JP6606583B1 - 低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルト及びその製造方法 - Google Patents

低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルト及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 SUS329J4Lの二相ステンレス鋼を素材とするが、低温衝撃性を大幅に改良した二相ステンレス鋼ボルト及びその製造方法を提供する。【解決手段】 体積%で、C≦0.030、Si≦1.00、Mn≦1.50、P≦0.040、S≦0.030、5.50≦Ni≦7.50、24.00≦Cr≦26.00、2.50≦Mo≦3.50、0.08≦N≦0.30、残部Feの化学成分の二相ステンレス鋼SUS329J4Lの線材を素材として冷間圧造され固溶化熱処理された組織を有するとともにボルト頭部とねじ下径部を有するボルト素形材の、上記ねじ下径部に冷間転造によって雌ねじが形成されていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルト及びその製造方法に関し、特に耐食性の優れたステンレス鋼SUS329J4L素材に対して冷間工程で製造するボルトの低温衝撃性を大幅に改良したボルト及びその製造方法に関する。
JIS B 4303 B4308で規定される二相系ステンレス鋼SUS329J4L(化学成分:質量%で、C≦0.030、Si≦1.00、Mn≦1.50、P≦0.040、S≦0.030、5.50≦Ni≦7.50、24.00≦Cr≦26.00、2.50≦Mo≦3.50、0.08≦N≦0.30、残部Fe)はその優れた耐食性及び機械的性質から板やアングル等の構造用素材に広く使われ始めている(特許文献1、特許文献2)。二相系ステンレス鋼製の板やアングル等を使用した構造物を構築する場合、ボルト、ナット、座金といった締結部品の製造技術を確立することが必要となる。
従来、オーステナイト系ステンレス鋼ボルトを冷間で製造する場合、以下の工程で製造されている。固溶化熱処理した線材を、外径精度を出すための0.3mm程度軽伸してボルト用鋼線を得る。この鋼線を冷間圧造で頭部とねじ下径部(又は軸部及びねじ下径部)を成形し、ねじ下径部に冷間転造でねじを成形して製造され、多くの生産実績や使用実績がある。
他方、SUS329J4Lはオーステナイト相とフェライト相が所定の面積比で混在する特殊な金属組織であること、800ppmを超える窒素が添加されており、僅かな冷間加工でも急激に加工硬化する特殊な物性があり、かかる物性に起因してSUS329J4Lの二相ステンレス鋼に対して冷間圧造でボルトを製造する技術の確立は端緒についたばかりである。
特開2005−213634号公報 特許第5275639号公報
SUS329J4Lの二相ステンレス鋼ボルトを従来のオーステナイト系ステンレス鋼ボルトと同様の冷間工程で製造した場合、900〜1100N/mm2の優れた引張強さを有する高強度ボルトが得られるものの、JISに規定される−40°CにおけるVノッチシャルピー試験を行うと極めて低い値になる。構造部材に使用されたボルトでは低温環境で衝撃荷重を受ける可能性もあることから、−40°Cでの低温シャルピー値を改善したボルトの商品化が求められる。
本発明はかかる問題点に鑑み、SUS329J4Lの二相ステンレス鋼を素材とするが、低温衝撃性を大幅に改良した二相ステンレス鋼ボルト及びその製造方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明に係る低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルトは、質量%で、C≦0.030、Si≦1.00、Mn≦1.50、P≦0.040、S≦0.030、5.50≦Ni≦7.50、24.00≦Cr≦26.00、2.50≦Mo≦3.50、0.08≦N≦0.30、残部Feの化学成分の二相ステンレス鋼SUS329J4Lの線材を素材として冷間圧造されて固溶化熱処理されボルト頭部とねじ下径部を有するボルト素形材の、上記ねじ下径部に冷間転造によって雌ねじが形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルトの製造方法は、質量%で、C≦0.030、Si≦1.00、Mn≦1.50、P≦0.040、S≦0.030、5.50≦Ni≦7.50、24.00≦Cr≦26.00、2.50≦Mo≦3.50、0.08≦N≦0.30、残部Feの化学成分の二相ステンレス鋼SUS329J4Lの線材を素材とし、ボルト頭部とねじ下径部を有するボルト素形材を冷間圧造によって製造し、該ボルト素形材を950°C〜1100°Cの範囲内の温度で2分〜60分(ボルト素形材の寸法や固溶化処理する量によって選択するのが好ましい)保持した後100°C以下に急冷することによって固溶化熱処理を行い、この固溶化熱処理されたねじ下径部に雌ねじを冷間転造するようにしたことを特徴とする。
本発明に係る、低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルトの製造方法を模式的に示す図である。
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る、低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルトの製造方法の実施形態を模式的に示す。
〔供試料〕
二相ステンレス鋼SUS329J4LのM16×首下長さ55mmのボルト線材10を供試材とした。
〔本発明の工程〕
1.ボルト線材10をφ16mmからφ15.7mmに減面率3.7%で軽伸する(図1(a))。
2.圧造機内で頭部11をアップセットし(図1(b))、トリミングしてボルト頭部13を形成し、胴部12の先端側半部をφ14.57mm減面率17%に圧造してねじ下径部14を造形し、ボルト素形材を製作する(図1(c))。
3.その後、ボルト素形材を950°C〜1100°Cの範囲内の温度で2分〜10分保持した後100°C以下に急冷して固溶化熱処理を行う(図1(d)(e))。
4.ねじ下径部14に雄ねじを冷間転造して雄ねじ部15を形成する(図1(f))。
〔従来の工程〕
1.φ16mmからφ15.7mmに減面率3.7%で軽伸する。
2.圧造機内で頭部をアップセットし、トリミングし、ねじ下径φ14.57mm減面率17%に圧造する。
3.その後、ねじ下径部に雄ねじを冷間転造する。
本発明の工程と従来の工程で製造したボルトの物性を比較確認した。まず、引っ張り強さ(TS)、耐力(YP)及び伸び(EL)を求めるとともに、切断部位を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 0006606583
表1から、本発明の工程によって製造したボルト(以下、「本工程品」という)の引っ張り強さ(TS)は882N/mm2、884N/mm2であり、従来工程によって製造したボルト(以下、「従来工程品」という)の引っ張り強さ(1067N/mm2、1068N/mm2)の84%まで低下し、耐力(YP)は従来工程品の耐力(965N/mm2、936N/mm2)から722N/mm2まで低下した。
さらに、本工程品の伸び(EL)は11.1mm、11.3mmであり、従来工程品の伸び(16.8mm、20mm)に比較して小さく、又本工程品の切断箇所はねじ部分であるのに対し、従来工程品は胴部であった。
次に、硬さ(HRC)を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 0006606583
表2から、本工程品では胴部1/4Dの硬度はHRC22.8及びHRC22.5、胴芯の硬度はHRC23.4及びHRC24.6、ねじ部1/4Dの硬度はHRC23.3及びHRC23.5、ねじ部芯の硬度はHRC23.9及びHRC23.8であるのに対し、従来工程品では胴部1/4Dの硬度はHRC28及びHRC27.9、胴芯の硬度はHRC25.6及びHRC25.4、ねじ部1/4Dの硬度はHRC34.8及びHRC33.6、ねじ部芯の硬度はHRC29.6及びHRC31.5であった。
次に、本工程品と従来工程品についてVノッチ低温(−40°C)シャルピー試験を行うとともに、破断面を観察した。その結果を表3に示す。
Figure 0006606583
表3から、本工程品の胴部低温シャルピー値は288J/cm2及び280J/cm2、ねじ部低温シャルピー値は302J/cm2及び332J/cm2であり、従来工程品の胴部低温シャルピー値は29J/cm2及び28J/cm2、ねじ部低温シャルピー値は32J/cm2及び32J/cm2に比較して改善されていた。
また、本工程品では破断面の脆性破面率は胴部で10%及び0%、ねじ部で10%及び5%であり、従来工程品の破断面の脆性破面率が胴部で80%及び70%、ねじ部で75%及び70%に比較して改善されていた。
以上のことから、本工程品は従来工程品に比較して靱性が9倍程度改善されていることが確認された。
また、φ12Mmm、φ10mm、φ8mmの各ボルトについても本発明の工程と従来の工程で製造したボルトの物性を比較確認したところ、φ16mmのボルトと同様の低温衝撃性の改善が見られた。
10 線材
11 頭部
12 胴部
13 ボルト頭部
14 ねじ下径部
15 雄ねじ

Claims (1)

  1. 質量%で、C≦0.030、Si≦1.00、Mn≦1.50、P≦0.040、S≦0.030、5.50≦Ni≦7.50、24.00≦Cr≦26.00、2.50≦Mo≦3.50、0.08≦N≦0.30、残部Feの化学成分の二相ステンレス鋼SUS329J4Lの線材を素材とし、ボルト頭部とねじ下径部を有するボルト素形材を冷間圧造によって製造し、該ボルト素形材を950°C〜1100°Cの範囲内の温度で2分〜60分保持した後100°C以下に急冷することによって固溶化熱処理を行い、この固溶化熱処理されたねじ下径部に雌ねじを冷間転造するようにしたことを特徴とする、低温衝撃性に優れた二相ステンレス鋼ボルトの製造方法。
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