(第1の実施の形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1を参照して電子部品実装システムの構成について説明する。電子部品実装システム1は電子部品が実装された実装基板を製造する機能を有するものであり、上流側(図1において左側)から供給される電子部品接合用のペーストが印刷された基板を対象として、基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う部品実装用装置である電子部品搭載装置M1〜M4Aを直線状に基板搬送方向(X方向)に連結して構成されている。これらの各装置は、LANシステム2を介してホストコンピュータ3に接続され、ホストコンピュータ3は電子部品実装システム1の各装置による部品実装用作業を統括して制御する。
電子部品搭載装置M1〜M4Aは、上流側装置から受け渡された基板4(図2参照)を基板搬送方向にそれぞれ個別に搬送し、これらの基板4を位置決めして保持する基板保持部(図2、図3に示す基板保持部12a参照)を有する複数(ここでは2条)の基板搬送機構を備えている。また電子部品搭載装置M1〜M4Aには、それぞれの基板搬送機構に対応した部品搭載機構としての作業動作機構が複数(ここでは2つ)設けられている。したがって電子部品搭載装置M1〜M4Aにおいてそれぞれの基板搬送機構によって搬送され基板保持部に位置決め保持された基板4に対して、対応する作業動作機構によって同時並行的に部品実装用作業を実行することが可能となっている。また1つの作業動作機構によって、複数の基板搬送機構の基板保持部に位置決め保持された基板4を順次作業対象とすることもできる。
電子部品搭載装置M1〜M4Aにおける基板搬送機構を連結して形成される基板搬送レーンは、対応する作業動作機構と組み合わされて、基板4を搬送しながらこの基板4に対して実装のための作業を行う実装レーンを構成する。本実施の形態に示す電子部品実装システム1においては、各装置は2つの基板搬送機構を備えていることから、2つの個別の第1実装レーンL1(前側実装レーン)、第2実装レーンL2(後側実装レーン)が形成されている。すなわち電子部品実装システム1を構成する電子部品搭載装置M1〜M4Aは、上流側装置から受け渡された基板4を基板搬送方向に搬送し、基板4を位置決めして保持する基板保持部を有する複数の基板搬送機構と、これらの基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられ基板保持部に保持された基板4を対象として所定の作業動作を実行する複数の作業動作機構とを備えた構成となっている。
次に、図2を参照して電子部品搭載装置M1〜M3の構成を説明する。なお電子部品搭載装置M1〜M3は同一構造である。図2(a)において、基台11の上面の中央には、それぞれ第1実装レーンL1,第2実装レーンL2を構成する第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12BがX方向に配設されている。この第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bは、下流側の装置から搬出された基板4を受け取って搬送する機能を有する。また第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bは、それぞれ基板保持部12aを有しており、搬送された基板4は基板保持部12aによって電子部品搭載装置M1〜M3における作業位置に位置決め保持される。
基台11の両側方には、実装対象の電子部品を供給する第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bが設けられており、第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bには、複数のテープフィーダ19が装着された台車17が配置されている。台車17には実装対象の電子部品を保持したキャリアテープTを巻回収納したテープ供給リール18が各テープフィーダ19に対応して装着されている。テープフィーダ19は、テープ供給リール18から引き出されたキャリアテープTをピッチ送りすることにより、以下に説明する部品搭載機構による取り出し位置に電子部品を供給する。
基台11の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル13がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル13には第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bが装着されている。図2(b)に示すように、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14BはY軸移動テーブル13の側面に配設されたガイドレール13aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル13に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して作業ヘッドとしての第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bが装着されている。第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bは、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bに内蔵されたリニアモータ機構によってX方向に駆動される。Y軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bは、第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bを移動させるためのヘッド移動機構となっている。
第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bは、下部に複数の吸着ノズル15aを着脱自在に装着した構成となっており、ヘッド移動機構によって移動して吸着ノズル15aによって電子部品をテープフィーダ19から取り出して基板4に移送搭載する。第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bおよび前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である部品搭載作業を実行する複数の作業動作機構としての部品搭載機構(第1の部品搭載機構、第2の部品搭載機構)を構成する。
図2(b)において、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bのそれぞれとテープフィーダ19との間には、第1の部品認識カメラ17Aおよび第2の部品認識カメラ17Bが配置されている。第1の部品認識カメラ17A、第2の部品認識カメラ17Bは、第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bの移動経路に位置して、第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bによって保持された電子部品を下方から撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bによって保持された状態の電子部品の位置ずれが検出される。
次に、図3を参照して電子部品搭載装置M4Aの構成および機能を説明する。電子部品搭載装置M4Aは、図2に示す電子部品搭載装置M1〜M3において、第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bに、テープフィーダ19が装着された台車17に替えて、大型の電子部品(以下、「トレイ部品」と称する)が収納されたトレイ22を供給する機能を有する第1のトレイフィーダ20A、第2のトレイフィーダ20Bそれぞれをセットしたものである。第1のトレイフィーダ20A、第2のトレイフィーダ20Bは、図3(b)に示すように、パレット(図示省略)に保持された複数のトレイ22を収納するトレイ収納部21を備えており、トレイ収納部21からトレイ保持部23によってトレイ22を引き出して、それぞれ第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bによるピックアップ位置まで移動させる機能を有している。
部品搭載動作においては、第1の搭載ヘッド15A、第2の搭載ヘッド15Bは吸着ノズル15aによってトレイ22からトレイ部品を取り出し、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aの位置決め保持された基板4に移送搭載する。すなわち電子部品搭載装置M4Aにおいては、第1の部品搭載機構、第2の部品搭載機構に対応する第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bにそれぞれ第1のトレイフィーダ20A、第2のトレイフィーダ20Bを配置した構成となっている。第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16B以外の構成および機能については、電子部品搭載装置M1〜M3と同様である。電子部品搭載装置M4Aにて実装作業を終えた部品実装済みの基板4は、下流側に接続されたリフロー装置(不図示)に搬入され、ここで基板4を加熱することにより、電子部品及びトレイ部品を基板4の回路電極に半田接合する。
上記電子部品実装システム1の構成において、電子部品搭載装置M1〜M4Aにおける第1の基板搬送機構12Aを連結して形成される搬送レーンおよびこの搬送レーンに対応して設けられた各作業動作機構は、第1実装レーンL1を形成する。同様に、電子部品搭載装置M1〜M4Aにおける第2の基板搬送機構12Bを連結して形成される搬送レーンおよびこの搬送レーンに対応して設けられた各作業動作機構は、第2実装レーンL2を形成する。
本実施の形態における部品実装用装置である上述の電子部品搭載装置M1〜M4Aの構成において、各装置は何れも上流側装置から受け渡された基板4を基板搬送方向に搬送し、基板4を位置決めして保持する基板保持部12aを有する複数の基板搬送機構(第1の基板搬送機構12Aおよび第2の基板搬送機構12B)と、これら基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられ、基板保持部12aに保持された基板4を対象として所定の作業動作を実行する複数の作業動作機構(第1の作業動作機構、第2の作業動作機構)とを備えた構成となっている。
上述した構成において、2つの基板搬送機構のそれぞれには、1つの作業動作機構が対応して設けられている。これらの作業動作機構の構成において、第1の搭載ヘッド15Aおよび第2の搭載ヘッド15Bは1対の作業動作機構について共通に設けられたY軸移動テーブル13によって2つの基板搬送機構の何れの上方にも移動可能となっていることから、それぞれの作業動作機構が作業対象とすることが可能な基板4は,必ずしも当該作業動作機構に対応する基板搬送機構に位置決め保持された基板4には限定されない。
このため、本実施の形態に示す電子部品実装システム1においては、各電子部品搭載装置M1〜M4Aにおいて、制御部41(図4参照)によって複数の基板搬送機構および複数の作業動作機構を制御することにより、以下に説明する2つの作業モードを選択して実行させるようにしている。すなわち、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部12aに保持された基板4のみを対象として、実装レーン毎に独立して作業動作を実行させる第1の作業モード(いわゆる独立作業モード)と、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部12aに保持された複数の基板4の何れをも対象として、各実装レーンを交互に作業対象として作業動作を実行可能な第2の作業モード(いわゆる交互作業モード)とを、選択的に実行させるようにしている。これにより、生産対象とする基板種の特性や生産ロット数に対応したフレキシブルな生産形態を選択できるようになっている。
次に、図4を参照して電子部品実装システム1の制御系の構成を説明する。図4において、ホストコンピュータ3はモード指令部40、制御部41、通信部42、記憶部43、操作・入力部44、表示部45を備えている。モード指令部40は、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置である電子部品搭載装置M1〜M4Aのそれぞれにおいて、選択的に実行すべき作業モードを各装置に対して指令する。すなわち、モード指令部40からLANシステム2を介してモード指令が送られることにより、電子部品搭載装置M1〜M4Aはそれぞれ指定された作業モードにしたがって、作業動作を実行する。制御部41は、電子部品実装システム1を構成する各装置よって実行される作業動作を統括して制御する。
通信部42は、電子部品実装システム1を構成する電子部品搭載装置M1〜M4Aとの間で信号の授受を、LANシステム2を介して行う。記憶部43は電子部品実装システム1の各装置において対象となる各基板品種について、作業動作を実行するために必要な作業データおよび作業プログラム、すなわち各基板を対象とした電子部品実装を実行するためのデータやプログラムのほか、前述の作業モードに関する情報を記憶する。すなわち、記憶部43は作業モード記憶部46を含んでおり、作業モード記憶部46には前述の第1の作業モード、第2の作業モードを実行するための第1の作業モードデータ46a、第2の作業モードデータ46bが記憶されている。
操作・入力部44は、タッチパネルなどの入力装置であり、電子部品実装システム1を管理するライン管理者が各種の操作指示を入力する。この操作指示には、前述の作業モードの指示が含まれる。すなわち、ライン管理者が操作・入力部44から作業モード指示を入力することにより、モード指令部40による作業モードの指令が行われる。表示部45は液晶パネルなどの表示パネルであり、操作指示入力時の案内画面や、基板品種切り替え時に必要となる段取り替え作業の指示などの表示を行う。
次に、電子部品搭載装置M1〜M4Aの制御系について説明する。電子部品搭載装置M1〜M4Aは通信部50、作業制御部51、作業データ記憶部52を備えている。通信部50はLANシステム2に接続されており、電子部品搭載装置M1〜M4Aとホストコンピュータ3との間での信号やデータの授受が行われる。これにより、ホストコンピュータ3の記憶部43に記憶された作業データのうち、当該装置にて実行対象となる作業動作を実行するために必要な作業データおよび作業プログラムが作業データ記憶部52に書き込まれる。
作業制御部51は、LANシステム2を介してホストコンピュータ3のモード指令部40から指令されたモード指令信号に基づき、作業データ記憶部52に記憶された作業データを参照して、第1の基板搬送機構12Aおよび第2の基板搬送機構12B、第1の作業動作機構53、第2の作業動作機構54を制御する。ここで第1の作業動作機構53、第2の作業動作機構54は、それぞれ第1実装レーンL1,第2実装レーンL2に付随する作業動作機構である。これにより、電子部品搭載装置M1〜M4Aの各装置において、ホストコンピュータ3より指令された第1の作業モードデータ46a、第2の作業モードデータ46bに基づく作業動作が実行される。
電子部品実装システム1は上記のように構成されており、当該電子部品実装システム1による電子部品実装方法について説明する。前述のように、本実施の形態に示す電子部品実装システム1は、各実装レーンにてトレイフィーダに収納されたトレイ部品を実装対象に含む基板の生産性を高めた形態を実現することを目的として構成されているため、実際の適用例においては種々のバリエーションが生産対象に応じて適宜採用される。以下、2種類の実施例について図5、図6を参照して説明する。
まず図5に示す実施例1は、4基の電子部品搭載装置M1〜M4Aによって電子部品実装システム1を構成した例を示している。ここで、電子部品搭載装置M1〜M3は図2に示すように、第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bの何れにもテープフィーダ19が装着されたタイプの電子部品搭載装置であり、電子部品搭載装置M4Aは図3に示すように、第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bの何れにもトレイフィーダ20(20A,20B)が装着されたタイプの電子部品搭載装置である。すなわち、この実施例1では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも1つは、第1の作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって取り出される電子部品を収納する第1のトレイフィーダと、第2の作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって取り出される電子部品を収納する第2のトレイフィーダとを備えた電子部品搭載装置となっている。
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部40が、全ての電子部品搭載装置M1〜M4Aに対して選択的に実行すべき作業モードとして第1の作業モードを指令する。そして部品搭載作業が開始されると、図5(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M1によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。
すなわち、まず電子部品搭載装置M1の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M1に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印a)。次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印b)。そして電子部品搭載装置M1による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M2、M3へ渡され、電子部品搭載装置M2、M3においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
図5(b)は、電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が電子部品搭載装置M4Aに搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M3に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M3の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印c)。そして電子部品搭載装置M4Aの第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって第1のトレイフィーダ20Aから取り出したトレイ部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印d)。
次いで図5(c)に示すように、電子部品搭載装置M4Aにおける部品搭載作業が終了した基板4(1)は下流側へ搬出される(矢印e)。また電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M4Aに搬入される。そして電子部品搭載装置M4Aの第2実装レーンL2において、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって第2のトレイフィーダ20Bから取り出したトレイ部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印f)。
上述した実施例1によれば、トレイフィーダに収納されたトレイ部品を実装対象に含む基板を各実装レーンにて制約なく生産対象とすることが可能となる。また、従来は各実装レーンに対応してトレイフィーダを複数備えた部品実装装置が一般に用いられていなかったため(従来はトレイフィーダを一側のみに配置した電子部品搭載装置が一般に用いられていた)、実装レーンを2つ備えた電子部品搭載装置を用いてトレイフィーダに収納されたトレイ部品を実装対象に含む基板を各実装レーンにて同時に生産したい場合、トレイフィーダを一側のみに配置した電子部品搭載装置を第2の作業モードにして稼動させるか、当該電部品搭載装置を2基連結しなければならなかった。しかしながら上記構成の本願発明によれば、電子部品搭載装置の両側にトレイフィーダを配置したので、従来のように第2の作業モードにして稼動させる必要がなく(装置の複雑化を抑制)、さらにトレイフィーダを一側のみに配置した電子部品搭載装置を2基連結する必要もない。したがって、設備費用を低廉にすることができるとともに装置の占有面積を低減することが可能になっている。
次に図6に示す実施例2では、ホストコンピュータ3のモード指令部40が、電子部品搭載装置M4Aに対して選択的に実行すべき作業モードとして第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M1〜M3に対しては実施例1と同様に第1の作業モードが指令される。この実施例2では、電子部品搭載装置M4Aは第1の基板搬送機構12Aの基板保持部12aに保持された基板4(1)、さらに第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aに保持された基板4(2)を対象として、第2の作業モードによる部品搭載作業を行うように制御指令がなされる。すなわちこの実施例2では、モード指令部40は少なくとも1つの電子部品搭載装置に対して選択的に実行すべき作業モードとして第2の作業モードを指令し、第1のトレイフィーダ20A、第2のトレイフィーダ20Bはそれぞれ第1の基板搬送機構12Aおよび第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aに保持された2つの基板4(1)、4(2)の何れをも対象とする部品実装作業に用いられる。
部品搭載作業が開始されると、図6(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M1によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは図5に示す例と同様に、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。すなわち、まず電子部品搭載装置M1の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M1に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印g)。
次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印h)。そして電子部品搭載装置M1による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M2、M3へ渡され、電子部品搭載装置M2、M3においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
図6(b)は、電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が電子部品搭載装置M4Aに搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M3に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M3の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印i)。そして電子部品搭載装置M4Aの第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって第1のトレイフィーダ20Aから取り出したトレイ部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印j)。この部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって第2のトレイフィーダ20Bから取り出したトレイ部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印k)。
次いで図6(c)に示すように、電子部品搭載装置M4Aにおける部品搭載作業が終了した基板4(1)は下流側へ搬送されて下流側へ搬出される(矢印l)。また電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M4Aに搬入される。そして電子部品搭載装置M4Aの第2実装レーンL2において、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって第2のトレイフィーダ20Bから取り出したトレイ部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印m)。この部品搭載作業と交互に、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって第1のトレイフィーダ20Aから取り出したトレイ部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印n)。そして電子部品搭載装置M4Aによる基板4(2)を対象とする部品搭載動作が完了すると、基板4(2)は基板(1)と同様に下流側に搬出される。
上述した実施例2によれば、第1のトレイフィーダ20A、第2のトレイフィーダ20Bはそれぞれ第1の基板搬送機構12Aおよび第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aに保持された2つの基板4(1)、4(2)の何れをも対象とする部品実装作業に用いられるので、基板4(1)、4(2)に搭載されるトレイ部品の種類数を増やすことができ、トレイフィーダを配置した電子部品搭載装置を増設することなく広範囲の基板品種に対応することが可能となっている。
(第2の実施の形態)
次に図7、図8、図9を用いて、本発明の第2の実施の形態における部品実装システムについて説明する。本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態における電子部品搭載装置M4Aに換えて後述する電子部品搭載装置M4Bを用いる。図7において、電子部品搭載装置M4Bは第1の部品供給部16Aに第1のトレイフィーダ20A1とパーツフィーダとしてのテープフィーダ19Aを併設させ、同様に第2の部品供給部16Bにパーツフィーダとしてのテープフィーダ19Bと第2のトレイフィーダ20B1を併設させた構造となっている。そして第1のトレイフィーダ20A1、第2のトレイフィーダ20B1は、電子部品搭載装置M4Bを平面視して当該電子部品搭載装置M4Bの中心Cに関して点対称に配置されている。なお、その他の構成については電子部品搭載装置M4Aと同様であるため説明を省略する。
次に、電子部品搭載装置M4Bを含んだ電子部品実装システムによる電子部品実装方法について説明する。第1の実施の形態と同様、第2の実施の形態に示す電子部品実装システムによる電子部品実装方法においても種々のバリエーションが生産対象に応じて適宜採用される。以下、2種類の実施例について図8、図9を参照して説明する。
まず図8に示す実施例3は、4基の電子部品搭載装置M1〜M4Bによって電子部品実装システム1を構成した例を示している。ここで電子部品搭載装置M1〜M3は、図2に示すように第1の部品供給部16A、第2の部品供給部16Bの何れにもテープフィーダ19が装着されたタイプのものである。また電子部品搭載装置M4Bは、図7に示すように第1の部品供給部16Aにて第1のトレイフィーダ20A1とテープフィーダ19Aを併設し、同様に第2の部品供給部16Bにてテープフィーダ19Bと第2のトレイフィーダ20B1を併設し、且つ電子部品搭載装置M4Bを平面視して当該電子部品搭載装置M4Bの中心Cに関して点対称に配置したタイプのものである。すなわち、本発明の第2の実施の形態において第1のトレイフィーダ20A1、第2のトレイフィーダ20B1はそれぞれ他種のパーツフィーダと併設され、少なくとも1つの電子部品搭載装置を平面視して当該電子部品搭載装置の中心に関して点対称に配置される。
上記構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部40が、全ての電子部品搭載装置M1〜M4Bに対して選択的に実行すべき作業モードとして第1の作業モードを指令する。そして部品搭載作業が開始されると、図8(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M1によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは実施例1,2と同様、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。
すなわち、まず電子部品搭載装置M2の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M1に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印o)。次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印p)。そして電子部品搭載装置M1による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M2、M3へ渡され、電子部品搭載装置M2、M3においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
図8(b)は、電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が、電子部品搭載装置M4Bに搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M3に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M3の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印q)。そして電子部品搭載装置M4Bの第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって第1のトレイフィーダ20A1から取り出したトレイ部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行され(矢印r)、次いで第1の搭載ヘッド15Aによってテープフィーダ19Aから取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印s)。
次いで図8(c)に示すように、電子部品搭載装置M4Bにおける部品搭載作業が完了した基板4(1)は下流側へ搬出される(矢印t)。また電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M4Bに搬入される。そして電子部品搭載装置M4Bの第2実装レーンL2において、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによってテープフィーダ19Bから取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行され(矢印u)、次いで第2の搭載ヘッド15Bによって第2のトレイフィーダ20B1から取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印v)。なお、各実装レーンにおいてトレイフィーダ20A1,20B1に収納されたトレイ部品の搭載作業とテープフィーダ19A,19Bに収納された電子部部品の搭載作業の順序は逆でもよい。
上述した実施例3によれば、第1のトレイフィーダ20A1、第2のトレイフィーダ20B1はそれぞれ他種のパーツフィーダと併設され、電子部品搭載装置M4Bを平面視して当該電子部品搭載装置の中心Cに関して点対称に配置されるので、同一図面によって電子部品搭載装置M4Bの前側部、後側部の生産が可能となり、その結果、電子部品搭載装置M4Bの製造コストを低減させることができる。
次に図9に示す実施例4では、ホストコンピュータ3のモード指令部40が、電子部品搭載装置M4Bに対して選択的に実行すべき作業モードとして第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M1〜M3に対しては第1の作業モードを指令する。この実施例4では、電子部品搭載装置M4Bは第1の基板搬送機構12Aの基板保持部12aに保持された基板4(1)、さらに第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aに保持された基板4(2)を対象として、第2の作業モードによる部品搭載作業を行うように制御指令がなされる。すなわちこの実施例4では、モード指令部40は少なくとも1つの電子部品搭載装置に対して選択的に実行すべき作業モードとして第2の作業モードを指令し、第1のトレイフィーダ20A1、第2のトレイフィーダ20B1、及びテープフィーダ19A、テープフィーダ19Bはそれぞれ第1の基板搬送機構12Aおよび第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aに保持された2つの基板4(1)、4(2)の何れをも対象とする部品実装作業に用いられる。
図9(a)に示すように、部品搭載作業が開始されると最上流の電子部品搭載装置M1によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは図5、図6、図8に示す例と同様に、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。すなわち、まず電子部品搭載装置M1の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M1に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印w)。
次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印x)。そして電子部品搭載装置M1による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M2、M3へ渡され、電子部品搭載装置M2、M3においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
図9(b)は、電子部品搭載装置M3による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が電子部品搭載装置M4Bに搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M3に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M3の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印y)。そして電子部品搭載装置M4Bの第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される。具体的には、第1の搭載ヘッド15Aによって第1のトレイフィーダ20A1から取り出したトレイ部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行され(矢印z)、次いで第1の搭載ヘッド15Aによってテープフィーダ19Aから取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印α)。この部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによる部品搭載作業が実行される。具体的には、第2の搭載ヘッド15Bによってテープフィーダ19Bから取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行され(矢印β)、次いで第2の搭載ヘッド15Bによって第2のトレイフィーダ20B1から取り出したトレイ部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印γ)。
次いで図9(c)に示すように、電子部品搭載装置M4Bにおける部品搭載作業が終了した基板4(1)は下流側へ搬送される(矢印δ)。また電子部品搭載装置M3における部品搭載作業が完了した後の基板(2)は、電子部品搭載装置M4Bに搬入される。そして電子部品搭載装置M4Aの第2実装レーンL2において、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド15Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される。具体的には、第2の搭載ヘッド15Bによってテープフィーダ19Bから取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行され(矢印ε)、次いで第2の搭載ヘッド15Bによって第2のトレイフィーダ20B1から取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印θ)。この部品搭載作業と交互に、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド15Aによる部品搭載作業が実行される。具体的には、第1の搭載ヘッド15Aによって第1のトレイフィーダ20A1から取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行され(矢印σ)、次いで第1の搭載ヘッド15Aによってテープフィーダ19Aから取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印ω)。なお、各部品供給部16にてトレイフィーダ20に収納されたトレイ部品とテープフィーダ19に収納された電子部品の搭載作業の順序は逆でもよい。
上述した実施例4によれば、実施例3について述べた効果とともに、基板に搭載されるトレイフィーダに収納されたトレイ部品およびテープフィーダに収納された電子部品の種類数を増やすことができ、広範囲の基板品種に対応することが可能となっている。
上記説明したように本実施の形態に示す電子部品実装システムは、複数の基板搬送機構を備えた部品実装用装置を複数連結して構成された電子部品実装システムにおいて、この部品実装用装置のうち少なくとも1つは、第1の作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって取り出される電子部品を収納する第1のトレイフィーダと、第2の作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって取り出される電子部品を収納する第2のトレイフィーダとを備えたので、トレイ部品を実装対象に含む基板を何れの基板搬送機構においても制約なく生産することが可能となり、トレイ部品を実装対象に含む基板の生産効率にすぐれた電子部品実装システムを実現することができる。
また、第1のトレイフィーダ、第2のトレイフィーダはそれぞれ第1の基板搬送機構および第2の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板の何れをも対象とする部品実装作業に用いられる構成とすることで、基板に搭載されるトレイ部品の種類数を増やすことができ、トレイフィーダを配置した電子部品搭載装置を増設することなく広範囲の基板品種に対応することが可能となっている。
さらに、第1のトレイフィーダ、第2のトレイフィーダをそれぞれ他種のパーツフィーダと併設し、電子部品搭載装置を平面視して当該電子部品搭載装置の中心に関して点対称に配置することにより、同一図面によって電子部品搭載装置の前側部、後側部の生産が可能となり、その結果、電子部品搭載装置の製造コストを低減させることができる。