JP6610791B2 - 歯車の加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Description
本発明は、歯車の加工方法及び加工装置に関する。
従来より、例えば車両の変速機に用いられる歯車のように高静粛性のために高い加工精度が求められる歯車については、該歯車の歯面を仕上げるためにシェービング加工等の仕上げ加工が行われている。
仕上げ加工において、例えば、シェービング加工では、歯面に多数のセレーション溝からなるセレーションを有するシェービングカッターが工具として用いられ、この工具と被加工歯車とが、互いの回転軸同士が所定の交差角度をなす状態で噛み合わされて、工具を被加工歯車に切り込ませた状態で回転させることで被加工歯車の歯面を切削する切込み動作により加工が行われる。
特許文献1に記載の歯車の加工方法では、仕上げ加工として上記のようなシェービング加工を行っており、上記切込み動作を断続的に行うことで、歯車の歯の歯面を仕上げている。
ところで、車両の変速機では、ギヤ比が近接している1速用の入力ギヤと後退速用の入力ギヤとを互いの歯面が連続するように一体に形成することがある。
このとき、高静粛性の観点から、近年、歯の歯幅を歯の歯幅を広くすることが検討されているが、歯の歯幅が広くなると、仕上げ加工工程において、従来用いられていた仕上げ加工用歯車(例えば、シェービングカッター)では、一度の仕上げ加工で、歯面の歯幅方向全体を加工できないことがある。一度の仕上げ加工で、歯面の歯幅方向全体を加工できない場合には、上記歯車の歯面を歯幅方向に複数の部分に分けて、各部分に対して仕上げ加工をそれぞれ行う必要が生じることとなる。
しかしながら、仕上げ加工においては、仕上げ加工用歯車と加工対象の歯車である被加工歯車との相対位置や仕上げ加工用歯車の被加工歯車に対する切り込み量の微調整を行うため、例えば、仕上げ加工を、上記被加工歯車の歯面を歯幅方向に2つの部分に分けて行う場合に、一方の部分に対する仕上げ加工と他方の部分に対する仕上げ加工とを完全に同じ条件で行うことが困難であり、被加工歯車の歯面において、上記一方の部分と上記他方の部分との境界となる部分に、他の部分よりも歯厚方向外側に突出した凸状の段差が生じ易い。
上記被加工歯車の歯面に上記凸状の段差が生じると、上記被加工歯車と噛み合う相手歯車の歯幅を、それぞれ、上記凸状の段差と干渉しない程度の大きさにしなければならないため、上記相手歯車の歯の歯幅を大きくすることができず、静粛性が悪化してしまう。また、相手歯車の歯の歯幅が小さくなることによって、該相手歯車の強度を十分に確保できなくなる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工可能な幅が被加工歯車の歯の歯幅よりも小さい仕上げ加工用歯車によって、仕上げ加工をしたとしても、被加工歯車と噛み合う相手歯車の歯の歯幅をそれぞれ確保できるようにすることにある。
ここに開示された技術は、歯車の加工方法を対象として、被加工歯車の歯面を歯幅方向に複数の部分に分けて、該分けられた各部分を、仕上げ加工用歯車によって、それぞれ仕上げ加工する仕上げ加工工程を含み、上記被加工歯車は、上記仕上げ加工用歯車が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有しており、上記仕上げ加工工程の前に、上記被加工歯車の上記歯面において、上記仕上げ加工工程で仕上げられる上記複数の部分のうち互いに歯幅方向に隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部を予め形成する、という構成とした。
上記構成によると、仕上げ加工工程前に、被加工歯車の歯面において、仕上げ加工工程で仕上げられる複数の部分のうち互いに歯幅方向に隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部が予め形成される。これにより、仕上げ加工が、上記被加工歯車の歯の歯面を歯幅方向に複数の部分に分けて行われる場合であっても、各部分を、上記凹部を境界にして分けるようにすれば、上記境界となる部分に、歯厚方向外側に突出した凸状の段差が形成されない。また、上記凹部によって凹状の段差が形成されるが、凹状の段差であれば、被加工歯車と噛み合う相手歯車の歯面と上記凹部とが歯幅方向にオーバーラップしたとしても、被加工歯車と相手歯車との噛み合いにほとんど影響を与えない。そのため、相手歯車の歯の歯幅を十分に確保することができる。
上記歯車の加工方法の一実施形態では、上記仕上げ加工工程は、上記被加工歯車の上記歯面を、歯幅方向に2つの部分に分けて、該2つの部分を、上記仕上げ加工用歯車によって、それぞれ仕上げ加工する工程であって、上記仕上げ加工工程の前に、上記被加工歯車の上記歯面において、上記2つの部分の境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部を予め形成する。
上記構成により、上記被加工歯車の上記歯の歯面を歯幅方向に2つの部分に分けて、仕上げ加工を行う場合に、上記2つの部分の一方の部分と他方の部分との境界となる部分を含む所定の領域に、確実に上記凸状の段差が形成されないようにすることができる。
上記一実施形態では、上記2つの部分は、上記被加工歯車の上記歯面の歯幅方向における中央部を境界として分けられており、上記仕上げ加工工程の前に、上記被加工歯車の上記歯面において、上記中央部を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部を予め形成する、ようにしてもよい。
上記構成により、例えば、上記被加工歯車に別の2つの相手歯車が噛み合うような場合に、2つの相手歯車のそれぞれの歯の歯幅を広く形成することができる。
上記歯車の加工方法において、上記仕上げ加工工程の前に、ホブ軸回りに回転するホブによって、ワークに歯を形成して、上記被加工歯車の歯を形成する歯切り加工工程をさらに含み、上記歯切り加工工程において、上記凹部を形成する、ようにしてもよい。
上記歯切り加工工程において上記凹部を形成することにより、上記歯切り加工工程と上記仕上げ加工工程以外に、上記凹部を形成する工程を設ける必要がなく、歯車の加工コストを抑えることができる。
上記歯車の加工方法において、上記被加工歯車は、2つの相手歯車とそれぞれ噛み合う歯車である、という構成にしてもよい。
上記構成により、2つの相手歯車が噛み合う場合でも、2つの相手歯車の歯の歯幅を、互いに干渉しない程度に、それぞれ十分に大きくすることができる。
上記被加工歯車が、2つの相手歯車とそれぞれ噛み合う歯車である、歯車の加工方法において、上記被加工歯車は、車両の変速機に搭載される歯車であり、上記2つの相手歯車のうちの一方は、1速用の歯車であり、上記2つの相手歯車のうちの他方は、後退速用の歯車である、という構成にしてもよい。
上記構成により、特に高い静粛性が求められる車両の変速機において、1速用の歯車の歯の歯幅及び後退速用の歯車の歯の歯幅を十分に大きくすることができるようになる。
上記被加工歯車が、車両の変速機に搭載される歯車であり、上記2つの相手歯車が1速用の歯車と後退速用の歯車である、歯車の加工方法において、上記変速機は、エンジンから入力軸に入力された駆動トルクを、変速段用歯車列を介してカウンタ軸に入力し、該カウンタ軸から減速用歯車列を介して出力軸に伝達するアウトプットリダクションタイプの変速機であり、上記後退速用の歯車列は、上記1速用の歯車列を含む全ての前進速用の歯車列よりも上記エンジン側に配設される、ことが好ましい。
後退速用の歯車列は、上記入力軸、上記カウンタ軸、及び、リバース軸にそれぞれ歯車を設ける必要があるため、後退速用の歯車列が設けられる部分は、上記変速機の変速機ケースの径方向寸法が大きくなりやすい。
よって、後退速用の歯車列を、1速用の歯車列を含む全ての前進速用の歯車列よりもエンジン側に配設することで、上記変速機ケースの軸方向にける中間部分が大型化されて、上記変速機の車両への搭載性が悪化するのを防止することができる。
また、ここに開示された技術は、歯車の加工装置を対象としている。この歯車の加工装置は、表面に複数のカッター刃を有し、所定の軸回りに回転しながらワークに対して歯切り加工を行って、被加工歯車の歯を形成するホブと、上記ホブと上記ワークとの相対距離を増減させる移動装置とを有する歯切り加工装置と、上記歯切り加工装置によって形成された被加工歯車の歯面を、歯幅方向に複数の部分に分けて、該分けられた各部分をそれぞれ仕上げ加工する仕上げ加工装置とを備え、上記被加工歯車は、仕上げ加工用歯車が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有する歯車であって、上記移動装置は、上記被加工歯車の歯面において、上記複数の部分のうち歯幅方向に互いに隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部が形成されるように、上記ホブによる歯切り加工時に、上記ホブと上記ワークとの相対距離を減少させるように構成されている、という構成とした。
上記の構成により、ホブによる歯切り加工時に、被加工歯車の歯面において、仕上げ加工される複数の部分のうち歯幅方向に互いに隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部が形成される。これにより、上記被加工歯車に噛み合う相手歯車の歯の歯幅を十分に確保することができる。
以上説明したように、本発明の歯車の加工方法及び加工装置によると、仕上げ加工工程の前に、被加工歯車の歯面において、仕上げ加工工程で仕上げられる上記複数の部分のうち歯幅方向に互いに隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部が予め形成されるため、加工可能な幅が被加工歯車の歯の歯幅よりも小さい仕上げ加工用歯車によって、仕上げ加工を行ったとしても、上記被加工歯車の歯面に、歯厚方向外側に突出した凸状の段差が形成されない。この結果、上記被加工歯車と噛み合う相手歯車の歯の歯幅をそれぞれ確保することができる。
以下、例示的な実施形態を図面基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る加工方法によって加工される歯車が用いられる手動変速機10の構成を示す。この手動変速機10は、車両に搭載された、前進6速及び後退1速の手動変速機である。上記手動変速機10が搭載される車両は、フロントエンジン・リアドライブ式の車両であって、車両前部にエンジン2と手動変速機10とでなるパワーユニットが配置されている。
手動変速機10は、いわゆるアウトプットリダクションタイプの手動変速機であって、変速機ケース10a内に、エンジン2の駆動軸2aからクラッチ3を介して動力が入力される入力軸11と、入力軸11の反エンジン側において該入力軸11と同軸に配置された出力軸12と、入力軸11及び出力軸12に平行に配置されたリバース軸13及びカウンタ軸21とを有している。
入力軸11は、そのエンジン側の部分に配置された軸受14を介して変速機ケース10aに回転可能に支持されている。同様に、出力軸12は、そのエンジン側の部分に配置された2組の軸受15,16を介して変速機ケース10aに回転可能に支持されている。カウンタ軸21は、そのエンジン側の部分に配置された軸受22及びその反エンジン側の部分に配置された2組の軸受23,24を介して変速機ケース10aに回転可能に支持されている。また、リバース軸13は、変速機ケース10aに固定されている。
入力軸11とカウンタ軸21との間には、入力軸11からカウンタ軸21に動力を伝達するための、互いに常時噛み合う2つのギヤを各々有する複数の前進変速段用ギヤ列31〜35と、後退速時に互いに噛み合う3つのギヤを有するリバース用ギヤ列30とが設けられている。具体的には、エンジン2側から該エンジン2とは反対側に向かって順番に、リバース用ギヤ列30、1速用ギヤ列31、2速用ギヤ列32、3速用ギヤ列33、4速用ギヤ列34、及び5速用ギヤ列35が設けられている。すなわち、これら前進変速段用ギヤ列31〜35は、エンジン側から減速比が大きい順に配置されており、リバース用ギヤ列30は、全ての前進変速段用ギヤ列31〜35よりもエンジン2側であって、前進変速段用ギヤ列のうち、最も減速比が大きい1速用ギヤ列31に隣接して配置されている。尚、本実施形態の手動変速機10は、6速時には、入力軸11と出力軸12とが直結されるので、カウンタ軸21には動力が伝達されず、このため、6速用ギヤ列は設けられていない。
出力軸12とカウンタ軸21との間には、カウンタ軸21から出力軸12に動力を伝達するための、互いに常時噛み合う2つのギヤを各々有する減速ギヤ列37が設けられている。これら減速ギヤ列37は、カウンタ軸21の回転を減速して出力軸12に出力する。これにより、カウンタ軸21から出力軸12に動力を伝達する。
上記入力軸11には、エンジン2側から該エンジン2とは反対側に向かって順番に、1速用入力ギヤ41、2速用入力ギヤ42、3速用入力ギヤ43、4速用入力ギヤ44が設けられるとともに、5速用入力ギヤ45が回転自在に遊嵌合されている。また、上記カウンタ軸21には、エンジン2側から該エンジン2とは反対側に向かって順番に、1速用出力ギヤ51、2速用出力ギヤ52、3速用出力ギヤ53、4速用出力ギヤ54が遊嵌合されているとともに、5速用出力ギヤ55が固定されている。これら、入力ギヤ41〜45と、出力ギヤ51〜55とは、変速段に応じて噛合している。
リバース用ギヤ列30は、入力軸11に設けられたリバース用入力ギヤ40と、カウンタ軸21に遊嵌合されたリバース用出力ギヤ50と、入力軸11及びカウンタ軸21に平行に延びるリバース用アイドルシャフト13の回りに回転可能に設けられ、リバース用入力ギヤ30及びリバース用カウンタ側ギヤ40に常時噛み合うリバース用アイドルギヤ60とで構成されている。
リバース用入力ギヤ40は、上記入力軸11における、1速用入力ギヤ41のエンジン2側の部分に設けられている。リバース用入力ギヤ40と1速用入力ギヤ41とは、1速用入力ギヤ41の歯面とリバース用ドライブギヤ40の歯面とが連続するように、一体に形成されている(以下、1速用入力ギヤ41とリバース用ドライブギヤ40とが一体になったギヤを兼用ギヤ80ということがある)。上記カウンタ軸21には、上記1速用出力ギヤ51のエンジン側に隣接してリバース用出力ギヤ50(後退速用の歯車)が遊嵌合されるとともに、リバース軸13には、リバース用アイドルギヤ60が回動可能に支持されている。また、兼用ギヤ80には、リバース用アイドルギヤ60と1速用出力ギヤ51とが噛合している。
また、上記出力軸12には、減速出力ギヤ47が固定されるとともに、カウンタ軸21上には5速用出力ギヤ55の反エンジン側に隣接して減速カウンタギヤ57が固定され、これらのギヤ47,57が噛合している。
また、カウンタ軸21上におけるリバース用出力ギヤ50のエンジン2側には、リバース用出力ギヤ50を選択的にカウンタ軸21に結合して動力伝達状態にするリバース用同期装置70が配設され、カウンタ軸21上における1速用出力ギヤ51と2速用出力ギヤ52との間には、1速用出力ギヤ51又は2速用出力ギヤ52を選択的にカウンタ軸21に結合する1−2速用同期装置71が配設されている。また、カウンタ軸21上における3速用出力ギヤ53と4速用出力ギヤ54との間には、3速用出力ギヤ53又は4速用出力ギヤ54を選択的にカウンタ軸21に結合する3−4速用同期装置73が配設されている。また、入力軸11上における5速用入力ギヤ45と減速出力ギヤ47との間には、5速用入力ギヤ45又は出力軸12を選択的に入力軸11に結合する5−6速用同期装置75が設けられている。
上述のような各種ギヤ列30〜35、軸12,13,21、及び、同期装置70、71、73、75は、変速機ケース10a内に配設されており、該変速機ケース10aは、エンジン2側が最も径方向寸法が大きく、エンジン2とは反対側に向かうにつれて縮径するように構成されている。
上記の構成によると、1−2速用同期装置71のスリーブ71aが、図1に示す中立位置からエンジン2側へスライド操作されると、1速用出力ギヤ51とカウンタ軸21とが結合され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、1速用入力ギヤ41、1速用出力ギヤ51、カウンタ軸21、減速カウンタギヤ57、減速出力ギヤ47を介して出力軸12に伝達されて、1速が達成される。
一方、1−2速用同期装置71のスリーブ71aが、図1に示す中立位置からエンジン2とは反対側へスライド操作されると、2速用出力ギヤ52とカウンタ軸21とが結合され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、2速用入力ギヤ42、2速用出力ギヤ52、カウンタ軸21、減速カウンタギヤ57、減速出力ギヤ47を介して出力軸12に伝達されて、2速が達成される。
また、3−4速用同期装置73のスリーブ73aが、図1に示す中立位置からエンジン2側へスライド操作されると、3速用出力ギヤ53とカウンタ軸21とが結合され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、3速用入力ギヤ43、3速用出力ギヤ53、カウンタ軸21、減速カウンタギヤ57、減速出力ギヤ47を介して出力軸12に伝達されて、3速が達成される。
一方、3−4速用同期装置73のスリーブ73aが、図1に示す中立位置からエンジン2とは反対側へスライド操作されると、4速用出力ギヤ54とカウンタ軸21とが結合され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、4速用入力ギヤ44、4速用出力ギヤ54、カウンタ軸21、減速カウンタギヤ57、減速出力ギヤ47を介して出力軸12に伝達されて、4速が達成される。
さらに、5−6速用同期装置75のスリーブ75aが、図1に示す中立位置からエンジン2側へスライド操作されると、5速用入力ギヤ45と入力軸11とが結合され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、5速用入力ギヤ45、5速用出力ギヤ55、カウンタ軸21、減速カウンタギヤ57、減速出力ギヤ47を介して出力軸12に伝達されて、5速が達成される。
一方、5−6速用同期装置75のスリーブ75aが、図1に示す中立位置からエンジン2とは反対側へスライド操作されると、入力軸11と出力軸12とが直結され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、出力軸12に伝達されて、6速が達成される。
さらにまた、リバース用同期装置70のスリーブ70aが、図1に示す中立位置からエンジン2とは反対側へスライド操作されると、リバースドリブンギヤ50とカウンタ軸21とが結合され、この結果、エンジン2の駆動軸2aの駆動力が、クラッチ3、入力軸11、リバース用ドライブギヤ40、リバース用アイドルギヤ60、リバース用ドリブンギヤ50、カウンタ軸21、減速カウンタギヤ57、減速出力ギヤ47を介して出力軸12に伝達されて、リバースが達成される。
次に、上述のような、車両に搭載される手動変速機10に用いられる各ギヤの加工方法について説明する。
車両に搭載される変速機10に用いられる各ギヤは、高静粛性の要求があり、高い加工精度が求められている。そのため、ホブによる歯切り加工によって歯を形成した後、各歯の歯面を整えるために仕上げ加工として、シェービング加工、研磨加工及びホーニング加工等(本実施形態ではシェービング加工)が実行される。
上記各ギヤを加工するための歯車加工装置300は、上記歯切り加工を行うための歯切り加工装置100と、仕上げ加工としてのシェービング加工を行うためのシェービング加工装置200(仕上げ加工装置)とを備えている。
歯切り加工装置100は、図2に示すような構成をしており、ホブ軸101を中心にして回転するホブ102をワーク130の外周面に押し当てることで、ワーク130に歯131を形成する。尚、以下の説明において、ホブ102とワーク130とが接離する方向を前後方向と定義し、ワーク130側を前側、ホブ102側を後側と定義する。また、前側から見て左方向を左側、右方向を右側と定義する。
歯切り加工装置100は、装置基台となる、平面視で矩形状をなしたベッド103を有しており、該ベッド103の前後方向の後側(図2の左側)の部分にコラム104が立設されている。コラム104はベッド103の上面を前後方向にスライド可能に設けられおり、ベッド103の上面には、コラム104を前後方向に案内するための一対の前後ガイドレール103aが互いに平行に設けられている。また、コラム104と後述するサポートコラム109との間には、前後ガイドレール103aと平行に延びるように、前後送りねじ105が設けられている。コラム104は前後送りねじ105の回転によって、前後方向に送られるようになっており、コラム104の前後方向の送り量を制御することによって、ワーク130とホブ102との相対位置が制御されるようになっている。このことから、コラム104及び前後送りネジ105は、ホブ102とワーク130との相対距離を増減させる移動装置を構成する。
コラム104における前後方向の前側の面には、ホブ102が取り付けられるホブヘッド107を備えたホブサドル106が、コラム104に対して上下方向にスライド可能に設けられている。また、コラム104の前後方向の前側の面には、ホブサドル106を上下方向に案内するための一対の上下ガイドレール104aが互いに平行に設けられている。また、ホブサドル106は、上下ガイドレール104aと平行に延びる上下送りねじ108に移動可能に支持されていて、この上下送りねじ108の回転によって、上下方向に送られるようになっている。尚、上下送りねじ108の上端は、コラム104の上端部に設けられた送りねじ支持部によって支持されている。
ホブヘッド107には、ホブ軸101が設けられていて、該ホブ軸101にホブ102が取り外し可能に固定されている。ホブ軸101は、その軸方向(つまり左右方向)に移動可能であり、ホブ軸101が左右方向に移動することで、ホブ102も左右方向に移動する。ホブ102は、モータ(図示省略)によってホブ軸101が回転することによって回転する。
ベッド103の前後方向の前側(図2の右側)の部分には、サポートコラム109が立設されている。サポートコラム109における前後方向の後側の部分には、テーブル110が設けられており、該テーブル110の上面から、ワーク130を取り外し可能に固定するためのワークアーバ111が上下方向に延びている。ワークアーバ111の上端部はサポートアーム112によって中心軸回りに回転可能に支持されている。ワークアーバ111は、モータ(図示省略)によって回転する。これにより、ワーク130がワークアーバ111とともに回転する。
ホブ102は、図3に示すように、円柱状のボディ102aの表面に複数のカッター歯102bが設けられたものである。各カッター刃102bは、ホブ102の中心軸を含む平面で切った断面が略台形状をしており、ホブ102の径方向外側に向かうほど幅が小さくなる形状をしている(図6及び図7参照)。カッター刃102bがこのような略台形状をしていることから、ホブ102とワーク130との前後方向における相対距離が小さくなるほど、すなわち、ホブ102がワーク130に対して押し付けられるほど、カッター刃102bのワーク130に対する切り込み量が大きくなる。
歯切り加工装置100による歯切り加工時には、ホブ102がホブ軸101回りに回転する一方、ワーク130がワークアーバ111によって回転した状態で、ホブ102(厳密にはカッター刃102b)が、前後送りネジ105によってホブサドル106ごとワーク130の外周面に押し付けられるとともに、上下送りねじ105によってホブサドル106ごと上下に送られることで、ワーク130の外周面に歯131が形成される。
歯切り加工装置100による歯切り加工が終了した後には、シェービング加工装置200を用いたシェービング加工(仕上げ加工)が行われる。
シェービング加工装置200は、図4に示すように、仕上げ加工用歯車であるシェービングカッター201が取り外し可能に固定される回転軸203と、歯切り加工後のワーク130を回転可能に支持する支持軸133とを有している。また、図示を省略しているが、シェービング加工装置200は、上記回転軸203を回転させるためのモータを有している。
シェービング加工では、図4に示すように、先ず、シェービングカッター201の回転軸203とワーク130の支持軸133とを所定の公差角度をなす状態で配置する。次に、シェービングカッター201をワーク130の中心軸(上記支持軸133の中心軸と一致している)に向かって押し込み、シェービングカッター201の歯202とワーク130の歯131とを噛み合わせる。そして、上記モータの駆動により、シェービングカッター201を回転させる。ワーク130は、シェービングカッター201と噛み合っているため、シェービングカッター201と連れ回る。ワーク130がシェービングカッター201と連れ回ることで、シェービングカッター201の歯面に設けられた複数のセレーションにより、ワーク130の各歯131のそれぞれの歯面132に存在する微妙な凹凸が削り取られて、上記歯面132が仕上げられる。
尚、車両に搭載される変速機に用いられる各ギヤについては、高静粛性を得るために、歯面132は、歯たけ方向における歯先と歯元との中間部分が、ワーク130の周方向外側に膨出するような曲面を形成するようにシェービング加工される。
ここで、シェービングカッター201は、基本的には、一度の加工でワーク130の歯面132における歯幅方向全体を加工することができるように形成されている。しかしながら、本実施形態に係る手動変速機10における兼用ギヤ80のように、2つのギヤが互いの歯面が連続するように一体に形成されている歯車については、歯幅が一般的なシェービングカッター201が加工可能な幅に対して大きく、一度の加工で兼用ギヤ80の歯面82(図8参照)における歯幅方向全体を加工することができない。そのため、シェービングカッター201が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有する被加工歯車である兼用ギヤ80に対しては、該兼用ギヤ80の歯面82(図8参照)を歯幅方向に複数の部分(本実施形態では2つの部分)に分けて、各部分に対してそれぞれシェービング加工する必要がある。
しかしながら、シェービング加工においては、兼用ギヤ80の歯面82の歯たけ方向における曲面を形成するために、シェービングカッター201と兼用ギヤ80との相対位置(中心軸の交差角度等)やシェービングカッター201の兼用ギヤ80に対する切り込み量の微調整を行うため、上記複数の部分のうちの一部に対するシェービング加工の条件と上記複数の部分の残部に対するシェービング加工の条件とを完全に同じにすることが困難である。そのため、上記一部に対するシェービング加工における切り込み量と上記残部に対するシェービング加工における切り込み量とに差が生じて、例えば、兼用ギヤ80の歯面82において、上記一部と上記残部との歯幅方向における境界部分に他の部分よりも歯厚方向外側に突出した凸状の段差が形成され易い。
歯面82に上記凸状の段差が生じると、上記手動変速機10において、上記兼用ギヤ80と噛み合う2つの相手歯車である1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯幅を、上記凸状の段差と干渉しない程度の大きさにしなければならないため、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯の歯幅を大きくすることができない。これにより、歯車同士の噛み合い幅が狭くなり、静粛性が悪化してしまう。また、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯の歯幅が小さくなることによって、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の強度を十分に確保することができなくなる。
そこで、本実施形態では、シェービング加工を、兼用ギヤ80の歯面82を歯幅方向に2つの部分に分けて行う場合に、ホブ102による歯切り加工において、兼用ギヤ80の歯面82における、2つの部分の一方の部分と他方の部分との境界となる部分を含む所定の領域に、具体的には、兼用ギヤ80の歯面82において、該歯面82の歯幅方向における中央部を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部84(図8参照)を形成するようにしている。
具体的に、図5〜図7を参照しながら上記凹部84を形成する加工方法について説明する。尚、図5ではホブ102を下から上に移動させる場合を示しており、図5における上下方向は歯幅方向と一致している。
ホブ102が歯幅方向の中央部よりも下側に位置しているときには、図5に破線で示すように、所定の歯たけの歯を形成するために、カッター刃102aの兼用ギヤ80に対する切り込み量が所定の切り込み量(図5及び図6のh1)となるように、ホブ102を兼用ギヤ80に押し付けて加工する。このときのカッター刃102aと兼用ギヤ80の歯81との位置を図6に示している。図6に示すように、ホブ102が歯幅方向の中央部よりも下側に位置しているときには、歯たけがh1の歯81が形成される。
ホブ102が、兼用ギヤ80の歯81における歯幅方向の中央部付近に位置したときには、前後送りねじ105(図2参照)を、ホブ102と兼用ギヤ80との前後方向における相対距離が小さくなる方向、すなわち、ホブ102がワーク130に近づく方向に移動するように回転させ、図5に実線で示すように、ホブ102を兼用ギヤ80にさらに押し付ける。ホブ102の兼用ギヤ80に押し付けることによって、図7に示すようにカッター刃102aの兼用ギヤ80の歯81に対する切り込み量が大きくなる(図5及び図7のh2)。これにより、兼用ギヤ80の歯面82において、該歯面82の歯幅方向の中央部を含む所定の領域は、他の領域よりも大きく削られるため、上記歯面82における歯幅方向の中央部を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部84が形成される。尚、凹部84の位置が各歯81によって変わらないように、凹部84を形成するために、ホブ102と兼用ギヤ80との相対距離を小さくしている間は、ホブ102の上下送り(ここでは、上方向への送り)を停止させる。各歯81に凹部84が形成されて、ホブ102と兼用ギヤ80との相対距離をもとに戻した後は、ホブ102を再び上下に(ここでは、上方向に)送る。
そして、ホブ102が歯幅方向の中央部よりも上側に位置したときには、図5に破線で示すように、ホブ102の位置を、ホブ102が歯幅方向の中央部よりも下側に位置しているときと同程度の位置に戻す。このときのカッター刃102aと兼用ギヤ80の歯81との位置は、図6に示す状態になる。
尚、ホブ102が、兼用ギヤ80の歯面82における歯幅方向の中央部付近に位置したか否かは、例えば、歯切り加工装置100にホブ102の位置を検出する位置センサを設けて、該位置センサによって検出してもよいし、作業者が目視で確認するようにしてもよい。また、ホブ102と兼用ギヤ80との相対距離を小さくする時間は、歯切り加工装置100に対して予め加工条件を入力して自動で制御されるようにしてもよいし、作業者が手動で制御するようにしてもよい。
上述のようにして、兼用ギヤ80を歯切り加工することによって、図8に示すように、兼用ギヤ80の歯面82において、該歯面82の歯幅方向における中央部を含む所定の領域に凹部84が形成される。実際の兼用ギヤ80の歯81はねじれているため、図8に示すように、上記凹部84は歯幅方向に対して傾斜した形状になる。歯面82に凹部84が形成されることによって、歯面82は歯幅方向において、上記凹部84を境界にして2つの部分82a,82bに分けられる。尚、図8では1つの歯81のみを示しているが、他の各歯も同様の形状をしている。
そして、シェービング加工では、先ず、上記2つの部分のうち一方の部分82aを含む、兼用ギヤ80の歯面82における歯幅方向の一部を1回目のシェービング加工として加工し、次に、上記2つの部分のうち他方の部分82bを含む、兼用ギヤ80の歯面82における歯幅方向の残部を2回目のシェービング加工として加工する。このとき、上記凹部84にはシェービングカッター201が当たらないため、上記2つの部分82a,82bは、それぞれシェービングカッター201によって切削される一方、上記凹部84が形成されている部分は切削されない。これにより、上記2つの部分82a,82bの、一方の部分82aと他方の部分82bとの境界部分には、歯厚方向外側に突出した凸状の段差が形成されない。また、上記凹部84によって凹状の段差が形成されるが、凹状の段差であれば、兼用ギヤ80と噛み合う相手ギヤである1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯面の一部と、上記凹部84とが、兼用ギヤの周方向から見て、歯幅方向にオーバーラップしたとしても、兼用ギヤ80と1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50との噛み合いに影響を与えない。そのため、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯の歯幅をそれぞれ十分に確保することができる。
これにより、手動変速機10において、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯の歯幅をそれぞれ十分に確保することができ、手動変速機10に求められる高静粛性を得ることができるとともに、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の強度をそれぞれ確保することができる。
また、兼用ギヤ80の歯面82における歯幅方向の中央部を含む所定の領域に、上記凹部84を形成することで、1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の歯の歯幅をそれぞれ確保しやすくなり、手動変速機10に求められる高静粛性や1速用出力ギヤ51及びリバース用ドリブンギヤ50の強度を一層確保することができる。
尚、兼用ギヤ80の歯面82に形成する凹部84の位置は、必ずしも該歯面82における歯幅方向の中央部を含む領域でなくともよく、例えば、リバース用ドリブンギヤ50の歯の歯幅を1速用出力ギヤ51の歯の歯幅よりも大きくする必要があるときには、兼用ギヤ80の歯面82におけるリバース用ドリブンギヤ50が噛み合う領域が、1速用出力ギヤ51が噛み合う領域よりも広くなるように、上記凹部84の位置を歯幅方向にずらしてもよい。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
例えば、上述の実施形態では、歯切り加工の際に、兼用ギヤ80の歯面に、凹部84を形成するようにしていたが、これに限らず、歯切り加工をした後、シェービング加工の前に、上記凹部84を形成するための、歯切り加工工程とは別の工程を実行するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、兼用ギヤ80の歯面82に凹部84を形成する際に、前後送りねじ105によって、ホブ102をコラム104ごと兼用ギヤ80(ワーク130)に近づくように移動させていたが、これに限らず、例えば、コラム104とホブサドル106とを前後方向に延びる送りねじで結合させ、ホブサドル106のみを兼用ギヤ80(ワーク130)に近づくように移動させることでホブ102を兼用ギヤ80(ワーク130)に近づくように移動させてもよい。また、ホブ102では無く、兼用ギヤ80(ワーク130)がホブ102に近づくように移動させるように構成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、仕上げ加工において、兼用ギヤ80の歯面82を歯幅方向に2つの部分に分けて行っていたが、これに限らず、3つ以上の部分に分けて行うようにしてもよい。この場合、歯切り加工時には、兼用ギヤ80の歯面82において、シェービング加工される各部分のうち互いに隣り合う部分の境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部84をそれぞれ形成する。
また、上述の実施形態では、手動変速機10に用いられるギヤを対象としていたが、これに限らず、例えば、手動変速機と同じ変速機構を有する自動変速機(いわゆる、オートメーテッドマニュアルトランスミッション)に用いられるギヤ、或いは、車両の変速機以外に用いられるギヤであっても、シェービングカッター201が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有するギヤが用いられるものであれば、該ギヤを対象とすることができる。
さらに、上述の実施形態では、仕上げ加工としてシェービング加工を行っているが、これに限らず、仕上げ加工として研磨加工やホーニング加工を行ってもよい。
以上説明したように、ここに開示された技術は、歯車の加工方法及び加工装置おいて有用である。
10 手動変速機(変速機)
11 入力軸
21 カウンタ軸
50 リバースドリブンギヤ(後退速用の歯車)
51 1速用出力ギヤ(1速用の歯車)
80 兼用ギヤ(仕上げ加工用歯車が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有する被加工歯車)
81 歯
82 歯面
84 凹部
100 歯切り加工装置
101 ホブ軸
102 ホブ
102a カッター刃
104 コラム(移動装置)
105 前後送りねじ(移動装置)
200 シェービング加工装置(仕上げ加工装置)
201 シェービングカッター(仕上げ加工用歯車)
300 歯車加工装置(歯車の加工装置)
11 入力軸
21 カウンタ軸
50 リバースドリブンギヤ(後退速用の歯車)
51 1速用出力ギヤ(1速用の歯車)
80 兼用ギヤ(仕上げ加工用歯車が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有する被加工歯車)
81 歯
82 歯面
84 凹部
100 歯切り加工装置
101 ホブ軸
102 ホブ
102a カッター刃
104 コラム(移動装置)
105 前後送りねじ(移動装置)
200 シェービング加工装置(仕上げ加工装置)
201 シェービングカッター(仕上げ加工用歯車)
300 歯車加工装置(歯車の加工装置)
Claims (8)
- 歯車の加工方法であって、
被加工歯車の歯面を歯幅方向に複数の部分に分けて、該分けられた各部分を、仕上げ加工用歯車によって、それぞれ仕上げ加工する仕上げ加工工程を含み、
上記被加工歯車は、上記仕上げ加工用歯車が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有しており、
上記仕上げ加工工程の前に、上記被加工歯車の上記歯面において、上記仕上げ加工工程で仕上げられる上記複数の部分のうち互いに歯幅方向に隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部を予め形成することを特徴とする歯車の加工方法。 - 請求項1に記載の歯車の加工方法において、
上記仕上げ加工工程は、上記被加工歯車の上記歯面を、歯幅方向に2つの部分に分けて、該2つの部分を、上記仕上げ加工用歯車によって、それぞれ仕上げ加工する工程であって、
上記仕上げ加工工程の前に、上記被加工歯車の上記歯面において、上記2つの部分の境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部を予め形成することを特徴とする歯車の加工方法。 - 請求項2に記載の歯車の加工方法において、
上記2つの部分は、上記被加工歯車の上記歯面の歯幅方向における中央部を境界として分けられており、
上記仕上げ加工工程の前に、上記被加工歯車の上記歯面において、上記中央部を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部を予め形成することを特徴とする歯車の加工方法。 - 請求項1に記載の歯車の加工方法において、
上記仕上げ加工工程の前に、ホブ軸回りに回転するホブによって、ワークに歯を形成して、上記被加工歯車の歯を形成する歯切り加工工程をさらに含み、
上記歯切り加工工程において、上記凹部を形成することを特徴とする歯車の加工方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の歯車の加工方法において、
上記被加工歯車は、2つの相手歯車とそれぞれ噛み合う歯車であることを特徴とする歯車の加工方法。 - 請求項5に記載の歯車の加工方法において、
上記被加工歯車は、車両の変速機に搭載される歯車であり、
上記2つの相手歯車のうちの一方は、1速用の歯車であり、
上記2つの相手歯車のうちの他方は、後退速用の歯車であることを特徴とする歯車の加工方法。 - 請求項6に記載の歯車の加工方法において、
上記変速機は、エンジンから入力軸に入力された駆動トルクを、変速段用歯車列を介してカウンタ軸に入力し、該カウンタ軸から減速用歯車列を介して出力軸に伝達するアウトプットリダクションタイプの変速機であり、
上記後退速用の歯車列は、上記1速用の歯車列を含む全ての前進速用の歯車列よりも上記エンジン側に配設されることを特徴とする歯車の加工方法。 - 歯車の加工装置であって、
表面に複数のカッター刃を有し、所定の軸回りに回転しながらワークに対して歯切り加工を行って、被加工歯車の歯を形成するホブと、上記ホブと上記ワークとの相対距離を増減させる移動装置とを有する歯切り加工装置と、
上記歯切り加工装置によって形成された被加工歯車の歯面を、歯幅方向に複数の部分に分けて、該分けられた各部分をそれぞれ仕上げ加工する仕上げ加工装置とを備え、
上記被加工歯車は、仕上げ加工用歯車が加工可能な幅よりも大きい歯幅の歯を有する歯車であって、
上記移動装置は、上記被加工歯車の歯面において、上記複数の部分のうち歯幅方向に互いに隣り合う部分同士の、境界となる部分を含む所定の領域に、他の部分よりも歯厚方向内側に凹んだ凹部が形成されるように、上記ホブによる歯切り加工時に、上記ホブと上記ワークとの相対距離を減少させるように構成されている特徴とする歯車の加工装置。
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