JP6608927B2 - メタクリル酸の精製方法及び製造方法 - Google Patents

メタクリル酸の精製方法及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メタクリル酸の精製方法及び製造方法に関する。
メタクリル酸の製造方法として、イソブチレン、第3級ブチルアルコール、メタクロレインまたはイソブチルアルデヒドを分子状酸素により1段又は2段の反応で接触気相酸化する方法がある。この方法で得られる生成物中には、目的物のメタクリル酸(沸点161℃/760mmHg、融点15℃)の他に、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、シトラコン酸、安息香酸、トルイル酸、テレフタル酸、アクリル酸等のカルボン酸類や、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、メタクロレイン、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類が副生成物として含まれている。
これらの不純物の大部分は、抽出操作や蒸留操作、またはそれらの組み合わせ等の精製手段により分離され、ある程度の純度のメタクリル酸を得ることができる。
また、メタクリル酸の精製方法としては、抽出法や蒸留法の他に晶析法がある。
特許文献1には、粗製メタクリル酸に、第二成分としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を添加し、この溶液からメタクリル酸を晶析させ、析出した結晶と母液とを分離することによって、精製されたメタクリル酸を得る方法が記載されている。
また、特許文献2には、粗製メタクリル酸に、第二成分としてメタノールを添加した溶液を、第一晶析槽と第二晶析槽が接続された連続型晶析装置を用いて晶析する方法において、第二晶析槽の懸濁スラリーの一部を第一晶析槽に循環させた状態にてメタクリル酸を晶析させ、精製塔にて析出した結晶と母液とを分離することによって、精製されたメタクリル酸を得る方法が記載されている。
また、特許文献3には、冷却面での結晶層の成長を効果的に抑制する構造を持つスクレーパーユニットを用いて晶析を行なうことで、長期間安定して精製されたメタクリル酸を得る方法が記載されている。
国際公開第99/06348号 特開2011−219376号公報 特開2012−246263号公報
メタクリル酸に不純物として含まれるアルデヒド類は、紫外部領域に吸収がみられるため、アルデヒド類が多く残存するメタクリル酸製品には着色が生じる問題があった。通常の抽出法や蒸留法では、アルデヒド類を十分に除去することは困難であり、このような着色の問題を解消することは困難であった。
蒸留では低減困難な不純物を除去する手段として、特許文献1に記載の晶析法が提案されているが、この方法は、粗製メタクリル酸に添加する第二成分の濃度範囲が1〜35質量%、もしくは3〜30質量%と非常に範囲が広く、また記載された操作条件より効率的に精製が行える操作条件は明確に示されていない。
また、粗製メタクリル酸に加えられる第二成分は、その他の不純物と同様に最終的には除去する必要がある。そのため、晶析操作後、固液分離された結晶群中の第二成分含有量は低いことが好ましいが、これを効率的に達成する方法についても示されていない。
また、特許文献2に記載の方法については、第二晶析槽の懸濁スラリーを第一晶析槽に循環することで、両槽の冷却負荷の均等化を図り、第一晶析槽のスケーリングを抑制し、これにより、長期間の運転を達成できることは示されているが、メタクリル酸の品質に関しては示されていない。
また、特許文献3に記載の方法については、スクレーパーユニットを用いて、長期間の運転を達成できることは示されているが、メタクリル酸の品質、生産性に関しては示されていない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、固液分離後の結晶群の純度を高くでき、かつ、高い生産性を実現できるメタクリル酸の精製方法及び製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
原料メタクリル酸とメタノールを混合し、
前記原料メタクリル酸とメタノールを含む混合溶液からメタクリル酸の結晶を析出させ、
前記結晶と母液を分離するメタクリル酸の精製方法であって、
前記混合溶液中のメタノールの濃度が3.0〜3.75質量%となるように、メタノールを混合し、
冷却式晶析槽内で、前記混合溶液からメタクリル酸の結晶を析出させる、メタクリル酸の精製方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、
原料メタクリル酸を形成する工程と、
上記の精製方法で、前記原料メタクリル酸を精製する工程とを含む、メタクリル酸の製造方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
原料メタクリル酸を形成する工程と、
上記の精製方法で、前記原料メタクリル酸を精製する工程と、
上記の精製工程において形成した懸濁スラリーを固液分離し、得られた固形分を高純度化操作によって精製する工程とを含む、メタクリル酸の製造方法が提供される。
本発明によれば、固液分離後の結晶群の純度を高くでき、かつ高い生産性を実現できるメタクリル酸の精製方法及び製造方法を提供できる。
メタノール濃度と結晶群の純度の関係を示すグラフである。 メタノール濃度と結晶析出速度の関係を示すグラフである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、原料中の溶媒濃度、晶析槽内温度を特定の範囲内とすることにより、固液分離後の高い結晶群純度を維持しつつ、結晶析出速度を高めることができ、さらに特定の晶析装置を使用することで、固液分離後の高い結晶群純度を維持しつつ、結晶析出速度をさらに高めることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。なお、晶析槽内温度とは、晶析槽内の懸濁スラリー温度を示す。また、結晶析出速度とは単位時間あたりの結晶の生成量である。
本発明の実施形態による方法は、原料メタクリル酸とメタノールを混合し、前記原料メタクリル酸とメタノールを含む混合溶液からメタクリル酸の結晶を析出させ、前記結晶と母液を分離する、メタクリル酸の精製方法であって、前記混合溶液中のメタノールの濃度が3.0〜3.75質量%となるように、メタノールを混合し、冷却式晶析槽内で、前記混合溶液からメタクリル酸の結晶を析出させる、メタクリル酸の精製方法である。
上記の精製方法において、前記冷却式晶析槽の晶析槽内温度を4〜8℃の範囲に制御することが好ましい。この温度範囲に制御することで、十分に結晶を析出させることができる。
上記の精製方法において、前記混合溶液中のメタノールの濃度が3.0〜3.75質量%になるように、前記原料メタクリル酸とメタノールとを混合した後、その混合溶液を前記冷却式晶析槽へ供給することが好ましい。例えば、あらかじめ原料メタクリル酸とメタノールを混合し、メタノールの濃度が3.0〜3.75質量%である前記混合溶液を調製しておき、この混合溶液を前記冷却式晶析槽へ供給することができる。
上記の精製方法において、前記混合溶液を前記冷却式晶析槽へ連続的に供給することが好ましい。この一方で、この冷却式晶析槽から、連続的又は間欠的に、析出した結晶と母液を含むスラリーを抜き出すことが好ましい。その際、冷却式晶析槽内の液面の位置がほぼ一定となるように抜き出すことが好ましい。
上記の精製方法において、9〜20℃の前記混合溶液を前記冷却式晶析槽へ供給することが好ましい。前記混合溶液の温度が20℃より高い場合は、その混合溶液の温度を9〜20℃の範囲まで冷却した後に供給することが好ましい。
上記の精製方法において、冷却式晶析槽には、冷却ジャケットを具備した邪魔板付き円筒形容器を具備し、該円筒形容器の内部に、該円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーユニットと、回転軸と、該回転軸および該スクレーパーユニットの間を繋ぐアンカー状のスクレーパーアームとを含むことが好ましい。
また、前記スクレーパーユニットには、前記円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーブレードと、該スクレーパーブレードを支持するブレード支持部、および前記スクレーパーアームに固定されるアーム連結部を有するスクレーパーブレードホルダーと、該ブレード支持部を介して、該スクレーパーブレードを該円筒形容器の内面に押し付けるスプリング式押付装置とを具備していることが好ましい。前記ブレード支持部と前記アーム連結部、該ブレート支持部と前記スプリング式押付装置、および該スプリング式押付装置と前記スクレーパーアームが、それぞれ可動式に接続されていることが好ましい。
さらに、前記スクレーパーアームの下部が、フラットパドル翼部となっており、前記円筒形容器の軸方向における該フラットパドル翼部の長さが、前記回転軸から前記円筒形容器の側面の方向に向かうに従って徐々に短くなっている部分を有することが好ましい。
本発明の実施形態による精製方法は、例えば特許5708257号(特開2012−246263号公報)に記載の晶析装置を用いて好適に実施することができる。この晶析装置として、次の晶析装置を用いることができる。
本発明の実施形態による精製方法に好適に用いることができる晶析装置は、メタクリル酸を含む原料から間接冷却晶析によってメタクリル酸を結晶化させ、結晶スラリーを得る晶析装置であって、
該晶析装置は、
晶析槽として、冷却ジャケットを具備した邪魔板付き円筒形容器と、
該円筒形容器を、該円筒形容器の軸方向に貫通するモーター駆動回転軸と、該回転軸を支持し、該円筒形容器の底面に配置される軸受けと、を具備し、
該円筒形容器の内部に、
該円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーユニットと、
該回転軸および該スクレーパーユニットの間を繋ぐアンカー状のスクレーパーアームと、
該スクレーパーアームに取り付けられ、該スクレーパーアームを補強するリングサポートとを含む、メタクリル酸の晶析装置である。
上記の晶析装置において、前記スクレーパーユニットは、
スクレーパーアームに取り付けられて用いられるスクレーパーユニットであって、
晶析槽の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーブレードと、
該スクレーパーブレートを支持するブレード支持部、および該スクレーパーアームに固定されるアーム連結部を有するスクレーパーブレードホルダーと、
該ブレード支持部を介して、該スクレーパーブレードを該晶析槽の内面に押し付けるスプリング式押付装置と、を具備し、
該ブレード支持部と該アーム連結部、該ブレート支持部と該スプリング式押付装置、および該スプリング式押付装置と該スクレーパーアームが、それぞれ可動式に接続されていることを特徴とするメタクリル酸の晶析装置用スクレーパーユニットである。
上記の晶析装置において、
前記アンカー状のスクレーパーアームの下部が、フラットパドル翼部となっており、前記円筒形容器の軸方向における該フラットパドル翼部の長さが、前記回転軸から前記円筒形容器の側面の方向に向かうに従って徐々に短くなっていることが好ましい。
上記の晶析装置を用い、かつ前記晶析槽内の単位体積当たりの撹拌所要動力を0.15kW/m以上0.7kW/m以下とすることが好ましい。
このような晶析装置の具体的な構造としては、特許5708257号(特開2012−246263号公報)の図1、図2、図3及び図4並びにこれらの図の説明記載により示されている構造を採用することができる。
上記の精製方法において、得られた懸濁スラリーは、更に固液分離し、高純度化操作を行うことが好ましい。
以下に、本発明の実施形態による精製方法について詳細を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の実施形態においては、結晶の製造原料として、粗製メタクリル酸、もしくは粗製メタクリル酸を精密蒸留や晶析等の手法によって精製したメタクリル酸を用いることができる。原料メタクリル酸は、本発明による精製方法により除去される不純物を含むメタクリル酸であり、蒸留や晶析などの他の精製方法により精製されたメタクリル酸であっても、本発明の方法により除去される不純物を含むものは、本発明の方法の精製対象である原料メタクリル酸に含まれる。これ以降、粗製メタクリル酸やこれを精製したメタクリル酸を、本発明による精製用の原料として、「原料メタクリル酸」と記す。
原料メタクリル酸は、例えば直接酸化法やACH(アセトンシアンヒドリン)法等の種々の方法により製造することができる。
このような原料メタクリル酸の製造方法としては、例えば、イソブチレン、第3級ブチルアルコール、メタクロレインおよびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を分子状酸素により1段又は2段の反応で接触気相酸化する直接酸化法で得られる反応ガスを凝縮して得た凝縮液、又は該反応ガスの凝縮液に水を加えるか、該反応ガスを水に吸収させて得たメタクリル酸水溶液から有機溶剤を用いてメタクリル酸を抽出し、蒸留により有機溶剤および不揮発分を除去して原料メタクリル酸を得る方法が挙げられる。この際、有機溶剤としては、n−ヘプタン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、キシレン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸n−プロピル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸プロピル、クロトン酸メチル、吉草酸メチル、酪酸エチル、ジブチルエーテルおよびそれらの混合物や、それらから選ばれた少なくとも1種を含む溶剤を用いることができる。また、ACH法で副生するメタクリル酸を抽出や蒸留により分離して原料メタクリル酸を得る方法等が挙げられる。原料メタクリル酸の純度としては、99.00質量%以上が好ましく、99.00〜99.99質量%がより好ましく、99.00〜99.90質量%がさらに好ましい。
本発明の実施形態による精製方法では、原料メタクリル酸に溶媒を添加した混合溶液を晶析原料として用いることができる。この溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールや水といった、極性物質を用いることが可能であるが、懸濁スラリーの流動性向上、冷却伝面でのスケーリング抑制の面でメタノールを用いることが好ましい。
原料メタクリル酸とメタノールを晶析槽へ供給する方法としては、特に限定されないが、それぞれ晶析槽へ所定量を連続的または断続的に供給する方法が挙げられる。原料メタクリル酸とメタノールをそれぞれ連続的に供給する場合は、それぞれの質量流量を一定にすることにより、晶析槽内のメタノール濃度を一定に制御できるため好ましい。
一方、メタノールを断続的に供給すると、晶析槽内のスラリーをサンプリングし、溶媒であるメタノール濃度を分析する必要があり、手間がかかる。そのため、メタノールは上記のように所定量を連続的に供給することが好ましく、また、以下のように連続的に供給することがより好ましい。
すなわち、メタノールが所定濃度になるように、原料メタクリル酸とメタノールとを混合した後、その混合液を晶析槽へ連続的に供給することが好ましい。例えば、あらかじめ、メタノールが所定濃度になるように、原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液を作っておき、この混合溶液を晶析槽へ連続的に供給することができる。
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液は、タンクなどの容器を用いて調製してもよいし、それぞれの質量流量を測定しながら、配管内で混合し、そのまま晶析槽へ供給してもよい。質量流量は質量流量計で測定してもよく、体積流量を測定し、その液体の比重を用いて、質量流量に換算して求めてもよい。
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液中のメタノール濃度は3.0〜3.75質量%が好ましい。
この混合溶液のメタノール濃度は式(1)にて定義される。
メタノール濃度[質量%]=(溶媒として添加したメタノールの質量)/(原料メタクリル酸の質量+溶媒として添加したメタノールの質量)×100 (1)
この混合溶液のメタノール濃度が3.0質量%以上の場合、懸濁スラリー中のメタクリル酸結晶の粒子径が小さくなり、懸濁スラリーの流動性が向上し、抜き出し配管等での詰まりや、晶析槽内での結晶滞留といったトラブルが解消されるだけでなく、冷却伝面に対する結晶の付着力が低下し、スケーリングが抑制される。この観点から、この混合溶液のメタノール濃度は3.0質量%以上が好ましく、3.2質量%以上がより好ましく、3.5質量%以上がさらに好ましい。
一方、この混合溶液のメタノール濃度が3.75質量%以下の場合、懸濁スラリーを固液分離した後の結晶群の純度を高く維持できる。これは、3.75質量%を超える濃度とした場合、懸濁スラリー中のメタクリル酸結晶が必要以上に小さくなり、結果として比表面積が大きくなることにより、結晶表面に付着する母液量が増加すること、更に母液中のメタノール濃度が高いため、結晶表面に付着したメタノール量も上昇すると考えられる。そのため、混合液のメタノール濃度は3.75質量%を超えないようにして、結晶サイズを必要以上に小さくしないことが望ましい。この観点から、この混合液のメタノール濃度は3.75質量%以下が好ましく、3.74質量%以下がより好ましく、3.70質量%以下がさらに好ましい。なお、原料メタクリル酸にあらかじめメタノールが存在する場合は、原料メタクリル酸中のメタノールも、溶媒として添加したメタノールとして考えることができる。
本発明の実施形態による精製方法では、冷却式晶析槽を用いて原料メタクリル酸の晶析操作を行う。冷却式晶析槽としては、槽内に冷却用熱媒体を循環させる冷却コイルを有する冷却器、もしくは槽の周面に外側から冷却用熱媒体を接触させるための冷却ジャケットを有する冷却器、またはその両方を備えたものを用いることができる。この中で、晶析槽の周面を伝熱面として熱交換により槽内を冷却することができるものが好ましい。また、冷却コイルと冷却ジャケットを共に有する構成としてもよい。
なお、本発明の実施形態による精製方法において、晶析操作は、生産性や結晶の品質に影響を与える晶析槽内温度、懸濁密度および母液組成といった槽内の状態が一定に保たれるという点で、連続型であることが好ましい。なお、懸濁密度とは、晶析槽内の懸濁スラリー中の結晶の質量濃度である。
冷却式晶析槽内の温度は、4〜8℃が好ましい。冷却式晶析槽内の温度を4℃以上とすることによって、懸濁スラリーの流動性の向上や、スケーリングの抑制といった前述の効果を十分に得ることができる。この点から冷却式晶析槽内の温度は4℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。更に、発明者らの検討によると、晶析槽内温度が低いほど、懸濁スラリーを固液分離して得られる結晶群の純度が低下することが明らかとなっており、この点からも晶析槽内温度をこの温度以上に保つ事が重要である。一方、晶析槽内の温度が8℃を超えると、懸濁スラリー濃度が著しく減少し、生産性の大きな低下を招くため好ましくない。この観点から、冷却式晶析槽内の温度は8℃以下が好ましく、7℃以下がより好ましく、6℃以下がさらに好ましい。
また、原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液を前記冷却式晶析槽へ供給する際に、この混合溶液の温度が20℃より高い場合には、この混合溶液を9〜20℃の範囲(より好ましくは9〜15℃の範囲)まで、冷却したのち、前記冷却式晶析槽へ供給することが好ましい。これにより、晶析槽における冷却負荷を低減することができる。
なお、原料メタクリル酸の凝固点は、その純度に依存するが、常圧で15℃付近であるため、原料メタクリル酸だけを晶析槽へ供給する場合、その供給前に冷却するときは、凝固点より高い温度、すなわち15℃より高い温度にする必要がある。この温度範囲では、晶析槽における冷却負荷の大きな低減効果を得ることが困難になる。このような場合は、あらかじめ原料メタクリル酸とメタノールを混合し、混合溶媒とすることが好ましい。これにより混合溶媒の凝固点を下げることができ、晶析槽における冷却負荷を十分に低減することができる。
冷却式晶析槽は、冷却ジャケットを具備した邪魔板付き円筒形容器を具備し、該円筒形容器の内部に、該円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーユニットと、回転軸と、該回転軸および該スクレーパーユニットの間を繋ぐアンカー状のスクレーパーアームを含むことが好ましい。
晶析槽(円筒形容器)に邪魔板を具備することで、晶析槽底部への結晶の沈殿を抑制できる。また槽内の原料濃度分布、温度分布を均一にすることができ、局所的な過飽和度上昇を抑制することができる。
また、前記スクレーパーユニットは、前記円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーブレードと、該スクレーパーブレードを支持するブレード支持部、および前記スクレーパーアームに固定されるアーム連結部を有するスクレーパーブレードホルダーと、該ブレード支持部を介して、該スクレーパーブレードを該円筒形容器の内面に押し付けるスプリング式押付装置とを具備していることが好ましい。
該スクレーパーユニットを用いることで、晶析槽内の混合攪拌も狙った比較的高回転での運転を行なった場合でも、回転軸が振れることなく、均一に掻き取りを行うことができる。
さらに、前記スクレーパーアームの下部が、フラットパドル翼部となっており、前記円筒形容器の軸方向における該フラットパドル翼部の長さが、前記回転軸から前記円筒形容器の側面の方向に向かうに従って徐々に短くっている部分を有することが好ましい。
該フラットパドル翼部を用いることで、晶析槽(円筒容器)の底部に沈殿した結晶を上部へ巻き上がる流れを形成し、良好な槽内混合を容易に行うことができるだけでなく、排出ノズルにおける抜き出し不良を容易に抑制することができる。
冷却式晶析槽にて得られた懸濁スラリーは、晶析槽から抜き出された後、固液分離される。固液分離の方法には特に制限はないが、例えば、ろ過装置、遠心分離装置等の公知の固液分離装置、およびこれらの組み合わせを用いることができる。固液分離後に得られた固形分である結晶群には、不純物を含有した母液、メタノールが残存する。これらを分離除去するために、高純度化操作を行うことができる。得られた結晶群をさらに高純度化する操作としては、結晶状態のまま高純度化する操作を含む精製を行うことができ、具体的には、結晶の「発汗」と呼ばれる現象を利用して結晶中の不純物(例えば母液やメタノール)を結晶温度を上げて結晶外へ放出させる操作を含む精製を行うことができる。このような高純度化操作を行う装置の具体例としては、例えば、清水忠造、「クレハ連続結晶精製装置による有機化合物の精製」、ケミカルエンジニアリング、第27巻、第3号(1982)、第49頁に掲載されている、(株)クレハ環境製の連続結晶精製装置であるKCP(Kureha Crystal Purifier)が挙げられる。分離の操作は回分式操作、または連続式操作のいずれでも操作できる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、晶析装置としては、フラットパドル翼による攪拌機構、スクレーパーユニット、邪魔板を備えたステンレス製連続型ジャケット冷却式晶析槽(容積5L)を用い、晶析操作を行った。熱媒体としては、40質量%エチレングリコール水溶液を用いた。
成分の濃度測定には、ガスクロマトグラフィー(本体:GC−17A(製品名)、(株)島津製作所製、分析カラム:HP−FFAP(商品名)、Agilent Technologies製)を用いた。
(実施例1)
第3級ブチルアルコールを分子状酸素により接触気相酸化し、得られた反応ガスを水に吸収させて得られるメタクリル酸水溶液からn−ヘプタンを用いてメタクリル酸を抽出し、この抽出液を蒸留することにより有機溶剤及び不揮発分を除去して粗製メタクリル酸を得た。この粗製メタクリル酸に対し、晶析操作によって精製を行うことによって精製メタクリル酸(純度:99.98質量%)を得た。本実施例では、この精製メタクリル酸を原料メタクリル酸として用いた。
22℃に保持した前記原料メタクリル酸に、濃度が3.74質量%となるように溶媒として25℃のメタノールを混合し、原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液を調製した。
この混合溶液を10℃に冷却した後、その3.4Lを晶析槽内に仕込み、125rpmの撹拌条件下、晶析槽のジャケットに10℃の熱媒体を供給した。
その後、熱媒体温度を2.0℃/hrにて降温した。熱媒体温度が4.5℃となった時点で、10℃に冷却された前記混合溶液を1.1kg/hrの流速で晶析槽へ供給を開始し、晶析槽内の液面の位置が一定となるよう、間欠的に槽内スラリーを抜き出した。
抜き出したスラリーは、下部にフィルターを設置したガラスカラム(内径:70mm、高さ:400mm)に移送し、重力濾過した。得られた母液の組成と、晶析槽内温度を確認した。
この連続運転操作を4時間継続し、得られた母液の組成、及び晶析槽内温度の経時変化から、槽内が定常状態となっていることを確認した。定常状態における、得られた結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、メタクリル酸純度が99.98質量%以上となるように高純度化操作を行った。高純度化操作には、(株)クレハ環境製の連続結晶精製装置であるKCP(Kureha Crystal Purifier)を使用した。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
なお、実施例および比較例で示す結晶群の純度は、結晶群に含有されるメタノールも不純物として考慮し算出した。
懸濁密度は、サンプリングしたスラリーの全質量を測定後、濾過等の方法で固液分離し、結晶の質量を測定した後、以下の式(1)により算出した。
懸濁密度[質量%]= 結晶の質量[kg]/スラリーの質量[kg]×100 (1)
また、結晶析出速度は、以下の式(2)により算出した。
結晶析出速度[g/min]=(原料の供給速度またはスラリーの抜出速度[g/min])×(原料と抜出したスラリーの懸濁密度差 [質量%])/100 (2)
生産性比は、下記式(3)にて表される生産性の値を基に、比較例1の値を基準に、下記式(4)により算出した。
生産性=高純度化操作により得られる精製メタクリル酸量[kg] (3)
生産性比=各実施例、比較例における生産性/比較例1における生産性 (4)
(実施例2)
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液中のメタノール濃度を3.60質量%とした以外は、実施例1と同様にして精製操作を行い、実施例1と同様にして結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を測定した。結果を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、実施例1同様、高純度化操作を行った。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
(実施例3)
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液中のメタノール濃度を3.10質量%とした以外は、実施例1と同様にして精製操作を行い、実施例1と同様にして結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を測定した。結果を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、実施例1同様、高純度化操作を行った。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
(比較例1)
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液中のメタノール濃度を3.80質量%とした以外は、実施例1と同様にして、精製操作を行い、結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を測定した。結果を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、実施例1同様、高純度化操作を行った。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
(比較例2)
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液中のメタノール濃度を6.32質量%とし、晶析原料(前記混合液)を1.4kg/hrで晶析槽へ供給した以外は、実施例1と同様にして、精製操作を行い、結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を測定した。結果を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、実施例1同様、高純度化操作を行った。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
(比較例3)
熱媒体温度が1.5℃となった時点で、晶析原料(前記混合液)を晶析槽へ供給した以外は、比較例2と同様にして、精製操作を行い、結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を測定した。結果を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、実施例1同様、高純度化操作を行った。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
(比較例4)
原料メタクリル酸とメタノールの混合物中のメタノール濃度を2.90質量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。しかしながら、晶析原料(前記混合液)の供給開始2時間後、懸濁スラリーの流動状態が悪化し、抜き出し配管の詰まりが発生するとともに、冷却伝面にスケールが発生したため運転を中止した。
(比較例5)
原料メタクリル酸とメタノールの混合溶液中のメタノール濃度を3.80質量%とし、晶析装置には攪拌機構のみを具備した装置を用いて、実施例1と同様にして精製操作を行い、実施例1と同様にして結晶群の純度、並びに晶析槽内温度、懸濁密度および結晶析出速度を測定した。結果を表1に示す。また、メタノール濃度と結晶群の純度の関係、及びメタノール濃度と結晶析出速度の関係を、それぞれ図1及び図2に示す。
続いて、得られた結晶群に対し、実施例1同様、高純度化操作を行った。得られたメタクリル酸の生産性比を表2に示す。
Figure 0006608927
Figure 0006608927
メタノール濃度を3.74質量%、3.60質量%、3.10質量%とした実施例1、2、3では、メタノール濃度が3.8質量%である比較例1に対して、結晶析出速度がそれぞれ7%、14%、23%向上した。また、実施例1、2、3における固液分離後の結晶群の純度は、比較例1の純度に対して、それぞれ0.07ポイント、0.19ポイント、0.22ポイント向上した。更に、実施例1、2、3における生産性比は、比較例1(1.0)に対して、それぞれ1.10、1.17、及び1.26へ向上した。
一方、メタノール濃度を6.32質量%へ高くした比較例2では、結晶析出速度が大幅に低下しただけでなく、固液分離後の結晶群の純度も低下し、結果として、生産性比も大幅に悪化している。また、メタノール濃度を6.32質量%へ高くし、且つ晶析槽内温度を2℃程度にまで下げた比較例3では、実施例1と同程度の結晶析出速度の向上が見られたが、固液分離後の結晶群の純度は実施例1、2、3と比べて1ポイント程度低下した。生産性比は若干向上したものの、実施例1、2、3の結果には及ばなかった。
また、メタノール濃度を2.9質量%と少なくした比較例4では、懸濁スラリーの流動性が悪化しただけでなく、冷却伝面にスケールが発生し、安定的な運転ができなかった。
また、メタノール濃度を比較例1と同じ3.8質量%とし、攪拌機構のみを具備した晶析装置で行った比較例5では、槽内冷却伝面へのスケーリングが進行し、除熱能力が低下したため、生産性比は比較例1の結果には及ばなかった。
以上の結果から、本発明の実施形態による精製方法によれば、生産性に直結する結晶析出速度、固液分離後の結晶群の純度を向上させ、結果的に生産性も増加させることが可能である。
また、本実施例及び比較例では、原料メタクリル酸として、晶析を行った精製メタクリル酸(純度:99.98質量%)を用いているため、主な不純物成分はメタノールであり、以上の結果から、原料メタクリル酸と混合したメタノールの結晶中の残留量を低減できることが分かる。
なお、本発明の実施形態による精製方法においては、前述の通り、原料メタクリル酸として、粗製メタクリル酸を用いることができ、この粗製メタクリル酸中の不純物の含有量を、本実施形態による精製方法によって低減することができる。
原料メタクリル酸に粗製メタクリル酸を用いた場合に、前記精製方法によって不純物を低減できることを、参考例を挙げて具体的に説明する。
(参考例1)
原料メタクリル酸に粗製メタクリル酸を用いた以外は、実施例1と同様にして精製操作を行い、結晶群のメタノールを除く不純物の濃度を測定した。
成分の濃度測定には、ガスクロマトグラフィー(本体:GC−2014AFsc(製品名)、(株)島津製作所製、分析カラム:DP−FFAP(商品名)、Agilent Technologies製)を用いた。
原料メタクリル酸中の不純物濃度と、参考例1で得られた結晶群の不純物の濃度を表3に示す。
Figure 0006608927
原料メタクリル酸として粗製メタクリル酸を用い、この粗製メタクリル酸とメタノールの混合液を用いて、本実施例に示した晶析操作を行うことで原料中の不純物を低減した結晶群を得ることができる。

Claims (11)

  1. 純度が99.00質量%以上の原料メタクリル酸とメタノールを混合し、
    冷却式晶析槽内で前記原料メタクリル酸とメタノールを含む混合溶液からメタクリル酸の結晶を析出させ、
    前記結晶と母液を分離するメタクリル酸の精製方法であって、
    前記冷却式晶析槽が、周面を伝熱面として熱交換により槽内を冷却できる円筒形容器を備え、該円筒形容器の内部に、該円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーユニットを有し、
    前記混合液中のメタノールの濃度が3.0〜3.75質量%となるように、前記原料メタクリル酸とメタノールを混合し、
    前記冷却式晶析槽の晶析槽内温度を4〜8℃の範囲に制御し、該冷却式晶析槽内で、前記混合溶液からメタクリル酸の結晶を析出させる、メタクリル酸の精製方法。
  2. 前記円筒形容器の内部に、前記スクレーパーユニットと、回転軸と、該回転軸と該スクレーパーユニットの間を繋ぐスクレーパーアームとを含む、請求項1に記載のメタクリル酸の精製方法。
  3. 前記混合溶液中のメタノールの濃度が3.0〜3.75質量%になるように、前記原料メタクリル酸とメタノールとを混合した後、その混合溶液を前記冷却式晶析槽へ供給する、請求項1又は2に記載のメタクリル酸の精製方法。
  4. 前記混合溶液を前記冷却式晶析槽へ連続的に供給する、請求項3に記載のメタクリル酸の精製方法。
  5. 9〜20℃の前記混合溶液を、前記冷却式晶析槽へ供給する請求項3又は4に記載のメタクリル酸の精製方法。
  6. 前記混合液中のメタノールの濃度が3.1〜3.75質量%となるように、前記原料メタクリル酸とメタノールを混合する、請求項1から5のいずれか一項に記載のメタクリル酸の精製方法。
  7. 前記冷却式晶析槽が、冷却ジャケットを具備した邪魔板付き円筒形容器を具備し、
    該円筒形容器の内部に、
    該円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーユニットと、
    回転軸と、
    該回転軸および該スクレーパーユニットの間を繋ぐアンカー状のスクレーパーアームとを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のメタクリル酸の精製方法。
  8. 前記スクレーパーユニットが、
    前記円筒形容器の内面に析出した結晶を掻き取るスクレーパーブレードと、
    該スクレーパーブレードを支持するブレード支持部、および前記スクレーパーアームに固定されるアーム連結部を有するスクレーパーブレードホルダーと、
    該ブレード支持部を介して、該スクレーパーブレードを該円筒形容器の内面に押し付けるスプリング式押付装置とを具備している、請求項2又は7に記載のメタクリル酸の精製方法。
  9. 前記スクレーパーアームの下部が、フラットパドル翼部となっており、
    前記円筒形容器の軸方向における該フラットパドル翼部の長さが、前記回転軸から前記円筒形容器の側面の方向に向かうに従って徐々に短くなっている部分を有する、請求項2又は8に記載のメタクリル酸の精製方法。
  10. 原料メタクリル酸を形成する工程と、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法で、前記原料メタクリル酸を精製する工程とを含む、メタクリル酸の製造方法。
  11. 前記原料メタクリル酸を精製する工程において形成した懸濁スラリーを固液分離し、得られた固形分を高純度化操作によって精製する工程を含む、請求項10に記載のメタクリル酸の製造方法。
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