JP2019018334A - 歯車加工装置及び歯車加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ねじれ角が異なる歯面を有する歯車の加工時間の短縮化を図れる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供する。【解決手段】歯車加工装置1は、加工物115の回転軸線Lwに対し交差角の変更が可能な回転軸線Lを有する加工用工具42を用い、加工用工具42を加工物115と同期回転させながら加工物115の回転軸線Lw方向に相対的に送り操作して歯車を切削加工する制御装置100を備える。歯車の歯115aの側面115A,115Bは、互いのねじれ角が異なる少なくとも二つの歯面115a,121,131(115b,122,132)を有する。そして、制御装置100は、ねじれ角に基づいて交差角を変更することで、少なくとも二つの歯面115a,121,131(115b,122,132)をそれぞれ切削加工する。【選択図】図7

Description

本発明は、歯車加工装置及び歯車加工方法に関する。
車両に用いられるトランスミッションには、円滑な変速操作を行うためにシンクロメッシュ機構が設けられる。図21に示すように、キー式のシンクロメッシュ機構110は、メーンシャフト111、メーンドライブシャフト112、クラッチハブ113、キー114、スリーブ115、メーンドライブギヤ116、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118等を備える。
メーンシャフト111とメーンドライブシャフト112は、同軸配置される。メーンシャフト111には、クラッチハブ113がスプライン嵌合され、メーンシャフト111とクラッチハブ113は共に回転する。クラッチハブ113の外周の3か所には、キー114が図略のスプリングで支持される。スリーブ115の内周には、内歯(スプライン)115aが形成され、スリーブ115はキー114とともにクラッチハブ113の外周に形成される図略のスプラインに沿って回転軸線LL方向に摺動する。
メーンドライブシャフト112には、メーンドライブギヤ116が嵌合され、メーンドライブギヤ116のスリーブ115側には、テーパコーン117bが突設されたクラッチギヤ117が一体形成される。スリーブ115とクラッチギヤ117の間には、シンクロナイザーリング118が配置される。クラッチギヤ117の外歯117a及びシンクロナイザーリング118の外歯118aは、スリーブ115の内歯115aと噛み合わせ可能に形成される。シンクロナイザーリング118の内周は、テーパコーン117bの外周と摩擦係合可能なテーパ状に形成される。
次に、シンクロメッシュ機構110の動作を説明する。図22Aに示すように、図略のシフトレバーの操作により、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向に移動する。キー114は、シンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向に押して、シンクロナイザーリング118の内周をテーパコーン117bの外周に押し付ける。これにより、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は、同期回転を開始する。
そして、図22Bに示すように、キー114は、スリーブ115に押し下げられてシンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向にさらに押し付けるので、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との密着度は増し、強い摩擦力が発生してクラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は同期回転する。クラッチギヤ117の回転数とスリーブ115の回転数が完全に同期すると、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との摩擦力が消滅する。
そして、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動すると、キー114はシンクロナイザーリング118の溝118bに嵌って止まるが、スリーブ115はキー114の凸部114aを越えて移動し、スリーブ115の内歯115aがシンクロナイザーリング118の外歯118aと噛み合う。そして、図22Cに示すように、スリーブ115は図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動し、スリーブ115の内歯115aがクラッチギヤ117の外歯117aと噛み合う。以上により変速が完了する。
以上のようなシンクロメッシュ機構110においては、走行中におけるクラッチギヤ117の外歯117aとスリーブ115の内歯115aとのギヤ抜け防止のため、図23及び図24に示すように、スリーブ115の内歯115aには、テーパ状のギヤ抜け防止部120が設けられ、クラッチギヤ117の外歯117aには、ギヤ抜け防止部120とテーパ嵌合するテーパ状の図略のギヤ抜け防止部が設けられる。なお、以下の説明では、スリーブ115の内歯115aの図示左側の側面115Aを左側面115A(本発明の「一方側の側面」に相当)といい、スリーブ115の内歯115aの図示右側の側面115Bを右側面115B(本発明の「他方側の側面」に相当)という。
そして、スリーブ115の内歯115aの左側面115Aは、左歯面115b(本発明の「第一歯面」に相当)と、この左歯面115bとねじれ角が異なる歯面121(以下、左テーパ歯面121という、本発明の「第二歯面」に相当)及び歯面131(以下、左チャンファ(面取り)歯面131という、本発明の「第三歯面」に相当)を有する。左テーパ歯面121は、内歯115aの端面側にて左チャンファ歯面131と連なるように形成される。また、スリーブ115の内歯115aの右側面115Bは、右歯面115c(本発明の「第四歯面」に相当)と、この右歯面115cとねじれ角が異なる歯面122(以下、右テーパ歯面122という、本発明の「第五歯面」に相当)及び歯面132(以下、右チャンファ(面取り)歯面132という、本発明の「第六歯面」に相当)を有する。右テーパ歯面122は、内歯115aの端面側にて右チャンファ歯面132と連なるように形成される。
本例では、左歯面115bのねじれ角は0度、左テーパ歯面121のねじれ角はθf度、左チャンファ歯面131のねじれ角はθL度であり、右歯面115cのねじれ角は0度、右テーパ歯面122のねじれ角はθr度、右チャンファ歯面132のねじれ角はθR度である。そして、左テーパ歯面121、この左テーパ歯面121と左歯面115bを繋ぐ歯面121a(以下、左サブ歯面121aという)及び左チャンファ歯面131、並びに右テーパ歯面122、この右テーパ歯面122と右歯面115cを繋ぐ歯面122a(以下、右サブ歯面122aという)及び右チャンファ歯面132が、ギヤ抜け防止部120を構成する。なお、ギヤ抜け防止は、左テーパ歯面121とクラッチギヤ117のギヤ抜け防止部とがテーパ嵌合することにより達成される。また、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132は、クラッチギヤ117のギヤ抜け防止部との噛み合わせをスムーズに行うためのものである。
このように、スリーブ115の内歯115aの構造は複雑であり、また、スリーブ115は大量生産が必要な部品であるため、一般的に、スリーブ115の内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cは、ブローチ加工やギヤシェーパ加工等により形成され、ギヤ抜け防止部120の左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122は、ローリング加工(特許文献1参照)により形成され、ギヤ抜け防止部120の左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132は、エンドミル加工(特許文献2参照)やパンチ加工(特許文献3参照)により形成される。
実用新案登録第2547999号公報 特開2004−76837号公報 特公平3−55215号公報
上述のように、ギヤ抜け防止部120の加工は、塑性加工であるローリング加工、エンドミル加工、パンチ加工と多岐にわたり、さらに加工精度を高めるには、発生したバリを除去する工程が必要であるため、加工時間が長くなる傾向にある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ねじれ角が異なる歯面を有する歯車の加工時間の短縮化を図れる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供することを目的とする。
本発明の歯車加工装置は、加工物の回転軸線に対し交差角の変更が可能な回転軸線を有する加工用工具を用い、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して歯車を切削加工する制御装置を備える歯車加工装置であって、前記歯車の歯の側面は、互いのねじれ角が異なる少なくとも二つの歯面を有し、前記制御装置は、前記ねじれ角に基づいて前記交差角を変更することで、前記少なくとも二つの歯面をそれぞれ切削加工する。
本発明の歯車加工装置では、ねじれ角が異なる歯面を切削加工のみで形成しているので、従来よりも加工時間を大幅に短縮できる。
本発明の歯車加工方法は、加工物の回転軸線に対し交差角の変更が可能な回転軸線を有する加工用工具を用い、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して歯車を切削加工する歯車加工方法であって、前記歯車の歯の一方側の側面は、第一歯面と、前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面と、前記第一歯面及び前記第二歯面とねじれ角が異なり且つ前記第二歯面よりも前記歯車の歯の端面側にて前記第二歯面と連なるように形成される第三歯面とを有し、前記歯車の歯の他方側の側面は、第四歯面と、前記第四歯面とねじれ角が異なる第五歯面と、前記第四歯面及び前記第五歯面とねじれ角が異なり且つ前記第五歯面よりも前記歯車の歯の端面側にて前記第五歯面と連なるように形成される第六歯面とを有する。
そして、前記歯車加工方法は、最初に前記交差角を第一交差角に設定して前記第一歯面及び前記第四歯面を少なくとも荒加工する工程と、次に前記交差角を第二交差角に変更して前記第三歯面を加工するとともに前記交差角を第三交差角に変更して前記第六歯面を加工する工程と、次に前記交差角を第四交差角に変更して前記第二歯面を加工するとともに前記交差角を第五交差角に変更して前記第五歯面を加工する工程と、最後に前記交差角を第一交差角に変更して前記第一歯面及び前記第四歯面を仕上げ加工する工程と、を備える。
本発明の歯車加工方法では、ねじれ角が異なる歯面を順に切削加工して形成しているので、各切削加工で発生するバリを順に除去でき、最後に発生するバリは仕上げ切削加工で除去できる。よって、バリ取りの工程を別に設ける必要がなく、従来よりも加工時間を大幅に短縮できる。
本発明の実施の形態に係る歯車加工装置の全体構成を示す図である。 図1の制御装置によるテーパ歯面加工用工具の工具設計処理を説明するためのフローチャートである。 図1の制御装置によるチャンファ歯面加工用工具の工具設計処理を説明するためのフローチャートである。 図1の制御装置による工具状態設定処理を説明するためのフローチャートである。 図1の制御装置による内歯歯面及びチャンファ歯面の加工制御処理を説明するためのフローチャートである。 図1の制御装置によるテーパ歯面及び内歯歯面の加工制御処理を説明するための図5の続きのフローチャートである。 内歯歯面、テーパ歯面及びチャンファ歯面のねじれ角、各加工用工具のねじれ角及び各歯面を各加工用工具で加工するときの交差角を示す図である。 加工用工具の概略構成を工具端面側から回転軸線方向に見た図である。 図8Aの加工用工具の概略構成を径方向に見た一部断面図である。 図8Bの加工用工具の工具刃の拡大図である。 左テーパ歯面を加工する際のテーパ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。 左テーパ歯面を加工する際のテーパ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。 右テーパ歯面を加工する際のテーパ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。 加工用工具の刃先幅及び刃厚を求める際に使用する加工用工具の各部位を示す図である。 テーパ歯面を加工するための加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。 チャンファ歯面を加工するための加工用工具の工具刃の概略構成を軸線方向に見た図である。 チャンファ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との及び寸法関係を示す図である。 チャンファ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。 左チャンファ歯面加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。 右チャンファ歯面加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。 加工用工具の回転軸線の方向の工具位置を変更するときの加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。 軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第一の図である。 軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第二の図である。 軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第三の図である。 加工物の回転軸線に対する加工用工具の回転軸線の傾斜を表す交差角を変更するときの加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。 交差角を変更したときの加工状態を示す第一の図である。 交差角を変更したときの加工状態を示す第二の図である。 交差角を変更したときの加工状態を示す第三の図である。 加工用工具の回転軸線方向位置及び交差角を変更するときの加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。 軸線方向位置及び交差角を変更したときの加工状態を示す第一の図である。 軸線方向位置及び交差角を変更したときの加工状態を示す第二の図である。 内歯歯面を荒・中仕上げ加工したときのバリの発生状態を径方向に見た図である。 チャンファ歯面を加工したときのバリの発生状態を径方向に見た図である。 テーパ歯面を加工したときのバリの発生状態を径方向に見た図である。 内歯歯面を仕上げ加工したときのバリの除去状態を径方向に見た図である。 左テーパ歯面を加工する前の加工用工具の位置を径方向に見た図である。 左テーパ歯面を加工するときの加工用工具の位置を径方向に見た図である。 左テーパ歯面を加工した後の加工用工具の位置を径方向に見た図である。 内歯歯面、テーパ歯面及びチャンファ歯面のねじれ角、加工用工具のねじれ角及び各歯面を加工用工具で加工するときの交差角を示す図である。 加工物であるスリーブを有するシンクロメッシュ機構を示す断面図である。 図21のシンクロメッシュ機構の作動開始前の状態を示す断面図である。 図21のシンクロメッシュ機構の作動中の状態を示す断面図である。 図21のシンクロメッシュ機構の作動完了後の状態を示す断面図である。 加工物であるスリーブのギヤ抜け防止部を示す斜視図である。 図23のスリーブのギヤ抜け防止部を径方向から見た図である。
(1.歯車加工装置の機械構成)
本実施形態では、歯車加工装置の一例として、5軸マシニングセンタを例に挙げ、図1を参照して説明する。つまり、当該歯車加工装置1は、駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)及び2つの回転軸(X軸線に平行なA軸、A軸線に直角なC軸)を有する装置である。
ここで、背景技術で述べたように、ギヤ抜け防止部120の加工は多岐にわたるため、加工時間が長くなる傾向にある。また、ギヤ抜け防止部120は、塑性加工であるローリング加工やパンチ加工で形成されるため、バリが発生して加工精度が低くなる傾向にある。そこで、上述の歯車加工装置1では、後述する加工用工具42による切削加工で、スリーブ115の内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cと、ギヤ抜け防止部120の左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132と、ギヤ抜け防止部120の左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を形成する。
すなわち、スリーブ115と加工用工具42とを同期回転させ、加工用工具42を加工物Wの回転軸線方向に送ることにより、先ずスリーブ115の内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを荒切削加工及び中仕上げ切削加工し、次にギヤ抜け防止部120の左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を切削加工する。次にギヤ抜け防止部120の左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を切削加工し、最後にスリーブ115の内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを仕上げ切削加工する。これにより、切削加工のみで全ての歯面を加工でき、さらに各切削加工で発生するバリを順に除去でき、特に最後に発生するバリは仕上げ切削加工で除去できるので、従来よりも加工時間を大幅に短縮できる。
図1に示すように、歯車加工装置1は、ベッド10と、コラム20と、サドル30と、回転主軸40と、テーブル50と、チルトテーブル60と、ターンテーブル70と、加工物保持具80と、制御装置100等とから構成される。なお、図示省略するが、ベッド10と並んで既知の自動工具交換装置が設けられる。
ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。このベッド10の上面には、コラム20をX軸線に平行な方向に駆動するための、図略のX軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、X軸ボールねじを回転駆動するX軸モータ11cが配置される。
コラム20のY軸線に平行な側面(摺動面)20aには、サドル30をY軸線に平行な方向に駆動するための、図略のY軸ボールねじが配置される。そして、コラム20には、Y軸ボールねじを回転駆動するY軸モータ23cが配置される。
回転主軸40は、加工用工具42を支持し、サドル30内に回転可能に支持され、サドル30内に収容された主軸モータ41により回転される。加工用工具42は、図略の工具ホルダに保持されて回転主軸40の先端に固定され、回転主軸40の回転に伴って回転する。また、加工用工具42は、コラム20及びサドル30の移動に伴ってベッド10に対してX軸線に平行な方向及びY軸線に平行な方向に移動する。なお、加工用工具42の詳細は後述する。
さらに、ベッド10の上面には、テーブル50をZ軸線に平行な方向に駆動するための、図略のZ軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、Z軸ボールねじを回転駆動するZ軸モータ12cが配置される。
テーブル50の上面には、チルトテーブル60を支持するチルトテーブル支持部63が設けられる。そして、チルトテーブル支持部63には、チルトテーブル60がA軸線に平行な軸線回りで回転(揺動)可能に設けられる。チルトテーブル60は、テーブル50内に収容されたA軸モータ61により回転(揺動)される。
チルトテーブル60には、ターンテーブル70がC軸線に平行な軸線回りで回転可能に設けられる。ターンテーブル70には、加工物としてスリーブ115を保持する加工物保持具80が装着される。ターンテーブル70は、スリーブ115及び加工物保持具80とともにC軸モータ62により回転される。
制御装置100は、加工制御部101と、工具設計部102と、工具状態演算部103と、記憶部104等とを備える。ここで、加工制御部101、工具設計部102、工具状態演算部103及び記憶部104は、それぞれ個別のハードウエアにより構成することもできるし、ソフトウエアによりそれぞれ実現する構成とすることもできる。
加工制御部101は、主軸モータ41を制御して、加工用工具42を回転させ、X軸モータ11c、Z軸モータ12c、Y軸モータ23c、A軸モータ61及びC軸モータ62を制御して、スリーブ115と加工用工具42とをX軸線に平行な方向、Z軸線に平行な方向、Y軸線に平行な方向、A軸線に平行な軸線回り及びC軸線に平行な軸線回りに相対移動することにより、スリーブ115の切削加工を行う。
工具設計部102は、詳細は後述するが、加工用工具42の工具刃42aのねじれ角β(図8C参照)等を求めて加工用工具42を設計する。
工具状態演算部103は、詳細は後述するが、スリーブ115に対する加工用工具42の相対的な位置及び姿勢である工具状態を演算する。
記憶部104には、加工用工具42に関する工具データ、すなわち刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αa、及びスリーブ115の切削加工を行うための加工データは予め記憶される。また、記憶部104は、加工用工具42を設計する際に入力される工具刃42aの刃数Z等を記憶し、また、工具設計部102で設計された加工用工具42の形状データや工具状態演算部103で演算された工具状態を記憶する。
(2.加工用工具)
スリーブ115のギヤ抜け防止部120の切削加工は、3つの加工用工具42において歯車の歯面のねじれ角と工具刃のねじれ角との差で表される交差角をそれぞれ変更することで対応可能となることを本発明者は見い出した。3つの加工用工具42として具体的には、図7に示すように、スリーブ115の内歯115aの左歯面115b及び右歯面115c、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を切削加工するための加工用工具(以下、第一加工用工具42Fという)と、左チャンファ歯面131を切削加工するための加工用工具(以下、第二加工用工具42Lという)と、右チャンファ歯面132を切削加工するための加工用工具(以下、第三加工用工具42Rという)が用いられる。
ここで、本例のスリーブ115のギヤ抜け防止部120の内歯115aの左歯面115b及び右歯面115c、左テーパ歯面121、右テーパ歯面122、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132の各ねじれ角は、0度、θf度、θr度、θL度、θR度であり、第一加工用工具42F、第二加工用工具42L及び第三加工用工具42Rの各ねじれ角は、β度、βL度、βR度である。
そして、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを第一加工用工具42Fで切削加工する際の交差角(第一交差角)は、φ、左テーパ歯面121を第一加工用工具42Fで切削加工する際の交差角(第四交差角)は、φf、右テーパ歯面122を第一加工用工具42Fで切削加工する際の交差角(第五交差角)は、φr、左チャンファ歯面131を第二加工用工具42Lで切削加工する際の交差角(第二交差角)は、φL、右チャンファ歯面132を第一加工用工具42Fで切削加工する際の交差角(第三交差角)は、φRである。
このように、3つの加工用工具42の工具刃のねじれ角は、歯車の歯面のねじれ角及び歯車加工装置1で設定される交差角に基づいて決定できるので、3つの加工用工具42を簡易に設計できる。また、ギヤ抜け防止部120は、切削加工により形成されるので、加工精度を向上でき、ギヤ抜けを確実に防止できる。
先ず、第一加工用工具42Fを設計する場合について説明する。第一加工用工具42Fは、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115c、左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122の各形状に基づいて設計される。図8Aに示すように、第一加工用工具42Fを工具端面42A側から工具軸線(回転軸線)L方向に見たときの工具刃42afの形状は、本例ではインボリュート曲線形状と同一形状に形成される。
そして、図8Bに示すように、第一加工用工具42Fの工具刃42afには、工具端面42A側に工具軸線Lと直角な平面に対し、角度γ傾斜したすくい角が設けられ、工具周面42B側に工具軸線Lと平行な直線に対し、角度δ傾斜した前逃げ角が設けられる。そして、図8Cに示すように、工具刃42afの刃すじ42bfは、工具軸線Lと平行な直線に対し、角度β傾斜したねじれ角を有する。
上述のように、スリーブ115のギヤ抜け防止部120の切削加工は、先ず内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを形成し、次に左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を既に形成された内歯115aに対し形成する。本例では、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cのねじれ角は0度であるため、第一加工用工具42Fの工具刃42afは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉することはない。
一方、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122は、ねじれ角を有する。このため、第一加工用工具42Fの工具刃42afは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。なお、以下では、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を例に説明するが、右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122についても同様である。
具体的には、図9Aに示すように、工具刃42afが、左テーパ歯面121の歯すじ長ff分だけ切削したとき、工具刃42aの刃先幅Safが、左サブ歯面121aの歯すじ長gfより大きく、且つ工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Taf(図10参照)が、左テーパ歯面121とこの左テーパ歯面121に対向する右テーパ歯面122の開放端部との距離Hf(以下、歯面間隔Hfという)以下になるように工具刃42afを設計することが必要となる。このとき、工具刃42afの耐久性、例えば欠損等も考慮して工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを設定する。
この工具刃42afの設計には、図9Bに示すように、先ず、左テーパ歯面121のねじれ角θfと工具刃42afのねじれ角βとの差で表される交差角φf(以下、第一加工用工具42Fの交差角φfという)を設定する必要がある。左テーパ歯面121のねじれ角θfは、既知の値であり、第一加工用工具42Fの交差角φfは、歯車加工装置1によって設定可能範囲が設定されているので、作業者は任意の交差角φfを暫定的に設定する。
次に、既知の左テーパ歯面121のねじれ角θf及び設定した第一加工用工具42Fの交差角φfから工具刃42afのねじれ角βを求め、工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを求める。以上の処理を繰り返すことで、左テーパ歯面121を切削加工するための最適の工具刃42afを有する第一加工用工具42Fを設計する。以下に、工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを求めるための演算例を説明する。
図10に示すように、工具刃42afの刃先幅Safは、刃先円直径da及び刃先円刃厚の半角Ψafで表される(式(1)参照)。
Figure 2019018334
刃先円直径daは、基準円直径d及び刃末のたけhaで表され(式(2)参照)、さらに、基準円直径dは、工具刃42afの刃数Z、工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角β及びモジュールmで表され(式(3)参照)、刃末のたけhaは、転位係数λ及びモジュールmで表される(式(4)参照)。
Figure 2019018334
Figure 2019018334
Figure 2019018334
刃先円刃厚の半角Ψafは、工具刃42afの刃数Z、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaで表される(式(5)参照)。なお、正面圧力角αtは、圧力角α及び工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βで表すことができ(式(6)参照)、刃先圧力角αaは、正面圧力角αt、刃先円直径da及び基準円直径dで表すことができる(式(7)参照)。
Figure 2019018334
Figure 2019018334
Figure 2019018334
また、工具刃42afの刃厚Tafは、基準円直径d及び刃厚Tafの半角Ψfで表される(式(8)参照)。
Figure 2019018334
基準円直径dは、工具刃42afの刃数Z、工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角β及びモジュールmで表される(式(9)参照)。
Figure 2019018334
刃厚Tafの半角Ψfは、工具刃42afの刃数Z、転位係数λ及び圧力角αで表される(式(10)参照)。
Figure 2019018334
以上の左テーパ歯面121についての処理は、図9Cに示すように、右テーパ歯面122についても同様に行う。なお、図9Cにおいて、右テーパ歯面122の歯すじ長はfrで示し、右サブ歯面122aの歯すじ長はgrで示し、右テーパ歯面122とこの右テーパ歯面122に対向する左テーパ歯面121の開放端部との距離はHr(以下、歯面間隔Hrという)で示す。
以上により、図11に示すように、第一加工用工具42Fは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42afの刃すじ42bfは、左下方から右上方に傾斜するねじれ角βを有するように設計される。以上の第一加工用工具42Fの設計は、制御装置100の工具設計部102において行われるものであり、その処理の詳細は後述する。
次に、第三加工用工具42Rを設計する場合について説明する。第三加工用工具42Rは、右チャンファ歯面132の形状に基づいて設計される。なお、第二加工用工具42Lは、第三加工用工具42Rと同様に左チャンファ歯面131の形状に基づいて設計されるものであり、その設計についての詳細な説明は省略する。
第三加工用工具42Rは、上述の第一加工用工具42Fの形状(図8A、図8B及び図8C参照)と比較して、第一加工用工具42Fの工具刃42afの形状(インボリュート曲線形状)以外は略同一形状に形成される。すなわち、図12に示すように、第三加工用工具42Rの工具刃42aRの形状は、右チャンファ歯面132の圧力角が略0度であるため、本例では略矩形状に形成される。
スリーブ115の右チャンファ歯面132は、既に形成されたスリーブ115の内歯115aに対し、第三加工用工具42Rで切削加工を行うことで形成される。このため、第三加工用工具42Rの工具刃42aRは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、右チャンファ歯面132を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。
具体的には、図13Aに示すように、工具刃42aRが、右チャンファ歯面132の歯すじ長rr分だけ切削したとき、工具刃42aRの刃先幅SaRが、右チャンファ歯面132とこの右チャンファ歯面132に対向する内歯115aの左歯面115bとの距離JR(以下、歯面間隔JRという)以下になるように工具刃42aRを設計することが必要となる。このとき、工具刃42aRの耐久性、例えば欠損等も考慮して工具刃42aRの刃先幅SaRを設定する。
この工具刃42aRの設計には、図13Bに示すように、先ず、右チャンファ歯面132のねじれ角θRと工具刃42aRのねじれ角βRとの差で表される交差角φR(以下、第三加工用工具42Rの交差角φRという)を設定する必要がある。右チャンファ歯面132のねじれ角θRは、既知の値であり、第三加工用工具42Rの交差角φRは、歯車加工装置1によって設定可能範囲が設定されているので、作業者は任意の交差角φRを暫定的に設定する。
次に、既知の右チャンファ歯面132のねじれ角θR及び設定した第三加工用工具42Rの交差角φRから工具刃42aRのねじれ角βRを求め、工具刃42aRの刃先幅SaRを求める。以上の処理を繰り返すことで、右チャンファ歯面132を切削加工するための最適の工具刃42aRを有する第三加工用工具42Rを設計する。
以上により、図14Aに示すように、第三加工用工具42Rは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42aRの刃すじ42bRは、左下方から右上方に傾斜するねじれ角βRを有するように設計される。また、図14Bに示すように、第二加工用工具42Lは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42aLの刃すじ42bLは、右下方から左上方に傾斜するねじれ角βLを有するように設計される。
(3.歯車加工装置における加工用工具の工具状態)
次に、設計した第一加工用工具42Fを歯車加工装置1に適用し、第一加工用工具42Fの工具状態として第一加工用工具42Fの工具軸線Lの方向の工具位置(以下、第一加工用工具42Fの軸線方向位置という)や第一加工用工具42Fの交差角φfを変化させて、左テーパ歯面121を切削加工したときの加工精度について検討する。
なお、第一加工用工具42Fで内歯115aの左歯面115b、右歯面115c及び右テーパ歯面122を切削加工したときの加工精度、第二加工用工具42Lで左チャンファ歯面131を切削加工したときの加工精度及び第三加工用工具42Rで右チャンファ歯面132を切削加工したときの加工精度も同様であるので、詳細な説明は省略する。
例えば、図15Aに示すように、第一加工用工具42Fの軸線方向位置、すなわち第一加工用工具42Fの工具端面42Aと工具軸線Lとの交点Pが、スリーブ115の回転軸線Lw上に位置する場合(オフセット量0)、第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離+kだけオフセットした場合(オフセット量+k)、及び第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離−kだけオフセットした場合(オフセット量−k)で左テーパ歯面121を加工した。なお、第一加工用工具42Fの交差角φfは全て一定とした。
その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図15B、図15C、図15Dに示すようになった。なお、図中、太い実線Eは、設計上の左テーパ歯面121のインボリュート曲線を直線に変換して表したもので、ドット部分Dは、切削除去部分を表す。
図15Bに示すように、オフセット量0では、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図15Cに示すように、オフセット量+kでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示右方向(点線矢印方向)、すなわち時計回りのピッチ円方向にずれた形状で加工され、図15Dに示すように、オフセット量−kでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示左方向(点線矢印方向)、すなわち反時計回りのピッチ円方向にずれた形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、加工用工具42の工具軸線L方向位置を変更することにより、ピッチ円方向にずらすことができる。
また、例えば、図16Aに示すように、第一加工用工具42Fの交差角が、角度φf、φff、φfffの各場合で左テーパ歯面121を加工した。なお、各角度の大小関係は、φf>φff>φfffである。その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図16B、図16C、図16Dに示すようになった。
図16Bに示すように、交差角φfでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図16Cに示すように、交差角φffでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に拡がった形状で加工され、図16Dに示すように、交差角φfffでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)にさらに狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)にさらに拡がった形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、第一加工用工具42Fの交差角を変更することにより、歯先のピッチ円方向の幅及び歯元のピッチ円方向の幅を変更できる。
また、例えば、図17Aに示すように、第一加工用工具42Fの軸線方向位置、すなわち第一加工用工具42Fの工具端面42Aと工具軸線Lとの交点Pが、スリーブ115の回転軸線Lw上に位置し(オフセット量0)、且つ第一加工用工具42Fの交差角が、φfの場合、及び第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離+kだけオフセットし(オフセット量+k)、且つ交差角φffの場合で左テーパ歯面121を加工した。その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図17B、図17Cに示すようになった。
図17Bに示すように、オフセット量0且つ交差角φfでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図17Cに示すように、オフセット量+k且つ交差角φffでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示右方向(点線矢印方向)、すなわち時計回りのピッチ円方向にずれ、且つ歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に拡がった形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、加工用工具42の軸線方向位置、及び第一加工用工具42Fの交差角を変更することにより、ピッチ円方向にずらし、歯先の周方向の幅及び歯元のピッチ円方向の幅を変更できる。
以上により、第一加工用工具42Fは、歯車加工装置1においてオフセット量0且つ交差角φfでセットされることで、左テーパ歯面121を高精度に切削加工できる。第一加工用工具42Fの工具状態の設定は、制御装置100の工具状態演算部103において行われるものであり、その処理の詳細は後述する。
(4.制御装置の工具設計部による処理)
次に、制御装置100の工具設計部102による第一加工用工具42Fの設計処理について、図2、図9A、図9B及び図9Cを参照して説明する。なお、ギヤ抜け防止部120に関するデータ、すなわち左テーパ歯面121のねじれ角θf及び歯すじ長ff、左サブ歯面121aの歯すじ長gf及び歯面間隔Hfと、右テーパ歯面122のねじれ角θr及び歯すじ長fr、右サブ歯面122aの歯すじ長gr及び歯面間隔Hrは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、第一加工用工具42Fに関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは記憶部104に予め記憶されているものとする。
制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から左テーパ歯面121のねじれ角θfを読み込む(図2のステップS1)。そして、工具設計部102は、作業者により入力される左テーパ歯面121を切削加工するときの第一加工用工具42Fの交差角φfと、読み込んだ左テーパ歯面121のねじれ角θfとの差を、第一加工用工具42Fの工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βとして求める(図2のステップS2)。
工具設計部102は、記憶部104から第一加工用工具42Fの刃数Z等を読み込み、読み込んだ第一加工用工具42Fの刃数Z等及び求めた工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βに基づいて、工具刃42afの刃先幅Saf及び刃厚Tafを求める。工具刃42afの刃先幅Safは、刃厚Tafに基づいたインボリュート曲線により求められる。歯部の良好な噛み合いを保てるなら、非インボリュートや直線状の歯面として刃先幅Safを求める(図2のステップS3)。
工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃先幅Safが左サブ歯面121aの歯すじ長gf以下のときは、ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。一方、求めた工具刃42afの刃先幅Safが左サブ歯面121aの歯すじ長gfより大きくなったら、記憶部104から歯面間隔Hfを読み出し、求めた工具刃42afの刃厚Tafが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hfより小さいか否かを判断する(図2のステップS4)。
工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃厚Tafが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hf以上のときは、ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。一方、工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃厚Tafが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hfより小さくなったら、記憶部104から右テーパ歯面122のねじれ角θrを読み込む(図2のステップS5)。そして、工具設計部102は、ステップS2で求めた第一加工用工具42Fの工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βと、読み込んだ右テーパ歯面122のねじれ角θrとの差を、右テーパ歯面122を切削加工するときの第一加工用工具42Fの交差角φr(図9C参照)として求める(図2のステップS6)。
工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hrを読み出し、刃厚Tafが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hrより小さいか否かを判断する(図2のステップS7)。工具設計部102は、刃厚Tafが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hr以上のときは、ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。
一方、工具設計部102は、刃厚Tafが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hrより小さくなったら、求めた工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角β等に基づいて、第一加工用工具42Fの形状を決定し(図2のステップS8)、決定した第一加工用工具42Fの形状データを記憶部104に記憶し(図2のステップS9)、全ての処理を終了する。以上により、最良の工具刃42afを有する第一加工用工具42Fが設計される。
次に、制御装置100の工具設計部102による第三加工用工具42Rの設計処理について、図3、図13A及び図13Bを参照して説明する。なお、第二加工用工具42Lの設計処理も同様である。ここで、右チャンファ歯面132のねじれ角θR、歯すじ長rr、高さ及び圧力角並びに歯面間隔JRは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、第三加工用工具42Rに関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは、記憶部104に予め記憶されているものとする。
制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から右チャンファ歯面132のねじれ角θRを読み込む(図3のステップS21)。そして、工具設計部102は、作業者により入力される第三加工用工具42Rの交差角φRと、読み込んだ右チャンファ歯面132のねじれ角θRとの差を、第三加工用工具42Rの工具刃42aRの刃すじ42bRのねじれ角βRとして求める(図3のステップS22)。
工具設計部102は、記憶部104から第三加工用工具42Rの刃数Z等を読み込み、読み込んだ第三加工用工具42Rの刃数Z等及び求めた工具刃42aRの刃すじ42bRのねじれ角βRに基づいて、工具刃42aRの刃先幅SaRを求める(図3のステップS23)。そして、工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔JRを読み出し、求めた工具刃42aRの刃先幅SaRが歯面間隔JRより小さいか否かを判断する(図3のステップS24)。
工具設計部102は、求めた工具刃42aRの刃厚TaRが歯面間隔JR以上のときは、ステップS52に戻って上述の処理を繰り返す。一方、工具設計部102は、求めた工具刃42aRの刃厚TaRが歯面間隔JRより小さくなったら、求めた工具刃42aRの刃すじ42bRのねじれ角βR等に基づいて、第三加工用工具42Rの形状を決定し(図3のステップS25)、決定した第三加工用工具42Rの形状データを記憶部104に記憶し(図3のステップS26)、全ての処理を終了する。以上により、最良の工具刃42aRを有する第三加工用工具42Rが設計される。
(5.制御装置の工具状態演算部による処理)
次に、制御装置100の工具状態演算部103による処理について、図4を参照して説明する。この処理は、公知の歯車の創成理論に基づいて、第一加工用工具42Fの工具刃42afの軌跡を演算するシミュレーション処理であるため、実加工は不要であり、低コスト化を図ることができる。なお、第二加工用工具42L及び第三加工用工具42Rについても第一加工用工具42Fと同様であり、その処理についての詳細な説明は省略する。
制御装置100の工具状態演算部103は、記憶部104から左テーパ歯面121の切削加工を行うときの第一加工用工具42Fの軸線方向位置等の工具状態を読み込み(図4のステップS31)、シミュレーション回数nとして1回目であることを記憶部104に記憶し(図4のステップS32)、第一加工用工具42Fを読み込んだ工具状態に設定する(図4のステップS33)。
そして、工具状態演算部103は、記憶部104から読み込んだ第一加工用工具42Fの形状データに基づいて、左テーパ歯面121を加工するときの工具軌跡を求め(図4のステップS34)、加工後の左テーパ歯面121の形状を求める(図4のステップS35)。そして、工具状態演算部103は、求めた加工後の左テーパ歯面121の形状と、設計上の左テーパ歯面121の形状とを比較し、形状誤差を求めて記憶部104に記憶し(図4のステップS36)、シミュレーション回数nに1を加算する(図4のステップS37)。
そして、工具状態演算部103は、シミュレーション回数nが予め設定した回数nnに達したか否かを判断し(図4のステップS38)、シミュレーション回数nが設定回数nnに達していないときは、第一加工用工具42Fの工具状態のうち例えば第一加工用工具42Fの軸線方向位置を変更し(図4のステップS39)、ステップS34に戻って上述の処理を繰り返す。一方、シミュレーション回数nが設定回数nnに達したときは、工具状態演算部103は、記憶した形状誤差のうち最小の誤差となる第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択して記憶部104に記憶し(図4のステップS40)、全ての処理を終了する。
なお、上述の処理では、複数回のシミュレーションを行って最小の誤差となる第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択するようにしたが、予め許容形状誤差を設定しておき、ステップS36において算出した形状誤差が許容形状誤差以下となったときの第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択してもよい。また、ステップS39においては、第一加工用工具42Fの軸線方向位置を変更する代わりに、第一加工用工具42Fの交差角φfを変更し、もしくは第一加工用工具42Fの軸線回り方向位置を変更し、又は、交差角、軸線方向位置、軸線回り方向位置の任意の組み合わせを変更するようにしてもよい。
(6.制御装置の加工制御部による処理)
次に、制御装置100の加工制御部101による処理(歯車加工方法)について、図5及び図6を参照して説明する。ここで、作業者は、工具設計部102で設計した第一加工用工具42F、第二加工用工具42L及び第三加工用工具42Rの各形状データに基づいて、第一加工用工具42F、第二加工用工具42L及び第三加工用工具42Rを製作し、歯車加工装置1の自動工具交換装置に配置しているものとする。また、スリーブ115は、歯車加工装置1の加工物保持具80に装着されているものとする。
制御装置100の加工制御部101は、自動工具交換装置で第一加工用工具42Fを回転主軸40に装着する(図5のステップS41)。そして、工具状態演算部103で求めた第一加工用工具42Fでスリーブ115の内周に内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを切削加工する際の工具状態となるように、第一加工用工具42F及びスリーブ115を配置する(図5のステップS42)。
そして、第一加工用工具42Fをスリーブ115と同期回転させながら第一加工用工具42Fをスリーブ115の回転軸線Lw方向に1回もしくは複数回送り操作し、スリーブ115の内周を荒切削加工して内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを形成し、さらに形成した内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを中仕上げ切削加工する(図5のステップS43、本発明の「第一工程」に相当)。中仕上げ切削加工は、荒切削加工時の工具送り速度よりも小さい工具送り速度にすることで行われる。この中仕上げ切削加工により、図18Aに示すように、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cにおける第一加工用工具42Fの切削終了側の端部には、バリB1が発生する。
そして、加工制御部101は、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cの切削加工が完了したら(図5のステップS44)、自動工具交換装置で第一加工用工具42Fを第二加工用工具42Lに交換する(図5のステップS45)。そして、工具状態演算部103で求めた第二加工用工具42Lで内歯115aの左歯面115bに左チャンファ歯面131を切削加工する際の工具状態となるように、第二加工用工具42L及びスリーブ115を配置する(図5のステップS46)。そして、第二加工用工具42Lをスリーブ115と同期回転させながら第二加工用工具42Lをスリーブ115の回転軸線Lw方向に1回もしくは複数回送り操作し、内歯115aを切削加工して内歯115aの左歯面115bに左チャンファ歯面131を形成する(図5のステップS47、本発明の「第二工程」に相当)。
そして、加工制御部101は、左チャンファ歯面131の切削加工が完了したら(図5のステップS48)、自動工具交換装置で第二加工用工具42Lを第三加工用工具42Rに交換する(図5のステップS49)。そして、工具状態演算部103で求めた第三加工用工具42Rで内歯115aの右歯面115cに右チャンファ歯面132を切削加工する際の工具状態となるように、第三加工用工具42R及びスリーブ115を配置する(図5のステップS50)。
そして、第三加工用工具42Rをスリーブ115と同期回転させながら第三加工用工具42Rをスリーブ115の回転軸線Lw方向に1回もしくは複数回送り操作し、内歯115aの右歯面115cを切削加工して内歯115aの右歯面115cに右チャンファ歯面132を形成する(図5のステップS51、本発明の「第二工程」に相当)。なお、右チャンファ歯面132を切削加工後に左チャンファ歯面131を切削加工してもよい。この切削加工により、図18Bに示すように、左チャンファ歯面131における第二加工用工具42Lの切削終了側の端部及び右チャンファ歯面132における第三加工用工具42Rの切削終了側の端部には、バリB2が発生する。
そして、加工制御部101は、右チャンファ歯面132の切削加工が完了したら(図5のステップS52)、自動工具交換装置で第三加工用工具42Rを第一加工用工具42Fに交換する(図6のステップS53)。そして、工具状態演算部103で求めた第一加工用工具42Fで左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を切削加工する際の工具状態となるように、第一加工用工具42F及びスリーブ115を配置する(図6のステップS54)。そして、第一加工用工具42Fをスリーブ115と同期回転させながら第一加工用工具42Fをスリーブ115の回転軸線Lw方向に1回もしくは複数回送り操作し、内歯115aを切削加工して左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する(図6のステップS55、本発明の「第三工程」に相当)。
すなわち、図19A−図19Cに示すように、第一加工用工具42Fは、スリーブ115の回転軸線Lw方向への1回もしくは複数回の切削動作で、内歯115aに左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する。このときの第一加工用工具42Fは、送り動作及び送り動作と反対方向の戻し動作を行う必要があるが、図19Cに示すように、この反転動作は慣性力が働く。このため、第一加工用工具42Fの送り動作は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成できる左テーパ歯面121の歯すじ長ffより所定長短い点Qにおいて終了し、戻し動作に移行する。この送り終了点Qは、センサなどによって計測して求めることができるが、必要な加工精度に対して、送り量の精度が十分な場合には、計測しなくても送り量で調整することができる。つまり、点Qまで加工できるように送り量などを調整して、切削加工をすることで、精度良く加工できる。
そして、加工制御部101は、左テーパ歯面121の切削加工が完了したら(図6のステップS56)、工具状態演算部103で求めた第一加工用工具42Fで右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を切削加工する際の工具状態となるように、第一加工用工具42F及びスリーブ115を配置する(図6のステップS57)。そして、第一加工用工具42Fをスリーブ115と同期回転させながら第一加工用工具42Fをスリーブ115の回転軸線Lw方向に1回もしくは複数回送り操作し、内歯115aを切削加工して右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を形成する(図6のステップS58、本発明の「第三工程」に相当)。
なお、右テーパ歯面122を切削加工後に左テーパ歯面121を切削加工してもよい。この切削加工により、図18Cに示すように、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132に発生していたバリB2は除去され、左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122における第一加工用工具42Fの切削終了側の端部には、バリB3が発生する。
そして、加工制御部101は、右テーパ歯面122の切削加工が完了したら(図6のステップS59)、工具状態演算部103で求めた第一加工用工具42Fで中仕上げ切削加工された内歯115aを仕上げ切削加工する際の工具状態となるように、第一加工用工具42F及びスリーブ115を配置する(図6のステップS60)。そして、第一加工用工具42Fをスリーブ115と同期回転させながら第一加工用工具42Fをスリーブ115の回転軸線Lw方向に1回送り操作し、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cを仕上げ切削加工する(図6のステップS61、本発明の「第四工程」に相当)。仕上げ切削加工は、中仕上げ切削加工時の工具送り速度よりも小さい工具送り速度にすることで行われる。
そして、加工制御部101は、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cの仕上げ切削加工が完了したら(図6のステップS62)、全ての処理を終了する。この仕上げ切削加工により、図18Dに示すように、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115cに発生していたバリB1、並びに左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122に発生していたバリB3は除去される。なお、仕上げ切削加工後にもバリは発生するが、非常に小さいため、後処理(例えば、ブラッシング)により除去可能である。
上述のように、歯車加工装置1では、先ずスリーブ115の内歯115aを荒切削加工及び中仕上げ切削加工し、次にギヤ抜け防止部120の左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を切削加工する。次にギヤ抜け防止部120の左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を切削加工し、最後にスリーブ115の内歯115aを仕上げ切削加工する。これにより、各切削加工において発生したバリを略除去できる。
仮に、左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を切削加工してから左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を切削加工すると、内歯115aを仕上げ切削加工では左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132に接触する機会が無く、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132で生じたバリを除去できないからである。以上のように、ギヤ抜け防止部120は、切削加工のみで形成でき、発生したバリを切削加工と同時に除去できるので、従来のようにローリング加工、エンドミル加工、パンチ加工の加工時間よりも大幅に短縮できる。
(7.加工用工具の別例)
上述の例では、スリーブ115のギヤ抜け防止部120の切削加工は、図7に示すように、3つの第一加工用工具42F、第二加工用工具42L、第三加工用工具42Rを用いて、内歯115aの左歯面115b及び右歯面115c、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132の各ねじれ角0,θf,θr,θL,θRと、工具刃42aF,42aL,42aRの各ねじれ角β,βL,βRとの差で表される交差角φ,φf,φr,φL,φRを変更することで対応した。
しかし、図20に示すように、第一加工用工具42Fのみで、全ての歯面を切削加工できる場合があることを発明者は見い出した。この場合の条件としては、第一加工用工具42Fで左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を切削加工するときの交差角φLL,φRRが、歯車加工装置1で設定可能であることが必要となる。すなわち、交差角φLL,φRRは、第一加工用工具42Fのねじれ角βと、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132の各ねじれ角θLL,θRRとの差であり、これらのねじれ角β,θLL,θRRに基づいて交差角φLL,φRRの設定が可能であればよい。つまり、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132の各ねじれ角θLL,θRRが所定値のときに、第一加工用工具42Fのみで全ての歯面115b、115c、121,122,131,132を切削加工でき、工具交換の必要がない分だけ加工時間をさらに大幅に短縮できる。
(8.その他)
上述の例では、内周歯に対し加工する場合を説明したが、外周歯に対しても同様に加工可能である。また、加工物としてシンクロメッシュ機構110のスリーブ115としたが、歯車のように噛み合う歯部を有するものや円筒形状、円盤形状の加工物でもよく、内周(内歯)、外周(外歯)のいずれか一方又は両方に複数の歯面(異なる複数の歯すじ、歯形(歯先、歯元))を同様に加工可能である。また、クラウニング、レリービングなどの連続変化する歯すじ、歯形(歯先、歯元)も同様に加工可能であり、噛み合いを最適化(良好な状態)にすることができる。
また、上述の例では、5軸マシニングセンタである歯車加工装置1は、スリーブ115をA軸旋回可能とするものとした。これに対して、5軸マシニングセンタは、縦形マシニングセンタとして、加工用工具42F,42R,42をA軸旋回可能とする構成としてもよい。また、本発明をマシニングセンタに適用する場合を説明したが、歯車加工の専用機に対しても同様に適用可能である。
1:歯車加工装置、 42F,42L,42R:加工用工具、 42af,42aL,42aR:工具刃、 42bf,42bL,42bR:刃すじ、 100:制御装置、 101:加工制御部、 102:工具設計部、 103:工具状態演算部、 104:記憶部、 115:スリーブ(加工物)、 121:左テーパ歯面、 122:右テーパ歯面、 131:左チャンファ歯面、 132:右チャンファ歯面、 β,βL,βR:刃すじのねじれ角、 θf,θr,θL,θR,θLL,θRR:歯面のねじれ角、 φ,φf,φr,φL,φR,φLL,φRR:交差角

Claims (6)

  1. 加工物の回転軸線に対し交差角の変更が可能な回転軸線を有する加工用工具を用い、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して歯車を切削加工する制御装置を備える歯車加工装置であって、
    前記歯車の歯の側面は、互いのねじれ角が異なる少なくとも二つの歯面を有し、
    前記制御装置は、前記ねじれ角に基づいて前記交差角を変更することで、前記少なくとも二つの歯面をそれぞれ切削加工する、歯車加工装置。
  2. 前記歯車の歯の一方側の側面は、第一歯面と、前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面と、前記第一歯面及び前記第二歯面とねじれ角が異なり且つ前記第二歯面よりも前記歯車の歯の端面側にて前記第二歯面と連なるように形成される第三歯面とを有し、
    前記歯車の歯の他方側の側面は、第四歯面と、前記第四歯面とねじれ角が異なる第五歯面と、前記第四歯面及び前記第五歯面とねじれ角が異なり且つ前記第五歯面よりも前記歯車の歯の端面側にて前記第五歯面と連なるように形成される第六歯面とを有し、
    前記制御装置は、
    最初に前記交差角を第一交差角に設定して前記第一歯面及び前記第四歯面を少なくとも荒切削加工し、
    次に前記交差角を第二交差角に変更して前記第三歯面を加工するとともに前記交差角を第三交差角に変更して前記第六歯面を切削加工し、
    次に前記交差角を第四交差角に変更して前記第二歯面を加工するとともに前記交差角を第五交差角に変更して前記第五歯面を切削加工し、
    最後に前記交差角を第一交差角に変更して前記第一歯面及び前記第四歯面を仕上げ切削加工する、請求項1に記載の歯車加工装置。
  3. 前記加工用工具として、第一加工用工具、第二加工用工具及び第三加工用工具を備え、
    前記第一加工用工具の工具刃の刃すじは、前記第一歯面及び前記第一歯面に対し前記第二歯面を切削加工可能なように且つ前記第四歯面及び前記第四歯面に対し前記第五歯面を切削加工可能なように、前記第一歯面、前記第二歯面、前記第四歯面及び前記第五歯面の各ねじれ角及び前記第一交差角、前記第四交差角及び前記第五交差角に基づいて設定されるねじれ角を有し、
    前記第二加工用工具の工具刃の刃すじは、前記第一歯面に対し前記第三歯面を切削加工可能なように、前記第三歯面のねじれ角及び前記第二交差角に基づいて設定されるねじれ角を有し、
    前記第三加工用工具の工具刃の刃すじは、前記第四歯面に対し前記第六歯面を切削加工可能なように、前記第六歯面のねじれ角及び前記第三交差角に基づいて設定されるねじれ角を有する、請求項2に記載の歯車加工装置。
  4. 前記加工用工具の工具刃の刃すじは、前記第一歯面及び前記第一歯面に対し前記第二歯面を切削加工可能なように且つ前記第四歯面及び前記第四歯面に対し前記第五歯面を切削加工可能なように、前記第一歯面、前記第二歯面、前記第四歯面及び前記第五歯面の各ねじれ角及び前記交差角に基づいて設定されるねじれ角を有し、
    前記交差角は、前記加工用工具の工具刃の刃すじのねじれ角、前記第三歯面のねじれ角及び前記第六歯面のねじれ角に基づいて設定される、請求項2に記載の歯車加工装置。
  5. 前記歯車は、シンクロメッシュ機構のスリーブであり、
    前記第二歯面、前記第三歯面、前記第五歯面及び前記第六歯面は、前記スリーブの内周歯に設けられるギヤ抜け防止部の歯面である、請求項2−4の何れか一項に記載の歯車加工装置。
  6. 加工物の回転軸線に対し交差角の変更が可能な回転軸線を有する加工用工具を用い、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して歯車を切削加工する歯車加工方法であって、
    前記歯車の歯の一方側の側面は、第一歯面と、前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面と、前記第一歯面及び前記第二歯面とねじれ角が異なり且つ前記第二歯面よりも前記歯車の歯の端面側にて前記第二歯面と連なるように形成される第三歯面とを有し、
    前記歯車の歯の他方側の側面は、第四歯面と、前記第四歯面とねじれ角が異なる第五歯面と、前記第四歯面及び前記第五歯面とねじれ角が異なり且つ前記第五歯面よりも前記歯車の歯の端面側にて前記第五歯面と連なるように形成される第六歯面とを有し、
    前記歯車加工方法は、
    最初に前記交差角を第一交差角に設定して前記第一歯面及び前記第四歯面を少なくとも荒切削加工する第一工程と、
    次に前記交差角を第二交差角に変更して前記第三歯面を加工するとともに前記交差角を第三交差角に変更して前記第六歯面を切削加工する第二工程と、
    次に前記交差角を第四交差角に変更して前記第二歯面を加工するとともに前記交差角を第五交差角に変更して前記第五歯面を切削加工する第三工程と、
    最後に前記交差角を第一交差角に変更して前記第一歯面及び前記第四歯面を仕上げ切削加工する第四工程と、を備える歯車加工方法。
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