JP6605258B2 - 大豆製膜状加工品製造方法、および大豆製膜状加工品製造システム - Google Patents

大豆製膜状加工品製造方法、および大豆製膜状加工品製造システム Download PDF

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Description

本発明は大豆製膜状加工品製造方法、および大豆製膜状加工品製造システムに係り、特に、製造ライン集約化によりコスト低下、省スペース、衛生管理向上を図ることができ、また種々の加工品製造に対応することができる、大豆製膜状加工品製造方法等に関する。
大豆加工品の種類は、たとえば、木綿豆腐、絹ごし豆腐、凍り豆腐、厚揚げ、油揚げ、はんぺん、さつま揚げ、がんもどき、ゆば、納豆、テンペ、豆乳、濃縮大豆たんぱくや分離大豆たんぱく等を用いた畜肉様その他の加工品など、相当多数が存在する。そして、これらは従来、基本的にはそれぞれ別の製造ラインによって製造されているのが通常である。
大豆加工品の製造技術についても、従来多数の技術的提案がある。豆腐製造では、たとえば、凝固剤入りの豆乳を凝固熟成させ、余水を脱水して豆腐生地を作り、食用油を混入して破砕混合し、パックに充填し再度凝固熟成させてパック入り木綿豆腐とする技術(後掲特許文献1)がある。これは、水中における切分け工程がなく、賞味期間を延長できる効果があるとしている。
また、木綿豆腐のようなテクスチャーの充填豆腐製造方法として、充填容器に豆乳と凝固剤を別々に注入して攪拌混合し、密封する前に半凝固状態の豆乳を物理的にかき混ぜてからプラスチック製フィルムにより密封し、加熱、凝固させる方法が開示されている(特許文献2)。
油揚げ製造では、たとえば、連続粉砕機を用いて大豆たんぱく・油脂・水の高粘度な乳化スラリー生地を連続的に調製することによって、油揚げを安定的に製造する方法が開示されている(特許文献3)。
また、豆乳の底面に超音波処理を施すことによりキャビテーションを発生させ、豆乳の底面から微細気泡によるエアレーションを発生させ、それによって豆乳中に微細気泡を含有させ、これを含有した豆乳に凝固剤を添加して豆腐生地を生成し、油で揚げることによって、なめらかな組織を備えた油揚げを製造する技術も開示されている(特許文献4)。
ゆば製造では、たとえば、ゆばの生産性・食味・食感を向上させる方法として、豆乳を加熱することにより液面に生成する薄膜(皮膜)を引き上げてゆばを製造するに当たり、豆乳中に塩化ナトリウム0.06〜0.6重量%を添加するという技術が開示されている(特許文献5)。
また、生成されたゆばの豆乳槽内面への付着を防止することができる製造装置として、注入された豆乳の上面にゆばが生成される豆乳槽と、その底部に設置されて内部に熱源部として蒸気が供給される伝熱管を備えた加熱槽とを有し、さらに、豆乳槽の側面部を除いた加熱槽の底面部と側面部を覆う断熱材からなる断熱部が設けられており、加熱槽の側面部からの豆乳槽の側面部への達する外気による熱が断熱部により遮断され、かつ、側面部の外周での外気の自然対流により豆乳槽の側面内部の近傍の豆乳の温度上昇が抑えられる方式の装置が開示されている(特許文献6)。
その他にもたとえば、大豆たんぱくを主原料とした肉様食品として、湯戻しした粒状大豆たんぱくと、分離大豆たんぱくに対し重量で3〜5倍量の水を加え混練したゲル状物と、たまねぎ、調味料などを混合した試料を成型し、加熱乾燥機を用いて100℃以下で3時間以下加熱乾燥した後で、水分含量が60〜30%になるようにマイクロ波を照射して肉代替物を結着した後、調味料を含む液で湯戻しし、さらに焼成または油ちょうしてハンバーグを得る技術が開示されている(特許文献7)。
また、種々に風味付けされ、チーズ様または肉様の食感を有しかつ保存性良好な豆腐加工品として、押圧し水切りした豆腐を調味液に浸漬した後ペーパータオルで包装し、これをアルミホイルシートの上に置き、これを小粒の炭化物からなる炭化物層で全体を包含した状態にして乾燥し、豆腐を取り出し真空包装・殺菌して得る加工品も開示されている(特許文献8)。
特開2005−95038号公報「パック入りの木綿豆腐の製造方法」 特開2000−83615号公報「充填容器密封式木綿豆腐およびその製造方法」 特開2014−187902号公報「油揚げの安定的な製造方法」 特開2008−306936号公報「油揚げの製造方法」 特開2007−89551号公報「湯葉の製造方法」 特開2007−319141号公報「湯葉製造装置」 特開2012−75358号公報「肉様食品の製造法」 特開2004−135641号公報「豆腐加工品及びその製造法」
しかし、いずれの製品も、それぞれ専用の製造ラインによって製造されているのが通常である。図8は従来の大豆加工品の一部について、一般的な製造方法を示すフロー図である。木綿豆腐・凍り豆腐、油揚げ、ゆばの各製造方法を並置して示したものであるが、木綿豆腐とその凍結乾燥により製造される凍り豆腐の例は同一ライン化が可能であるものの、同じく豆乳を出発原料としながらも、豆腐、油揚げ、ゆばは、それぞれ別のラインにする必要がある。
これらにおいて、あるいはまたこれらに限らず、豆乳を出発原料とする各種大豆加工品について、その製造ラインを共通化、集約化することができれば、製造コスト低下、省スペース、衛生管理向上、さらには新製品開発の促進効果を得ることができる。
また、特にゆば製造は従来、豆乳を加熱することにより液面に生成する薄膜(皮膜)をすくい上げる(引き上げる)ことによって行っているが、より効率的な製造方法の開発が求められている。
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、製造ラインを集約化することができ、それによりコスト低下、省スペース、衛生管理向上を図ることができ、また新製品開発を促進できるとともに、種々の加工品製造に対応することのできる、大豆製膜状加工品製造方法、および大豆製膜状加工品製造システムを提供することである。
加えて本発明の課題は、特にゆば製造において、より効率的な製造、コスト低下、衛生向上を可能とし、またゆば以外の膜状加工品製造も容易に行うことのできる、大豆製膜状加工品製造方法等を提供することである。
本願発明者は上記課題について鋭意研究を重ねた結果、大豆加工品製造に必要な各成分を抽出しておいてから、これらを目的とする加工品に合わせて混合・調整する工程を用いることによって課題解決できることに想到し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
〔1〕 豆乳の凝固処理による凝固物成分と水溶性成分を分離する分離過程と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合過程と、該混合物を後処理に供して膜状の目的製品を得る後処理過程とを備えてなることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造方法。
〔2〕 前記後処理過程は前記混合物の圧延処理を少なくとも含むものであり、前記目的製品は膜状食品であることを特徴とする、〔1〕に記載の大豆製膜状加工品製造方法。
〔3〕 前記後処理過程は前記混合物の薄層または薄層以外の媒体への塗布処理を少なくとも含むものであり、前記目的製品は膜状食品であることを特徴とする、〔1〕に記載の大豆製膜状加工品製造方法。
〔4〕 前記後処理過程は前記混合物のろ過手段を用いた脱水処理を少なくとも含むものであり、前記目的製品は膜状食品であることを特徴とする、〔1〕に記載の大豆製膜状加工品製造方法。
〔5〕 前記膜状食品が下記<Y1>ないし<Y5>に記載のいずれかであることを特徴とする、〔2〕、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載の大豆製膜状加工品製造方法。
<Y1> ゆば様食品
<Y2> クレープ様食品
<Y3> 海苔様食品
<Y4> <Y1>ないし<Y3>以外の膜状食品
<Y5> 副材料が含まれている<Y1>ないし<Y4>のいずれか
〔6〕 豆乳の凝固処理を行う凝固処理部と、得られた凝固物成分と水溶性成分を分離する分離処理部と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部と、後処理に供して目的製品を得る後処理部とを備え、該後処理部では、前記混合物の圧延処理がなされることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造システム。
〔7〕 豆乳の凝固処理を行う凝固処理部と、得られた凝固物成分と水溶性成分を分離する分離処理部と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部と、後処理に供して目的製品を得る後処理部とを備え、該後処理部では、前記混合物の薄層または薄層以外の媒体への塗布処理がなされることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造システム。
〔8〕 豆乳の凝固処理を行う凝固処理部と、得られた凝固物成分と水溶性成分を分離する分離処理部と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部と、後処理に供して目的製品を得る後処理部とを備え、該後処理部では、前記混合物のろ過手段を用いた脱水処理がなされることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造システム。
〔9〕 前記後処理部において前記混合物の均質化処理がなされることを特徴とする、請求項6、〔7〕、8のいずれかに記載の大豆製膜状加工品製造システム。
〔10〕 前記分離処理部にはスクリューデカンタが用いられることを特徴とする、請求項6、〔7〕、〔8〕、9のいずれかに記載の大豆製膜状加工品製造システム。
本発明の大豆製膜状加工品製造方法、および大豆製膜状加工品製造システムは上述のように構成されるため、これによれば、製造ラインを集約化することができ、それによりコスト低下、省スペース、衛生管理向上を図ることができる。さらに、また新製品開発を促進できるとともに、種々の加工品製造に対応することができる。
また本発明によれば、特にゆば製造において、より効率的な製造、コスト低下、衛生向上を可能とし、またゆば以外の膜状加工品製造も容易に行うことができる。
本発明の大豆製膜状加工品製造方法の基本構成を示すフロー図である。 本発明の大豆製膜状加工品製造方法の別の基本構成を示すフロー図である。 本発明の大豆製膜状加工品製造方法の具体的構成例を示すフロー図である。 本発明に係る大豆製膜状加工品を含む大豆加工品製造方法の具体例を示すフロー図である。 本発明の大豆製膜状加工品製造システムの基本構成を示す概念図である。 本発明の大豆製スポンジ状加工品製造システムの別の構成例を示す概念図である。 本発明の大豆製膜状加工品製造システムにおける分離処理部の構成例を示す説明図である。 従来の大豆加工品の一部について、一般的な製造方法を示すフロー図である。
以下、本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の大豆製膜状加工品製造方法の基本構成を示すフロー図である。図示するように本大豆製膜状加工品製造方法は、豆乳1の凝固処理(凝固処理過程P0)による凝固物成分2と水溶性成分3を分離する分離過程P1と、分離された凝固物成分2と水溶性成分3を混合して混合物4を得る混合過程P2と、混合物4を、後処理に供して膜状の目的製品5を得る後処理過程P3とを備えていることを、主たる構成とする。なお本発明に係る大豆加工品は、膜状食品など主に食品を適用対象として想定したものであるが、本発明はこれに限定されず、非食品用途も除外されない。
かかる構成により本発明の大豆製膜状加工品製造方法では、凝固処理によって凝固物成分2と水溶性成分3の混在物の状態となっている豆乳1は、分離過程P1において、凝固物成分2と水溶性成分3とに分離され、ついで混合過程P2において、分離された凝固物成分2と水溶性成分3とが混合されて混合物4が得られ、ついで後処理過程P3において、混合物4が後処理に供されて、膜状の目的製品5が得られる。なお、目的製品5は必ずしも最終的な製品に限定されず、それに至る途中の中間製品であってもよい。
後処理過程P3における膜状の目的製品5を得る処理には、混合物4を膜状化する膜状化処理が少なくとも含まれ、膜状化処理は、混合物4の圧延処理、混合物4の薄層もしくは薄層以外の媒体への塗布処理、または混合物4のろ過手段を用いた脱水処理のいずれかとすることができる。いずれの処理方法によっても、混合物4を膜状化することができる。
混合過程P2後に得られる混合物4の膜状化処理は、混合物の濃度・物性によって、次のように行うものとすることができる。
(A)低濃度の場合、すなわち、固形分が低く、放置すると凝固物成分と水溶性成分(ホエー)が分離する状態の場合:
ろ過手段を用いた脱水処理とする。
紙漉きやのり製造の如く、ろ布等の上に混合物を載せて脱水し、その後加熱することでゲル化を行う。
(B)中濃度の場合、すなわち、放置しても凝固物成分と水溶性成分(ホエー)が分離せず、流動性のある状態の場合:
薄層もしくは薄層以外の媒体への塗布処理とする。
膜状、シート状の媒体上に混合物を塗布し、加熱してゲル化を行う。
(C)高濃度の場合、すなわち、流動性がない固体の状態の場合:
圧延処理とする。
圧延処理によって混合物をシート状に成形し、加熱してゲル化を行う。
混合物の結合(ゲル化)の一因はタンパク質濃度であることから、圧延処理(C)、薄層もしくは薄層以外の媒体への塗布処理(B)、またはろ過手段を用いた脱水処理(A)のいずれにおいても、脱水等により水分含量が調整された後に加熱する過程を設けることで、ゲル化が生じる。したがって、混合物の濃度は、各処理に適した範囲に調整すればよい。
なお混合過程P2では、凝固物成分2の濃度が、膜状の目的製品5として、所定の形状を備えたものであるところの成形品を得るのに適した濃度となるような混合比にて、混合処理がなされるものとすることができる。また、具体的な膜状化処理方法に適した濃度となるような混合比にて、混合処理がなされるものとすることができる。このようにすることにより、目的製品5が一定の形状を備えた成形品である場合、その製造に適した混合比にて凝固物成分2と水溶性成分3の混合処理がなされて混合物4が得られ、これが膜状化処理を含む後処理工程P3において用いられ、成形品であるところの膜状の目的製品5を得ることができる。
なお図2は、本発明の大豆製膜状加工品製造方法の別の基本構成を示すフロー図であり、上述した後処理過程をより詳しく示したものである。図示するように本大豆製膜状加工品製造方法は、全体フロー中の後処理過程P23を、混合物4に膜状化処理を施して膜状の生地を得る膜状化処理P24と、生地を加熱してゲル化し目的製品25(膜状加工品)25を得るゲル化処理P25とから構成するものとすることができる。かかる構成により本フローでは、後処理過程P23中の膜状化処理P24において、混合物4が膜状化されて生地が得られ、ついでゲル化処理P25において生地の加熱、ゲル化処理がなされ、目的製品25(膜状加工品)が得られる。
本発明製造方法を用いて、たとえば下記<Y1>〜<Y5>に記載した大豆製の膜状食品を製造することができる。
<Y1> ゆば様食品
<Y2> クレープ様食品
<Y3> 海苔様食品
<Y4> <Y1>ないし<Y3>以外の膜状食品
<Y5> 副材料が含まれている<Y1>ないし<Y4>のいずれか
図3は、本発明の大豆製膜状加工品製造方法の具体的構成例を示すフロー図である。図示するように本例の大豆製膜状加工品製造方法は、後処理過程P33が、混合物4の選択的均質化処理P3Hと、得られた均質化物3Hまたは混合物4から生地34を得る膜状化処理P34と、生地34のゲル化処理P35とから構成される。ここで、選択的均質化処理とは、均質化処理を行う場合と、行わない場合があることを示す。
つまり、目的製品35あるいは最終的な製品の具体的な種類・内容に応じて、それに適するよう均質化処理の有無は選択される。したがって、均質化処理を行わない場合は、混合物4は直ちに生地34を得る膜状化処理P34、ついで、生地34のゲル化処理P35に供される。一方、均質化処理を行う場合は、混合物4はまず均質化処理されて均質化物3Hが得られ、これが、その後の膜状化処理P34、ゲル化処理P35に供される。
また、後処理過程P33における均質化処理の有無に関わらず、混合過程P2において凝固物成分2および水溶性成分3を混合して得る混合物4の濃度を10重量%以上とすることができる。さらには、14重量%以上、あるいはまた14重量%以上25重量%以下としてもよい。かかる濃度範囲は、豆乳1を出発原料とする大豆加工品として、木綿豆腐、がんもどき、油揚げ、ゆばといった各種製品をカバーできるものである。上述の通り、本発明に係る大豆製膜状加工品製造では、具体的な膜状化処理方法に適した濃度とすることが望ましい。
図4は、本発明に係る大豆製膜状加工品を含む大豆加工品製造方法の具体例を示すフロー図である。図示するように本発明製造方法によれば、豆乳への凝固剤添加による凝固処理、それにより生じる凝固物成分(図では「凝固物」)と水溶性成分(図では「ホエー」)の分離処理、分離した両者を改めて濃度調整・混合する混合処理(図では「濃度調整」)、そして選択的均質化処理がなされるまでの過程は、目的製品の如何に関わらず同じである。ただし混合処理における濃度調整は、目的製品に応じてなされる。
そして、濃度調整されかつ必要に応じ均質化された混合物は、目的製品に応じた後処理過程に供される。すなわち、均質化された混合物をそのまま充填したり成型することによって木綿豆腐、発泡処理することによってムース状やクリーム状の加工品、発泡処理後に凍結乾燥等の乾燥処理を行うことによって凍り豆腐様の加工品、発泡処理後に圧延処理することによって厚揚げ様等の気泡含有加工品・気泡含有膜状加工品、生地を調製しこれを油ちょう処理等を用いてスポンジ状化することによって油揚げ、圧延処理・塗布処理または漉き処理等の膜状化処理をした後に加熱処理してゲル化させることによってゆば・クレープあるいは海苔様の膜状加工品、成型処理や高圧・高温処理後の成型処理によってハンバーグ・すり身あるいはスクランブルエッグ様といった畜肉等動物性食品様の加工品、を製造することができる。
混合物の濃度は、木綿豆腐の場合は14%程度、凍り豆腐様加工品の場合は18%程度、膜状加工品の場合は25%程度とすることが望ましい。また、畜肉等動物性食品様の加工品では14%以上とすることが望ましく、30%程度の高濃度を用いてもよい。また、以上述べた各大豆加工品にはいずれも、任意の副材料を混合・添加してもよい。また、主としてタンパク質と脂肪からなる凝固物成分の濃度調整を初めとして、均質化処理の有無、後処理として施す処理の設計如何によって、従来にない新規な大豆加工品を製造することも可能であり、自由自在な製品開発環境を本発明製造方法は提供することができる。
このように本発明大豆製膜状加工品製造方法を含む大豆加工品製造方法によれば、必要な成分であるところの凝固物成分と水溶性成分を分離・抽出し、製品に応じた濃度調整や選択的均質化処理を行うまでの工程を共通化することができるため、従来のように製品ごとに製造ラインを設備する必要がない。そして、必要な後処理の工程をこれに連設可能な構成とすることによって、複数種類の大豆加工品の製造を行うことができる。いわば、成分分離とその再構成を前段で行い、個別製品化処理を後段で行う製造方式であり、これによってライン集約化、コスト低下、省スペース、衛生管理向上、新製品開発の促進効果を得ることができる。
図5は、本発明の大豆製膜状加工品製造システムの基本構成を示す概念図である。図示するように本大豆製膜状加工品製造システム100は、豆乳の凝固処理を行う凝固処理部10と、これにより得られた凝固物成分と水溶性成分とを分離する分離処理部20と、分離された凝固物成分と水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部30と、混合物を後処理に供して目的製品を得る後処理部40とを備え、後処理部40では、混合物から膜状の生地を得る膜状化処理がなされることを、主たる構成とする。なお、かかる構成である限り、各部10〜40が同一筐体内に設置されているか否かに関わらず、本発明の範囲内である。
後処理部40での膜状化処理は、混合物の圧延処理、混合物の薄層もしくは薄層以外の媒体への塗布処理、または混合物のろ過手段を用いた脱水処理のいずれかとすることができる。また、いずれの膜状化処理を採る場合であっても、その後に得られる膜状の生地を加熱処理してゲル化する、ゲル化処理が行われることとする。
かかる構成により本大豆製膜状加工品製造システム100では、凝固処理部10において豆乳の凝固処理が行われ、これにより得られた凝固物成分と水溶性成分は分離処理部20において分離され、分離された凝固物成分と水溶性成分とは混合処理部30において適宜の混合比により混合(濃度調整)されて混合物となり、混合物は後処理部40において後処理に供される。すなわち、膜状化処理によって混合物から膜状の生地が得られ、ゲル化処理によって生地が固化されて、目的製品が得られる。なお後処理部40は、混合物を均質化処理する構成、または均質化処理の有無を選択可能な構成としてもよい。
図6は、本発明の大豆製膜状加工品製造システムの別の構成例を示す概念図である。図示するように本システム200は、凝固処理部10、分離処理部20および混合処理部30が共通化されており、後処理部は41、42、・・・4Xのように複数設けられており、目的製品に応じた個別の処理がなされる構成である。なお、図では最低3つの後処理部が備えられる構成だが、これは一例であり、後処理部の数は限定されない。
かかる構成により本大豆製膜状加工品製造システム200では、複数の目的製品の製造を行うことが可能である。いずれの目的製品製造の場合でも出発原料である豆乳には、共通化された凝固処理部10、分離処理部20および混合処理部30での各処理が施された後、これにより得られた混合物は各目的製品に固有の後処理部41等に供されて所定の処理がなされて、目的製品が製造される。
図7は、本発明の大豆製膜状加工品製造システムにおける分離処理部の構成例を示す説明図である。図示するように本システムの分離処理部としてスクリューデカンタ6を好適に用いることができる。スクリューデカンタ6に、豆乳とこれに添加された凝固剤とからなる原液16が供給されてスクリューデカンタ6が運転されると、原液16を構成する、主としてタンパク質と脂肪からなる凝固物成分26と、水溶性成分36(ホエー)とは分離して取り出される。このように分離回収された両成分26、36は、混合処理部に供されて所定の混合比にて混合(濃度調整)される。
なおまた、本大豆製膜状加工品製造システム100等の後処理部40等には、後処理に先立つ混練処理を行うインラインミキサーを設けた構成としてもよい。インラインミキサー方式の混練装処理により、膜状の生地の生産効率を高め、衛生品質も向上させることができる。
かかる大豆製膜状加工品製造システム100等や、上述の大豆製膜状加工品製造方法によって製造される大豆製膜状加工品等大豆加工品自体もまた、本発明の範囲内である。代表的なものは上述の<Y1>〜<Y5>のとおりであるが、本発明はこれらに限定されない。
また、豆乳由来の凝固物成分および水溶性成分を原料とし、これらが再構成されて得られる各種大豆製膜状加工品自体も、本発明の範囲内であり、その代表的なものは上記<Y1>〜<Y5>のとおりである。もちろん、これらに限定されず、豆乳由来の凝固物成分および水溶性成分を原料とし、これらが再構成されて得られるものである限り、既存製品、既存製品様の製品、新規開発製品を問わず、本発明の範囲内である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお各実施例の成分含量は、断りがない限り重量%で示したものである。
<1 膜状食品>
<1−1 膜状食品の実施例(1)>
生大豆10kgを用いて定法に準じて豆乳約 50Lを調製し、10℃以下に冷却した。豆乳の固形分が8%となるよう加水にて調整し、湯せんで70℃に加熱後、870g分取した。また、塩化マグネシウム六水和物(関東化学社)を濃度6%(重量)の水溶液に希釈し、凝固剤とした。豆乳を攪拌しながら凝固剤を33g添加し、添加後攪拌を停止し、4分間放置した。
放置後、凝固物が1mmφ程度まで攪拌により均質に崩し、卓上遠心分離機(コクサン社「小型遠心分離機 H−112」)にて凝固物と水溶液に分離し、固形分25%の凝固物を得た。凝固物をクッキングシート(旭化成社「クックパー」)で挟み、麺棒で厚さ1mm程度まで圧延した。フライパンに入る大きさにカットし、弱火で凝固物に弾力が出るまで加熱した。
<1−2 膜状食品の比較例(1)>
生大豆10kgを用いて定法に準じて豆乳約50Lを調製し、10℃以下に冷却した。豆乳は必要な量を分取し、定温90℃まで加熱し、表面にできたゆばを10分間毎に串でくり返し汲み上げ、串にかかったまま10分間室温で乾燥させ、ゆばを作製した。
<1−3 膜状食品の評価>
膜状食品の実施例(1)は、少なくとも比較例(1)と同等またはそれ以上の品質のゆば様の食品であった。上述した本発明の利点を、本実施例の作製過程および試作品において、確認することができた。
<1−4 膜状食品の実施例(2)>
表6に、本発明製法による膜状食品(実施例(2))の製造例を、工程所要時間等を含めて示した。ここに示すように本実施例の製造所要時間は92分間であった。従来と比較して、簡単な工程によってゆば様の膜状食品を製造できることが確認された。
<2 気泡含有膜状食品>
<2−1 気泡含有膜状食品の実施例(1)>
生大豆10kgを用いて定法に準じて豆乳約50Lを調製し、10℃以下に冷却した。豆乳の固形分が8%となるよう加水にて調整し、湯せんで70℃に加熱後、870g分取した。また、塩化マグネシウム六水和物(関東化学社)を濃度6%(重量)の水溶液に希釈し、凝固剤とした。豆乳を攪拌しながら凝固剤を33g添加し、添加後攪拌を停止し、4分間放置した。
放置後、凝固物が1mmφ程度まで攪拌により均質に崩し、卓上遠心分離機(コクサン社「小型遠心分離機 H−112」)にて凝固物と水溶液に分離し、固形分20%の凝固物を得た。分離した凝固物をフードプロセッサー(パナソニック社「MK−K81」)でペースト状にし、ハンドミキサー(パナソニック社「MK−H4」)で気泡を混入させた。気泡を含んだものをホットプレートに1mm未満の厚さで塗布し、焦げないように弱火で水分を蒸発させ、ホットプレートからはがした。
<2−2 気泡含有膜状食品の評価>
気泡含有膜状食品の実施例(1)の作製過程および試作品において、上述した本発明の利点を、確認することができた。
<2−3 気泡含有膜状食品の実施例(2)>
表5に、本発明製法による気泡含有膜状食品(実施例(2))の製造例を、工程所要時間等を含めて示した。ここに示すように本実施例の製造所要時間は92分間であり、短時間で目的製品である気泡含有膜状食品を製造できることが確認された。
本発明の大豆製膜状加工品製造方法、および大豆製膜状加工品製造システムによれば、製造ラインを集約化することができ、それによりコスト低下、省スペース、衛生管理向上を図ることができる。さらに、また新製品開発を促進できるとともに、種々の加工品製造に対応することができる。
また本発明によれば、特にゆば製造において、より効率的な製造、コスト低下、衛生向上を可能とし、またゆば以外の膜状加工品製造も容易に行うことができる。したがって、当該分野および関連する全産業分野・技術分野において、産業上利用性が高い発明である。
1…豆乳
2…凝固物成分
3…水溶性成分
4…混合物
5、25…目的製品
6…スクリューデカンタ
16…原液
26…凝固物成分
34…生地
36…水溶性成分
3H…均質化物
10…凝固処理部
20…分離処理部
30…混合処理部
40、41、42、4X…後処理部
100、200…大豆製膜状加工品製造システム
P0…凝固処理過程
P1…分離過程
P2…混合過程
P3、P23、P33…後処理過程
P24、P34… 膜状化処理
P25、P35…ゲル化処理
P3H…選択的均質化処理

Claims (10)

  1. 豆乳の凝固処理による凝固物成分と水溶性成分を分離する分離過程と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合過程と、該混合物を後処理に供して膜状の目的製品を得る後処理過程とを備えてなることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造方法。
  2. 前記後処理過程は前記混合物の圧延処理を少なくとも含むものであり、前記目的製品は膜状食品であることを特徴とする、請求項1に記載の大豆製膜状加工品製造方法。
  3. 前記後処理過程は前記混合物の薄層または薄層以外の媒体への塗布処理を少なくとも含むものであり、前記目的製品は膜状食品であることを特徴とする、請求項1に記載の大豆製膜状加工品製造方法。
  4. 前記後処理過程は前記混合物のろ過手段を用いた脱水処理を少なくとも含むものであり、前記目的製品は膜状食品であることを特徴とする、請求項1に記載の大豆製膜状加工品製造方法。
  5. 前記膜状食品が下記<Y1>ないし<Y5>に記載のいずれかであることを特徴とする、請求項2、3、4のいずれかに記載の大豆製膜状加工品製造方法。
    <Y1> ゆば様食品
    <Y2> クレープ様食品
    <Y3> 海苔様食品
    <Y4> <Y1>ないし<Y3>以外の膜状食品
    <Y5> 副材料が含まれている<Y1>ないし<Y4>のいずれか
  6. 豆乳の凝固処理を行う凝固処理部と、得られた凝固物成分と水溶性成分を分離する分離処理部と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部と、後処理に供して目的製品を得る後処理部とを備え、該後処理部では、前記混合物の圧延処理がなされることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造システム。
  7. 豆乳の凝固処理を行う凝固処理部と、得られた凝固物成分と水溶性成分を分離する分離処理部と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部と、後処理に供して目的製品を得る後処理部とを備え、該後処理部では、前記混合物の薄層または薄層以外の媒体への塗布処理がなされることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造システム。
  8. 豆乳の凝固処理を行う凝固処理部と、得られた凝固物成分と水溶性成分を分離する分離処理部と、分離された該凝固物成分と該水溶性成分を混合して混合物を得る混合処理部と、後処理に供して目的製品を得る後処理部とを備え、該後処理部では、前記混合物のろ過手段を用いた脱水処理がなされることを特徴とする、大豆製膜状加工品製造システム。
  9. 前記後処理部において前記混合物の均質化処理がなされることを特徴とする、請求項6、7、8のいずれかに記載の大豆製膜状加工品製造システム。
  10. 前記分離処理部にはスクリューデカンタが用いられることを特徴とする、請求項6、7、8、9のいずれかに記載の大豆製膜状加工品製造システム。
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