JP6609924B2 - 金属錯体化合物の溶媒和物、それを用いたトナー及びその製造方法、並びに現像剤 - Google Patents

金属錯体化合物の溶媒和物、それを用いたトナー及びその製造方法、並びに現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、金属錯体化合物の溶媒和物、それを用いたトナー及びその製造方法、並びに現像剤に関する。
従来から、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)に含まれる着色剤としては、公知の有機顔料や染料が使用されている。有機顔料を含むトナーは、一般的に耐熱性や耐光性に優れるが、顔料微粒子の分散性が低いことから、隠蔽力が高く、透明性が得られにくい。その結果、得られる画像の彩度が低い傾向があった。一方、染料は、結着樹脂に溶解した状態で存在するため、有機顔料よりも透明性が高く、得られる画像の彩度を高めやすいが、染料を含むトナーの耐光性や耐熱性が、有機顔料よりも劣る傾向があった。
これらの問題を解消する方法として、例えば金属キレート染料を用いることにより、耐光性や耐熱性と彩度とを両立する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、金属キレート染料を含むトナーは、耐光性には優れるが、凝集が原因でOHPや紙面上に塗布後の反射スペクトルが異なる等、色再現性が十分ではなく、更なる彩度の向上が望まれている。
金属キレート染料を含むトナーの色再現性を向上させる方法として、着色剤としてテトラメチン色素の金属キレート色素を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、着色剤の分散性と耐光性が未だ十分ではなかった。
これに対して、金属キレート可能な金属含有化合物、及びそれを用いた金属キレート色素(着色剤)が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開平10−20559号公報 特開2001−159832号公報 国際公開第2011/010509号
特許文献3では、金属含有化合物と色素を水系媒体に分散させて着色剤分散液とした後、重合性単量体溶液と混合し、乳化重合してトナーを得ている。高彩度のトナーを得るためには、トナー中の着色剤の分散性、特に金属含有化合物の分散性を高めることが望まれる。トナー中の金属含有化合物の分散性を高めるためには、金属含有化合物が微分散した分散液を調製することが望まれる。
しかしながら、金属含有化合物の分散液の調製工程は、トナーの製造工程において律速となっている。従って、製造効率を低下させることなく、短時間で金属含有化合物が微分散した分散液を調製すること;即ち、金属含有化合物の水系媒体に対する分散性を高めることが望まれる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、分散性が高い金属錯体化合物及びそれにより高彩度のトナーを提供することを目的とする。
[1] 下記一般式(1)で表される、金属錯体化合物の溶媒和物。
Figure 0006609924
(前記一般式(1)中、
は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜120の芳香族炭化水素含有基であり、
Mは、二価の金属原子であり、
Xは、溶媒の分子であり、
nは、1〜3の整数である)
[2] 前記溶媒のSP値が10〜25である、[1]に記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
[3] 前記溶媒は、アルコールである、[1]又は[2]に記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
[4] 前記金属原子は、銅原子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の金属錯体化合物の溶媒和物と下記一般式(2)で表される色素化合物とのキレート化合物である着色剤と、結着樹脂とを含有する、トナー。
Figure 0006609924
(前記一般式(2)中、
Rx及びRxは、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
Gxは、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Gxは、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
Gxは、水素原子、ハロゲン原子、Gx−CO−NH−で表される基、又はGx−N(Gx)−CO−で表される基であり、
Gxは、有機基であり、
Gx及びGxは、それぞれ水素原子又は有機基であり、
Qx〜Qxは、それぞれ水素原子又は有機基である)
[6] 前記結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる一種以上である、[5]に記載のトナー。
[7] [1]〜[4]のいずれかに記載の金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る工程と、重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、前記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と下記一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程と
を含む、トナーの製造方法。
Figure 0006609924
(前記一般式(2)中、
Rx及びRxは、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
Gxは、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Gxは、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
Gxは、水素原子、ハロゲン原子、Gx−CO−NH−で表される基、又はGx−N(Gx)−CO−で表される基であり、
Gxは、有機基であり、
Gx及びGxは、それぞれ水素原子又は有機基であり、
Qx〜Qxは、それぞれ水素原子又は有機基である)
[8] 前記金属錯体化合物の溶媒和物は、下記一般式(3)で表される金属錯体化合物を、SP値が10以上である貧溶媒とSP値が10未満である良溶媒の混合溶媒に溶解させた溶液を冷却して析出物を得た後、該析出物を分離して得られる、[7]に記載のトナーの製造方法。
Figure 0006609924
(前記一般式(3)中、
は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜120の芳香族炭化水素含有基であり、
Mは、二価の金属原子である)
[9] 前記貧溶媒と前記良溶媒との含有比率が、質量比で1:9〜5:5である、[7]又は[8]に記載のトナーの製造方法。
[10] [5]又は[6]に記載のトナーを含む、現像剤。
本発明によれば、分散性が高い金属錯体化合物及びそれにより高彩度のトナーを提供することができる。
1.金属錯体化合物の溶媒和物
本発明の金属錯体化合物の溶媒和物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006609924
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1A)又は一般式(1B)で示される極限構造式で表すこともできる。
Figure 0006609924
一般式(1)で表される化合物と、一般式(1A)又は(1B)で表される化合物とは、本質的に同一であり、区別されない。共有結合と配位結合の区別も形式的なものでありうる。
一般式(1)のRは、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、n−ドデシル基、1−メチルウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、n−トリアコンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−tert−ブチル−シクロヘキシル基等が挙げられる。
は、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
これらのアルキル基は、置換基で置換されていてもよい。置換基は、例えば炭素数13以下の基である。
置換基の例としては、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素アリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、これらの基はさらに同様の基で置換されていてもよい。
一般式(1)のRは、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基である。Rの炭素数は、例えば13以下である。
アルコキシカルボニル基の例には、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。スルファモイル基の例には、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等が挙げられる。スルフィニル基の例には、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等が挙げられる。アルキルスルホニル基の例には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等が挙げられる。
アリールスルホニル基の例には、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等が挙げられる。アシル基の例には、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例には、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
は、好ましくはアルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基又はシアノ基であり、より好ましくはアルコキシカルボニル基、アシル基又はシアノ基であり、さらに好ましくはシアノ基である。
一般式(1)のRは、独立して置換又は無置換の炭素数9〜120の芳香族炭化水素含有基である。芳香族炭化水素含有基の炭素数は、好ましくは9〜40、より好ましくは12〜40、さらに好ましくは14〜30である。
は、下記式で表されることが好ましい。
Figure 0006609924
上記式中のLは、炭素数1〜15のアルキレン基、−SOO−、−OSO−、−SO−、−CO−、−O−、−S−、−SONH−、−NHSO−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OOC−から選ばれる2価の連結基を単独又はそれらを複数組み合わせた基である。*で一般式(1)のRに隣接する酸素原子と結合する。
Lの好ましい具体例には、以下の基L−1〜L−20が含まれる。
Figure 0006609924
上記式中のRは、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)を表す。Rは、置換基を有してもよく、そのような置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子であり;好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基でありうる。
は、下記式で表されることがより好ましい。
Figure 0006609924
上記式のLと*は、前述のLと*とそれぞれ同義である。上記式のRは、炭素数8〜30のアルキル基であり、好ましくは炭素数12〜24のアルキル基である。nは、1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
芳香族炭化水素含有基は、置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、Rが有しうる置換基と同様のものが挙げられる。置換基は、好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、より好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基又はカルバモイル基であり、さらに好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基又はアミド基である。
一般式(1)のMは、二価の金属原子である。二価の金属原子の例には、銅原子、亜鉛原子、ニッケル原子等が含まれ、好ましくは銅原子である。
一般式(1)のXは、溶媒の分子である。溶媒は、SP値が10〜25の貧溶媒、好ましくは11.5〜17の貧溶媒である。SP値が10〜25の貧溶媒の例には、メタノール(14.5〜14.8)、エタノール(12.7)、イソプロパノール(11.5)、フェノール(14.5)、クレゾール(13.3)等のアルコール、水(23.4)、エチレングリコール(14.2)、ギ酸(13.5)、酢酸(12.6)、ジメチルホルムアルデヒド(12)、アセトニトリル(11.9)、アセトン(10)等が含まれ、好ましくはアルコールである。
SP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を示す。
一般式(1)のnは、溶媒和している溶媒分子の数であり、1〜3の整数、好ましくは1である。
一般式(1)のR〜Rの具体例には、以下の化合物1−1〜1−47が含まれる。
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
金属錯体化合物の溶媒和物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属錯体化合物が溶媒和物であるかどうかは、波長分散X線分光法(WDX)、DSC、TG-DTA及びGC-MSのいずれか一以上を用いて確認することができる。溶媒和物であることは、例えばDSCによって溶媒和している結晶(β結晶)に起因する吸熱ピーク(例えば90〜100℃付近の吸熱ピーク)のΔHの存在比率によって確認することができる。ΔHは、吸熱ピークの面積から求められる融解エンタルピー(単位:J/g)である。
具体的には、溶媒和している結晶(β結晶)に由来する吸熱ピークのΔHと、溶媒和していない結晶(α結晶)に由来する吸熱ピークのΔHとを求める。溶媒種がメタノールである場合、溶媒和している結晶(β結晶)に由来する吸熱ピークは90〜100℃付近で確認でき、溶媒和していない結晶(α結晶)に由来する吸熱ピークは115〜130℃付近で確認できる。これらのΔHを、下記式に当てはめて、β結晶存在比率(%)を求める。
β結晶存在比率(%)=β結晶のΔH/(α結晶のΔH+β結晶のΔH)×100
良好な分散性を得る観点から、β結晶存在比率が50%以上である場合に溶媒和物となっていると判断する。
なお、溶媒和している結晶(β結晶)に由来する吸熱ピークの温度領域は、溶媒和している溶媒種によって異なることがある。つまり、溶媒種は、溶媒和している結晶(β結晶)に起因する吸熱ピークが現れる温度領域によって大まかに判断でき;溶媒和しているかどうかは、該吸熱ピークのΔHの存在比率によって判断することができる。溶媒和している溶媒の種類の詳細は、例えばGC-MSによって特定することができる。
(金属錯体化合物の溶媒和物の調製方法)
一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物は、一般式(3)で表される金属錯体化合物を溶媒和させて得ることができる。
Figure 0006609924
一般式(3)のR〜R及びMは、一般式(1)のR〜R及びMとそれぞれ同義である。
一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物は、具体的には、一般式(3)で表される金属錯体化合物を、SP値10以上の貧溶媒とSP値10未満の良溶媒の混合溶媒に溶解させた後、所定の温度に冷却して、析出物(金属錯体化合物の溶媒和物)を得る工程(再結晶化工程)と;当該析出物を分離した後、乾燥させる工程(乾燥工程)とを経て得ることができる。
上記再結晶化工程により金属錯体化合物の溶媒和物が得られる理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。再結晶化工程において、水分子は小さく極性が高いため、結晶中に含まれる溶媒としては最も一般的であるが、他の溶媒もホスト結晶に取り込まれうる。溶媒の極性(SP値)が高いほど、結晶中に取り込まれやすい傾向がある。
溶媒和という現象は、液体中で溶質の周囲を複数の溶媒分子が取り囲んでエネルギー的に安定化をもたらす状態であり、溶媒和において安定化をもたらす最大の要因は、分極した溶媒分子が電離した溶質分子の電荷を電気的に中和することであると考えられる。
一般式(3)で表される金属錯体化合物は疎水性が高く、正電荷を保持した分子構造を有する。そのため、SP値が10以上の貧溶媒のみでは、一般式(3)で表される金属錯体化合物が溶解できず、再結晶化させることは困難であると考えられる。一方、SP値が10未満の良溶媒のみでは極性が低すぎることから、溶質分子である金属錯体化合物の電荷を電気的に中和できず、溶媒和を形成できないと考えられる。従って、再結晶化工程で用いる溶媒を「SP値が10未満の良溶媒とSP値が10以上の貧溶媒との混合溶媒」とすることで、金属錯体化合物を溶媒和させることができると考えられる。
SP値が10未満の良溶媒の例には、ベンゼン(9.2)、酢酸エチル(9)、トルエン(8.8)、キシレン(8.8)、酢酸ブチル(8.5)、n−ヘキサン(7.3)等が含まれる。SP値が10以上の貧溶媒の例には、前述と同様のものが含まれる。
SP値が10未満の良溶媒とSP値が10以上の貧溶媒の体積比率は、良溶媒:貧溶媒=1:9〜5:5であることが好ましい。
再結晶化工程では、金属錯体化合物の結晶が析出し始める温度で2〜4時間熟成させることが好ましい。熟成温度が低いか、又は熟成時間が短いと、溶媒和物の生成量が低下する場合がある。
このように、金属錯体化合物の溶媒和物は、再結晶化工程で用いる溶媒の組成や析出温度、熟成温度等を調整することによって得ることができる。
再結晶化工程で得られる析出物は、溶媒から分離(固液分離)した後、乾燥させて、一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物となる。ただし、金属錯体化合物の溶媒和物は、熱エネルギーを付与されると、溶媒分子が抜けて無溶媒和物に変化することがある。従って、析出物から残留溶媒を除去する乾燥工程の温度は、45℃以下にすることが好ましい。
このようにして得られる金属錯体化合物の溶媒和物は、良好な分散性を有しうる。従って、後述するように、金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて分散液を調製する際に、金属錯体化合物の溶媒和物を短時間で良好に水系媒体に分散させることができる。
金属錯体化合物の溶媒和物が良好な分散性を有する理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。即ち、金属錯体化合物の結晶は溶媒和結晶になることで、溶媒起因により結晶表面に小さな膨らみを多数もつようになり、結晶一つ一つの表面が凹凸になる。一般的に、金属錯体化合物は、溶液中で一次粒子径を保って製造されたとしても、乾燥時に熱力学的に安定になるように、空気中では凝集体を形成する。溶媒和結晶になり結晶表面が平滑でなくなった金属錯体化合物は、(溶媒を除去する)乾燥工程において、金属錯体化合物の結晶が乾燥凝集を起こしたとしても、結晶の表面性状の影響により、結晶同志が密に凝集しにくい。即ち、結晶同志が強固に結びにくくなることから、良好な分散性が得られると考えられる。
一般式(3)で表される金属錯体化合物は、下記一般式(5)で表される化合物と金属化合物とをキレート反応させて得ることができる。
Figure 0006609924
一般式(5)のR〜Rは、一般式(1)のR〜Rとそれぞれ同義である。金属化合物は、塩化銅(II)、酢酸銅(II)又は過塩素酸銅等でありうる。
一般式(5)で表される金属錯体化合物は、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」等に記載の方法に準じて合成することができる。
2.トナー
本発明のトナーは、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される色素化合物とをキレート反応させて得られる着色剤と、結着樹脂とを含む。本発明におけるトナーとは、着色剤及び結着樹脂を含み、必要に応じて内添剤及び/又は外添剤をさらに含有するトナー粒子をいう。外添剤はトナー粒子の外部(好ましくは粒子表面)に添加されるものであり、内添剤はトナー粒子の内部に添加されるものである。
2−1.着色剤
着色剤は、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される色素化合物とのキレート化合物であり、両化合物をキレート反応させて得られるものである。
Figure 0006609924
一般式(2)のRx及びRxは、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。アルキル基の例としては、一般式(1)のRのアルキル基と同様のものが挙げられる。アルキル基は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、一般式(1)のRが有しうる置換基と同様のものが挙げられる。
Rx及びRxは、それぞれ無置換のアルキル基又はアルコキシ基で置換されたアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(2)のLxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基である。アルキル基の例としては、上記Rx及びRxのアルキル基と同様のもの(ただし、メチル基を除く)が挙げられる。アルキル基は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、上記Rx及びRxが有しうる置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(2)のGxは、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。アルキル基の例としては、上記Rx及びRxのアルキル基と同様のもの(ただし、メチル基を除く)を挙げることができる。アルキル基は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、上記Rx及びRxが有しうる置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(2)のGxは、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。Gxが炭素数の少ないアルキル基であることにより、得られる着色剤の疎水性を低くしうる。それにより、着色剤と結着樹脂との間に強い相互作用が得られやすく、着色剤の分散状態を安定化させやすいので、優れた色再現性を示すトナーが得られやすい。
Gxのアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、及びネオペンチル基等が挙げられる。アルキル基は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、上記Rx及びRxが有しうる置換基と同様のものが挙げられる。
Gxは、本発明の効果をより効果的に得やすくする観点から、好ましくはメチル基又はエチル基である。
一般式(2)のGxは、水素原子、ハロゲン原子、Gx−CO−NH−で表される基、又はGx−N(Gx)−CO−で表される基である。Gxは、有機基であり;Gx及びGxは、それぞれ水素原子又は有機基である。
Gx、Gx及びGxとして表される有機基の例としては、上記Rx及びRxの炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、及びその置換基が挙げられる。アルキル基の具体例は、上記Rx及びRxのアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。
一般式(2)のQx〜Qxは、それぞれ水素原子又は有機基である。Qx〜Qxとして表される有機基の例としては、上記Rx及びRxの炭素数1〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、及びその置換基が挙げられる。アルキル基の具体例は、上記Rx及びRxのアルキル基と同様のものが挙げられる。
Qx〜Qxは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基又はアリール基であることが好ましく、全てが水素原子であることがより好ましい。
一般式(2)で表される色素化合物の例には、以下の化合物2−1〜2−26が含まれる。
Figure 0006609924
Figure 0006609924
Figure 0006609924
一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される色素化合物とのキレート反応は、前述した「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」等に記載の方法に準じて行うことができる。
一般式(2)で表される色素化合物は、例えば、特開昭63−226653号公報、特開平10−193807号公報、同11−78258号公報、同6−250357号公報、同2−155693号公報、同1−110565号公報、同2−668号公報、同2−28264号公報、同2−53865号公報、同2−53866号公報、英国特許1,252,418号明細書、特開昭64−63194号公報、特開平2−208094号公報、同3−205189号公報、同2−265791号公報、同2−310087号公報、同2−53866号公報、特開平4−91987号公報、特開昭63−205288号公報、特開平3−226750号公報、英国特許1,183,515号明細書、特開平4−190348号公報、特開昭63−113077号公報、特開平3−275767号公報、同4−13774号公報、同4−89287号公報、特開平7−175187号公報、同10−60296号公報、同11−78258号公報、特開2004−138834号公報、特開2006−350300号公報等の各公報に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
一般式(2)で表される色素化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般式(2)で表される色素化合物の含有量は、トナー(トナー粒子)の全質量100質量部に対して好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.8〜7質量部である。
一般式(1)で表される金属錯体化合物の含有量は、トナー(トナー粒子)の全質量100質量部に対して好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.8〜7質量部である。
一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される色素化合物とのキレート反応は、前述と同様に、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」等に記載の方法に準じて行うことができる。
2−2.結着樹脂
トナーに含有される結着樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、一般的にトナーの結着樹脂として用いられるものを制限なく用いることができる。
そのような熱可塑性樹脂の例には、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合したビニル変性ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン系樹脂、アミド樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、低温定着性及び耐熱保管性を確保する観点より、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合したビニル変性ポリエステル樹脂のいずれか1種以上が好ましく、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂がより好ましく、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂の併用がより好ましい。
<スチレンアクリル樹脂>
スチレンアクリル樹脂は、少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを共重合させて得られる重合体である。
スチレン系単量体の例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及びその誘導体が挙げられる。スチレン系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートフェニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて上記スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の他の単量体をさらに共重合させた重合体であってもよい。他の単量体の例には、ビニル単量体、多官能ビニル単量体等が含まれる。
ビニル単量体の例には、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;ブタジエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体、無水マレイン酸等が含まれる。
多官能ビニル単量体を重合させた結着樹脂は、架橋構造を有しうる。多官能ビニル単量体の例には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキシレングリコールジメタクリレート、ヘキシレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3級以上のアルコールのジメタクリレート及びトリメタクリレート等が含まれる。
スチレンアクリル樹脂を得るための重合性単量体全体における多官能ビニル単量体の割合(共重合比)は、通常、0.001〜5質量%であり、好ましくは0.003〜2質量%である。多官能ビニル単量体を用いることで、得られるスチレンアクリル樹脂にテトラヒドロフランに不溶のゲル成分が生成されることがある。このゲル成分の含有割合は、スチレンアクリル樹脂全体に対して好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下としうる。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じてカルボキシル基やリン酸基等のイオン性解離基を有する重合性単量体をさらに共重合させたものであってもよい。
カルボキシル基を有する重合性単量体の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が含まれる。スルホン酸基を有する重合性単量体の例には、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸等が含まれる。リン酸基を有する重合性単量体の例には、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシドホスホオキシプロピルメタクリレート等が含まれる。
スチレンアクリル樹脂の合成方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜1,000,000であることが好ましい。スチレンアクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000であることが好ましい。スチレンアクリル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜100であることが好ましく、1.8〜70であることがより好ましい。
スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲にあると、トナーの熱定着時のホットオフセット現象の発生を良好に抑止することができる。
スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
GPCによる分子量測定は、具体的には以下の方法で行うことができる。即ち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を準備する。そして、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流す。
測定試料(スチレンアクリル樹脂)を、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに添加し、超音波分散機を用いて室温にて5分間超音波処理を行い、溶解させる。次いで、溶解させた溶液を、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得る。
得られた試料溶液10μLを、上記キャリア溶媒とともに、装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。測定試料が有する分子量分布を、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。
検量線測定用の標準ポリスチレン試料は、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いることができる。
スチレンアクリル樹脂のガラス転移点は、30〜70℃であることが好ましい。スチレンアクリル樹脂のガラス転移点が上記範囲にあることによって良好な定着性が得られる。
スチレンアクリル樹脂のガラス転移点は、測定試料としてスチレンアクリル樹脂を用いて、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)にて測定されうる。
結着樹脂として、上記スチレンアクリル樹脂の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合、少なくとも1種は、メタクリル酸に由来する構成単位の含有量が10〜20質量%であるスチレンアクリル樹脂であることが好ましい。このようなスチレンアクリル樹脂は、カルボキシル基を有しており、このカルボキシル基が一般式(2)で表される色素化合物及び一般式(1)で表される金属錯体化合物の分散状態をより安定化させ、本発明の効果をより向上させると考えられる。
<スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂>
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、スチレンアクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合した構造を有するビニル変性ポリエステル樹脂である。スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル重合セグメントの末端にスチレンアクリル重合セグメントが結合されたブロック共重合体構造を有するものであってもよいし;ポリエステル重合セグメントにスチレンアクリル重合セグメントの分岐構造が形成されたグラフト共重合体構造を有するものであってもよい。
(スチレンアクリル重合セグメント)
スチレンアクリル重合セグメントは、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させて得られるものである。
スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、スチレンアクリル樹脂を形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体と同様のものを用いることができる。
スチレンアクリル重合セグメントにおけるスチレン系単量体の含有割合は、優れた帯電性、画質特性等を得る観点から、多くすることが好ましい。具体的には、スチレン系単量体の含有割合が、スチレンアクリル重合セグメントを形成するために用いられる全単量体(スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体)に対して50質量%以上であることが好ましい。
スチレンアクリル重合セグメント単独のガラス転移点は35〜80℃であることが好ましく、より好ましくは40〜60℃である。スチレンアクリル重合セグメント単独のガラス転移点は、測定試料としてスチレンアクリル重合セグメントを用いたことの他は上記と同様にして測定されるものである。
スチレンアクリル重合セグメント単独の重量平均分子量(Mw)は2,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量分布から算出される。スチレンアクリル重合セグメントのGPCによる分子量の測定は、測定試料としてスチレンアクリル重合セグメントを用いたことの他は上記と同様にして行われる。
(ポリエステル重合セグメント)
ポリエステル重合セグメントは、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸又はその誘導体と、1分子中に水酸基を2個以上含有する多価アルコール又はその誘導体により形成されるものである。
多価カルボン酸の誘導体は、多価カルボン酸のアルキルエステルや酸無水物、又は酸塩化物でありうる。多価アルコールの誘導体は、多価アルコールのエステル化合物やヒドロキシカルボン酸でありうる。
多価アルコールとしては、公知の2価アルコールや3価以上のアルコールが挙げられる。
2価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
3価以上のアルコールの具体例としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
これらの多価アルコールは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多価カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸等の公知の2価カルボン酸や3価以上のカルボン酸が挙げられる。
2価のカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、メサコン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
これらの多価カルボン酸は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多価カルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸が好ましく、下記一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸が特に好ましい。
Figure 0006609924
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2の整数である。)
脂肪族不飽和ジカルボン酸とは、分子内にビニレン基を有する鎖状のジカルボン酸をいう。多価カルボン酸として脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、後述の両反応性モノマーを使用しなくてもポリエステル重合セグメントとスチレンアクリル重合セグメントとが分子結合した構造を形成することができる。従って、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を作製する際に必要なモノマーの種類を少なくして、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の製造工程を簡素化させて生産性を向上させることができる。なお、脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いる場合においても両反応性モノマーを使用してもよい。
ポリエステル重合セグメントを構成する多価カルボン酸由来の構造単位における、脂肪族不飽和ジカルボン酸由来の構造単位の含有割合は、20〜75モル%であることが好ましく、より好ましくは30〜60モル%である。
上記多価カルボン酸と多価アルコールの比率は、多価アルコールの水酸基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2となるように設定される。
ポリエステル重合セグメントは、用いる多価カルボン酸及び/又は多価アルコールとして、カルボン酸価数又はアルコール価数を選択すること等によって、一部枝分かれ構造や架橋構造等が形成されていてもよい。
ポリエステル重合セグメント単独のガラス転移点は40〜70℃であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃である。ポリエステル重合セグメントのガラス転移点が40℃以上であることにより、熱定着時にポリエステル重合セグメント同士が適度に凝集して、ホットオフセット現象の発生を抑制することができる。また、ポリエステル重合セグメントのガラス転移点が70℃以下であることにより、例えば結着樹脂としてスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂と共にスチレンアクリル樹脂を用いる場合には、熱定着時にスチレンアクリル樹脂の溶融を阻害することがなく、十分な低温定着性を得ることができる。
ポリエステル重合セグメント単独のガラス転移点は、測定試料としてポリエステル重合セグメントを用いる以外は上記と同様にして測定される。
ポリエステル重合セグメント単独の重量平均分子量(Mw)は、1,500〜60,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜40,000である。重量平均分子量が1,500以上であると、結着樹脂全体として適度な凝集力を発揮しやすく、熱定着時のホットオフセット現象の発生を良好に抑制しうる。重量平均分子量が60,000以下であると、短時間の加熱で十分な溶融が得られやすく、冷却により強固な定着画像が得られやすい。
ポリエステル重合セグメント単独の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量分布から算出されうる。ポリエステル重合セグメントのGPCによる分子量分布測定は、測定試料としてポリエステル重合セグメントを用いる以外は上記と同様にして行われる。
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレンアクリル重合セグメントの含有割合(以下、「スチレンアクリル変性量」ともいう)は5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。スチレンアクリル変性量が上記範囲にあると、例えば結着樹脂としてスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂と共にスチレンアクリル樹脂を用いる場合には、両者の親和性が良好になりトナー中におけるスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の分散性が良好なものとなる。
スチレンアクリル変性量は、具体的には、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、即ちポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコール、スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体、並びにこれらを結合させるための両反応性モノマーを合計した全質量に対する、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計質量の割合をいう。
<スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の製造方法>
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル重合セグメントとスチレンアクリル重合セグメントとを両反応性モノマーを介して結合することにより製造することができる。具体的には、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を付加重合させる工程の前、中及び後の少なくともいずれかの時点で、多価カルボン酸及び多価アルコールを存在させて縮重合反応を行うことによって製造することができる。
具体的には、既存の一般的なスキームを採用することができる。代表的な方法としては、以下の3つが挙げられる。
(1)スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の付加重合反応を行った後、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールの縮重合反応を行い、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応をさらに進行させる方法。
(2)ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールの縮重合反応を行った後、スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の付加重合反応を行い、その後、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で、縮重合反応をさらに進行させる方法。
(3)付加重合反応に適した温度条件下で、スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の付加重合反応、並びにポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールの縮重合反応を平行して行い、付加重合反応が終了した後、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で縮重合反応をさらに進行させる方法。
両反応性モノマーは、多価カルボン酸、多価アルコール及び/又はビニル単量体と共に添加する。
両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシル基、より好ましくはカルボキシル基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物、即ち、ビニル系カルボン酸であることが好ましい。両反応性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するビニル化合物や無水マレイン酸等のカルボン酸無水物が挙げられる。
両反応性モノマーの含有量は、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の形成に使用される単量体の総質量100質量%に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましい。
付加重合反応は、例えばラジカル重合開始剤及び架橋剤等の存在下、有機溶媒中又は無溶媒下で常法により行うことができる。温度条件は、110〜200℃が好ましく、140〜180℃がより好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボン酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
縮重合反応は、例えば不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度条件で行うことができ、エステル化触媒及び重合禁止剤等の存在下で行うことが好ましい。エステル化触媒としては、ジブチル錫オキシド、チタン化合物、オクチル酸スズ等のSn−C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂の含有量は、トナー(トナー粒子)の全質量100質量部に対して好ましくは80質量部以上、より好ましくは85質量部以上、さらに好ましくは90質量部以上である。結着樹脂の含有量は、例えば99質量部以下、好ましくは98質量部以下でありうる。
2-3.その他の成分
トナーは、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、キナクリドン顔料等の顔料、離型剤、荷電制御剤、外添剤等が含まれる。離型剤や荷電制御剤等は、内添剤としてトナー粒子の内部に含まれることが好ましく;外添剤は、トナー粒子の外部(例えば粒子表面)に含まれることが好ましい。
<キナクリドン顔料>
トナーは、キナクリドン顔料をさらに含有してもよい。キナクリドン顔料は、特有のπ共役系平面構造を有し、かつカルボニル基やアミノ基等の極性基を有していることから、一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物や一般式(2)で表される色素化合物に対して、配向しやすい。従って、キナクリドン顔料をさらに含有するトナーは、キナクリドン顔料がこれらの金属錯体化合物及び色素化合物との間に強固な配向構造を形成しうると考えられる。それにより、金属錯体化合物や色素化合物が有する可塑性の影響が結着樹脂に及ばないと考えられる。それにより、優れた色調が得られやすいだけでなく、耐オフセット性を向上させうると考えられる。
キナクリドン顔料としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006609924
上記一般式(4)中、R11〜R18は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン原子、又はメトキシ基である。
キナクリドン顔料の具体例としては、以下に示される公知のキナクリドン顔料を挙げることができる。
(1)ジメチルキナクリドン顔料;例えば、C.I.ピグメントレッド122等。
(2)ジクロロキナクリドン顔料;例えば、C.I.ピグメントレッド202やC.I.ピグメントレッド209等。
(3)無置換キナクリドン顔料;例えば、C.I.ピグメントバイオレット19等。
(4)上記キナクリドン顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物又は固溶体。
これらのキナクリドン顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド122を用いることが好ましい。また、使用するキナクリドン顔料は、粉末状や顆粒状又はバルク状といった乾燥状態のものでもよく、ウェットケーキ又はスラリーのような含水状態のものでよい。
キナクリドン顔料の例には、以下の化合物4−1〜4−12が含まれる。
Figure 0006609924
キナクリドン顔料の含有量は、特に限定されないが、トナー(トナー粒子)の全質量100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜7質量部であることがより好ましい。キナクリドン顔料の含有量は、一般式(1)で表される銅錯体化合物の溶媒和物と一般式(2)で表される色素化合物とのキレート反応物(着色剤)の総量100質量部に対して5〜150質量部であることが好ましい。
キナクリドン顔料の含有量が上記範囲にあると、キナクリドン顔料を中心にして一般式(2)で表される色素化合物と一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物とによる配向構造を確実に形成することができる。それにより、当該色素化合物及び/又は当該金属錯体化合物の結着樹脂への溶解を抑制することができ、結着樹脂への可塑性の付与を抑制することができる。その結果、定着分離性が向上するものと考えられる。また、キナクリドン顔料の含有量が上記範囲にあると、定着分離性の向上が得られると共に、定着画像の透明性も維持されて、広い色域で色再現性を確保することができるものと考えられる。
<離型剤>
離型剤としては、特に限定されず、公知のワックスを用いることができる。例えば、炭化水素系ワックス類、エステル系ワックス類、天然物系ワックス類、アミド系ワックス類等を用いることができる。
炭化水素系ワックス類の例としては、低分子量のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの他、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。
エステル系ワックス類の例としては、ベヘン酸ベヘニル、エチレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールベヘン酸エステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸エステル、ネオペンチルグリコールベヘン酸エステル、1,6−ヘキサンジオールステアリン酸エステル、1,6−ヘキサンジオールベヘン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、クエン酸ステアリル、クエン酸ベヘニル、リング酸ステアリル、リング酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコール類とのエステルを挙げることができる。離型剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤の融点は、40〜160℃であることが好ましく、より好ましくは50〜120℃である。融点が上記の範囲であると、トナーの耐熱保存性が確保され、かつ低温で定着を行う場合でもコールドオフセット等を起こさずに安定したトナー画像形成を行いやすい。
離型剤の含有割合は、トナー(トナー粒子)の全質量100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては、カラートナーの色調、透光性に悪影響を及ぼさない無色、白色、或いは淡色の荷電制御剤が好ましく、その具体例としては、サリチル酸誘導体の亜鉛やクロムの金属錯体、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物等が挙げられる。
<外添剤>
外添剤は、トナーの流動性、帯電性及びクリーニング性等を改良する機能を有する。外添剤としては、特に制限されないが、数平均一次粒径が2〜800nm程度の無機微粒子や数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の有機微粒子等であることが好ましい。
外添剤は、以下の無機微粒子、有機微粒子又は滑剤等でありうる。
無機微粒子の例としては、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、ハイドロタルサイト等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、必要に応じて疎水化処理されていてもよい。
有機微粒子の例としては、スチレンやメチルメタクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体による微粒子が挙げられる。
滑剤の例としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
外添剤の合計含有量は、トナー(トナー粒子)の全質量100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましい。
2-4.トナー(トナー粒子)の構成
トナーは、結着樹脂中に着色剤が分散した構造を有しうる。トナーは、コア−シェル構造を有していてもよい。コア−シェル構造を有するトナー粒子は、着色剤や離型剤を含む、ガラス転移点が比較的低めの樹脂で構成されたコア部の表面が、比較的ガラス転移点が高めの樹脂で構成されたシェル層で被覆されたものでありうる。
コア−シェル構造を有するトナーは、シェル層がコア部を完全に被覆した構造を有するものに限定されず、例えばシェル層がコア部を完全に被覆せずに所々コア部が露出したものであってもよい。
コア−シェル構造を有するトナーの構成の好ましい例には、スチレンアクリル樹脂を主成分とし、着色剤や離型剤をさらに含むコア部と、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を主成分とするシェル層とを有する粒子が挙げられる。
コア−シェル構造を有するトナーの断面構造は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プロープ顕微鏡(SPM)等により確認することができる。
(トナーの軟化点)
トナーの軟化点は、トナーの低温定着性を高める観点から、80〜170℃であることが好ましい。
トナーの軟化点は、下記に示されるフローテスターによって測定されうる。具体的には、
1)まず、20℃50%RHの環境下で、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れて平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。
2)次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下で、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出す。そして、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定されるオフセット法温度Toffsetを軟化点とする。
(トナーの平均粒径)
トナーの平均粒径は、トナー粒径の平均値として求められるが、例えば体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましい。体積基準のメジアン径が上記範囲にあると、トナーの転写効率が高くなり、ハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上しやすい。また、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。
トナーの体積基準のメジアン径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出される。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製する。
このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることで、再現性のある測定値を得ることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
トナーの平均粒径は、例えば乳化凝集法にて製造される場合、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成等によって制御されうる。
(トナーの平均円形度)
トナーの平均円形度は、転写効率を高める観点から、0.920〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.940〜0.995である。
トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定されうる。具体的には、試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させる。得られた分散液を、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナーの円形度を下記式(T)により算出する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
得られた各トナーの円形度を加算した値を、全トナー粒子数で除して平均値を算出し、「トナーの平均円形度」とする。
本発明のトナーは、好ましくは電子写真用トナーとして用いられる。
3.トナーの製造方法
本発明のトナーの製造方法は、1)前述の一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る工程と(分散液調製工程);2)重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、上記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程(トナー調製工程)とを含む。
<1)の工程(分散液調製工程)>
一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る。
一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物は、前述の再結晶化工程を行うことにより得ることができる。即ち、一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物は、一般式(3)で表される金属錯体化合物をSP値10以上の貧溶媒とSP値10未満の良溶媒の混合溶媒に溶解させた後、所定の温度に冷却して析出(再結晶化)させた後、分離及び乾燥させて得ることができる。再結晶化工程で用いられる溶媒や析出条件、熟成条件及び乾燥工程における乾燥条件等は、前述の通りである。
金属錯体化合物の溶媒和物の分散処理は、例えば水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行う。金属錯体化合物の溶媒和物の分散処理に使用する分散機としては、特に限定されず、ジルコニアビーズ等を用いたSCミル、超音波分散機、クレアミクス、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機を使用することができる。
(界面活性剤)
水系媒体は、分散させた粒子の凝集を防ぐために、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等の脂肪酸塩が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとを組み合わせたもの、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドとのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖等が好ましい。
界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水系媒体は、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。以下においても同様である。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を使用することが好ましい。
分散液中の金属錯体化合物の溶媒和物粒子の粒子径は、体積基準のメジアン径で10〜300nmであることが好ましい。
分散液中の粒子の体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用いて測定することができる。具体的には、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)にイオン交換水を投入した測定セルをセットして0点調整を行った後;サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)及び1.002(20℃)の測定条件下で、分散液を投入した測定セルを測定することによって得ることができる。
前述の通り、本発明の金属錯体化合物の溶媒和物は、凝集しにくく、凝集したとしても密には凝集しにくい。従って、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を調製する際に、金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体中で、比較的小粒径な状態で、短時間で分散させることができる。このように、分散性の良好な金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を用いて得られるトナーは、着色剤が良好に分散しているため、高い彩度を有しうる。
<2)の工程(トナー調製工程)>
重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、上記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程を経て、トナーを調製する。
トナーの調製は、乳化凝集法、乳化重合凝集法、又はミニエマルション重合凝集法等により行うことができる。中でも、ミニエマルション重合凝集法で調製することが好ましい。
ミニエマルション重合凝集法は、臨界ミセル濃度以下の濃度になるように界面活性剤を溶解させた水系媒体中に、離型剤を溶解させた重合性単量体溶液を投入し、機械エネルギーを利用して10〜1000nmの油滴を形成した分散液を調製する。得られた分散液に、水溶性ラジカル重合開始剤を添加して重合を行い、結着樹脂粒子を得る。
ミニエマルション重合凝集法を採用することで、油滴内で重合を行うことができるので、離型剤が結着樹脂に確実に包含された構造を有するトナーを得ることができる。なお、ミニエマルション重合凝集法では、前述した水溶性ラジカル重合開始剤の添加に代えて、或いは水溶性ラジカル重合開始剤と共に油溶性ラジカル重合開始剤を、前述した単量体溶液中に添加して重合を行うこともできる。
ミニエマルション重合凝集法で結着樹脂粒子を形成する際、互いに組成が異なる結着樹脂で構成される2層以上の構造の結着樹脂粒子を形成することができる。この場合、常法によるミニエマルション重合処理(第1段重合)で調製した第1樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体を添加して重合処理(第2段重合)を行うことで、2層構造を有する結着樹脂粒子を得ることができる。そして、この第2段重合を繰り返すことにより多層構造を有する結着樹脂粒子を得ることができる。
得られた結着樹脂粒子を、色素化合物粒子の分散液や金属錯体化合物の溶媒和粒子の分散液と混合した後、粒子同士を凝集及び融着させて、トナー粒子(トナー)を調製しうる。
金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液、色素化合物粒子の分散液及び必要に応じてキナクリドン顔料の分散液は、後述するミニエマルション法では、(2-3)の工程で他の分散液と混合される例を示すが、これに限定されず、(2-1)の工程で結着樹脂を形成するための重合性単量体と混合されてもよい。金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液、色素化合物粒子の分散液及び必要に応じてキナクリドン顔料の分散液の添加順序は、後述と同様としうる。
ミニエマルション重合凝集法によるトナーの製造方法の一例は、例えば、以下の工程を含みうる。
(2-1)離型剤及び必要に応じて荷電制御剤等のトナー構成成分を、結着樹脂を得るための重合性単量体に溶解又は分散させて重合性単量体溶液を調製する工程(溶解・分散工程)
(2-2)上記(1)の工程で調製した重合性単量体溶液を、水系媒体中において油滴化し、重合性単量体を重合させて結着樹脂粒子の分散液を調製する工程(分散液調製工程)
(2-3)結着樹脂粒子の分散液と、前述の2)の工程で得た金属錯体化合物の溶媒和物の分散液及び色素化合物の分散液とを混合して、結着樹脂粒子、色素化合物粒子及び金属錯体化合物の溶媒和物粒子を、水系媒体中で凝集、融着させて凝集粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(2-4)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状の調整を行い、トナー粒子分散液を調製する工程(熟成工程)
(2-5)トナー粒子分散液を冷却する工程(冷却工程)
(2-6)冷却したトナー粒子分散液より当該トナー粒子を固液分離し、トナー粒子表面から界面活性剤等を除去する工程(濾過・洗浄工程)
(2-7)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程(乾燥工程)
(2-8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程(外添処理工程)
(2-1)溶解・分散工程
結着樹脂を得るための重合性単量体に、離型剤等のトナー粒子構成成分を溶解又は分散させて重合性単量体溶液を調製する。重合性単量体溶液は、後述の重合開始剤及び他の油溶性成分の少なくとも一方をさらに含んでいていてもよい。
トナー粒子中に必要に応じて添加される離型剤、荷電制御剤や磁性粉等の内添剤は、ミニエマルション法によって、上述のように予め樹脂を形成するための単量体溶液に内添剤を溶解又は分散させてトナー粒子中に導入してもよいし;別途、内添剤のみよりなる内添剤粒子の分散液を調製し、凝集・融着工程において他の粒子と共に当該内添剤粒子を凝集させて、トナー粒子中に導入してもよい。中でも、ミニエマルション法によって内添剤を結着樹脂粒子に予め導入しておくことが好ましい。離型剤及び荷電制御剤は、前述のものを用いることができる。
(2-2)分散液調製工程
離型剤と結着樹脂を含有する結着樹脂粒子を形成する。この工程においては、例えば、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を含有した水系媒体中に、上記の重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて油滴を形成する。次いで、水溶性ラジカル重合開始剤を添加して、当該油滴中で重合反応を行う。なお、多層構造の樹脂粒子を形成する場合は、水系媒体中に核粒子となる樹脂粒子を添加しておき、重合反応を行うことが好ましい。
重合性単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法は、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーを加えて分散させる方法が好ましい。機械的エネルギーを加えて油滴分散を行う分散装置は、特に限定されるものではないが、例えば、「クレアミックス(登録商標)」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザー等が挙げられる。
界面活性剤としては、前述と同様のものを使用することができる。
この分散液における結着樹脂粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で、例えば10〜1000nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定されうる。
(2-3)凝集・融着工程
上記(2-2)の工程で得られた結着樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる。具体的には、結着樹脂粒子の分散液に、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液、色素化合物粒子の分散液、及び必要に応じてキナクリドン顔料粒子の分散液を逐次的に添加して混合しうる。分散液の添加順序は、特に制限されないが、良好に分散させやすくするため等から、結着樹脂粒子の分散液に、色素化合物粒子の分散液及び必要に応じてキナクリドン顔料粒子の分散液を添加した後、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を添加することが好ましい。
そして、結着樹脂粒子、色素化合物粒子、及び金属錯体化合物の溶媒和物粒子を、凝集及び融着させる。この凝集及び融着工程の途中段階で、樹脂組成の異なる結着樹脂微粒子、例えばメタクリル酸由来の構成単位の含有量が10〜20質量%であるスチレンアクリル樹脂の分散液を添加して凝集を行うこともできる。
一般式(2)で表される色素化合物の分散液は、市販のものを用いてもよいし、以下の方法で調製したものであってもよい。キナクリドン顔料の分散液の調製についても同様である。
(色素化合物の分散液の調製)
一般式(2)で表される色素化合物は、表面改質されていてもよい。色素化合物の表面改質は、例えば溶媒中に一般式(2)で表される色素化合物を分散させた後、当該分散液中に表面改質剤を添加して昇温させて反応させることにより行うことができる。反応終了後、一般式(2)で表される色素化合物を濾別し、同一溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥処理して、表面改質剤で処理された色素化合物を得ることができる。
色素化合物粒子の分散液における色素化合物粒子、及びキナクリドン顔料の分散液におけるキナクリドン顔料粒子の体積基準のメジアン径は、前述の金属錯体化合物の溶媒和物粒子のメジアン径と同様に、10〜300nmであることが好ましい。色素化合物粒子やキナクリドン顔料粒子のメジアン径の測定方法は、前述の金属錯体化合物の溶媒和物粒子のメジアン径の測定方法と同様である。
本発明では、結着樹脂粒子等が存在する水系媒体中に、無金属凝集剤を臨界凝集濃度以上添加することにより、微粒子を凝集させた後、結着樹脂のガラス転移点以上で、かつ離型剤の融解ピーク温度以上の温度に加熱して凝集と同時に融着を進行させることが好ましい。
凝集及び融着工程では、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な凝集及び融着の進行により粗大粒子が発生することもあるので、これを抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、結着樹脂粒子、色素化合物粒子及び金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液が、ガラス転移点以上かつ離型剤の融解ピーク温度以上の温度に到達した後は、当該分散液の温度を一定時間保持して、凝集及び融着を継続させることが重要である。このように、分散液温度を一定時間保持することで、トナー粒子の成長(結着樹脂粒子、色素化合物粒子及び金属錯体化合物の溶媒和物粒子等の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが効果的に進行して、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上させることができる。
(2-4)熟成工程
凝集粒子の形状が所望の平均円形度になるまで、凝集粒子を含む溶液を加熱撹拌する。具体的には、凝集粒子の形状が所望の平均円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度及び加熱時間を調整する。それにより、所望の形状を有するトナー粒子を形成する。この工程においては、熱エネルギー(加熱)によりトナー粒子の形状制御を行うことが好ましい。
また、この工程では、トナー粒子分散液にさらに結着樹脂粒子の分散液を添加して、結着樹脂粒子を粒子表面に付着及び融着させて、コア−シェル構造のトナー粒子を形成してもよい。この場合、シェルを形成する結着樹脂粒子のガラス転移点を、コアを構成する結着樹脂粒子のガラス転移点よりも20℃以上高くすることが好ましい。
シェルを形成する結着樹脂粒子が、イオン性解離基を有する重合性単量体を原料とする樹脂(親水性樹脂)とイオン性解離基のない重合性単量体のみを原料とする樹脂(疎水性樹脂)を含有して構成される場合は、この熟成工程において親水性樹脂を凝集粒子の表面側に、疎水性樹脂を凝集粒子の内部側に配向させることによりコア−シェル構造のトナー粒子を形成することができる。
(2-5)冷却工程
トナー粒子分散液を冷却処理する。冷却処理時の冷却速度は、1〜20℃/分程度であることが好ましい。
冷却処理方法は、特に限定されず、反応容器の外部から冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法等でありうる。
(2-6)濾過・洗浄工程〜(2-7)乾燥工程
濾過及び洗浄工程、並びに乾燥工程は、公知の方法で行うことができる。
(2-8)外添処理工程
乾燥処理したトナー粒子に、必要に応じて外添剤を添加及び混合する。外添剤は、前述のものを用いることができる。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー粒子に粉体状の外添剤を添加して混合する乾式法が挙げられる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を用いることができる。
このようにして得られるトナーは、本発明の金属錯体化合物の溶媒和物を用いた着色剤を含むことから、着色剤がトナー中で良好に微分散しうる。それにより、高彩度のトナーを得ることができる。
4.現像剤
本発明の現像剤は、本発明のトナーを含む。具体的には、本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用されてもよいし;キャリアと混合して二成分現像剤として使用されてもよい。
トナーを一成分用現像剤として用いる場合は、非磁性一成分用現像剤、又はトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させた磁性一成分用現像剤としうる。
トナーを二成分用現像剤として使用する場合は、キャリアとしては、公知のキャリアを用いることができる。キャリアの具体例としては、鉄等の金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、これらの化合物とアルミニウム、鉛等の金属との合金等が挙げられ、好ましくはフェライトでありうる。また、キャリアとしては、磁性金属や磁性酸化物、或いはガラスビーズの表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散した樹脂分散型キャリア等を用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、トナーに対し相対的に正帯電性を示すものが好ましく、例えばオレフィン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エステル樹脂、フッ素含有重合体樹脂等が挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、公知のものが使用でき、例えばアクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
キャリアは、外添剤の離脱防止や耐久性の観点から、好ましくはアクリル樹脂で被覆したコートキャリアでありうる。
キャリアの体積基準のメジアン径(D50)は、20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径(D50)は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「へロス(HELOS)」(シンパテイック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.金属錯体化合物の溶媒和物の調製
<実施例1>
三口フラスコに、金属錯体化合物(3-8)400g、トルエン700ml及びメタノール300mlを加えて、温水で65℃まで加熱、撹拌を行った。金属錯体化合物(3-8)が完全に溶解したのを確認した後、温水での加熱を停止し、自然冷却させた。飽和溶解度を下回り、溶解液が濁り初め、結晶が析出し初めたのが観測された温度で4時間維持した。4時間後、得られた溶液を室温まで冷却し、ヌッチェを用いて100μmメッシュで濾過して溶媒を除去して、析出物を得た。
Figure 0006609924
その後、副生成物を除去するために、得られた析出物の2倍量のトルエンで掛け洗いを行った。次に、残留トルエンを洗い流すために、析出物の6倍量のメタノールで掛け洗いを行った。得られた析出物を、40℃で3日間乾燥させて、金属錯体化合物の溶媒和物1を得た。
<実施例2>
メタノールをエタノールに変更した以外は実施例1と同様にして金属錯体化合物の溶媒和物2を得た。
<実施例3>
金属錯体化合物(3-8)を金属錯体化合物(3-1)に変更し、トルエンを酢酸エチルに変更し、メタノールをイソプロパノールに変更した以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物の溶媒和物3を得た。
Figure 0006609924
<比較例1>
メタノールをトルエンに変更し、溶媒をトルエン単独とした以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物4を得た。
<比較例2>
金属錯体化合物(3-8)を金属錯体化合物(3-1)に変更し、トルエン700mlをトルエン300mlに変更し、メタノール300mlをベンゼン700mlに変更した以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物5を得た。
<比較例3>
メタノールを酢酸ブチルに変更し、溶媒を酢酸ブチル単独とした以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物6を得た。
<比較例4>
国際公開第2011/010509号の段落0150及び0151に示される合成例1に記載の方法で、前述の金属錯体化合物(3-8)を合成した。
得られた金属錯体化合物の溶媒和物1〜3、金属錯体化合物4〜6及び金属錯体化合物(3-8)のDSC測定及びGC-MS測定を行った。
(DSC測定)
金属錯体化合物の溶媒和物又は金属錯体化合物の試料1.0〜5.0mg程度をセル内に封入し、DSC装置PerkinElmer Diamond DSC with Autosamplerにセットした。そして、昇温速度10℃/minで0〜150℃まで昇温させたときの吸熱ピークの温度及びΔHを測定した。ΔHは、吸熱ピークの面積から求められる融解エンタルピー(単位:J/g)である。
そして、90〜100℃の領域で確認される溶媒和している結晶(β結晶)に由来する吸熱ピークのΔHと、115〜130℃の領域で確認される溶媒和していない結晶(α結晶)に由来する吸熱ピークのΔHとを下記式に当てはめて、β結晶存在比率(%)を求めた。
β結晶存在比率(%)=β結晶のΔH/(α結晶のΔH+β結晶のΔH)×100
そして、β結晶存在比率が50%以上である場合に溶媒和物と判断した。
(GC−MS測定)
GC−MS測定は、以下の条件で行った。
測定装置:GC/MS島津製作所製 型式:GC−17A/QP−5050A
カラム:DB-1(0.25μm/30m)
キャリアガス:N
注入量:0.2μL
インジェクション温度(INJ Temp):100℃
検出器温度(DET Temp):120℃
温度条件:COL Temp:60℃(HOLD:2min)→10min→120℃(HOLD:2min)
実施例1〜3及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 0006609924
表1に示されるように、SP値10未満の良溶媒とSP値10以上の貧溶媒との混合溶媒下で析出させた実施例1〜3の金属錯体化合物の溶媒和物は、いずれも溶媒和していることを確認した。一方、SP値10未満の良溶媒のみを用いて析出させた比較例1〜3の金属錯体化合物4〜6は、いずれも溶媒和していないことを確認した。また、比較例4で得られた金属錯体化合物(3-8)も、溶媒和していないことを確認した。
2.着色剤用分散液の調製
2-1.金属錯体化合物粒子の分散液の調製
(金属錯体化合物の分散液1の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌しながら溶解して、界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、実施例1で得られた金属錯体化合物1(溶媒和物)を19.4質量部徐々に添加し、次いで、「SCミル」(日本コークス社製/MSC50)を用いて30分間分散処理した。それにより、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液1を調製した。
(金属錯体化合物の分散液2の調製)
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、実施例2で得られた金属錯体化合物の溶媒和物2に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液2を調製した。
(金属錯体化合物の分散液3の調製)
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、実施例3で得られた金属錯体化合物の溶媒和物3に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液3を調製した。
(金属錯体化合物の分散液4の調製)
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、比較例1で得られた金属錯体化合物4に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物粒子の分散液4を調製した。
(金属錯体化合物の分散液5の調製)
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、比較例2で得られた金属錯体化合物5に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物粒子の分散液5を調製した。
(金属錯体化合物の分散液6の調製)
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、比較例3で得られた金属錯体化合物6に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物粒子の分散液6を調製した。
得られた分散液中の金属錯体化合物粒子のメジアン径D50を、以下の方法で測定した。この結果を表2に示す。
(メジアン径D50
測定装置として、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を準備した。この装置に、イオン交換水を投入した測定セルをセットして0点調整を行った。次いで、分散液を投入した測定セルを上記装置にセットし、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)及び1.002(20℃)の測定条件で、体積基準のメジアン径を測定した。
Figure 0006609924
表2に示されるように、分散液1〜3に含まれる金属錯体化合物の溶媒和物粒子は、分散液4〜6に含まれる金属錯体化合物の粒子よりも、メジアン径D50が小さく、分散性が高いことが示される。
2-2.色素化合物粒子の分散液の調製
(色素化合物(2-5)粒子の分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌しながら溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、色素化合物(2-5)20質量部を徐々に添加し、次いで、「SCミル」(日本コークス社製/MSC50)を用いて30分間分散処理した。それにより、色素化合物(2-5)粒子の分散液を調製した。
Figure 0006609924
得られた分散液における色素化合物(2-5)粒子の体積基準のメジアン径D50を前述の方法で測定したところ、221nmであった。
(色素化合物(2-4)粒子の分散液の調製)
色素化合物(2-5)粒子の分散液の調製において、色素化合物(2-5)を色素化合物(2-4)に変更した以外は同様にして色素化合物(2-4)粒子の分散液を調製した。
Figure 0006609924
得られた分散液における色素化合物(2-4)粒子の体積基準のメジアン径D50を前述の方法で測定したところ、230nmであった。
3.トナーの調製
<実施例4>
3-1.結着樹脂粒子の分散液の調製
(結着樹脂粒子〔A〕の分散液の調製)
(1-1)第1段重合:内層の形成
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、予めアニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
このアニオン性界面活性剤溶液に重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
・スチレン 540質量部
・n−ブチルアクリレート 154質量部
・メタクリル酸 77質量部
・n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる単量体溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱及び撹拌して重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子〔a1〕の分散液を調製した。
(1-2)第2段重合:中間層の形成
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
・スチレン 94質量部
・n−ブチルアクリレート 27質量部
・メタクリル酸 6質量部
・n−オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、離型剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液〔2〕を調製した。
一方、アニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温した。この界面活性剤溶液に上記の樹脂粒子〔a1〕の分散液を、樹脂粒子〔a1〕の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(登録商標)」(エム・テクニック社製)により、上記単量体溶液〔2〕を4時間にわたって混合、分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
この分散液に、重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱及び撹拌して重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子〔a11〕の分散液を調製した。
(1-3)第3段重合:外層の形成
上記の樹脂粒子〔a11〕の分散液に、重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
・スチレン 230質量部
・n−ブチルアクリレート 78質量部
・メタクリル酸 16質量部
・n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなる単量体溶液〔3〕を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱及び撹拌して重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にスチレンアクリル樹脂からなる結着樹脂粒子〔A〕が分散された結着樹脂粒子〔A〕の分散液を作製した。結着樹脂粒子〔A〕のガラス転移点は45℃、軟化点は100℃であった。
(結着樹脂粒子〔B〕の分散液の調製)
(2-1)スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:500質量部
・テレフタル酸:117質量部
・フマル酸:82質量部
・エステル化触媒(オクチル酸スズ):2質量部
を入れ、230℃で8時間重縮合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した。その後、
・アクリル酸 10質量部
・スチレン 30質量部
・ブチルアクリレート 7質量部
・重合開始剤(過酸化ジ−t−ブチル)10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、得られた溶液を160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した。その後、アクリル酸、スチレン及びブチルアクリレートを除去して、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。このスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は60℃、軟化点は105℃であった。
(2-2)結着樹脂粒子〔B〕の分散液の調製
得られたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(株式会社徳寿工作所製)で粉砕した。予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が250nmである、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂からなる結着樹脂粒子〔B〕の分散液を作製した。
3-2.凝集剤水溶液の調製
塩化マグネシウムを水に分散させて、凝集剤水溶液〔1〕を得た。
3-3.マゼンタトナー〔1〕の調製
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、上記調製した結着樹脂粒子〔A〕の分散液391.5質量部(固形分換算)、及びイオン交換水1700質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.5に調整した。
次いで、色素化合物(2-5)粒子の分散液を5質量部(固形分換算)投入した後、金属錯体化合物(溶媒和物)粒子の分散液1を5質量部投入し、さらに凝集剤水溶液〔1〕4.5質量部(固形分換算)を、30℃において撹拌しながら10分間かけて添加した。その後、得られた溶液を3分間放置した後、60分間かけて85℃まで昇温し、上記結着樹脂粒子〔B〕の分散液58.5質量部(固形分換算)を添加した後、85℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
その後、85℃にて金属錯体化合物粒子(溶媒和物)の分散液1を38質量部(固形分換算)添加し、そのまま加熱撹拌して粒子の融着を進行させた。そして、トナー粒子の平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて(HPF検出数を4000個)、平均円形度が0.945になった時点で、分散液を30℃に冷却した。これにより、マゼンタのトナー粒子〔1〕の分散液を得た。
得られた分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子〔1〕のウェットケーキを得た。このウェットケーキを、遠心分離機を用いて濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄した後、「フラッシュジェットドライヤー」(株式会社セイシン企業製)に移し、水分量が0.6質量%以下となるまで乾燥させた。
乾燥させたトナー粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径:12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、マゼンタトナー〔1〕を調製した。
3-4.現像剤〔1〕の調製
マゼンタトナー〔1〕と、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアとを、マゼンタトナー〔1〕の濃度が6質量%となるように混合して、現像剤〔1〕を得た。
<実施例5:マゼンタトナー〔2〕及び現像剤〔2〕の調製>
金属錯体化合物粒子の分散液1を、金属錯体化合物粒子の分散液2に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔2〕及び現像剤〔2〕を調製した。
<実施例6:マゼンタトナー〔3〕及び現像剤〔3〕の調製>
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液3に変更し、かつ色素化合物粒子(2-5)の分散液を色素化合物粒子(2-4)の分散液に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔3〕及び現像剤〔3〕を調製した。
<比較例5:マゼンタトナー〔4〕及び現像剤〔4〕の調製>
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液4に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔4〕及び現像剤〔4〕を調製した。
<比較例6:マゼンタトナー〔5〕及び現像剤〔5〕の調製>
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液5に変更し、かつ色素化合物粒子(2-5)の分散液を色素化合物粒子(2-4)の分散液に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔5〕及び現像剤〔5〕を調製した。
<比較例7:マゼンタトナー〔6〕及び現像剤〔6〕の調製>
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液6に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔6〕及び現像剤〔6〕を調製した。
得られた現像剤1〜6について、以下の評価を行った。
(反射濃度)
得られた現像剤を用いて、「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)」にて、デフォルトモードで反射濃度測定用のテストチャートを出力した。得られたテストチャートについて、「PDA−65濃度計」(コニカ社製)によってニュートラル反射濃度測定を行った。
反射濃度が1.40以上である場合を合格と判断した。
(彩度)
得られた現像剤を用いて、「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)にて、マゼンタ単色のベタ画像(2cm×2cm)を出力した。得られたベタ画像について、「Spectrolina/Scan Bundle」(Gretag Macbeth社製)によって色域を測定し、L*** 座標から彩度を算出した。
色域の測定は以下の条件で行った。
(測定条件)
光源:D50光源
観測視野:2°
濃度:ANSI T
白色基準:Abs
フィルター:UV Cut
測定モード:リフレクタンス
言語:Japanese
彩度が80以上である場合を合格と判断した。
実施例4〜6及び比較例5〜7の評価結果を表3に示す。
Figure 0006609924
表3に示されるように、実施例4〜6で得られた現像剤は、比較例5〜7で得られた現像剤よりも、画像の反射濃度が高く、かつ彩度も高いことが示される。この理由は必ずしも明らかではないが、実施例4〜6の現像剤のトナーに含まれる金属錯体化合物の溶媒和物が、比較例5〜7のトナーに含まれる金属錯体化合物よりも粒子径が小さく、良好に分散しているためであると考えられる。
本発明によれば、分散性が高い金属錯体化合物及びそれにより高彩度のトナーを提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される、金属錯体化合物の溶媒和物。
    Figure 0006609924
    (前記一般式(1)中、
    は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
    は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
    は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜40の芳香族炭化水素含有基であり、
    Mは、銅原子、亜鉛原子またはニッケル原子であり、
    Xは、エタノールまたはイソプロパノールであり、
    nは、1〜3の整数である)
  2. 前記Mは、銅原子である、
    請求項1に記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
  3. 請求項1または2に記載の金属錯体化合物の溶媒和物と下記一般式(2)で表される色素化合物とのキレート化合物である着色剤と、結着樹脂とを含有する、トナー。
    Figure 0006609924
    (前記一般式(2)中、
    Rx及びRxは、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
    Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
    Gxは、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
    Gxは、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
    Gxは、水素原子、ハロゲン原子、Gx−CO−NH−で表される基、又はGx−N(Gx)−CO−で表される基であり、
    Gxは、有機基であり、
    Gx及びGxは、それぞれ水素原子又は有機基であり、
    Qx〜Qxは、それぞれ水素原子又は有機基である)
  4. 前記結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる一種以上である、
    請求項に記載のトナー。
  5. 請求項3又は4に記載のトナーを含む、現像剤。
  6. 下記式(3)で表される金属錯体化合物を、SP値が11.5〜17のアルコールからなる貧溶媒と、SP値が7.3〜9.2の良溶媒との混合溶媒に溶解させた溶液を冷却して析出物を分離し、水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る工程と、
    重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、前記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と下記一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程と
    を含む、トナーの製造方法。
    Figure 0006609924
    (前記一般式(3)中、
    は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
    は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
    は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜40の芳香族炭化水素含有基であり、
    Mは、銅原子、亜鉛原子またはニッケル原子である)
    Figure 0006609924
    (前記一般式(2)中、
    Rx及びRxは、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
    Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
    Gxは、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
    Gxは、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
    Gxは、水素原子、ハロゲン原子、Gx−CO−NH−で表される基、又はGx−N(Gx)−CO−で表される基であり、
    Gxは、有機基であり、
    Gx及びGxは、それぞれ水素原子又は有機基であり、
    Qx〜Qxは、それぞれ水素原子又は有機基である)
  7. 前記SP値が11.5〜17のアルコールは、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールであり、
    前記SP値が7.3〜9.2の良溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、またはベンゼンである、
    請求項6に記載のトナーの製造方法
  8. 前記貧溶媒と前記良溶媒との含有比率が、質量比で1:9〜5:5である、
    請求項6または7に記載のトナーの製造方法。
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