以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1に示すカラー画像形成装置1には、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Bkが着脱可能に設けられた作像部2が配置されている。各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的な各プロセスユニット9としては、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体である感光体ドラム10と、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラや、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像装置等を備えている。
プロセスユニット9の上方には、露光部3が配置されている。露光部3は、画像データに基づいて、レーザ光を発するように構成されている。
作像部2の直下には転写部4が配置されている。転写部4は、駆動ローラ13、二次転写対向ローラ15、複数のテンションローラ、これらのローラによって周回走行可能に張架されている無端状の中間転写ベルト16、各プロセスユニット9の感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16を挟んだ対向位置に配置されている一次転写ローラ17等で構成されている。各一次転写ローラ17はそれぞれの位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧しており、中間転写ベルト16の押圧された部分と各感光体ドラム10とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。
また、中間転写ベルト16の駆動ローラ13と、中間転写ベルト16を挟んで駆動ローラ13に対向した位置には二次転写ローラ18が配設されている。二次転写ローラ18は中間転写ベルト16の外周面を押圧しており、二次転写ローラ18と中間転写ベルト16とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
給紙部5は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した複数のシート積載部としての給紙カセット19a〜19dや、各給紙カセットから用紙Pを搬出する給紙ローラ20等からなっている。
また、給紙部5とは別に、シート積載部としての手差しトレイ40が設けられる。手差しトレイ40に積載された用紙Pは、手差し給紙ローラ41によって装置内部へ給紙される。
搬送路6は、給紙部5から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路である。搬送路6上には、複数の搬送ローラ対が、後述する排紙部8に至るまで、適宜配置されている。
搬送路6上で、給紙部5よりも用紙搬送方向(図1の矢印A2方向で、以下単に搬送方向とも呼ぶ)下流側で二次転写ニップ位置よりも上流側には、搬送路6上における用紙Pの位置ズレを補正し、用紙Pを下流側へ搬送する搬送装置30が設けられる。
定着部7は、加熱源によって加熱される定着ベルト22、その定着ベルト22を加圧可能な加圧ローラ23等を有している。
排紙部8は、画像形成装置1の搬送路6の最下流に設けられる。この排紙部8には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ24と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ25とが配設されている。
この搬送路6の最下流の排紙路とは別に、排紙ローラ24から分岐する反転搬送路6bが設けられる。反転搬送路6bの末端は、搬送路6の搬送装置30よりも上流側の位置で、搬送路6に合流している。反転搬送路6bの途中には、複数の搬送ローラ対が設けられる。
画像形成装置1の上方には、スキャナ部42が設けられる。スキャナ部42は、コンタクトガラス43上に載置された原稿表面の画像を読み取ることができる。
スキャナ部42の上方には、ADF(自動原稿送り装置)44が設けられる。ADF44の原稿台に載置された原稿をコンタクトガラス43へ自動で搬送する。
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット9Y,9C,9M,9Bkの感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム10に露光部3によって露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。各感光体ドラム10上には静電潜像が形成され、各現像装置に蓄えられたトナーが、ドラム状の現像ローラによって感光体ドラム10に供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
転写部4では、駆動ローラ13の回転駆動により中間転写ベルト16が図の矢印A1の方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ17には、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ニップにおいて転写電界が形成され、各感光体ドラム10に形成されたトナー画像は一次転写ニップにて中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて転写される。このように、例えば、作像部2、露光部3、転写部4等は、用紙Pに画像を形成する画像形成部として機能する。
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部5の給紙ローラ20が回転駆動することによって、給紙カセット(例えば給紙カセット19a)に収容された用紙Pが搬送路6に送り出される。なお、手差しトレイ40から搬送路6へ用紙Pを送り出すこともできる。
搬送路6に送り出された用紙Pは、搬送路6上の搬送装置30やローラ対によって下流側へ搬送されると共に、搬送装置30によってその位置ズレを補正され、二次転写ローラ18と二次転写対向ローラ15との間に形成される二次転写ニップへ送られる。このとき、中間転写ベルト16上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着部7へと搬送され、定着ベルト22と加圧ローラ23とによって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト22から分離され、搬送ローラ対によって搬送され、排紙部8において排紙ローラ24によって排紙トレイ25へと排出される。
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット9Y,9C,9M,9Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、用紙Pを下流側の二次転写ローラ18へ搬送すると共に、その位置ズレを補正する搬送装置30について、図2を用いてその具体的な構成を説明する。
図2に示すように、搬送装置30には、搬送路6(図1参照)の一部である直線搬送路6aが設けられる。この直線搬送路6a上には、用紙Pを挟持して下流側へ搬送すると共に、用紙Pの位置ズレを補正する挟持部材としての挟持ローラ31と、搬送方向(図の矢印A2方向)の上流側から順に、第一CIS32、第二CIS33、そして第三CIS34の三つの検知部材が設けられる。挟持ローラ31は、第二CIS33の下流側で、第三CIS34の上流側に設けられる。また、第一CIS32の搬送方向上流側には、用紙Pを搬送する搬送ローラ対35が設けられる。各CIS(コンタクトイメージセンサ)は、LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなるフォトセンサが、用紙Pの幅方向に複数並設されている。
次に、挟持ローラ31の駆動機構、および、その周辺の構成について、図3〜図7を用いて説明する。
図3に示すように、挟持ローラ31は、幅方向に複数分割されたローラ部を有するローラ対であって、第一駆動手段としての第一モータ61によって回転駆動される駆動ローラ31bと、駆動ローラ31bの回転に従動して回転する従動ローラ31aとで構成されている。挟持ローラ31は、用紙Pを挟持した状態で回転することによって、用紙Pを搬送可能に構成されている。
本体フレーム70、ベースフレーム71、ブラケット69などがネジ締結により相互に固定されて構成されており、挟持ローラ31は、保持フレームに72に回転可能に支持されている。
挟持ローラ31は、保持部材としての保持フレーム72とともに、支軸73を中心に用紙Pの回転方向(図2の両矢印X方向)に回動できるように形成されるとともに、幅方向(図2の両矢印W方向)に移動できるように形成されている。各CISの検知結果に基づいて、挟持ローラ31が上記のいずれかの方向へ移動することにより、用紙Pの斜行(用紙搬送方向に対する傾き)や横ズレ(用紙の幅方向における位置ズレ)を補正することができる。
保持フレーム72は、板金を箱状に形成したものであって、その幅方向の両端部に形成した穴部に、軸受を介して挟持ローラ31の軸部が挿入されている。保持フレーム72は、挟持ローラ31とともに、本体フレーム70やベースフレーム71に対して、幅方向に移動したり、支軸73を中心に回動したりすることができる。
駆動ローラ31bの幅方向一端側には、第一モータ61、ギア列66、67などで構成される第一駆動機構が、二段スプラインカップリング65を介して接続されている。第一駆動機構は、第一モータ61の回転駆動力を、ギア列66、67、二段スプラインカップリング65を介して駆動ローラ31bに伝達し、挟持ローラ31を回転駆動する。
また、駆動ローラ31bの幅方向他端側には、駆動ローラ31b(挟持ローラ31)の回転速度や回転タイミングなどを制御するためのエンコーダ96が設置されている。
図6に示すように、二段スプラインカップリング65は、第一スプラインギア65a、第二スプラインギア65b、中間スプラインギア65c、ガイドリング65d等で構成されている。
第一スプラインギア65aは、外歯車であって、第一駆動手段のギア列66、67のうち一方のギア67とともに回転する回転軸68に設置されている。回転軸68は、ブラケット69に軸受を介して回転可能に保持されている。また、第二スプラインギア65bは、外歯車であって、駆動ローラ31bの軸部に設置されている。
中間スプラインギア65cは、内歯車であって、挟持ローラ31(保持フレーム72)が幅方向に移動(スライド移動)しても2つのスプラインギア65a、65bに噛合するように、幅方向に延設されている。また、2つのスプラインギア65a、65bは、挟持ローラ31(保持フレーム72)が用紙Pの回転方向に回動しても中間スプラインギア65cに噛合するように、クラウン状に形成されている。このような二段スプラインカップリング65を用いることで、挟持ローラ31が支軸73を中心にして略水平面方向に回動したり幅方向にスライド移動したりしても、本体のフレーム69〜71に固定して設置された第一モータ61の駆動力が、駆動ローラ31bに精度よく確実に伝達されて、挟持ローラ31が良好に回転駆動されることになる。
ガイドリング65dは、略環状のストッパ部材であって、2つのスプラインギア65a、65bが幅方向に相対的に移動して二段スプラインカップリング65から脱落するのを防止するために、中間スプラインギア65cの幅方向両端部にそれぞれ設置されたものである。
ここで、図5に示すように、保持フレーム72は、装置のフレーム69〜71(ベースフレーム71)に設置された中継支持部材としてのフリーベアリング95(ボールトランスファー)を介して、フレーム69〜71(ベースフレーム71)に対して幅方向と用紙Pの回転方向とのいずれの方向にも移動可能に支持されている(図5の紙面に直交する平面を自在に移動できるように支持されている)。
フリーベアリング95は、台座95bの凹部に鋼球95aが挿設された公知のものであって、鋼球95aの頂部が保持フレーム72の底面に点接触することになる。そして、フリーベアリング95は、フレーム69〜71に対して保持フレーム72を3箇所以上で支持するように構成され、本実施形態では、図4に示すように、保持フレーム72の底面における四隅に対応する位置(保持フレーム72が最大にスライド移動や回動しても接触可能な位置)に、それぞれ、フリーベアリング95がベースフレーム71に固定されている。
このように、保持フレーム72を、フリーベアリング95を介してベースフレーム71に支持させることで、保持フレーム72がベースフレーム71に対して相対的に面方向に移動しても、それによって生じる摩擦負荷を極めて小さくすることができ、用紙Pの位置ズレ補正(斜行補正や横ズレ補正)を、応答性よく高精度で行うことができる。
図3に示すように、保持フレーム72の底面には、第一駆動機構の側(図3の右側)に、下方に向けて起立するように支軸73(スタッド)がカシメ加工などにより固定されている。
一方、図4に示すように、ベースフレーム71の天井面には、第一駆動機構の側に、矩形状の孔部であるガイド部71aが形成されている。
図3、図4に示すように、支軸73は、支軸73に回転可能に設けられたガイドコロ76を介して、ベースフレーム71のガイド部71aに嵌合している。そして、保持フレーム72は、挟持ローラ31とともに、ガイド部71aに沿った支軸73の移動に連動して幅方向にスライド移動したり、支軸73を中心に回動したりすることができる。
また、挟持ローラ31には、挟持ローラ31を支軸73を中心に回動させ、用紙Pの斜行を補正するための第二駆動機構が設けられる。図3に示すように、第二駆動機構は、第二モータ63、タイミングベルト98、第一カム84、第一付勢部材としての第一引張スプリング92(図4参照)、レバー部材81等で構成されている。
図3に示すように、第二モータ63は、ベースフレーム71に固定されている。第二モータ63のモータ軸に設置された駆動プーリと、第一カム84の回転支軸に設置された従動プーリに、タイミングベルト98が巻装されている。第二モータ63の駆動力は、タイミングベルト98を介して、第一カム84に伝達される。
図4に示すように、第一引張スプリング92は、保持フレーム72を用紙Pの回転方向の正方向(図4の支軸73を中心にした時計周りの方向)に付勢するように、保持フレーム72とベースフレーム71とに接続されている。
レバー部材81は、回動支軸81aを中心に回動可能にベースフレーム71に保持されていて、その一端側には第一カム84に当接するカムフォロワ82(第一コロ状部材)が回転可能に設置(軸支)され、その他端側には保持フレーム72の突起部72aに当接する作用コロ83(第二コロ状部材)が回転可能に設置(軸支)されている。
第一カム84は、回転支軸84aを中心に回転可能なように、ベースフレーム71に保持されている。第一カム84は、第一引張スプリング92によって用紙Pの回転方向の正方向に付勢された保持フレーム72を、用紙Pの回転方向の逆方向(図4の支軸73を中心にした反時計周りの方向)にレバー部材81を介して間接的に押動するものである。
このような構成により、第二モータ63が駆動されると、図7(a)に示すように、その回転駆動力がタイミングベルト98を介して第一カム84に伝達され、第一カム84が反時計回りに回転しようとする。この第一カム84の回転力により、レバー部材81が押動されて回動支軸81aを中心に回動することで、保持フレーム72が突起部72aの位置でレバー部材81に押動されて、第一引張スプリング92のスプリング力に抗するように保持フレーム72が回動する。この保持フレーム72の回動により、挟持ローラ31が図2の矢印X方向へ回動し、用紙Pの斜行を補正する。
なお、第一引張スプリング92のスプリング力によって、第一カム84とカムフォロワ82は常に当接した状態になっている。また、保持フレーム72の突起部72aと作用コロ83とは常に当接した状態になっており、第一カム84の回転角度(回転方向の姿勢)によって、支軸73を中心にした保持フレーム72の回動角度(回動方向の姿勢)が定められる。このように、第一カム84とレバー部材81との当接位置にカムフォロワ82を設置して、突起部72aとレバー部材81との当接位置に作用コロ83を設置することで、それぞれの当接位置において生じる摩擦負荷を極めて小さくすることができるため、斜行補正(スキュー補正)が応答性よく高精度に行われる。
また、図3に示すように、第一カム84の回転支軸84aにエンコーダホイール86が設置され、それに対応するベースフレーム71の位置にエンコーダセンサ87が固設されている。そして、エンコーダセンサ87によるエンコーダホイール86の検知に基づいて第二モータ63が制御され、第一カム84の回転角度が調整制御されて、保持フレーム72の回動量が調整される。
ここで、第一カム84は、そのカム曲線が等速度カム曲線となるように形成されている。これにより、第一カム84の回転角度の変化量と、それに伴う保持フレーム72の回転角度の変化量とを比例関係にすることができるため、用紙Pの斜行補正制御を精度良く行うことができる。
また、挟持ローラ31には、挟持ローラ31を幅方向に移動させ、用紙Pの横ズレを補正するための第三駆動機構が設けられる。図3に示すように、第三駆動機構は、第三モータ62、タイミングベルト97、第二カム74、第二付勢部材としての第二引張スプリング91(図4参照)等で構成されている。
図3に示すように、第三モータ62は、ベースフレーム71に固定されている。第三モータ62のモータ軸に設置された駆動プーリと、第二カム74の回転支軸74aに設置された従動プーリに、タイミングベルト97が巻装されている。第三モータ62の駆動力は、タイミングベルト97を介して、第二カム74に伝達される。
図4に示すように、第二引張スプリング91は、保持フレーム72を幅方向の正方向(図4の左方向)に付勢するように、保持フレーム72とベースフレーム71とに接続されている。
第二カム74は、回転支軸74aを中心に回転可能なように、ベースフレーム71に保持されている。第二カム74は、第二引張スプリング91によって幅方向の正方向に付勢された保持フレーム72を幅方向の逆方向(図4の右方向)に押動するものである。保持フレーム72の支軸73には、第二カム74に当接する位置にカムフォロワ75が設置(軸支)されている。また、支軸73のガイド部71aに当接する位置にはガイドコロ76が設置(軸支)されている。
このような構成により、第三モータ62が駆動されると、図7(b)に示すように、その回転駆動力がタイミングベルト97を介して第二カム74に伝達され、第二カム74が反時計回りに回転しようとする。この第二カム74の回転力により、保持フレーム72(挟持ローラ31)が、第二引張スプリング91のスプリング力に抗するように、ガイド部71aに沿ってスライド移動し、用紙Pの横ズレが補正される。
なお、第二引張スプリング91のスプリング力によって、第二カム74とカムフォロワ75とは常に当接した状態になっており、第二カム74の回転角度(回転方向の姿勢)によって支軸73の幅方向の移動距離が定められる。このように、第二カム74と支軸73とがカムフォロワ75を介して当接するようにすることで、その当接位置において生じる摩擦負荷を極めて小さくすることができるため、横ズレ補正が応答性よく高精度におこなわれる。
また、図3に示すように、第二カム74の回転支軸74aにエンコーダホイール77が設置され、それに対応するベースフレーム71の位置にエンコーダセンサ78が固設されている。そして、エンコーダセンサ78によるエンコーダホイール77の検知に基づいて第三モータ62が制御され、第二カム74の回転角度が調整制御されて、保持フレーム72の幅方向の移動量が調整される。
ここで、第二カム74は、そのカム曲線が等速度カム曲線となるように形成されている。これにより、第二カム74の回転角度の変化量と、それにともなう保持フレーム72の移動距離の変化量、を比例関係にすることができるため、用紙Pの横ズレ補正制御を精度良く行うことができる。
図7(c)は、上述した用紙Pの斜行補正と横ズレ補正とを同時に行うときの、保持フレーム72の動作の一例を示す図である。
図7(c)に示すように、第二モータ63が駆動されて第一カム84が回転されると、レバー部材81が第一カム84に押動されて回動支軸81aを中心に回動することで、保持フレーム72が突起部72aの位置でレバー部材81に押動されて、第一引張スプリング92のスプリング力に抗するように保持フレーム72が回動する。また、これと同時に、第三モータ62が駆動されて第二カム74が回転されると、第二カム74によって第二引張スプリング91のスプリング力に抗するように保持フレーム72がスライド移動する。このとき、レバー部材81の作用コロ83が突起部72aの面上を移動しながら突起部72a(保持フレーム72)を押動する。
次に、各CISによって用紙Pの位置ズレを検知する方法を、図8を用いて説明する。
図8に示すように、用紙Pが第一CIS32と第二CIS33に対向する位置まで搬送されると、各CISが用紙Pの側端Pbの位置を読み取る。この側端Pbの位置と、用紙Pの幅方向の理想位置(図の実線L)との距離を求めることにより、用紙Pの横ズレ量を求めることができる。例えば、第一CIS32の位置における側端Pbの平行線Lからの距離を距離Wa1、第二CIS33の位置における側端Pbの平行線Lからの距離を距離Wa2とすると、用紙Pの横ズレ量は、(Wa1+Wa2)/2とすることができる。また、予め算出された第一CIS32と第二CIS33の距離dを用いて、用紙Pの斜行量は、(Wa1−Wa2)/dにより求めることができる。
このように、第一CIS32(上流側検知部材)と第二CIS33(下流側検知部材)により、用紙Pの位置ズレ量や後述する画像の位置ズレを検知することができる。また、第二CIS33(上流側検知部材)と第三CIS34(下流側検知部材)によっても、同様の方法により、用紙Pや画像の位置ズレを検知することができる。言い換えると、本実施形態では、上流側検知部材と下流側検知部材(検知部)が、用紙Pに対向することにより、用紙Pや後述する画像の位置を検知することができる。
以上のように算出される用紙Pの位置ズレ量に基づいて、用紙Pのおもて面(第一面)印刷時に、搬送装置30が用紙Pの位置ズレを補正する過程について、図9〜図14を用いて説明する。
図9(a)および図9(b)に示すように、搬送装置30は、二次転写ローラ18の側へ用紙Pを搬送しながら、挟持ローラ31によって用紙Pの位置ズレを補正する。なお、図9(b)に示すように、二次転写ニップの直前には、用紙Pが二次転写位置(用紙Pへの画像形成位置)に到達したことを検知するための検知センサ36が設けられる。
用紙Pが搬送装置30に搬入されると、まず、搬送ローラ対35が用紙Pを挟持して下流側へ搬送する。そして、各CISに用紙Pの先端Paが進入すると、用紙Pの幅方向位置が検知され、用紙Pの横ズレ量が算出される。
用紙Pが第一CIS32および第二CIS33に対向する位置まで搬送されると、前述した方法により、二つのCISによって用紙Pの斜行量が算出される。なお、用紙Pの位置ズレ量を複数回検知して、その検知結果を統計処理することにより用紙Pの位置ズレ量を求めることもできるし、一度の検知結果を用紙Pの位置ズレ量とすることもできる。
図10(a)および図10(b)に示すように、用紙Pの位置ズレ量が算出されると、挟持ローラ31が、用紙Pを挟持する前に、予め用紙Pを補正する方向とは逆方向へ、用紙Pの位置ズレ量の分だけ移動する。具体的には、矢印X1方向へ用紙Pの斜行量の分だけ回動すると共に、矢印W1方向へ用紙Pの横ズレ量の分だけ平行移動する(以下、この動作を迎え動作と呼ぶ)。
挟持ローラ31は、その回動中心X0が挟持ローラ31の幅方向中央に設けられ、用紙Pの幅方向中央位置を基準にして回動する。挟持ローラ31は、用紙Pを挟持した際に、回動中心X0を中心にして回動することで、用紙Pの斜行を補正する。また、挟持ローラ31は、用紙Pの幅方向へスライド移動することができ、用紙Pの横ズレを補正することができる。
図11(a)および図11(b)に示すように、この迎え動作により、挟持ローラ31は、用紙Pに正対した状態で用紙Pを挟持し、挟持ローラ31が用紙Pを挟持した際の用紙Pの位置ズレを極力減らすことができる。そして、挟持ローラ31が用紙Pを挟持した後、搬送ローラ対35が用紙Pから離間する。
図12(a)および図12(b)に示すように、用紙Pを挟持した挟持ローラ31は、用紙Pを下流側へ搬送しながら、用紙Pの位置ズレを補正する。具体的には、挟持ローラ31は、用紙Pを矢印A2方向へ搬送しながら、各CISが検知した位置ズレ量に基づいて、矢印X2方向へ回動すると共に、矢印W2方向へ平行移動する。これにより、用紙Pは元の位置(図の2点鎖線部)から補正後の位置(図の実線部)へ移動し、搬送路上における位置ズレが補正される(以下、この動作を送り動作と呼ぶ)。
この時、予め挟持ローラ31に迎え動作をさせることにより、送り動作後の挟持ローラ31を挟持ローラ31の基準姿勢(図12aの実線部の姿勢で、用紙Pの搬送路に正対した姿勢)に配置することができる。
以上の動作について、その制御フロー図を図15に、各CISと挟持ローラを駆動するモータとの制御部の関係を示すブロック図を図16に示す。
図15に示すように、第一CIS32および第二CIS33が用紙Pを検知し(ステップN1)、用紙Pの横ズレ量および斜行量が検知されると(ステップN2)、この横ズレ量および斜行量に基づいて、それぞれのエンコーダ(図16参照)によりエンコーダカウント数が算出される。
図16に示すように、決定されたカウント数は、挟持ローラ31を駆動させるためのコントローラに入力される。そして、入力されたカウント数に応じて、それぞれのモータドライバによって第一モータ61および第二モータ63(図3参照)が駆動され、挟持ローラ31が用紙Pの方向とは逆方向へ回動あるいは幅方向に平行移動する(つまり、迎え動作をする)。迎え動作が終了し、挟持ローラ31が用紙Pを挟持すると、前述したように、挟持ローラ31は送り動作を行う(図15のステップN5)。迎え動作および送り動作時には、それぞれのエンコーダによって、時々刻々の挟持ローラ31の位置情報がフィードバックされ、挟持ローラ31が決められた移動量だけの移動をするように制御が行われる。
次に、送り動作後の用紙Pの位置ズレの補正動作である再補正動作について、図13を用いて説明する。また、その制御フロー図を図17に示す。
図13(a)および図13(b)に示すように、用紙Pが挟持ローラ31によってさらに下流側へ搬送されると、用紙Pが第三CIS34に対向する。そして、第二CIS33および第三CIS34によって、用紙Pの横ズレ量および斜行量が再び検知される(図17のステップN11,N12)。そして、この用紙Pの位置ズレ量に基づいてエンコーダカウント数が算出され(ステップN13)、挟持ローラ31が回動および平行移動する(ステップN14)。これにより、用紙Pの位置ズレが再度補正される(以下、この動作を再補正動作と呼ぶ)。
このような再補正動作を行うことにより、より高精度に用紙Pの位置ズレを補正することができる。つまり、一度目の補正動作である送り動作では、迎え動作前に第一CIS32および第二CIS33によって検知された用紙Pの位置ズレを補正することはできるが、その後の用紙Pの位置ズレまでは補正することができない。このため、送り動作後に再補正動作を行うことにより、その後の用紙Pの位置ズレまで補正することができ、高精度な補正を実現することができる。なお、最初に用紙Pの位置ズレを検知した後の用紙Pの位置ズレの主な要因としては、搬送ローラ対35の搬送スキューや、挟持ローラ31との平行度の違い、挟持ローラ31が用紙Pを挟持する際の加圧による用紙Pのばたつきや挟持ローラ31の幅方向の圧偏差、挟持ローラ31の搬送スキューなどが挙げられる。
再補正動作中には、第二CIS33および第三CIS34によって用紙Pの位置ズレが繰り返し検知され、用紙Pの位置補正量がその都度修正されて挟持ローラ31の移動量にフィードバックされる。つまり、上記のように、用紙Pの位置ズレは用紙Pの位置補正中(用紙Pを搬送中)にも生じており、挟持ローラ31の時々刻々の位置ズレ量を検知して、挟持ローラ31の補正量にフィードバックすることにより、用紙Pの搬送方向のより下流側までの位置ズレ量を補正することができ、より精度の高い補正を実現することができる。
そして、図14(a)および図14(b)に示すように、用紙Pの再補正動作後、用紙Pがさらに下流側へ搬送され、二次転写位置に到達すると、挟持ローラ31が用紙Pから離間する。そして、二次転写位置において、用紙Pに画像が転写され、用紙Pはさらに下流側へ搬送される。この際、検知センサ36が用紙Pの二次転写位置への到達を検知し、搬送装置30は、次の用紙を搬送するための動作へと移行する。
以上のように、本実施形態の搬送装置30は、用紙Pのおもて面に印刷時に、各CISによって用紙Pの位置ズレ量を検知し、挟持ローラ31によってその位置ズレを補正することができる。この搬送装置30が、二次転写位置の直前に配置されていることにより、位置ズレを補正した状態で用紙Pに画像を転写することができ、用紙Pの位置ズレによる画像の形成位置のズレを防止できる。
そして、用紙Pに両面印刷が行われる場合には、定着工程を完了した用紙Pが、反転搬送路6b(図1参照)を経て、表裏反転した状態で、再び搬送路6へ送り出される。この裏面(第二面)印刷時において、本実施形態の搬送装置は、おもて面印刷時のように用紙Pの位置ズレを補正するのではなく、用紙Pのおもて面に形成された画像位置に裏面に形成する画像位置を合わせる動作を行う。具体的には、裏面印刷時に、搬送装置30に設けられた各CISによって用紙Pのおもて面に形成された画像位置を読み取り、この読取結果に基づいて、用紙Pを回転あるいは幅方向に移動させ、おもて面の画像と裏面に形成する画像位置を合わせている。以下、この裏面印刷時における、おもて面に形成された画像と裏面に形成する画像との位置合わせの方法について説明する。なお、ここで説明する用紙Pの「おもて面」とは、両面印刷時に、画像形成装置によって用紙Pに最初に画像が形成された面のことであり、「裏面」とはおもて面印刷後に、画像が形成された面のことである。
図18(a)に示すように、用紙Pのおもて面には、おもて面印刷時に形成された、長方形状のテスト画像C1が配置される。この画像C1は、裏面印刷時に、各CISによって検知されることにより、おもて面に形成された画像位置を読み取るためのものである。
用紙Pが、位置ズレを生じることなく、搬送路6(図1参照)に対して正対した状態で二次転写位置に搬送された場合でも、転写時のズレにより、画像が用紙Pに位置ズレして形成されてしまう。図示例の画像C1は、用紙Pに対して並行に形成しようとしたものであるが、転写時のズレにより、用紙Pに対して傾斜角β1だけ時計回りの方向へ傾斜して形成されている。この画像C1は、図18(b)に示すように、用紙Pの裏面への画像形成時には、用紙Pが反転することにより、その傾斜方向も反転する。
用紙Pに形成されるテスト画像C1は、その搬送方向の長さが、第一CIS32と第二CIS33の間隔、および、第二CIS33と第三CIS34の間隔よりも大きく設けられる。これにより、二つのCISが同時に画像C1に対向することができ、後述する方法により画像C1の位置を検知することができる。また、画像C1は、各CISによって検知できるようにするために一定の幅が必要であるため、線状ではなく長方形状としている。
画像C1は、紙面との境界位置を読み取りやすい色に着色されていることが好ましい。例えば、本実施形態では、用紙Pが白色であるため、画像C1は黒色に着色されている。これにより、画像と紙面の境界の読み取り精度が向上し、各CISが、用紙Pのおもて面に形成された画像の位置を精度良く読み取ることができる。
本実施形態では、両面印刷後に用紙の裁断を行うため、用紙Pの裁断される範囲に画像C1を形成している。このように、テスト画像C1は、用紙Pに形成する本来の画像の邪魔にならない位置に設けることが好ましい。
次に、各CISによって画像の位置を読み取る方法について、図19を用いて説明する。
図19に示すように、用紙Pに対向する第一CIS32および第二CIS33が、用紙Pのおもて面(図の紙面裏側)に形成された画像C1の、各CISの位置における端縁Cbの位置を読み取る。これにより、用紙Pの側端Pbから画像C1までの距離Wb1、Wb2を求め、画像C1の用紙に対する横ズレ量を、(Wb1+Wb2)/2とすることができる。また、予め算出された第一CIS32と第二CIS33の距離dを用いて、画像C1の用紙Pに対する傾斜量は、(Wb1−Wb2)/dにより求めることができる。なお、用紙Pの位置ズレ量については、前述したように、横ズレ量を(Wa1+Wa2)/2、斜行量を(Wa1−Wa2)/dにより求めることができる。これらの用紙の理想位置に対する位置ズレ量、および、画像の用紙に対する位置ズレ量により、画像の搬送路に対する位置ズレ量を求めることができる、なお、第二CIS33および第三CIS34によっても、同様の方法により位置ズレ量を算出できる。
次に、上記の用紙Pの斜行量と画像C1の傾斜量とを用いて、用紙Pのおもて面に形成された画像C1と裏面に形成する画像位置を合わせる方法について説明する。
以下の説明では、簡略化のために、まず、画像C1と裏面に形成する画像の傾きについて、位置合わせをする方法を説明し、その後、画像の横ズレ量を位置合わせする方法について説明する。また、説明の簡略化のために、用紙P自体が搬送路に対して位置ズレしない場合を示しているが、実際には用紙Pの斜行量や横ズレ量も考慮して位置合わせを行う。なお、画像の位置合わせ方法については、横ズレと傾斜の両方を必ずしも補正する必要はなく、転写時にいずれか一方のズレが生じにくい等の事情がある場合には、その片方のみの補正を行うこともできる。
本実施形態では、裏面に形成する画像がどの位置に形成されるかの想定の仕方によって2通りの位置合わせの方法を採用しており、順に説明する。
まず、最初の方法は、裏面に形成される画像が転写の位置ズレを生じないと想定した場合の位置合わせ方法である。
図20(a)に示すように、用紙Pのおもて面に形成された画像C1は、図20(a)の側である裏面側から見て、用紙Pに対して反時計回りの方向に角度β1だけ傾いている。これに対して、裏面に形成される画像C2は、搬送路に対して正対して形成される(図示例では、用紙Pの斜行もないため、用紙Pに対して並行に形成される)と想定される。このため、おもて面に形成された画像C1と裏面に形成する画像C2の間で位置ズレが生じている。
この裏面に形成される画像位置C2と、おもて面に形成された画像C1とを位置合わせするために、用紙Pを挟持ローラ31によって回転させる。具体的には、図20(b)に示すように、用紙Pを搬送路に対して、裏面側から見た画像C1の傾きとは逆方向である時計回りの方向に角度β1だけ傾けた位置に回転させる。これにより、用紙Pのおもて面に形成された画像C1が、搬送路に対して傾斜のない状態となり、図20(a)に示した裏面に形成される理想の画像位置C2と重なる。つまり、おもて面に形成された画像C1と、裏面に形成する画像の相対位置を合わせることができる。以上の画像位置を合わせる方法は、おもて面の画像形成時に、再現性のない転写のズレが生じ、通常の画像形成時には転写のズレが生じない場合に用いると効果的である。以下、この方法を第一の位置合わせ方法と呼ぶ。
次の方法は、裏面に形成される画像が、おもて面に画像形成時と同じズレが生じると想定した場合の位置合わせ方法である。
図21(a)に示すように、用紙Pのおもて面に形成された画像C1は、裏面側から見て、反時計回りの方向に角度β1だけ傾いている。言い換えると、おもて面上において、時計回りの方向に角度β1だけ傾いている(以下、この時計回りの方向への角度β1の傾きを想定ズレ量と呼ぶ)。また、裏面に形成する画像位置C2は、おもて面への画像形成時と同様に、裏面上において、時計回りの方向へ角度β1だけ傾くと想定される(以下、この位置を裏面における想定画像形成位置と呼ぶ)。この場合、図21(b)に示すように、用紙Pを、裏面側から見た画像C1の傾き方向とは逆方向である時計回りの方向へ、角度β1の2倍の角度である角度β2だけ傾けた位置に回転させる。これにより、用紙Pのおもて面に形成された画像C1が、裏面側から見て、搬送路に対して時計回りに角度β1だけ傾いた状態になる。従って、図21(b)の画像C1と、裏面における想定画像形成位置(図21(a)の画像位置C2参照)とが重なる。つまり、おもて面に形成された画像C1と裏面に形成する画像との相対位置を合わせることができる。以上の画像位置を合わせる方法は、おもて面の画像形成時に、再現性のある転写のズレが生じた場合に効果的である。以下、この方法を第二の位置合わせ方法と呼ぶ。
以上の説明では、搬送路に対して、用紙Pの傾斜がない場合を示したが、用紙Pが傾斜を有する場合には、この傾斜分を用紙Pの回転量に上乗せして回転させることで、同様に画像の位置合わせを行うことができる。具体的には、図22に示す裏面印刷時の用紙Pは、搬送路に対して角度β3だけ傾いている(図22の平行線Lに対して角度β3だけ傾いている)。また、用紙Pのおもて面に形成された画像C1と用紙Pの位置関係は、図20および図21と同様で、裏面側から見て、画像C1が用紙Pに対して図の左側基準で角度β1だけ反時計回り方向へ傾斜している。この場合、第一の位置合わせ方法では、用紙Pを図の矢印X2方向(時計回り方向)へ角度(β1+β3)だけ回転させることにより、用紙Pおよび画像C1を、図20(b)と同じ配置にすることができる。また、第二の位置合わせ方法では、矢印X2方向へ角度(β2+β3)だけ回転させることにより、図21(b)と同じ配置にすることができる。このように、用紙Pの回転量に、用紙Pの搬送路に対する傾斜角β3を上乗せすることで、画像の位置合わせをすることができる。
裏面印刷時には、以上の方法を用いて、搬送装置30が画像の位置合わせを行う。以下、図23〜図28を用いて、搬送装置30が用紙Pを搬送しながら、画像の位置合わせを行う過程について説明する。
まず、反転搬送路6b(図1参照)を通過した用紙Pは、表裏反転した状態で、再び搬送装置30の搬送ローラ対35まで搬送される。そして、図23(a)および図23(b)に示すように、搬送ローラ対35が用紙Pを搬送し、第一CIS32および第二CIS33に対向する位置で、各CISが用紙Pおよび画像C1の位置を読み取る。
本実施形態では、各CISが、用紙Pの画像形成面と反対側の面に対向して設けられている。具体的には、図23(b)に示すように、用紙Pへの画像形成位置である二次転写位置において、中間転写ベルトにより、二次転写対向ローラ15の側(図の上側で、用紙Pの一方側)から用紙Pへ画像が転写される。そして、各CISは、それとは反対側である、用紙Pの他方側(図の下側)から用紙Pに対向する。従って、用紙Pの裏面への画像形成時には、各CISが用紙Pのおもて面に対向しており、用紙Pのおもて面に形成された画像の位置を読み取ることができる。ただし、用紙の反対側からでも画像の読み取りを行うことができる場合には、用紙Pの画像形成面の側に各CISを設けることもできる。
そして、図24(a)および図24(b)に示すように、各CISの用紙の位置検知結果に基づいて、挟持ローラ31が迎え動作を行う。
図25(a)および図25(b)に示すように、さらに用紙Pが下流側へ搬送され、挟持ローラ31に対向する位置まで移動すると、挟持ローラ31が用紙Pを挟持し、搬送ローラ対35が用紙Pから離間する。ここまでの動作は、おもて面印刷時と同様である。
そして、図26(a)および図26(b)に示すように、用紙Pを挟持した挟持ローラ31は、用紙Pを下流側へ搬送しながら、送り動作を行う。具体的には、挟持ローラ31は、各CISによる用紙Pの幅方向の位置の検知結果に基づいて、矢印W2方向へ平行移動する。また、各CISが検知したおもて面の画像C1の傾斜量、および、用紙Pの斜行量に基づいて、挟持ローラ31は矢印X2方向へ回動する。これにより、用紙Pは図の2点鎖線部かの位置から図の実線部の位置へ移動する。この際、挟持ローラ31の補正による用紙Pの幅方向の目標位置は、おもて面印刷時と同様の用紙Pの理想位置である。一方、おもて面印刷時とは異なる点として、用紙Pの回転方向の目標位置は、搬送路に正対した位置ではなく、搬送路に対して傾斜した位置である。具体的には、図19(b)あるいは図20(b)に示したように、おもて面の画像位置に裏面の画像形成位置を合わせるための位置である。図26の例では、第一の位置合わせ方法が採用されており用紙Pのおもて面に形成された画像C1が搬送路に対して並行になる位置(図19b参照)を目標位置として、用紙Pが回転される。
以上の裏面への画像形成前の用紙の位置補正動作についての制御フロー図を図29に示す。図29のステップN21〜ステップN25に示すように、おもて面の位置補正動作と同様の手順により行われるが、ステップN21において、CISがおもて面に形成された画像C1を検知し、ステップN22において、画像C1の斜行量が検知される点で異なる。また、ステップN23およびステップN25において、エンコーダカウント数の算出および送り動作は、前述したように、おもて面に形成された画像C1を裏面に形成される画像位置に合わせるように行われる。
次に、裏面への画像形成前における再補正動作について説明する。
図27(a)および図27(b)に示すように、用紙Pがさらに下流側へ搬送され、画像C1が第三CIS34に対向する位置まで移動すると、第二CIS33および第三CIS34によって検知された画像位置および用紙位置の検知結果に基づいて、再補正動作が行われる。以上の再補正動作は、図30に示すステップN31〜ステップN34の制御フローで行われる。この際、図29の送り動作と同様に、おもて面に形成された画像C1を裏面に形成される画像位置に合わせるように、再補正動作が行われる。
本実施形態では、ステップN31およびステップN32において、再度、用紙Pおよび用紙Pのおもて面に形成された画像C1を検知するものとした。しかしこれに限らず、用紙Pと画像C1の一方のみを検知し、他方の検知を省略することもできる。つまり、ステップN21およびステップN22(図29参照)において、用紙Pと用紙Pのおもて面に形成された画像C1との相対的な位置関係が確認されている。このため、用紙Pと画像C1の一方を検知することにより、上記の相対的な位置関係から、他方の斜行量や傾斜量等を算出することが可能である。なお、CISに読み取り誤差があるため、ステップN31においても用紙Pと画像C1の両方を検知して両者の相対位置を算出し、ステップN21において検知および算出された用紙Pと画像C1の相対位置との平均値により、両者の相対位置とすることが望ましい。これにより、用紙Pと画像C1の相対位置の読み取り誤差を最小限に抑え、ステップN34の再補正動作において、より精度の良い補正が可能になる。
画像C1(あるいは用紙P)が第二CIS33および第三CIS34に対向する間、これらのCISによって、用紙Pおよび用紙Pに形成された画像の位置が繰り返し検知され、挟持ローラ31の補正量にフィードバックされて再補正動作が行われる。これにより、迎え動作前に用紙Pおよび画像C1の位置を検知してから生じた用紙Pの位置ズレも補正することができ、おもて面に形成された画像位置と裏面に形成する画像位置を高精度に合わせることができる。
そして、図28(a)および図28(b)に示すように、用紙Pが二次転写位置に到達し、用紙Pのおもて面に形成された画像位置と、裏面に形成される画像の想定位置とが合わされた(重なった)状態で、用紙Pの裏面に画像が形成される。
以上のように、本実施形態の搬送装置では、各CISによって、おもて面に形成された用紙Pの画像位置を読み取り、この検知結果に基づいて、用紙Pを回転させることで、おもて面と裏面の画像位置を合わせることができる。このように、おもて面に形成された画像位置に応じて、用紙Pを回転させて裏面への画像形成位置を調整することで、画像の転写時に位置ズレが生じた場合でも、用紙Pのおもて面と裏面に形成する画像の位置を合わせることができる。また、用紙Pの転写位置を調整することなく、おもて面と裏面の画像位置を合わせることができるので、画像位置を合わせるための手間を軽減することができる。さらに、画像の位置合わせにかかる時間を少なくすることができるので、両面印刷の時間を短縮することができ、画像形成装置の高速化を実現することができる。
次に、画像の横ズレについて、おもて面に形成された画像と裏面に形成する画像位置をする方法について図31を用いて説明する。なお、説明の簡略化のため、図31では用紙Pの横ズレおよび斜行、そして画像C1の傾斜がなく、画像C1の横ズレのみが生じた場合を示している。
まず、第一の位置合わせ方法を採用した場合について説明する。図31の左側の用紙Pに示すように、おもて面に形成した画像C1は、狙いの画像形成位置に対して図の上側へ距離Wcだけ横ズレしている。この場合、図の左側の用紙Pに示すように、裏面に形成される画像C2は、画像C1と距離Wcだけ離れることが想定される。よって、図31の右側に示すように、用紙Pを、挟持ローラ31により、搬送路上の理想位置Lから距離Wcだけ下側へスライド移動させる。これにより、おもて面に形成された画像C1の位置が、裏面に形成される画像C2と重なり、画像の位置合わせを行うことができる。なお、用紙Pが理想位置Lから横ズレしている場合には、上記のスライド量Wcに用紙Pの横ズレ量を上乗せして、用紙Pをスライド移動させる。
このように、第一の位置合わせ方法を採用する場合には、裏面への画像形成前における各CISの検知時(図29のステップN21、N22、あるいは、図30のステップN31、N32)に、画像の横ズレ量を算出し、その結果に基づいて、迎え動作および送り動作、あるいは、再補正動作を行う。これにより、画像の横ズレを補正し、おもて面に形成された画像C1と裏面に形成する画像の位置合わせを行うことができる。
また、第二の位置合わせ方法を採用する場合には、おもて面への画像形成時と同様に、用紙Pの側端Pbを理想位置Lに合わせるだけでよく、画像の横ズレ量の補正は行わない。これは、裏面への画像形成時にも、おもて面と同様に、用紙Pの狙いの画像形成位置に対して距離Wcだけの位置ズレが想定されるためである。言い換えると、第二の位置合わせ方法では、画像の横ズレに対しては、画像の位置合わせをすることなく、おもて面に形成された画像C1と裏面に形成する画像の幅方向の位置が合うことが想定されるためである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
記録媒体しては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
また、以上で説明した実施形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、インクジェット方式の画像形成装置に設置される搬送装置に対しても本発明を適用することができる。以下、図32を用いてインクジェット方式の画像形成装置について説明する。
図32に示すように、インクジェット方式の画像形成装置100は、給紙部110と、搬送装置120と、画像形成部130と、乾燥部140と、排紙部150とを備えている。
給紙部110から送り出された用紙Pは、搬送装置120によって搬送され、画像形成部130へ送り出される。
画像形成部130においては、用紙Pが円筒形状ドラム131に位置決めされ、円筒形状ドラム131の回転によって図中矢印方向へ搬送される。そして、各色の吐出ヘッド132の下部(用紙Pへの画像形成位置)に所定のタイミングで用紙Pが搬送され、各色のインクが用紙Pに吐き出され、用紙Pの表面上に画像が形成される。
画像形成部130によって画像が形成された用紙Pは、乾燥部140に搬送されてインク中の水分を蒸発させた後、排紙部150にて、作業者が取り出し可能な位置に排出される。
両面印刷が行われる場合には、乾燥工程の後、用紙Pが反転搬送路160へ送られて、用紙Pの表裏が反転した状態で、再び搬送装置120へ送り出される。
上記の搬送装置120に、前述した本発明の搬送装置の構成を適用することにより、前述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、用紙Pを画像形成部130の側へ搬送すると共に、用紙Pのおもて面に形成した画像と裏面に形成する画像の位置合わせを行うことができる。