JP6612570B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回路基板および回路基板の製造方法に関するものである。
近年、電子部品として、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)素子、金属酸化膜型電界効果トランジスタ(MOSFET)素子、発光ダイオード(LED)素子、フリーホイーリングダイオード(FWD)素子、ジャイアント・トランジスタ(GTR)素子等の半導体素子、昇華型サーマルプリンタヘッド素子、サーマルインクジェットプリンタヘッド素子およびペルチェ素子等の発熱を伴う素子が、回路基板の回路部材上に搭載されてなる電子装置が用いられている。
このような電子装置に用いられる回路基板は、近年、高集積化に伴って、回路部材間の間隔が狭くなってきていることから、回路部材間の絶縁破壊が起こりにくい回路基板が求められている。例えば特許文献1では、セラミック焼結体からなる支持基板の第1主面に、第1の接合層を介して複数の回路部材が接合されて配置されており、第1主面における回路部材配置領域および回路部材間領域の双方にわたって全体的に複数の突起が離散して配置されており、回路部材間領域に存在する突起の平均高さが、回路部材配置領域に存在する突起の平均高さよりも低い回路基板が提案されている。
国際公開第2013/008651号
特許文献1で提案された回路基板は、回路部材間領域に配置された比較的高い突起に、金属粉体等が引っ掛かって付着することが比較的多く、このような金属粉体等によって回路部材間の絶縁性が低下するといった課題があった。本願はかかる課題を解決することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明は、セラミック基板を準備する工程と、前記セラミック基板の一方主面に、接合層を介して金属を主成分とするブロック部材を接合する工程と、前記ブロック部材および前記接合層の一部を除去して、前記接合層および前記ブロック部材からなる回路部材が配置された部材配置領域と、前記セラミック基板が露出した露出領域とを形成するパターニング工程と、前記露出領域の少なくとも一部にブラスト処理を施すブラスト工程とを有し、前記セラミック基板を準備する工程では、前記一方主面に複数の突起が離散的に配置されたセラミック基板を準備し、前記ブラスト工程では、前記露出領域の少なくとも一部にブラスト処理を施すことで、前記露出領域の前記突起を除去することで、前記部材配置領域の前記一方主面に複数の突起が離散的に配置されており、前記露出領域の少なくとも一部の範囲に前記突起が配置されていないセラミック基板を得ることを特徴とする回路基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、回路部材がセラミック基板から剥がれ難く、かつ絶縁性が低下し難い回路基板を少ない工程で比較的簡単に製造することができる。
回路基板の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面図である。 図1に示す回路基板の一部を拡大して示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は図(a)のB−B’線における断面図である。 (a)〜(d)は、図1および図2に示す回路基板の製造方法の一実施形態について説明する断面図である。
以降、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、回路基板の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面図である。図2は、図1の一部を拡大して示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。
図1に示す回路基板10は、セラミック基板1と、セラミック基板1の一方主面1Aに配置された金属を主成分とする回路部材3と、一方主面1Aと回路部材3との間に配置されてセラミック基板1と回路部材3とを接合する接合層2と備える。セラミック基板1の一方主面1Aは、接合層2が配置された部材配置領域1αと、セラミック基板1が露出した露出領域1βとを有し、セラミック基板1は、部材配置領域1αに複数の突起21(図1では図示せず)が離散的に配置されており、露出領域1βの少なくとも一部の範囲に突起21が配置されていない。
露出領域1βの少なくとも一部の範囲に突起21が配置されていないとは、露出領域1βの30%以上の領域に、突起21が配置されていないことをいう。本実施形態では、より具体的には、露出領域1βの少なくとも一部に連続した凹凸30が広がっており、露出領域1βの凸部31(図1では図示せず)の高さは突起21の高さhに比べて小さい。露出領域1βの少なくとも一部に連続した凹凸30が広がっている状態とは、この露出領域1βの少なくとも一部がいわゆる梨地状に荒れた表面となっている状態のことをいう。
突起21は、それぞれが互いに例えば10μm〜1mm程度離れて配置されており、5μm〜500μm程度の高さを有している。凹凸30は、梨地状に表面が荒れて凹凸が連続した状態となっており、凸部31同士も距離を隔てず連続している部分も多く、その配
置状態や凸部31同士の距離はランダムとなっている。凸部31は平均で0.01μm〜1μm程度となっている。
突起21の高さhは、セラミック基板1の一方主面1Aからの突起21の突出高さの大きさをいい、表面粗さ測定機やレーザー顕微鏡、または走査型顕微鏡等で求めることができる。例えばセラミック基板1の断面を走査型電子顕微鏡で倍率を2000倍として撮影し、撮影した写真から測定することもできる。突起21はそれぞれが離散して配置されており、各突起21の高さを1つ1つ測定することができる。また、表面粗さ測定機を用いて取得した表面粗さ曲線から求めた、部材配置領域1αにおける最大高さRyを突起21
の高さとしてもよい。また露出領域1βにおける凸部31の高さとは、例えば表面粗さ測定機を用いて取得した表面粗さ曲線から求めた、露出部1βにおける最大高さRyのことをいう。
セラミック基板1では、部材配置領域1αに複数の突起21が離散的に配置されていることで、セラミック基板1と接合層2および回路部材3との接合強度がアンカー効果によって比較的高くなっている。また、露出領域1βの少なくとも一部の範囲に突起21が配置されていないことで、金属粉等が露出領域1βに付着し難くなり、回路部材3の間の絶縁性を比較的高くすることができる。
また、露出領域1βの少なくとも一部に、比較的高さが小さい凸部31を備える連続した凹凸30が広がっていることで、この部分の表面積が比較的大きくなり、ひいては接合層2の間隔Wにおける総沿面距離が比較的大きくなり、回路部材3の間の絶縁性の低下が抑制され、回路部材3の間における絶縁破壊の発生を抑制することができる。また、凸部31が突起21の高さより小さいので、金属粉等のゴミが付着し難く、回路部材30の間の絶縁破壊の発生を抑制することができる。本実施形態の回路基板10は、回路部材3がセラミック基板1から剥がれ難く、かつ絶縁性が低下し難い。
また回路基板10は、回路部材3が、一方主面1Aと対向する第1主面3Aおよび第1主面3Aと反対の第2主面3Bとを有し、平面視(図1(a)および図2(a))において、第2主面3Bの周縁線3BAの外側に、第1主面3Aの周縁線3AAが配置され、第1主面3Aの周縁線3AAの外側に、接合層2の周縁線2AAが配置されており、断面視において、露出領域1βを向いた側の回路部材3の側面32と接合層2の側面22との間に、一方主面1Aと平行な接合層2の段差面2Aを備えている。
このように、接合層2の周縁線2AAが回路部材3の周囲からはみ出すように広がった段差面2Aがあることで、温度変動等によって回路部材3とセラミック基板1との熱膨張と収縮の違いに起因した応力が発生した場合も、接合層2の段差面2Aに対応する部分(はみ出した部分)で発生した応力が比較的良好に緩和されるので、回路部材3に大きな熱応力が集中することが抑制される。また、回路部材3も、第2主面3Bの周縁線3BAの外側に、第1主面3Aの周縁線3AAが配置されていることで、すなわち回路部材3の厚みが端部にかけて薄くなっていることから、回路部材3の端部の直下に熱応力が集中するのを緩和することができる。第1主面3Aの周縁線3AAと接合層2の周縁線2AAとの距離Lは、50μm以上であることが好ましい。段差面2Aを有するとは、断面視で接合層2の形状が、周縁線2AAにかけて厚みが大きく減少しない形状であることをいう。接合層2がこの段差面2Aを有することで、回路部材3の端部の直下に熱応力が集中することが緩和されている。接合層2の下側には、セラミック基板1の表面が配置されている。
セラミック基板1は、例えば、窒化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化硼素質焼結体、炭化珪素質焼結体、炭化硼素質焼結体、酸化アルミニウム質焼結体および酸化ジルコニウム質焼結体のいずれかであることが好適である。なお、窒化珪素質焼結体を例に挙げれば、窒化珪素質焼結体とは、窒化珪素が主成分である焼結体である。ここで主成分とは、焼結体を構成する全成分100質量%のうち、70質量%以上を占める成分のことをいう。特に、窒化珪素質焼結体は、耐電圧性および耐熱衝撃性が高いことから、セラミック基板1として用いることが好適である。
部材配置領域1αの突起21の高さhの平均は16μm以上52μm以下であることが好適である。露出領域1βの凹凸30は、部材配置領域1αと同様の表面が、サンドブラスト等のブラスト処理によって梨地状に粗面化されることで形成されている。
サンドブラスト等の表面処理が施されて形成された凹凸30の部分は、算術平均粗さRaが、例えば、0.5μm以上1.0μm以下であり、十点平均粗さRzは、例えば、3
μm以上7μm以下である。算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2003に、十点平均粗さRzは、JIS B 0601:1994に、それぞれ準拠して測定すればよい。
接合層2は、銀および銅が、接合層2を構成する全成分100質量%のうち、例えば、50質量%以上含むものである。また、インジウム、亜鉛および錫から選ばれる1種の元素Aと、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびニオブから選ばれる1種の元素Bとを含有することが好ましい。接合層2の厚みは、例えば5μm以上60μm以下である。
回路部材3は、金属成分を主成分とする。より具体的には、銅を主成分とすることが好ましく、銅の含有量が90質量%以上であり、銅の含有量が多い、無酸素銅、タフピッチ銅およびりん脱酸銅のいずれかからなることが好適である。特に、無酸素銅のうち、銅の含有量が99.995質量%以上の線形結晶無酸素銅、単結晶状高純度無酸素銅および真空溶解銅のいずれかからなることが好適である。このように、回路部材3が、銅の含有量が多いものからなるときには、高い熱伝導率により放熱特性に優れているとともに、電気抵抗が低いことにより回路特性(電子部品の発熱を抑制し電力損失を少なくする特性)に優れたものとなる。また、銅の含有量が多いときには、降伏応力が低くなり、加熱すると塑性変形しやすくなるため、回路部材3の接合強度が上がり、より信頼性が高くなる。回路部材3の厚みは、例えば、0.5mm以上5mm以下である。
次に、回路基板の製造方法の一実施形態について説明する。
《セラミック基板を準備する工程》(図3(a))
まず、セラミック基板1を準備する。セラミック基板1が窒化珪素質焼結体(以下、窒化珪素質基板と記載する)からなる例について説明する。セラミック基板1は、表面の空孔がなるべく少ないことが好ましい。窒化珪素質焼結体は、表面に空孔状の欠陥が生じやすく、この空孔は肉眼や顕微鏡で観察した際に白点状に視認される。セラミック基板1の表面にこのような空孔(以降、白点ともいう)があることで、接合層2となるろう材に含まれる金属成分が白点に浸入して、強いアンカー効果が得られるため、接合強度を高くすることができる。ただし、白点に浸入する金属成分の量が多くなり過ぎると、この金属成分による絶影性の低下の虞があるので、白点の数はある程度の量に限定されていることが好ましい。このような観点でセラミック基板1は、円相当径が2μm以上30μm以下の大きさの白点が、1mm当たりに50個以上200個以下であることが好ましい。
このようなセラミック焼結体1を得るには、まず、β化率が20%以下であって、純度が98%以上である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO)および希土類金属の酸化物(例えば、Sc、Y、La、Ce、Pr11、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの少なくともいずれか1種)の各粉末とを、バレルミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミル、サンドミルおよびアジテーターミル等の混合装置を用いて、水とともに湿式混合し、粉砕してスラリーを作製する。
ここで、具体的な調合量としては、酸化マグネシウムの粉末の添加量が1質量%以上2質量%以下であり、希土類金属の酸化物の粉末の添加量が2質量%以上4質量%以下であり、残部が窒化珪素の粉末である。なお、窒化珪素質基板において、円相当径が2μm以上30μm以下の大きさの白点を、1mm当たりに50個以上200個以下存在させるには、窒化珪素質基板中に含まれるカルシウムの含有量が2質量ppm以上100質量p
pm以下となるように、カルシウム粉末を添加すればよい。また、隣り合う白点間の距離の平均値が4μm以上である窒化珪素質基板を得るには、窒化珪素の粉末および添加成分の各粉末の合計100質量部に対して、分散剤を2.5質量部添加すればよい。また、白点の凹凸度が1.1以上2.9以下である窒化珪素質基板を得るには、混合装置による混合・粉砕時間を、例えば、24時間以上72時間以下とすればよい。さらに、白点の円形度が0.7以上0.9以下である窒化珪素質基板を得るには、混合装置による混合・粉砕時間を、例えば、36時間以上60時間以下とすればよい。また、他の調合例としては、酸化マグネシウムの粉末の添加量が2質量%以上6質量%以下であり、希土類金属の酸化物の粉末の添加量が12質量%以上16質量%以下であり、酸化アルミニウムの粉末の添加量が0.1質量%以上0.5質量%以下であり、残部が窒化珪素の粉末である。
次に、得られたスラリーに有機バインダを加えて混合した後、噴霧乾燥することにより、窒化珪素を主成分とする顆粒を得る。そして、顆粒を用いて、粉末圧延法により成形してセラミックグリーンシートとし、このセラミックグリーンシートを所定の長さに切断することにより、成形体を得る。あるいは、粉末圧延法に代えて、加圧成形法を用い、窒化珪素質顆粒を成形型に充填してから加圧することによって成形体を得る。
ここで、複数の突起21が離散して配置されたセラミック基板1を得るには、予め粘度を例えば、10Pa・s以上とした上記スラリーをシリンジに注入し、このシリンジからスラリーを成形体の表面に所定量滴下して乾燥させることで、滴下・乾燥させたスラリーからなる突起21を形成すればよい。なお突起21の高さが16μm以上52μm以下である窒化珪素質基板を得るには、滴下の際の滴下量等を調整して突起の高さを20μm以上65μm以下にすればよい。
あるいは、顆粒または敷粉等の粉粒体を成形体の表面に載置する。載置する方法は、篩い等を用いて振り掛ける、または粉粒体に溶媒等を加えてスラリーとし、刷毛やローラ等を用いて塗布してもよい。なお、粉粒体を構成する粉末は、例えば、珪素の粉末、窒化珪素の粉末、酸化珪素の粉末およびサイアロンの粉末の少なくともいずれかであり、これに酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、希土類元素の酸化物を含むものであってもよい。なお突起21の高さが16μm以上52μm以下である窒化珪素質基板を得るには、高さが20μm以上65μm以下に調整された粉粒体を用いればよい。
ここで、顆粒とは、例えば上記粉末を混合し粉砕してスラリーとし、噴霧乾燥機で乾燥させたものであり、敷粉とは、窒化珪素質焼結体を粉砕したもののことである。
次に、得られた成形体を、窒化珪素質焼結体からなるこう鉢に入れて、黒鉛抵抗発熱体が設置された焼成炉を用いて焼成する。なお、このとき、成形体100質量部に対して、2質量部以上10質量部未満の量の成形体と組成の近似した共材を、成形体の周囲に配置して焼成することにより、成形体の含有成分の揮発を抑制することができる。
また、焼成条件については、室温から300〜1000℃までは真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を15〜900kPaに維持する。そして、さらに昇温を進め、1640℃以上1750℃以下で4時間以上10時間以下保持した後、170℃/時間以上230℃/時間以下の降温速度で冷却することによって、円相当径が2μm以上30μm以下の大きさの白点が、1mm当たりに50個以上200個以下存在する窒化珪素質基板(セラミック基板1)を得ることができる。
《ブロック部材を接合する工程》(図3(b))
次に、セラミック基板1の一方主面1Aに、接合層2を介して金属を主成分とするブロック部材13を接合する。
まず、セラミック基板1の一方主面1A上に、スクリーン印刷法、ロールコーター法および刷毛塗り法等のいずれかによりろう材を塗布する。ろう材として例えば、インジウム、亜鉛および錫から選択される少なくとも1種からなる元素Aと、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種からなる元素Bとを含有する、銀(Ag)−銅(Cu)系合金のペースト状のろう材を準備すればよい。また、上記ろう材には、モリブデン、タンタル、オスミウム、レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種からなる元素Cを含むものであってもよい。
元素Aは融点が低く溶融しやすく、接合時における流れ性を良好にすることができるため、接合層2とセラミック基板1または回路部材3との間に生じる隙間を減少させることができる。この隙間の有無については、超音波探傷法により確認することができる。また元素Bは、セラミック基板1およびブロック部材13との濡れ性が良好であるとともに、セラミック基板1に含まれる成分と元素Bとの反応によって、セラミック基板1とブロック部材13とを強固に接合することができる。モリブデン、オスミウム、レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種からなる元素Cは、融点が高く溶融しにくく、接合時においてろう材の粘性が高くなり過ぎるのを抑えることができるため、ろう材に元素Cを含むときには、塗布したろう材が必要以上に広がることを抑制することができる。
ろう材としては例えば、銀、銅、元素A、元素Bおよび元素Cを含み、これらの含有量の合計100質量%のうち、銅の含有量が35質量%以上50質量%以下、元素Aが0.1質量%以上22質量%以下、元素Bが1質量%以上8質量%以下、元素Cが9.5質量%以下11.5質量%以下であり、残部が銀からなることが好適である。
次に、塗布したろう材上に、回路部材3となる銅を主成分とするブロック部材13を配置する。本実施形態におけるブロック部材13は、一方主面1Aと対向する第1主面3Aおよび第1主面1Aと反対の第2主面3Bとを有している。
ろう材上にブロック部材を配置した状態で真空雰囲気中に配置し、30MPa以上の圧力を加えた状態で800℃以上900℃以下で加熱し、その後に冷却処理することで、セラミック基板1の一方主面1Aとブロック部材13との間に、セラミック基板1の一方主面1Aとブロック部材13とを接合する接合層2を形成する。
《パターニング工程》(図3(c))
次に、ブロック部材13および接合層2の一部を除去して、接合層2およびブロック部材13からなる回路部材3が配置された部材配置領域1αと、セラミック基板1が露出した露出領域1βとを形成する。
本実施形態ではより具体的には、ブロック部材13および接合層2の少なくとも一部をエッチングにより除去してセラミック基板1の一部を露出させることで、セラミック基板1の一方主面1Aに、接合層2およびブロック部材からなる回路部材3が配置された部材配置領域1αと、セラミック基板1が露出した露出領域1βとを形成する。
本実施形態では、このウエットエッチング工程で、ブロック部材13に対するエッチングレートが接合層2に対するエッチングレートよりも大きいエッチャントを用いて、ブロック部材13および接合層2を連続してウエットエッチングすることで、平面視において、第2主面3Bの周縁線3BAの外側に、第1主面3Aの周縁線3AAが配置され、第1主面3Aの周縁線3AAの外側に、接合層2の周縁線2AAが配置されており、断面視において、露出領域1βを向いた側の回路部材3の側面32と接合層2の側面22との間に、一方主面3Aと平行な接合層2の段差面2Aを備えている部材を形成する。
例えば、ブロック部材13の第2主面3Bの所望の位置にレジストを印刷し、120℃以上150℃以下でレジストを乾燥させエッチングマスクを作成する。この状態で、例えばエッチャントとして塩化第2鉄水溶液等を用いてウエットエッチングを行う。このエッチャントは、ブロック部材13に対するエッチングレートが接合層2に対するエッチングレートよりも大きいので、接合層2がエッチングが進行している間も、ブロック部材13のエッチングが比較的高レートで進んでいく。このようなエッチングレートの差によって、段差面2Aが形成される。エッチング時のエッチャント温度は約40℃以上50℃以下である。エッチング後、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いてレジストを剥離して洗浄する。
《ブラスト処理する工程》(図3(d))
次に、セラミック基板1の一方主面1Aの露出領域1βの少なくとも一部を含む領域をブラスト処理する。このブラスト処理で用いるビーズは、例えば、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ等のセラミックビーズあるいはガラスビーズを用いればよい。ブラスト処理とは微小な粒子を衝突させて衝突表面を物理的に変化させる処理をいい、サンドブラスト、ショットブラスト、グリッドブラスト、ハイドロブラストまたはショットピーニング等が挙げられる。
このブラスト処理によって、露出領域1βの突起21を除去することで、部材配置領域1αの一方主面1Aに複数の突起21が離散的に配置されており、露出領域1βの少なくとも一部の範囲に突起21が配置されていないセラミック基板1を得る。
より具体的には、このブラスト処理によって、露出領域1βの少なくとも一部に連続した凹凸30が広がっており、露出領域1βの凸部31の高さが部材配置領域1αの突起21の高さに比べて小さいセラミック基板を得る。すなわち、セラミック基板1の一方主面1Aの露出領域1βの一部を複数の突起21もろとも粗面化し、露出領域1βの少なくとも一部に連続した凹凸30が広がっている状態とする。
ブラスト処理された部分、すなわち凹凸30が広がっている部分は、ブラスト処理によっていわゆる鍛造処理された状態となり、機械的強度も高めることができる。例えば上述の接合層を形成する工程(接合する工程)では、セラミック基板1は800℃以上900℃以下の高温に加熱されるので、セラミック基板1の一方主面1Aは一種の焼き鈍しの状態となり、軟化して結晶粒子が肥大化することで、一方主面1Aの表面には欠陥となる空隙が生じる場合がある。またエッチング工程でも、エッチャントによる化学変化等によって一方主面1Aの表面に欠陥が生じる場合がある。ブラスト処理によって表面を鍛造することで、表面を圧縮して結晶粒子同士の距離を縮め、表面を緻密化することができる。このようなブラスト処理を経ることで、表面の硬度(機械強度)が比較的向上し、また温度変動に起因した熱応力に起因した破壊等も抑制することができる。また、ブラスト処理によって露出領域1βの表面のごく近傍部分が除去されるので、ウエットエッチング工程等を経てセラミック基板1の表面に付着した金属イオン等が除去されるので、回路部材3の間の絶縁性を比較的高くすることができる。以上のような製造方法によって、回路部材3がセラミック基板1から剥がれ難く、絶縁性が低下し難い回路基板を、少ない工程で比較的簡単に製造することができる。
なお、本実施形態の説明においては、セラミック基板1の一方の主面に回路部材3を備える回路基板10について説明したが、セラミック基板1の他方の主面に放熱部材を備えてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでない。例えば、回路基板を製造する際、ウエットエッチングを実施せずに、あらかじめパターニングした金属部材をろう材で接合し、接合した金属部材間をブラスト処理してもよい。ウエットエッチングを実施して回路基板を製造した場合は、本実施形態のような断面形状の回路基板を比較的容易に製造できる点で好ましい。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行なってもよいのはもちろんである。
1 セラミック基板
1A 一方主面
1α 部材配置領域
1β 露出領域
2 接合層
3 回路部材
13 ブロック部材
21 突起
30 凹凸
31 凸部

Claims (3)

  1. セラミック基板を準備する工程と、
    前記セラミック基板の一方主面に、接合層を介して金属を主成分とするブロック部材を接合する工程と、
    前記ブロック部材および前記接合層の一部を除去して、前記接合層および前記ブロック部材からなる回路部材が配置された部材配置領域と、前記セラミック基板が露出した露出領域とを形成するパターニング工程と、
    前記露出領域の少なくとも一部にブラスト処理を施すブラスト工程とを有し、
    前記セラミック基板を準備する工程では、前記一方主面に複数の突起が離散的に配置されたセラミック基板を準備し、
    前記ブラスト工程では、前記露出領域の少なくとも一部にブラスト処理を施すことで、前記露出領域の前記突起を除去することで、前記部材配置領域の前記一方主面に複数の突起が離散的に配置されており、前記露出領域の少なくとも一部の範囲に前記突起が配置されていないセラミック基板を得ることを特徴とする回路基板の製造方法。
  2. 前記ブラスト工程では、前記一方主面の前記範囲を粗面化することで、連続した凹凸が広がっており、凸部の高さが前記突起の高さに比べて小さい前記範囲とすることを特徴とする請求項記載の回路基板の製造方法。
  3. 前記ブロック部材は、前記一方主面と対向する第1主面および前記第1主面と反対の第2主面とを有し、
    前記パターニング工程では、前記ブロック部材に対するエッチングレートが前記接合層に対するエッチングレートよりも大きいエッチャントを用いて、前記ブロック部材および前記接合層を連続してウエットエッチングすることで、
    平面視において、前記第2主面の周縁線の外側に、前記第1主面の周縁線が配置され、前記第1主面の周縁線の外側に、前記接合層の周縁線が配置されており、断面視において、前記露出領域を向いた側の前記回路部材の側面と前記接合層の側面との間に、前記一方主面と平行な前記接合層の段差面を備えている部材を形成することを特徴とする請求項1または2記載の回路基板の製造方法。
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