JP6608740B2 - 車両用モータ駆動装置、車両用電動パワーステアリング装置、及び車両用モータの駆動方法 - Google Patents
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Description
しかし、一定時間の制御周期を設定し、この制御周期毎にデューティ比を更新する一方、前記制御周期内でキャリア周波数を複数種に切り替える構成とした場合、キャリア周波数の切り替えに同期してモータ指令値を変更する処理が必要となり、また、係る処理が割り込み処理になることからマイクロコンピュータなどの演算処理部品の演算負荷が増大する。
係る演算負荷の増大に対応するためには、演算処理能力が高い高性能で高価な演算処理部品を採用する必要が生じたり、演算負荷の増大による発熱量の増大に対処するために放熱能力を高める必要が生じたりする。
また、本願発明に係る車両用モータの駆動方法は、その一態様として、第1巻線群と前記第1巻線群に電力を供給する第1インバータとの組み合わせからなる第1系統と、第2巻線群と前記第2巻線群に電力を供給する第2インバータとの組み合わせからなる第2系統とを有する車両用ブラシレスモータをPWM制御により駆動する車両用モータの駆動方法であって、前記第1系統及び前記第2系統において、キャリア信号の複数周期からなる制御周期毎に、デューティ比の更新及び前記キャリア信号の周波数の切り替えを実施し、前記キャリア信号の周波数の切り替えを、前記第1系統の前記キャリア信号の周波数と前記第2系統の前記キャリア信号の周波数とが異なるように実施する。
以下の実施の形態は、車両用電動パワーステアリング装置において操舵補助力(アシストトルク)を発生するモータの駆動制御に、本発明に係る車両用モータ駆動装置及び車両用モータの駆動方法を適用した例である。
図1は、実施の形態における車両用電動パワーステアリング装置のシステム構成の一態様を示す。
電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイール110、操舵トルクセンサ120、電動モータ130、制御ユニット(駆動装置)150、電動モータ130の回転を減速してステアリングシャフト(ピニオンシャフト)170に伝達する減速機160などを備える。
ステアリングシャフト170の先端にはピニオンギア171が設けられ、ピニオンギア171はラックギア172に噛み合う。そして、ピニオンギア171が回転することで、ラックギア172が車両200の進行方向左右に水平移動する。
操舵トルクセンサ120は、車両の運転者がステアリングホイール110を操作することでステアリングシャフト170に発生する操舵トルクを検出し、操舵トルクの検出信号STを制御ユニット150に出力する。
制御ユニット150には、モータ制御(操舵補助力の設定)に用いる情報信号として、操舵トルクセンサ120が出力する操舵トルク信号STの他、車速センサ190が出力する車速信号VSPなどが入力される。
このように、制御ユニット150は、電動パワーステアリング装置100の電動モータ130を駆動制御する機能を有している。
図2に示すように、電動モータ130は、スター結線される3相巻線U、V、Wからなる巻線群130Aを備えた3相同期電動機(3相ブラシレスモータ)である。
図3において、トルク-電流変換部151は、操舵トルク信号ST、車速信号VSPなどの情報に基づき設定された目標トルクの信号を入力し、目標トルクを2軸の回転座標系(d−q座標系)のd軸目標電流及びq軸目標電流に変換して出力する。
そして、d軸目標電流、q軸目標電流とd軸実電流Id、q軸実電流Iqとの差分(偏差、制御エラー)がPI制御部153に入力される。
第2座標変換部154は、指令電圧Vq,Vdをそのときのモータ角度に基づいて3相指令電圧Vu,Vv,Vwに変換すると共に、変調波としての3相指令電圧Vu,Vv,Vwを三角波キャリア信号と比較することで、インバータ1A,1Bのスイッチング素子を駆動するためのスイッチングゲート波形(FETスイッチ指令)を生成し、インバータ回路部150Aを構成するスイッチング素子に出力する。つまり、第2座標変換部154は、PWM制御として、3相指令電圧Vu,Vv,Vwと三角波キャリア信号との比較によって、スイッチングゲート波形(FETスイッチ指令)のデューティ比を設定する。
なお、本実施形態では、一態様としてキャリア信号を三角波とするが、一定傾斜で上昇変化した後ステップ的にレベルが低下する変化を繰り返す、所謂鋸波のキャリア信号を用いることができる。
本実施形態において、制御ユニット150(制御回路部150B)は、キャリア信号の複数周期からなる制御周期毎に、デューティ比を更新すると共にキャリア信号の周波数を切り替える制御手段としての機能を有し、図4は、係るキャリア周波数の切り替え処理の一態様を示すタイムチャートである。
ここで、キャリア周波数f1、f2、f3それぞれの周期をT1、T2、T3とすると、f1=1/T1、f2=1/T2、f3=1/T3(T1>T2>T3)であり、キャリア周波数f1を選択するときの制御周期CP1はCP1=T1×3、キャリア周波数f2を選択するときの制御周期CP2はCP2=T2×3、キャリア周波数f2を選択するときの制御周期CP3はCP3=T3×3となる(CP1>CP2>CP3)。
つまり、制御ユニット150(制御回路部150B)は、時刻t0にてキャリア周波数fをf1に設定しデューティ比を決定すると、その後、周波数fがf1であるキャリア信号の3周期分の期間(CP1=T1×3)が経過するまでは、周波数fをf1に保持し、かつ、デューティ比を時刻t0での値に維持する。
制御ユニット150は、時刻t1から制御周期CP2(CP2=T2×3)が経過した時刻t2にて、キャリア周波数fをf2からf3に切り替えると共にデューティ比の更新を行い、その後、周波数fがf3であるキャリア信号の3周期分の期間(CP3=T3×3)が経過するまでは、周波数fをf3に保持し、かつ、デューティ比を時刻t2での値に維持する。
このように、デューティ比の更新周期である制御周期CPは、キャリア周波数fが一定に保持される期間であって、そのときのキャリア周期の所定数分の長さを有する期間であり、制御周期CP毎にキャリア周波数fが切り替えられることで、制御周期CPの長さはキャリア周波数fの切り替えに応じて周期的に変化し、前回と今回とで異なる時間になる。
また、図4に示したPWM制御によると、制御ユニット150は、制御周期CP(デューティ比を更新する周期)毎にキャリア周波数fを切り替え、制御周期内ではキャリア周波数fの切り替えを実施しないので、割り込み処理を抑制して演算負荷を低減することができる。
なお、図4に示したPWM制御の一態様では、制御ユニット150は、キャリア周波数fを段階的に高くする昇順パターン(f1→f2→f3)を繰り返すが、図5に示すように、キャリア周波数fを段階的に低くする降順パターン(f3→f2→f1)を繰り返すことができる。
そして、制御ユニット150は、時刻t10から制御周期CP3(CP3=T3×3)が経過した時刻t11にて、キャリア周波数fをf3からf2に切り替えると共にデューティ比の更新を行い、その後、周波数fがf2であるキャリア信号の3周期分の期間(CP2=T2×3)が経過するまでは、周波数fをf2に保持し、かつ、デューティ比を時刻t11での値に維持する。
そして、制御ユニット150は、時刻t12から制御周期CP1(CP1=T1×3)が経過した時刻t13にて、キャリア周波数fをf1からf3に戻すと共にデューティ比の更新を行い、以後キャリア信号の3周期分の制御周期CPが経過する毎に、キャリア周波数fをf3→f2→f1→f3→f2→・・・の順で切り替える処理を繰り返し、また、制御周期毎にデューティ比の更新演算を行う。
更に、制御ユニット150は、昇順パターン、降順パターン、中間周波数f2を最初又は最後の順番に設定したパターンのうちの複数を採用してキャリア周波数fを切り替えることができる。
例えば、制御ユニット150は、昇順パターン及び降順パターンを採用し、キャリア周波数fをf1→f2→f3→f2→f1→・・・の順で切り替える処理を繰り返すことができる。
また、デューティ比の更新周期(制御周期)はキャリア1周期の3倍の期間に限定されず、制御ユニット150は、キャリア1周期のn倍(nは2以上の整数)の期間を制御周期とすることができる。
図6の電動モータ130は、第1巻線群130A−1と当該第1巻線群130A−1に電力を供給するインバータ回路部150A−1との組み合わせからなる第1系統と、第2巻線群130A−2と当該第2巻線群130A−2に電力を供給するインバータ回路部150A−2との組み合わせからなる第2系統とを備え、更に、第1、第2系統は、それぞれに、制御回路部150B−1,150B−2、電源供給回路部150E−1,150E−2、電流センサ150C−1,150C−2を備えている。
図7のタイムチャートにおいて、図7(A)は第1系統でのデューティ比、制御周期及びキャリア周波数の変化を例示し、図7(B)は第2系統でのデューティ比、制御周期及びキャリア周波数の変化を例示し、両系統は共に、キャリア信号の3周期分の期間を制御周期CPとし、制御周期CP毎にキャリア周波数fを切り替えると共にデューティ比を更新するよう構成され、キャリア周波数fは3種類f1、f2、f3(f1<f2<f3)に切り替えられる。
また、巻線群130Aとインバータ回路部150Aとの組み合わせからなる系統を2系統有する電動モータ130において、図8に示すようなキャリア周波数の設定によっても、各系統のキャリア周波数を異ならせることができる。
ここで、キャリア周波数f4でのキャリア1周期をT4、キャリア周波数f5でのキャリア1周期をT5(T4>T5)とすると、第1系統の制御周期CP4はCP4=T4×3で、第2系統の制御周期CP5はCP5=T5×3(CP5<CP4)となる。
係る構成では、2つの系統を同じキャリア周波数fでPWM制御する場合に比べて系統間の相互干渉によるノイズ増加を抑制することができるため、狭帯域ノイズを低減できる。なお、第1系統のキャリア周波数と第2系統のキャリア周波数を同じパターンで切り替えても、2つの系統を同じ周波数fでPWM制御する場合に比べて狭帯域ノイズを低減できる。
上記実施形態の電動モータ130は、電動パワーステアリング装置100において操舵補助力(アシストトルク)を発生させるブラシレスモータであるが、電動パワーステアリング装置100を構成するモータに限定されず、車両の油圧式自動変速機において作動油を供給するオイルポンプを駆動するブラシレスモータや、車両の内燃機関の冷却装置において冷却水を循環させるウォータポンプを駆動するブラシレスモータなどの車両用ブラシレスモータに本願発明に係るPWM制御(制御周期及びキャリア周波数の設定処理)を適用することができる。
車両用モータ駆動装置は、その一態様において、PWM制御により車両用ブラシレスモータを駆動する車両用モータ駆動装置であって、キャリア信号の複数周期からなる制御周期毎に、デューティ比を更新すると共に前記キャリア信号の周波数を切り替える制御手段を備える。
前記車両用モータ駆動装置の好ましい態様において、前記制御手段は、前記キャリア信号の周波数を3種類以上に切り替える変更パターンを繰り返す。
さらに別の好ましい態様では、前記車両用ブラシレスモータは、巻線群と前記巻線群に電力を供給するインバータとの組み合わせからなる系統を複数有し、前記制御手段は、相互に前記キャリア信号の周波数が異なる状態で各系統をPWM制御する。
また、車両用モータの駆動方法は、その一態様において、PWM制御により車両用ブラシレスモータを駆動する車両用モータの駆動方法であって、キャリア信号の複数周期からなる制御周期を設定し、前記制御周期毎にデューティ比を更新すると共に前記キャリア信号の周波数を切り替える。
Claims (3)
- 第1巻線群と前記第1巻線群に電力を供給する第1インバータとの組み合わせからなる第1系統と、第2巻線群と前記第2巻線群に電力を供給する第2インバータとの組み合わせからなる第2系統とを有する車両用ブラシレスモータをPWM制御により駆動する車両用モータ駆動装置であって、
前記第1系統及び前記第2系統において、キャリア信号の複数周期からなる制御周期毎に、デューティ比の更新及び前記キャリア信号の周波数の切り替えを実施するとともに、
前記キャリア信号の周波数の切り替えを、前記第1系統の前記キャリア信号の周波数と前記第2系統の前記キャリア信号の周波数とが異なるように実施する制御部を備えた、
車両用モータ駆動装置。 - 請求項1に記載の車両用モータ駆動装置を備えた、車両用電動パワーステアリング装置。
- 第1巻線群と前記第1巻線群に電力を供給する第1インバータとの組み合わせからなる第1系統と、第2巻線群と前記第2巻線群に電力を供給する第2インバータとの組み合わせからなる第2系統とを有する車両用ブラシレスモータをPWM制御により駆動する車両用モータの駆動方法であって、
前記第1系統及び前記第2系統において、キャリア信号の複数周期からなる制御周期毎に、デューティ比の更新及び前記キャリア信号の周波数の切り替えを実施し、
前記キャリア信号の周波数の切り替えを、前記第1系統の前記キャリア信号の周波数と前記第2系統の前記キャリア信号の周波数とが異なるように実施する、
車両用モータの駆動方法。
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