JP6603296B2 - シート状細胞培養物の製造方法 - Google Patents
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Description
これらの原因と重症度に応じて弁形成術や置換術、冠動脈バイパス術、左室形成術、機械的補助循環などが適用される。
重症心筋梗塞等においては、心筋細胞が機能不全に陥り、さらに線維芽細胞の増殖、間質の線維化が進行し心不全を呈するようになる。心不全の進行に伴い、心筋細胞は傷害されてアポトーシスに陥るが、心筋細胞は殆ど細胞分裂をおこさないため、心筋細胞数は減少し心機能の低下もさらに進む。
このような重症心不全患者に対する心機能回復には細胞移植法が有用とされ、既に自己骨格筋芽細胞による臨床応用が開始されている。
[1]シート状細胞培養物の製造方法であって、細胞非接着性領域と細胞接着性領域とがパターン形状を形成する、略平面状の表面を有する培養基材上に、細胞を播種し、インキュベートすることを含む、前記方法。
[2]さらに、培養基材上で形成されたシート状細胞培養物を該基材から剥離することを含む、[1]の方法。
[3]1つの細胞接着領域と、該細胞接着領域に隣接する他の細胞接着領域との間の少なくとも一部における間隔が、播種される細胞の長径よりも大きい、[1]または[2]の方法。
[4]細胞が、実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で播種される、[1]〜[3]の方法。
[5]細胞が、骨格筋芽細胞である、[1]〜[4]の方法。
[6]パターン形状が、細胞非接着領域または細胞接着領域のいずれか一方を島とし、他方を海とする海島構造である、[1]〜[5]の方法。
[7]細胞接着性領域が島であり、細胞非接着性領域が海である、[6]の方法。
[8]細胞接着性領域の割合が、表面全体の4%〜65%である、[1]〜[7]の方法。
本発明において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいい、典型的には1つの細胞層からなるものであるが、2以上の細胞層から構成されるものも含む。細胞同士は、直接および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも機械的に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも機械的に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。
接着細胞は、接する表面の疎水性または親水性がある程度以上高いと接着しにくくなることが知られている。したがって、本発明の一態様において、細胞非接着性表面は、ある程度以上の疎水性または親水性を有している。表面の疎水性または親水性の程度は、例えば、水接触角で表すことができるが、本発明において、細胞非接着性表面の水接触角は、好ましくは70°以上または50°以下、特に75°以上または40°以下である。
「細胞接着性成分」とは、細胞が接着可能なあらゆる成分を意味する。逆に「細胞非接着性成分」とは、細胞が接着できないか、またはしづらいあらゆる成分を意味する。細胞接着性成分としては、これに限定するものではないが、例えばフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラメニン、コラーゲン、プロテオグリカンなどの血清・細胞外マトリクス成分、RGD、CS−1などの細胞接着ペプチド、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンなどのポリマー化合物などが挙げられる。細胞非接着性成分としては、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル(ポリHEMA)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリスコリン(MPC)などのハイドロゲルなどが挙げられる。
細胞非接着性表面を有する浮遊系細胞用のペトリディッシュ(BD製、code:35-1008)の非接着性表面に、4mmの間隔で20%FBS含有MCDB131培地を約1mmの径となるようにプロットし、40時間インキュベートして接着性表面を形成した。全培養表面に対する接着性表面の割合は約10%であった。20%(v/v)FBS含有のMCDB131培地で懸濁した細胞を9.3×106個/枚となるようにディッシュに播種した。細胞を37℃、5%CO2で6時間培養後、ピペッティングによりシート状になった細胞培養物をプレートから剥離させた。
図1に示す通り、6時間培養したものは、ピペッティングにより容易に剥離可能であり、そのためよれ、しわの少ない上質のシート状細胞培養物が得られた。また同様の条件で15時間培養した場合は、シート状細胞培養物を形成後ピペッティングすることなく自然に剥離したが、よれやしわができてしまっていた。
細胞培養用マルチウェルプレート(BD製、code: 353046)の接着性表面に、4mmの間隔で非接着性ポリマー(ポリHEMA)を約3mmの径となるようにプロットし、室温で1時間ほど乾燥させた。全培養表面に対する接着性表面の割合は60%以下であった。20%(v/v)FBS含有のMCDB131培地で懸濁した細胞を、9.3×106個/枚となるようにディッシュに播種した。細胞を37℃、5%CO2で6時間培養後、ピペッティングによりシート状になった細胞培養物をプレートから剥離させた。
図2に示す通り、6時間培養したものは、ピペッティングにより容易に剥離可能であり、そのためよれ、しわの少ない上質のシート状細胞培養物が得られた。
Claims (6)
- パターニングされていないシート状細胞培養物の製造方法であって、細胞非接着性領域と細胞接着性領域とがパターン形状を形成する、略平面状の表面を有し、ここで1つの細胞接着領域と、該細胞接着領域に隣接する他の細胞接着領域との間の少なくとも一部における間隔が、播種される細胞の長径よりも大きいことを特徴とする培養基材上に、細胞を実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で播種し、インキュベートすることを含み、ここで前記細胞の播種は、少なくとも1つの細胞非接着領域内に、少なくとも1つの細胞が存在するように行われることを特徴とする、前記方法。
- さらに、培養基材上で形成されたシート状細胞培養物を該基材から剥離することを含む、請求項1に記載の方法。
- 細胞が、骨格筋芽細胞である、請求項1または2に記載の方法。
- パターン形状が、細胞非接着領域または細胞接着領域のいずれか一方を島とし、他方を海とする海島構造である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞接着性領域が島であり、細胞非接着性領域が海である、請求項4に記載の方法。
- 細胞接着性領域の割合が、表面全体の4%〜65%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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