してもよい。このように、本実施形態では、凸部61の頂部61aを加熱することにより、基材60の表面に、頂部61aを含む第1のパターンの触媒失活剤除去部分が形成される。そして、頂部61a以外の領域が、触媒失活剤が浸透又は吸着して残存している触媒失活剤残存部分となる。
次に、第1の実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(図1のステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、加熱した頂部61aのみに無電解メッキ膜85が形成され、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品100を製造できる。更に、本実施形態は、第1の実施形態と同様に、必要に応じて、無電解メッキ膜上に、異なる種類の無電解メッキ膜を形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。また、第1の実施形態と同様に、基材の表面に無電解メッキ触媒を保持させる工程(図1のステップS3)の後、又は無電解メッキ膜を形成する工程(同、ステップS4)の後に、基材から触媒失活剤を除去してもよい。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、簡易な製造プロセスにより第1のパターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、第1のパターンのみに無電解メッキ膜を形成できる。更に、本実施形態では、メッキ膜を形成する部分を凸部61とすることで、凸部61以外への熱の拡散を抑制でき、明確なメッキ膜パターンを形成できる。また、本実施形態のメッキ膜を配線パターンや電気回路として利用する場合、配線となるメッキ膜85は凸部61の頂部61a上に形成されているため、隣接する配線間の実効的な配線間距離が長くなり、配線間の絶縁性能が向上する。これにより、電子部品の配線密度を高められる。また、本実施形態では、レーザー光を用いず、安価なステンレス、アルミ等で形成可能な加熱板を用いて基材60を加熱するため、安価に短時間で大型のMIDを製造可能である。製品形状に合わせた加熱板(プレス型)も加工が容易なアルミで簡便に作製することができる。更に、本実施形態では、加熱部分を凸部61とすることで、凸部61と接触する面70aが平面である加熱板70を用いることができる。即ち、所望のメッキ膜のパターン毎に加熱板を用意する必要がなく、製造コストを削減できる。
次に、図8(a)〜(c)及び図9に示す、本実施形態の変形例1について説明する。上述した本実施形態では、凸部60と接触する面70aが平面である加熱板70を用いたが(図7(a)参照)、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図8(a)に示すような加熱板90を用いて、基材60を熱プレスしてもよい。加熱板90は、基材60と接触する面90a上に延在する突出部91を有する。突出部91は、面90a上に、基材60の第1のパターンに対応する第2のパターンを形成する。本変形例では、基材の加熱工程(図1のステップS2)において、基材60の凸部61により形成される第1のパターンに、加熱板90の突出部91により形成される第2のパターンを接触させて、加熱板90により基材60を熱プレスする。これにより、図8(b)に示すように、凸部61の頂部61aに、突出部91に対応する窪み61bが形成される。その後、第1の実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(図1のステップS3)、無電解メッキ液を接触さる(同、ステップS4)。これにより、本変形例では、図8(c)及び図9に示すように、窪み61b内に無電解メッキ膜85が形成され、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品200を製造できる。無電解メッキ膜85が窪み61b内に形成されることで、本変形例では、無電解メッキ膜85の基材60に対する密着強度が向上する。加熱板90の突出部91が基材60の凸部61に窪み61bを形成するため、突出部91の幅W1及び高さH1は、それぞれ、凸部61の幅W及び高さHより小さいことが好ましい。本実施形態では、凸部61よりも小さい突出部91により基材60を加熱するため、凸部61周辺への熱の拡散を抑えられる。
次に、図10に示す本実施形態の変形例2について説明する。上述した本実施形態では、凸部60により第1のパターンが形成され、無電解メッキ膜85を凸部61に形成したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、凹部62により第1のパターンが形成され、凹部62の底62aに無電解メッキ膜85を設けてもよい。上述した本実施形態では、基材60に触媒失活剤を付与した後(図1のステップS1)、加熱された加熱板70を用いて、凸部61の頂部61aを加熱して加熱部分の触媒失活剤を除去する(同、ステップS2)。一方、本変形例では、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60に触媒失活剤を付与した後(同、ステップS1)、凹部62の底62aにレーザー光を照射することにより、レーザー光照射部分の触媒失活剤を除去する(図1のステップS2)。その後、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(同、ステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、レーザー光を照射した底62aのみに無電解メッキ膜85が形成され、メッキ部品300を製造できる。本変形例では、レーザー光照射を使用するため、加熱板を用いる場合と比較して、加熱部分周辺への熱の拡散を抑えられる。このため、凸部及び凹部の大きさを小さくして、電子部品の配線密度を更に高められる。例えば、レーザー光を用いる場合、図6(b)に示す凸部61の幅Wは、10μm〜1000μmが好ましく、50μm〜500μmがより好ましく、高さHは、10μm〜200μmが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、ピッチPは、10μm〜1000μmが好ましく、30μm〜100μmがより好ましい。
更に、図11に示す本実施形態の変形例3について説明する。本変形例では、図11に示すように、凸部61及び凹部62により第1のパターンが形成され、凸部61の頂部61aと、凹部62の底62aとの両方に無電解メッキ膜85を形成する。まず、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60に触媒失活剤を付与する(図1、ステップS1)。その後、凸部61の頂部61a及び凹部62の底62aの両方に存在する触媒失活剤を除去する。触媒失活剤を除去する方法としては、例えば、頂部61a及び底62aの両方にレーザー光を照射してもよいし、他の方法としては、頂部61aには加熱板を接触させ、底62aにはレーザー光を照射してもよい(図1、ステップS2)。その後、上述した本実施形態と同様の方法により、基材60の表面に無電解メッキ触媒を保持させ(同、ステップS3)、無電解メッキ液を接触させる(同、ステップS4)。これにより、頂部61a及び底62aの両方に無電解メッキ膜85が形成され、メッキ部品400を製造できる。本変形例では、凸部61と凹部62の両方にメッキ膜を形成することで、電子部品の配線密度を更に高められる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。
[実施例1]
本実施例では、基材として樹脂成形体を成形した。そして、成形した樹脂成形体上への触媒失活剤の付与、レーザー描画による樹脂成形体の加熱、無電解メッキ触媒の付与、無電解メッキ、触媒失活剤の除去をこの順に行って、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。尚、触媒失活剤としては、ヨウ素を用いた。
(1)樹脂成形体の成形
汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて、ナイロン6T(PA6T)(ソルベイ アドバンスト ポリマーズ製、アモデルAS−1566HS、黒色グレード)を4cm×6cm×0.2cmの板状体に成形した。
(2)ヨウ素の付与
以下の手順で、ヨウ素濃度1.5重量%、ヨウ化カリウム濃度6重量%、水とエタノール混合溶液を溶媒とするヨウ素溶液を調製した。まず、水194.5gにヨウ化カリウム(和光純薬製試薬)18.0gを溶解し、ヨウ化カリウム水溶液を調製した。次に、調製したヨウ化カリウム水溶液に、ヨウ素(和光純薬製試薬)4.5gを加え、攪拌して完全に溶解させた。更にエタノール(和光純薬製試薬)83.0gを加え、ヨウ素溶液を得た。
調製したヨウ素溶液を300ccのトールビーカーに入れ、樹脂成形体(基材)をヨウ素溶液に浸漬し、室温で10分間放置した。その後、樹脂成形体をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、エアーブローで基材についた水滴を除去した。
(3)レーザー描画
ヨウ素を付与した樹脂成形体に、レーザー描画装置(キーエンス製、MD−V9929WA、YVOレーザー、波長1064nm)を用いて、所定のパターンに沿ってレーザー光を照射した。レーザー描画は、描画速度500mm/sec、周波数50kHz、パワー80%で行った。本実施例でレーザー描画したパターンは、ピッチ500μm、線幅200μm、長さ4cmの複数の直線を含むパターンである。即ち、パターンのライン・アンド・スペース(L/S)は、200μm/300μmであった。
(4)無電解メッキ触媒の付与
レーザー描画を行った樹脂成形体を触媒液に浸漬して、樹脂成形体の表面に無電解メッキ触媒を付与した。まず、ヘキサン(和光純薬製試薬)300gにヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)(Aldrich製試薬)1.5gを溶解して、パラジウム錯体濃度(触媒濃度)0.5重量%の触媒液を調製した。
調製した触媒液を300ccのトールビーカーに入れ、レーザー描画を行った樹脂成形体を触媒液に浸漬し、室温で5分間放置した。その後、樹脂成形体を触媒液から取り出し、ヘキサン、エタノール、水の順で十分に洗浄した。
(5)無電解メッキ
無電解ニッケルリンメッキ液(カニゼン製、SE−666)を500ccのトールビーカーに入れ、無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体をメッキ液に浸漬し、80℃で15分間、無電解メッキを行った。無電解メッキ後、樹脂成形体をメッキ液から取り出して十分に水洗した。無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、レーザー描画部分のみに泡が発生していた。この泡は水素であると推測され、これから、レーザー描画部分のみで無電解メッキ反応が生じていたことが確認できた。
(6)ヨウ素の還元および除去
無電解メッキを行った樹脂成形体から、以下の方法によりヨウ素を除去した。まず、チオ硫酸ナトリウム(和光純薬製試薬)49.5gを水280gに溶解し、チオ硫酸ナトリウム濃度15重量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液を調製した。調製したチオ硫酸ナトリウム水溶液を300ccのトールビーカーに入れ、無電解メッキを行った樹脂成形体をチオ硫酸ナトリウム水溶液に浸漬し、室温で10分間放置した。その後、樹脂成形体をチオ硫酸ナトリウム水溶液から取り出し、十分に水洗した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造したメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画を行った所定パターンのみにメッキ膜が形成されており、所定パターン以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素がレーザー光照射によって除去されて存在しないため無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
次に、メッキ膜形成部分(所定パターン部分)の電気抵抗を測定した。測定方法は、1本の直線状のメッキ膜の一端と他端にテスターの端子を押し当てて、端子間の電気抵抗を測定する方法を用いた。この結果、電気抵抗は、10Ωと低い値であり、所定パターン部分が導電性を有することが確認できた。
[実施例2]
本実施例では、レーザー描画の代わりに、高温のステンレス板を基材に押し当てて熱プレスすることにより基材の一部分を加熱した。また、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与した。また、ヨウ素の還元処理は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形及びヨウ素付与
まず、実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形し、次に、樹脂成形体にヨウ素を付与した。
(2)基材の加熱
まず、2cm×4cm×0.5cmのステンレス板を用意し、150℃に加熱した。そして、150℃のステンレス板を樹脂成形体に1分間押し当てて、樹脂成形体の一部分を加熱した。その後、10分間放置して、樹脂成形体を室温まで冷却した。
(3)無電解メッキ触媒の付与
感応性付与剤(センシタイザー、奥野製薬製)を300ccのトールビーカーに入れ、ステンレス板を用いて加熱した樹脂成形体を感応性付与剤に浸漬し、室温で3分間放置した。その後、樹脂成形体を感応性付与剤から取り出し、十分に水洗した。次に、触媒化処理剤(アクチベータ、奥野製薬製)を300ccのトールビーカーに入れ、樹脂成形体を触媒化処理剤に浸漬し、30℃で1分間放置した。その後、樹脂成形体を触媒化処理剤から取り出し、十分に水洗した。
(4)無電解メッキ
実施例1と同様の方法により、無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体に無電解メッキを行った。無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、樹脂成形体の加熱部分のみに泡が発生していた。この泡は水素であると推測され、これから、加熱部分のみで無電解メッキ反応が生じていたことが確認できた。
(5)ヨウ素の除去
300ccのトールビーカーにエタノールを入れ、基材を入れて1時間放置し、基材中のヨウ素を洗浄した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、加熱部分のみにメッキ膜が形成されており加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素が加熱によって除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
次に、メッキ膜形成部分(加熱部分)の電気抵抗を測定した。測定方法は、長方形のメッキ膜の対角の頂点部にテスターの端子を押し当てて、端子間の電気抵抗を測定する方法を用いた。この結果、電気抵抗は10Ωと低い値であり、メッキ膜形成部分が導電性を有することが確認できた。
[実施例3]
本実施例では、メッキ部品として、所定パターンのメッキ膜が球面上に立体的に形成された3次元形状の立体回路部品(MID)を製造した。まず、基材として半球状の樹脂成形体を成形し、成形した樹脂成形体上への触媒失活剤の付与、レーザー描画による樹脂成形体の加熱、無電解メッキ触媒の付与、触媒失活剤の除去、無電解メッキをこの順に行った。尚、触媒失活剤としては、ヨウ素を用いた。
(1)樹脂成形体の成形及びヨウ素付与
まず、実施例1と同様の射出成形機及び熱可塑性樹脂を用いて、直径6cm、高さ3cm、肉厚1mm、の半球状の成形体を成形し、次に実施例1と同様の方法により樹脂成形体にヨウ素を付与した。
(2)レーザー描画
実施例1と同様のレーザー描画装置を用い、実施例1と同様のレーザー描画条件で、ヨウ素を付与した樹脂成形体の球面上に所定パターンのレーザー描画を行った。
(3)無電解メッキ触媒の付与
本実施例では、実施例2と同様に市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与した。
(4)ヨウ素の還元および除去
無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体から、以下の方法によりヨウ素を除去した。まず、水素化ホウ素ナトリウム4.0g(和光純薬製試薬)をエタノール800gに溶解し、0.5重量%水素化ホウ素ナトリウム溶液を調製した。調製した水素化ホウ素ナトリウム溶液1000gに、無電解メッキ触媒を付与した樹脂成形体を浸漬し、室温で5分間放置した。その後、樹脂成形体を水素化ホウ素ナトリウム溶液から取り出し、十分に水洗した。
(5)無電解メッキ
析出レートの高い無電解銅メッキ液(奥野製薬製、OPCカッパーNCA)を2000ccのトールビーカーに入れ、ヨウ素還元処理後の樹脂成形体をメッキ液に浸漬した。60℃で1時間、無電解メッキを行い、厚み7μmの銅メッキ膜を形成した。無電解メッキ後、樹脂成形体をメッキ液から取り出して十分に水洗した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造したメッキ部品(立体回路部品、MID)の写真を図3に示す。本実施例で製造したメッキ部品は、レーザー描画を行った所定パターンのみにメッキ膜が形成されており、所定パターン以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素がレーザー光照射によって除去されて存在しないため無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本実施例で製造したメッキ部品(MID)に対して、120℃の環境に1時間放置と、−40℃の環境に1時間放置とを交互に10回繰り返すヒートショック試験を行った。この結果、メッキ部品のメッキ膜の剥離は発生しなかった。この結果から、本実施例のMIDは、高い信頼性を有することがわかった。
[実施例4]
本実施例では、メッキ部品として、表面にメッキ膜によって配線のモデルパターンが形成された部品を製造した。まず、基材として平板状の樹脂成形体を成形し、成形した樹脂成形体上への触媒失活剤の付与、レーザー描画による樹脂成形体の加熱、無電解メッキ触媒の付与、無電解メッキをこの順に行った。本実施例では、触媒失活剤の除去は行わなかった。尚、触媒失活剤としては、ヨウ素を用いた。
(1)樹脂成形体の成形及びヨウ素付与
まず、実施例1と同様の射出成形機を使用し、熱可塑性樹脂として高融点(310℃)で植物由来の芳香族ナイロン(東洋紡製、バイロアミド)を用いて、10cm×10cm×0.2cmの平板状の成形体を成形し、次に実施例1と同様の方法により樹脂成形体にヨウ素を付与した。本実施例で用いた芳香族ナイロンは、融点が高く、ソリやバリが少なく成形性に優れるため、MIDに好適である。
(2)レーザー描画
実施例1と同様のレーザー描画装置を用い、実施例1と同様のレーザー描画条件で、ヨウ素を付与した樹脂成形体上に所定の回路パターンのレーザー描画を行った。回路パターンは、ピッチ300μm、500μm、1.0mm及び1.5mmの4種類のピッチの回路パターンとし、各回路パターンにおける線幅は、200μmとした。したがって、各回路パターンのライン・アンド・スペース(L/S)は、200μm/100μm、200μm/300μm、200μm/800μm、200μm/1300μmであった。
(3)無電解メッキ触媒の付与
本実施例では、実施例2と同様に市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与した。
(4)無電解メッキ
実施例3と同様に無電解銅メッキ液を用いて、実施例3と同様の方法で無電解メッキを行った。
<評価>
以上説明した製造方法により製造した配線のモデルパターンが形成された部品(メッキ部品)の写真を図4に示す。図4に示す領域Aにピッチ300μmの回路パターン、領域Bにピッチ500μmの回路パターン、領域Cにピッチ1.0mmの回路パターン及び領域Dにピッチ1.5mmの回路パターンを形成した。図4の領域Bにおけるピッチ500μmの回路パターンの拡大写真を図5に示す。本実施例で製造したメッキ部品は、ピッチ300μmの回路パターンでは、一部配線間がつながっている箇所が散見されたが、図5に示すように、ピッチ500μm以上の回路パターンでは配線の短絡は見られなかった。この結果から、本実施例の方法によって、高機能樹脂材料を用いて簡易なプロセスで、電気回路が形成されたメッキ部品(電子部品)を製造できることが確認された。
[実施例5]
本実施例では、基材として、無電解メッキ触媒を含有する成形体を成形した。そのため、基材への無電解メッキ触媒の付与は行なわなかった。また、無電解メッキ前に塩酸による無電解メッキ前処理を行った。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
(1)無電解メッキ触媒を含有する成形体の成形
(a)第1の樹脂ペレットの製造
サイフォン式の液化二酸化炭素ボンベへとつながる第1の配管と、背圧弁を介して外部へとつながる第2の配管とを有する250ccの耐圧容器を用意した。第1及び第2の配管それぞれに、第1及び第2のバルブを設け、初期のバルブの状態は、両バルブとも閉とした。この耐圧容器に、親水性セグメントを有するブロック共重合体のペレット(三洋化成工業製、PL1251)(原料ペレット)80g、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)(Aldrich製試薬)(無電解メッキ触媒)160mgを配置して密閉した。耐圧容器を10℃に冷却し、第1のバルブを開放して第1の配管を介して耐圧容器内に液体二酸化炭素を導入した。耐圧容器内の圧力が4.5MPaになったことを確認してから、第1のバルブを閉めた。次に、背圧弁を10MPaに設定した後、第2のバルブを開放して耐圧容器を加熱した。耐圧容器内を圧力10MPa、温度40℃を保持した状態で、第2のバルブを開放したまま耐圧容器を2時間加熱した。加熱停止後、5時間放置して耐圧容器の温度を室温まで下げた。その後、背圧弁を開放して耐圧容器から二酸化炭素を放出した。耐圧容器内の圧力が大気圧に戻った後、耐圧容器からヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウムが浸透したブロック共重合体のペレット(第1の樹脂ペレット)を取り出した。
容器から取り出したペレットを目視により観察した。上記処理前のペレットは無色であったが、上記処理後のペレットは黄色に着色していた。これから、上記処理により、ブロック共重合体のペレットにヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)が含浸されたことが確認できた。
(b)成形体の成形
第2の樹脂ペレットとして、ガラス繊維33重量%含有の66ナイロン(東レ製、アミランCM3001G33)を用いた。得られた第1の樹脂ペレット10重量%、第2の樹脂ペレット90重量%の割合で混合し、混合したペレットを実施例1と同様の汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて4cm×8cm×0.2cmの板状体に成形した。
(2)ヨウ素付与、レーザー描画
実施例1と同様の方法により、樹脂成形体にヨウ素を付与し、その後、レーザー描画を行った。
(3)メッキ前処理
無電解メッキ前に、レーザー描画を行った基材を常温の塩酸(3.0N)に5分間浸漬させた。このメッキ前処理により、基材中の66ナイロンの表面が膨潤し、後工程の無電解メッキ処理においてメッキ液が基材に浸透し易くなった。
(4)無電解メッキ
次に、メッキ前処理を行った樹脂成形体に、実施例1と同様の方法により無電解メッキを行った。無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、樹脂成形体のレーザー描画部分のみに泡が発生していた。この泡は水素であると推測され、これから、レーザー描画部分のみで無電解メッキ反応が生じていたことが確認できた。
(5)ヨウ素の還元および除去
実施例1と同様の方法により、樹脂成形体(基材)からヨウ素を除去した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画部分のみにメッキ膜が形成されており加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、レーザー光照射によって成形体表面が粗化され、これにより、ヨウ素によって被毒していない無電解メッキ触媒が基材表面に露出し、また、無電解メッキ液の基材への浸透が促進され、無電解メッキの反応性が向上したため、メッキ膜が形成されたと推測される。一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
次に、レーザー描画部分の電気抵抗を測定した。実施例1と同様の方法で電気抵抗を測定したところ、10Ωと低い値であり、メッキ膜形成部分が導電性を有することが確認できた。
[比較例1]
本比較例では、基材へのヨウ素の付与(実施例1の工程(2))、及びヨウ素の還元および除去(実施例1の工程(6))を行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法により、メッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。但し、本比較例では、無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、基材全面から泡が激しく発生していた。このため、メッキ液の分解を防ぐ目的で、基材の無電解メッキ液への浸漬時間は、実施例1より短い30秒間とした。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本比較例のメッキ部品は、基材全面にメッキ膜が形成されていた。また、レーザー描画部分と、それ以外の部分を比較すると、メッキ膜の成長に差は見られなかった。本比較例では基材へのヨウ素付与を行っていないため、無電解メッキ触媒は被毒していない。そのため、レーザー光照射の有無とは無関係に、基材全面にメッキ膜が生成したと推測される。
[比較例2]
本比較例では、基材へのヨウ素の付与(実施例1の工程(2))、及びヨウ素の還元および除去(実施例1の工程(6))を行わなかった。それ以外は、実施例5と同様の方法により、メッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。但し、本比較例では、無電解メッキ中の樹脂成形体を観察したところ、基材全面から泡が激しく発生していた。このため、メッキ液の分解を防ぐ目的で、基材の無電解メッキ液への浸漬時間は、実施例5より短い5分間とした。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本比較例のメッキ部品は、基材全面にメッキ膜が形成されていた。また、レーザー描画部分と、それ以外の部分を比較すると、メッキ膜の成長に差は見られなかった。本比較例では基材へのヨウ素付与を行っていないため、無電解メッキ触媒は被毒していない。そのため、レーザー光照射の有無とは無関係に、基材全面にメッキ膜が生成したと推測される。
[比較例3]
本比較例では、レーザー描画(実施例1の工程(3))を行わなかった以外は、実施例1と同様に基材に対して各処理を実施した。しかし、本比較例では、基材表面に無電解メッキ膜は生成しなかった。本比較例では基材へのヨウ素付与を行い、その後、レーザー光等を用いた基材の加熱を行っていない。そのため、基材の全面にヨウ素が浸透した状態であり、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
[実施例6]
本実施例では、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与し、無電解メッキ液として無電解銅メッキ液を用いた。また、触媒失活剤の除去は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形及びヨウ素付与
まず、実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形し、次に、樹脂成形体にヨウ素を付与した。
(2)レーザー描画
実施例1と同様のレーザー描画装置を用い、実施例1と同様のレーザー描画条件で、ヨウ素を付与した樹脂成形体上に所定パターンのレーザー描画を行った。描画したパターンは、5mm×5cmの領域を0.1mmピッチで複数個並べたパターンである。
(3)無電解メッキ触媒の付与
実施例2と同様の市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により、レーザー光を照射した基材に無電解メッキ触媒を付与した。感応性付与剤(センシタイザー)に基材を浸漬して超音波を照射する時間を5分間としたこと、その後、触媒化処理剤(アクチベータ)に基材を浸漬する時間を2分間としたこと以外は、実施例2と同様の方法により基材へ無電解メッキ触媒を付与した。
(4)無電解メッキ
無電解メッキ触媒を付与した成形体を60℃の無電解銅メッキ液(奥野製薬工業製、OPC−NCA)に15分浸漬して、成形体表面に厚み1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造したメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画を行った所定パターンのみにメッキ膜が形成されており、所定パターン以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、ヨウ素がレーザー光照射によって除去されて存在しないため無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
<XPS分析>
本実施例で製造したメッキ部品のメッキ膜が形成された部分とメッキ膜が形成されなかった部分のXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)分析を行った。但し、XPS分析の分析深さは数nmであり、メッキ膜が存在すると触媒等の検出が不可能になる。したがって、本分析では、触媒付与の工程まで行い、無電解メッキ膜を形成しない試料を分析試料とした。
(1)分析試料及び分析装置
分析試料としては、下記の試料A〜Cの3種類を用意した。

試料A:レーザー光照射部分
基材にヨウ素の付与、レーザー描画、無電解めっき触媒の付与及びレーザー描画を行い、レーザー描画部分を試料片とした。

試料B:レーザー光非照射部分
基材にヨウ素の付与、レーザー描画、無電解めっき触媒の付与及びレーザー描画を行い、レーザー描画部分以外の部分を試料片とした。

試料C:リファレンス(ヨウ素付与せず)
基材にヨウ素を付与しなかった以外は、試料Bと同様とした。
試料Aのレーザー光照射部分は、無電解メッキ液を接触させると無電解メッキ膜が形成される部分であり、試料Bのレーザー光非照射部分は、無電解メッキ液を接触させても無電解メッキ膜が形成されない部分である。分析には、XPS分析装置(アルバックファイ株式会社製、ESCA5500MC、励起源MgKa1253.6eV、分析領域Φ800μm)を用いた。
(2)分析結果
(a)試料表面の元素濃度
表1に、各試料表面の元素濃度を示す。
Figure 2016148116
試料A〜Cの全てから検出された、C、O、N、Siは、基材に含まれるナイロン6T及びガラス繊維の構成元素である。試料A〜Cにおいて、これら基材由来の元素濃度には若干のバラつきがあった。しかし、このバラつきは、基材表面のガラス繊維の露出状況及びレーザー描画による表面の凹凸が原因であり、有意差ではないと判断した。
ヨウ素を付与した試料A及びBからは、ヨウ素(I)が検出された。レーザー光照射した試料Aのヨウ素濃度は、レーザー光照射していない試料Bのヨウ素濃度の1割程度であり、有意差が認められた。この結果から、レーザー光照射によって基材からヨウ素が除去されたことがわかった。
Pd、Sn、Clは、無電解メッキ用触媒液である感応性付与剤(センシタイザー)及び触媒化処理剤(アクチベータ)に含まれる元素である。PdとSnは試料ごとに検出量に若干の差があるが、基材由来の元素と同様に、有意差ではないと判断した。試料A〜Cのいずれの試料からもSnが検出された。試料A及びCにおいて、Snはセンシタイザーに含有されるSnCl又はそれがアクチベータ中のPd2+と反応して生じたSnClとして存在していると推測される。一方、試料B(レーザー光非照射部分)からはClが検出されなかった。試料Bでは、他の試料と比較してヨウ素(I)が多く存在している。このため、試料Bでは、SnはClではなくヨウ素と反応し、SnI又はSnIとして存在していると推測される。
(b)無電解メッキ触媒の化学状態
各試料のPd3dスペクトルを検出して分離し、スペクトルのライブラリデータベースより、337.6eVをPd錯体、336.6eVを酸化パラジウム又はヨウ化パラジウム、335.3eVを酸化数0の金属Pdに帰属させた。金属Pdは、触媒能を有している。一方、酸化パラジウム又はヨウ化パラジウムとして存在するPdは、触媒能失活状態のPdである。また、Pd錯体は、アクチベータに含まれているPd錯体(塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硫酸パラジウム)である。各試料における、Pdの各化学状態の比率を表2に示す。
Figure 2016148116
表2に示すように、試料A(レーザー光照射部分)は、金属Pdの比率が60%以上と大きく、触媒能失活状態のPdは26.2%と少なかった。一方、試料B(レーザー光非照射部分)は、触媒能失活状態のPdの比率が70%以上と大きく、金属Pdの比率は20%未満と少なかった。このように、レーザー照射の有無により、無電解メッキ触媒能を有する金属Pdの濃度に差があるため、メッキの析出性に差が生じ、選択的なメッキが可能となることがわかった。
触媒能失活状態のPdが多い試料Bは、他の試料と比較してヨウ素元素濃度が高い(表1参照)。一方、ヨウ素元素が検出されていない試料Cからは、触媒能失活状態のPdは、ほぼ検出されなかった(5%未満)。この結果から、パラジウムが触媒能を失活する原因はヨウ素であり、Pdがヨウ素と反応してヨウ化パラジウムとなったか、又は酸化され酸化パラジウムとなったと推測される。
[実施例7]
本実施例では、基材として、表面に凸部により第1のパターンが形成された樹脂成形体を用いて、第1のパターンに選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形及びヨウ素の付与
まず、実施例1と同様の射出成形機及び熱可塑性樹脂を用いて、片面に凸部により第1のパターンが形成されている縦100mm×横200mm×厚み3mmの平板を成形した。表面に台形状の直線溝が形成された金型を用いて成形体を成形することで、成形体の成形と同時に成形体表面に第1のパターンを形成した。図6(b)に示す、凸部の幅(台形の底辺)Wは1mm、高さHは1mm、ピッチPは2mmとした。また、凸部の長さは50mmとし、基材の表面に10本の凸部を含む第1のパターンを形成した。次に、実施例1と同様の方法により、樹脂成形体にヨウ素を付与した。基材にヨウ素に浸透したことにより、基材表面は茶色に変色した。
(2)基材の加熱
ホットエンボス装置(エンジアリング・システム社製、AHHE0101)を用いて、図7(a)に示すように、基材60を熱プレスした。凸部61を加熱する加熱板70として、凸部61と接触する面70aが平坦な平板状のアルミ鋼材を含むプレス板を用いた。まず、上部プレス板(加熱板)70と、下部プレス板(図示せず)との間に、凸部61が上部プレス板(加熱板)70と対向するように基材60を配置した。そして、上部プレス板(加熱板)70の温度を180℃、下部プレス板の温度を室温(25℃)とし、プレス時間10秒間、プレスストローク10μmで、基材60を熱プレスした。上部プレス板(加熱板)70により熱プレスされた凸部61の頂部61aは、茶色から白色に変色していた。これから、加熱により、頂部61aのヨウ素が蒸発して除去されたと推測される。
(3)無電解メッキ触媒の付与
実施例2と同様の市販の無電解メッキ用触媒液を用いて、センシタイザー・アクチベータ法により、熱プレスした基材に無電解メッキ触媒を付与した。感応性付与剤(センシタイザー)に基材を浸漬して超音波を照射する時間を5分間としたこと以外は、実施例2と同様の方法により基材へ無電解メッキ触媒を付与した。
(4)無電解メッキ
実施例6と同様の方法により、成形体表面に厚み約1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、加熱部分である、第1のパターンを形成する凸部61の頂部61aのみにメッキ膜が形成された。加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。第1のパターン部分においては、ヨウ素が加熱によって除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、第1のパターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
無電解メッキ膜上に更に、汎用方法により電解銅メッキ膜を20μm積層し、細線状のメッキ膜の密着強度を垂直引っ張り試験により測定した。その結果、1cm幅あたりに換算したメッキ膜の密着強度は、約4N/cmであった。また、電解銅メッキ膜を形成したメッキ部品に対して、120℃の環境に30分間放置と、−30℃の環境に30分間放置とを交互に1000回繰り返すヒートショック試験を行った。この結果、メッキ部品のメッキ膜の剥離や膨れは発生しなかった。
[実施例8]
本実施例では、実施例7と同様に、基材として表面に凸部により第1のパターンが形成された樹脂成形体を用いて、第1のパターンに選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。但し、本実施例では、実施例7とは異なり、表面に突出部を含む第2のパターンが形成されている加熱板を用いた。
(1)樹脂成形体の成形及びヨウ素の付与
実施例7と同様の方法により、基材として、片面に凸部により第1のパターンが形成されている樹脂成形体を成形し、実施例1と同様の方法により、樹脂成形体にヨウ素を付与した。基材にヨウ素が浸透したことにより、基材表面は茶色に変色した。
(2)基材の加熱
実施例7と同様のホットエンボス装置を用いて、図8(a)に示すように、基材60を熱プレスした。凸部61を加熱する加熱板90は平板状のアルミ鋼材を含むプレス板であり、基材60と接触する面90a上に延在する突出部91を有する。突出部91は、面90a上に、基材60の第1のパターンに対応する第2のパターンを形成する。本実施例では、基材60の凸部61により形成される第1のパターンに、加熱板90の突出部91により形成される第2のパターンを接触させて、加熱板90により基材60を熱プレスした。熱プレスの条件は、実施例7と同様とした。上部プレス板(加熱板)90によりプレスされた凸部61の頂部61aには、突出部91に対応する窪み61bが形成された。また、頂部61aは、茶色から白色に変色した。これから、加熱により、頂部61aのヨウ素が蒸発して除去されたと推測される。
(3)無電解めっき触媒の付与及び無電解メッキ
実施例7と同様の方法により、熱プレスした基材に無電解メッキ触媒を付与し(センシタイザー・アクチベータ法)、メッキ触媒を付与した成形体表面に厚さ約1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、加熱部分である、第1のパターンを形成する凸部61の窪み61b内のみにメッキ膜が形成された。加熱部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。第1のパターン部分においては、ヨウ素が加熱によって除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、第1のパターン以外の部分においては、ヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
実施例7と同様に、無電解メッキ膜上に更に、汎用方法により電解銅メッキ膜を20μm積層し、細線状のメッキ膜の密着強度を垂直引っ張り試験により測定した。その結果、1cm幅あたりに換算したメッキ膜の密着強度は、約8N/cmであり、実施例7のメッキ膜の密着強度よりも高いことがわかった。これは、本実施例では、窪み61b内にメッキ膜が埋没した構成をとることにより、メッキ膜の密着強度が向上したものと推定される。
[実施例9]
本実施例では、触媒失活剤としてトリフェニルアンチモンジクロリドを用い、センシタイザー・アクチベータ法により基材に無電解メッキ触媒を付与し、メッキ液として無電解銅メッキ液を用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法により、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品を製造した。
(1)樹脂成形体の成形
実施例1と同様の方法により、基材として樹脂成形体を成形した。
(2)触媒失活剤の付与
トリフェニルアンチモンジクロリド(東京化成工業製試薬)4.0gに、メチルエチルケトン(和光純薬製試薬)196.0gを加えて撹拌し、2%トリフェニルアンチモンジクロリドを調製した。この溶液に基材を浸漬した後、基材を溶液から垂直に引き上げて乾燥し、トリフェニルアンチモンジクロリドを表面に付着させた。
(3)レーザー描画
実施例1と同様の方法により、トリフェニルアンチモンジクロリドを付着させたに基材上に所定パターンのレーザー描画を行った。
(4)無電解メッキ
実施例3と同様の方法により、無電解メッキ触媒を付与した基材に無電解メッキを行い、厚み7μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
(5)触媒失活剤の除去
メチルエチルケトン500ccをトールビーカーに入れ、メッキ後の基材を浸漬させ、ゆすりながら3分間洗浄した。更に、メチルエチルケトンを新しい液に入れ変えて再度洗浄を行った後、常温で乾燥させた。
<評価>
以上説明した製造方法により製造されたメッキ部品を目視にて観察した。本実施例のメッキ部品は、レーザー描画部分のみにメッキ膜が形成されておりレーザー描画部分以外の部分にメッキ膜の析出は見られなかった。所定パターン部分においては、トリフェニルアンチモンジクロリドが除去されて存在しないために無電解メッキ膜が生成し、一方、所定パターン以外の部分においては、トリフェニルアンチモンジクロリドの存在により無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
本発明のメッキ部品を製造可能な製造方法によれば、様々な材質の基材に対して簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。したがって、本発明は、電気回路を有する電子部品や、三次元回路部品(MID:Molded Interconnect Device)に利用できる。
60 基材
61 凸部
61a 凸部の頂部
61b 窪み
62 凹部
62a 凹部の底
70、90 加熱板
85 無電解メッキ膜
100、200、300、400 メッキ部品

Claims (8)

  1. メッキ部品であって、
    基材と、
    メッキ膜と、
    触媒失活剤とを含み、
    前記基材の表面の一部に前記メッキ膜が形成され、前記基材の前記メッキ膜が形成された部分とは異なる部分の表面領域に前記触媒失活剤が存在することを特徴とするメッキ部品。
  2. 前記触媒失活剤は、無電解メッキの反応を抑制する物質であることを特徴とする請求項1に記載のメッキ部品。
  3. 前記触媒失活剤が、ヨウ素、亜鉛、鉛、錫、ビスマス、アンチモン又はこれらの化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ部品。
  4. 前記触媒失活剤が、加熱により蒸発又は昇華する物質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメッキ部品。
  5. 前記基材が、ポリアミドを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメッキ部品。
  6. 前記ポリアミドが、芳香族ナイロンであることを特徴とする請求項5に記載のメッキ部品。
  7. 前記無電解メッキ膜が前記基材上で電気回路を形成し、前記メッキ部品が電子部品であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のメッキ部品。
  8. 前記基材が、立体形状の面、又は複数の面を有し、
    前記メッキ膜が、前記立体形状の面の表面に沿って、又は前記複数の面に亘って形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のメッキ部品。
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