JP6608614B2 - 植物保護材及び植物保護システム - Google Patents
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Description
請求項4に記載の植物保護材は、請求項1から3のいずれか一項に記載の植物保護材において、前記第1隔壁の開口面の大きさを、通行対象の走行を阻害しない大きさとした。
請求項5に記載の植物保護材は、請求項1から4のいずれか一項に記載の植物保護材において、前記第2植物介在路を、前記第1隔壁と前記第2隔壁との接合部の下端に設けた。
請求項6に記載の植物保護材は、請求項1から5のいずれか一項に記載の植物保護材において、前記隔壁の肉厚を、上端から下端に向かうにつれて厚くした。
また、隔壁は、第1隔壁及び第2隔壁を備えるので、隔壁の強度を向上させる事が可能となる。
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、植物を保護するための植物保護材及び植物保護システムに関する。ここで、この植物保護材及び植物保護システムを設置する場所は任意で、例えば歩道、車道、又は構造物(ショッピングセンター、病院、工場、学校等)の屋上や壁面に設置できるが、本実施の形態では、駐車場に設置するものとして説明する。ここで、「植物を保護する」とは、植物が枯死したり生長が止まってしまったりする事を防止することであり、例えば植物保護材及び植物保護システムの上を移動する人や車によって植物が踏まれて千切れてしまう事を防止することを含む。
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
図1は、本実施の形態に係る植物保護システム1が設置された駐車場を示す斜視図、図2は、図1の要部拡大断面図である。なお、図1においては、一部の植物9を切り欠いて図示している。これらの図1及び図2に示すように、本実施の形態における植物保護システム1は、駐車場の路床2の上に一面に渡って形成されており、当該植物保護システム1の上に車3が駐車可能となっている。なお、路床2の構成は任意で、本実施の形態においては平坦なコンクリート製の床であるものとして説明するが、勾配や段差を有していても良いし、他の素材(アスファルト等)で形成しても構わない。ここで、以下では、必要に応じて、これら図1や図2におけるX−X’方向を「幅方向」又は「横方向」と称し、特にX方向を「右方向」、X’方向を「左方向」と称する。また、Y−Y’方向を「奥行き方向」又は「縦方向」と称し、特にY方向を「前方向」、Y’方向を「後方向」と称する。また、Z−Z’方向を「高さ方向」又は「厚み方向」と称し、特にZ方向を「上方向」、Z’方向を「下方向」と称する。
植栽部4は、植物9を生育させるための植栽基盤であって、植物保護材5の下面材20(後述する)を介して空隙部50と対向する側の領域(すなわち、端面材の下方の領域)にのみ配置されており、下面材20に対して接する。具体的には、この植栽部4は、集水板6の上方かつ植物保護材5の下方の位置に、均等の厚みとなるように載置された土壌である。ここで、この植栽部4としては、植物9を生育可能な限り任意のものを用いる事が出来るが、本実施の形態においては、多孔質の火山砂利を主要骨材として構成する客土材を用いるものとして説明する。なお、この客土材は、シルトや粘土といった細粒分を含まず、多孔質な礫砂で構成されており、保水性および排水性に優れる。
植物保護材5は、植物9を保護するための植物保護手段である。この植物保護材5は、縦横約50cm厚み約3cm程度の板状体であり、図1に示すように、植栽部4の上方に幅方向及び奥行き方向に沿って隙間なく複数並設されている。なお、各植物保護材5同士は、水平方向の端部に形成された連結部40(後述する)によって互いに連結されている。また、植物保護材5を植栽部4に配置した際に、植栽部4に接する側の面(下向きの面)を「裏面」、反対側の面(上向きの面)を「表面」と称して説明する。
隔壁10は、植物9の少なくとも一部を内部に収容可能な空隙部50(後述する)を、第1空隙部(後述する)と、第1空隙部に対して並設された第2空隙部(後述する)とに相互に隔離する隔離手段である。この隔壁10は、図3や図5に示すように外枠材30に覆われた空間の内部に縦横に渡って形成されている。ここで、図7は、図3のA部の拡大図、図8は、単位ブロック11(後述する)を示す斜視図である。これらの図7及び図8に示すように、この隔壁10は、概略的に、上下の両端面を開口面とする平面視六角筒形状に形成された第1隔壁(以下、隔壁10a)と、当該隔壁10aの内部に配置された第2隔壁(以下、隔壁10b)であって、平面視十字状に形成された隔壁10bと、を有する単位ブロック11を1つの単位として、この単位ブロック11を隙間なく複数並設して構成されている。ただし、図7に示すように、隣接する単位ブロック11同士は、互いに隔壁10aの一部を共有して構成されている。
下面材20は、空隙部50における、第1空隙部及び第2空隙部の並設面と直交する直交方向(すなわち、高さ方向)の一方の端面(本実施の形態においては、下端面)を覆う端面材である。この下面材20は、概略的に、植物保護材5の下端面を略覆う部材であり、植物保護材5における植栽部4との接触面積を増大させることにより、人や車3が植物保護材5の上を移動した際に、植物保護材5が植栽部4に埋まってしまう事を防止するための部材である。具体的には、下面材20は、矩形状の板状体であり、隔壁10及び外枠材30と一体に形成されている。
外枠材30は、図3から図6に示すように、植物保護材5における外周部分を構成する枠材である。この外枠材30は、隔壁10の前後左右の四周を覆うように配置されており、四枚の長板形状体を端部にて組み合わせた形状に形成されている。なお、外枠部の外面には上述した連結部40が形成されており、この連結部40により他の植物保護材5と相互に連結可能となっている。
連結部40は、複数の植物保護材5を相互に連結するための連結手段である。この連結部40は、突状連結部41と、溝状連結部42とを有しており、一の植物保護材5の突状連結部41と、他の植物保護材5の溝状連結部42とを相互に連結させる事により、各植物保護材5同士を相互に連結する事ができる。
図1及び図2に戻り、集水板6は、植栽部4を透過した水分を集める集水手段である。この集水板6は、路床2と植栽部4の相互間に全面に渡って配置された板状体である。この集水板6は水分を透過しにくい素材(例えば金属)で形成されており、表面を水が伝う程度の勾配を設けて配置されている。そして、植栽部4を透過した雨水等が、当該集水板6を伝って集水用のタンク等に集められ、当該タンクの水を植物9の育成に再利用する事ができる。
タイヤ止め7は、車3の移動を抑制するための止め具である。図10は、タイヤ止め7及び植物保護システム1を示す図2に対応する断面図である。このタイヤ止め7は、各駐車スペースに2つずつ配置されており、植物保護材5に対して取り付けられている。具体的には、タイヤ止め7は、コンクリートブロック7a、及び弾性部材7bを備えて構成されている。
図1及び図2に戻り、上面材8は、植物保護材5の一部の空隙部50を覆う上端材である。具体的には、上面材8は、単位ユニットの空隙部50の上端を覆うように取り付けられており、隔壁10aの内部形状と同一形状の六角柱状の部材に形成されている。このような上面材8によって空隙部50の上端を覆うことにより、植物保護材5の上面に任意のマークを形成する事ができる。例えば、本実施の形態においては、奥行き方向に沿って配置された一列の空隙部50のそれぞれに対して当該上面材8を取り付けることにより、図1に示すように駐車スペースの側方に仕切りのマークを形成している。なお、当該上面材8は他の用途にも利用でき、例えば上面材8を所定の範囲一帯に並べて取り付けることにより、歩道を形成しても構わない。
続いて、当該植物保護システム1の施工方法について説明する。
このように、本実施の形態の植物保護材5及び植物保護システム1によれば、上切欠き12に加えて下切欠き13を備えるので、隔壁10に沿って上切欠き12に向かって生長する植物9によって上切欠き12が塞がってしまう事を防止でき、植物9が人や車3等に踏まれて擦り切れてしまう可能性を低減可能となる。また、上切欠き12に加えて下切欠き13を備えることにより、これらの上切欠き12や下切欠き13を通って植物9の根、葉、茎が同時に伸長し易く、水平方向への繁殖を促進する事が可能となる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、実施の形態に係る植物保護材5及び植物保護システム1によって、植物9が人や車3等に踏まれて擦り切れてしまう可能性を低減できない場合であっても、従来と異なる技術により植物9を保護できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
発明の詳細な説明や図面で説明した植物保護材5及び植物保護システム1の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。
本実施の形態においては、隔壁10を六角筒形状のハニカム構造としたが、これに限らず、様々な形状に隔壁10を形成して構わない。また、植物9の種類によって隔壁10の形状や厚みを適したものに変更しても構わず、例えばコケ植物を用いる場合には、隔壁10や植栽部4を薄くしても構わない。
本実施の形態においては、下面材20は円形孔21及び矩形孔22を有するものとして説明したが、植栽部4に生育する植物9の量や、植物保護材5の設置場所の水はけによっては、これらの孔のいずれかを省略しても構わない。また、本実施の形態においては、植栽部4に生育した植物9が円形孔21及び矩形孔22を介して空隙部50に至る構造としたが、これに限らず、植栽部4を下面材20の上面に直接植栽しても良い。例えば、コケ植物のように根を生やさない植物であれば、下面材20の上面に直接植栽が可能である。この場合には、円形孔21及び矩形孔22を省略しても構わない。
本実施の形態においては、空隙部50には植栽部4を充填しないものとして説明したが、空隙部50に植栽部4を充填しても構わない。この場合においても、隔壁10が上切欠き12及び下切欠き13を有していることにより、以下のような効果を奏する。
本実施の形態においては、植栽部4と路床2との相互間に集水板6を配置したが、水の再利用を行わない場合には、当該集水板6を設けなくても構わない。
本実施の形態においては、植物保護材5を設置した後に植物9の種を植栽部4に蒔くものとして説明したが、これに限られない。例えば植栽部4に植物9の種を蒔いた後に、その上に植物保護材5を載置し、その後に、植物保護材5の上から転圧ローラーで締固めしても構わない。
付記1の植物保護材は、植物を保護するための植物保護材であって、前記植物の少なくとも一部を内部に収容可能な空隙部を、第1空隙部と、前記第1空隙部に対して並設された第2空隙部とに相互に隔離する隔壁と、前記空隙部における、前記第1空隙部及び前記第2空隙部の並設面と直交する直交方向の一方の端面を覆う端面材と、前記隔壁に設けられた開口であり、前記空隙部を挟んで前記端面材と対向する側の端面側に位置する対向空間に対して相互に連通するように切り欠かれた開口である第1植物介在路であって、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか一方の内部から、当該第1植物介在路を介して、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか他方の内部へと植物を介在可能とする第1植物介在路と、前記隔壁に設けられた開口であり、前記第1植物介在路よりも前記端面材側に設けられた開口である第2植物介在路であって、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか一方の内部から、当該第2植物介在路を介して、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか他方の内部へと植物を介在可能とする第2植物介在路と、を備える。
付記1に記載の植物保護材及び付記4に記載の植物保護システムによれば、第1植物介在路に加えて第2植物介在路を備えるので、隔壁に沿って第1植物介在路に向かって生長する植物によって第1植物介在路が塞がってしまう事を防止でき、植物が人や車等に踏まれて擦り切れてしまう可能性を低減可能となる。また、第1植物介在路に加えて第2植物介在路を備えることにより、これらの第1植物介在路や第2植物介在路を通って植物の根、葉、茎が同時に伸長し易く、水平方向への繁殖を促進する事が可能となる。
2 路床
3 車
4 植栽部
5 植物保護材
6 集水板
7 タイヤ止め
7a コンクリートブロック
7b 弾性部材
7c 孔
8 上面材
9 植物
10 隔壁
10a 隔壁
10b 隔壁
11 単位ブロック
12 上切欠き
13 下切欠き
20 下面材
21 円形孔
22 矩形孔
30 外枠材
40 連結部
41 突状連結部
42 溝状連結部
50 空隙部
Claims (7)
- 植物を保護するための植物保護材であって、
前記植物の少なくとも一部を内部に収容可能な空隙部を、第1空隙部と、前記第1空隙部に対して並設された第2空隙部とに相互に隔離する隔壁と、
前記空隙部における、前記第1空隙部及び前記第2空隙部の並設面と直交する直交方向の一方の端面を覆う端面材と、
前記隔壁に設けられた開口であり、前記空隙部を挟んで前記端面材と対向する側の端面側に位置する対向空間に対して相互に連通するように切り欠かれた開口である第1植物介在路であって、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか一方の内部から、当該第1植物介在路を介して、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか他方の内部へと植物を介在可能とする第1植物介在路と、
前記隔壁に設けられた開口であり、前記第1植物介在路よりも前記端面材側に設けられた開口である第2植物介在路であって、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか一方の内部から、当該第2植物介在路を介して、前記第1空隙部又は前記第2空隙部のいずれか他方の内部へと植物を介在可能とする第2植物介在路と、を備え、
前記隔壁が、
前記第1空隙部と前記第2空隙部の並設方向に沿って複数並設された第1隔壁であって、各第1隔壁の平面形状が相互に同一となる第1隔壁と、
前記第1隔壁内の空隙部を区画するように設けられた第2隔壁と、を備え、
前記第1隔壁によって区画された空隙部の平面形状と、前記第2隔壁によって区画された空隙部の平面形状とを異ならせた、
植物保護材。 - 前記端面材は、前記空隙部の外部から、前記端面材を介して前記空隙部の内部へと植物を介在可能とする端面材孔を有する、
請求項1に記載の植物保護材。 - 前記第1隔壁を、前記直交方向の両端面を開口面とする六角筒形状に形成した、
請求項1又は2に記載の植物保護材。 - 前記第1隔壁の開口面の大きさを、通行対象の走行を阻害しない大きさとした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の植物保護材。 - 前記第2植物介在路を、前記第1隔壁と前記第2隔壁との接合部の下端に設けた、
請求項1から4のいずれか一項に記載の植物保護材。 - 前記隔壁の肉厚を、上端から下端に向かうにつれて厚くした、
請求項1から5のいずれか一項に記載の植物保護材。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の植物保護材と、
前記植物を生育させるための植栽部であって、前記植物保護材の端面材を介して前記空隙部と対向する側の領域にのみ配置されており、前記端面材に対して接する植栽部と、を備える、
植物保護システム。
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