JP6610168B2 - 重荷重用タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1には、共役ジエン化合物由来部分の含有量が40mol%以上である共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)と、共役ジエン系重合体(B)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)とを含むことを特徴とするゴム組成物が記載されており、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)は、セリウムを含む特定の化合物を重合触媒組成物として用いて、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることが記載されている。
(1)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を80質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、酸化セリウムを1〜50質量部、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜120m2/gであるカーボンブラックを50〜75質量部含み、tanδ(60℃)が0.25〜0.35となる、重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
(2)前記酸化セリウムが、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、上記(1)に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
(3)さらにシリカを含み、硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、上記(1)または(2)に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
本発明は、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を80質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、酸化セリウムを1〜50質量部、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜120m2/gであるカーボンブラックを50〜75質量部含み、tanδ(60℃)が0.25〜0.35となる、重荷重用タイヤ用ゴム組成物である。
このようなタイヤ用ゴム組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を80質量%以上含み、82〜99質量%含むことが好ましく、85〜95質量%含むことがより好ましい。
本発明の組成物が含有するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜120m2/gであり、75〜110m2/gであることが好ましく、80〜105m2/gであることがより好ましい。
なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217−2に準拠して求めた値である。
なお、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して求めた値である。
本発明の組成物が含有する酸化セリウムは特に限定されず、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることが好ましく、20〜50nmの微粒子であることがより好ましい。
本発明の組成物はシリカを含有することが好ましい。
本発明の組成物がシリカを含有する場合、シリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
本発明の組成物は硫黄含有シランカップリング剤を含むことが好ましい。
硫黄含有シランカップリング剤は特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意の硫黄を含有するシランカップリング剤を用いることができる。
本発明の組成物には、上記の成分の他に、芳香族性テルペン樹脂、シリカおよびカーボンブラック以外のフィラー、上記の硫黄含有シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、酸化亜鉛、軟化剤(オイル)、老化防止剤、可塑剤等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられている各種のその他添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
加硫促進剤または架橋促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることが好ましく、1.0〜2.5質量部であることがより好ましい。
酸化亜鉛の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.2〜10.0質量部であることが好ましく、0.4〜5.0質量部であることがより好ましい。
軟化剤(オイル)の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましい。
老化防止剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.2〜4.0質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物は上記のような各成分を含み、tanδ(60℃)が0.25〜0.35となる。
すなわち、本発明の組成物について、JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(例えば東洋精機製作所社製のもの)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で測定するtanδ(60℃)が、0.25〜0.35となる。
このtanδ(60℃)は0.26〜0.33であることが好ましく、0.28〜0.31であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を混合・混錬することによって製造することができる。
上記の成分のうち、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分を混合および混練してマスターバッチを作成し、このマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合し、オープンロール等を用いて混練してゴム組成物を製造することが好ましい。このように、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分からなるマスターバッチを作成し、そのマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合・混練すると、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合してからの混練時間を短くすることができ、不均一な加硫(架橋)が生じることによる加硫(架橋)ゴム組成物の物性低下を防止することができるうえ、加硫(架橋)の制御が容易となる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤであることが好ましく、重荷重用タイヤであることがより好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
<標準例、実施例1〜5、比較例1〜5>
第1表の標準例の欄、実施例の欄および比較例の欄に示すとおり、標準例、実施例1〜5および比較例1〜5に係るゴム組成物は、第1表に示す各成分を、第1表に示す配合量で配合して製造した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
製造したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
<破断強度、破断伸び>
上記のように作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度100℃、引張り速度500mm/分の条件で破断伸びおよび破断強度を測定した。
結果を第1表に示す。測定結果は、標準例の値を100とし、指数表示した。数値が大きいほど破断エネルギーが高いことを意味する。
JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。
結果を第1表に示す。結果は実測値および標準例を100とした指数で示した。この値が低いほど低発熱性に優れる。
タイヤサイズ2700R49の建設車両用空気入りタイヤを成形した。次に、上記のように製造したゴム組成物(未加硫)を用いて幅30mm、厚さ3mmのゴムシートを押出成形し、得られたゴムシートをトレッド部に複数回巻き付けることによりグリーンタイヤを成形し、これを加硫して建設車両用空気入りタイヤを製造した。
そして、得られた建設車両用空気入りタイヤを大型ダンプに装着して、オフロードを2000時間走行した時の60分ごとのセンター付近のブロック6個のカット傷の大小・数を目視で数え指数化した。
結果を第1表に示す。測定結果は、標準例の値を100として示した。数値が大きいほど耐カット性に優れることを意味する。
表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR:日本ゼオン NIPOL 1502
・NR:天然ゴム TSR20
・カーボンブラック1:SAF ダイアブラックA 三菱化学(株)製、N2SA=142m2/g
・カーボンブラック2:ISAF ショウブラックN220 昭和キャボット製、N2SA=114m2/g
・カーボンブラック3:GPF シーストV 東海カーボン社製、N2SA=27m2/g
・シリカ:Zeosil(R) 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m2/g、ローディア社製)
・酸化セリウム1:Nanotechnology社製 Nano−D CEP 平均粒子径=25−45nm
・酸化セリウム2:トライバッハインダストリー社製 FG−50 平均粒子径=0.6−2.0μm
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸 日油(株)製
・酸化亜鉛:正同化学工業(株)製 酸化亜鉛3種
・硫黄:鶴見化学工業社製 金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24重量%)
・加硫促進剤:CZ ノクセラーCZ−G 大内新興化学工業(株)製
<実施例1〜5>
実施例1〜5では耐カット性、低発熱性、破断強度および破断伸びを改善することができた。
酸化セリウムを含まない態様である。この場合、低発熱性および破断伸びが悪化した。
酸化セリウムの量が多い態様である。この場合、低発熱性、破断強度および破断伸びが悪化した。
組成物のtanδ(60℃)が低い態様である。この場合、耐カット性が悪化した。
カーボンブラックのN2SAが70〜120m2/gの範囲外であり、かつ、組成物のtanδ(60℃)が高い態様である。この場合、低発熱性が悪化した。
カーボンブラックのN2SAが70〜120m2/gの範囲外である態様である。この場合、耐カット性、破断強度および破断伸びが悪化した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (4)
- スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を80質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、酸化セリウムを1〜50質量部、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜120m2/gであるカーボンブラックを50〜75質量部含み、tanδ(60℃)が0.25〜0.35となる、重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
- 前記酸化セリウムが、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
- さらにシリカを含み、硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、請求項1または2に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
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