JP6614527B2 - 蓄光ガラス複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄光ガラス複合体及びその製造方法に関する。
近年、高残光輝度を示す蓄光体が開発され、これを利用した蓄光体複合体が安全標識などに利用されるようになってきた。屋外で使用される複合体は耐候性の高いガラスフリットを使用したものが主として用いられている。蓄光体用途を拡大するためには高輝度化が重要であり、高輝度を示す複合体の開発が行われている。
例えば、非特許文献1や特許文献1では、蓄光顔料を30〜50重量%(好ましくは35重量%)含み尚且つ、Na2Oの含有量が0.5mol%以下のガラスで厚さ15mmの円柱形に成型して高輝度な蓄光製品を得ることが記載されている。特に、特許文献1では、Na2Oの含有量が0.5mol%を超えるガラスフリットでは残光輝度が低下する旨記載されている。また、特許文献2では目に見える(目視可能)気孔がなく、透過性の高い高輝度蓄光体を得る方法が記載されている。
一方、現在の消防法では、D65光源200lxを20分照射した場合の残光輝度が20分後に100mcd/m2以上のものが、高輝度蓄光標識と規定されている。しかしながら、より安全に避難できるためには、60分後にも同等レベルの輝度があることが望ましい。しかしながら、従来の上記各文献に示される方法では、大型の平板で使用することを想定できる厚み(4mm以下)で、その残光輝度が達成されていない。
特開2011−21106号公報 特開2012−87029号公報
著者吉田秀樹他 長崎県窯業技術センター研究報告 高輝度蓄光製品の開発 p.17−22
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、従来開示されていた目視可能なレベルの直径50μmから数百μmの泡以外に、直径10μm以下の微細気泡が複合体に存在し、それを取り除くことで、透過率をさらに向上させ、4mm厚以下、蓄光顔料の含有量が30wt%以下の含有量で60分後に100mcd/m2以上の残光輝度を達成する蓄光ガラス複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄光ガラス複合体の特徴は、蓄光材料とガラス材料とを焼成してなる蓄光ガラス複合体において、前記ガラス材料は、少なくともSiO2、B23、Al23、Na2O、CaO、ZnO及びSnO2を含み、前記Na2Oを0.5mol%を超えて15mol%以下含有すると共にSnO2を0.5mol%以上2.5mol%以下含有し、ガラス部に存在する直径0.3μm以上で且つ10μm以下の大きさの微細気泡の数密度が5000個/(1mm2×50μm)未満であることにある。
上記基本組成のガラス材料にSnO2を所定量添加することで、Naの多い複合体で生じやすい酸素欠陥による黒化を抑制でき、輝度を向上させることができる。しかも、発明者らの実験によれば、目視可能なレベルの直径50μmから数百μmの泡以外に、直径10μm以下の微細気泡が複合体に存在し、この微細気泡が残光輝度に影響していることが判明した。ガラス部に存在する直径0.3μm以上で且つ10μm以下の大きさの微細気泡の数密度が5000個/(1mm2×50μm)未満とすることで、ガラス部を通過する光が散乱されにくくなり、輝度の低下を防止され、高輝度化が可能となる。
前記蓄光材料はアルミン酸ストロンチウム系(SrAl24:Eu,Dy)材料であり、前記ガラス材料はさらにSrOを0mol%を超えて6mol%以下含有するとよい。これにより、アルミン酸ストロンチウム(SrAl24:Eu,Dy)からのSr溶出が防がれ、輝度をさらに向上させることができる。
前記ガラス材料の屈折率と前記蓄光材料の屈折率との差の絶対値は0.01以下であるとよい。これにより、材料の屈折率の相違による輝度の低下を抑制する。係る場合、前記ガラス材料は、Nb25、TiO2、La23及びZrO2の内少なくとも3種をさらに含有するとよい。
前記ガラス材料の粒径は38μm〜75μmであるとよい。これにより、残光輝度に影響を与える直径10μm以下の微細気泡の発生を抑制でき、輝度を向上させることができる。
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄光ガラス複合体の製造方法の特徴は、蓄光材料とガラス材料とを焼成してなる蓄光ガラス複合体の製造方法において、ガラス組成物を粉砕して粒度が38μm〜75μmとなるように分級してガラス材料を作製し、作製したガラス材料と前記蓄光材料を混合し、その混合物をプレスせずに又は50MPa以下のプレス圧で成形して焼成することにある。
上記構成によれば、ガラス組成物を粉砕して上記所定の粒度に分級したガラス材料を用いることで、直径10μm以下の微細気泡の発生原因を減らす。そして、作製したガラス材料と蓄光材料を混合し、その混合物をプレスせずに又は50MPa以下のプレス圧で成形して焼成するので、プレス圧によって粒子が破砕されて微細粒子が発生することも抑制される。よって、焼成時に微細気泡の発生を抑制でき、ガラス部を通過する光が散乱されにくくなる。これにより、輝度の低下を防止され、高輝度化が可能となる。
分級した後に洗浄して微粉を除去するとよい。これにより、複合体中に微細気泡の発生をさらに抑制でき、高輝度とすることができる。
また、前記焼成を減圧下で行うとよい。これにより、焼成時にガラス部中に微細気泡が生じにくくでき、さらに輝度の低下を防止できる。
前記ガラス材料の屈折率を前記蓄光材料の屈折率との差の絶対値が0.01以下となるように調整するとよい。これにより、材料の屈折率の相違による輝度の低下を抑制する。
上記本発明に係る蓄光ガラス複合体及びその製造方法の特徴によれば、従来開示されていた目視可能なレベルの直径50μmから数百μmの泡以外に、直径10μm以下の微細気泡が複合体に存在し、それを取り除くことで、透過率をさらに向上させ、4mm厚以下、蓄光顔料の含有量が30wt%以下の含有量で60分後に100mcd/m2以上の残光輝度を達成するに至った。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
次に、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る蓄光ガラス複合体は、蓄光材料とガラス材料とを焼成してなる。蓄光材料としては、例えば、アルミン酸ストロンチウム系(SrAl24:Eu,Dy)で250μm程度に造粒されたものが用いられる。例えば、この蓄光材料の屈折率は、約1.66である。
ガラス材料としては、少なくともSiO2、B23、Al23、Na2O、CaO、ZnO及びSnO2を含み、例えば50SiO2−27.3B23−3Na2O−5K2O−7CaO−2.7ZnO−2.5Al23−2.5ZrO2(mol%)とし、酸化物、炭酸塩、水酸化物の原料を白金るつぼ中1350℃で溶融して作製したガラス組成物を粉砕してふるい分けし、洗浄して微粉を除いたガラスフリットが用いられる。ガラスフリットは、その屈折率が蓄光材料の屈折率と同等になるように調整される。具体的には、ガラスフリットの屈折率を蓄光材料の屈折率との差の絶対値が0.01以下となるように調整する。例えば、Nb25、TiO2、La23及びZrO2をガラスフリットの基本組成に添加する。屈折率の差の絶対値を0.01以下とすることで、界面での乱反射を抑制し複合体がより透明となり、光透過率が向上し輝度を向上させることができる。
本発明に用いるガラスフリットにおいては、SiO2を30〜70mol%、B23を5〜25mol%含有する。また、Li2O、Na2O及びK2Oの総量が5〜25mol%であるとよい。ここで、総量及びK2Oの含有量が多くなると耐水性が低下する。リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ成分はガラス作製温度や複合体作製時の焼成温度を下げる効果があり、特にNa2Oは安価である。Na2Oを0.5mol%を超えて15mol%以下含有すると共にSnO2を0.5mol%以上2.5mol%以下含有する。これにより、焼成温度を下げながらも焼成時の黒化による輝度の低下を防止することができる。好ましくは、Na2Oを2mol%以上13mol%以下含有すると共にSnO2を1.0mol%以上2.0mol%以下含有するとよい。なお、アルカリ成分がK2Oである必要はない。
また、CaO、MgO及びSrOの総量が3〜15mol%となるように含有させるとよい。ここで、SrOを0mol%を超えて6mol%以下含有させることで、アルミン酸ストロンチウム(SrAl24:Eu,Dy)からのSr溶出が防がれ、輝度が向上する。これよりも配合量が多いと結晶化する可能性がある。好ましくは、SrOを2mol%以上4mol%以下含有するとよい。さらに、ZrO2及びAl23は、それぞれ1〜5mol%含有させるとよく、ZnOは1〜10mol%含有させるとよい。ZrO2、Al2O3はガラスフリットの耐水性を向上させ、ZnOは耐水性を低下させずにガラスフリット作製時及び複合体作製時の焼成温度を下げる。添加量が多いと複合化の再加熱の際に結晶化を起こす可能性がある。
また、Nb25、TiO2、La23及びZrO2をさらに含有させてもよい。Nb25は0mol%以上2mol%以下、TiO2は0mol%以上4mol%以下、La23は0mol%以上2.5mol%以下、ZrO2は0mol%以上5mol%以下含有するとよい。これにより、ガラスの屈折率を上げることができる。いずれも数値範囲を越えると複合化の再加熱の際に結晶化を起こす可能性があり、単一成分で屈折率を大きく上げることはできない。
発明者らの実験によれば、複合体の拡散透過率と輝度には相関関係が見られた。Na又はB含有量の多い複合体では、拡散透過率が低く、顕微鏡観察では複合体内の泡量が多かった。例えば、Na2Oを13mol%含有しSnO2が含有しない複合体では、特に輝度が低かったが、僅かに黒めの色調を呈し拡散反射率が低かった。輝度に対する要因として、泡量と欠陥の影響が考えられる。
泡量と輝度には負の相関関係が見られ、泡の低減により透過率が上昇すると輝度も向上するものと考えられる。Naの多い複合体では、泡が残存しやすくなっていたが、これは急速に加熱された際にガラス粒同士の焼結がNaの移動により早く起こり空気を閉じ込めたまま焼結したためと推測される。そこで、ガラス粒が焼結する温度で10〜30分保持することで、泡を低減でき、輝度を向上させることができた。
また、欠陥の影響として、Naの多い複合体で生じやすい酸素欠陥による黒化が生じていると考えられる。そこで、黒化を抑制する効果を有する酸化スズを添加すると、輝度の向上が見られた。
蓄光ガラス複合体の製造においては、まず、上記組成のガラス組成物を粉砕してガラスフリットを作製する。ガラス組成物の粉砕後の分級は、その粒度が38μm〜75μmとなるように行われる。また、洗浄は、エタノール、アルコールや水等によって直径1μm以下のガラス粒子を除去する。これら焼成前の処理により、複合体中に直径10μm以下の微細気泡の発生が抑制され、高輝度となる。
ここで、本発明における微細気泡とは、0.3μm以上で且つ10μm以下の大きさ(直径)のものを指す。このような微細気泡は、作製したガラスフリットのガラス粒子同士が焼結する際にその粒子界面で気体が閉じ込められて生じるものである。よって、数十μm程度に分級されるガラスフリットにおいて、発生する微細気泡のほとんどは、直径10μm以下となる。直径10μmを超える大きさの気泡は、ガラス粒子が存在しない部分で発生するため、ほとんど存在せず、ガラス部を透過する光に与える影響は極めて小さい。一方、0.3μm未満の大きさ(径)の気泡は、ガラス部を透過する光に与える影響は極めて小さく、実質的に観測も困難である。従って、直径0.3μm以上で且つ10μm以下の大きさ(径)の気泡の数を減少させることで、ガラス部を通過する光の拡散を防止でき、輝度を向上させることが可能となる。
上述したように、上記特許文献では、目視可能な大きさの直径50μmから数百μmの泡(気孔)を減らすことで輝度の低下を防止している。しかしながら、本発明は、目視で確認が困難な直径10μm以下の微細気泡が残光輝度に影響を与えていることを見出し、その微細気泡を削減し輝度を向上させることを目的とするものであり、従来とは異なる技術的思想である。
次に、上記作製したガラスフリットと蓄光材料とを例えば質量比7:3となるように混合する。蓄光材料は30質量%以下であるよい。また、混合物をプレス成型する場合、そのプレス圧は、50MPa以下、好ましくは20MPa以下とするとよい。プレス圧が高いと粒子が破砕することで微細粒子が発生し、輝度が低下する。
そして、混合物を焼成する。その焼成工程は、ガラス軟化点(10-7.6dPa・s(ポアズ))よりも少し低い粘度の10-7dPa・sあたり(10-7.5〜10-6.5dPa・s程度)の温度(T1)で一度10〜30分保持した後、最終的には10-5dPa・s近傍(T2)まで上げて粒界を消滅させた後、空冷するとよい。温度(T1)での保持時間が短いと微細気泡がガラス相中に閉じ込められやすくなり、輝度が低下してしまう。特に、Naが多く含有する場合(例えば8mol%以上)、温度(T1)が低いと粒界が十分消滅しないため強度に問題が生じる。温度(T2)が830℃以上になると蓄光顔料がガラスに融解してしまい輝度が低下する。このように、ガラス軟化点(10-7.6dPa・s(ポアズ))よりも少し低い粘度の10-7dPa・sあたり(10-7.5〜10-6.5dPa・s程度)の温度(T1)で一度10〜30分保持することで、ガラス粒子同士の焼結時における気泡の発生が抑制でき、輝度を向上させることができる。
(実施例A)
49SiO2−17.3B23−13Na2O−5K2O−5CaO−2SrO−2.7ZnO−2.5Al23−2.5ZrO2−1SnOの組成のガラスを粉砕、分級し、アルコール洗浄をした後乾燥させてガラスフリットを作製した。このガラスフリットと蓄光顔料(例えば、根本特殊化学株式会社製「N夜光ルミノーバ」(約250μm造粒体))を混合して成型した。成型過程で加圧しない場合は乾式で混合し、加圧する場合は少量のエタノールを加えて混合した。
その混合物を1時間で680℃まで昇温させて30分保持し、780℃まで昇温させたのち、室温まで放冷した。厚みを4mmまで研磨した後、JIS Z 9107に従い残光輝度を測定した。得られた試料内の泡数はデジタルマイクロスコープを用いて観察して粒径と数を計数した。なお、試料内の泡(微細気泡)は、観測限界となる0.3μm以上で且つ10μm以下のものを対象とし、試料1mm2厚さ50μmあたりの泡の数(数密度)を計数した。なお、厚さ(深さ)方向へのスキャン深さが50μmを越えると、蓄光材料の重なりやガラス部分の他の泡により次第にフォーカスが合いづらくなり、泡の観察が困難になる。そのため、数密度を単位として、1mm2厚さ50μmあたりの泡の数とした。
表1に作製条件と得られた試料の60分後の残光輝度と泡の数密度、表面積を示す。実施例1〜実施例10については、直径0.3μm以上10μm以下の泡の数密度が1000個/(1mm2×50μm)以下と低く、残光輝度100mcd/m2以上の値を示した。実施例1〜8のように直径0.3μm以上10μm以下の泡の数密度を800個/(1mm2×50μm)以下とすることで、より高い性能が得られる。実施例11は、フリット粒度38−75μmに分級しアルコール洗浄することなく、0.2MPaで加圧混合した。係る場合、ガラスフリットを粉砕後に洗浄した実施例2,4,7と比較すると、洗浄しないことで直径1μm以下のガラス粒子を排除できず、それに起因する微細気泡により若干の輝度の低下が見られたものの、60分後の残光輝度100mcd/m2を確保した。さらに、実施例12は、フリット粒度38−75μmに分級しアルコール洗浄し、25MPaで加圧混合した。実施例7〜10、12をそれぞれ比較すると、プレス圧が上昇するに従い、残光輝度が低下することが分かる。25MPa程度であれば、60分後の残光輝度100mcd/m2を確保できる。比較例1は、圧力が250MPaと高く、粒子が破壊されたため微細気泡の数密度が7000個/(1mm2×50μm)と大量に発生し、輝度が低かった。ガラスフリットを粉砕後に洗浄しないことで微細気泡が発生し輝度が低下した。このように、ガラス部に存在する微細気泡の数密度を少なくとも5000個/(1mm2×50μm)個未満とすることで、高輝度が可能である。なお、さらに好ましくは、ガラス部に存在する直径0.3μm以上で且つ10μm以下の大きさの微細気泡の数密度は、3000個/(1mm2×50μm)未満である。
Figure 0006614527
(実施例B)
ガラスフリットの組成として、49SiO2−17.3B23−13Na2O−5K2O−5CaO−2SrO−2.7ZnO−2.5Al23−2.5ZrO2−1SnOとしたものを1300℃で溶融して作製し、粉砕して38〜75μmのものを分級した。この粉末をエタノールで洗浄して微粉を除いたのち、蓄光顔料(例えば、根本特殊化学株式会社製「N夜光ルミノーバ」(約250μm造粒体))を重量比7:3になるよう添加し合計5gをエタノールを添加して均一に混合し直径25mmの型に入れた。これをガラス粒が焼結を始める640℃で30分加熱しさらに10分で750℃に昇温させたのち冷却して厚さ約4mmの複合体を作製した。残光輝度を測定したところ、107mcd/m2であった。
(比較例B)
同様にガラスフリットの組成として、酸化スズを含まない50SiO2−17.3B23−13Na2O−5K2O−7CaO−2.7ZnO−2.5Al23−2.5ZrO2としたものを1300℃で溶融して作製し、粉砕して53〜75μmのものを分級した。この粉末をエタノールで洗浄して微粉を除いたのち、蓄光顔料(例えば、根本特殊化学株式会社製「N夜光ルミノーバ」(約250μm造粒体))を重量比7:3になるよう添加し合計5gを均一に混合して直径25mmの型に入れた。これを750℃で焼成したのち冷却して厚さ約4mmの複合体を作製したところ、若干黒みを帯びた色の試料となった。60分後の残光輝度を測定したところ、82mcd/m2であった。
(実施例C)
表2のガラス1に示す組成(屈折率1.66前後のガラス組成物)を40.8SiO2−13B23−1Al23−6.5Li2O−4Na2O−2MgO−8.5CaO−4SrO−9ZnO−1.7Nb25−1TiO2−1La23−3.5ZrO2とし、SiO2は含有していない。このガラス1を基本組成として、表2に示す如くSiO2をSnO2で置き換えることでSnO2含有量1mol%のガラス材料(ガラス2)と2mol%のガラス材料(ガラス3)を作製した。それらを粉砕して75μm以下に分級し、エタノールで微粉を洗浄除去した。この粉末と蓄光顔料(例えば、根本特殊化学株式会社製「N夜光ルミノーバ」(約250μm造粒体))を重量比7:3の割合で混合し、700℃で5分間焼成し、直径約24mm厚さ4mmの複合体を得た。JIS Z 9107に準拠して測定したこれら複合体の残光輝度は、照射60分後で113mcd/m2であった。
(比較例C)
比較例C1として、表2のガラス1を用いて上記と同様に作製した複合体における残光輝度は、88mcd/m2であった。また、比較例C2として、上記ガラス1の組成においてSiO2をSnO2で置き換えることでSnO2含有量3mol%のガラス材料(ガラス4)を作製し、上記と同様に複合体を得た。この複合体は白濁化し、その残光輝度を測定したところ、100mcd/m2より著しく低下した。
Figure 0006614527
ところで、複合体中に存在する空隙を減少させるために、上記ガラス2,3の組成の粉末を用いて、真空炉中で8000Pa(60Torr)に減圧し、700℃で10分間焼成し、直径約24mm厚さ4mmの複合体を得た。JIS Z 9107に準拠して測定したこれら複合体の残光輝度は、ガラス2の複合体で113mcd/m2であり、ガラス3の複合体で118mcd/m2であった。なお、表2における空隙%は研磨した試料表面(断面)を顕微鏡観察して空隙部分の断面積を測定したもので、試料中に存在する空隙部分の体積割合を示す。また、拡散透過率は各単波長の光を試料に当てて透過散乱した光を積分球で受けて測定したもので、500nm拡散透過率は500nm単色光での拡散透過率、透過率比は500nm拡散透過率/600nm拡散透過率を示す。
このように、減圧下で焼成することで空隙が減少し、透過率が向上し輝度をさらに向上させることが可能である。なお、ガラス2の複合体では残光輝度が変化していない。これは、短波長側の透過率がやや低く、試料がわずかに茶色に着色したことを示しており、減圧下での空隙減少による輝度向上とガラスの還元による着色での輝度低下の効果が相殺したためと思われる。
(実施例D)
ガラスフリットの組成として、49SiO2−22.3B23−8Na2O−5K2O−5CaO−2SrO−2.7ZnO−2.5Al23−2.5ZrO2−1SnOとしたものを1350℃で溶融して作製し、粉砕して38〜75μmのものを分級した。この粉末をエタノールで洗浄して微粉を除いたのち、蓄光顔料(例えば、根本特殊化学株式会社製「N夜光ルミノーバ」(約250μm造粒体))を重量比7:3になるよう添加し合計25gを均一に混合して直径35mmの型に入れた。これをガラス粒が焼結を始める685℃で30分加熱しさらに10分で780℃に昇温させたのち冷却して厚さ約11mmの複合体を作製した。
JIS Z 9107に準拠して測定した残光輝度は、照射60分後で145mcd/m2を示した。顕微鏡観察では複合体内に泡はほとんど見られなかった。本発明に係る複合体の輝度は、厚みを増すと共に増加する。
(比較例D)
実施例Dと同じガラスフリットを用い、38μm未満に分級した粉末について、同様にエタノールで洗浄した後に蓄光体を加えて焼成し、厚さ約11mmの複合体を作製した。
JIS Z 9107に準拠して測定した残光輝度は、照射60分後で100mcd/m2を維持できなかった。多くの微細泡が見られた。

Claims (9)

  1. 蓄光材料とガラス材料とを焼成してなる蓄光ガラス複合体であって、
    前記ガラス材料は、少なくともSiO2、B23、Al23、Na2O、CaO、ZnO及びSnO2を含み、
    前記Na2Oを0.5mol%を超えて15mol%以下含有すると共にSnO2を0.5mol%以上2.5mol%以下含有し、
    ガラス部に存在する直径0.3μm以上で且つ10μm以下の大きさの微細気泡の数密度が5000個/(1mm2×50μm)未満である蓄光ガラス複合体。
  2. 前記蓄光材料はアルミン酸ストロンチウム系(SrAl24:Eu,Dy)材料であり、前記ガラス材料はさらにSrOを0mol%を超えて6mol%以下含有する請求項1記載の蓄光ガラス複合体。
  3. 前記ガラス材料の屈折率と前記蓄光材料の屈折率との差の絶対値は0.01以下である請求項1又は2記載の蓄光ガラス複合体。
  4. 前記ガラス材料は、Nb25、TiO2、La23及びZrO2の内少なくとも3種をさらに含有する請求項3記載の蓄光ガラス複合体。
  5. 前記ガラス材料の粒径は38μm〜75μmである請求項1〜4のいずれかに記載の蓄光ガラス複合体。
  6. 蓄光材料とガラス材料とを焼成してなる蓄光ガラス複合体の製造方法であって、
    ガラス組成物を粉砕して粒度が38μm〜75μmとなるように分級してガラス材料を作製し、
    作製したガラス材料と前記蓄光材料を混合し、
    その混合物をプレスせずに又は50MPa以下のプレス圧で成形して焼成する蓄光ガラス複合体の製造方法。
  7. 分級した後に洗浄して微粉を除去する請求項6記載の蓄光ガラス複合体の製造方法。
  8. 前記焼成を減圧下で行う請求項6又は7記載の蓄光ガラス複合体の製造方法。
  9. 前記ガラス材料の屈折率を前記蓄光材料の屈折率との差の絶対値が0.01以下となるように調整する請求項6〜8のいずれかに記載の蓄光ガラス複合体の製造方法。
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