JP3882533B2 - 用紙搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に係り、特に、画像形成装置に用いられる用紙搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機等の画像形成装置においては、画像形成対象となる用紙を搬送する際に種々の要因で搬送中の用紙が位置ずれを起こすことがある。そうした場合、用紙が位置ずれしたまま画像形成処理位置に送り込まれると、用紙に対して画像がずれた状態で形成されてしまう。
【0003】
そのため、画像形成装置に用いられる用紙搬送装置には、搬送中の用紙の位置ずれを補正する用紙補正機構が組み込まれている。この用紙補正機構を用いた補正方式としては、搬送中の用紙の側端を基準に用紙の位置ずれを補正する、いわゆるサイドレジストレーション(以下、サイドレジと略称)基準による補正方式が知られている。
【0004】
上記補正方式を採用した用紙搬送装置では、用紙搬送路の一方側に用紙の搬送方向に沿ってサイド基準ガイドを設けるとともに、用紙搬送路上に斜行ローラを配置し、この斜行ローラによって搬送中の用紙をサイド基準ガイド側へ幅寄せし、用紙の側端をサイド基準ガイドに突き当ててサイドレジ(搬送方向と直交する方向での用紙側端の位置ずれ)とサイドスキュー(搬送方向に対する用紙側端の傾き)の両方を補正している。
【0005】
この種の用紙搬送装置において、用紙の側端をサイド基準ガイドに突き当てた際に、サイド基準ガイドに対する用紙の押し付け力(斜行ローラによる幅寄せ力)が強すぎるなどの理由で用紙に座屈やループが発生すると、用紙詰まり(ジャム)や補正精度の悪化を招くことになる。そのため従来では、サイド基準ガイドの断面形状をコ字形にしてガイド溝を形成し、このガイド溝による隙間部分に用紙の側部を挿入することにより、用紙を上下方向(紙厚方向)から押さえ込んで座屈やループの発生を抑制している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の用紙搬送装置には次のような問題があった。即ち、厚さの異なる用紙を同一の用紙搬送装置で搬送する場合は、搬送対象として取り扱う用紙の最大厚を基準に用紙搬送路を形成する必要がある。この理由は、例えば、用紙搬送路をシュートと呼ばれる板状のガイド部材を用いて形成する場合、そのシュートによって形成される用紙搬送路の隙間が狭いと、最大厚の用紙をスムーズに搬送できなくなるからである。そのため、サイド基準ガイドにおけるガイド溝の隙間(寸法)も、搬送対象として取り扱う用紙の最大厚を基準に設定されている。そうした場合、厚さの薄い用紙を搬送するときに、この用紙の厚さに対してガイド溝の隙間が過剰に大きくなり、座屈やループの発生を有効に抑制できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、様々な厚さの用紙を搬送する場合でも、サイド基準ガイドへの突き当てによる用紙の座屈、ループ等の発生を有効に抑えることができる用紙搬送装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る用紙搬送装置は、搬送中の用紙の側端を基準に用紙の位置ずれを補正する用紙補正部で用紙搬送路を形成するガイド部材と、用紙補正部で用紙搬送路の一方側にガイド部材とは別個に設けられるとともに、用紙搬送路を搬送される用紙の側部を挿入可能なガイド溝内に基準面を有する用紙側端位置決め手段と、用紙側端位置決め手段の、基準面に至るガイド溝の隙間を可変する隙間可変手段と、用紙搬送路を搬送される用紙を用紙側端位置決め手段側に幅寄せして当該用紙の側端を当該用紙側端位置決め手段の前記基準面に突き当てる幅寄せ手段とを備えた構成となっている。また、本発明に係る画像形成装置は、上記構成の用紙搬送装置を備えた構成となっている。
【0009】
上記構成の用紙搬送装置及びこれを用いた画像形成装置においては、用紙側端位置決め手段のガイド溝の隙間を可変する隙間可変手段を備えているため、搬送対象となる用紙の厚さに応じて隙間可変手段を動作させることにより、ガイド溝の隙間を用紙の厚さに適合するように調整することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明が適用されるフルカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図示したフルカラー画像形成装置1は、大きくは、画像読み取り部2、画像形成部3及び用紙搬送装置4によって構成されている。
【0012】
画像読み取り部2は、透明な原稿台(プラテンガラス)にセットされた原稿の画像を読み取るものである。この画像読み取り部2は、例えばランプ、ミラー及びキャリッジ等からなる光学走査系と、この光学走査系で読み取り走査された光学像を結像させるレンズ系と、このレンズ系で結像された光学像を受光して電気信号に変換する画像読み取りセンサ(例えば、3ラインCCDセンサ)とを備えて構成されている。
【0013】
画像形成部3は、K(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色に対応する4つの感光体ドラム5,6,7,8と、各々の感光体ドラムに対応する4つの一次転写ローラ9,10,11,12と、中間転写ベルト13と、二次転写ローラ14と、バキューム搬送部15と、定着器16とを備えた4連タンデム式の構成となっている。
【0014】
各々の感光体ドラム5,6,7,8の周囲には、それぞれ帯電器、レーザ書き込み装置(レーザROS)、現像器、クリーナー等が配置されている。帯電器は感光体ドラムの表面を一様に帯電するもので、レーザ書き込み装置は帯電器によって帯電された感光体ドラムの表面にレーザ照射によって静電潜像を形成するものである。また、現像器は現像剤としてのトナーを感光体ドラムの表面に供給することにより静電潜像を可視化(現像)してトナー画像を形成するもので、クリーナーは感光体ドラムに残留する不要なトナーを取り除くものである。
【0015】
これに対して、各々の一次転写ローラ9,10,11,12は、それぞれに対応する感光体ドラム5,6,7,8の近傍に中間転写ベルト13を介して対向状態に配置されている。これらの一次転写ローラ9,10,11,12は、上述のように感光体ドラム5,6,7,8上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト13に転写(一次転写)するものである。中間転写ベルト13は、複数(図例では5つ)のベルト支持ローラによってループ状に張設されている。
【0016】
二次転写ローラ14は、中間転写ベルト13と対向状態に配置されている。この二次転写ローラ14は、上述のように中間転写ベルト13に形成されたトナー画像を用紙(用紙)に転写(二次転写)するもので、このトナー画像の転写位置(二次転写位置)が画像形成部3における画像形成処理位置となる。バキューム搬送部15は、二次転写ローラ14によってトナー画像が転写された用紙を定着器16へと搬送するものである。定着器16は、加熱加圧等によって用紙にトナー画像を定着させるものである。
【0017】
一方、用紙搬送装置4は、第1のトレイ17、第2のトレイ18及び第3のトレイ19に収容された各々の用紙の中から、ユーザー操作によって選択されたトレイの用紙或いは自動選択機能によって選択されたトレイの用紙を、それぞれ所定の経路で搬送するものである。各々のトレイ17,18,19の近傍には、それぞれに対応する送り出しローラ20,21,22が配設されている。各々の送り出しローラ20,21,22は、それぞれ対応するトレイ17,18,19から一枚ずつ分離して呼び出された用紙を挟持(ニップ)して用紙搬送方向の下流側に用紙を送り出すものである。また、画像読み取り部2の近傍には、ユーザーによって操作される操作パネル23が設けられている。
【0018】
ここで、各々の送り出しローラ20,21,22による用紙の送り出し位置から、上記画像形成部3における画像形成処理位置を経由して排出トレイ24に至る一連の用紙搬送路R1〜R5には、それぞれ用紙搬送のためのローラが適宜配設されている。第1のトレイ17に収容された用紙は、送り出しローラ20により送り出された後、第1の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部25へと送り込まれる。また、第2のトレイ18に収容された用紙は、送り出しローラ21により送り出された後、第1の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部25へと送り込まれる。一方、第3のトレイ19に収容された用紙は、送り出しローラ22によって合流搬送部25へと直接送り込まれる。
【0019】
また、合流搬送部25に送り込まれた用紙は、第2の用紙搬送路R2を経由して、画像形成部3の画像形成処理位置へと送り込まれる。さらに、画像形成処理位置を通過した用紙は、バキューム搬送部15により定着器16に送り込まれた後、第3の用紙搬送路R3を経由して排出トレイ24に排出される。これに対して両面(第1面と第2面)に画像が形成される用紙は、定着器16を通過した後、第4の用紙搬送路R4を経由して両面用反転部28に送り込まれ、そこで表裏反転された後、第5の用紙搬送路R5を経由して再び合流搬送部25へと送り込まれる。
【0020】
このような用紙搬送路R1〜R5において、第2の用紙搬送路R2には用紙補正部26とレジストローラ27とが配設されている。用紙補正部26は、第2の用紙搬送路R2に沿って搬送される用紙のサイドスキュー及びサイドレズを補正する部分である。用紙補正部26の構成については後段で説明する。レジストローラ27は、互いに圧接状態に保持された一対のローラによって構成されたもので、それら一対のローラ間で用紙を挟持しつつ、当該ローラの回転によって画像形成処理位置に用紙を送り込むものである。
【0021】
レジストローラ27による用紙の送り込みに際しては、図示しないタイミング調整手段によって画像形成処理に対する用紙の到達タイミングが調整される。タイミング調整手段は、レジストローラ27の手前(上流側)に設けられたレジセンサ(不図示)が用紙の通過を検知したタイミングに基づいて、レジストローラ27による用紙の搬送速度を可変することにより、画像形成処理位置へのトナー画像の到達タイミングに合わせて、当該画像形成処理に対する用紙の到達タイミングを調整する。
【0022】
また、用紙搬送路R3,R5には、それぞれカール補正部29,30が設けられている。各々のカール補正部29,30は、定着器16でトナー画像を定着させるときに生じる用紙のカールを補正するためのものである。
【0023】
続いて、上記構成からなるフルカラー画像形成装置1の動作について説明する。先ず、画像読み取り部2によって原稿の画像が読み取られると、これによって得られた画像信号を基に画像形成部3でトナー画像が形成される。この画像形成部3では、4つの感光体ドラム3,4,5,6を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器、レーザ書き込み装置(レーザROS)、現像器によって各感光体ドラム5,6,7,8の表面にK,Y,M,Cのトナー画像が順に形成される。このように形成された各色のトナー画像は、一次転写ローラ9,10,11,12によって順次、中間転写ベルト13上に重ね転写される。これにより、中間転写ベルト13には、4色トナーを重ね合わせた多色(フルカラー)のトナー画像が形成される。このように中間転写ベルト13に形成されたトナー画像は、当該中間転写ベルト13に担持されて画像形成処理位置(二次転写位置)へと送り込まれる。
【0024】
一方、操作パネル23を用いてユーザーにより選択されたトレイの用紙、或いは自動選択機能によって選択されたトレイの用紙は、画像形成処理位置にトナー画像が到達するタイミングに合わせてレジローラ27により送り込まれる。例えば、上述のように選択されたトレイが第1のトレイ17であるとすると、送り出しローラ20によって送り出された用紙が第1の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部25に送り込まれ、さらに第2の用紙搬送路R2を経由してレジストローラ27により画像形成処理位置へと送り込まれる。
【0025】
これにより、画像形成部3の画像形成処理位置では、中間転写ベルト13に担持されたトナー画像(フルカラー画像)が二次転写ローラ14によって用紙に一括転写(二次転写)される。その後、用紙はバキューム搬送部15によって定着器16に送られ、そこでトナー画像の定着処理が施された後、第3の用紙搬送路R3を経由して排出トレイ24に排出される。
【0026】
ただし、両面に画像形成が行われる用紙は、第4の用紙搬送路R4を経由して両面用反転部28に送られ、そこで表裏反転されて第5の用紙搬送路R5に送られる。その後、両面コピー用の用紙は、第5の用紙搬送路R5に沿って搬送された後、送り出しローラ31の回転により両面コピー用の用紙がタイミング調整されて合流搬送部25に再度送り込まれる。以降は、上記同様にトナー画像が用紙に転写、定着された後、第3の用紙搬送路R3を経由して用紙が排出トレイ24に排出される。
【0027】
図2は本発明の実施形態に係る用紙搬送装置4において、用紙補正部26の構成を示す概略平面図である。図2において、用紙の搬送方向Yには、その上流側から下流側に複数(図例では3つ)の斜行ローラ33が順に設けられている。これらの斜行ローラ33は、用紙の搬送方向Yに対して、それぞれ所定の角度だけ傾いて配置されている。また、各々の斜行ローラ33は、図示しない下側のローラとそれぞれ対をなしている。
【0028】
このように上下で対をなす各々の斜行ローラ33は、図示しない付勢手段(バネ等)の付勢力をもって用紙32をニップ(挟持)し、このニップ状態で回転することにより、用紙搬送路上で用紙33に搬送力を付与する。この斜行ローラ33による搬送力は、搬送方向Yに沿う方向へのベクトル成分と搬送方向Yと直交する方向(サイド基準ガイド34に近づく方向)へのベクトル成分をもち、それらのベクトル成分により用紙32が斜め方向Kに送られる。また、各々の斜行ローラ33のニップ圧は、個別又は共通のニップ圧可変手段により変更可能(可変)となっている。
【0029】
一方、用紙32が搬送される用紙搬送路の一方側(片側)には、サイド基準ガイド34が搬送方向Yと平行に配置されている。サイド基準ガイド34は、用紙側端位置決め手段を構成するもので、その本体部分は搬送方向Yに沿った長尺状をなしている。これに対して、上記複数の斜行ローラ33は、上流側から順に搬送されてきた用紙32をサイド基準ガイド34側に幅寄せする幅寄せ手段を構成するものである。
【0030】
かかる構成において、用紙32は各々の斜行ローラ33の回転により斜め方向Kに送られてサイド基準ガイド34側に幅寄せされる。このとき、用紙32の側端はサイド基準ガイド34の基準面35に突き当てられ、これによって用紙32のサイドレジ及びサイドスキューが補正される。その後、用紙32は基準面35にガイドされながら搬送方向Yに沿って搬送される。
【0031】
図3は用紙補正部26を搬送方向から見た場合の概略図である。図3において、サイド基準ガイド34は、用紙搬送路を形成する上下のシュート36,37に隣接して配置されている。サイド基準ガイド34の本体部分は、当該サイド基準ガイド34の長手寸法とほぼ同寸の固定ガイド38と可動ガイド39による二分割構造となっている。固定ガイド38は、下側のシュート37とほぼ面一状態で用紙搬送路を形成する用紙支持部40と、この用紙支持部40の一辺部から略直角に起立したガイド部41とを備えて構成されている。これら用紙支持部40とガイド部41とは断面略L字形に形成されている。
【0032】
可動ガイド39は、固定ガイド38の用紙支持部40に対向する状態で配置され、これによって略コ字形のガイド溝42が形成されている。このガイド溝42には、前述のように用紙のサイドレジ、サイドスキューを補正するにあたって、用紙搬送路を搬送される用紙32の側部が挿入される。ガイド溝42の奥側の面は前述した基準面35を形成している。この基準面35は、前述のように固定ガイド38から直立したガイド部41の内側面の一部で形成されている。
【0033】
ガイド溝42は、当該ガイド溝42に挿入される用紙32の厚さ(紙厚)方向に所定の隙間Gをもって形成されている。ガイド溝42の入口部分では可動ガイド39の下面(用紙支持部40と対向する側の面)がテーパー状に形成され、これによってガイド溝42の入口部分が拡開した形状となっている。このようにガイド溝42の入口を拡開させる理由は、前述のように斜行ローラ33で用紙32をサイド基準ガイド34側に幅寄せする際、ガイド溝42内への用紙32の挿入をスムーズにするためである。
【0034】
また、基準面35に至るガイド溝42の隙間Gは、以下に述べる隙間可変機構によって任意に変更可能(可変)となっている。即ち、可動ガイド39は、図示しないスライドガイド部材(例えば、ガイドレールと可動ブロックからなる直動ガイドユニット等)により、固定ガイド38のガイド部41に上下動自在(昇降自在)に係合支持されている。
【0035】
可動ガイド39の長手方向の両端部には、それぞれ引っ張りコイルバネ43の一端(下端)が係止されている。引っ張りコイルバネ43の他端(上端)は図示しない固定部材(例えば、装置フレーム)に係止されている。この引っ張りコイルバネ43のバネ力により、可動ガイド39は常に上方(固定ガイド38の用紙支持部40から離間する方向)に付勢されている。
【0036】
さらに、可動ガイド39の長手方向の中間部、又は長手方向の両端部には、当該可動ガイド39の上面に当接する状態で偏心カム44が配置されている。この偏心カム44のカム面(外周面)には引っ張りコイルバネ43の付勢力をもって可動ガイド39の上面が圧接した状態となっている。また、偏心カム44は隙間調整モータ45の回転軸46に取り付けられ、この回転軸46と一体に偏心カム44が回転する構成となっている。隙間調整モータ45としては、ステッピングモータやサーボモータ等が用いられる。
【0037】
ちなみに、可動ガイド39の長手方向の両端部にそれぞれ偏心カム44を設ける場合は、ギア、ベルト等の動力伝達機構を用いて、各々の偏心カム44を共通の隙間調整モータ45で回転させる構成とすることが望ましい。
【0038】
かかる隙間可変機構において、隙間調整モータ45が回転駆動すると、この回転駆動にしたがって偏心カム44が回転する。このとき、偏心カム44の径方向において、偏心カム44の回転中心(回転軸46の中心)から、偏心カム44と可動ガイド39の当接部(圧接部)までの寸法が、偏心カム44の回転とともに連続的に変化(増加又は減少)する。そのため、可動ガイド38は引っ張りコイルバネ43の付勢力(引き上げ力)を受けつつ、図示しないスライドガイド部材に案内されて上下動し、これにしたがってガイド溝42の隙間Gが変化する。
【0039】
図4は本発明の実施形態に係る用紙搬送装置の制御構成を示すブロック図である。図4において、コントローラ47は、予め設定された制御手順、制御条件、制御情報等にしたがって用紙搬送装置全体の動作を制御するものである。湿度検知センサ48は、用紙搬送時の環境情報の一つとなる湿度を検知するもので、例えば高感度の湿度計によって構成される。この湿度検知センサ28は、主に湿度による用紙の含水状態を感知する狙いから、用紙収容部(給紙トレイ部)又は当該用紙収容部から用紙補正部26に至る用紙搬送路の途中などに配置される。
【0040】
紙厚検知センサ49は、搬送対象となる用紙の厚さを検知するものである。この紙厚検知センサ49は、例えば、接触子(アクチュエータ)を有する変位センサによって構成される。この場合、変位センサの接触子は、用紙補正部26よりも搬送方向上流側で下側シュート37の上面に軽く接触する状態で斜めに配置される。この変位センサでは、用紙搬送路に沿って搬送されてきた用紙によって接触子が押し上げられるため、このときの接触子の変位量から用紙の厚さを検知することが可能となる。
【0041】
なお、搬送対象となる用紙の厚さについては、上述のように搬送中の用紙の厚さをセンサで直に検知(測厚)する以外にも、例えば、用紙が収容されるトレイに収容用紙の厚さを指定するスイッチを設け、そのトレイから用紙が繰り出される場合にそのスイッチによる紙厚の指定情報を取得することで検知してもよい。また、搬送対象となる用紙の種類(普通紙、ハガキ、トレーシングペーパー等)から間接的に紙厚を検知してもよい。
【0042】
湿度検知センサ48及び紙厚検知センサ49の各センサ出力信号(検知信号)は、それぞれセンサアンプ50で増幅されてコントローラ47に入力される。これにより、コントローラ47においては、用紙補正部26に用紙が到達する前に、湿度及び紙厚を認知することが可能となる。
【0043】
また、コントローラ47は、モータドライバ51を介して隙間調整モータ45の駆動(回転方向、回転量等)を制御するとともに、モータドライバ52を介してニップ圧調整モータ53の駆動(回転方向、回転量等)を制御する。ニップ圧調整モータ53は、前述した斜行ローラ33による用紙のニップ圧を可変するニップ圧可変手段の駆動源となるものである。
【0044】
続いて、コントローラ47によって制御される用紙搬送装置の動作について説明する。先ず、所定のトレイから繰り出された用紙が用紙補正部26に向けて用紙搬送路を搬送されると、その搬送途中(用紙が用紙補正部26に到達する前の時点)で、湿度検知センサ48により湿度が検知されるとともに、搬送中の用紙の厚さが紙厚検知センサ49で検知される。各々のセンサ出力信号はセンサアンプ50を介してコントローラ47に取り込まれる。
【0045】
そうすると、コントローラ47では、紙厚検知センサ49からのセンサ出力信号に基づいてモータドライバ51にモータ制御信号を送り、このモータ制御信号を受けてモータドライバ51が隙間調整モータ45を駆動する。さらに詳述すると、コントローラ47には用紙の厚さとガイド溝42の隙間Gとの適合関係を示す制御情報(例えば、テーブルデータ)が予め保持されており、紙厚検知センサ49からのセンサ出力信号を取り込んだ際には、上記制御情報にしたがってモータドライバ51にモータ制御信号を送出する。これにより、ガイド溝42の隙間Gが搬送対象(本例では搬送中)の用紙の厚さに適合する寸法に調整される。
【0046】
用紙の厚さに適合する寸法とは、用紙の搬送に支障(過大な抵抗)とならない範囲で、サイド基準ガイド34における用紙の座屈、ループ等の発生を有効に抑えられる寸法をいう。具体的には、用紙の厚さに1mm弱の余裕分を見込んでガイド溝42の隙間G寸法を調整することが適切と考えられる。
【0047】
また、コントローラ47では、湿度検知センサ48からのセンサ出力信号に基づいてモータドライバ52にモータ制御信号を送り、このモータ制御信号を受けてモータドライバ52がニップ圧調整モータ53を駆動する。この場合も、湿度とニップ圧の適合関係が制御情報として予めコントローラ47に保持されており、その制御情報にしたがってコントローラ47がモータ制御信号を送出する。
【0048】
具体的には、湿度が高い場合はニップ圧を弱める方向、湿度が低い場合はニップ圧を強める方向で、ニップ圧調整モータ53の駆動を制御する。この理由は、同じ厚さの用紙でも、湿度が高くなると、それに伴う吸湿作用によって用紙の剛性(腰の強さ)が低くなり、サイド基準ガイド34への突き当てによって座屈、ループ等を生じやすくなるためである。
【0049】
このようにガイド溝42の隙間G及び斜行ローラ33のニップ圧が調整された状態で用紙補正部26に用紙32が送り込まれる。この用紙補正部26では、前述のように各々の斜行ローラ33によって用紙32がサイド基準ガイド34側に幅寄せされる。この幅寄せにより用紙32の側部がガイド溝42に挿入され、その奥側の基準面35に用紙32の側端が突き当てられる。
【0050】
このとき、ガイド溝42の隙間Gは、そこに挿入される用紙32の厚さに適合する寸法に調整されているため、その隙間部分で固定ガイド38の用紙支持部40と可動ガイド39により用紙32を上下方向から押さえ込むことにより、用紙の座屈、ループ等の発生を有効に抑えることができる。
【0051】
また、各々の斜行ローラ33のニップ圧が、そのときの湿度(用紙の剛性)に適合するように調整されているため、サイド基準ガイド34への突き当てによる用紙の座屈、ループ等の発生を有効に防止することができる。
【0052】
このように用紙の座屈、ループ等の発生を抑制しつつ、用紙のサイドレジ、サイドスキューを補正することにより、用紙ジャムの発生を確実に防止し、かつ補正精度を向上させることが可能となる。また、画像形成装置においては、搬送中の用紙の位置ずれを精度良く補正して画像形成処理位置に用紙を送り込むことができるため、用紙に対して画像のずれを生じることなく、画像形成を行うことが可能となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る用紙搬送装置によれば、用紙のサイドレジ、サイドスキュー等の補正に用いられる用紙側端位置決め手段が、当該用紙側端位置決め手段のガイド溝の隙間を可変する隙間可変手段を備えた構成となっているため、この隙間可変手段を用いてガイド溝の隙間を用紙の厚さに応じて調整することにより、様々な厚さの用紙を搬送する場合でも、基準面への突き当てによる用紙の座屈、ループ等の発生を有効に抑えることができる。また、かかる用紙搬送装置を用いた画像形成装置では、用紙に対して画像のずれを生じることなく、画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるフルカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る用紙搬送装置において、用紙補正部の構成を示す概略平面図である。
【図3】 本発明の実施形態で採用した用紙補正部を搬送方向から見た場合の概略図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る用紙搬送装置の制御構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…フルカラー画像形成装置、4…用紙搬送装置、26…用紙補正部、32…用紙、33…斜行ローラ、34…サイド基準ガイド、35…基準面、36,37…シュート、38…固定ガイド、39…可動ガイド、42…ガイド溝、43…引っ張りコイルバネ、44…偏心カム、45…隙間調整モータ、47…コントローラ、48…湿度検知センサ、49…紙厚検知センサ、53…ニップ圧調整モータ
Claims (4)
- 搬送中の用紙の側端を基準に用紙の位置ずれを補正する用紙補正部で用紙搬送路を形成するガイド部材と、
前記用紙補正部で前記用紙搬送路の一方側に前記ガイド部材とは別個に設けられるとともに、前記用紙搬送路を搬送される用紙の側部を挿入可能なガイド溝内に基準面を有する用紙側端位置決め手段と、
前記用紙側端位置決め手段の、前記基準面に至る前記ガイド溝の隙間を可変する隙間可変手段と、
前記用紙搬送路を搬送される用紙を前記用紙側端位置決め手段側に幅寄せして当該用紙の側端を当該用紙側端位置決め手段の前記基準面に突き当てる幅寄せ手段と
を備えることを特徴とする用紙搬送装置。 - 搬送対象となる用紙の厚さを検知する紙厚検知手段と、
前記紙厚検知手段の検知結果に基づいて前記隙間可変手段を制御する隙間調整手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。 - 前記幅寄せ手段による用紙のニップ圧を可変するニップ圧可変手段と、
用紙搬送時の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記湿度検知手段の検知結果に基づいて前記ニップ圧可変手段を制御するニップ圧調整手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の用紙搬送装置。 - 請求項1、2又は3記載の用紙搬送装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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