本発明の不織布の製造装置及び製造方法の実施形態の説明に先立って、本発明の一実施形態の不織布の製造装置を構成する流体噴射ユニット、受けプレート、吸引ユニット、および処理対象となるウェブ状繊維層についてまず説明する。製造される不織布は流体交絡不織布であり、代表例として、水流交絡不織布(WJ法不織布)について説明する。
(流体噴射ユニット)
流体噴射ユニットとして一般的にはWJ (Water Jet) ユニットが使用される。それは水が大量に入手が容易で、高圧化しやすくしかも安価なためであるが、流体は水に限定するものではない。流体は水蒸気であってもよい。以下、流体噴射ユニットの代表的な例として、WJユニットの一構成例について説明する。
WJユニットは図14、図15に例示するように、ノズルホルダー101とWJノズル102とから構成されている。ノズルホルダー101は高圧化で変形せず、寸法安定性を保つため砲身状にして、頑丈に作られることが望ましく、図14のホルダーはSUS304製で全体が中空の砲身のような形状で、10MPaレベルの水圧に対してひずみを生じさせないような構造を持っている。図14(A)はノズル面からみた左右方向の平面図である。WJノズル102はプレート状で図14(B)の縦側面図、図14(C)の横断面図に示すように、最下部に挿入するように取り付けられ、支持板によって固定ボルト103によって把持される。WJノズルは通常の水流交絡法に使用されるものでよく、例えば図15(A)〜(C)に示すようなWJノズルを用いることができる。図15(A)、図15(B)はそれぞれプレート状のWJノズル102−1、102−2の構成例を示す平面図であり、図15(C)の横断面図に示したような漏斗状断面を持つものが使用される。すなわちWJノズルを構成するノズルプレートは例えば図15(A)に示すように幅14mm、全長1612mm、厚さ1mmのSUS631製のプレートに2mm間隔で716個の0.12mm径の細孔が設けられている。ノズルプレートの他の例では図15(B)に示すように幅14mm、全長1612mm、厚さ1mmのSUS631製のプレートに9mm間隔で160個の0.18mm径の細孔が設けられている。図15(B)に示すノズルプレート102−2の噴出口となる細孔は図15(C)の断面図に示すように入口0.427mm径、出口0.18mm径の漏斗形状を呈し、異物のつまりを無くし、出口での液流の膨化(ベラス効果と称する)の生じにくいような構造にしている。ノズル口径(直径)とは出口の口径を意味し、図15(C)の例は図15(B)の口径0.18mmの例で比較的ノズル口径が大きいケースである。図15(A)に示すノズルプレート102−1は入口0.427mm径、出口0.12mm径の漏斗形状となっている。本実施形態ではノズル口径(直径)は0.06〜0.5mmの範囲から選択され、ノズル間隔は0.5〜20mmピッチの範囲から選択される。
水液流はホルダー内に設けられている整流板と微細フィルターを経由してノズルプレートに供給される。使用される水圧は通常2.0〜10.0MPaの範囲で使用される。本実施形態において用いられるWJ交絡プロセスの一例としては、複数のWJユニット(例えば3ユニット)を上流から下流に向かって配置し、第1段では2MPa前後で行う予備交絡により処理対象となるウェブ状繊維層の上層を交絡、安定化し、第2段では5MPa前後で行う前交絡で交絡を深め、第3段では8MPa前後で行う後交絡でウェブ状繊維層の下層までの交絡を完結する、方法がある。本実施形態では、予備交絡処理を行わず、最初から上層繊維を下層へと貫通させるように、最初の上流のWJユニットから6〜8MPaの高圧で処理することも好んで行われる。しかし、本実施形態において、WJユニットの数、及び使用される水圧は適宜設定することができる。
(吸引(サクション)ユニット)
吸引ユニットは吸引(サクション)機能を有し、水分除去装置となる。吸引ユニットは流体噴射ユニットとしてのWJユニットの下方に設けられ、WJユニットから噴出された水液流を捕集・吸引除去するためのもので、ある程度の減圧度が必要である。受けプレートに対してウェブ状繊維層の走行方向の前後又は前後の一方に隣接して配置される吸引ユニットは、受けプレートの前部あるいは後部から溢流し、ウェブ状繊維層を透過してくる水液と空気を吸引捕集するとともに、ウェブ状繊維層をある程度吸引部に密着させることにより、水流交絡処理時に受けプレート上でのウェブ状繊維層の左右への幅ブレを規定する役割を演ずる。受けプレートが有孔の場合には、貫通孔を介して透過してくる水液と空気も吸引捕集する。本実施形態の吸引ユニットの基本構造は図16(A)、(B)のように上部の天板部201と、箱状の空間部202(サクションボックス)と、空間部202の下部から外部へと繋がる排出部203から構成されている。しかし、吸引ユニットの構成はかかる構造に限定されず、種々の構造をとることができる。例えば、空間部と排出部とを一体とすることができる。例えば、吸収ユニットの断面を「D」字状とし、平面部に複数の貫通孔を設けて天板部として機能させて、空間部と排出部とを一体とした構成とすることができる。
図16(A)には斜視図を示し、図16(B)にはXVIB−XVIB横断面図を示す。天板部201には空気や水の通路となる吸引用の貫通孔204が天板部の表面から裏面まで貫通して空間部202に連通するように設けられている。箱状の空間部202は天板部201の支持体であるとともに、空気や水液の一時的な貯留と均質な吸引圧力を維持するための緩衝空間として働く。天板部201と空間部202は別々の構成を保ってもよく、接合一体化されていてもよい。排出部203は滞留がなく、自然に重力が働くように、空間部202の下側面か底部に設けられ、通常はパイプ状にして真空ポンプやブロワーに接続し、減圧状態にして水液と空気の混合体を吸引する。本実施形態では、減圧度は低いが風量の大きいブロワータイプが好ましい。
天板部201の吸引用の貫通孔の開口の形状は任意でよいが、円形、楕円形、方形、スリット状が一般的である。図17の(A)〜(D)にその一例を示す。図17(A)は口径(直径)約5mmの円形の貫通孔204が天板を貫通して、ほぼ天板部201の全面にわたって設けられている例である。図17(B)は貫通孔204の貫通状態を示す図17(A)のXVIIB−XVIIB横断面図である。図17(C)は幅約2mm×長さ100mmのスリット状の貫通孔204が天板部201を貫通して、ほぼ天板部201の全面にわたって設けられている例である。図17(D)は貫通孔204の貫通状態を示す図17(C)のXVIID−XVIID横断面図である。貫通孔204のサイズや開口率は天板の面積や厚さ、材質等を勘案して任意に設定できる。天板部201には摩擦抵抗が少なく、耐食性があり、すり減りの少ない材質が選ばれる。例えばステンレススチール、ステンレススチールにテフロン(登録商標)加工を施したもの、耐摩耗性のPE樹脂板、PMMA樹脂版等が選択される。天板部201の表面は平滑加工して、その表面を滑走するウェブ状繊維層の下面が引っ掛かり、付着したりしないようにすることが望ましい。
(受けプレート)
受けプレートとは文字通り流体噴出ユニットから噴出される流体を受け取るプレートという意味である。受けプレートは幅と長さを持つが、幅は走行方向の前後の表面の長さであり、曲面の場合は前後に平面状に伸長されたときの幅を指す。受けプレートは流体噴出ユニットの下方に設けられ、ウェブ状繊維層が流体噴射ユニットと受けプレート及び吸引ユニットとの間を走行することで流体交絡が行われる。上記のように流体噴出ユニットとしてWJユニットを用いるときには、水流を受けることになる。この受けプレートの効果を説明するため、まず図18(参考図)によりWJノズルから噴出された水流の受けプレート上で起こる水流の干渉状態について説明する。高圧水流が受けプレートに衝突すると(実際にはウェブ状繊維層を介してではあるが)、水流体は受けプレートから跳ね返り空中に飛散するもの、ウェブ状繊維層中を移動・滞留するもの、受けプレート上とウェブ状繊維層との隙間を四方八方に移動・滞留するものと3種類の状態で存在する。交絡状態に特に影響をあたえる、受けプレート上を移動する水流体の方向については、ウェブ状繊維層が走行しているため前後方向、特に後方への移動が相対的に大きくなる。従って交絡状態に大きく影響するのは、たがいに左右に隣接するノズル間の干渉で生ずる水液の滞留である。以下これを「干渉滞留」と称することにする。図18(A)〜(D)は、受けプレートの前後方向の幅をWとした時に、WJ噴出流が受けプレートに衝突した衝突ポイントから水流がプレート表面をどのように移動するか、その状態を分かり易くするため、ウェブ状繊維層が存在しない状態で、模式的に表現したものである。
図18(A)はWJのノズル口径は0.10mmを使用し、受けプレートは、表面平滑な無孔でW=5mmの場合で、幅の狭い受けプレートで、ノズル間隔も2mmと狭い例である。大部分のWJ水流体は衝突ポイントから瞬間的に前後に溢流するので、左右に移動する液流は殆どなく、干渉滞留は発生しない。この受けプレートを特許文献9、10で開示したように、受けプレートの長さ方向の両端で支持しようとした場合、受けプレート自体のみでは自己保持性が小さく、WJ流の衝撃で受けプレートが大きく撓み、変形してしまう可能性があるが、受けプレートを吸引ユニットと一体化することで、図18(A)のような幅の狭い受けプレートでも好適に用いることができる。
図18(B)はWJノズルの口径は比較的大きい0.2mm、ノズル間隔も左右間に余裕のある10mmを想定している、特許文献9に記載されている前後幅50mm未満の表面平滑な無孔で幅の狭い受けプレートに相当する例である。この例はW=40mmの場合であるが、大部分のWJ水流体は衝突ポイントから瞬間的に前後に溢流するので、左右に移動する液流は少なく、干渉滞留は殆ど発生しない。しかしこのような幅の狭い受けプレートでも図18(A)のようにノズル間隔を2mmと左右間を狭くすると干渉滞留が発生しやすくなる傾向がある。この受けプレートを特許文献9、10で開示したように、受けプレートの長さ方向の両端で支持しようとした場合、単にノズル間隔を狭くすると水量の増加により、干渉滞留の発生以前に、大量すぎるWJ流の衝撃で狭い受けプレートが大きく撓む可能性があるが、受けプレートを吸引ユニットと一体化することで、図18(B)のような幅の狭い受けプレートでも好適に用いることができる。
図18(C)は無孔のプレートの前後幅を50mm以上、ここではW=150mmまで広げて受けプレートとした例である。前後方向への移動距離が広がり、前後の移動水流が少なくなるので、左右に移動する水流が増加し、図18(B)の受けプレートに比べて干渉滞留が発生しやすくなる。
図18(D)は図18(C)の無孔のプレートに直径0.5mmの貫通孔を全面に設けた例で、W=150mm幅の受けプレートとした例である。WJ水流はまず衝突ポイント周辺の開口から直接下方に排出され、更に受けプレート上を前後にも移動するので、左右に移動する液流は少なくなり、干渉滞留の発生が防止される。ノズル間隔を2mmと左右間が狭い場合においても、貫通孔からの排出効果が大きいため干渉滞留の発生は少なくなる。更に受けプレート表面を、上に凸型の屋根型や、曲面にして前後方向への傾斜を設け、水流が前後に移動し易い構造にすると、干渉滞留の発生はほぼ完全に防止できる。
図19(A)〜(F)は本発明に使用されるのに好適な帯状で無孔の受けプレートの形状例を示す。図19(A)は前後幅W1の長方形状の断面を持つ帯状体301−1の斜視図で、図19(B)はそのXIXB−XIXB横断面形状を示す。図19(C)は前後幅W2の台形状の断面を持つ帯状体301−2の斜視図で、図19(D)はそのXIXD−XIXD横断面形状を示す。図19(E)は前後幅W3の半円形状の断面を持つ帯状体301−3の斜視図で、図19(F)はそのXIXF−XIXF横断面形状を示す。図19(A)、(C)、(E)で図示した無孔受けプレート301−1、301−2、301−3の前後幅W1、W2、W3は、好ましくは50mm未満、更に好ましくは2mm〜20mmの無孔の受けプレートが望ましい。
図20(A)〜(F)はいずれも平板状でその上表面から下表面に貫通する貫通孔を設けた有孔プレートの形状例を示す。図20(A)は前後幅W4の長方形状の断面を持つ平板状体301−4の斜視図で、図20(B)はそのXXB−XXB横断面形状を示す。図20(C)は前後幅W5の曲面断面を持つ板状体301−5の斜視図で、図20(D)はそのXXD−XXD横断面形状を示す。図20(E)は前後幅W6の屋根板状の断面を持つ板状体301−6の斜視図で、図20(F)はそのXXF−XXF横断面形状を示す。図20(A)、(C)、(E)で図示した有孔受けプレート301−4、301−5、305−6の前後幅W4、W5、W6は、好ましくは50mm以上、更に好ましくは100mm〜300mmの幅広の有孔の受けプレートが望ましい。有孔プレートに設けられる貫通孔302のサイズは円形に代表させると、例えば直径0.2〜3.0mm(開口面積で表示すると約0.03〜7.0mm2)のように広い範囲で選択可能である。
なお、ウェブ状繊維層は吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とに接触するように走行する。ウェブ状繊維層は受けプレートの表面及び吸引ユニットの表面に接触するように走行するが、例えばWJの交絡力を阻害しないような厚さの薄いシート状物を受けプレートの表面及び/又は吸引ユニットの表面に設けて直接接触しないようにしてもよい。用いられるシート状物は、無孔の受けプレートの場合は無孔のフィルム類でもよいが、吸引ユニットの貫通孔や有孔の受けプレート上に設ける場合には、空気の透過を妨げない薄いプラスチックネット等の開口シートが用いられる。このように、薄いシート状物を受けプレートの表面及び/又は吸引ユニットの表面に設けた場合も、ウェブ状繊維層の走行方向に吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とが隣接するように配置されている構成に含まれる。
(ウェブ状繊維層)
ウェブ状繊維層は種々の繊維種をウェブ化して成る繊維ウェブ単独シート、あるいは繊維ウェブと他種類の繊維ウェブや不織布類とを重ね合せて複層にした積層シートとして使用する。
繊維ウェブとしては例えばPE系、PP系、PET系、ナイロン系、アクリル系、及びこれらの複合繊維等の合成繊維ステープル(短繊維);コットン、麻、レーヨン、リヨセル、アセテート等のセルロース系の天然繊維や化学繊維ステープル;をウェブ状としたもの、例えばカード機等を用いたカード法によりウェブ化した未結合カードウェブ、あるいはすでに構成繊維間を結合加工し不織布化したウェブ、例えばカードウェブを熱処理で不織布化した結合カードウェブが選択される。構成繊維の繊度は0.5d〜20d(dはデニールを示す)の広範囲で使用可能であるが、形状賦型の観点から嵩高にするのが望ましい場合は、3d〜7dの比較的太デニールのものが選択される。中空の嵩高繊維や細繊度、例えば1.5dと太繊度、例えば7dの混合繊維等も好んで使用される。繊維長は特に範囲の制約はないが、入手しやすい10mm〜70mmのものが好ましい。目付は5g/m2〜60g/m2の範囲が好ましい。5g/m2以下のウェブは工業的に得るのが難しく、60g/m2以上になるとコスト的に不利になり、交絡処理も難しくなる。
上記繊維ウェブと積層して複層シートとして使用される、いわゆる基材や搬送シート(キャリヤー)として働く不織布類としては、例えば木材パルプを主成分とするティシュペーパー;レーヨン、リヨセル、PE繊維、PP繊維、PET繊維、PE/PP複合繊維、PE/PET複合繊維を含む製紙プロセスを応用した湿式不織布類;化学繊維ステープルや合成繊維ステープルの単独または混合の構成をもつ乾式不織布類;いわゆるセルローススパンボンドと呼称されるベンリーゼ(旭化成せんい株式会社の登録商標)、TCF(フタムラ化学株式会社の登録商標);PE繊維、PP繊維、PET繊維、PE/PP複合繊維、PE/PET複合繊維の連続フィラメントから構成されるスパンボンド(SB)不織布、メルトブローン(MB)不織布、SBとMBの複層体であるSMS・SMMS不織布等のスパンメルト不織布類;などのシートで比較的目付の薄いものが使用される。目付としては2g/m2〜40g/m2の範囲が好ましい。2g/m2以下のシートは工業的に得るのが難しく、40g/m2以上になるとコスト的に不利になり、交絡処理も難しくなる。
本実施形態に使用されるウェブ状繊維層としては、上層部と下層部を重ねた2層構成からなる複層シートを採用するのが望ましい。なお上層部と下層部の2層構成としているが、上層部が複数の層から構成されていても、下層部が複数の層から構成されていてもよい。また上層とは流体噴出装置(WJ)に近接する面側をいい、下層とは吸引ユニットと受けプレートに近接する面側をいう。上層部にはWJにより変形・移動し絡み付きやすい繊維ウェブや不織布を使用するのが望ましい。その第一の特性は、繊維の自由端末(Fiber Tail)を多く持つことであり、構成繊維を短く、細くして繊維の本数を増加させることである。そのためにはフィラメント(連続繊維)状ではなくステープル(短繊維)状がよく、繊維長は45mm以下がよく、更には20mm以下がよい。典型的な例は、化合繊で繊維径0.1〜2.0d×繊維長1mm〜10mmの細く、短い繊維を主成分にした湿式不織布である。その第二の特性は湿潤時のモデュラスが小さいことである。PEやPPなどの疎水性の繊維よりは、親水性の繊維がよく、特にコットン、リヨセル、レーヨンなどのセルロース繊維が望ましい。典型的な例は、短繊維セルローススパンボンドと称されるTCF(フタムラ化学株式会社の登録商標)である。TCFの構成繊維は湿潤モデュラスの小さいビスコースレーヨンであり、繊維長が5mm〜15mm、繊維径1.0〜3.0dと構成繊維数が極めて大きく通常の不織布の10倍前後である。つまり10倍前後の繊維の自由端末(Fiber Tail)を多く持つ不織布である。下層部には、1)上層から移動する自由端末(Fiber Tail)を受け止める基材としての役割、2)下層部の下面は吸引ユニットの吸引用貫通孔を有する上面と受けプレート上面に接触しながら、上方からのWJによる水流噴射と下方から吸引ユニットによる吸引を受けながら走行することになるので、水液に滑りやすく、耐水強度があり、寸法安定性がよいことが要求される。3)更に下層部は、上層部の繊維ウェブが未結合状態で強度的に不安定な状態でも、交絡済の状態でも、コンベアーベルトの存在しない本実施形態のプロセスでは搬送シートとしての役割を果たす。そのため上記3条件を備えた下層部用の不織布としては、目付30g/m2以下の熱溶融樹脂を原料とするスパンメルト不織布が好ましく使用される。とくにPP製のSB、SMS、SMMSなどのスパンメルト不織布は、連続フィラメントからなる繊維を主体としているため毛羽立ちを生じることもなく、水液に滑りやすく、耐水強度があり、寸法安定性がよく、しかも安価でもあるので本実施形態の下層部不織布として極めて有用である。またスパンメルト不織布は、構成素材が通常疎水性であり水分吸収により径が膨化しないため、構成フィラメント間の間隔が狭くならないので、WJ交絡処理に際して上層部の短繊維の自由端末が下層部の構成フィラメント間を移動し、通り抜け易い構造になっている。その点でも本実施形態のプロセスに適した下層材料(基材)である。
このような2層構造を持ったウェブ状繊維層をWJ交絡処理して得られる不織布の特徴は、上層部の短繊維の自由端末が下層部を突き抜け下層下表面に起毛状あるいは植毛状の自由端末層を形成することである。この下層に突出する自由端末層の形状については実施例において詳述する。
なおWJにより交絡処理を施したウェブ状繊維層は「交絡したウェブ状繊維層」と称する。またWJにより交絡処理を行っていないウェブ状繊維層は「未交絡ウェブ状繊維層」と称することもある。
次に、本実施形態の不織布の製造装置及び製造方法の実施形態について説明する。
特許文献9(特開2007−277748号公報)に開示された例では、吸引ユニットと受けプレートとはネットコンベアーによって上下に分かれて独立して配置されていたが、本実施形態では、吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とはウェブ状繊維層の走行方向に隣接して配置される。更に望ましくは吸引ユニットと受けプレートを一体化にした構造体として配置される。ここで、一体化とは、吸引ユニットの一部と受けプレートとが一つの部材となることをいい、吸引ユニットの一部が受けプレートとして機能したり、受けプレートと吸引ユニットとが結合することを含む。結合は、接着剤等で接合、溶接、ねじ止め、別な手段で固定する等を含む。
製造時には走行するウェブ状繊維層の下面(底面)が吸引ユニットと受けプレート両者の上表面に常時接触させて交絡処理・脱液処理を行いプロセスの機能を発揮させる。なお「ウェブ状繊維層の走行方向に隣接する」状態にする、とはウェブ状繊維層の走行方向に対して、1)前部に吸引ユニットの表面、その後部に受けプレートの表面を隣接配置する場合、2)前部に吸引ユニットの表面(前部表面となる)、その後部に受けプレートの表面、その更に後部に吸引ユニットの表面(後部表面となる)を配置、すなわち、受けプレートの表面を中に置いて、その前後に吸引ユニットの表面を隣接配置する場合、3)前部に受けプレートの表面、その後部に吸引ユニットの表面を隣接配置する場合の3ケースがあるが、受けプレートの表面を中央においてその前後に吸引ユニットの表面(前部表面と後部表面)を配置するケースが好ましく採用される。
上記1)から3)のケースを実現する構成は特に限定されないが、例えば、上記1)のケースは、受けプレートの前に吸引ユニットを隣接して配置する構成、吸引ユニットの前後幅を受けプレートの前後幅よりも長くし、受けプレート下にも吸引ユニットを配置して吸引ユニットと受けプレートを一体化する構成等がある。
上記2)のケースは、前部吸引ユニットと後部吸引ユニット(2つの吸引ユニット)を設け、前部吸引ユニットと後部吸引ユニットとの間に受けプレートを配置する構成、吸引ユニットの前後幅を受けプレートの前後幅よりも長くし、吸引ユニットの中央に受けプレートを配置して吸引ユニットと受けプレートを一体化する構成等がある。
上記3)のケースは、受けプレートの後に吸引ユニットとを隣接して配置する構成、吸引ユニットの前後幅を受けプレートの前後幅よりも長くし、受けプレート下にも吸引ユニットを配置して吸引ユニットと受けプレートを一体化する構成等がある。
上述したように、受けプレートの表面を中央においてその前後に吸引ユニットの表面を配置する上記2)のケースが好ましく採用されるので、以下の説明ではかかるケースについて説明する。
図1(A)〜(E)は受けプレートと吸引ユニットの配置状態例を示す模式図であり、吸引ユニットの天板部に受けプレートの一部あるいは全体が埋め込まれている形態を示している。図1(A)〜(E)において、吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とはウェブ状繊維層の走行方向に隣接して配置される。図1ではWJユニットとウェブ状繊維層の存在は省略して図示しているが、図7に示すように、吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とは、ウェブ状繊維層の走行状態でウェブ状繊維層の下面に接触している。このような、隣接配置と、ウェブ状繊維層の走行状態での接触関係とは、後述する図2〜図6の受けプレートと吸引ユニットの配置状態例においても同様である。図1は吸引ユニットの天板部に受けプレートの一部あるいは全体が埋め込まれることで、受けプレートは吸引ユニットと一体化されている。吸引ユニットの表面は前部表面と後部表面とを有し、ウェブ状繊維層の走行方向において受けプレートの表面の前後に前部表面と後部表面とが隣接して配置される。前部表面と後部表面の配置は図1、図2において同様であり、図1(B)に一例として前部表面と後部表面を示す。
図1(A)、(B)は前後幅50mm未満の狭幅の無孔の受けプレート11−1が、その上面を吸引ユニット12−1の天板部の上面に合わせて面一になるように、吸引ユニット12−1に埋め込まれている例の斜視図及び横断面模式図である。吸引ユニット12−1の天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−1は幅(W)が30mm、厚さは4mmの長方形断面を持つSUS306製の薄いプレートであるが、下面から天板部によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形もしない。
図1(C)は前後幅20mm以下の極狭幅の無孔の受けプレート11−2が、その一部を天板部の上面から突起するように埋め込まれている例の横断面模式図である。吸引ユニット12−1の天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−2は下幅が約15mm、上幅(W)7mm、厚さは5mmの台形断面を持ち、上部の1mmの厚さ部分が天板面より突出している。受けプレート11−2は、SUS306製の薄くて、細いプレートであるが、下面から吸引ユニット12−1の天板部によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形することもない。
図1(D)は前後幅50mm未満の狭幅の無孔の受けプレート11−3が、その一部を吸引ユニット12−1の天板部の上面から突起するように埋め込まれている例の横断面模式図である。吸引ユニット12−1の天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−3は幅(W)が約30mm、中央部位の厚さは5mmの上部が弧状曲面形断面を持ち、上部の弧状曲面部分が天板面より突出している、SUS306製の薄いプレートであるが、下面から天板によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形することもない。ここで幅(Wは、上部の弧状曲面部分が前後に平面状に伸長されたときの幅をいう。
図1(E)は前後幅50mm以上の広幅の貫通孔をもつ有孔受けプレート11−4がその上面を吸引ユニット12−1の天板部の上面に合わせて面一に埋め込まれている例の横断面模式図である。吸引ユニット12−1の天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−4は幅が約150mm、厚さは4mmの長方形断面を持つSUS306製のプレートで、直径0.5mmの貫通孔が受けプレート全面に配置されている、薄くて、前後幅が長い受けプレートであるが、下面から吸引ユニット12−1の天板部によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形することもない。またこの受けプレートを支える天板部の表面には貫通孔(スリット13−1)が存在し、サクションボックスの減圧が働くので、比較的細かい貫通孔でも脱水効果は効果的に機能する。
図2は受けプレートと吸引ユニットの別の配置状態例を示す模式図である。図2(A)〜(C)は吸引ユニットの天板部の上面に受けプレートの下面が接触した状態で配置されている実施例である。「接触した状態で配置」とは、前後位置がずれないように置かれている状態を意味し、吸引ユニットの天板部から位置ずれしないように受けプレートを別手段で側面から位置規制するようにしていてもよいし、天板部に直接接着剤で接合してもよいし、天板部に溶接してもよく、ネジ止めで固定してもよい。受けプレートの左右両端を吸引ユニットから離れた側面に固定し、下面を吸引ユニットの天板部に接触させて位置規制する機構は、受けプレートを左右に移動させたり交換する場合に使用する方式である。吸引ユニットの天板部に受けプレートが接触した状態で配置されることで、受けプレートは吸引ユニットと一体化されている。吸引ユニットの表面は前部表面と後部表面とを有し、ウェブ状繊維層の走行方向において受けプレートの表面の前後に前部表面と後部表面とが隣接して配置される。
図2(A)は前後幅50mm未満の狭幅の無孔の受けプレート11−5が、その下面を吸引ユニット12−1の天板部の上面に接合して配置されている例の横断面模式図である。天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−5は下幅が約30mm、上幅20mm、厚さは4mmの台形断面を持つSUS306製の薄いプレートであるが、下面が天板上面によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形することもない。
図2(B)は前後幅50mm未満の狭幅の無孔の受けプレート11−6が、その下面を吸引ユニット12−1の天板部の上面に接合して配置されている例の横断面模式図である。天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−6は下幅が約30mm、左右端部の厚さ3mm、中央部位の厚さは5mmの弧状曲面形断面を持つSUS306製の薄いプレートであるが、下面から天板上面によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形することもない。
図2(C)は前後幅50mm以上の広幅の貫通孔をもつ有孔受けプレート11−7が、その下面を吸引ユニット12−1の天板部の上面に接合されている例の横断面模式図である。天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−7は下幅が約150mm、上幅130mm、厚さは4mmの台形断面を持つSUS306製のプレートで、直径0.5mmの貫通孔が受けプレート全面に配置されている、薄くて、剛性の小さい受けプレートであるが、下面が天板上面によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形することもない。またこの受けプレートを支える天板部の表面には開口が存在しサクションボックスの減圧が働くので、比較的細かい貫通孔でも脱水効果は効果的に機能する。
図3(A)〜(F)は受けプレートと吸引ユニットの更に別の配置状態例で、吸引ユニットの天板部と空間部が、受けプレートあるいはその支持体によって前部と後部に仕切られ、あるいは分割されている例である。吸引ユニットの表面は前部表面と後部表面とを有し、ウェブ状繊維層の走行方向において受けプレートの表面の前後に前部表面と後部表面とが隣接して配置される。例えば図3(B)、(D)に前部表面と後部表面を示す。
図3(A)は斜視図、図3(B)は図3(A)のIIIB−IIIB横断面模式図である。図3(A)、(B)は天板部と空間部と排出部を備えた吸引ユニット12−2の吸引用の貫通孔13−2の中央部近傍に、空間部を前後に仕切るように空間部(サクションボックス)の底面からパネル状に前後幅Wの受けプレート11−8が立ち上がるように配置されている。受けプレートとなるパネルの上面は前後幅20mm以下の幅の受けプレートとして機能する。空間部は受けプレートとなるパネルで前後に仕切られているが、左右端部の間隙で前後が連通して一室となっている。排出部は前後に2ヶ所設けられているが、1か所であってもよい。受けプレート11−8の脚の部分はサクションボックスの底に接合される状態で吸引ユニット12−2と一体化されている。
図3(C)は斜視図、図3(D)は図3(C)のIIID−IIID横断面模式図である。図3(C)、(D)は天板部と空間部と排出部を備えた吸引ユニット12−2の吸引用の貫通孔13−2の上面を、天板部に隙間を持って前後左右に傘で覆うような状態で、前後幅Wの受けプレート11−9が配置されている。受けプレート11−9は貫通孔をまたぐ範囲の前後幅を持って、図19(C)、(D)で説明した断面が台形状の無孔プレートである。この受けプレート11−9の中央部位はサクションボックスの底から柱状に立ち上がる複数本の支持体10によって支えられている構造になっている。支持体10は受けプレート11−9の一部となる。複数本の支持体10は受けプレート11−9の長手方向に並び、受けプレートの台形状の上部(受けプレート11−9の、断面が台形状の平板部分)を支える。受けプレート11−9の前後には、横に窓が出来るように吸引用の貫通孔13−2が設けられている。受けプレート11−9の支持体10は吸引ユニット12−2のサクションボックスの底に接合されており、吸引ユニット12−2と一体化されている。空間部は複数の柱状支持体10によって前部、後部に仕切られているが、左右端部空隙と柱状支持体間の空隙により連通して一室となっている。排出部は前後に2ヶ所設けられているが、連通により一室と同様になっているので1か所でも充分機能する。なお、支持体の本数や支持体の形状は特に限定されず、受けプレートの台形状の上部を支持できるように適宜決められる。例えば、複数本の支持体10の代わりに一枚の板状の支持体を用いてもよい。
図3(E)は斜視図、図3(F)は図3(E)のIIIF−IIIF横断面模式図である。図3(E)、(F)は天板部と空間部と排出部を備えた吸引ユニットが、前後に前部吸引ユニット12−3、後部吸引ユニット12−4として別体に設けられ、その前部及び後部吸引ユニット12−3、12−4の間隙と前部吸引ユニット12−3の天板部後部及び後部吸引ユニット12−4の天板部前部の上面を傘で覆う様に、図3(C)、(D)と同様の無孔で狭幅の台形状の受けプレート11−10が配置され、受けプレート11−10の中央部位は底板から柱状に立ち上がる複数本の支持体10によって支えられている構造になっている。支持体10は断面が逆T字状をなし、受けプレート11−10の一部となる。複数本の支持体10は受けプレート11−10の長手方向に並び受けプレートの台形状の上部(受けプレート11−10の、断面が台形状の平板部分)を支える。受けプレートの前後に上向きに吸引用の貫通孔13−2が配置される。受けプレート11−10の支持体10は前後吸引ユニット12−3、12−4の側部と接合され一体化されている。図3(A)〜(D)の構成が一室の空間部を前後に仕切っているのに対し、図3(E)、(F)の構成は、受けプレートが前部吸引ユニットと後部吸引ユニットにより中央に挟まれる状態で配置されてなる構成である。なお、支持体の本数や支持体の形状は特に限定されず、受けプレートの台形状の上部を支持できるように適宜決められる。例えば、複数本の支持体10の代わりに一枚の板状の支持体を用いてもよい。
図4〜図6は受けプレートと吸引ユニットの更に別の配置状態を示す斜視図及び横断面模式図である。
図4(A)〜(D)は吸引ユニットの天板部が吸引ユニットの吸引用の貫通孔と受けプレートの両方の機能を発揮できる例であり、吸引ユニットと受けプレートが一体化された構成となる一つの実施形態を示している。吸引ユニットは、ウェブ状繊維層が走行する側に天板部14を有し、天板部14はウェブ状繊維層の走行方向と略直角に延びる2つの貫通スリット17−1間の中央部位の受けプレート部14−1、又はウェブ状繊維層の走行方向と略直角に配置された複数の貫通孔をそれぞれ有する2つの領域14−4間の領域となる受けプレート部14−3を備えている。受けプレート部14−1又は受けプレート部14−3は受けプレートとして働く。
図4(A)は斜視図、図4(B)は図4(A)のIVB−IVB横断面図である。図4(A)、(B)で図示するように、吸引ユニットは天板部14、空間部15、排出部16からなり、天板部14は吸引ユニットの構成部である前後2本のスリットからなる吸引用の貫通孔17−1をそれぞれ含む2つの第2の領域14−2と、前後のスリットで区割りされた中央部位の第1の領域(受けプレート部となる)14−1とを有し、第1の領域14−1が受けプレートとして働く構成となっている。2つの第2の領域14−2は第1の領域(中央部位)14−1の前後に隣接して設けられている。なお、吸引用の貫通孔17−1を有し、受けプレートを兼用している天板部は厚さ6mmのSUS361で作られ、スリット状の貫通孔17−1の前後幅は5mm、受けプレートとして働く前後スリット間の距離(受けプレート部となる第1の領域14−1の幅)は30mmである。スリットの本数は前後1本ずつとなっているがその数は限定されず、例えば2本ずつでもよく、またスリットの代わりに円形の開口であってもよい。
図4(C)、(D)は図4(A)、(B)とコンセプトは同じであるが、吸引用のスリットの代わりに径の大きい円形貫通孔17−2が設けられ、受けプレート部として細孔(貫通孔)17−3を含む第1の領域14−3が設けられている点で異なる。図4(C)は斜視図、図4(D)は図4(C)のIVD−IVD横断面図である。図4(C)、(D)で図示するように、天板部14、空間部15、排出部16からなり、天板部14には、吸引用の貫通孔17−2が設けられた前後の円形開口ゾーンの第2の領域14−4と、細孔17−3が設けられた細孔ゾーンの第1の領域(受けプレート部となる)14−3がある。なお、吸引用の貫通孔を有し、受けプレートを兼用している天板部は厚さ6mmのSUS361で作られ、吸引用の貫通孔17−2の円形開口は直径2mmの貫通孔が千鳥配位で3列ずつ前後に設けられ、受けプレート部の細孔17−3は直径0.5mmの円形貫通孔で、千鳥配位で5列分が前後幅30mmのゾーンの間に設けられている。なおこの例では吸引用の貫通孔と受けプレート部の細孔とは開口径を変え、吸引用の貫通孔の開口面積が受けプレート部の細孔の開口面積より大きくなっているが、同じ径であってもよいし、大小の径が混在するように配置してもよい。開口形状は円形でなくともよい。
図5、図6は中空の管状体(パイプ)を応用した吸引ユニットと受けプレートとの一体化の構成例である。管状体の断面形状は円形としているが、他の形状、例えば、円形を上下に潰した「楕円状」や、片側を扁平化した「D字状」、あるいは上下両面を扁平化した形状等としてもよい。
図5は吸引ユニットが天板部を持たず、2本の管状体(パイプ状)18−1、18−2の上部面部分(ウェブ状繊維層の走行側)にウェブ状繊維層の走行方向と略直角に延びる吸引ユニットの吸引用の貫通孔(スリット)19を設け、2本の管状体18−1、18−2を支持体として受けプレート17を連結して一体化した構成となっている例である。管状体の内部空隙は図4(A)〜(D)の空間部及び排出部に対応する。受けプレート17は2本の管状体18−1、18−2を連結する連結部材としても機能する。図5(A)は斜視図、図5(B)は図5(A)のVB―VB横断面図である。図5(A)、(B)では、直径100mm、肉厚1mmのステンレスSUS304のパイプを、5mm間隔を隔てて前後に並べ、各パイプの上部面の上頂点近傍に前後幅2mmのスリットを設け吸引ユニットとし、スリットが吸引用の貫通孔となる。ここで、上部面は図5(B)において破線で示すように、管状体を上下に横方向に分割したときに上に位置する面をいう。上部面の解釈は図6(A)と(B)、図6(C)と(D)においても同様である。上記2本のパイプ上のスリット19と近接して、スリット19の上面とほぼ面一になるように、厚さ5mmのSUS304の受けプレート17を前後のパイプ状の中空の管状体18−1、18−2が支えになるようにパイプの曲面に合わせて溶接し一体化している。受けプレート17の表面はバフ仕上げして鏡面にしている。この構造の特徴は、パイプ状の管状体18−1、18−2が吸引ボックスと排水管の機能を備え、コンパクトで軽く、しかも丈夫であることである。図5(A)、(B)の構成は、2本の管状体18−1、18−2を前部吸引ユニット、後部吸引ユニットとすると、ウェブ状繊維層の走行方向に、前部吸引ユニット、受けプレート、後部吸引ユニットの順番で、受けプレートの前後に前部吸引ユニットと後部吸引ユニットとが隣接して配置されてなる構成となる。
図6(A)〜(D)も吸引ユニットが天板部を持たず、管状体(パイプ状)の上部面部分を吸引ユニットの貫通孔として使用する点では図5とコンセプトは同じであるが、図6は1本の直径が図5の管状体よりも大きい管状体20、22を使用して、その上部面部分に吸引用の貫通孔と受けプレートの両機能を発揮させるようにして一体化した構成としている点で異なる。
図6(A)、(B)は、1本の太い管状体(パイプ)20を応用してその上曲面(上部面)の前後にウェブ状繊維層の走行方向と略直角に延びる2本のスリット(吸引用の貫通孔)21を有する第2の領域20−2を設け、2本のスリット21間の曲面の第1の領域20−1を受けプレートとして兼用するものである。図6(A)は斜視図、図6(B)は図6(A)のVIB―VIB横断面図である。図6(A)、(B)では、直径240mm、肉厚2mmのステンレスSUS304のパイプの上頂点近傍に、吸引用の貫通孔として前後幅2mmのスリット21を間に約20mmの間隔をおいて前後に2本設けたものである。この前後2本のスリット21間の約20mmの無孔の曲面の第1の領域20−1を受けプレートとして使用する。この構造の特徴は、1本のパイプの上部面が吸引用の貫通孔及び受けプレートとして機能し、またパイプは空間部及び排出部としても機能するので、設置や取り外しがし易く、コンパクトで軽く、しかも丈夫であることである。スリットの本数は前後1本ずつとなっているが複数本ずつでもよく、またスリットを円形開口に置き換えてもよい。
図6(C)、(D)は図6(A)、(B)と基本構成は全く同じであるが、図6(A)、(B)のスリットに代わって、管状体22に互い違いの2列の直径2mmの円形貫通孔23−1を設け、図6(A)、(B)の前後幅約20mmの無孔の曲面に代わって、千鳥状の直径0.5mmの円形細孔23−2を5列に亘って設けて第1の領域(受けプレート部となる)22−1としている点で異なる。第1の領域22−1は受けプレートとして働く。図6(C)は斜視図、図6(D)は図6(C)のVID―VID横断面図である。上部面には吸引用の貫通孔となる円形開口23−1が設けられた第2の領域22−2と、円形細孔23−2が設けられた第1の領域(受けプレート部となる)22−1がある。第1の領域22−1は受けプレートとして働く。この例では吸引ユニットの貫通孔には受けプレート部の貫通孔よりも大きな開口径の開口(大きな開口面積の開口)を設けているが、両者は同一の径であってもよいし、大小が混在するように配置してもよい。この構造の特徴は、図6(A)、(B)の特徴に加えて更に製造がし易く、製造コストが安価で済むことである。
図5、図6の管状体を利用する構成においては、装置曲面にウェブ状繊維層を接触させて走行させるために、前方では下方から上方に曲面に巻きつけるように供給し、後方では上方から下方に曲面に巻きつけた状態で取り出す。
図7(A)〜(E)は流体噴射ユニットと吸引ユニット及び受けプレートとの配置状態例に関する模式図である。走行状態の理解を容易にするため、ウェブ状繊維層の存在位置を鎖線で示した。流体噴射ユニットは図14、図15に準じた構成であり、吸引ユニットと受けプレートは図1(A)と(B)、図1(E)及び図6に準じた構成である。しかし流体噴射ユニットは図14、図15以外の構成であってもよい。吸引ユニットと受けプレートは図1(C)、図1(D)、図2〜図5のいずれか又はそれ以外の構成であってもよい。ここでは吸引ユニットと受けプレートは一体に組み合わされているので両者が組み合わされた構成で1ユニットとする。図7(A)〜(E)において、ウェブ状繊維層25が、流体噴射(WJ)ユニット24と、吸引ユニットと受けプレートが組み合わされたユニットとの間を走行する。吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とはウェブ状繊維層の走行方向に隣接して配置され、且つウェブ状繊維層の走行状態で、ウェブ状繊維層の下面が吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とに接触している。
図7(A)は流体噴射(WJ)ユニット24が1ユニット、吸引ユニット/受けプレートが1ユニットの配置例である。吸引ユニットに受けプレートが嵌め込まれて構成される、吸引ユニットと受けプレートの組み合わせを吸引ユニット/受けプレートとして記す。ここでは、吸引ユニット/受けプレートは図1(A)及び(B)の吸引ユニット12−1と受けプレート11−1の組み合わせである。受けプレート11−1は図1(A)及び(B)の前後幅Wが50mm未満の狭幅の場合で、WJ流が外れない範囲であれば前後幅Wが5mm前後の幅になってもよい。図7(B)は流体噴射(WJ)ユニット24が1ユニット、吸引ユニット/受けプレートが1ユニットの組み合わせが1セット(図7(A)の構成が1セットとなる)とすると、その3セットを走行方向に一定間隔で配置した例である。この様な組み合わせによってウェブ状繊維層25を高速で処理する場合や、ウェブ状繊維層25の目付が厚い場合に対応できるようになる。図7(C)は流体噴射(WJ)ユニット24が3ユニット、吸引ユニット12−1が1ユニット、受けプレート11−1が3ユニットの組み合わせを配置した例であるが、走行方向に長い一つの吸引ユニット12−1に対して3枚の図1(A)及び(B)の狭幅の受けプレート11−1が嵌め込まれている配置例である。この様な組み合わせによってもウェブ状繊維層25を高速で処理する場合や、ウェブ状繊維層25の目付が厚い場合に対応できるようになる。図7(D)は流体噴射(WJ)ユニット24が3ユニットと吸引ユニット/受けプレートが1ユニットの組み合わせを配置した例であるが、走行方向に長い一つの吸引ユニット12−1に対して50mm以上の幅広で貫通孔を備えた図1(E)の形状を呈する有孔受けプレート11−4を組み合わせた態様例である。図7(D)の吸引ユニットには約350mmの前後幅を持つ広幅の有孔受けプレートが嵌め込まれている。この様な組み合わせによってもウェブ状繊維層25を高速で処理する場合や、ウェブ状繊維層25の目付が厚い場合に対応できるようになる。図7(E)は流体噴射(WJ)ユニット24が1ユニットと吸引ユニット/受けプレートが1ユニットの組み合わせが前後に2セットをウェブ状繊維層25の走行方向に配置した例である。吸引ユニット/受けプレートは、図6に示したパイプの上面を吸引用の貫通孔と受けプレート部として機能させた構成である。1セット目は、図6(A)、(B)に図示した2本のスリットと無孔の曲面を組み合わせた管状体20であり、2セット目は、図6(C)、(D)に図示した円形の貫通孔を上部曲面に設けて吸引ユニットと受けプレートの両機能を発現させた構成の管状体22である。この組み合わせ例の場合には、パイプの曲面にウェブ状繊維層を接触させて走行させるため、ガイドロール26を各セットの前後及び中間に設けるのが望ましい。
以上図1〜図7を用いて説明した、吸引ユニットと受けプレートは、吸引ユニットの前後の幅(ウェブ状繊維層の走行方向の幅)が受けプレートの前後幅よりも大きい場合について説明したが、ウェブ状繊維層の走行に問題がなければ、吸引ユニットの前後の幅(ウェブ状繊維層の走行方向の幅)が受けプレートの前後幅と同一又は受けプレートの前後幅よりも小さくてもよい。この場合においても、受けプレートと吸引ユニットとを一体化することができる。そして、受けプレートとして有孔受けプレートを用いれば、開孔を通して吸引ユニットにより吸引することができる。
以下本実施形態の不織布の製造装置を含む製造プロセスを実施例に基づいて説明する。図8〜図12のいずれのプロセスフローシート例においても、吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とはウェブ状繊維層の走行方向に隣接して配置され、且つウェブ状繊維層の走行状態で、ウェブ状繊維層の下面が吸引ユニットの表面と受けプレートの表面とに接触している。
(実施例1)
図8は本発明になる交絡不織布の製造プロセスフローシート例を示す図である。
図8において、プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、基材(不織布)巻出し機1001、2台の直列に配置されたカード機1002及び1003、ウェブ搬送コンベアー1004、第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007、吸引ユニットと受けプレートの第1の組み合わせ(第1の吸引ユニット/受けプレート)1008、吸引ユニットと受けプレートの第2の組み合わせ(第2の吸引ユニット/受けプレート)1009、吸引ユニットと受けプレートの第3の組み合わせ(第3の吸引ユニット/受けプレート)1010、ニップロール1011、乾燥機1012、製品巻取機1013、となっている。なお第1のWJユニット1005と、第1の吸引ユニット/受けプレート1008とは第1の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第1の組み合わせ)を構成し、第2のWJユニット1006と、第2の吸引ユニット/受けプレート1009とは第2の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第2の組み合わせ)を構成し、第3のWJユニット1007と、第3の吸引ユニット/受けプレート1010とは第3の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第3の組み合わせ)を構成する。第1から第3の交絡セットを水流交絡装置と呼ぶ。また図8においては本発明の主題であるWJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部位(点線で囲んだ部位)については、詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
基材としては1600mm幅のPP製SB不織布13g/m2(AVGOL社製)を巻出し機(大昌鉄工製)1001に装着し、第1及び第2のカード機1002,1003として鳥越製作所製カード機を用い、第1のカード機1002には1.5d×45mmのレーヨン繊維(ダイワボウ製)10g/m2、第2のカード機1003には1.5d×45mmのPET繊維(テイジン製)10g/m2を供給し、1500mm幅20g/m2の未結合カードウェブを前記PP製SB不織布基材上に重ねて、搬送コンベアー出口に設けられた、一定の隙間を持つスムースロール(詳細説明割愛)によりカードウェブの表面を平滑にする。このようにして得られた60m/min.で走行するPP製SB不織布と、それに重ねられた20g/m2の未結合カードウェブの2層積層体であるウェブ状繊維層を、第1から第3の交絡セットからなる水流交絡装置へとガイドする。
水流交絡装置は、WJユニット1005、1006、1007の3ユニットとその下方に設けられた第1から第3の吸引ユニット/受けプレート1008、1009、1010の3ユニットとからなる。交絡セットで表現すれば第1、第2及び第3の交絡セットの3セットの水流交絡装置から構成され、図7(B)で説明したものと同様の配置状態である。第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007は図14、図15で説明したものと同様の構造を持ち、第1のWJユニット1005には口径0.18mm、ノズル間隔9mmのノズルプレートが組込まれ、第2のWJユニット1006には口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれ、第3のWJユニット1007にも口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれている。いずれのWJユニットにも1台の高圧ポンプから7Mpaの水圧の高圧イオン交換水が供給される。従来のWJ交絡法ではWJユニットを3ユニット配置する場合、第1のWJユニットは低水圧にして、第2のWJユニット、第3のWJユニットと順次に水圧を高くするのが一般的であるが、本発明では最初の第1のWJユニットから高圧水を供給して上層部の短繊維の自由端末を下層に貫通するように作用させる。
吸引ユニットと受けプレートは第1から第3の吸引ユニット/受けプレート1008、1009、1010の3ユニットとも同じ仕様で、図1(A)及び(B)で説明した吸引ユニットの天板部の中央に受けプレートが埋め込まれている構造を持っている。吸引ユニットは、厚さ1.0mmのSUS36製の前後幅200mm×長さ1800mmの直方体の箱状空間と、箱底に直径100mmのパイプ状の排出口を持った本体(サクションボックス)と、厚さ12mmの天板が密閉状態になるように接合されている。天板材料には超高圧ポリエチレンを採用し、天板には図17(C)、(D)で図示したのと同様に、ほぼ全面に幅5mm×長さ100mmの長方形状のスリットが上面から箱状空間に貫通するように設けられている。天板の中央には前後幅20mm、厚さ2mmの図19(A)、(B)と同等な構造の無孔の帯状のSUS361製の狭幅受けプレートが天板の上表面と面一になるように埋め込まれている。天板の上表面と受けプレートの上表面はバフ仕上げによる研磨処理が施されている。
なおWJノズルの下面と受けプレートの上面との距離は、この間隙をウエッブ状繊維層が通過するため、この例では15mmに設定している。パイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmH2Oの減圧状態に保たれている。
前記2層積層のウェブ状繊維層は受けプレート上を60m/min.の速度で滑走させつつ、第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007による水流噴射を受けつつ、上記15mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。得られた交絡済みウェブ状繊維層(結合カードウェブ)は、ニップロールで更に脱水し熱風乾燥器を経て巻き取られて不織布製品とする。
得られた不織布製品の外観表面は多数の細い線が長さ方向に走り織物のような外観を呈する。得られた不織布製品の代表的な物性値を繊維状ウェブである未結合カードウェブ及び基材として使用したPPスパンボンドと比較して示すと表1のような結果になる。特に湿潤強度が高く、また乾燥状態でも、湿潤状態でも、縦と横の強度バランスがよいことが目立つ。十分な水流交絡効果とともに繊維状ウェブと基材との複合効果が働いて、物性が向上していることがわかる。更に本発明の受けプレートを使用した不織布の特徴は、感触・風合いの改善効果である。上層のレーヨン及びPET短繊維の自由端末(Fiber Tail)が基材を貫通して、図13(A)の模式図で示すように、下層のPPスパンボンドの下面に突き出て1mm〜3mmの起毛状を呈するようになる。これによって下層を指や掌でなでると、基材のPPスパンボンド特有の硬い、引っかかるような感触が消え、赤ちゃんの産毛のようなソフトな感蝕が賦与される。
(比較例1)
図8のプロセスを用い実施例1と同じ条件で得られた2層積層したウェブ状繊維層を、吸引ユニットのブロワーを休止してサクションが働かない状態にし、他は実施例1と同じ条件で第1から第3の交絡セットからなる交絡装置を通過させたところ、1〜2分するとウェブ状繊維層から水が溢れ出し、上層のウェブ層が乱れ、左右に流れ始めた。サクションブロワを稼働させると水の溢れ出しが止り、次第にウェブ層の乱れもなくなり、実施例1と同じ安定走行状態と不織布化が再現された。
(実施例2及び比較例2)
図8のプロセスを用い、走行スピードを60m/minから20m/min.に、第1から第3の交絡セットからなる交絡装置におけるWJユニット1005〜1007のWJ圧力を7Mpaから3Mpaに変更し、他の条件は実施例1と同じ条件で、次のA)、B)のプロセスケースから得られる試作サンプルの交絡状態の比較を行った。プロセスケースA)はWJ圧と走行スピードを実施例1と変えた実施例2、プロセスケースB)は吸引ユニットと受けプレートの間にネットコンベアーを介在させた比較例2となる。
A)WJ圧と走行スピード以外は実施例1と同じ条件
走行スピードを20mmin.で、第1から第3の交絡セットからなる交絡装置におけるWJユニットのWJ圧力を3Mpaで2層積層したウェブ状繊維層を走行させ、交絡したウェブ状繊維層を乾燥機前ニップロールから下にたらした状態で少量採取し、自由状態で乾燥してテスト用サンプル(A)とした。
B)第1から第3の交絡セットからなる交絡装置の、吸引ユニットと受けプレートの上をネットが走行する条件(2層積層したウェブ状繊維層と吸引ユニットと受けプレートの間にネットコンベアーが介在する条件)
ネットコンベアーを代替するものとして、ポリエステル製平織50メッシュのプラスチック製ワイヤー(日本フィルコン株式会社製)のループ継手を開いて幅1.5m×長さ約18mの長尺ネットを用意し、図5のプロセスの第1の交絡セットの前のガイドロールから第1から第3の交絡セットを構成する吸引ユニットと受けプレートの上を経て乾燥機前ニップロール1011から下にたらした状態にして、走行スピードを20m/min.、第1から第3の交絡セットからなる交絡装置におけるWJユニット1005〜1007のWJ圧力を3Mpaでウェブ状繊維層を走行させ、得られた交絡したウェブ状繊維層を少量採取し、自由状態で乾燥してテスト用サンプル(B)とした。
表2にサンプル(A)、サンプル(B)の剥離強度の比較を示す。サンプル(A)は薄く一体化した不織布状を呈し、層間剥離をすることが出来なかった。サンプル(B)は厚みがあり、交絡が弱くまだ嵩高なウェブ状形態を残し、スパンボンドとウェブ間で簡単に層間剥離した。ネットコンベアーを介在させると吸引ユニットと受けプレートの隣接効果は発揮できないことが明らかにされた。
(実施例3)
図9は本発明になる交絡不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、基材(不織布)巻出し機2001、2台の直列に配置されたカード機2002及び2003、ウエッブ搬送コンベアー2004、第1のWJユニット2005、第2のWJユニット2006、第3のWJユニット2007、長い吸引ユニット2011の中に嵌め込まれた、第1の受けプレート2008、第2の受けプレート2009、第3の受けプレート2010、エアーブロワー2012、エアーサクション2013、スウィングピドラー2014、ウェブ収容コンテナー2015、となっている。なお図9においてはWJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
基材としては1600mm幅のPE/PP製SB不織布15g/m2(チッソ社製)を巻出し機(大昌鉄工製)2001に装着し、第1及び第2のカード機2002、2003として鳥越製作所製カード機を用い、第1のカード機2002には7d×63mmの中空PET繊維(テイジン製)10g/m2、第2のカード機2003にも同じく中空PET繊維(テイジン製)10g/m2を供給し、1500mm幅20g/m2の未結合カードウェブを前記SB不織布基材上に重ねて、搬送コンベアー出口に設けられた一定の隙間を持つスムースロール(詳細説明割愛)によりカードウェブの表面を平滑にする。このようにして得られた60m/min.で走行するPE/PP製SB不織布とそれに重ねられた20g/m2の未結合カードウェブの2層積層体であるウェブ状繊維層を、吸引ユニット2011に3つの受けプレート2008、2009、2010が隣接する装置と、その上方に3つのWJ(水流噴出)ユニット2005、2006、2007を備えた水流交絡装置へとガイドする。
水流交絡装置は図9に図示するように、WJユニット2005、2006、2007の3ユニットと、その下方に設けられた受けプレート2008、2009、2010及び吸引ユニット2011の組み合わせとからなっている。WJユニットは、第1のWJユニット2005、第2のWJユニット2006、第3のWJユニット2007も図14、図15で図示したものと同様の構造をもち、第1のWJユニット2005には口径0.18mm、ノズル間隔18mmのノズルプレートが組込まれ、第2のWJユニット2006には口径0.18mm、ノズル間隔9mmのノズルプレートが組込まれ、第3のWJユニット2007には口径0.12mm、ノズル間隔9mmのノズルプレートが組込まれている。いずれのユニットにも1台の高圧ポンプから7Mpaの高圧イオン交換水が供給される。
図9で使用している吸引ユニット2011と受けプレート2008〜2010は、基本的に図1(A)及び(B)で説明した吸引ユニットをカバーする天板の中央に受けプレートが埋め込まれている構造を持っている。特に図9の配置の特徴は、長い吸引ユニット2011の中に、第1の受けプレート2008、第2のプレート2009、第3の受けプレート2010の3枚の受けプレートが嵌め込まれた点であり、図7(C)で説明した配置状態に相当する。
吸引ユニット2011は厚さ1.0mmのSUS361製の前後幅600mm×長さ1800mmの直方体の箱状空間と、箱底に直径100mmのパイプ状の排出口を持った本体(サクションボックス)と、厚さ15mmの天板が密閉状態になるように接合されている。天板材料には超高圧ポリエチレンを採用し、天板には図17(C)、(D)で図示したのと同様に、吸引用の貫通孔としてほぼ全面に幅5mm×長さ100mmの長方形状のスリットが上面から箱状空間に貫通するように設けられている。天板にはほぼ等間隔に、天板を隔てて3枚の前後幅25mm、厚さ2mmの図19(A)、(B)と同等な構造の無孔の帯状のSUS361製の狭幅受けプレートが天板の上表面と面一になるように埋め込まれている。天板の上表面と受けプレートの上表面はバフ仕上げによる研磨処理が施されている。
なおWJノズルの下面と受けプレートの上面との距離は、この間隙をウエッブ状繊維層が通過するため、この例では20mmに設定している。またパイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmH2Oの減圧状態に保たれている。
前記ウェブ状繊維層は受けプレート上を滑走させつつ、第1のWJユニット2005、第2のWJユニット2006、第3のWJユニット2007による水流噴射を受け、上記20mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。交絡・脱水処理を経た交絡したウェブ状繊維層は40℃前後の温風を供給するエアーブロワー2012、エアーサクション2013で余分の水分を除去し、スウィングピドラー2014を使用して、ウェブ収容コンテナー2015に折り畳みながら収容した。
残存水分率を測定すると、WJサクション通過後の交絡ウェブ状繊維層には35wt%程度の水分が残存していたが、エアーサクション通過後の交絡ウェブ状繊維層には15wt%程度の水分が残存する状態で、少し湿った感触はあったが手に水分が付くようなこともなく、外見上乾燥している状態になっていた。ウィングピドラーを利用しての折り畳み状況も静電気の発生は全く観察されず均一に折り畳まれた。(ちなみに本実施例のように合成繊維100%のWJ交絡不織布の場合、熱乾燥した水分率10wt%以下の状態では、巻き取り、スリット加工、フェストーニング加工(折り畳み加工)する場合、静電気トラブルを回避するため、水分の噴霧により加湿して静電気の発生を防いで作業を行うのが一般的である。
本実施例で得られた交絡ウェブ状繊維層は非常に嵩高の不織布で、図13(B)の模式図で示すように畝状の連続的な厚みのある畝状の突起部と薄くなった平滑部を持っている。
得られた不織布は目付35g/m2で、厚みのある突起部は厚み6mm(無加重下)、薄くなった平滑部は厚み1mmであった。突起部ではPE/PP製SBの基材側にも起毛状にPET繊維の自由端末が2mm〜4mm前後に飛出し、手指や掌で触ると畝状に長手方向に続くふわふわした繊維脈が観察された。
(実施例4)
図10は本発明になる交絡不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、上層不織布巻出し機3001、基材巻出し機3002、プレスロール3003、第1のWJユニット3004、第2のWJユニット3005、貫通孔を持つ広幅受けプレート3006、受けプレート3006を埋め込み支える吸引ユニット3007、ニップロール3008、乾燥機3009、製品巻取機3010、となっている。なお図10においてはWJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
上層部を形成する不織布としてTCF(品番500、フタムラ化学製)目付25g/m2、構成繊維径2.0d、繊維長10mmの1500mm幅巻き取りを第1の巻出し機(大昌鉄工製)3001に装着し、基材としては1600mm幅のPP製SB不織布15g/m2(三井化学社製)を第2の巻出し機(大昌鉄工製)3002に装着し、プレスロール3003で圧着して2層積層のウェブ状繊維層とする。前記ウェブ状繊維層は、60m/min.の速度で吸引ユニット3007と受けプレート3006が隣接する装置と、その上方に水流噴出ユニット3004、3005を備えた水流交絡装置へとガイドする。
水流交絡装置は図10に図示するように、WJユニット3004、3005の2ユニットと、その下方に設けられた受けプレート3006と吸引ユニット3007の組み合わせの1ユニットからなっている。WJユニットは、第1のWJユニット3004、第2のWJユニット3005も図14、図15で図示したものと同様の構造をもち、第1のWJユニット3004には口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれ、第2のWJユニット3005にも同じ口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれ、いずれのユニットにも1台の高圧ポンプから7Mpaの高圧イオン交換水が供給される。
図10で使用している吸引ユニット3007と受けプレート3006は、基本的に図1(E)で説明した吸引ユニットをカバーする天板の中央に受けプレートが埋め込まれ、受けプレートの開口はサクションボックスまで貫通し減圧になった吸引力が働くようになっている。また図7(D)のように複数のWJユニットが組み合わさっている構造を持っているが、中央部の一部が上に突き出して横断面が屋根板状になっている点で異なる。この受けプレートは図20(E)、(F)に類似した屋根板状の横断面形状を持ち、W6=200mmで表面に直径0.3mmの円形貫通孔がほぼ全面に均等に設けられている。更に表面をバフ仕上げして平滑にしている。
なおWJノズル3004、3005の下面と受けプレート3006の上面との距離は、この間隙をウエッブ状繊維層が通過するためこの例では15mmに設定している。またパイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmH2Oの減圧状態に保たれている。
前記2層積層したウェブ状繊維層は受けプレート上を60m/min.の速度で滑走させつつ、第2のWJユニット3004、第2のWJユニット3005による水流噴射を受けつつ、上記15mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。得られた交絡済みウェブ状繊維層は、ニップロール3008で更に脱水し熱風乾燥機3009を経て製品巻取機3010により巻き取られて不織布製品とする。
得られた不織布製品の外観表面は、多数の細い孔が全面に開き編み物のような外観を呈する。得られた不織布製品の代表的な物性値を原料として使用したTCFおよびPPスパンボンドとの比較で示すと表3のような結果であった。乾燥強度も湿潤強度も高く、縦と横の強度バランスもよい。特に湿潤時強度の上昇が目立つ。十分な水流交絡効果とともにTCFと基材PPスパンボンドとの複合効果が働いて、物性が大幅に向上していることがわかる。更に本発明の受けプレートを使用した不織布の特徴は、感触・風合いの改善効果である。上層のTCFの短繊維の自由端末(Fiber Tail)が基材を貫通して、下層のPPスパンボンドの下面に突き出て、図13(C)の模式図で示すように、下層の表面全体が1mm前後の起毛状を呈していることである。これによって下層を指や掌でなでると、基材のPPスパンボンド特有の硬い、引っかかるような感触が消え、赤ちゃんの産毛のようなソフトな感蝕が賦与される。また上層のTCFの表面もTCF特有の横じわが殆ど消えて、細い孔が線状に観察されるようになっていた。
(実施例5)
図11は本発明になる交絡不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から上層不織布巻出し機4001、基材巻出し機4002、プレスロール4003、WJユニット4004、無孔の狭幅で台形の受けプレート4005、受けプレート4005の一部で受けプレート4005の下部を支える支持体(支え板)4006、前部吸引ユニット4007、後部吸引ユニット4008、ニップロール4009、乾燥機4010、製品巻取機4011、となっている。なお図11においては、WJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
上層部を形成する不織布としてTCF(品番500,フタムラ化学製)目付25g/m2、構成繊維径2.0d、繊維長10mmの1500mm幅巻き取りを第1の巻出し機(大昌鉄工製)4001に装着し、基材としては1600mm幅のPP製SMMS不織布13g/m2(AVGOL社製)を第2の巻出し機(大昌鉄工製)4002に装着しプレスロール4003で圧着して2層積層のウェブ状繊維層とする。得られたウェブ状繊維層は、60m/min.の速度で吸引ユニット4007、4008と受けプレート4005が隣接する装置と、その上方にWJ(水流噴出)ユニット4004を備えた水流交絡装置へとガイドする。受けプレート4005の上部は受けプレート4005の一部となる支持体4006により支持されている。
水流交絡装置は図11に図示するように、WJユニット4004と、その下方に設けられた受けプレート4005と吸引ユニット4007、4008の組み合わせの1ユニットとからなっている。WJユニット4004は図14、図15で図示したものと同様の構造を持ち、WJユニット4004には口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれ、高圧ポンプから7Mpaの高圧イオン交換水が供給される。
図11で使用している吸引ユニット4007、4008と受けプレート4005は基本的に図3(C)で説明した構造を備え、天板にスリット状の吸引用の貫通孔を持つ前部吸引ユニット4007と後部吸引ユニット4008が、前後に約15mmの間隔を置いて、別体として配置されている。この15mmの間隙と前部吸引ユニット4007の天板の後端10mmと後部吸引ユニット4008の前端部10mmをカバーする様に、下面前後幅35mm、厚さ5mm、上面前後幅20mmの台形状横断面を有するSUS361製の無孔受けプレートが、下面幅25mm、厚さ5mmのT字型の支え板に溶接されて配置されている。更に受けプレートの表面はバフ仕上げして平滑にしている。
なおWJノズル4004の下面と受けプレート4005の上面との距離は、この間隙をウエッブ状繊維層が通過するためこの例では15mmに設定している。またパイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmH2Oの減圧状態に保たれている。
前記2層積層したウェブ状繊維層は受けプレート4005上を60m/min.の速度で滑走させつつ、WJユニット4004による水流噴射を受けつつ、上記15mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。得られた交絡済みウェブ状繊維層は、ニップロール4009で更に脱水し熱風乾燥機4010を経て、製品巻取機4011で巻き取られて不織布製品とする。
得られた不織布製品の外観表面は、多数の細い線が長さ方向に走り織物のような外観を呈する。得られた不織布製品の代表的な物性値を原料であるTCFとPP・SMMSとの比較で示すと表4のような結果が得られた。乾燥強度も湿潤強度も高く、縦と横の強度バランスもよい。特に横強度の上昇による縦と横のバランスの改善が目立つ。十分な水流交絡効果とともにTCFと基材PP製のSMMSとの複合効果が働いて、物性が向上していることがわかる。更に本発明の受けプレートを使用した不織布の特徴は、感触・風合いの改善効果である。上層のTCFの短繊維の自由端末(Fiber Tail)が基材を貫通して、下層のPP製SMMSの下面に突き出て、図13(C)の模式図と同様に、下層の表面全体が1mm前後の起毛状を呈していることである。これによって下層を指や掌でなでると、基材のPP製SMMS特有の硬い、引っかかるような感触が消え、赤ちゃんの産毛のようなソフトな感蝕が賦与される。また上層のTCFの表面もTCF特有の横じわが殆ど観察されず、細い織物状の線状模様が表われていた。
(実施例6)
図12は本発明になる交絡不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から上層不織布巻出し機5001、基材巻出し機5002、プレスロール5003、ガイドロール5004−1〜504−3、第1のWJユニット5005、第2のWJユニット5006、吸収ユニットと受けプレートの両機能を持つ第1の管状体(パイプ状)装置5007と第2の管状体(パイプ状)装置5008、ニップロール5009、乾燥機5010、製品巻取機5011、となっている。なお図12においては、WJユニット、吸収ユニットと受けプレートの両機能を持つ管状体の配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
上層部を形成する不織布としてティシュ(王子ネピア製)目付25g/m2、ヴァージンパルプ100%使用、1500mm幅を第1の巻出し機(大昌鉄工製)5001に装着し、基材としては1600mm幅のPP製SMMS不織布13g/m2(AVGOL社製)を第2の巻出し機(大昌鉄工製)5002に装着し、プレスロール5003で圧着して2層積層のウェブ状繊維層とする。得られたウェブ状繊維層は、60m/min.の速度で吸引ユニットと受けプレート両方の機能を持つ管状体(パイプ状)装置5007、5008と、その上方にWJ(水流噴出)ユニット5005、5006を備えた水流交絡装置へとガイドする。
水流交絡装置は図12に図示するように、WJユニット5005、5006の2ユニットと、その下方に設けられた管状体(パイプ状)装置5007、5008の2ユニットとの組み合わせから構成されている。WJユニット5005、5006は図14、図15で図示したものと同様の構造を持ち、WJユニット5005、5006にはそれぞれ口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれ、高圧ポンプから7Mpaの高圧イオン交換水が供給される。
図12で使用している吸引ユニットと受けプレート両方の機能を持つ管状体(パイプ状)装置5007、5008は、基本的に図6(A)、(B)で説明した管状体(パイプ状)を図7(E)で示すように前後に2セット配置したものである。吸引ユニットと受けプレート両方の機能を持つ管状体(パイプ状)装置5007、5008は同一仕様を持つものであり、それぞれ直径240mm、肉厚2mmのSUS304製のパイプの上頂点近傍に、前後幅2mmの吸引用の貫通孔となるスリットを20mmの間隔をおいて前後に2本設けている。前後2本のスリット間の無孔の曲面を受けプレート部としている。更にパイプの表面はバフ仕上げをして平滑にしている。
なおWJノズル5005、5006の下面と管状体(パイプ状)装置5007、5008の上面との距離は、この間隙をウエッブ状繊維層が通過するためこの例では15mmに設定している。またパイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmH2Oの減圧状態に保たれている。
前記2層積層したウェブ状繊維層は、管状体(パイプ状)装置5007、5008の曲面に沿わせるように60m/min.の速度で滑走させつつ、WJユニット5005、5006による水流噴射を受けつつ、上記15mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。得られた交絡済みウェブ状繊維層は、ニップロール5009で更に脱水し熱風乾燥機5010を経て、製品巻取機5011で巻き取られて不織布製品とする。
得られた不織布製品の外観表面は、多数の細い線が長さ方向に走り織物のような外観を呈する。得られた不織布製品の代表的な物性値を原料であるティシュとPP・SMMSとの比較で示すと表5のような結果が得られた。乾燥強度も湿潤強度も高く、縦と横の強度バランスもよい。特に横強度の上昇による縦と横のバランスの改善が目立つ。十分な水流交絡効果とともにティシュと基材PP製のSMMSとの複合効果が働いて、物性が向上していることがわかる。更に本発明の受けプレートを使用した不織布の特徴は、感触・風合いの改善効果である。ティシュの構成木材繊維は1mm〜3mm前後の短い繊維から構成されているため、自由端末が基材を貫通して起毛状とはならないが、SMMS面の感触はソフトに改善される。重要なのはティシュ面で、ティシュの形状は全く変化し、繊維の脱落がなくなりコットン不織布状の風合いとなる。なお本製品は水分の吸収、拡散性にも優れ、更に湿熱安定性も向上する。