JP6609924B2 - 金属錯体化合物の溶媒和物、それを用いたトナー及びその製造方法、並びに現像剤 - Google Patents
金属錯体化合物の溶媒和物、それを用いたトナー及びその製造方法、並びに現像剤 Download PDFInfo
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Description
R1は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
R2は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
R3は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜120の芳香族炭化水素含有基であり、
Mは、二価の金属原子であり、
Xは、溶媒の分子であり、
nは、1〜3の整数である)
[2] 前記溶媒のSP値が10〜25である、[1]に記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
[3] 前記溶媒は、アルコールである、[1]又は[2]に記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
[4] 前記金属原子は、銅原子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属錯体化合物の溶媒和物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の金属錯体化合物の溶媒和物と下記一般式(2)で表される色素化合物とのキレート化合物である着色剤と、結着樹脂とを含有する、トナー。
Rx1及びRx2は、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
Gx1は、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Gx2は、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
Gx3は、水素原子、ハロゲン原子、Gx4−CO−NH−で表される基、又はGx5−N(Gx6)−CO−で表される基であり、
Gx4は、有機基であり、
Gx5及びGx6は、それぞれ水素原子又は有機基であり、
Qx1〜Qx5は、それぞれ水素原子又は有機基である)
[6] 前記結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる一種以上である、[5]に記載のトナー。
[7] [1]〜[4]のいずれかに記載の金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る工程と、重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、前記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と下記一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程と
を含む、トナーの製造方法。
Rx1及びRx2は、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
Gx1は、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Gx2は、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
Gx3は、水素原子、ハロゲン原子、Gx4−CO−NH−で表される基、又はGx5−N(Gx6)−CO−で表される基であり、
Gx4は、有機基であり、
Gx5及びGx6は、それぞれ水素原子又は有機基であり、
Qx1〜Qx5は、それぞれ水素原子又は有機基である)
[8] 前記金属錯体化合物の溶媒和物は、下記一般式(3)で表される金属錯体化合物を、SP値が10以上である貧溶媒とSP値が10未満である良溶媒の混合溶媒に溶解させた溶液を冷却して析出物を得た後、該析出物を分離して得られる、[7]に記載のトナーの製造方法。
R1は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
R2は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
R3は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜120の芳香族炭化水素含有基であり、
Mは、二価の金属原子である)
[9] 前記貧溶媒と前記良溶媒との含有比率が、質量比で1:9〜5:5である、[7]又は[8]に記載のトナーの製造方法。
[10] [5]又は[6]に記載のトナーを含む、現像剤。
置換基の例としては、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素アリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、これらの基はさらに同様の基で置換されていてもよい。
アリールスルホニル基の例には、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等が挙げられる。アシル基の例には、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例には、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
β結晶存在比率(%)=β結晶のΔH/(α結晶のΔH+β結晶のΔH)×100
良好な分散性を得る観点から、β結晶存在比率が50%以上である場合に溶媒和物となっていると判断する。
本発明のトナーは、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される色素化合物とをキレート反応させて得られる着色剤と、結着樹脂とを含む。本発明におけるトナーとは、着色剤及び結着樹脂を含み、必要に応じて内添剤及び/又は外添剤をさらに含有するトナー粒子をいう。外添剤はトナー粒子の外部(好ましくは粒子表面)に添加されるものであり、内添剤はトナー粒子の内部に添加されるものである。
トナーに含有される結着樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、一般的にトナーの結着樹脂として用いられるものを制限なく用いることができる。
スチレンアクリル樹脂は、少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを共重合させて得られる重合体である。
測定試料(スチレンアクリル樹脂)を、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに添加し、超音波分散機を用いて室温にて5分間超音波処理を行い、溶解させる。次いで、溶解させた溶液を、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得る。
得られた試料溶液10μLを、上記キャリア溶媒とともに、装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。測定試料が有する分子量分布を、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。
検量線測定用の標準ポリスチレン試料は、Pressure Chemical社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いることができる。
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、スチレンアクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合した構造を有するビニル変性ポリエステル樹脂である。スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル重合セグメントの末端にスチレンアクリル重合セグメントが結合されたブロック共重合体構造を有するものであってもよいし;ポリエステル重合セグメントにスチレンアクリル重合セグメントの分岐構造が形成されたグラフト共重合体構造を有するものであってもよい。
スチレンアクリル重合セグメントは、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させて得られるものである。
ポリエステル重合セグメントは、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸又はその誘導体と、1分子中に水酸基を2個以上含有する多価アルコール又はその誘導体により形成されるものである。
2価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
3価以上のアルコールの具体例としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
これらの多価アルコールは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
2価のカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、メサコン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
これらの多価カルボン酸は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル重合セグメントとスチレンアクリル重合セグメントとを両反応性モノマーを介して結合することにより製造することができる。具体的には、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を付加重合させる工程の前、中及び後の少なくともいずれかの時点で、多価カルボン酸及び多価アルコールを存在させて縮重合反応を行うことによって製造することができる。
(1)スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の付加重合反応を行った後、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールの縮重合反応を行い、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応をさらに進行させる方法。
(2)ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールの縮重合反応を行った後、スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の付加重合反応を行い、その後、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で、縮重合反応をさらに進行させる方法。
(3)付加重合反応に適した温度条件下で、スチレンアクリル重合セグメントを形成するためのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体の付加重合反応、並びにポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールの縮重合反応を平行して行い、付加重合反応が終了した後、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で縮重合反応をさらに進行させる方法。
トナーは、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、キナクリドン顔料等の顔料、離型剤、荷電制御剤、外添剤等が含まれる。離型剤や荷電制御剤等は、内添剤としてトナー粒子の内部に含まれることが好ましく;外添剤は、トナー粒子の外部(例えば粒子表面)に含まれることが好ましい。
トナーは、キナクリドン顔料をさらに含有してもよい。キナクリドン顔料は、特有のπ共役系平面構造を有し、かつカルボニル基やアミノ基等の極性基を有していることから、一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物や一般式(2)で表される色素化合物に対して、配向しやすい。従って、キナクリドン顔料をさらに含有するトナーは、キナクリドン顔料がこれらの金属錯体化合物及び色素化合物との間に強固な配向構造を形成しうると考えられる。それにより、金属錯体化合物や色素化合物が有する可塑性の影響が結着樹脂に及ばないと考えられる。それにより、優れた色調が得られやすいだけでなく、耐オフセット性を向上させうると考えられる。
(1)ジメチルキナクリドン顔料;例えば、C.I.ピグメントレッド122等。
(2)ジクロロキナクリドン顔料;例えば、C.I.ピグメントレッド202やC.I.ピグメントレッド209等。
(3)無置換キナクリドン顔料;例えば、C.I.ピグメントバイオレット19等。
(4)上記キナクリドン顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物又は固溶体。
これらのキナクリドン顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド122を用いることが好ましい。また、使用するキナクリドン顔料は、粉末状や顆粒状又はバルク状といった乾燥状態のものでもよく、ウェットケーキ又はスラリーのような含水状態のものでよい。
離型剤としては、特に限定されず、公知のワックスを用いることができる。例えば、炭化水素系ワックス類、エステル系ワックス類、天然物系ワックス類、アミド系ワックス類等を用いることができる。
エステル系ワックス類の例としては、ベヘン酸ベヘニル、エチレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールベヘン酸エステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸エステル、ネオペンチルグリコールベヘン酸エステル、1,6−ヘキサンジオールステアリン酸エステル、1,6−ヘキサンジオールベヘン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、クエン酸ステアリル、クエン酸ベヘニル、リング酸ステアリル、リング酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコール類とのエステルを挙げることができる。離型剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
荷電制御剤としては、カラートナーの色調、透光性に悪影響を及ぼさない無色、白色、或いは淡色の荷電制御剤が好ましく、その具体例としては、サリチル酸誘導体の亜鉛やクロムの金属錯体、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物等が挙げられる。
外添剤は、トナーの流動性、帯電性及びクリーニング性等を改良する機能を有する。外添剤としては、特に制限されないが、数平均一次粒径が2〜800nm程度の無機微粒子や数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の有機微粒子等であることが好ましい。
無機微粒子の例としては、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、ハイドロタルサイト等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、必要に応じて疎水化処理されていてもよい。
有機微粒子の例としては、スチレンやメチルメタクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体による微粒子が挙げられる。
滑剤の例としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
トナーは、結着樹脂中に着色剤が分散した構造を有しうる。トナーは、コア−シェル構造を有していてもよい。コア−シェル構造を有するトナー粒子は、着色剤や離型剤を含む、ガラス転移点が比較的低めの樹脂で構成されたコア部の表面が、比較的ガラス転移点が高めの樹脂で構成されたシェル層で被覆されたものでありうる。
トナーの軟化点は、トナーの低温定着性を高める観点から、80〜170℃であることが好ましい。
1)まず、20℃50%RHの環境下で、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れて平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。
2)次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下で、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出す。そして、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定されるオフセット法温度Toffsetを軟化点とする。
トナーの平均粒径は、トナー粒径の平均値として求められるが、例えば体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましい。体積基準のメジアン径が上記範囲にあると、トナーの転写効率が高くなり、ハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上しやすい。また、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。
このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることで、再現性のある測定値を得ることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
トナーの平均円形度は、転写効率を高める観点から、0.920〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.940〜0.995である。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
得られた各トナーの円形度を加算した値を、全トナー粒子数で除して平均値を算出し、「トナーの平均円形度」とする。
本発明のトナーの製造方法は、1)前述の一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る工程と(分散液調製工程);2)重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、上記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程(トナー調製工程)とを含む。
一般式(1)で表される金属錯体化合物の溶媒和物を水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る。
水系媒体は、分散させた粒子の凝集を防ぐために、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、上記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程を経て、トナーを調製する。
(2-1)離型剤及び必要に応じて荷電制御剤等のトナー構成成分を、結着樹脂を得るための重合性単量体に溶解又は分散させて重合性単量体溶液を調製する工程(溶解・分散工程)
(2-2)上記(1)の工程で調製した重合性単量体溶液を、水系媒体中において油滴化し、重合性単量体を重合させて結着樹脂粒子の分散液を調製する工程(分散液調製工程)
(2-3)結着樹脂粒子の分散液と、前述の2)の工程で得た金属錯体化合物の溶媒和物の分散液及び色素化合物の分散液とを混合して、結着樹脂粒子、色素化合物粒子及び金属錯体化合物の溶媒和物粒子を、水系媒体中で凝集、融着させて凝集粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(2-4)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状の調整を行い、トナー粒子分散液を調製する工程(熟成工程)
(2-5)トナー粒子分散液を冷却する工程(冷却工程)
(2-6)冷却したトナー粒子分散液より当該トナー粒子を固液分離し、トナー粒子表面から界面活性剤等を除去する工程(濾過・洗浄工程)
(2-7)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程(乾燥工程)
(2-8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程(外添処理工程)
結着樹脂を得るための重合性単量体に、離型剤等のトナー粒子構成成分を溶解又は分散させて重合性単量体溶液を調製する。重合性単量体溶液は、後述の重合開始剤及び他の油溶性成分の少なくとも一方をさらに含んでいていてもよい。
離型剤と結着樹脂を含有する結着樹脂粒子を形成する。この工程においては、例えば、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を含有した水系媒体中に、上記の重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて油滴を形成する。次いで、水溶性ラジカル重合開始剤を添加して、当該油滴中で重合反応を行う。なお、多層構造の樹脂粒子を形成する場合は、水系媒体中に核粒子となる樹脂粒子を添加しておき、重合反応を行うことが好ましい。
上記(2-2)の工程で得られた結着樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる。具体的には、結着樹脂粒子の分散液に、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液、色素化合物粒子の分散液、及び必要に応じてキナクリドン顔料粒子の分散液を逐次的に添加して混合しうる。分散液の添加順序は、特に制限されないが、良好に分散させやすくするため等から、結着樹脂粒子の分散液に、色素化合物粒子の分散液及び必要に応じてキナクリドン顔料粒子の分散液を添加した後、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を添加することが好ましい。
そして、結着樹脂粒子、色素化合物粒子、及び金属錯体化合物の溶媒和物粒子を、凝集及び融着させる。この凝集及び融着工程の途中段階で、樹脂組成の異なる結着樹脂微粒子、例えばメタクリル酸由来の構成単位の含有量が10〜20質量%であるスチレンアクリル樹脂の分散液を添加して凝集を行うこともできる。
一般式(2)で表される色素化合物は、表面改質されていてもよい。色素化合物の表面改質は、例えば溶媒中に一般式(2)で表される色素化合物を分散させた後、当該分散液中に表面改質剤を添加して昇温させて反応させることにより行うことができる。反応終了後、一般式(2)で表される色素化合物を濾別し、同一溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥処理して、表面改質剤で処理された色素化合物を得ることができる。
凝集粒子の形状が所望の平均円形度になるまで、凝集粒子を含む溶液を加熱撹拌する。具体的には、凝集粒子の形状が所望の平均円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度及び加熱時間を調整する。それにより、所望の形状を有するトナー粒子を形成する。この工程においては、熱エネルギー(加熱)によりトナー粒子の形状制御を行うことが好ましい。
トナー粒子分散液を冷却処理する。冷却処理時の冷却速度は、1〜20℃/分程度であることが好ましい。
濾過及び洗浄工程、並びに乾燥工程は、公知の方法で行うことができる。
乾燥処理したトナー粒子に、必要に応じて外添剤を添加及び混合する。外添剤は、前述のものを用いることができる。
本発明の現像剤は、本発明のトナーを含む。具体的には、本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用されてもよいし;キャリアと混合して二成分現像剤として使用されてもよい。
<実施例1>
三口フラスコに、金属錯体化合物(3-8)400g、トルエン700ml及びメタノール300mlを加えて、温水で65℃まで加熱、撹拌を行った。金属錯体化合物(3-8)が完全に溶解したのを確認した後、温水での加熱を停止し、自然冷却させた。飽和溶解度を下回り、溶解液が濁り初め、結晶が析出し初めたのが観測された温度で4時間維持した。4時間後、得られた溶液を室温まで冷却し、ヌッチェを用いて100μmメッシュで濾過して溶媒を除去して、析出物を得た。
メタノールをエタノールに変更した以外は実施例1と同様にして金属錯体化合物の溶媒和物2を得た。
金属錯体化合物(3-8)を金属錯体化合物(3-1)に変更し、トルエンを酢酸エチルに変更し、メタノールをイソプロパノールに変更した以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物の溶媒和物3を得た。
メタノールをトルエンに変更し、溶媒をトルエン単独とした以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物4を得た。
金属錯体化合物(3-8)を金属錯体化合物(3-1)に変更し、トルエン700mlをトルエン300mlに変更し、メタノール300mlをベンゼン700mlに変更した以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物5を得た。
メタノールを酢酸ブチルに変更し、溶媒を酢酸ブチル単独とした以外は実施例1と同様にして、金属錯体化合物6を得た。
国際公開第2011/010509号の段落0150及び0151に示される合成例1に記載の方法で、前述の金属錯体化合物(3-8)を合成した。
金属錯体化合物の溶媒和物又は金属錯体化合物の試料1.0〜5.0mg程度をセル内に封入し、DSC装置PerkinElmer Diamond DSC with Autosamplerにセットした。そして、昇温速度10℃/minで0〜150℃まで昇温させたときの吸熱ピークの温度及びΔHを測定した。ΔHは、吸熱ピークの面積から求められる融解エンタルピー(単位:J/g)である。
そして、90〜100℃の領域で確認される溶媒和している結晶(β結晶)に由来する吸熱ピークのΔHと、115〜130℃の領域で確認される溶媒和していない結晶(α結晶)に由来する吸熱ピークのΔHとを下記式に当てはめて、β結晶存在比率(%)を求めた。
β結晶存在比率(%)=β結晶のΔH/(α結晶のΔH+β結晶のΔH)×100
そして、β結晶存在比率が50%以上である場合に溶媒和物と判断した。
GC−MS測定は、以下の条件で行った。
測定装置:GC/MS島津製作所製 型式:GC−17A/QP−5050A
カラム:DB-1(0.25μm/30m)
キャリアガス:N2
注入量:0.2μL
インジェクション温度(INJ Temp):100℃
検出器温度(DET Temp):120℃
温度条件:COL Temp:60℃(HOLD:2min)→10min→120℃(HOLD:2min)
2-1.金属錯体化合物粒子の分散液の調製
(金属錯体化合物の分散液1の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌しながら溶解して、界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、実施例1で得られた金属錯体化合物1(溶媒和物)を19.4質量部徐々に添加し、次いで、「SCミル」(日本コークス社製/MSC50)を用いて30分間分散処理した。それにより、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液1を調製した。
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、実施例2で得られた金属錯体化合物の溶媒和物2に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液2を調製した。
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、実施例3で得られた金属錯体化合物の溶媒和物3に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液3を調製した。
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、比較例1で得られた金属錯体化合物4に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物粒子の分散液4を調製した。
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、比較例2で得られた金属錯体化合物5に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物粒子の分散液5を調製した。
実施例1で得られた金属錯体化合物の溶媒和物1を、比較例3で得られた金属錯体化合物6に変更した以外は前述と同様にして金属錯体化合物粒子の分散液6を調製した。
測定装置として、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を準備した。この装置に、イオン交換水を投入した測定セルをセットして0点調整を行った。次いで、分散液を投入した測定セルを上記装置にセットし、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)及び1.002(20℃)の測定条件で、体積基準のメジアン径を測定した。
(色素化合物(2-5)粒子の分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌しながら溶解させて、界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、色素化合物(2-5)20質量部を徐々に添加し、次いで、「SCミル」(日本コークス社製/MSC50)を用いて30分間分散処理した。それにより、色素化合物(2-5)粒子の分散液を調製した。
色素化合物(2-5)粒子の分散液の調製において、色素化合物(2-5)を色素化合物(2-4)に変更した以外は同様にして色素化合物(2-4)粒子の分散液を調製した。
<実施例4>
3-1.結着樹脂粒子の分散液の調製
(結着樹脂粒子〔A〕の分散液の調製)
(1-1)第1段重合:内層の形成
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、予めアニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
このアニオン性界面活性剤溶液に重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
・スチレン 540質量部
・n−ブチルアクリレート 154質量部
・メタクリル酸 77質量部
・n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる単量体溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱及び撹拌して重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子〔a1〕の分散液を調製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
・スチレン 94質量部
・n−ブチルアクリレート 27質量部
・メタクリル酸 6質量部
・n−オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、離型剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液〔2〕を調製した。
一方、アニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温した。この界面活性剤溶液に上記の樹脂粒子〔a1〕の分散液を、樹脂粒子〔a1〕の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(登録商標)」(エム・テクニック社製)により、上記単量体溶液〔2〕を4時間にわたって混合、分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
この分散液に、重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱及び撹拌して重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子〔a11〕の分散液を調製した。
上記の樹脂粒子〔a11〕の分散液に、重合開始剤:過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
・スチレン 230質量部
・n−ブチルアクリレート 78質量部
・メタクリル酸 16質量部
・n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなる単量体溶液〔3〕を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱及び撹拌して重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にスチレンアクリル樹脂からなる結着樹脂粒子〔A〕が分散された結着樹脂粒子〔A〕の分散液を作製した。結着樹脂粒子〔A〕のガラス転移点は45℃、軟化点は100℃であった。
(2-1)スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:500質量部
・テレフタル酸:117質量部
・フマル酸:82質量部
・エステル化触媒(オクチル酸スズ):2質量部
を入れ、230℃で8時間重縮合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した。その後、
・アクリル酸 10質量部
・スチレン 30質量部
・ブチルアクリレート 7質量部
・重合開始剤(過酸化ジ−t−ブチル)10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、得られた溶液を160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した。その後、アクリル酸、スチレン及びブチルアクリレートを除去して、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。このスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は60℃、軟化点は105℃であった。
得られたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(株式会社徳寿工作所製)で粉砕した。予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が250nmである、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂からなる結着樹脂粒子〔B〕の分散液を作製した。
塩化マグネシウムを水に分散させて、凝集剤水溶液〔1〕を得た。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、上記調製した結着樹脂粒子〔A〕の分散液391.5質量部(固形分換算)、及びイオン交換水1700質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.5に調整した。
次いで、色素化合物(2-5)粒子の分散液を5質量部(固形分換算)投入した後、金属錯体化合物(溶媒和物)粒子の分散液1を5質量部投入し、さらに凝集剤水溶液〔1〕4.5質量部(固形分換算)を、30℃において撹拌しながら10分間かけて添加した。その後、得られた溶液を3分間放置した後、60分間かけて85℃まで昇温し、上記結着樹脂粒子〔B〕の分散液58.5質量部(固形分換算)を添加した後、85℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
その後、85℃にて金属錯体化合物粒子(溶媒和物)の分散液1を38質量部(固形分換算)添加し、そのまま加熱撹拌して粒子の融着を進行させた。そして、トナー粒子の平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて(HPF検出数を4000個)、平均円形度が0.945になった時点で、分散液を30℃に冷却した。これにより、マゼンタのトナー粒子〔1〕の分散液を得た。
乾燥させたトナー粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径:12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、マゼンタトナー〔1〕を調製した。
マゼンタトナー〔1〕と、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアとを、マゼンタトナー〔1〕の濃度が6質量%となるように混合して、現像剤〔1〕を得た。
金属錯体化合物粒子の分散液1を、金属錯体化合物粒子の分散液2に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔2〕及び現像剤〔2〕を調製した。
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液3に変更し、かつ色素化合物粒子(2-5)の分散液を色素化合物粒子(2-4)の分散液に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔3〕及び現像剤〔3〕を調製した。
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液4に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔4〕及び現像剤〔4〕を調製した。
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液5に変更し、かつ色素化合物粒子(2-5)の分散液を色素化合物粒子(2-4)の分散液に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔5〕及び現像剤〔5〕を調製した。
金属錯体化合物粒子の分散液1を金属錯体化合物粒子の分散液6に変更した以外は実施例4と同様にして、マゼンタトナー〔6〕及び現像剤〔6〕を調製した。
得られた現像剤を用いて、「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)」にて、デフォルトモードで反射濃度測定用のテストチャートを出力した。得られたテストチャートについて、「PDA−65濃度計」(コニカ社製)によってニュートラル反射濃度測定を行った。
反射濃度が1.40以上である場合を合格と判断した。
得られた現像剤を用いて、「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)にて、マゼンタ単色のベタ画像(2cm×2cm)を出力した。得られたベタ画像について、「Spectrolina/Scan Bundle」(Gretag Macbeth社製)によって色域を測定し、L* a* b* 座標から彩度を算出した。
色域の測定は以下の条件で行った。
(測定条件)
光源:D50光源
観測視野:2°
濃度:ANSI T
白色基準:Abs
フィルター:UV Cut
測定モード:リフレクタンス
言語:Japanese
彩度が80以上である場合を合格と判断した。
Claims (8)
- 前記Mは、銅原子である、
請求項1に記載の金属錯体化合物の溶媒和物。 - 請求項1または2に記載の金属錯体化合物の溶媒和物と下記一般式(2)で表される色素化合物とのキレート化合物である着色剤と、結着樹脂とを含有する、トナー。
Rx1及びRx2は、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
Gx1は、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Gx2は、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
Gx3は、水素原子、ハロゲン原子、Gx4−CO−NH−で表される基、又はGx5−N(Gx6)−CO−で表される基であり、
Gx4は、有機基であり、
Gx5及びGx6は、それぞれ水素原子又は有機基であり、
Qx1〜Qx5は、それぞれ水素原子又は有機基である) - 前記結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる一種以上である、
請求項3に記載のトナー。 - 請求項3又は4に記載のトナーを含む、現像剤。
- 下記式(3)で表される金属錯体化合物を、SP値が11.5〜17のアルコールからなる貧溶媒と、SP値が7.3〜9.2の良溶媒との混合溶媒に溶解させた溶液を冷却して析出物を分離し、水系媒体に分散させて、金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液を得る工程と、
重合性単量体又はそれが重合してなる結着樹脂粒子が分散している水系媒体に、前記金属錯体化合物の溶媒和物粒子の分散液と下記一般式(2)で表される色素化合物粒子の分散液とを添加する工程と
を含む、トナーの製造方法。
R 1 は、独立して置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、
R 2 は、独立して水素原子、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、
R 3 は、独立して置換又は無置換の炭素数9〜40の芳香族炭化水素含有基であり、
Mは、銅原子、亜鉛原子またはニッケル原子である)
Rx1及びRx2は、それぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Lxは、水素原子、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であり、
Gx1は、置換又は無置換の炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であり、
Gx2は、置換又は無置換の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
Gx3は、水素原子、ハロゲン原子、Gx4−CO−NH−で表される基、又はGx5−N(Gx6)−CO−で表される基であり、
Gx4は、有機基であり、
Gx5及びGx6は、それぞれ水素原子又は有機基であり、
Qx1〜Qx5は、それぞれ水素原子又は有機基である) - 前記SP値が11.5〜17のアルコールは、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールであり、
前記SP値が7.3〜9.2の良溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、またはベンゼンである、
請求項6に記載のトナーの製造方法。 - 前記貧溶媒と前記良溶媒との含有比率が、質量比で1:9〜5:5である、
請求項6または7に記載のトナーの製造方法。
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