<第一実施形態>(電子部品実装システムの構成)電子部品実装システム1の構成について図1を参照して説明する。電子部品実装システム1は、直列に配置された複数台の部品実装機10,20を備え、複数種の基板の連続生産を行う。複数台の部品実装機10,20の各々は、デュアル搬送レーンで且つシングル実装ヘッドのタイプである。
複数台の部品実装機10,20は、複数種の基板JOBの各々を搬送する第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22と、1つの部品供給部13,23と、1つの実装ヘッド14,24と、ノズルステーション15,25と、パーツカメラ16,26とを備える。
第一搬送レーン11,21と第二搬送レーン12,22は、隣り合う位置に互いに平行に配置される。第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22は、搬送される基板JOBを所定位置にて位置決めすることができる。
部品供給部13,23は、複数種の部品群の各々を配置する部品配置領域Dを備える。この領域Dは、後述するが、複数の基板群に対して複数の領域D1,D2,D3として使用可能である。例えば、部品供給部13,23は、複数種の部品群が収容された複数のテープ型フィーダ又は複数のトレー型フィーダを備える。部品供給部13,23は、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22に対して、片側のみに配置される。詳細には、部品供給部13,23は、第一搬送レーン11,21に近接する側のみに配置される。
実装ヘッド14,24には、少なくとも1以上のノズルが取り付けられる。例えば、実装ヘッド14には、12個のノズルが取り付けられ、実装ヘッド24には8個のノズルが取り付けられる。なお、実装ヘッド14,24に1個のノズルのみが取り付けられる場合もある。ノズルは、部品供給部13,23から供給される複数種の部品群の各々を保持する。実装ヘッド14,24は、図1の搬送方向(X軸方向)及び基板平面上における搬送方向に直交する方向(Y軸方向)に移動可能である。実装ヘッド14,24は、部品供給部13,23から供給される複数種の部品群の各々を、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22を搬送する複数種の基板に装着する。
ノズルステーション15,25は、実装ヘッド14,24が移動可能な領域に配置され、複数種のノズルを収容する。ノズルステーション15,25に収容されるノズルは、実装ヘッド14,24に取り付けられているノズルと交換可能である。ここで、ノズルは、部品の大きさ、形状等に応じて異なる。また、複数種の部品を保持可能なノズルが存在する。
パーツカメラ16,26は、第一搬送レーン11,21と部品配置領域DとのY方向の間であって、部品実装機10,20における搬送方向(X方向)の中央に配置される。パーツカメラ16,26は、実装ヘッド14,24が部品を搬送する際にパーツカメラ16,26の上方を通過することで、実装ヘッド14,24が保持する部品を認識する。
(生産計画)次に、図1に示す電子部品実装システム1を用いる基板の生産計画について、図2を参照して説明する。図2に示すように、生産計画は、量産製品としての複数種の基板JOB1,2(第一基板)を連続して生産すると共に、量産製品としての複数種の基板JOB1,2の連続生産中に、少量生産製品としての基板JOB11〜13(第二基板)を連続生産する計画であるとする。
つまり、量産製品としての複数種の基板JOB1,2は、図2の生産初期から最終時点まで継続して生産される。一方、少量生産製品としての基板JOB11の生産が、基板JOB1,2の連続生産の開始と同時に、もしくは連続生産の途中に開始される。また、少量生産製品としての基板JOB11の生産が終了すると、次の少量生産製品としての基板JOB12の生産が開始され、基板JOB12の生産が終了すると、次の少量生産製品としての基板JOB13の生産が開始される。
(部品供給部における部品群の配置)次に、図1を参照して、部品供給部13,23における各部品群の配置について説明する。図1に示すように、部品供給部13,23における部品配置領域Dのうち、中央に位置する第一領域D1には、量産製品である複数種の基板JOB1,2に実装される複数種の第一部品群が配置される。一方、第一領域D1以外の第二領域D2,D3には、少量生産製品である複数種の基板JOB11〜13に実装される複数種の第二部品群が配置される。第二領域D2,D3には、基板JOB11〜13の種類毎の複数種の第二部品群が交換されながら配置される。また、第一領域D1の割合は、複数種の第一部品群の数に応じて異なる。また、第一領域D1の割合は、図1に示すように、部品実装機10,20によっても異なる。
ここで、実装ヘッド14,24は、部品供給部13,23で部品を吸着した後、装置中央のパーツカメラ16,26の上方を通過して基板JOB上へ移動する。第一領域D1は部品供給部13,23の部品配置領域Dの中央に位置し、第二領域D2,D3は部品配置領域Dの端側に位置する。そのため、第一領域D1からパーツカメラ16,26までの距離は、第二領域D2,D3からパーツカメラ16,26までの距離に比べて短い。従って、実装ヘッド14,24が第一領域D1から基板JOBへ複数種の第一部品群を実装する場合における実装ヘッド14,24の移動距離は、実装ヘッド14,24が第二領域D2,D3から基板JOBへ複数種の第二部品群を実装する場合における実装ヘッド14,24の移動距離に比べて短くなる。
(条件決定方法)次に、各実装ヘッド14,24におけるノズルの配置、及び、各部品供給部13,23における複数種の部品群の配置の決定方法について、図3を参照して説明する。条件決定方法は、条件決定装置としてのコンピュータによって実行される。条件決定装置は、生産計画に基づいて、少量生産製品の基板JOB11〜13が存在するか否かを判定する。少量生産製品の基板JOB11〜13が存在しなければ、以下に説明する条件決定処理を行うことはない。
一方、生産対象である少量生産製品の基板JOB11〜13が存在する場合には、以下の処理が行われる。条件決定装置は、まず初めに第一条件決定処理を行う(図3のS1:第一条件決定工程)。第一条件決定処理は、量産製品である複数種の基板JOB1,2に実装される複数種の第一部品群に基づいて、各実装ヘッド14,24に取り付けられるノズルの配置及び各部品供給部13,23における複数種の第一部品群の配置を決定する。ここで、第一条件決定処理により決定される条件は、複数台の部品実装機10,20において、複数種の第一部品群を複数種の基板JOB1,2に実装するための最適な条件である。つまり、上記のようなノズルの配置及び第一部品群の配置において、量産製品である複数種の基板JOB1,2のみを生産する場合のサイクルタイムは、最短となる。
続いて、条件決定装置は、量産製品の基板JOB1,2における複数種の第一部品群を基準とした各ノズルの配置を固定した状態で、少量生産製品の基板JOB11〜13の生産が可能か否かを順次判定する(図3のS2)。つまり、条件決定装置は、第一条件決定処理にて決定されたノズルの配置を固定した状態を拘束条件として、少量生産製品の基板JOB11〜13の生産が可能か否かを判定する。
量産製品を基準としたノズルの配置を固定した状態で少量生産製品の基板JOB11〜13の生産が可能である場合には(図3のS2:Y)、条件決定装置は、第二条件決定処理を行う(図3のS3:第二条件決定工程)。第二条件決定処理は、少量生産製品の基板JOB11〜13の種類毎に行われる。第二条件決定処理は、第一条件決定処理により決定されたノズルの配置を固定した状態を拘束条件として、少量生産製品の基板JOB11〜13に実装される複数種の第二部品群に基づいて、各部品供給部13,23における複数種の第二部品群の配置を決定する。つまり、複数種の第二部品群の実装には、複数種の第一部品群の実装に用いるものとして決定された各ノズルがそのまま用いられる。
また、複数種の第二部品群の配置の決定は、第二領域D2,D3を使用して決定される。ただし、複数種の第二部品群の中で、複数種の第一部品群と同種の部品が存在する場合には、少量生産製品の基板JOB11〜13への当該第二部品群の実装には、第一領域D1に配置される第一部品群が利用される。つまり、第二条件決定処理による第二領域D2,D3における第二部品群の配置の決定は、複数種の第二部品群のうち複数種の第一部品群に含まれない部品群に対して行われる。
一方、量産製品の基板JOB1,2における複数種の第一部品群を基準とした各ノズルの配置を固定した状態で少量生産製品の基板JOB11〜13の生産が不可の場合には(図3のS2:N)、条件決定装置は、第三条件決定処理を行う(図3のS4:第三条件決定工程)。第三条件決定処理は、少量生産製品の基板JOB11〜13の種類毎に行われる。第三条件決定処理は、第一条件決定処理により決定された複数種の第一部品群の配置を固定した状態を拘束条件として、ノズルの配置の再決定及び複数種の第二部品群の配置の決定を行う。
ノズルの配置の再決定は、量産製品の基板及び対象の少量生産製品の基板が共通して生産が可能なノズルの配置を決定する。ここで、各ノズルの配置を固定した状態で少量生産製品の基板JOB11〜13の生産が不可である場合には、第一条件決定処理にて決定された各ノズルだけでは、複数種の第二部品群の少なくとも一部を実装することができない。そのために、複数種の第二部品群の少なくとも一部を実装するためのノズルが必要となる。
ただし、複数種の第二部品群の少なくとも一部を実装するためのノズルが、当該第二部品群の専用のノズルであるとすると、その分、複数種の第一部品群を実装するためのノズルが少なくなるため、量産製品の基板JOB1,2の生産効率が低下する。そこで、条件決定装置は、第一条件決定処理にて決定されたノズルに含まれていないノズルであって第二部品群の実装と第一部品群の実装とに共用可能なノズルを用いるように、ノズルの配置を再決定すると良い。つまり、共用可能なノズルが用いられることで、第二部品群の専用ノズルを用いる場合に比べて、量産製品の基板JOB1,2の生産効率の低下は抑制される。
また、第三条件決定処理における複数種の第二部品群の配置の決定は、第二条件決定処理と同様に、複数種の第二部品群のうち複数種の第一部品群に含まれない部品群に対して行われる。
(基板生産における各動作のタイミング)次に、図2に示す生産計画に基づいて基板生産を行う場合に、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22を搬送される基板JOBの種類、条件決定処理、ノズルの交換、並びに、部品群の配置処理について、図4を参照して説明する。
ここで、本実施形態における前提条件として、少量生産製品の基板JOB11,13は、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群に基づいて決定された各ノズルによって、生産可能であるとする。一方、少量生産製品の基板JOB12は、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群に基づいて決定された各ノズルによって、生産不可であるとする。
図4のT1においては、量産製品の基板JOB1,2が生産対象となる。このとき、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22には、基板JOB1又はJOB2が搬送される。そして、部品実装機10,20は、量産製品の基板JOB1,2の生産を行う(生産工程)。このとき、各実装ヘッド14,24に取り付けられるノズルは、第一条件決定処理にて決定された配置とされる。つまり、基板JOB1,2に対して最適となるようにノズルが配置されており、基板JOB1,2の連続生産中においてノズルの交換は行われない。
ここで、T1において、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22の一方に基板JOB1が搬送され、他方に基板JOB2が搬送される場合のみならず、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22の両方に、同種の基板JOB1が搬送される場合又は同種の基板JOB2が搬送される場合がある。
また、T1において、条件決定装置による条件決定処理が行われる。ここでの条件決定処理は、少量生産製品の基板JOB11の生産を追加する生産工程に対する処理である。つまり、次の生産工程は、量産製品の基板JOB1,2を連続生産しつつ、少量生産製品の基板JOB11を連続生産する工程となる。
そこで、T1において、条件決定装置は、複数種の基板JOB1,2,11に基づいて、図3に示す条件決定処理を実行する。量産製品の基板JOB1,2に関する第一条件決定処理(図3のS1)は、既に実行されている。ここで、上述したように、少量生産製品の基板JOB11は、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群に基づいて決定された各ノズルによって、生産可能である。従って、図3においてS2:Yとなり、S3の第二条件決定処理が行われ、基板JOB11に実装される複数種の第二部品群の配置が決定される。
そうすると、少量生産製品の基板JOB11の生産開始前(図4のT1)において、基板JOB1,2,11の生産工程に対するノズル交換は行われない。また、T1において、作業者は、条件決定装置にて決定された配置に基づいて、基板JOB11に実装される第二部品群を配置する。このとき、基板JOB11に実装される第二部品群は、部品供給部13,23の第二領域D2,D3(図1に示す)に配置される。ここで、第二領域D2,D3は量産製品の基板JOB1,2の生産に使用されない領域であるため、作業者は、量産製品の基板JOB1,2の連続生産中に複数種の第二部品群の配置処理を行うことができる。
続いて、図4のT1における複数種の第二部品群の配置処理が終了すると、図4のT2において、量産製品の基板JOB1,2が第一搬送レーン11,21を搬送され、少量生産製品の基板JOB11が第二搬送レーン12,22を搬送される。第一搬送レーン11,21と部品供給部13,23との距離は、第二搬送レーン12,22と部品供給部13,23との距離より短い。そのため、量産製品の基板JOB1,2が第一搬送レーン11,21を搬送されることにより、量産製品の基板JOB1,2の生産時において実装ヘッド14,24の移動距離が短くなる。従って、量産製品の基板JOB1,2の生産に要するサイクルタイムが短くなる。
さらに、実装ヘッド14,24は部品供給部13,23で部品を吸着した後、装置中央のパーツカメラ16,26の上方を通過して基板JOB上へ移動するため、第一領域D1から基板JOBまでの実装ヘッド14,24の移動距離は、第二領域D2,D3から基板JOBまでの実装ヘッド14,24の移動距離に比べて短い。第一領域D1には、量産製品の基板JOB1,2に実装される複数種の第一部品群が配置される。そのため、量産製品の基板JOB1,2の生産時において実装ヘッド14,24の移動距離が短くなる。従って、このことによっても、量産製品の基板JOB1,2の生産に要するサイクルタイムが短くなる。
さらに、T1からT2に至る間ノズル交換は行われていないため、T2におけるノズルの配置は、T1におけるノズルの配置と同一である。つまり、T2においても、各実装ヘッド14,24に取り付けられるノズルは、量産製品の基板JOB1,2に対して最適となるように配置されており、基板JOB1,2,11の連続生産中においてノズルの交換は行われない。
従って、T2においては、量産製品の基板JOB1,2を基準に決定されたノズルの配置のまま、量産製品の基板JOB1,2が生産される。その結果、量産製品の基板JOB1,2の生産は、最適な状態(サイクルタイムが短くなる状態)を維持される。そして、量産製品の基板JOB1,2にとって最適状態が維持されつつ、少量生産製品の基板JOB11の生産が行われる。ここで、少量生産製品の基板JOB11にとっては、サイクルタイムを最適とするシステム構成ではないとしても、通常、少量生産製品には問題にはならない。
さらに、T2において、条件決定装置は、次の生産工程に対する条件決定処理が行われる。次の生産工程は、量産製品の基板JOB1,2を連続生産しつつ、基板JOB11の生産に換えて少量生産製品の基板JOB12の連続生産を行う工程である。
そこで、T2において、条件決定装置は、複数種の基板JOB1,2,12に基づいて、図3に示す条件決定処理を実行する。ここで、上述したように、少量生産製品の基板JOB12は、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群に基づいて決定された各ノズルによって、生産不可である。従って、図3においてS2:Nとなり、S4の第三条件決定処理が行われ、ノズルの配置の再決定、及び、基板JOB12に実装される複数種の第二部品群の配置の決定が行われる。
そうすると、図4のT2における基板JOB11の生産終了後に、図4のT3において、作業者は、決定された第二部品群の配置に基づいて基板JOB12に実装される第二部品群を配置する。このとき、基板JOB12に実装される第二部品群は、部品供給部13,23の第二領域D2,D3(図1に示す)に配置される。つまり、作業者は、第二領域D2,D3において、前の生産対象である基板JOB11に実装される複数種の第二部品群から、次の生産対象である基板JOB12に実装される複数種の第二部品群へ、配置変更処理を行う。ここで、第二部品群の配置変更処理を行っているとき、第一搬送レーン11,21にて、量産製品の基板JOB1,2の生産が継続して行われる。
続いて、図4のT3における第二部品群の配置変更処理が終了すると、図4のT4において、ノズルの交換が行われる。ノズルは、T2における第三条件決定処理にて決定された配置に基づいて配置される。このとき、第一搬送レーン11,21における量産製品の基板JOB1,2の生産は、一旦停止される。ここで、T4による交換後のノズルは、基板JOB1,2のみの生産にとっては最適とは言えない。そこで、交換前の最適なノズルによる基板JOB1,2の生産を長く行うために、最適でないノズルへの交換は、第二部品群の配置変更処理の終了後に行っている。
続いて、図4のT4におけるノズルの交換が終了すると、図4のT5において、量産製品の基板JOB1,2の生産及び少量生産製品の基板JOB12の生産が開始される。つまり、T5において、量産製品の基板JOB1,2が第一搬送レーン11,21にて連続生産され、少量生産製品の基板JOB12が第二搬送レーン12,22にて連続生産される。
ここで、図4のT2にて行われる第三条件決定処理は、第一条件決定処理により決定された各ノズルの配置を固定した状態を拘束条件として行われる。そのため、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群の配置は、図4のT3において変更されない。従って、図4のT4のノズル交換終了次第、直ちに、基板JOB1,2の生産が開始される。
さらに、T5において、条件決定装置は、次の生産工程に対する条件決定処理が行われる。次の生産工程は、量産製品の基板JOB1,2を連続生産しつつ、基板JOB12の生産に換えて少量生産製品の基板JOB13の連続生産を行う工程である。
そこで、T5において、条件決定装置は、複数種の基板JOB1,2,13に基づいて、図3に示す条件決定処理を実行する。ここで、上述したように、少量生産製品の基板JOB13は、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群に基づいて決定された各ノズルによって、生産可能である。従って、図3においてS2:Yとなり、S3の第二条件決定処理が行われ、基板JOB13に実装される複数種の第二部品群の配置が決定される。この場合、ノズルの配置は、基板JOB12の生産終了後に、元の配置、すなわちT1〜T3におけるノズルの配置に戻すことを意味する。
そうすると、図4のT5における基板JOB12の生産終了後に、第一搬送レーン11,21における量産製品の基板JOB1,2の生産は、一旦停止される。そして、図4のT6において、ノズル交換が行われ、初期状態のノズルの配置に戻される。つまり、ノズルは、今回の生産の最初に第一条件決定処理にて決定された配置に基づいて配置される。
さらに、作業者は、決定された第二部品群の配置に基づいて基板JOB13に実装される第二部品群を配置する。つまり、ノズルの配置をJOB1,2の生産に最適な状態に戻す場合には、ノズル交換が第二部品群の配置変更処理と同時に行われる。このとき、基板JOB13に実装される第二部品群は、部品供給部13,23の第二領域D2,D3(図1に示す)に配置される。つまり、作業者は、第二領域D2,D3において、前の生産対象である基板JOB12に実装される複数種の第二部品群から、次の生産対象である基板JOB13に実装される複数種の第二部品群へ、配置変更処理を行う。
続いて、図4のT6におけるノズルの交換が終了すると、図4のT7において、量産製品の基板JOB1,2の生産が開始されると共に、基板JOB13に実装される第二部品群の配置変更処理が継続される。ここで、T6による交換後のノズルは、基板JOB1,2のみの生産にとって最適である。そこで、交換後の最適なノズルによる基板JOB1,2の生産を長く行うために、最適なノズルに戻すためのノズルの交換は、第二部品群の配置変更処理と同時に行っている。
続いて、第二領域D2,D3において少量生産製品の基板JOB13に実装される第二部品群への配置変更処理が終了すると、図4のT8において、少量生産製品の基板JOB13の生産が開始される。つまり、T8において、量産製品の基板JOB1,2が第一搬送レーン11,21にて連続生産され、少量生産製品の基板JOB13が第二搬送レーン12,22にて連続生産される。
図4のT7,T8における量産製品の基板JOB1,2の生産は、図4のT1〜T3と同様に、最適な状態(サイクルタイムが短くなる状態)となる。ここで、図4のT1からT8に至る間、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群は、第一領域D1に配置されたまま、配置変更されない。この理由は、条件決定装置が、第二条件決定処理及び第三条件決定処理において、量産製品の基板JOB1,2に実装される第一部品群の配置を固定した状態を拘束条件としているためである。
従って、量産製品の基板JOB1,2に関して、図4のT6においてノズルのみが初期状態に戻されるように変更されることで、図4のT7,T8における量産製品の基板JOB1,2の生産は、最適状態となる。従って、少量生産製品の基板JOB11〜13の生産対象の変更に要する時間が短くて済む。このように、図4のT6において、作業者は、量産製品の基板JOB1,2の生産にとって最適な状態に短時間で戻すことができる。
以上に説明したように、複数種の基板(例えば、JOB1,2,11)の連続生産を行う際に、複数種の基板(例えば、JOB1,2,11)に実装される複数種の部品群に基づいて各ノズルの配置及び複数種の部品群の配置が決定される。決定された各ノズルは、複数種の基板(例えば、JOB1,2,11)の連続生産中において交換されない。このように、ノズルの配置を固定した状態で複数種の基板(例えば、JOB1,2,11)の連続生産が行われるため、サイクルタイムが短縮される。また、ノズルの配置は、複数の搬送レーン11,12,21,22の各々に搬送される基板に基づいて決定されるものではない。従って、作業者は、どの種類の基板JOBを第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22のうちどちらに搬送したとしても、上記のようにサイクルタイムの短縮が図られる。つまり、複数種の基板JOBの搬送の自由度は高い。
また、第一条件決定処理(図3のS1)において、量産製品の基板JOB1,2における複数種の第一部品群を基準に各ノズルの配置が決定され、第二条件決定処理において(図3のS3)、第一条件決定処理にて決定された各ノズルの配置を固定した状態で複数種の第二部品群の配置が決定される。従って、図4のT2,T3,T8において、量産製品の基板JOB1,2の生産は最適な状態を維持しつつ、少量生産製品の基板JOB11,13の生産が可能となる。
なお、本実施形態においては、基板JOB1,2,11に関する条件決定処理、基板JOB1,2,12に関する条件決定処理、基板JOB1,2,13に関する条件決定処理のそれぞれを生産中に行うこととしたが、これらの処理は生産開始前に予め実施するようにしてもよい。
<第二実施形態>本実施形態の電子部品実装システム2の構成について図5を参照して説明する。ただし、本実施形態のシステム2における各構成のうち上記実施形態のシステム1と同一構成については、同一符号を付す。各部品供給部33,43の部品配置領域Dは、複数種の第四部品群を配置する第四領域D4(図5の左側領域)と、複数種の第五部品群を配置する第五領域D5(図5の右側領域)とに区画される。第四領域D4と第五領域D5とは、ほぼ同程度の領域を有しており、第四領域D4と第五領域D5には、ほぼ同数のテープ型フィーダ又はトレー型フィーダが配置される。
(生産計画及び条件決定方法)次に、図5に示す電子部品実装システム2を用いる基板の生産計画について、図6を参照して説明する。図6に示すように、生産計画は、複数種の基板JOB1〜14を順に生産終了する計画である。ただし、後述する個々の基板群の中においては、各基板を順に生産することに限定しなくてもよい。例えば、基板JOB2の生産は、基板JOB1の生産が終了してから行うことに限定されず、基板JOB1と同時に生産することは許容されるようにしてもよい。
次に、図6を参照して、各実装ヘッド14,24におけるノズルの配置、及び、各部品供給部33,43における複数種の部品群の配置に関する条件決定方法について説明する。図6に示すように、基板JOB1〜3を第四基板群U4(1)とし、基板JOB4〜8を第五基板群U5(1)とし、基板JOB9〜10を第四基板群U4(2)とし、基板JOB11〜14を第五基板群U5(2)とする。第四、第五基板群U4,U5とは、生産順序が連続する複数種の基板JOBをまとめたものを意味する。
ここで、第四基板群U4(1)、U4(2)及び第五基板群U5(1)、U5(2)のそれぞれは、各ノズルN4(1)、N4(2)、N5(1)、N5(2)の配置を固定した状態、すなわちノズルの交換を行うことなく、各基板群に含まれる基板JOBの生産が行われるまとまりである。ここでは、生産順序が連続する複数種の基板JOBについて各ノズルの配置を固定した状態で生産を行うとした場合に、部品供給部13,23に配置可能な部品数であることに加えて、生産終了目標時刻までに生産終了することができる複数種の基板JOBのまとまりとする。
例えば、第四基板群U4(1)には、複数種の基板JOB1〜3が含まれており、複数種の基板JOB1〜3には複数種の第四部品群P4(1)が実装され、複数種の第四部品群P4(1)の実装には複数種の第四ノズルN4(1)が用いられる。つまり、第四基板群U4(1)の連続生産中に各実装ヘッド14,24に取り付けられる第四ノズルN4(1)が固定した状態となるように、各実装ヘッド14,24における第四ノズルN4(1)の配置及び各部品供給部13,23における複数種の第四部品群P4(1)の配置が決定される(第四条件決定工程)。換言すると、複数種の第四ノズルN4(1)が実装ヘッド14,24に取り付けられた状態のままで、複数種の部品群P4(1)の実装が行われる。
そして、複数種の第四部品群P4(1)は、部品供給部33,43の部品配置領域における第四領域D4(図5に示す)に配置される部品群である。複数種の第四部品群P4(1)の種類数は、第四領域D4の最大配置数以下である。第四領域D4は、全ての部品供給部13,23の部品配置領域の半分程度である。
ここで、第四基板群U4(1)の決定は、以下のように行われる。まず基板JOB1〜2に実装される複数種の部品群が、第四領域D4へ搭載可能かどうかを判断する。この場合、各実装ヘッド14,24に取り付けられるノズルがJOB1〜2で共通になるようにノズルの配置を決定する。この結果、部品が配置しきれない、もしくはノズルを共通配置できないと判断した場合には、第四基板群U4(1)は基板JOB1のみとなる。
一方、部品の配置及びノズルの共通配置が可能と判断した場合には、次の基板JOB3に実装される複数種の部品群を加えた部品群が、第四領域D4へ搭載可能か、及び、ノズルを共通配置できるか判断する。配置しきれない、もしくはノズルを共通配置できないと判断した場合には、第四基板群U4(1)は基板JOB1〜2となる。
部品配置及びノズル共通配置が可能と判断した場合には、次の基板JOB4に実装される複数種の部品群を加えた部品群が、第四領域D4へ搭載可能か、及び、ノズルを共通配置できるかを判断する。以下、繰り返して第四基板群U4(1)の基板を決定する。本例においては、基板JOB1〜3が第四基板群U4(1)の基板として決定される。
次に、第五基板群U5(1)、も、第四基板群U4(1)と同様に、決定される。まず基板JOB4〜5に実装される複数種の部品群が、第五領域D5へ搭載可能かどうかを判断する。この場合、各実装ヘッド14,24に取り付けられるノズルがJOB4〜5で共通になるようにノズルの配置を決定する。以下、第四基板群U4(1)の決定処理と同様に処理し、第五基板群U5(1)の基板を決定する。本例では基板JOB4〜8が第五基板群U5(1)の基板とされる。また、複数種の基板JOB1〜14は、第四基板群U4と第五基板群U5とを交互にするように、グループ分けされる。
(基板生産における各動作のタイミング)次に、図6に示す生産計画に基づいて基板生産を行う場合に、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22を搬送される基板JOBの種類、ノズルの交換、並びに、第四部品群及び第五部品群の配置処理について、図7を参照して説明する。
図7のT11においては、作業者が、第四基板群U4(1)に含まれる基板JOB1〜3の第四部品群P4(1)を、第四領域D4に配置する。ここで、第四部品群P4(1)は、生産計画に基づいて予め決定される(第四条件決定工程)。続いて、図7のT12において、基板JOB1〜3が第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22に搬送される。そうすると、基板JOB1〜3が連続生産される(生産工程)。基板JOB1〜3の連続生産中において、第四ノズルN4(1)は変更されることはない。
例えば、T12において、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22の一方と他方において、基板JOB1〜3のうち異なる基板JOBが搬送されるようにしてもよいし、第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22の両方に、同種の基板JOBが搬送されるようにしてもよい。
さらに、T12において、作業者は、第五基板群U5(1)に含まれる基板JOB4〜8の第五部品群P5(1)を、第五領域D5に配置する。つまり、作業者は、第四基板群U4(1)に含まれる基板JOB1〜3の生産中に、次の第五基板群U5(1)の第五部品群P5(1)の配置処理を行うことができる。ここで、第五部品群P5(1)は、生産計画に基づいて予め決定される(第五条件決定工程)。
続いて、第四基板群U4(1)の生産終了後に、図7のT13において、第四ノズルN4(1)から第五ノズルN5(1)へのノズル交換が行われる。第五ノズルN5(1)は、上述したように、生産計画に基づいて予め決定される(第五条件決定工程)。また、ノズル交換の最中は、実装ヘッド14,24は停止している。
さらに、図7のT13において、作業者は、さらに次の生産対象である第四基板群U4(2)に用いられる第四部品群P4(2)を第四領域D4に配置する。ただし、第四領域D4には、前の生産対象である第四基板群U4(1)に用いられた第四部品群P4(1)が配置されている。そこで、作業者は、第四領域D4において、前の第四部品群P4(1)から次の第四部品群P4(2)への配置変更処理を行う。ここで、第四部品群P4(2)は、生産計画に基づいて予め決定される(第四条件決定工程)。
続いて、ノズルの交換が終了すると、次の第四部品群P4(2)の配置変更処理が終了していないとしても、図7のT14において、第五基板群U5(1)に含まれる基板JOB4〜8が第一搬送レーン11,21及び第二搬送レーン12,22に搬送される。そうすると、基板JOB4〜8が連続生産される(生産工程)。基板JOB4〜8の連続生産中において、第五ノズルN5(1)は変更されることはない。
ここで、図7のT14に示すように、第四領域D4において、次の第四基板群U4(2)の第四部品群P4(2)への配置変更処理は、第五基板群U5(1)の生産中にも行われる。つまり、次の部品の配置準備は、他の基板の生産中又はノズル交換中に行われる。従って、全体としてのサイクルタイムの長期化が抑制される。
続いて、第五基板群U5(1)の生産終了後に、図7のT15において、第五ノズルN5(1)から第四ノズルN4(2)へのノズル交換が行われる。第四ノズルN4(2)は、上述したように、生産計画に基づいて予め決定される(第四条件決定工程)。また、ノズル交換の最中は、実装ヘッド14,24は停止している。
さらに、図7のT15において、作業者は、さらに次の生産対象である第五基板群U5(2)に用いられる第五部品群P5(2)を第五領域D5に配置する。ただし、第五領域D5には、前の生産対象である第五基板群U5(1)に用いられた第五部品群P5(1)が配置されている。そこで、作業者は、第五領域D5において、前の第五部品群P5(1)から次の第五部品群P5(2)への配置変更処理を行う。ここで、第五部品群P5(2)は、生産計画に基づいて予め決定される(第五条件決定工程)。
続いて、図7のT16にて、第四基板群U4(2)に含まれる基板JOB9〜10が生産され、T17において、第五ノズルN5(2)へのノズル交換が行われ、T18において、第五基板群U5(2)に含まれる基板JOB11〜14が生産される。
以上より、第四基板群U4(1)、U4(2)、第五基板群U5(1)、U5(2)の連続生産中には、各第四ノズルN4(1)、N4(2)、各第五ノズルN5(1)、N5(2)の交換が行われず、サイクルタイムの短縮が可能となる。つまり、複数種の基板JOB1〜14を生産計画の順序に従って群(第四基板群U4(1)、U4(2)又は第五基板群U5(1)、U5(2))としてまとめることで、ノズル交換回数を少なくすることができる。
また、部品供給部13,23の部品配置領域が第四領域D4と第五領域D5とに区画されることで、実装ヘッド14,24が第四領域D4の第四部品群P4(1)、P4(2)を使用する際に、作業者は自由に第五領域D5での第五部品群P5(1)、P5(2)の配置処理ができる。そして、作業者が第五領域D5での第五部品群P5(1)、P5(2)の配置処理をしている最中において、実装ヘッド14,24は第四領域D4の第四部品群P4(1)、P4(2)の実装を行っているため、作業者が第五領域D5での第五部品群P5(1)、P5(2)の配置処理を行ったとしてもサイクルタイムの増加にならない。