以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。なお、各図面において同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
(画像形成装置)
まず図1及び図2を参照して、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。図1に示すように、画像形成装置100の本体中央には中間転写ベルト8を有する中間転写ベルト装置15が設置されている。
中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。横レジ補正手段としてのレジスト補正部30は、中間転写ベルト装置15の右下方の直線搬送路K2に配設されている。直線搬送路K2の下方には、記録媒体ないし転写媒体としてのシート状体Pが収容された給紙部26が配設されている。また、本実施形態における画像形成装置100には、給紙装置としてのLCT(大容量給紙トレイ)が接続されていて、画像形成装置100の本体外部からの給紙が可能に構成されている。
図2は画像形成装置のイエローに対応した作像部6Yを拡大したもので、作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成される。
他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明を行うことにする。
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、駆動モータによって図2中の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。
イエローに対応した静電潜像が形成された後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像(画像)が形成される(現像工程)。その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム1Y上で行われる、一連の作像プロセスが終了する。
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様に行われる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。
詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像(画像)を、像担持体としての中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
図3は画像形成装置の中間転写ベルト装置15とその周辺を示したものである。この中間転写ベルト装置15は、中間転写ベルト8、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9K、駆動ローラ12A、対向ローラ12B、テンションローラ12C〜12F、中間転写クリーニング部10、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材12A〜12Fによって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写電圧(転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8(ベルト状の像担持体)は、矢印方向に走行して、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写さ
れる。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置(画像転写部)に達する。この位置では、対向ローラ12Bが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップ(画像転写部)を形成している。
そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等のシート状体P上に転写される(2次転写工程)。このとき、中間転写ベルト8には、シート状体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
2次転写工程の後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されたシート状体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26(又は、側方に配設されたLCT200の給紙部26)から給紙ローラ27によって給送され、給紙経路K1(又は、第2給紙経路K10)、直線搬送路K2等を経由して搬送される。給紙部26には、転写紙等のシート状体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシート状体Pが給紙経路K1に向けて給送される。
給紙経路K1に給送されたシート状体Pは、レジスト補正部30の上流側の合流部Xで直線搬送路K2に合流して、直線搬送路K2内でレジスト補正部30から離れる方向(図1の右上方向)にいったん搬送される。そして、シート状体Pの後端が完全に直線搬送路K2内に搬送された後に、シート状体Pの搬送方向を逆転(スイッチバック)して、直線搬送路K2のレジスト補正部30に向けてシート状体Pが搬送される。
レジスト補正部30に搬送されたシート状体Pは、レジスト補正部30によってスキュー補正、横レジスト補正(幅方向の位置ズレ補正)、縦レジスト補正(搬送方向の位置ズレ補正)がされる。シート状体Pはその後、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、2次転写ニップ(画像転写部)に向けて搬送される。
こうして、シート状体P上に所望のカラー画像が転写される。なお、給紙経路K1及び直線搬送路K2等の構成・動作については図3を参照して後述する。
2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシート状体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシート状体P上に定着される。その後、シート状体Pは、排紙ローラによって装置外部へと排出される。排紙ローラによって装置外部に排出されたシート状体Pは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。なお、本実施形態における画像形成装置のプロセス線速(中間転写ベルト8の走行速度やシート状体Pの搬送速度)は、400mm/秒程度に設定されている。
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置100は、図1に示すように、横レジスト補正手段としてのレジスト補正部30が設置された直線搬送路K2の途中(合流部X)に給紙経路K1が合流するように構成している。また、給紙経路K1を直線搬送路K2の搬送方向上流側(図1の右上側)の端部よりも装置内側(図1の左側)に配設している。これにより、画像形成装置100の水平方向のサイズを小さくすることができる。
また、本実施形態では、直線搬送路K2を、搬送方向上流側が搬送方向下流側よりも上方になるように傾斜して配設している。これにより、中間転写ベルト装置15と直線搬送路K2との間のスペースが無駄なく利用されて、直線搬送路K2の水平方向のサイズを小さくすることができる。また、直線搬送路K2の下方に大きなスペースができるため、直線搬送路K2の下方に配設される給紙部26のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、本実施形態では、直線搬送路K2の搬送方向上流側に、湾曲状に形成された湾曲搬送路K4が設置されている。さらに、直線搬送路K2の搬送方向上流側(湾曲搬送路K4の上流側)に、装置外部(装置の上方)に露出する開口部90が設けられている。
このような構成により、画像形成装置100の水平方向のサイズをそれ程大きくすることなく、搬送方向のサイズが大きなシート状体P(例えば、長尺紙)の搬送が可能になる。具体的に、搬送方向のサイズが大きなシート状体Pを搬送する場合、合流部Xから送入されたシート状体Pを、合流部Xの上流側の直線搬送路K2と湾曲搬送路K4とに(場合によっては、シート状体Pの一部を開口部90から装置外部に露呈させて)一時的に収めた後に、搬送方向を逆転してレジスト補正部30に向けて搬送する。
(現像部の構成・動作)
次に図2を参照して、作像部における現像部の構成・動作についてさらに詳しく説明する。現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤収容部に開口を介して連通するトナー補給経路44Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。
現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域)まで搬送される。
その後、現像ローラ51Y上の現像剤のトナーは、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像に吸着される。この吸着後に現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
次に図3と図4を参照して、給紙経路K1、直線搬送路K2及び直線搬送路K3の構成・動作について説明する。直線搬送路K2には、反転手段としての搬送ローラ28、合流部X、レジスト補正部30が配設されている。当該レジスト補正部30は、直線搬送路K2に続く水平な直線搬送路K3に配設されている。そして当該直線搬送路K3の搬送方向に沿って、直線搬送路K3の上流側から順に、搬送ローラ対31、横レジ検知手段としてのCIS(コンタクト・イメージ・センサ)146、スキュー検知手段としてのスキュー検知センサ145、挟持ローラ33、2次転写ローラ19が配設されている。挟持ローラ(タイミングローラ対)33と2次転写ニップ(画像転写部)との間には、フォトセンサ38が配設されている。前記CIS146とスキュー検知センサ145は反射センサで構成することができる。
2次転写ニップに対して搬送方向上流側に、縦レジスト補正手段としての挟持ローラ33が配設されている。そして、上述した直線搬送路K2は、挟持ローラ33に至る搬送方向上流側に配設されるとともに、上方から下方に傾斜するように形成されている。
このような構成により、中間転写ベルト8(ベルト面)とレジスト補正部30との間の無駄なスペースが軽減されるとともに、シート状体Pが2次転写ニップに急な角度で送入されることがないために安定的に2次転写工程が行われる。
ここで、反転手段としての搬送ローラ28は、直線搬送路K2中であって、合流部Xに対してシート状体Pの搬送方向上流側に配設されている。搬送ローラ28は、駆動機構によって、上下に配設されたローラの当接・離脱動作ができるように構成されている。
搬送ローラ28は、駆動モータによって、正逆方向の回転ができるように構成されている。また、合流部Xにはシート状体Pの搬送方向の切り替え(給紙経路K1、10から直線搬送路K2の上流側への搬送と、直線搬送路K2の上流側から下流側への搬送との切り替え)を行うための切替爪が設置されている。
そして、給紙経路K1から合流部Xに搬送されたシート状体Pを、搬送ローラ28を正方向に回転させて直線搬送路K2内においてレジスト補正部30から離れる方向に搬送した後に、搬送ローラ28を逆方向に回転させてシート状体Pの搬送方向を逆転してレジスト補正部30に向けて搬送させる。すなわち、搬送ローラ28は反転手段として機能する。なお、本実施形態では、反転手段としての搬送ローラ28を直線搬送路K2内に設置したが、直線搬送路K2の上流側に配設された湾曲搬送路K4内に設置することもできる。
シート状体Pが挟持ローラ33のニップ部に挟持された状態でローラ保持部材110の幅方向シフト移動と回動動作によってシート状体Pの横レジスト補正及びスキュー補正が行われる。
CIS146は、幅方向に複数のフォトセンサ(LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなる。)が並設されたものであって、シート状体Pの幅方向両端の位置を検知することで横レジストのズレ量を検知する。そして、CIS146の検知結果に基いて、挟持ローラ33による横レジスト補正が行われる。
フォトセンサ38は、挟持ローラ33に対してシート状体Pの搬送方向下流側に配設されていて、挟持ローラ33から搬送されたシート状体Pの先端を光学的に検知する。そして、フォトセンサ38の検知結果に基いて、挟持ローラ33によって2次転写ニップに向けて搬送されるシート状体Pの搬送タイミングが微調整される。
画像形成装置100の給紙部26から、給紙部26に収納されたシート状体Pの最上方の1枚が、給紙ローラ27によって、挟持ローラ33に向けて給送される。シート状体Pは挟持ローラ33によって、スキュー補正と横レジスト補正とが行われて、さらに感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて二次転写に向けて搬送される。
そして、転写工程後のシート状体Pは、二次転写の位置を通過した後に、搬送路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシート状体Pは、定着装置20による加熱・加圧によって画像が定着される。画像が定着されたシート状体Pは、定着装置20から送出された後に、画像形成装置100から排出される。こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
(シート状体搬送装置)
前述したように、シート状体Pの搬送方向に沿って直線搬送路K3が設けられている。この直線搬送路K3は、図4に示すように、搬送されるシート状体Pの表裏面を挟むように設置された直線搬送ガイド板41〜43によって形成されている。
前記搬送ローラ対31と挟持ローラ33は、それぞれ、上段側の従動ローラ31a、33aと下段側の駆動ローラ31b、33bとを有し、シート状体Pを上下2つのローラ間のニップ部で挟持しながら搬送する。搬送ローラ対31の従動ローラ31aは、高さ固定の駆動ローラ31bに対して上下動可能に配設され、ニップ部を開閉可能に構成されている。
搬送ローラ対31、CIS146、スキュー検知センサ145、挟持ローラ33によって、本実施形態のシート状体搬送装置150が構成されている。シート状体搬送装置150は、CIS146、スキュー検知センサ145及び挟持ローラ33によって、シート状体Pのスキュー補正及び横レジ補正を行う。以下、図4〜図5Bを参照して、シート状体搬送装置150について説明する。
挟持ローラ33の下方には、図5Aのように、搬送路K3に沿って本体フレーム151が固定的に配設され、この本体フレーム151の上にベースフレーム152が固定されている。このベースフレーム152は上下2枚の水平板153、154を有し、上側の水平板154の上に、挟持ローラ33を支持するローラ保持部材110が水平方向に可動に配設されている。
図5Bのように、上側の水平板154の上面における、ローラ保持部材110の底面の四隅に対応する位置に、4個のフリーベアリング111(ボールトランスファー)が配設されている。当該フリーベアリング111の上に、ローラ保持部材110が水平方向で前後左右に移動可能に配設されている。
フリーベアリング111は公知のように台座の凹部に鋼球が回転自在に嵌め込まれたもので、鋼球の頂部がローラ保持部材110の底面に点接触している。フリーベアリング111の最低最低数は3個であるが、図示例では4個配設してローラ保持部材110の安定移動化を図っている。
ローラ保持部材110は、シート状体Pの搬送方向と直交する方向に延びた板状フレームで構成されている。板状フレームの両端は上方に向けて直角に折曲され、この折曲部分に軸受114、115が上下に並んで固定されている。ローラ保持部材110の下面の片側には、シート状体Pの搬送方向と直交する方向において所定長さで延びた回動受け110bが、ローラ保持部材110の下面に垂直に一体形成されている。
前記挟持ローラ33は、下段側の駆動ローラ33bと上段側の従動ローラ33aとで構成されている。上段側の従動ローラ33aの回転軸はローラ保持部材110の上側の軸受114に支持され、下段側の駆動ローラ33bの回転軸はローラ保持部材110の下側の軸受115に支持されている。
下側の軸受115から外側に突出した駆動ローラ33bの回転軸にロータリーエンコーダ144が装着されている。そして当該ロータリーエンコーダ144で検知される駆動ローラ33bの回転数に基いて、後述する回転数可変型ローラ駆動モータ140が駆動され、そして従動ローラ33aが駆動ローラ33bの回転に従動して回転するようになっている。
ローラ保持部材110の片側下面には、下方に向けて短く突出した被ガイド部としての支軸110aが固定されている。この支軸110aの下端部にガイドコロ136が回転可能に装着され、また支軸110aの中間部にはカムフォロワ135が回転可能に装着されている。
下側の水平板153に、第1モータ120、第2モータ130及びロータリーエンコーダ128、138が左右方向に並んで配設されている。一方の第1モータ120はスキュー補生用であって、その回転軸に駆動プーリ121が固定されている。他方の第2モータ130は横レジ補正用であって、その回転軸に別の駆動プーリ131が固定されている。
なお、一方のロータリーエンコーダ128に代えて、後述の第1回動カム124やレバー部材125の動きと位置を検知する任意のエンコーダやセンサを設けてもよい。また他方のロータリーエンコーダ138に代えて、後述の第2回動カム134やローラ保持部材110の動きと位置を検知する任意のエンコーダやセンサを設けてもよい。
上下の水平板153、154の間に、従動プーリ122、132が回転可能に支持されている。従動プーリ122、132の回転軸122a、132aの上下両端部は、上下の水平板153、154にそれぞれ回転可能に軸支されている。回転軸122aと132aは互いに平行である。そして、それぞれの駆動プーリ121、131と従動プーリ122、132との間に、タイミングベルト123、133が架け渡されている。
下側の水平板153から下方に突出した従動プーリ122、132の回転軸122a、132aに、ロータリーエンコーダ128、138の回転側部品である回転板128a、138aが固定されている。この回転板128a、138aの周縁部には複数のスリットが連続的に形成され、当該周縁部を上下に挟むようにしてロータリーエンコーダ128、138の固定側部品である投受光器が配設されている。
上側の水平板154から上方に突出した従動プーリ122、132の回転軸122a、132aの上端部に、第1回動カム124、第2回動カム134が固定されている。第1回動カム124、第2回動カム134のカム曲線はそれぞれ等速度カム曲線となるように形成されている。等速度カムを使用することで、第1回動カム124、第2回動カム134の回転角と後述のカムフォロワ126、135の直動移動距離が比例関係になり、支軸110aのシフト位置制御やレバー部材125の回動制御が容易になる。
片側の第2回動カム134に隣接する位置の上側水平板154に、シート状体搬送方向と直交する方向に延びたガイド部としての長穴154aが形成されている。この長穴154aに、支軸110aの下端部のガイドコロ136が挿入されている。支軸110aの中間部のカムフォロワ135は、第2回動カム134の周縁部のカム面に引張バネ113の力で当接している。長穴154aはガイドコロ136を直線上に移動案内するためのもので、長穴に代えて長溝とすることも可能である。
第2回動カム134とは反対側の水平板154上に支点軸154bが突設され、この支点軸154bにレバー部材125が水平方向に回動可能に配設されている。このレバー部材125の両端部上に一体形成された支軸125a、125bに、カムフォロワ126と第1押圧部としての作用コロ127が玉軸受などの任意の軸受材を介して回転可能に装着されている。カムフォロワ126の外周面は、第1引張バネ112のバネ力で第1回動カム124の外周面に当接している。作用コロ127の外周面は第1引張バネ112のバネ力で回動受け110bに当接している。
すなわち、スキュー補正用の第1モータ120、駆動プーリ121、タイミングベルト123、従動プーリ122、第1回動カム124及びレバー部材125、作用コロ127によって、第1押圧部としての作用コロ127をシート状体Pの搬送路の方向で前後動する第1駆動部が構成されている。
また、横レジ補正用の第2モータ130、駆動プーリ131、タイミングベルト133、従動プーリ132及び第2回動カム134によって、被ガイド部としての支軸110aにカムフォロワ135を介して当接した第2押圧部(カム外周面)を有し、支軸110aをシート状体Pの搬送路と直交する方向で左右動する第2駆動部が構成されている。
直線搬送路K3の一側方の本体フレーム151上であって挟持ローラ33の軸方向一端側に、ブラケット155が垂直に配設されている。このブラケット155の外側面に、挟持ローラ33の駆動ローラ33bを回転駆動するための回転数可変型ローラ駆動モータ140が固定されている。ローラ駆動モータ140の回転軸はブラケット155の内側に向けて水平に突出し、この内側に突出した回転軸にピニオン141が固定されている。当該ピニオン141はブラケット155の内側に軸支された減速ギヤ142と噛み合わされている。
減速ギヤ142の回転軸142aは、2段スプラインカップリング143を介して、挟持ローラ33の駆動ローラ33bの回転軸33b1に連結されている。これにより、ローラ駆動モータ140の回転駆動力がピニオン141、減速ギヤ142及び2段スプラインカップリング143を介して駆動ローラ33bに伝達され、挟持ローラ33が回転駆動される。したがって、挟持ローラ33がシート状体Pを挟持した状態で駆動ローラ33bがローラ駆動モータ140で回転することでシート状体Pを任意の搬送速度で搬送することができる。
2段スプラインカップリング143は一種の等速自在継手であって、図5Aの部分拡大図に示すように、第1スプラインギア143a、第2スプラインギア143b、中間スプラインギア143c、ガイドリング143d等で構成されている。
第1スプラインギア143aは外歯車であって、第1駆動部の減速ギヤ142と共に回転する回転軸142aに設置されている。当該回転軸142aは、ブラケット155に軸受を介して回転可能に保持されている。
第2スプラインギア143bも外歯車であって、挟持ローラ33の駆動ローラ33bの回転軸33b1に連結されている。中間スプラインギア143cは内歯車であって、挟持ローラ33(ローラ保持部材110)が幅方向に移動しても2つのスプラインギア143a、143bに常に噛合するように幅方向に延設されている。また、2つのスプラインギア143a、143bは、挟持ローラ33(ローラ保持部材110)が斜め方向に回動しても中間スプラインギア143cに噛合するようにクラウン状に形成されている。
このような2段スプラインカップリング143を用いることで、挟持ローラ33が良好に回転駆動される。すなわち、挟持ローラ33が支軸110aを中心にして略水平面方向に回動したり、幅方向にスライド移動したりしても、固定側のローラ駆動モータ140の駆動力が、挟持ローラ33の駆動ローラ33bに精度よく確実に伝達される。
なお、ガイドリング143dは中間スプラインギア143cの幅方向両端部にそれぞれ設置された略環状のストッパ部材であって、2つのスプラインギア143a、143bが幅方向に相対的に移動して2段スプラインカップリング143から脱落するのを防止する。
スキュー検知センサ145とCIS146は、図4(a)(b)のように、搬送ローラ対31と挟持ローラ33との間において直線搬送ガイド板41に取り付けられている。CIS146はLEDなどの光源、受光レンズ及びCMOSイメージセンサを棒状一列に並べたもので、シート状体Pの幅方向一端側のエッジ部の位置を検知することでシート状体Pの横レジズレ量を検知する。
スキュー検知センサ145は一対のフォトセンサで構成され、当該一対のフォトセンサが直線搬送路K3の幅方向中心位置からそれぞれ等距離だけ離れた位置に対称的に配置されている。そして一対のフォトセンサによりシート状体Pの前端縁を時間的に相前後して検知することでシート状体Pのスキュー角を検知する。CIS146とスキュー検知センサ145の位置は、いずれも、搬送ローラ対31と挟持ローラ33との間で変更可能である。
前述した3つのモータ120、130、140、3つのロータリーエンコーダ128、138、144は、図5Aのように制御部160に接続されている。また、スキュー検知センサ145及びCIS146は、記憶蓄積部156を介して制御部160に接続されている。
制御部160は傾向演算部160aを有し、記憶蓄積部156から得られた過去のスキュー角と横レジズレ量に基いて、傾向演算部160aがシート状体Pのスキュー角と横レジズレ量を低減又は解消するための挟持ローラ33の予備駆動量を演算するようになっている。
記憶蓄積部156は、挟持ローラ33で搬送したシート状体Pの少なくとも過去1回分のスキュー角と横レジズレ量の値を記憶蓄積する。記憶蓄積する回数の上限は傾向演算部160aの演算内容とメモリの記憶量に依存するが、記憶蓄積する回数の上限を制約する必要は特にない。
なお、画像形成装置100にシート状体Pを収容する給紙トレイが装着されている場合、当該給紙トレイの開閉をセンサで検知して記憶蓄積部156のデータをリセット可能にしてもよい。給紙トレイを開閉すると、それまでのスキュー角と横レジズレ量の傾向が大きく変化することがあるからである。このようにデータをリセットすることで、挟持ローラ33の予備駆動量を適正化することができる。
傾向演算部160aは、挟持ローラ33で過去に搬送したシート状体Pの例えば次の演算を行う。
(1)過去すべてのスキュー角と横レジズレ量の平均値
(2)過去複数回(例えば3回)のスキュー角と横レジズレ量の単純移動平均値
(3)過去複数回(例えば3回)のスキュー角と横レジズレ量の加重移動平均値
(4)過去2回のスキュー角と横レジズレ量の最新のデータと1つ前のデータとの差分値
傾向演算部160aの以上の演算結果(平均値、差分値)に基いて、シート状体Pのスキュー角と横レジズレ量を低減又は解消するように挟持ローラ33を予備駆動するのである。なお、移動平均を使用せずに、過去1回(直近の1回)のスキュー角と横レジズレ量に基いて、次に搬送するシート状体Pのスキュー角と横レジズレ量を低減又は解消するように挟持ローラ33を予備駆動することも可能である。
前記加重移動平均値では、直近に近いほどスキュー角と横レジズレ量に大きな倍率を掛けて加算する。これにより、直近に近いスキュー角と横レジズレ量ほど傾向演算部160aの演算結果に対する影響度を大きくすることができる。
なお、過去のスキュー角と横レジズレ量を参照する際に、過去複数回の値に比べて極端に大きい値や小さい値は異常値として無視するようにしてもよい。例えば過去複数回のスキュー角と横レジズレ量の標準偏差の範囲を超える値は異常値として無視することができる。このように傾向演算部160aの演算において異常値を排除することで、挟持ローラ33の予備駆動量を適正化することができる。
なお、記憶蓄積部156は過去のスキュー角や横レジズレ量に加えて、シート状体の「種類」、「サイズ」、「方向」、「両面の有無」や、環境の「温度」、「湿度」等の画像形成条件をワンセットにして記憶蓄積するようにしてもよい。そして、再度同じ画像形成条件で画像形成が行われる場合に、傾向演算部160aが過去の同じ画像形成条件の時のスキュー角や横レジズレ量を参照し、それに対応して挟持ローラ33を予備駆動するようにしてもよい。
また両面印刷を行う場合、表面と裏面ではスキュー角や横レジズレ量の傾向が異なることがある。そこで、表面印刷を行うときは過去の表面印刷で記憶蓄積部156に蓄積されたデータに基いて挟持ローラ33を予備駆動し、裏面印刷を行うときは過去の裏面印刷で記憶蓄積部156に蓄積されたデータに基いて挟持ローラ33を予備駆動するとよい。
なお、過去に同一画像形成条件の画像形成がなされていない場合を想定して、基本的な複数の画像形成条件で予め実験を行い、当該実験で得られた基本となるデータを工場出荷時に記憶蓄積部156に記憶蓄積しておいてもよい。
ロータリーエンコーダ128、138、144と記憶蓄積部156からの信号が制御部160に入力されると、制御部160は当該信号に基いて後述する図9のフローチャートのように3つのモータ120、130、140を駆動制御する。
(ローラ保持部材のスキュー補正動作と横レジ補正動作)
図6(a)〜(d)は、上述したシート状体Pのスキュー補正と横レジ補正の動作を分かりやすく示すために、スキュー補正と横レジ補正の動作を分けて示した図である。実際は図6(b)の横レジ補正動作又は図6(c)のスキュー補正動作のみが発生することは稀であり、通常は図6(d)のようにスキュー補正動作と横レジ補正動作が組み合わされた形となる。
図6(a)→(b)はシート状体Pの横レジ補正動作を示したものである。すなわち、第2モータ130が駆動されて第2カム134が回転されると、第2カム134によって第2引張バネ113のバネ力に抗するようにローラ保持部材110が右側にスライド移動する。この際、カムフォロワ135は回転しながら第2回動カム134の外周を移動するので、横レジ補正用の第2モータ130に作用するローラ保持部材110の移動負荷が小さくて済む。
また、レバー部材125の作用コロ127は、第1引張バネ112の力を受けながら回動受け110bの面上を転動するので、ローラ保持部材110のスライド移動がスムーズである。なお、第1回動カム124が停止している状態では回動受け110bもシート状体搬送方向では停止したままであるからシート状体Pのスキュー補正動作は発生しない。
図6(a)→(c)はシート状体Pのスキュー補正動作を示したものである。すなわち、第1モータ120が駆動されて第1回動カム124が回転されると、レバー部材125が第1回動カム124に押動されて支点軸154bを中心に反時計方向に回動する。
この結果、ローラ保持部材110が回動受け110bの位置でレバー部材125の作用コロ127に押動され、第1引張バネ112のバネ力に抗するようにローラ保持部材110が右端の支軸110aを中心として反時計方向に回動する。この際、カムフォロワ126、135は回転しながら第1回動カム124、第2回動カム134の外周をそれぞれ移動するので、スキュー補正用の第1モータ120に作用するローラ保持部材110の回動負荷が小さくて済む。
図6(a)→(d)はシート状体Pの横レジ補正動作とスキュー補正動作の組み合わせを示したものである。すなわち、第1モータ120が駆動されて第1回動カム124が回転され、かつ、第2モータ130が駆動されて第2カム134が回転されると、前述した(b)の横レジ補正動作と(c)のスキュー補正動作が組み合わされた動作が発生する。
このように本実施形態では、直線搬送路K3の幅方向に移動可能かつ支軸110aを中心に回転可能なローラ保持部材110に挟持ローラ33を保持し、固定側のローラ駆動モータ140の回転駆動力は2段スプラインカップリング143を介して挟持ローラ33に伝達するようにしている。したがって、ローラ駆動モータ140及び横レジ補正用の第2モータ130を固定側配置とすることが可能となり、ローラ保持部材110から上の構造の軽量化によりスキュー補正の応答性向上を図れる。
前述した横レジ補正とスキュー補正において、図7のように、1)シート状体Pのスキュー角をθ、2)横レジ補正量をΔy、3)用紙横レジ基準(被ガイド部である支軸110aの初期位置)と、第1駆動部の第1押圧部としての作用コロ127の支軸125bの中心との間の距離をdとする。なお前記Δyは、図7で用紙横レジ基準から右側がブラス、左側がマイナスである。
この場合、作用コロ127で前後動する回動受け部110bの前後動距離をΔxとしたとき、下記の数式(1)で演算した結果に基いて、制御部160によって第1駆動部としてのスキュー補正用の第1モータ120が制御される。
Δx=(d+Δy)tanθ …(1)
前記(1)式においてΔxを演算するに際し、tanθに対して単にdを掛けるのではなく、(d+Δy)を掛ける理由は次の通りである。すなわち、前述したように図6(b)の横レジ補正動作又は図6(c)のスキュー補正動作のみが発生することは稀であり、通常は図6(d)のようにスキュー補正動作と横レジ補正動作が組み合わされた形となる。
したがって、前記Δyを無視して後述する数式(2)で演算したΔxでローラ保持部材110を回動(迎え作動)させると、当該迎え作動が大きくなり過ぎたり小さくなり過ぎたりする。つまり横レジ補正に伴うスキュー補正誤差が発生する。
例えば図7のように横レジ補正のため支軸110aがΔyだけ右側に移動した場合、この移動を考慮せずにスキュー補正用の第1モータ120を駆動して回動受け部110bをΔxだけ移動すると、スキュー角を補正しきれない。つまり、制御部160は下記の数式(2)でΔxを演算するので、迎え作動量が小さ過ぎる結果、その復動時の等量の戻し作動量ではスキュー角を補正しきれない。
Δx=d・tanθ …(2)
この反対に図7で横レジ補正のため支軸110aがΔyだけ反対側(すなわち左側)に移動した場合を考えると、この移動を考慮せずにスキュー補正用の第1モータ120を駆動して回動受け部110bをΔxだけ移動すると、今度はスキュー角の補正し過ぎとなる。つまり、迎え作動量が大き過ぎる結果、その復動時の等量の戻し作動量では大き過ぎてスキュー角の補正し過ぎとなる。
図8Aと図8Bは図7で横レジ補正のため支軸110aがΔyだけ左側に移動した場合のスキュー角の補正し過ぎを示したもので、図8A(a)のように角度θ2で迎え作動した後、シート状体Pを挟持して図8B(a)のように戻し作動することで、シート状体Pの前端縁が(θ2−θ1)だけスキューしてしまう。以上の理由により、本発明の実施形態では前記数式(1)で演算した結果に基いてスキュー補正用の第1モータ120を制御することにした。
ここで、横レジズレ量(幅方向移動量)とスキュー角θ1を変化させて、前記数式(2)に基いた横レジ補正に伴うスキュー補正誤差を調べた試験結果を表1に示す(表中の値はμm)。当該試験では、図7において鎖線で示す作用コロ127の支軸125bの中心と支軸110aの初期位置(基準位置)との間の距離d=297mmとし、シート状体Pの幅方向の移動量(Δy)をマイナス5mmからプラス5mmまで、またシート状体Pのスキュー量(スキュー値)をマイナス5mmからブラス5mmまで、それぞれ1mmずつ変化させた。ここでスキュー量(スキュー値)は、幅方向成分が200mm間隔の2点について、当該2点の搬送方向成分(200・tanθ1)を距離(mm)で表したものである。
表1から分かるように、スキュー角ゼロの場合は横レジズレ量が如何に増減してもスキュー補正誤差はまったく発生しない。同様に、横レジズレ量ゼロの場合はスキュー角が如何に増減してもスキュー補正誤差はまったく発生しない。しかし、スキュー角が少しでもあると、横レジズレ量(絶対値)の増大と共にスキュー補正誤差(絶対値)も大きくなる。同様に、横レジズレ量が少しでもあると、スキュー角(絶対値)の増大と共にスキュー補正誤差(絶対値)も大きくなる。
シート状体Pの戻し作動で新たに発生するスキュー値の大きさは、表1の四隅にあるように、最大で80μm以上となる。一般にスキュー値の矯正精度は100μm程度のオーダーであるから、80μm以上のスキュー値発生は明らかにスキュー補正の阻害要因となる。本発明の実施形態によれば、横レジズレ量とスキュー角の有無や程度に関わらず、常に誤差のないスキュー補正が可能となる。
(フローチャート)
次に、前述した作動を図9のフローチャートで説明する。ステップS1で横レジ補正用の第2モータ130と、スキュー補正用の第1モータ120と、ローラ駆動モータ140がすべてONにされて、ステップS2で挟持ローラ33の姿勢(横レジ方向、回転方向)がイニシャライズされる(ローラ保持部材110が初期位置に復帰)。
次に、ステップS3でスキュー角と横レジズレ量の過去の傾向に対応して、挟持ローラ33を予備駆動する(図10A(a)の一点鎖線参照)。この予備駆動と後述の差分駆動で挟持ローラ33を2段階で補正作動する。すなわち、横レジ補正用の第2モータ130とスキュー補正用の第1モータ120を過去の駆動傾向に対応して予備的に駆動することで、シート状体Pを高速搬送する場合の挟持ローラ33の振動を回避するのである。なお、横レジ補正の場合の具体例を表1により後述する。
ステップS4でシート状体Pのスキュー角と横レジズレ量がスキュー検知センサ145とCIS146で検知され(図10B)、ステップS5でスキュー又は横レジズレの有無が判定される。スキューと横レジズレがない場合はステップS6で前記検知結果と前記演算結果との差分を演算し、ステップS7で挟持ローラ33を前記予備駆動を解消するように逆作動させた後に、ステップS8でシート状体Pが挟持ローラ33によって挟持される(図10F参照)。この状態でシート状体Pを搬送してフローを終了する。
スキュー又は横レジズレがある場合は、ステップS9で検知結果と演算結果との差分が演算される。すなわち横レジ補正用の第2モータ130の駆動量(第2回動カム134の必要回転量)が演算され、スキュー補正用の第1モータ120の駆動量(第1回動カム124の必要回転量)が演算される。当該演算は図10Cのようにシート状体Pの前端縁が挟持ローラ33に差し掛かるまでに完了する。
次にステップS10で横レジ補正用の第2モータ130とスキュー補正用の第1モータ120の迎え作動(差分駆動)が行われ(これにより挟持ローラ33は図10C(a)の矢印のように破線から実線へと駆動)、ステップS11でシート状体Pが挟持ローラ33によって挟持される(図10D参照)。この状態でシート状体Pを搬送しながら、ステップS12で横レジ補正用の第2モータ130とスキュー補正用の第1モータ120を戻し作動して、シート状体Pを横レジ補正及びスキュー補正する(図10E参照)。以後、前述と同じ動作を繰り返すことで、高精度にスキューと横レジズレが補正されたシート状体Pが直線搬送路K3から繰り出される。
(シート状体の搬送中の横レジ補正とスキュー補生)
次に図10A〜図10Gを参照して、シート状体Pを搬送ローラ対31と挟持ローラ33で搬送しながら横レジ補正とスキュー補生を行う動作について説明する。図10A(a)はシート状体Pがスキュー状態のままスキュー検知センサ145とCIS146の手前まで進んだ状態を示している。
一点鎖線で示すシート状体Pがスキューと横レジズレのない正規の基準位置である。この基準位置に対して実線で示すシート状体Pは角度βだけ反時計方向にスキューしている。シート状体Pの前端縁が、図10Bで後述するように一対のスキュー検知センサ145によって時間的に相前後して検知されることで、当該時間差と2つのスキュー検知センサ145の相対距離に基いて当該スキュー状態(角度β)が検知される。スキューの角度βは制御部160により演算される。
一方、挟持ローラ33は、スキュー検知センサ145とCIS146で検知された過去のスキュー角と横レジズレ量の傾向に基いて、当該傾向を低減又は解消するように図10A(a)の一点鎖線のように予備駆動される。この予備駆動した挟持ローラ33の姿勢は必ずしも実際のシート状体Pの姿勢とは対応しないが、予備駆動しておくことで後の差分駆動の量を低減して高速搬送対応時の挟持ローラ33の振動を低減することができる。
一方、図10A(b)はシート状体Pがスキューなしで横ズレ状態のままスキュー検知センサ145とCIS146の手前まで進んだ状態を示している。一点鎖線で示すシート状体Pがスキューと横レジズレのない正規の基準位置である。
この基準位置に対して実線で示すシート状体Pは横レジズレ量αだけ上方(搬送方向に向かって右側)に横ズレしている。シート状体Pの右側端縁が図10BのようにCIS146によって検知されることで当該横レジズレ量αが検知される。
また前述した図10A(a)のスキュー状態における横レジズレ量は、スキュー検知センサ145とCIS146の検知結果を総合して、スキューがなかったとした場合における横レジズレ量αとして演算される。横レジズレ量αは制御部160により演算される。
スキュー及び横ズレしたシート状体Pのスキュー角と横レジズレ量が検知されると、図10Cのようにシート状体Pはそのまま搬送ローラ対31によって下流側に搬送される。そしてシート状体Pの前端縁が挟持ローラ33に差し掛かると、スキュー検知センサ145とCIS146の検知結果に基いて、挟持ローラ33が図10A(a)の一点鎖線で示す予備駆動の位置から、さらに2つの矢印で示すように迎え作動する(差分駆動)。この迎え作動のタイミングは制御部160で演算される。
この迎え作動の移動量は、前述した図10A(a)の基準位置からのスキュー角βと横レジズレ量αに対応した移動量から、前述した予備駆動量を差し引いた差分量である。この迎え作動の結果、挟持ローラ33のニップ部の軸線方向とシート状体Pの前端縁とが平行になり、かつ、ニップ部の軸線方向中央部とシート状体Pの幅方向中央部とが一致する。この状態で図10Dのようにシート状体Pの前端部が挟持ローラ33のニップ部に挟持される。
シート状体Pの前端部が挟持ローラ33のニップ部に挟持されると、図10D(b)のように搬送ローラ対31の従動ローラ31aが上方に離間移動してシート状体Pの上流端を開放する。その後、図10E(a)に示すように、挟持ローラ33はシート状体Pを挟持・搬送しながらスキュー角βを相殺するように支軸110aを中心に回動すると共に、横レジズレ量αを相殺するように幅方向に移動する。
このようにしてシート状体Pは搬送されながら同時にスキュー補正、横レジ補正される。また、シート状体Pの前端縁が2次転写ローラ19の2次転写ニップに到達するタイミングが挟持ローラ33の回転数で調整される。
シート状体Pの後端縁が図10Fに示すように搬送ローラ対31を通過すると、搬送ローラ対31のニップ部が元のように閉じて後続の他のシート状体Pの搬送に備える。そして図10Gのようにシート状体Pの前端縁が2次転写ローラ19の2次転写ニップに到達すると、シート状体Pが2次転写ニップで搬送されながらシート状体P上の所望の位置に画像が転写される。
なお挟持ローラ33は、画像形成部にシート状体Pの前端縁が到達した直後に、中間転写ベルト8との間に線速差が生じてシート状体P上に転写される画像に歪みが生じないようにその搬送速度が調整される。
次に、本発明のシート状体搬送装置の作動例を以下の表2に基いて説明する。この表2は簡便のためCIS146によるシート状体の横レジ検知量に基づいた挟持ローラ33の横レジ補正に限定して記載している。過去の横レジズレ量の傾向は、過去すべての横レジズレ量の平均値(単純平均値)を使用している。なお、スキュー検知センサ145によるシート状体のスキュー検知に基づいた挟持ローラ33のスキュー補正も、表2中の「mm」を「°」に読み替えて同様に説明することができる。
表2は、挟持ローラ33によってシート状体の1枚目〜5枚目を搬送する際の横レジ補正を、本発明の実施形態と従来技術で対比したものである。1枚目は実施形態と従来技術で同じである。挟持ローラ33は横レジ検知量と等量で迎え駆動と戻り駆動することで1枚目のシート状体の横レジ補正が完了する。
2枚目になると実施形態では前回の横レジ検知量(+5mm)を初期横レジズレ量(予備駆動量)とし、2枚目のシート状体がCIS146で検知される前に、挟持ローラ33を初期横レジズレ量(+5mm)で駆動する。一方、従来技術では過去の横レジ検知量に関係なく、挟持ローラ33を毎回初期横レジズレ量(±0mm)に設定する。
2枚目の横レジズレ検知量が実際は+6mmであるとすると、当該横レジズレ検知量+6mmに対応して、初期横レジズレ量(+5mm)の不足分(+1mm)で挟持ローラ33を迎え駆動する。そして挟持ローラ33がシート状体を挟持すると、横レジズレ検知量+6mmと等量で反対方向に戻し駆動する。
一方、従来技術では迎え駆動と戻し駆動とも6mmとなり、結局、本発明では(5mm)→(1mm)→(−6mm)の3段階で駆動するのに対し、従来技術では(+6mm)→(−6mm)の2段階で駆動する。実施形態と従来技術は戻し駆動量が同じであるが、実施形態では予備駆動5mmがあるので迎え駆動量は+1mmで済むのに対し、従来技術では予備駆動がないので+6mmとなり、従来技術はそれだけ高速化対応において振動が大きくなるという課題がある。
3枚目になると、実施形態では1枚目と2枚目の横レジズレ検知量の平均値である5.5mmを初期横レジズレ量とする。そして3枚目のシート状体PがCIS146で検知される前に、挟持ローラ33を初期横レジズレ量(+5.5mm)の位置まで予備駆動する。
当該3枚目の横レジズレ検知量が実際は+8mmであると、初期横レジズレ量+5.5mmと検知量+8mmの差分2.5mmで挟持ローラ33を迎え駆動する。そして挟持ローラ33がシート状体Pを挟持すると、横レジズレ検知量+8mmと等量で反対方向に戻し駆動する。
一方、従来技術では迎え駆動と戻し駆動とも8mmとなり、結局、本発明では(5.5mm)→(2.5mm)→(−8mm)の3段階で駆動するのに対し、従来技術では(+8mm)→(−8mm)の2段階で駆動する。
4枚目になると、実施形態では1枚目〜3枚目の横レジ検知量の平均値である6.3mmを初期横レジズレ量とする。そして4枚目のシート状体PがCIS146で検知される前に、挟持ローラ33を初期横レジズレ量(+6.3mm)の位置まで予備駆動する。
当該4枚目の横レジズレ検知量が実際は+10mmであると、初期横レジズレ量+6.3mmと検知量+10mmの差分3.7mmで挟持ローラ33を迎え駆動する。そして挟持ローラ33がシート状体Pを挟持すると、横レジズレ検知量+10mmと等量で反対方向に戻し駆動する。
一方、従来技術では迎え駆動と戻し駆動とも10mmとなり、結局、本発明では(6.3mm)→(3.7mm)→(−10mm)の3段階で駆動するのに対し、従来技術では(+10mm)→(−10mm)の2段階で駆動する。
5枚目になると、実施形態では1枚目〜4枚目の横レジ検知量の平均値である7.25mmを初期横レジズレ量とする。そして4枚目のシート状体PがCIS146で検知される前に、挟持ローラ33を初期横レジズレ量(+7.25mm)の位置まで予備駆動する。
当該5枚目の横レジズレ検知量が+5mmであると、初期横レジズレ量+7.25mmと検知量+5mmの差分−2.25mmで挟持ローラ33を迎え駆動する。そして挟持ローラ33がシート状体Pを挟持すると、横レジズレ検知量+5mmと等量で反対方向に戻し駆動する。
一方、従来技術では迎え駆動と戻し駆動とも5mmとなり、結局、本発明では(7.25mm)→(−2.25mm)→(−5mm)の3段階で駆動するのに対し、従来技術では(+5mm)→(−5mm)の2段階で駆動する。したがって、本発明の実施形態に比べると従来技術では挟持ローラ33の振動が大きくなり、高速搬送の場合に当該振動によってバンディング等の不具合が発生する可能性が高まる。
(画像形成プログラム)
上述した画像形成装置100は、専用の装置構成により図9のフローチャートに従った画像形成を行うことができるが、図9のフローチャートの処理をコンピュータに実行させるための実行プログラム(画像形成プログラム)を生成し、当該プログラムを例えば汎用の画像形成装置等にインストールすることにより、図9のフローチャートを含む画像形成処理を容易に実現することができる。
また、コンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えばCD−ROM等の記録媒体等により提供することができる。この場合、実行プログラムを記録した記録媒体は、コンピュータが備えるドライブ装置等にセットされ、記録媒体に含まれる実行プログラムが、記録媒体からドライブ装置を介してコンピュータが備える補助記憶装置等にインストールされる。
なお、記録媒体としては、CD−ROM以外でも、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
また、コンピュータは、通信ネットワークに接続可能なネットワーク接続装置等を備え、通信ネットワークに接続されている他の端末等から実行プログラムを取得したり、プログラムを実行したりすることで、得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を、他の端末等に提供することができる。
なお、コンピュータが備える補助記憶装置は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し必要に応じて入出力を行うことができる。また、コンピュータが備えるメモリ装置は、CPUにより補助記憶装置から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置は、ROMやRAM(Random Access Memory)等からなる。
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)を備え、OS(Operating System)等の制御プログラムや実行プログラムに基づいて、各種演算や各構成部間のデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して各処理を実現することができる。これにより、特別な装置構成を必要とせず、低コストで効率的に画像形成処理を実現することができる。また、プログラムをインストールすることにより、画像形成処理を容易に実現することができる。
(スキュー検知センサの変形例)
図11Aと図11Bはスキュー検知センサの変形例を示すもので、第1のCIS146の下流側に当該第1のCIS146と平行に第2のCIS147を配置したものである。互いに平行な2つのCIS146、147でシート状体Pの横レジズレ量とスキュー角を検知する。同じ構成のCISを2個配設することで部品点数削減によるコストダウンを図れる。
挟持ローラ33の迎え作動では、2つのCIS146、147で検知したシート状体Pの側縁の延長線と、挟持ローラ33の軸線方向とが直交するように、スキュー補正用の第1モータ120が迎え作動する。また2つのCIS146、147の検知結果から、シート状体Pの側縁の傾斜がない場合のシート状体Pの横レジズレ量が制御部160で演算され、当該横レジズレ量に対応して横レジ補正用の第2モータ130が迎え作動する。
(ローラ保持部材の支軸の位置の変形例)
図12はシート状体搬送装置のローラ保持部材110の支軸110aの位置の変形例を示すものである。すなわち、前述した実施形態では2段スプラインカップリング143の位置と、ローラ保持部材110の支軸110aの位置が、挟持ローラ33の軸線方向において離間した位置に設定されている。
これはベースフレーム152をできるだけコンパクトに構成するためであるが、2段スプラインカップリング143から挟持ローラ33の駆動ローラ33bに対して回転駆動力を円滑に伝達するためには改善の余地がある。すなわち、前述した実施形態ではローラ保持部材110を支軸110aを中心として回動させた場合に2段スプラインカップリング143にいわゆる「偏角」が発生するからである。
そこで当該「偏角」の発生を回避するため、図12のように、ローラ保持部材110の支軸110aの左右動の中央位置(用紙横レジ基準)を右側に移動し、この移動位置に合わせるように2段スプラインカップリング143の中心部を配置した。この構成では、支軸110aの位置が直線搬送路K3の幅方向外側に移動するのでベースフレーム152の幅が図5Aと比べてやや大きくなるが、挟持ローラ33の駆動ローラ33bに回転駆動力を精度よく伝達することができる利点がある。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はスキュー補正と横レジ補正を行う搬送装置全般に適用可能である。例えば、横レジスト・スキュー補正ローラとして機能する挟持ローラ33の下流側にタイミングローラ対が設置された搬送装置に対しても本発明を適用することができる。
また本発明は、シート状体Pとしての転写紙や用紙を搬送する搬送装置の他、シート状体Pとしての原稿を搬送する搬送装置にも適用可能である。また本発明のシート状体搬送装置は他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置やオフセット印刷機など)にも適用可能である。