JP6600506B2 - 基材の所望の部位への金属めっき方法およびこの方法により得られる金属めっき製品 - Google Patents

基材の所望の部位への金属めっき方法およびこの方法により得られる金属めっき製品 Download PDF

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Description

本発明は、含触媒金属シリコンオリゴマーを利用して基材の所望の部位へ金属めっきする方法およびこの方法により得られる金属めっき製品である。
めっきを利用した基材上へのプリント基板の回路形成は、多数の工程を経る必要がある。例えば、基材が樹脂の場合、次のような工程で行われている(非特許文献1)。
(A1)基材上にエッチング等を行い、表面を荒らす
(A2)基材にコンディショナーで親水性を付与する
(A3)基材上への触媒を付与
(A4)基材に化学めっきを行う
(A5)無電解銅めっき上にレジストパターンを形成した後、電解銅めっきを行う
(A6)不要なレジストと無電解銅めっきの剥離を行い、回路を形成する
また、めっきを利用した基材上への装飾用めっきも、上記基材上への半導体の回路形成と同様に、多数の工程を経る必要がある。
このように種々の基材上への所望の部位へ金属めっきするには基材にあわせた多数の工程を経なければならなかった。
斉藤囲ら、「新めっき技術」関東学院大学出版会、P281〜292
従って、本発明は、基材の種類によらず少ない工程で基材上への所望の部位へ金属めっきできる新しい方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の部分構造を有する含触媒金属シリコンオリゴマーを利用することにより、基材の種類によらず少ない工程で所望の部位へ金属めっきできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の工程(a)〜(d)
(a)テトラアルコキシシランと、
少なくともn,n+1位またはn,n+2位(ただしnは1以上の整数)にヒドロキシ基が結合した多価アルコールとを、
触媒金属の存在下、
縮合反応させることにより得られる含触媒金属シリコンオリゴマーを含有するコーティング剤を、基材にコーティングする工程
(b)基材のめっきを所望しない部位に、前記含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合を切断するのに十分なエネルギーを照射して含触媒金属シリコンオリゴマーを分解する工程
(c)基材の非所望の部位に残った触媒金属を、触媒金属を溶解する溶液で除去する工程
(d)金属めっきを行う工程
を含むことを特徴とする基材の所望の部位への金属めっき方法である。
また、本発明は上記方法により得られる金属めっき製品である。
本発明によれば、特定の部分構造を有する含触媒金属シリコンオリゴマーを利用することにより、基材の種類によらず基材の所望の部位への金属めっきをする工程を少なくできる。
そのため、本発明を半導体の回路製造に利用すれば、従来よりも工程が少なく回路形成をすることができる。
実施例1で無電解ニッケルめっきを行った後のガラス基板の外観図である。 試験例1の(1)において測定された、プラズマ処理前後のガラス基板のIRスペクトルである。 試験例1の(2)において測定された、C1sのXPSスペクトルである(図中、プラズマ○はプラズマ処理あり、プラズマ×はプラズマ非処理)。 試験例1の(2)において測定された、Pd3dのXPSスペクトルである(図中、プラズマ○はプラズマ処理あり、プラズマ×はプラズマ非処理)。 試験例1の(3)において測定された、Pd3dのXPSスペクトルである(図中、プラズマ○HCl○は、プラズマ処理あり、塩酸浸漬あり、プラズマ×HCl×はプラズマ非処理、塩酸浸漬なし)。
本発明の基材の所望の部位への金属めっき方法(以下、「本発明方法」という)は、工程(a)〜(d)を含んでいればよく、好ましくは(a)〜(d)をこの順番で行う。
本発明方法のうち、工程(a)は、
テトラアルコキシシランと、
少なくともn,n+1位またはn,n+2位(ただしnは1以上の整数)にヒドロキシ基が結合した多価アルコールとを、
触媒金属の存在下、
縮合反応させることにより得られる含触媒金属シリコンオリゴマーを含有するコーティング剤を、基材にコーティングする工程である。
上記テトラアルコキシシランは、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられ、これらの中でもテトラエトキシシランが好ましい。これらテトラアルコキシシランは1種または2種以上を組み合わせてもよい。
また、上記少なくともn,n+1位またはn,n+2位(ただしnは1以上の整数)にヒドロキシ基が結合した多価アルコールは、特に限定されず、例えば、nが1〜3の整数である2価〜4価のアルコール、好ましくはnが1〜2の整数である2〜3価のアルコール等が挙げられる。これら多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,3−ペンチレングリコール、2,3−ペンチレングリコール、2,4−ペンチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール等、エリスリトール等の4価アルコールが挙げられる。これらの多価アルコールの中でも2価アルコールが好ましく、エチレングリコールおよび/または1,3−プロピレングリコールがより好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。これら多価アルコールは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、上記触媒金属は、テトラアルコキシシランと多価アルコールの縮合反応について触媒作用を有する金属ではなく、後記するめっきの析出反応について自己触媒作用を有する金属である。そのため、WO2014/207885やWO2014/207886でいうところの金属触媒とは異なるものである。このような触媒金属としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、銀、金、白金等が挙げられる。これらの触媒金属の中でも、鉄、ニッケル、コバルト、銅、パラジウムが好ましく、鉄、ニッケル、銅、パラジウムがより好ましく、パラジウムが特に好ましい。なお、上記触媒金属は縮合反応の際に、上記多価アルコールに溶解させた状態で存在させることが好ましく、その場合には、例えば、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化銅、塩化パラジウム、塩化金(III)、塩化銀(I)、塩化白金(IV)等の触媒金属を含む金属塩を利用することが好ましい。なお、多価アルコールに触媒金属が溶解し難い場合には、予め塩酸等の無機酸に溶解させておいてもよい。これら触媒金属は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その場合には、パラジウムを少なくとも含むことが好ましい。
上記したテトラアルコキシシランと、多価アルコールとを、触媒金属の存在下、縮合反応させる方法は特に限定されず、例えば、上記多価アルコールに、触媒金属を0.01〜20g/kg、好ましくは0.1〜10g/kgで添加、溶解させた後、反応温度まで撹拌しながら加熱し、更に、テトラアルコキシシランを添加し、反応させればよい。反応温度は25〜150℃、好ましくは30〜70℃であり、反応時間は30分〜8時間、好ましくは2時間〜4時間である。なお、上記反応の際には、テトラアルコキシシランと多価アルコールをモル比で4:1〜1:4、好ましくは1:2〜1:4で反応させることが重要である。これによりテトラアルコキシシランとテトラアルコキシシランの間に多価アルコールが取り込まれる。
なお、上記反応の際には、アルコールが生成するが、このアルコールを分留しないことにより重合反応が制御されるので、アルコールを分留しないことが好ましい。
また、上記反応において、テトラアルコキシシランと多価アルコールを縮合反応させる前は2層に分離しているが、反応が完了すると1層になるため、1層になった時点で反応を終了させてもよい。
このようにして得られる含触媒金属シリコンオリゴマーは、テトラアルコキシシランの2〜4と、多価アルコールの1〜13が縮合反応したシリコンオリゴマーに触媒金属が取り込まれたものである。
なお、含触媒金属シリコンオリゴマーは、テトラアルコキシシランのアルコキシ基と、多価アルコールに存在するn,n+1位またはn,n+2位のヒドロキシ基の1つまたは2つが縮合反応したものであり、例えば、下記(a)〜(d)の様な部分構造を有している。そして、本発明の含触媒金属シリコンオリゴマーにおいて、触媒金属は酸素原子間に存在し、触媒金属を頂点とする5員環構造または6員環構造を形成し、安定化しているものと推測される。そのため、本発明の含触媒金属シリコンオリゴマーは生成後、1年経過しても触媒金属の沈殿は認められない。
このような含触媒金属シリコンオリゴマーは、HNMR、29SiNMR等のNMR、IR、MASS等の公知の方法により同定することができる。具体的にNMRであれば、テトラアルコキシシランと多価アルコールの縮合反応により生成したアルコールをHNMRで確認し、更に、含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコンの数を29SiNMRで確認することにより、含触媒金属シリコンオリゴマーを同定することができる。また、シリコンオリゴマーに触媒金属が取り込まれていることは、シリコンオリゴマーを生成した後、一定期間経過後、例えば、1年経過後に触媒金属の沈殿が認められないことにより確認することができる。
この含触媒金属シリコンオリゴマーは、従来のシリコンオリゴマーと同様に、コーティング剤として、基材の表面等に処理をすることができる。特にこの含触媒金属シリコンオリゴマーは、その構造中に触媒金属が取り込まれているため、基材をコーティング剤で処理した後、活性化処理を行うことにより、基材に自己触媒性や導電性を付与することができる。
含触媒金属シリコンオリゴマーを含有するコーティング剤は、含触媒金属シリコンオリゴマーを含有さえしていればよいが、例えば、含まれる触媒金属が異なる2種類以上の含触媒金属シリコンオリゴマーを組み合わせて用いたり、含触媒金属シリコンオリゴマーの調製の際に2種以上の触媒金属の存在下で調製したものを用いることにより、触媒金属の触媒作用が増強されるため好ましい。また、触媒金属の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、パラジウムと、鉄、ニッケル、コバルト、銅から選ばれる1種以上との組み合わせが好ましい。
上記コーティング剤は、例えば、従来公知のコーティング剤に添加される溶媒、基材への濡れ性を向上させるための樹脂等を含有させてもよい。このようなコーティング剤は、上記成分を適宜、撹拌、混合することにより調製することができる。
上記コーティング剤に添加される溶媒としては特に限定されず、例えば、水、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ等が挙げられる。なお、本発明の含触媒金属シリコンオリゴマーは、例えば、ポリエチレングリコールやエチルセロソルブ等のグリコール系溶媒で希釈すると水分存在下でも安定に保存することができる。特にグリコール系溶媒として、ポリエチレングリコール200〜1000、好ましくはポリエチレングリコール200を用いることにより、水分存在下でも長期間安定に保存することができる。
また、上記コーティング剤に添加される樹脂としては、コーティング剤に可溶、もしくは分散するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の中でもアクリル系樹脂が好ましく、メタアクリル酸アルキルエステル共重合体、コロイダルシリカ・アクリル複合体、エチレン・アクリル酸共重合物アンモニウム塩がより好ましく、メタアクリル酸アルキルエステル共重合体が特に好ましい。これらの樹脂は1種または2種以上を用いることができる。また、これらの樹脂は溶液状のものでも粉末状のもののどちらでも構わない。これらの樹脂は、コーティング剤に50質量%(以下、単に「%」という)以下、好ましくは0.1〜50%、より好ましくは1〜20%配合する。
更に、上記コーティング剤には含触媒金属シリコンオリゴマーの効果を損なわない範囲で、着色剤、摩擦係数調整剤、増膜剤、その他機能性付与するような添加剤を配合してもよい。
上記コーティング剤で処理される基材としては特に限定されず、上記コーティング剤を利用すれば、これまでの技術では自己触媒性や導電性を付与することが難しい、イオン化傾向等の関係からめっきが不可能なマグネシウム等の金属、自己触媒性のない等の金属、木材、布、ガラス、セラミックス、プラスチック等の難めっき性基材にも自己触媒性や導電性を付与することができる。そのため、上記コーティング剤は、前記した難めっき性基材に用いることが好ましい。また、上記基材の中でも、特に基材表面に酸素やヒドロキシ基があるもの、例えば、ABS、ガラス等であれば密着性も高くなる。
また、上記コーティング剤による基材の処理は、従来公知のコーティング剤と同様に処理すればよく、例えば、ディップアンドスピン法等の浸漬法、スプレーコーティング法等の噴霧法等で基材の全面を処理すればよい。上記処理後は、そのままあるいは温風等で乾燥させればよい。また、コーティングの厚さは特に限定されず、基材の全面を覆ってさえいればよい。
更に、上記処理後は、触媒金属の還元のため活性化処理を行う。この活性化処理は基材の特性に合わせて、加熱処理や化学還元処理を適宜組み合わせて行えばよい。例えば、ガラスやセラミック等の100℃以上に加熱しても問題のない基材であれば、100℃以上で加熱処理を行えばよい。一方、ABS等の100℃以上に加熱すると問題のある基材であれば、100℃未満、好ましくは50〜100℃で加熱処理を行い、その後、化学還元処理を行えばよい。
上記加熱処理は特に限定されず、例えば、オーブン、電気炉等で上記温度を10分〜2時間程度維持すればよい。加熱処理の雰囲気は特に限定されず、空気でよい。加熱処理後は、放冷等すればよい。
上記化学還元処理は特に限定されず、例えば、還元剤を含む水溶液等に1〜3分程度浸漬すればよい。還元剤としては、例えば、次亜リン酸、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等が挙げられる。これらの還元剤は1種または2種以上を用いることができる。化学還元処理後は水洗、乾燥等をすればよい。
以上のような含触媒金属シリコンオリゴマーを含有するコーティング剤であれば、基材の種類によらずに自己触媒性が付与されたコーティングすることができる。
本発明方法の工程(b)は、基材のめっきを所望しない部位に、前記含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある炭素−酸素結合(O−C)および/または炭素−炭素結合(C−C)を切断するのに十分なエネルギーを照射して含触媒金属シリコンオリゴマーを分解する工程である。
含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある炭素−酸素結合を切断するのに十分なエネルギーは3.7eV以上であり、炭素−炭素結合を切断するのに十分なエネルギーは、3.6eV以上である。含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合が切断されれば、含触媒金属シリコンオリゴマーは分解する。そのため、含触媒金属シリコンオリゴマーに与えるエネルギーとしては、炭素−炭素結合を切断する3.6eV以上であり、ケイ素−酸素結合(Si−O)を切断する8.7eV以下が好ましく、3.6〜4.0eVがより好ましい。このエネルギーは10分程度照射すればよい。なお、このようなエネルギーを与えているかどうかは、例えば、上記コーティング剤をコーティングした基材にエネルギーを照射することにより、基材には影響を与えず、コーティングのみが除去できるかどうかにより確認することができる。
このようなエネルギーは、例えば、プラズマ、紫外線、レーザー等で与えることができるが、プラズマで与えることが好ましい。これらエネルギーは、非所望の部位に直接照射してもよいし、所望の部位をメタルマスク等でマスクしてから全面的に照射してもよい。
具体的に、エネルギーの照射は、紫外線であれば、紫外線照射器で行うことができる。また、レーザーであれば、固体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー等のレーザー照射器で行うことができる。
更に、プラズマであれば、いわゆるドライエッチングで行うことができる。ドライエッチングは、大気圧以下の圧力下で発生させたハロゲン化合物を含む混合気体のプラズマ、例えば、低真空プラズマ、高真空プラズマで行うことができる。ハロゲン化合物としては、四フッ化炭素等が挙げられる。また、ハロゲン化合物と混合される気体としては、窒素ガス、酸素ガス、希ガス等が挙げられる。なお、ドライエッチングは一般的なプラズマエッチング装置が利用できる。
この工程により基材の非所望の部位にあるコーティング中の含触媒金属シリコンオリゴマーが分解し、除去される。
本発明方法の工程(c)は、基材の非所望の部位に残った触媒金属を、触媒金属を溶解する溶液で除去する工程である。触媒金属を溶解する溶液は、特に限定されないが、例えば、酸性水溶液が好ましい。水溶液を酸性にするためには、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸を用いることができる。基材の非所望の部位に残った触媒金属を、触媒金属を溶解する溶液で除去するには、触媒金属を溶解する溶液中に基材を浸漬等すればよい。
この工程により基材の非所望の部位に残った触媒金属が除去され、基材上の非所望の部位のコーティングが完全に除去される。そのため、この後の工程(d)で金属めっきを行っても、この部位はめっきされない。
本発明方法の工程(d)は、金属めっきを行う工程である。めっきの種類は特に限定されず、電気めっき、無電解めっき等の何れでもよい。また、めっきする金属の種類も特に限定されず、例えば、ニッケル、銅等の何れでもよい。これらの金属めっきの中でも無電解ニッケルめっきまたは無電解銅めっきが好ましい。更に、めっきの条件も特に限定されず、一般的な条件でよい。
また、本発明方法には、一般的に用いられているエッチング処理、更に、官能基付与を目的とした表面改質工程を追加してもよい。また、各工程の間には、洗浄、乾燥等の通常行われる処理を行ってもよい。
以上のような本発明方法により、基材の所望の部位へ金属めっきをすることができる。そして、本発明方法は、半導体の回路の製造、めっきで模様を描いた製品の製造、めっき未析出不良品の補填等に利用することができる。
本発明方法で半導体の回路を製造する場合の好ましい態様としては次のものが挙げられる。
(a1)テトラエトキシシランと、エチレングリコールおよび/または1,3−プロピレングリコールとを、パラジウムまたはパラジウムと鉄、ニッケル、コバルト、銅から選ばれる1種以上の存在下、縮合反応させることにより得られる含触媒金属シリコンオリゴマーを含有するコーティング剤を、難めっき性基材にコーティングする工程。
(b1)基材のめっきを所望する部位をメタルマスクで覆い、基材のめっきを所望しない部位に、大気圧以下の圧力下で発生させた腐食性ガスを含むプラズマを照射して前記含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合を切断し、含触媒金属シリコンオリゴマーを分解する工程
(c1)基材の非所望の部位に残った前記触媒金属を、塩酸水溶液で除去する工程
(d1)無電解銅めっきまたは無電解ニッケルめっきを行う工程
上記のように本発明方法で半導体の回路を製造することより、メタルマスクで覆った部分にのみめっきによる回路が形成できるため、上記コーティング剤で回路を描く場合よりも工程短縮の点で好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
製 造 例 1
含パラジウムシリコンオリゴマーの調製:
予め1.7gの塩酸に溶解させた塩化パラジウム1.7gを、エチレングリコール336gに添加した後、撹拌し、溶解させた。これにテトラエトキシシラン564gを添加し、マントルヒーターで50℃に加温しながら2時間撹拌し、縮合反応させて反応物を得た。なお、この反応の際に生成するアルコールは分留しなかった。また、この反応の前は、エチレングリコールとテトラエトキシシランは混和せずに、2層に分離していたが、2時間縮合反応後は、単一層となった。そのため、この反応の反応率は100%であることがわかった。
反応後冷却を行い反応物を得た。反応前と反応後にHNMRおよび29SiNMRを測定した。HNMRにおいて、反応終了後のスペクトルには1.1および3.5ppm付近にエタノール由来のピークが現れていた。このエタノールは、テトラエトキシシランのエトキシ基とエチレングリコールとの縮合反応が起こった結果、生成したものと考えられた。
また、29SiNMRにおいて、反応前のスペクトルでは−82ppm付近にテトラエトキシシラン由来の単一ピークのみ現れていたのものが、反応終了後のスペクトルでは−90ppmから−80ppmの範囲に複数のピークが表れていた。これから分子中のSiの数は2〜4と考えられた。
更に、上記で得られたシリコンオリゴマーは1年経過してもパラジウムの沈殿は認められなかった。これからシリコンオリゴマーの構造中に、パラジウムが取り込まれていると考えられた。(以下、これを「含Pdシリコンオリゴマー」という)。
製 造 例 2
コーティング剤の調製:
アクリル樹脂(ニガゾールPK8012P:日本カーバイト社製)10質量%、製造例1で得られた含Pdシリコンオリゴマーを12.5質量%(金属濃度300ppm)となるように添加、混合してコーティング剤を得た。
実 施 例 1
所望の部位への金属めっき:
ガラス基板を、60℃で5分間脱脂(SK−18:JCU製)を行った後、乾燥させた。次にこのガラス基板を製造例2で得たコーティング剤に10秒間浸漬し、温風乾燥した。その後、200℃で20分間焼成をし、放冷した。放冷後、ガラス基板の一部にマスキングテープを貼り付けた。これをプラズマ処理装置(大海:JCU製)を用いて、CFガスとOガスとNガスを流量比1:10:1で混合した混合ガスを用い、印加電圧4000W(LF電源)で大気圧以下(3.25Pa)でプラズマを発生させ、30分間プラズマ処理(ドライエッチング)した。プラズマ処理後、マスキングテープを剥がし、イソプロピルアルコールでマスキングテープの粘着物質を洗浄した後、ガラス基板を30%の塩酸水溶液に5分間浸漬した。次に、無電解ニッケルめっき液(ENILEXNI−100:JCU製)に40℃で7分間浸漬し、無電解ニッケルめっきを行った。
無電解ニッケルめっきは、マスキングテープを貼り付けた部位のみに析出した(図1)。なお、ガラス基板の黒色部分は裏面に析出した無電解ニッケルめっきであり、また、析出した無電解ニッケルめっき上の黒点は無電解ニッケルめっき時のガス跡である。
試 験 例 1
プラズマ処理による効果の確認:
ガラス基板を、60℃で5分間脱脂(SK−18:JCU製)を行った後、乾燥させた。次にこのガラス基板を製造例2で得たコーティング剤に10秒間浸漬し、温風乾燥した。その後、200℃で20分間焼成をし、放冷した。放冷後、ガラス基板の一部にマスキングテープを貼り付けた。これをプラズマ処理装置(大海:JCU製)を用いて、CFガスとOガスとNガスを流量比1:10:1で混合した混合ガスを用い、印加電圧4000W(LF電源)で大気圧以下(3.25Pa)でプラズマを発生させ、30分間プラズマ処理(ドライエッチング)した。プラズマ処理後、マスキングテープを剥がし、イソプロピルアルコールでマスキングテープの粘着物質を洗浄した。
(1)プラズマ処理後にガラス基板のマスキングテープを貼付していた部分とマスキングテープを貼付していない部分についてFT−IR測定(4000〜500cm−1)を行った。2300〜2400cm−1の有機物に基づく吸収が消失し、1000cm−1付近のSi−O−Cに基づく吸収が消失したことから、プラズマ処理によりSi−O−CのO−C間の結合が切断されたことが分かった(図2)。
(2)プラズマ処理後にガラス基板のマスキングテープを貼付していた部分(プラズマ非処理)とマスキングテープを貼付していない部分についてXPS測定を行った(図3はC1s、図4はPd3d)。また、比較として、ガラス基板を製造例2で得たコーティング剤に10秒間浸漬し、温風乾燥した後、200℃で20分間焼成をし、放冷したものについてもXPS測定を行った。その結果、樹脂の−COO−に基づくピークがプラズマ処理により消失していた。これにより、プラズマ処理により、コーティング剤に含まれる含Pdシリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある−COO−の結合の何れかが切断されていたことが分かった。また、パラジウム金属に基づくピークはプラズマ処理後で変わらなかったことから、パラジウムはプラズマ処理後もガラス基板に残っていることが分かった。
(3)プラズマ処理後にマスキングテープを貼付していた部分とマスキングテープを貼付していない部分のXPS測定を行い、更に、ガラス基板を30%の塩酸水溶液に5分間浸漬した後、同様の部位のXPS測定を行った(図5はPd3d)。パラジウム金属に基づくピークは塩酸浸漬後に消失していたことから、パラジウムは塩酸で除去されたことが分かった。
以上の結果から、プラズマ処理により含Pdシリコンオリゴマーが分解し、塩酸による浸漬によりパラジウムが除去されているため、めっきが析出しないことが分かった。
実 施 例 2
金属めっきによる回路形成:
ガラス基板を、60℃で5分間脱脂(SK−18:JCU製)を行った後、乾燥させた。次にこのガラス基板を製造例2で得たコーティング剤に10秒間浸漬し、温風乾燥した。その後、200℃で20分間焼成をし、放冷した。放冷後、ガラス基板の一部に回路形成用のメタルマスクを貼り付けた。これをプラズマ処理装置(大海:JCU製)を用いて、CFガスとOガスとNガスを流量比1:10:1で混合した混合ガスを用い、印加電圧4000W(LF電源)で大気圧以下(3.25Pa)でプラズマを発生させ、30分間プラズマ処理(ドライエッチング)した。プラズマ処理後、基板からメタルマスクを剥がし、30%の塩酸水溶液に5分間浸漬した。その後、無電解ニッケルめっきを行った。
無電解ニッケルめっきは、プラズマ非処理部分(メタルマスクで覆われていた部分)のみに析出したため、基板上にニッケルによる回路が形成された。
本発明によれば、基材の種類によらず基材の所望の部位への金属めっきをする工程を少なくできるため、例えば、半導体等の回路形成に好適に利用することができる。

以 上

Claims (7)

  1. 以下の工程(a)〜(d)
    (a)テトラアルコキシシランと、
    少なくともn,n+1位またはn,n+2位(ただしnは1以上の整数)にヒドロキシ基が結合した多価アルコールとを、
    触媒金属の存在下、
    縮合反応させることにより得られる含触媒金属シリコンオリゴマーを含有するコーティング剤を、基材にコーティングする工程
    (b)基材のめっきを所望しない部位に、前記含触媒金属シリコンオリゴマー中のシリコン原子間にある炭素−酸素結合および/または炭素−炭素結合を切断するのに十分なエネルギーを照射して含触媒金属シリコンオリゴマーを分解する工程
    (c)基材の非所望の部位に残った触媒金属を、触媒金属を溶解する溶液で除去する工程
    (d)金属めっきを行う工程
    を含むことを特徴とする基材の所望の部位への金属めっき方法。
  2. 工程(a)で用いられる多価アルコールが、2〜4価のアルコールである請求項1記載の基材の所望の部位への金属めっき方法。
  3. 工程(b)において含触媒金属シリコンオリゴマーの分解をドライエッチングで行うものである請求項1記載の基材の所望の部位への金属めっき方法。
  4. ドライエッチングが、ハロゲン化合物を含む混合気体のプラズマで行うものである請求項3記載の基材の所望の部位への金属めっき方法。
  5. 工程(c)で用いられる触媒金属を溶解する溶液が、酸性水溶液である請求項1記載の基材の所望の部位への金属めっき方法。
  6. 工程(d)において金属めっきを、無電解ニッケルめっきまたは無電解銅めっきで行うものである請求項1記載の基材の所望の部位への金属めっき方法。
  7. 半導体の回路の製造用である請求項1〜6の何れかに記載の基材の所望の部位への金属めっき方法。
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