(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレンズ交換式デジタルスチルカメラの構成を示す横断面図である。デジタルスチルカメラ201は交換レンズ202とカメラボディ203から構成され、種々の交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。
交換レンズ202はレンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。レンズ駆動制御装置206は不図示のマイクロコンピュータ、メモリ、駆動制御回路などから構成され、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の状態検出などを行う他、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報の受信を行う。絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
カメラボディ203は撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、シャッタ装置215、表示装置216、接眼レンズ217、ハーフミラー218、ファインダースクリーン219、ペンタプリズム207などを備えている。撮像素子212には、撮像画素兼焦点検出画素として機能する画素が二次元状に配置される。この撮像素子212については詳細を後述する。
ボディ駆動制御装置214はマイクロコンピュータ、メモリ、駆動制御回路などから構成され、撮像素子212の駆動制御と撮像素子212からの出力信号の読み出しと、該出力信号に基づく焦点検出演算と交換レンズ202の焦点調節を繰り返し行うとともに、該出力信号に基づく画像処理演算と記録、カメラの動作制御などを行う。また、ボディ駆動制御装置214は電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
シャッタ装置215はいわゆるフォーカルプレーンシャッタであり、撮像素子212の撮像面近傍に設けられる。表示装置216はカメラボディ203の背面に設けられ、液晶パネルによる表示画面を有する。
ハーフミラー218は、通常位置と退避位置とに移動可能に構成されている。ハーフミラー218の通常位置は、図1に実線で示すように、交換レンズ202と撮像素子212との間である。ハーフミラー218が通常位置にあるとき、ハーフミラー218は、交換レンズ202から入射する被写体光の一部をカメラボディ203の上方に反射する。ハーフミラー218により反射された被写体光は、ファインダースクリーン219およびペンタプリズム207を介して接眼レンズ217に向かう。撮影者は接眼レンズ217から被写体像を観察することができる。被写体光の残りは、ハーフミラー218を透過してシャッタ装置215および撮像素子212に向かう。
ハーフミラー218を透過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212の各画素で光電変換され、各画素の出力信号がボディ駆動制御装置214へ送られる。ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の各画素からの出力信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。
ボディ駆動制御装置214がハーフミラー218を図1に破線で示す退避位置に移動させると、交換レンズ202からの被写体光は、ハーフミラー218により反射されることなくシャッタ装置215および撮像素子212に向かう。従って、ハーフミラー218が通常位置にある場合に比べて、シャッタ装置215および撮像素子212に向かう被写体光の光量は増加する。他方、ハーフミラー218が退避位置にあると、撮影者は接眼レンズ217を介して被写体像を観察することができない。ボディ駆動制御装置214は、ハーフミラー218が退避位置にあるとき、撮像素子212からのスルー画像信号に基づきスルー画像を作成して表示装置216の表示画面に表示する。撮影者は、表示装置216が表示するスルー画像を観察することができる。ボディ駆動制御装置214は、ハーフミラー218が通常位置にある場合と同様に、撮像素子212の各画素からの出力信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の各画素からの出力信号を処理して画像データを生成し、不図示の記憶媒体(例えばメモリカード等)に格納する。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口制御を行う。
レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値に応じたレンズ情報を選択する。
レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
(焦点検出エリア101の説明)
図2は、交換レンズ202の撮影画面上における焦点検出位置(図1に不図示の操作部材の操作によりユーザーにより設定される)を示す図であり、後述する撮像素子212上の画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする領域(焦点検出エリア、焦点検出位置)の一例を示す。この例では、矩形の撮影画面100上の中央に第2焦点検出エリア101bが配置されると共に、その上方に第1焦点検出エリア101aが、下方に第3焦点検出エリア101cがそれぞれ配置される。換言すると、矩形の撮影画面100の上方向から下方向にかけて、第1焦点検出エリア101a、第2焦点検出エリア101b、第3焦点検出エリア101cが順に配置される。以下の説明において、これら3つの焦点検出エリアを、焦点検出エリア101と総称する。長方形で示す焦点検出エリア101は、撮影画面100において水平方向に延在し、焦点検出エリア101の長手方向に沿って直線的に配列された画素の出力信号が焦点検出に用いられる。
(撮像素子212の説明)
図3、図4は撮像素子212の詳細な構成を示す正面図であり、撮像素子212上の焦点検出エリア101の近傍を拡大して示したものである。図3は撮像画素兼焦点検出画素となる画素311(以降焦点検出画素311と称す)のレイアウトを示す図であって、焦点検出画素311が行方向(水平方光)および列方向(垂直方向)において二次元正方格子状に稠密に配列される。図4は図3に示す焦点検出画素311の配列における色フィルタの配列を示した図であって、焦点検出画素311にはベイヤー配列の規則に従って色フィルタ(R:赤色フィルタ、G:緑色フィルタ、B:青色フィルタ)が配置されている。
焦点検出画素311は、図5に示すように矩形のマイクロレンズ10、垂直方向に延在する素子分離領域15により2分割された一対の光電変換部13,14から構成される。一対の光電変換部13,14を統合すると、通常の撮像画素の光電変換部と同等のサイズとなる。なお簡潔のため図5において色フィルタは不図示としている。なお焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14の出力を加算した場合、加算した出力が通常の撮像画素の光電変換部の出力と同等になるようにするため、素子分離領域15の幅は出来る限り狭くし、一対の光電変換部13,14を近接させることが望ましい。
図6は図5に示した焦点検出画素311の断面図であって、光電変換部13,14の上に近接して遮光マスク30が形成され、遮光マスク30の開口部30dを通過した光を光電変換部13,14は受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上に色フィルタ38が形成される。色フィルタ38の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30dに制限された光電変換部13,14の形状が前方に投影されて、一対の測距瞳を形成する。光電変換部13,14は半導体回路基板29上に形成される。また光電変換部13,14を分離するために素子分離領域15が形成される。以上のような構成により光電変換部13,14は交換レンズの射出瞳の一対の測距瞳を通過する一対の焦点検出光束をそれぞれ受光する。
図7は、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。なお焦点検出エリア101の焦点検出画素配列の一部分を拡大して示す。図7において、射出瞳90は、交換レンズ202(図1参照)の予定結像面に配置されたマイクロレンズ10から前方に距離dの位置に設定されている。この距離dは、マイクロレンズ10の曲率、屈折率、マイクロレンズ10と光電変換部13,14との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。図7には他に、交換レンズの光軸91、マイクロレンズ10、光電変換部13、14、焦点検出画素311、焦点検出光束73、74が示されている。
測距瞳93は、開口部30dにより制限された光電変換部13がマイクロレンズ10により投影されたものである。同様に、測距瞳94は、開口部30dにより制限された光電変換部14がマイクロレンズ10により投影されたものである。測距瞳93,94は、射出瞳90のうちの互いに異なる部分領域であり、水平方向に並ぶとともに、光軸91を通る垂直線に対して線対称な形状となっている。
図7では、撮影光軸91近傍の焦点検出エリア101における隣接する5つの焦点検出画素311を模式的に例示しているが、画面周辺に配置された焦点検出画素311においても、各光電変換部はそれぞれ対応した測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光するように構成されている。マイクロレンズ10により、一対の光電変換部13および14と上述した互いに異なる部分領域、すなわち一対の測距瞳93および94とが互いに共役関係になる。
以上のような構成により、光電変換部13は測距瞳93を通過し、焦点検出画素311のマイクロレンズ10に向かう光束73によりマイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部14は測距瞳94を通過し、焦点検出画素311のマイクロレンズ10に向う光束74によりマイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
上述した焦点検出エリア101において水平方向に配列した複数の焦点検出画素311の光電変換部13,14の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する焦点検出用光束73,74が焦点検出画素311の配列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳93,94の重心間隔と測距瞳距離の比例関係に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。具体的には像ズレ量(光軸91に垂直な面内の量)に対し所定の変換係数(測距瞳距離dを測距瞳93,94の重心間隔で除した値)を乗ずることによりデフォーカス量(光軸91の方向における結像面と予定結像面との偏差)が算出されることになる。
また全画面において各焦点検出画素311の光電変換部13,14の出力を加算した出力信号を得ることにより、通常の撮像画素をベイヤー配列した場合と同等の画像信号を得ることが出来る。
図8は、本発明に関連する部分の撮像素子212とボディ駆動制御装置214との関係を詳細に示すブロック図であって、ボディ駆動制御装置214内には撮像素子制御部220、バッファメモリ221、CPUa(マイクロコンピュータ)222、CPUb(マイクロコンピュータ)223が収納される。撮像素子212は撮像素子制御部220の制御に従って焦点検出画素311の電荷蓄積制御(電荷蓄積時間および電荷蓄積タイミング)および信号の出力制御を行なう。撮像素子212は後述するように焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14の出力信号をAD変換するとともにチャネル1からデジタルデータ(焦点検出用のデータ)として出力すると同時に焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタルデータをデジタル加算したデジタルデータ(通常の撮像画素の出力信号と同等な信号)をチャネル2からデジタルデータとして出力する。チャネル1およびチャネル2から出力されたデジタルデータは、それぞれ1フレーム分のデジタルデータとしてバッファメモリ221に一時的に格納される。CPUa222はバッファメモリ221に格納された焦点検出エリアの焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタルデータ(焦点検出信号)に対して後述する処理を行なって焦点検出を行なう。CPUb223はバッファメモリ221に格納された1フレーム分のデジタルデータ(画像信号)に対して周知の画像処理を行なって画像データを生成し、画像表示や画像記録を行う。
以上のように撮像素子212からは焦点検出信号と画像信号が別チャネルを介して時間的にオーバーラップして出力される。また焦点検出信号と画像信号は個別のCPU222,223において処理されるので、焦点検出処理と画像処理を時間的に分離する必要がなく、同時に独立して行なうことができる。
次に2つのチャネルから同時に焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタルデータと、焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタルデータをデジタル加算したデジタルデータ(通常の撮像画素の出力信号と同等な信号)を出力可能な撮像素子212の構成について図9を用いて説明する。
図9は、撮像素子212(CMOSイメージセンサ)の構成を示すブロック図である。撮像素子212は、一対の光電変換部13,14を含む焦点検出画素311が行列状(マトリックス状)に多数2次元配置されてなる画素アレイ部40に加えて、行走査回路41、カラムAD変換装置42、第2ラインメモリ44、第2列走査回路51、第2水平出力回路45、カラムデジタル加算装置46、第1ラインメモリ48、第1列走査回路52、第1水平出力回路49およびタイミング制御回路50を有する構成となっている。
このシステム構成において、タイミング制御回路50は、外部から入力されるマスタークロックおよび撮像素子制御部220から入力される制御信号に基づいて、行走査回路41、カラムAD変換装置42、カラムデジタル加算装置46、第1ラインメモリ48、第2ラインメモリ44、第1列走査回路52、第2列走査回路51などの動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成し、行走査回路41、カラムAD変換装置42、カラムデジタル加算装置46、第1ラインメモリ48、第2ラインメモリ44、第1列走査回路52、第2列走査回路51などに対して与える。
また、画素アレイ部40の各焦点検出画素311を駆動制御する周辺の駆動系や信号処理系、即ち行走査回路41、カラムAD変換装置42、カラムデジタル加算装置46、第1ラインメモリ48、第2ラインメモリ44、第1列走査回路52、第2列走査回路51、第1水平出力回路49、第2水平出力回路45およびタイミング制御回路50などは、画素アレイ部40と同一のチップ(半導体基板)上に集積される。これらが集積されるチップは、画素アレイ部40のチップに積層される。
焦点検出画素311としては、ここでは図示を省略するが、一対の光電変換部13,14(例えば、フォトダイオード)に加えて、例えば、当該光電変換部13,14で光電変換して得られる電荷をFD(フローティングディフュージョン)部に転送する転送トランジスタと、当該FD部の電位を制御するリセットトランジスタと、FD部の電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタとを有する3トランジスタ構成のものや、さらに画素選択を行うための選択トランジスタを別に有する4トランジスタ構成のものなどを用いることができる。
画素アレイ部40には、焦点検出画素311が2N行2M列分だけ2次元配置される。換言すると、画素アレイ部40は、2M個の焦点検出画素311が水平方向に配列された焦点検出画素群を各行に有し、その焦点検出画素群が、水平方向に交差する垂直方向に2N行配置される。図9において左上の焦点検出画素311が1行目、1列目の画素であり、この画素にはベイヤー配列の緑色のフィルタが配置され、1行目の画素群として配列される焦点検出画素には緑色のフィルタと青色のフィルタが配置される。この2N行2M列の画素配置に対して行毎に1系統の行制御線21(21(1)〜21(2N))が配線され、列毎に2本の列信号線(22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)b)が配線されている。行制御線21(21(1)〜21(2N))の各一端は、行走査回路41の各行に対応した各出力端に接続され、各行制御線21には制御信号R(1)〜R(2N)が出力される。行走査回路41は、シフトレジスタなどによって構成され、行制御線21(21(1)〜21(2N))を介して画素アレイ部40の行アドレスや行走査の制御を行う。
同一行の各焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14は同一の行制御線21により行走査回路41と接続されており、制御信号R(1),・・・,R(L),・・・,R(2N)に応じて同時に電荷蓄積制御、信号読出し制御が行なわれる。また各焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14の一方の光電変換部13は列毎に設けられた2本の列信号線の一方の列信号線22(m)bに接続され、光電変換部13の出力信号(アナログ信号)は列信号線22(m)bに出力される。また各焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14の他方の光電変換部14は列毎に設けられた2本の列信号線の他方の列信号線22(m)aに接続され、光電変換部14の出力信号(アナログ信号)は列信号線22(m)aに出力される。例えば行走査回路41から与えられる制御信号R(L)により画素アレイ部40のL行目の焦点検出画素群を構成する焦点検出画素311が選択された場合には、L行目の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14の出力信号が列信号線(22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)b)に出力されることになる。
カラムAD変換装置42は、画素アレイ部40の画素列に対応して設けられた列信号線22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)b毎に設けられたADC(アナログ−デジタル変換回路)23(1)a、23(1)b〜23(2M)a、23(2M)bを有し、画素アレイ部40の各焦点検出画素311から列毎に出力される一対のアナログ信号を、タイミング制御回路50から与えられる制御信号TA1に応じて、Hビットのデジタル信号に変換して出力する。「Hビット」はビット数を表し、例えば10ビット、12ビット、14ビット等である。
第2ラインメモリ44は、カラムAD変換装置42を構成する各ADC(23(1)a、23(1)b〜23(2M)a、23(2M)b)毎に設けられたメモリ(25(1)a、25(1)b〜25(2M)a、25(2M)b)を有し、ADC(23(1)a、23(1)b〜23(2M)a、23(2M)b)毎に出力されるデジタル信号を、タイミング制御回路50から与えられる制御信号TM2に応じて、Hビットのデジタル信号として記憶する。ここで第2ラインメモリ44の各メモリ(25(1)a、25(1)b〜25(2M)a、25(2M)b)には1行分の焦点検出画素について一対の光電変換部13,14の出力信号がデジタル信号として記憶されることになる。
カラムデジタル加算装置46は、カラムAD変換装置42を構成する一対のADC((23(1)a、23(1)b)〜(23(2M)a、23(2M)b))毎に設けられたデジタル加算回路(26(1)〜26(2M))を有し、一対のADC((23(1)a、23(1)b)〜(23(2M)a、23(2M)b))から出力されるデジタル信号を、タイミング制御回路50から与えられる制御信号TD1に応じて加算し、Hビットの加算デジタル信号として出力する。
第1ラインメモリ48は、カラムデジタル加算装置46を構成する各デジタル加算回路(26(1)〜26(2M))毎に設けられたメモリ(28(1)〜28(2M))を有し、デジタル加算回路(26(1)〜26(2M))毎に出力される加算デジタル信号を、タイミング制御回路50から与えられる制御信号TM1に応じて、Hビットのデジタル信号として記憶する。ここで第1ラインメモリ48の各メモリ(28(1)〜28(2M))には1行分の焦点検出画素について一対の光電変換部13,14の出力信号を加算した加算信号(撮像画素の出力信号に相当する)がデジタル信号として記憶されることになる。
第2列走査回路51は、シフトレジスタなどによって構成され、タイミング制御回路50の制御のもとに第2ラインメモリ44におけるメモリ(25(1)a、25(1)b〜25(2M)a、25(2M)b)の列アドレスや列走査の制御を行う。第2ラインメモリ44は第2列走査回路51から与えられる走査信号TS2に応じて動作し、メモリ(25(1)a、25(1)b〜25(2M)a、25(2M)b)の各々で記憶されたHビットのデジタル信号は順に第2水平出力回路45に読み出され、当該第2水平出力回路45を経由して焦点検出用の一対の光電変換部13,14の出力信号(デジタル信号)として外部にシリアル出力される。
第1列走査回路52は、シフトレジスタなどによって構成され、タイミング制御回路50の制御のもとに第1ラインメモリ48におけるメモリ(28(1)〜28(2M))の列アドレスや列走査の制御を行う。第1ラインメモリ48は第1列走査回路52から与えられる走査信号TS1に応じて動作し、メモリ(28(1)〜28(2M))の各々で記憶されたHビットの加算デジタル信号は順に第1水平出力回路49に読み出され、当該第1水平出力回路49を経由して撮像画素の出力信号と同等な出力信号(デジタル信号)として外部にシリアル出力される。
次に、図9に示した撮像素子の構成において、1フレーム期間中に焦点検出画素の一対の光電変換部の出力信号の個別読出し動作と一対の光電変換部の出力信号を加算した加算信号の読出し動作を並行して行う場合について、図10、図11のタイミングチャートを用いて説明する。図10、図11において、VSは1フレーム期間を示す垂直同期信号、HSは1水平走査期間を示す水平同期信号である。
図10に示す動作では、水平同期信号HSに同期して行走査回路41から画素アレイ部40に制御信号R(1)、R(2)、R(3)〜R(2n+1)、R(2n+2)、R(2n+3)〜R(N)が順次発せられ、制御信号R(1)、R(2)、R(3)〜R(2n+1)、R(2n+2)、R(2n+3)〜R(N)に応じた行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のアナログ信号が列信号線(22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)b)に順次出力される。
図11は、図10における(2n+1)行、(2n+2)行、(2n+3)行の動作部分を拡大した図である。制御信号R(2n+1)により画素アレイ部40の(2n+1)行が選択されると、(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のアナログ信号が列信号線(22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)b)に出力される。列信号線(22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)b)に出力された(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のアナログ信号は制御信号TA1に応じて、列信号線22(1)a、22(1)b〜22(2M)a、22(2M)に接続されたカラムAD変換装置42のADC(23(1)a、23(1)b〜23(2M)a、23(2M)b)によりデジタル信号に変換される。
デジタル変換された(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタル信号は、制御信号TM2に応じて、カラムAD変換装置42のADC(23(1)a、23(1)b〜23(2M)a、23(2M)b)に接続された第2ラインメモリ44のメモリ(25(1)a、25(1)b〜25(2M)a、25(2M)b)に記憶される。
それと同時にデジタル変換された(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタル信号は、制御信号TD1に応じて、カラムAD変換装置42を構成する一対のADC((23(1)a、23(1)b)〜(23(2M)a、23(2M)b))毎に設けられたカラムデジタル加算装置46のデジタル加算回路(26(1)〜26(2M))により加算される。
一対の光電変換部13,14の出力信号が加算された(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の加算デジタル信号は、制御信号TM1に応じて、カラムデジタル加算装置46のデジタル加算回路(26(1)〜26(2M))に接続された第1ラインメモリ48のメモリ(28(1)〜28(2M))に記憶される。
第2ラインメモリ44のメモリ(25(1)a、25(1)b〜25(2M)a、25(2M)b)に記憶された(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のデジタル信号は、走査信号TS2に応じて、次の水平同期信号HSが発生するまでの期間に第2水平出力回路45から外部に順次シリアル出力される。第2水平出力回路45から出力されたデジタル信号に基づき、ボディ駆動制御装置214の焦点検出用のCPUa222が、交換レンズ202(光学系)の焦点状態を検出し、その焦点状態を調節する。
同じく第1ラインメモリ48のメモリ(28(1)〜28(2M))に記憶された一対の光電変換部13,14の出力信号が加算された(2n+1)行の1ライン分の焦点検出画素311の加算デジタル信号は、走査信号TS1に応じて、次の水平同期信号HSが発生するまでの期間に第1水平出力回路49から外部に順次シリアル出力される。第1水平出力回路49から出力された加算デジタル信号に基づき、ボディ駆動制御装置214の画像処理用のCPUb223が、画像データを生成する。
次の水平同期信号HSに同期して制御信号R(2n+2)が発せられ、画素アレイ部40の(2n+2)行が選択されると、(2n+2)行の1ライン分の焦点検出画素311の一対の光電変換部13,14のアナログ信号に対して同様な動作で処理が繰り返される。さらに次の水平同期信号HSに同期した制御信号R(2n+3)の下で同様な処理が繰り返される。
なお、本実施形態では、焦点検出エリア101(図2)は、1つの行全体ではなく、1つの行の一部に設けられている。従って、焦点検出エリア101が存在する行の各画素から光電変換信号を読み出す際に、焦点検出エリア101外の画素についても光電変換信号が読み出されることになる。この余分な画素からの光電変換信号は、焦点検出信号に含めずに、単に無視する。なお、焦点検出信号の読み出しの際に、この余分な画素が読み出されないように第2列走査回路51を構成してもよい。
次に、像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)の詳細について以下説明する。なお焦点検出画素311の一対のデータはベイヤー配列における同色の色毎に分別される。
焦点検出画素311が検出する一対の像は、測距瞳93,94がレンズの絞り開口によりけられて光量バランスが崩れている可能性があるので、光量バランスに対して像ズレ検出精度を維持できるタイプの相関演算を施す。焦点検出画素311の配列から読み出された一対のデータ列をA1n(A11,・・・,A1j:jはデータ数)、A2n(A21,・・・,A2j)として色の相違による区別をなくして一般化して示すと、一対のデータ列をA1n、A2nに対し特開2007−333720号公報に開示された下記の相関演算式(1)を行い、相関量C(k)を演算する。
C(k)=Σ|A1n・A2n+1+k−A2n+k・A1n+1| ・・・(1)
(1)式において、Σ演算はnについて累積される。nのとる範囲は、像ずらし量kに応じてA1n、A1n+1、A2n+k、A2n+1+kのデータが存在する範囲に限定される。ずらし量kは整数であり、データ列のデータ間隔を単位とした相対的シフト量である。(1)式の演算結果は、図12(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図12(a)ではk=kj=2)において相関量C(k)が極小(小さいほど相関度が高い)になる。
次に、(2)式から(5)式の3点内挿の手法を用いて連続的な相関量に対する極小値C(X)を与えるシフト量Xを求める。
X=kj+D/SLOP ・・・(2)
C(X)=C(kj)−|D| ・・・(3)
D={C(kj−1)−C(kj+1)}/2 ・・・(4)
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj−1)−C(kj)}
・・・(5)
(2)式で算出されたずらし量Xの信頼性があるかどうかは次のようにして判定される。図12(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の極小値C(X)の値が大きくなる。したがって、C(X)が所定のしきい値以上の場合は、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量Xをキャンセルする。あるいは、C(X)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(X)を除した値が所定値以上の場合は、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量Xをキャンセルする。あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量Xをキャンセルする。
図12(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、シフト範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、極小値C(X)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。
算出されたずらし量Xの信頼性があると判定された場合は、(6)式により像ズレ量shftに換算される。
shft=PY・X ・・・(6)
(6)式において、PYは焦点検出画素311の画素ピッチの2倍の値(同色の焦点検出画素の画素ピッチ)となる。
(6)式により算出された像ズレ量shftに所定の変換係数kを乗じてデフォーカス量defへ変換する。
def=k・shft1 ・・・(7)
(7)式において変換係数kは一対の測距瞳93,94の重心間隔と測距瞳距離の比例関係に応じた変換係数であり、光学系の絞りF値に応じて変化するものである。
このようにしてベイヤー配列の3色に対して3つのデフォーカス量が算出されるので、単純平均または重み付け平均などの平均化処理を行なって、選択された焦点検出エリアにおける最終的なデフォーカス量が算出される。
(撮像素子212から読み出される信号の説明)
図13は、撮像素子212の説明図である。前述の通り、撮像素子212は、複数の焦点検出画素311を水平方向に配列した焦点検出画素群を各行に有し、その焦点検出画素群を、水平方向に交差する垂直方向に複数行(例えば3000行)配置した構成を有している。図13に示す矩形の撮影画面100には、説明の便宜上、L1〜L23の23行を模式的に図示している。以下、撮像素子212がこれら23行のみを有している前提で説明を行うが、実際にはより多数の行が存在してよい。
撮像素子制御部220は、記憶媒体に記憶するための撮影画像データを生成する際には、全ての行の焦点検出画素311から画像信号を読み出す。その一方、撮像素子制御部220は、いわゆるスルー画を生成する際には、それら複数行のうち特定の行を間引いて画像信号を読み出す(いわゆる間引き読み出し)。例えば、撮像素子212が有するL1〜L23の計23行分の画素列について、3行おきに読み出しを行う。つまり、スルー画の生成の際には、行L1、L4、L7、L10、L13、L16、L19、L22から画像信号が読み出される。従って、読み出される画像信号は全行数の約3分の1行分の画像信号となる。以下の説明では、間引き読み出しされた画像信号(間引き読み出しされなかった場合に比べて行数の少ない画像信号)を、便宜上、スルー画像信号と称する。
なお、3行おきとしたのは、図4に示した色フィルタの配列に適応するためである。例えば2行おきに読み出してしまうと、緑色フィルタと青色フィルタが配置された行しか読み出されなくなったり、赤色フィルタと緑色フィルタが配置された行しか読み出されなくなったりしてしまう。
図13に模式的に示す通り、焦点検出エリア101は、行L3、L12、L21に配置されている。このように、焦点検出エリア101は、間引き読み出しにより読み出される行以外の行に配置される。つまり、焦点検出エリア101は、1行目、4行目、7行目、…以外の行に配置される。
(連写モードの説明)
デジタルスチルカメラ201は、連続撮影を行うための連写モードを有している。撮影者は、連写モードを有効にしたり、無効にしたりすることができる。連写モードが有効になっている場合、ボディ駆動制御装置214はレリーズスイッチが全押し状態である間に繰り返し撮影を行う。つまり、レリーズスイッチが全押し状態でなくなるまで、繰り返し撮影を行う。この繰り返し撮影において、ボディ駆動制御装置214は、撮影と撮影との間に自動焦点調節を行う。つまり、連続撮影のコマ間において被写体が移動している場合、その被写体の動きに追従してピント位置を変化させる。これにより、連続撮影の各コマについて、ピントの合った画像データを得ることができる。
(撮像素子212の駆動モードの説明)
撮像素子制御部220は、撮像素子212を、第1駆動モード〜第5駆動モードの5種類の駆動モードを適宜切り替えて駆動する。以下、これら5種類の駆動モードについて順に説明する。
図14は、第1駆動モードのタイミングチャートである。第1駆動モードはスルー画像信号のみを読み出す駆動モードである。第1駆動モードにおいて、撮像素子制御部220は、期間Ta(例えば60分の1秒、すなわち約16.7ミリ秒)ごとに画像信号の間引き読み出しを行う。つまり、1フレーム分の読み出しは、行L1、L4、L7…の順に行われる。
図14において、時刻t1に第1駆動モードによる撮像素子212の駆動が開始される。撮像素子制御部220は、まず行L1の各画素をリセットし、電荷蓄積を開始する。次に撮像素子制御部220は、行L4の各画素をリセットし、電荷蓄積を開始する。撮像素子制御部220は、以下、順に各行をリセットして電荷蓄積を開始する。最後の行L23について、時刻t2にリセットと電荷蓄積開始が完了する。
撮像素子制御部220は、駆動を開始した時刻t1から期間Ta後の時刻t3に、行L1の各画素からの信号読み出しとリセットを行う。続いて、順に行L4、L7、…の各行について、各画素からの信号読み出しとリセットが行われる。これにより、1フレーム分のスルー画像信号が得られる。撮像素子制御部220は、その後、期間Taごとに同様の制御を行う。これにより、期間Taごとに、スルー画像信号が読み出される。撮像素子制御部220は行L1から順にリセットや読み出し等を行うので、行ごとにリセットや読み出し等の開始時刻が異なることになるが、行ごとの露光時間Tbは同一になる。
図15は、第2駆動モードのタイミングチャートである。第2駆動モードは、スルー画像信号と焦点検出信号とを並行して読み出すモードである。第2駆動モードにおいて、撮像素子制御部220は、期間Ta(例えば60分の1秒、すなわち約16.7ミリ秒)ごとに画像信号の間引き読み出しを行うと共に、期間Tc(例えば60分の1秒、すなわち約16.7ミリ秒)ごとに焦点検出エリア101の存在する行から焦点検出信号を読み出す。なお、画像信号と焦点検出信号の読み出しタイミング(位相)は連続していてもよいし、間隔が空いていてもよい。
撮像素子制御部220は、時刻t4に行L3のリセットを行い、電荷蓄積を開始する。続いて撮像素子制御部220は、行L12、L21を順にリセットして電荷蓄積を開始し、時刻t5に全行のリセットが完了する。焦点検出エリア101に対応する行は3行のみであるので、全行のリセットに要する時間(時刻t4から時刻t5までの時間)は、間引き読み出しを行う全行のリセットに要する時間(図14の時刻t1から時刻t2までの時間)よりも短い。図15では、焦点検出信号の読み出しタイミングをスルー画像信号の読み出しタイミングとは異ならせているが、焦点検出信号の露光時間Tdはスルー画像信号の露光時間Ta(図14)と同一になっている。
図16は、第3駆動モードのタイミングチャートである。第3駆動モードは、焦点検出信号のみを読み出す駆動モードである。第3駆動モードにおいて、撮像素子制御部220は、期間Tc(例えば60分の1秒、すなわち約16.7ミリ秒)ごとに焦点検出エリア101の存在する行から焦点検出信号を読み出す。つまり、第3駆動モードは第2駆動モードからスルー画像信号の読み出しを省いた駆動モードである。
図17は、第4駆動モードのタイミングチャートである。第4駆動モードは、いわゆる本撮影(記憶用の画像データを作成する撮影)のための駆動モードである。つまり、第4駆動モードは、撮像素子212が有する全行から画像信号を読み出す駆動モードである。第4駆動モードにおいて、撮像素子制御部220は、全行(行L1〜L23)から画像信号の読み出しを行う。第1駆動モードなどとは異なり、第4駆動モードでは、露光時間はシャッタ装置215により制御される。以下、この点について詳述する。
まず時刻t8に、撮像素子制御部220は行L1のリセットを行い、電荷蓄積を開始する。その後、行L2以降の各行について順にリセットを行い、電荷蓄積を開始する。全ての行についてリセットが完了した後の時刻t9に、撮像素子制御部220はシャッタ装置215の先幕の走行を開始させる。時刻t9から所望の露光時間Teだけ後の時刻t10に、撮像素子制御部220はシャッタ装置215の後幕の走行を開始させる。後幕の走行が完了した後の時刻t11に、撮像素子制御部220は行L1から順に画像信号の読み出しを行う。
つまり、撮像素子制御部220は各行について所望の露光時間Teよりも十分に長い時間だけ電荷蓄積が行われるようにしておき、その電荷蓄積時間内でシャッタ装置215を走行させる。撮像素子制御部220は、シャッタ装置215の走行が完了した後、1行目から順に読み出しを行う。
図18は、第5駆動モードのタイミングチャートである。第5駆動モードは、画像信号と焦点検出信号とを並行して読み出すモードであり、特に前述の連写モードに対応するためのモードである。図18のタイミングチャートは、少なくとも2回の連続撮影を行うときのタイミングチャートとなっている。
第5駆動モードにおいて撮像素子制御部220は、第4駆動モードと同様に、露光時間をシャッタ装置215により制御する。時刻t12に第5駆動モードによる駆動が開始されると、撮像素子制御部220は、まず焦点検出エリア101が存在する行L3、L12、L21について、他の行に先だってリセットを行い、電荷蓄積を他の行よりも先に開始する。
行L3、L12、L21についてリセットが完了すると(時刻t13)、撮像素子制御部220は、先頭の行L1から順にリセットを行い、電荷蓄積を開始する。このとき、既にリセットした行L3、L12、L21はリセットを行わない。全ての行のリセットが完了した後、撮像素子制御部220は、第4駆動モードと同様に、シャッタ装置215を走行させる。シャッタ装置215の走行完了後の時刻t14に、撮像素子制御部220は、焦点検出エリア101が存在する行L3、L12、L21から順に画像信号および焦点検出信号を並行して読み出すと共に、各行をリセットして次の電荷蓄積を開始する。
行L3、L12、L21からの読み出しおよびリセットが完了すると、撮像素子制御部220は引き続き行L1から順に画像信号の読み出しおよびリセットを開始する。全ての行からの画像信号の読み出しが完了すると、CPUb223はこれに基づき画像データを作成して不図示の記憶媒体に記憶する。以上が1回目の撮影である。その後、1回目の撮影と同様に、シャッタ装置215の走行や画像信号および焦点検出信号の読み出しが繰り返される。
時刻t14において、行L3、L12、L21から焦点検出信号が読み出されると、CPUa222は、その焦点検出信号に基づく焦点検出演算を開始する。なお、CPUa222による焦点検出演算は、行L3、L12、L21の各々について個別に行うことができるので、これら3行全てから焦点検出信号が読み出されるのを待つ必要はない。つまり、まず行L3から焦点検出信号が読み出されると、CPUa222は行L12から焦点検出信号が読み出されるのを待つことなく、すぐに行L3からの焦点検出信号に基づく焦点検出演算を行う。
全ての焦点検出演算が完了すると(時刻t15)、ボディ駆動制御装置214は、それらの焦点検出演算により算出されたデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206に送信する。レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。
なお、焦点検出エリア101は3つ存在するので、デフォーカス量も各々のエリアに対応する3つの値が算出される。ボディ駆動制御装置214は、それら3つの焦点検出エリア101から焦点調節の対象とするエリアを選択し、選択した焦点検出エリア101に対応するデフォーカス量のみをレンズ駆動制御装置206に送信する。焦点調節の対象とするエリアの選択方法は、例えばデフォーカス量の絶対値が最も小さいエリアとしてもよいし、優先的に焦点調節が為される優先エリアを予め設定する(または撮影者が選択する)ようにし、その優先エリアが優先的に選択されるようにしてもよい。あるいは、至近端に最も近い被写体部分や無限遠端に最も近い被写体部分が存在するエリアが選択されるようにしてもよい。
以上に説明したように、撮像素子制御部220は、焦点検出エリア101が存在する行からの画像信号および焦点検出信号の読み出しを、他の行からの画像信号の読み出しよりも先に行う。このようにしたのは、連続撮影を行う場合において、コマ間の焦点調節を可能にするためである。この点について、図18および図19を参照して説明する。
図19は、本実施形態とは異なり、連続撮影中に1行目すなわち行L1から順に画像信号や焦点検出信号を読み出した場合のタイミングチャートである。図19では、時刻t17に撮像素子212の駆動が開始されると、行L1から行L23まで順にリセットを行い電荷蓄積を開始する。シャッタ装置215の走行後、行L1から順に画像信号の読み出しを開始する(時刻t18)。このとき、行L3、L12、L21については、画像信号と並行して焦点検出信号も読み出す。また、焦点検出信号を読み出したことに応じて、CPUa222による焦点検出演算を行う。
ここで、全ての焦点検出エリア101に対応する焦点検出信号の読み出しが完了する時刻は、行L21からの読み出しが完了する時刻t19である。従って、CPUa222による焦点検出演算が完了するのは、時刻t19より後の時刻t20である。必然的に、フォーカシング用レンズ210は、時刻t20に開始された焦点検出演算が完了する時刻t20より後に駆動されることになる。ところが、時刻t20は、次のコマ(2回目の撮影)に係るシャッタ装置215の走行開始時刻t21に近く、フォーカシング用レンズ210を駆動するために必要な時間を確保することができない。
シャッタ装置215の走行中にフォーカシング用レンズ210が駆動されると、撮影中の画像に悪影響を及ぼしてしまう。従って、ここで演算されたデフォーカス量に基づくフォーカシング用レンズ210の駆動は、2回目の撮影に係るシャッタ装置215の走行が完了してから行われなければならない(時刻t22)。つまり、図19に示すタイムチャートでは、1回目の撮影時に得られた焦点検出信号を、2回目の撮影に反映することができない。
本実施形態では、第5駆動モードにおいて、焦点検出エリア101が存在する行L3、L12、L21からの焦点検出信号の読み出しを、他の行よりも先に行うので、焦点調節のために十分な時間を確保することができ、焦点検出結果を次の撮影に反映することが可能になる。
図22(a)に、以上で説明した第1〜第5駆動モードにおいて読み出される信号をまとめた表を示す。
(表示モードの説明)
デジタルスチルカメラ201は、OVFモード(光学ビューファインダーモード)とLVモード(ライブビューモード)の2種類の表示モードを有している。OVFモードとLVモードは、互いに排他的に設定される。つまり、OVFモードが設定されているときLVモードは設定されず、LVモードが設定されるとOVFモードは設定されていない状態になる。以下、これら2種類の表示モードについて順に説明する。
OVFモードは、ハーフミラー218が通常位置にあるモードである。OVFモードが設定されているとき、撮影者は接眼レンズ217、すなわち光学ファインダーを用いて被写体像を観察する。ボディ駆動制御装置214は、OVFモードが設定されており、撮影者から特に操作が為されていないとき、撮像素子212を駆動しない。
撮影者がレリーズスイッチを半押しすると、ボディ駆動制御装置214はハーフミラー218を通常位置に置いたまま撮像素子212を第3駆動モードで駆動し、焦点検出信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出した焦点検出信号に基づき自動焦点調節制御を行う。
連写モードが設定されていないときに撮影者がレリーズスイッチを全押しすると、ボディ駆動制御装置214は、ハーフミラー218を退避位置に移動した後に撮像素子212を第4駆動モードで駆動し、画像信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出した画像信号に基づき撮影画像データを作成し、不図示の記憶媒体に記憶する。その後、ボディ駆動制御装置214は、ハーフミラー218を通常位置に復帰させる。
連写モードが設定されているときに撮影者がレリーズスイッチを全押しすると、ボディ駆動制御装置214は、ハーフミラー218を退避位置に移動した後に撮像素子212を第5駆動モードで駆動し、画像信号および焦点検出信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出した画像信号に基づき撮影画像データを作成して不図示の記憶媒体に記憶すると共に、読み出した焦点検出信号に基づき自動焦点調節制御を行う。ボディ駆動制御装置214は、撮影者がレリーズスイッチを全押ししている間、繰り返し上記の動作を実行する。撮影者がレリーズスイッチの全押しを取りやめると、ボディ駆動制御装置214は、ハーフミラー218を通常位置に復帰させる。
LVモードは、ハーフミラー218が退避位置にあるモードである。LVモードが設定されているとき、撮影者は表示装置216に表示されるスルー画を観察する。ボディ駆動制御装置214は、LVモードが設定されているとき、撮像素子212を第1駆動モードで駆動し、スルー画像信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出したスルー画像信号に基づきスルー画像を作成して表示装置216に表示する。
撮影者がレリーズスイッチを半押しすると、ボディ駆動制御装置214は撮像素子212を第2駆動モードで駆動し、スルー画像信号および焦点検出信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出したスルー画像信号に基づきスルー画像を作成して表示装置216に表示すると共に、読み出した焦点検出信号に基づき自動焦点調節制御を行う。
連写モードが設定されていないときに撮影者がレリーズスイッチを全押しすると、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第4駆動モードで駆動し、画像信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出した画像信号に基づき撮影画像データを作成し、不図示の記憶媒体に記憶する。
連写モードが設定されているときに撮影者がレリーズスイッチを全押しすると、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第5駆動モードで駆動し、画像信号および焦点検出信号を読み出す。ボディ駆動制御装置214は、読み出した画像信号に基づき撮影画像データを作成して不図示の記憶媒体に記憶すると共に、読み出した焦点検出信号に基づき自動焦点調節制御を行う。
図20は、ボディ駆動制御装置214が実行する制御処理のフローチャートである。まずステップS10において、ボディ駆動制御装置214は、デジタルスチルカメラ201全体を電源オン状態にする。ステップS20でボディ駆動制御装置214は、表示モードの初期設定を行う。図20では一例として、表示モードをLVモードに設定している。
ステップS30でボディ駆動制御装置214は、撮影者により所定の表示モード切替操作が為されたか否かを判定する。表示モード切替操作が為された場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS40に進める。ステップS40でボディ駆動制御装置214は、現在の表示モードをOVFモードとLVモードとの間で切り替え、処理をステップS50に進める。つまり、現在OVFモードが設定されていればLVモードを設定し、現在LVモードが設定されていればOVFモードを設定する。他方、ステップS30において撮影者により表示モード切替操作が為されていない場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS50に進める。
なお、図20では表示モードの切替についてのみ図示しているが、ステップS30〜S40と同様に、撮影者は連写モードのオンオフを切り替えることが可能である。
ステップS50でボディ駆動制御装置214は、撮影者がレリーズスイッチの半押し操作(自動焦点調節操作)を行ったか否かを判定する。レリーズスイッチの半押し操作が為されていた場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS60に進める。ステップS60でボディ駆動制御装置214は、現在設定されている表示モードを判定する。表示モードがLVモードであった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS70に進める。ステップS70でボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第2駆動モードで駆動する。ボディ駆動制御装置214はこれにより、スルー画像信号と焦点調節信号とを得る。ステップS72でボディ駆動制御装置214は、ステップS70で得た焦点検出信号に基づき、自動焦点調節を行う。つまり、焦点調節信号からデフォーカス量を演算し、演算したデフォーカス量に応じた駆動量だけフォーカシング用レンズ210を駆動させる。ステップS74でボディ駆動制御装置214は、ステップS70で得たスルー画像信号に基づき、表示装置216にスルー画を表示する。
ステップS60において現在設定されている表示モードがOVFモードであった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS80に進める。ステップS80でボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第3駆動モードで駆動する。ボディ駆動制御装置214はこれにより、焦点検出信号を得る。ステップS90でボディ駆動制御装置214は、ステップS80で得た焦点検出信号に基づき、自動焦点調節を行う。
ステップS50で撮影者によりレリーズスイッチの半押し操作が為されていなかった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS100に進める。ステップS100でボディ駆動制御装置214は、現在設定されている表示モードを判定する。表示モードがLVモードであった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS110に進める。ステップS110でボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第1駆動モードで駆動する。ボディ駆動制御装置214はこれにより、スルー画像信号を得る。ステップS120でボディ駆動制御装置214は、ステップS110で得たスルー画像信号に基づき、表示装置216にスルー画を表示する。他方、ステップS100において現在設定されている表示モードがOVFモードであった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS130に進める。
ステップS130でボディ駆動制御装置214は、撮影者によりレリーズスイッチの全押し操作(撮影操作)が為されたか否かを判定する。レリーズスイッチの全押し操作が為されていなかった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS210に進める。他方、レリーズスイッチの全押し操作が為されていた場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS140に進める。
ステップS140でボディ駆動制御装置214は、連写モードが設定されているか否かを判定する。連写モードが設定されている場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS150に進める。ステップS150でボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第5駆動モードで駆動する。ボディ駆動制御装置214はこれにより、画像信号と焦点検出信号とを得る。ステップS160でボディ駆動制御装置214は、ステップS150で得た画像信号に基づき撮影画像データを作成する。作成された撮影画像データは、不図示の記憶媒体に記憶される。
ステップS170でボディ駆動制御装置214は、レリーズスイッチの全押し状態が継続しているか否かを判定する。レリーズスイッチが引き続き全押し状態であった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS180に進める。ステップS180でボディ駆動制御装置214は、ステップS150で得た焦点検出信号に基づき自動焦点調節を行い、処理をステップS150に進める。他方、ステップS170においてレリーズスイッチが全押し状態でなかった場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS210に進める。
ステップS140において連写モードが設定されていない場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS190に進める。ステップS190でボディ駆動制御装置214は、撮像素子212を第4駆動モードで駆動する。ボディ駆動制御装置214はこれにより、画像信号を得る。ステップS200でボディ駆動制御装置214は、ステップS190で得た画像信号に基づき撮影画像データを作成する。作成された撮影画像データは、不図示の記憶媒体に記憶される。
ステップS210でボディ駆動制御装置214は、撮影者により所定の電源オフ操作が為されたか否かを判定する。電源オフ操作が為されていない場合、ボディ駆動制御装置214は処理をステップS30に進める。他方、電源オフ操作が為されていた場合、ボディ駆動制御装置214は図20に示す処理を終了する。
図22(b)に、以上の処理における第1〜第5駆動モードの利用状況のまとめを示す。ボディ駆動制御装置214は、表示モードと、連写モードのオンオフと、操作状況とに応じて第1〜第5駆動モードを使い分ける。
上述した第1の実施の形態に係るデジタルスチルカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子212の画素アレイ部40には、一対の光電変換部(フォトダイオード)13、14を有する焦点検出画素311が二次元状に複数配列されている。第1水平出力回路49(第1出力部)は、一対の光電変換部13、14の受光出力を合算し画像信号として出力する。第2水平出力回路45(第2出力部)は、一対の光電変換部13、14の受光出力を焦点検出信号として出力する。CPUb223(画像データ生成部)は、第1水平出力回路49により出力された画像信号に基づき画像データを生成する。CPUa222(焦点検出部)は、第2水平出力回路45により出力された焦点検出信号に基づき交換レンズ202の焦点調節状態を検出する。撮像素子制御部220(停止制御部)は、第1駆動モード〜第5駆動モードを所定の動作状況に応じて切り替える。すなわち撮像素子制御部220は、第1水平出力回路49による画像信号の出力または第2水平出力回路45による焦点検出信号の出力を、所定の動作状況に応じて停止させる。このようにしたので、表示モード(OVFモード、LVモード)の設定状況やレリーズスイッチの操作状況など、種々の動作状況に応じた最適な動作を行う撮像装置を提供することができる。
(2)撮像素子制御部220は、所定の焦点検出操作が為されたことに応じて、第2または第3駆動モードで撮像素子212を駆動する(すなわち停止させていた第2水平出力回路45による焦点検出信号の出力を開始させる)。このようにしたので、種々の動作状況に応じた最適な動作を行う撮像装置を提供することができる。
(3)ハーフミラー218(分割部)は、交換レンズ202から出射した光束を、撮像素子212に向かう第1光束と撮像素子212とは異なる方向に向かう第2光束とに分割する。接眼レンズ217(観察部)は、第2光束により形成される被写体像を撮影者に観察させる。撮像素子制御部220は、OVFモードが設定された場合(すなわち撮影者が接眼レンズ217により被写体像を観察する場合)には、第3駆動モードで撮像素子212を駆動する(すなわち第2水平出力回路45による画像信号の出力を停止させる)。このようにしたので、撮像素子212の駆動に伴う消費電力を低減することができる。
(4)デジタルスチルカメラ201は、撮像素子212による撮像を繰り返し行い、各々の撮像ごとにCPUb223による画像データの生成とCPUa222による焦点調節状態の検出とを行う連続撮影モードを備える。撮像素子制御部220は、連続撮影モードにおいて、撮像素子212を第5駆動モードで駆動する(すなわち、第1水平出力回路49による画像信号の出力と、第2水平出力回路45による焦点検出信号の出力とを停止させない)。このようにしたので、連続撮影コマ間で常に最適なピント位置を保ち続けることができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
第1の実施の形態では、第1〜第5駆動モードを必要に応じて切り替えることにより、画像信号(間引き読み出しにより得られるスルー画像信号または通常の画像信号)と焦点検出信号の両方を適宜オンオフする実施形態について説明した。本発明は、このような実施の形態に限定されない。
例えば、OVFモードのみを有するデジタルスチルカメラに本発明を適用して、通常時には第3駆動モードで繰り返し焦点検出信号を得、撮影時には第5駆動モードで画像信号と焦点検出信号とを得るようにしてもよい。この場合、焦点検出信号は常に読み出され、画像信号の読み出しがオンオフされることになる。
また、LVモードのみを有するデジタルスチルカメラに本発明を適用して、通常時には第2駆動モードで繰り返し画像信号(スルー画像信号)と焦点検出信号とを得、撮影時には第4駆動モードで画像信号を得るようにしてもよい。この場合、画像信号は常に読み出され、焦点検出信号の読み出しがオンオフされることになる。なお、LVモードのみを有するデジタルスチルカメラに本発明を適用する場合には、ハーフミラー218は存在せずともよい。
(変形例2)
焦点検出エリア101同士で、蓄積時間に差を設けてもよい。例えば、被写体部分ごとに輝度に差がある場合、輝度の高い被写体部分に位置する焦点検出エリア101では、それ以外の焦点検出エリア101よりも蓄積時間を短くすることができる。
図21に、そのような読み出しを行うタイミングチャートの例を示す。図21は、図15に示した第2駆動モードのタイミングチャートに、焦点検出エリア101同士で蓄積時間に差を設ける変更を加えたものである。焦点検出エリア101同士で蓄積時間に差を設ける場合、行L3、L12、L21のリセットを1行ずつ順に行う必要はない。そこで、図21のタイミングチャートでは、時刻t23に、行L3、L12、L21のリセットを同時に行っている。これら3つの行のリセットが完了した後に、他の行L1、L4、L7、…のリセットを順次行う。その後、時刻t24に、行L21の電荷蓄積が完了し、行L21から焦点検出信号が読み出される。CPUa222は、行L21から焦点検出信号が読み出されると、この焦点検出信号に基づき、第3焦点検出エリア101cのデフォーカス量を演算する。
その後、時刻t25において、行L3の電荷蓄積が完了し、行L3から焦点検出信号が読み出される。CPUa222は、行L3から焦点検出信号が読み出されると、この焦点検出信号に基づき、第1焦点検出エリア101aのデフォーカス量を演算する。その後、時刻t26において、行L12の電荷蓄積が完了し、行L12から焦点検出信号が読み出される。CPUa222は、行L12から焦点検出信号が読み出されると、この焦点検出信号に基づき、第2焦点検出エリア101bのデフォーカス量を演算する。
すべての焦点検出エリア101についてデフォーカス量が演算されると、撮像素子制御部220は、再び行L11〜L13のリセットを同時に行い、上述した動作を繰り返す。ボディ駆動制御装置214は、このようにして演算された焦点検出エリア101ごとのデフォーカス量に基づき、焦点調節の対象となるいずれか1つの焦点検出エリア101を選択する。そして、選択した焦点検出エリア101において算出されたデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206に送信し、フォーカシング用レンズ210の焦点調節を行わせる。
以上のような動作を行わせる場合、ある行からの焦点検出信号の読み出しタイミングと、他の行からの画像信号の読み出しタイミングとが衝突してしまうことがある。例えば図21では、時刻t27に、行L3からの焦点検出信号の読み出しと、行L4からの画像信号の読み出しが衝突する。このような場合には、焦点検出信号の読み出しを優先し、焦点検出信号が読み出されるまで他の行からの画像信号の読み出しを中止すればよい。図21では、時刻t27において、まず行L3からの焦点検出信号の読み出しが行われ、これが完了した時刻t28に、行L4からの画像信号の読み出しが行われている。
なお、焦点検出エリア101ごとの蓄積時間を、例えば被写体部分の輝度等に応じて、動的に変化させてもよい。例えば、第1焦点検出エリア101aにおける蓄積時間を、毎回変化させてもよい。また、以上の動作を、変形例1と組み合わせることも可能である。
(変形例3)
ハーフミラーは可動でなくてもよい。つまり、ハーフミラーを固定し、LVモードのときや本撮影時にもハーフミラーが通常位置にある状態としてよい。この場合、撮影者はOVFモードが設定されているときだけでなく、LVモードが設定されているときも、光学ファインダーから被写体を観察することができる。また、OVFモードとLVモードの切替を、例えばボタン類の操作ではなく、光学ファインダー近傍に設けた近接センサの検知結果に応じて行うことが可能である。つまり、通常時はLVモードを設定して表示装置216にスルー画を表示するが、撮影者が光学ファインダーを覗き込むと、近接センサが撮影者の近接を検知し、これに応じてボディ駆動制御装置214がOVFモードを設定する。
(変形例4)
上述した実施形態では、例えば図18に示すように、3つの焦点検出エリア101の全てについてデフォーカス量が算出されてからフォーカシング用レンズ210を駆動させていた。これを、3つ全ての焦点検出演算を待つのではなく、1つもしくは2つのエリアでの焦点検出演算が終わった段階でフォーカシング用レンズ210を駆動させるようにしてもよい。例えば、第1焦点検出エリア101aに対応する被写体部分に優先的に焦点調節を行うような設定が撮影者により為されているのであれば、第2焦点検出エリア101bや第3焦点検出エリア101cの焦点検出結果を見るまでもなく、第1焦点検出エリア101aに対応するデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206に送信すればよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。