本発明の実施形態のスクリーンにおいて、「光学素子が不規則に配置されている」とは、複数の光学素子の配置において、光学素子の形状、高さ、周期、表面の滑らかさのうち少なくとも1つが、モアレの発生を低減できる程度に不規則であることを意味する。さらに、「周期が不規則」とは、複数の光学素子の塊を1ブロックとしたときの複数のブロックの配列において、隣り合うブロック間で、光学素子の形状や高さ、配列方向、表面滑らかさのうち少なくとも1つが互いに異なっていることを含む。
例えば、光学素子の形状誤差、高さの差異、周期性の差異、表面の滑らかさ(粗さ)の差異のうち少なくとも1つが、これらの物理量が平均値に対して±20%(レンジ:40%)の範囲で不規則に製作されている場合に、モアレの発生は目立たない程度に低減される。また、光学素子の配置領域が10000(例えば100×100)以上に分割され、光学素子の形状誤差、高さの差異、周期性の差異、表面の滑らかさ(粗さ)の差異のうち少なくとも1つが、分割された領域の配列において不規則になっている場合に、モアレの発生は目立たない程度に低減される。これらの構成が組み合わされた場合も、モアレの発生はもちろん低減される。
本発明の実施形態のスクリーンにおいて、上記第1反射面の反射率と上記第2反射面の反射率の合計反射率は50%以下、好ましくは30%以下である。これにより、光透過性を有するスクリーンを形成できる。ここで言う「光透過性を有する」とは、第1反射面側から入射する光と第2反射面側から入射する光のうち少なくとも一方の光に対して透過性を有することを意味する。例えば、「表示すべき画像に対応する光」が照射される面とは「反対側の面から入射する光(例えば太陽光)」の透過性を有する。
なお、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、上記合計反射率は50%を超えていてもよいし、商品によっては100%もありうる。ここで、合計反射率が100%とは全反射を意味する。例えば、本発明の実施形態のスクリーンは、「表示すべき画像に対応する光」が照射される面から入射する光を全反射し、その面とは「反対側の面から入射する光」をわずかに透過する。なお、本発明の実施形態のスクリーンは、反射面が奥行き方向に対して複数あることが通常の反射ミラーとは異なっている。
また、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、例えば、上記第1反射面及び上記第2反射面の少なくとも一方の面は、面内において反射率分布を有しているようにしてもよい。これにより、モアレを見えにくくすることができる。例えば、第1反射面について、中央部の反射率を比較的高く設定し、周縁部の反射率を中央部よりも僅かに低く設定する。また、第2反射面について、中央部の反射率を比較的低く設定し、周縁部の反射率を中央部よりも僅かに高く設定する。この場合、第1反射面の周縁部の反射率は、第2反射面の中央部の反射率よりも高く設定される場合もあるし、その反対の場合もある。また、第1反射面の全体の反射率と第2反射面の全体の反射率は、同じ場合もある(反射面が平面構造の場合)し、異なる場合(曲面構造の場合は、観察者に近い側の反射率が低くなる)もある。
本発明の実施形態の表示装置において、例えば、上記スクリーンの上記第1反射面及び上記第2反射面の少なくとも一方の面において上記光学素子は上記四角錐構造であり、上記四角錐構造は上記スクリーンにおいて上記光源装置からの光の入射面側に凸形状になるように配置されているようにしてもよい。これにより、光源装置からの光の入射面とは反対側の面からスクリーンに入射する光の一部を反射させることができる。
さらに、例えば、上記四角錐構造は上記第1反射面と上記第2反射面のうち上記入射面とは反対側の面に配置されている反射面に少なくとも配置されているようにすれば、上記反対側の面からスクリーンに入射する光の一部をより効率よく反射させることができる。
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、スクリーンの一実施形態を説明するための模式的な断面図である。図2は、この実施形態のスクリーンの第2面(第1反射面)及び第3面(第2反射面)におけるブロックの配置例を説明するための模式的な平面図である。図3は、図2に示された各ブロックにおけるマイクロレンズの配列方向を説明するための模式的な平面図である。
スクリーン1は、例えば基材3、基材5及び基材7を備えている。基材3、基材5及び基材7はそれぞれ光透過性を有する材料で形成されている。
基材3の材料は、例えば、ガラス(窓用ガラスを含む)、樹脂材料からなる基板やシート(PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリオレフィン、耐熱性樹脂:ORGA(登録商標))などである。
基材5の材料は、例えば基材3の材料と同じである。ただし、基材5の材料は基材3の材料とは異なっていてもよい。
基材7の材料は、例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂、光・熱硬化性樹脂、高分子材料、ガラス材料、成形可能なガラス材料やセラミック材料などである。
スクリーン1の平面サイズは例えば50mm×50mm(ミリメートル)程度である。例えば、基材3、基材5、基材7の厚みは順に1.0mm程度、0.03mm程度、1.0mm程度である。
スクリーン1には、第1面9、第2面11(第1反射面)、第3面13(第2反射面)及び第4面15が形成されている。第1面9は、基材3の基材5とは反対側の表面である。第2面11は、基材3と基材5の境界の面である。第3面13は、基材5と基材7の境界の面である。第4面は、基材7の基材5とは反対側の表面である。第1面9と第2面11、第2面11と第3面13、第3面13と第4面15はそれぞれ対向して配置されている。
第2面11に複数のマイクロレンズ11aが配置されている。第3面13に複数のマイクロレンズ13aが配置されている。マイクロレンズ11aとマイクロレンズ13aは例えば正六角形が平面充填された六角緻密(ハニカム状)にそれぞれ配列されている。
図2に示されるように、第2面11におけるマイクロレンズ11aの配置領域は複数のブロックA11a,A11b,A11c,A11dに分割されている。また、第3面13におけるマイクロレンズ13aの配置領域は複数のブロックA13a,A13b,A13c,A13dに分割されている。
図3に示されるように、各ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dには複数のマイクロレンズ11a,13aが配列されている。なお、ブロックの周縁部に配置されるマイクロレンズ11a,13aは、ブロックの輪郭に接していてもよいし、ブロックの輪郭とは間隔をもって配置されていてもよい。
マイクロレンズ11a,13aの配列方向について、例えば、X軸方向を0°とする。
ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dの平面形状は、例えば一辺が500μm(マイクロメートル)程度の正六角形である。第2面11及び第3面13においてブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dは六角緻密に配列されている。なお、隣り合うブロック同士は、隣接して配置されていてもよいし、間隔をもって配置されていてもよい。
第2面11におけるブロックA11a〜A11d及びマイクロレンズ11aの配置について説明する。
ブロックA11a〜A11dは、輪郭である正六角形の3本の対角線のうち1本がX軸と平行に配置されている。図3に示されるように、ブロックA11a〜A11dにおいて、マイクロレンズ11aが六角緻密にそれぞれ配列されている。例えば、マイクロレンズ11aの基本形状は、一辺が100μm程度の正六角形である。ブロックA11a〜A11dにおいて、100個程度のマイクロレンズ11aがそれぞれ配置されている。
ブロックA11aにおいて、マイクロレンズ11aは輪郭である正六角形の3本の対角線のうち1本がY軸と平行に配置されている。ブロックA11aにおいて六角緻密に配列されたマイクロレンズ11aはX軸と平行な直線上に並んでいる。ブロックA11aにおけるマイクロレンズ11aの配列方向を0°とする。なお、ブロックA11aにおいて、マイクロレンズ11aは、X軸方向に対して反時計回りに60°回転した方向と平行な直線上、及びX軸方向に対して反時計回りに120°回転した方向と平行な直線上にも並んでいる。
ブロックA11bでは、マイクロレンズ11aの配列方向が、ブロックA11aにおけるマイクロレンズ11aの配列方向に対して反時計回りに15°回転している。ブロックA11bにおけるマイクロレンズ11aの配列方向を15°とする。
ブロックA11c,A11dでは、マイクロレンズ11aの配列方向が、ブロックA11aにおけるマイクロレンズ11aの配列方向に対して、反時計回りに30°又は45°回転している。ブロックA11c,A11dにおけるマイクロレンズ11aの配列方向を順に30°、45°とする。
第3面13におけるブロックA13a〜A13d及びマイクロレンズ13aの配置について説明する。
ブロックA13a〜A13dは輪郭である正六角形の3本の対角線のうち1本がY軸と平行に配置されている。ブロックA13a〜A13dにおいてマイクロレンズ13aが六角緻密に配列されている。例えば、マイクロレンズ13aの基本形状は、マイクロレンズ11aと同じであり、一辺が100μm程度の正六角形である。ブロックA13a〜A13dにおいて、100個程度のマイクロレンズ13aがそれぞれ配置されている。
ブロックA13aにおいてマイクロレンズ13aは、ブロックA11aにおけるマイクロレンズ11aの配列と同様に、輪郭である正六角形の3本の対角線のうち1本がY軸と平行に配置されている。ブロックA13aにおけるマイクロレンズ13aの配列方向を0°とする。
ブロックA13b,A13c,A13dでは、マイクロレンズ13aの配列方向が、ブロックA13aにおけるマイクロレンズ13aの配列方向に対して、順に、反時計回りに15°、30°、45°回転している。ブロックA13b,A13c,A13dにおけるマイクロレンズ11aの配列方向を順に15°、30°、45°とする。
ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dは、各ブロックの輪郭に接するマイクロレンズ11a,13aとして、平面形状が三角形のもの、四角形のもの、五角形のものを含んでいる。
図2において、ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dの配置領域におけるマイクロレンズ11a,13aの配置方向は矢印で示されている(図3も参照。)。第2面11に六角緻密に配列されたブロックA11a〜A11dは、輪郭である正六角形の3本の対角線のうち1本がX軸と平行に配置されている。第3面13に六角緻密に配列されたブロックA13a〜A13dは、輪郭である正六角形の3本の対角線のうち1本がY軸と平行に配置されている。なお、スクリーン1では、ブロックA11a〜A11dの配列方向とブロックA13a〜A13dの配列方向は、XY平面において異なっているが、同じであってもよい。
第2面11において、ブロックA11a〜A11dは不規則に配置されている。また、第3面13において、ブロックA13a〜A13dは不規則に配置されている。例えば、第3面13におけるブロックA13a〜A13dの配列は、第2面11におけるブロックA11a〜A11dの配列が反時計回りに90°回転されたものである。
第2面11と第3面13において、ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dが不規則に配列されていることにより、マイクロレンズ11a,13aの配列方向は不規則になっている。ここで、隣り合うブロック同士でマイクロレンズ11a,13aの配列方向が同じである箇所は1つのブロックとみなされる。これにより、隣り合うブロック間でマイクロレンズ11a,13aの配列方向が異なっている。
マイクロレンズ11a,13aのレンズ深さ(レンズ高さ)は例えば8.7μm程度である。マイクロレンズ11aの曲率半径及びマイクロレンズ13aの曲率半径は、例えば、ともに625μm程度である。
第2面11の反射率と第3面13の反射率は、基材3、基材5、基材7の各材料によって決定されうる。例えば、スクリーン1での第2面11の反射率は15%程度、第3面13の反射率は30%程度である。
この実施形態のスクリーン1は、マイクロレンズ11aとマイクロレンズ13aが不規則に配置されているので、モアレパターンの発生を低減したり、防止したりすることができる。また、この実施形態のスクリーン1は、スペックルの発生を低減したり、防止したりすることができる。
また、凹凸を有する反射面(第2面11及び第3面13)が2面形成されていることにより、スクリーン1は視野角を広げることができる。また、マイクロレンズ11aとマイクロレンズ13aが不規則に配置されていることも、スクリーン1の視野角が広がることに寄与する。なお、第2面11、第3面13に配置されるマイクロレンズ11a、マイクロレンズ13aの配置と形状によって視野角を調整することができる。これにより、視野角調整機能の設計の自由度が向上した。
また、発生したモアレの距離を観察すると、モアレを発生させる距離を変更することができた。その結果、全体のモアレを消去することができた。例えば、マイクロレンズ11a,13aの配列ピッチ(六角形の一辺の長さ)が100μmの場合はモアレ発生距離が約1mであった。また、マイクロレンズ11a,13aの配列ピッチが300μmの場合は発生距離が約0.3m(30cm)であった。
スクリーン1は、光学素子が配置されている反射面として第2面11(第1反射面)及び第3面13(第2反射面)の2面を備えていることや、光学素子の配置が不規則であることで、モアレが観察されないようにした。
図4は、不規則な配列方向をもって第2面及び第3面に配置されたマイクロレンズの曲率半径を変化させたときのスクリーンのスペックル及びモアレ解消機能の程度について調べた結果を示す図表である。図4において、曲率(曲率半径)の単位はμmである。また、「ピッチがランダム」とは、マイクロレンズが不規則な配列方向をもって配置されていることを意味する。また、「六角緻密」とは図3に示されたマイクロレンズの配列を意味している。また、「六角緻密90°回転」とは、図2に示されるように、第2面11のマイクロレンズ11aの配列方向に対して第3面13のマイクロレンズ13aの配列方向が90°回転していることを意味している。
図4における効果「◎」は「モアレが観察されなかった」を意味する。図4の結果から、マイクロレンズが不規則な配列方向をもって配置された構成は非常に効果があることがわかった。
図1から図3を参照して説明したスクリーンの実施形態では、例えば、各ブロックに配置されたマイクロレンズの平面形状やピッチ、高さ、曲率半径、表面滑らかさなどは、ブロック間で同じである。本発明のスクリーンの実施形態はこれに限定されない。
例えば、隣り合うブロック間で、配列されているマイクロレンズに関して、平面形状、大きさ、ピッチ、配列方向、高さ、曲率半径、表面滑らかさのうち少なくとも1つが互いに異なっていてもよい。
また、上記スクリーンの実施形態では、1つのブロックに配置されるマイクロレンズの配列方向は、0°、15°、30°、45°の4方向であるが、本発明のスクリーンの実施形態はこれに限定されない。本発明のスクリーンの実施形態において、1つのブロックに配置されるマイクロレンズの配列方向とブロックの辺がなす角度は任意である。また、1つの反射面において、マイクロレンズの配列方向の数も任意である。1つの反射面において、マイクロレンズの配列方向が互いに異なるブロックの種類が多いほど、モアレは発生しにくくなる。したがって、マイクロレンズの配列方向がより細分化されて、マイクロレンズの配列方向が互いに異なるブロックの種類がより多く設定されることが好ましい。ただし、マイクロレンズの配列方向が互いに異なるブロックが少なくとも2種類あれば、1つの反射面においてマイクロレンズを不規則に配置することは可能である。
また、1つのブロックに配置される複数のマイクロレンズは、平面形状や大きさ、ピッチ、高さ、曲率半径、表面滑らかさが互いに異なるものを含んでいてもよい。
また、ブロックの形状は、正六角形に限定されず、どのような形状であってもよい。例えば、ブロックの形状は、三角形や四角形、五角形などの多角形、円形、楕円形などであってもよい。
また、1つの反射面に配置される複数のブロックは、ブロックの形状が互いに異なるものを含んでいてもよい。
また、マイクロレンズに替えて、マイクロコーナーキューブや四角錐構造を用いることも可能である。
本発明のスクリーンの実施形態の他の例をいくつか説明する。ただし、本発明のスクリーンの実施形態は、上述のように種々の変更が可能である。したがって、本発明のスクリーンの実施形態は、以下に説明される実施形態に限定されない。
図5は、スクリーンの他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図6は、この実施形態のスクリーンの第2面及び第3面の各ブロックにおけるマイクロレンズの配列方向を説明するための模式的な平面図である。この実施形態のスクリーンにおける各ブロックの配置及び各ブロックにおけるマイクロレンズの配置方向は図2と同じである。図5及び図6において、図1から図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。図2、図5及び図6を参照してこの実施形態を説明する。
この実施形態のスクリーン21では、第2面11におけるマイクロレンズ11aの大きさは、第3面13におけるマイクロレンズ13aの大きさよりも大きくなっている。マイクロレンズ11aの基本形状は、一辺が例えば150μm程度の正六角形である。マイクロレンズ11aのレンズ深さ(レンズ高さ)は例えば24.5μm程度である。ブロックA11a〜A11dにおいて、60個程度のマイクロレンズ11aがそれぞれ配置されている。
この実施形態のスクリーン21のように、第2面11におけるマイクロレンズ11aの大きさと第3面13におけるマイクロレンズ13aの大きさが異なっている構成であっても、スペックル及びモアレの発生を低減することができる。
なお、1つの反射面に同じ大きさのブロックが複数配置されている構成において、各ブロックに配置されているマイクロレンズの大きさが異なっていてもよい。例えば、第2面11において、図2に示されたブロックA11a〜A11dの配置に対して、図3に示されたブロックA11a〜A11dと図6に示されたブロックA11a〜A11dが混載されていてもよい。
図7は、スクリーンのさらに他の実施形態の第2面及び第3面におけるブロックの配置例を説明するための模式的な平面図である。図8は、この実施形態のスクリーンの第2面及び第3面の各ブロックにおけるマイクロレンズの配列方向を説明するための模式的な平面図である。この実施形態のスクリーンの断面図は、図1と同様である。図7及び図8において、図1から図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。図7及び図8を参照してこの実施形態を説明する。
この実施形態のスクリーン31では、第2面11におけるブロックA11a〜A11d及び第3面13におけるブロックA13a〜A13dは例えば格子状に配列されている。ブロックA11a〜A11dの平面形状は、例えば1辺が1500μm程度の正四角形である。ブロックA13a〜A13dの平面形状は、例えば1辺が1000μm程度の正四角形である。ブロックA11a〜A11dの大きさとブロックA13a〜A13dの大きさは異なっている。
ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dには、マイクロレンズ11a,13aが例えば六角緻密に配列されている。マイクロレンズ11a,13aの基本形状は、例えば一辺が100μm程度の正六角形である。ブロックA11a〜A11dには、250個程度のマイクロレンズ11aがそれぞれ配列されている。ブロックA13a〜A13dには、120個程度のマイクロレンズ13aがそれぞれ配列されている。
ブロックA11a、A11b、A11c、A11dにおけるマイクロレンズ11aの配列方向は、順に、例えば0°(60°、120°)、15°(75°、135°)、30°(90°、150°)、45°(105°、165°)である。第2面11において、ブロックA11a、A11b、A11c、A11dは不規則に配列されている。
ブロックA13a、A13b、A13c、A13dにおけるマイクロレンズ13aの配列方向は、順に、例えば0°(60°、120°)、15°(75°、135°)、30°(90°、150°)、45°(105°、165°)である。第3面13において、ブロックA13a、A13b、A13c、A13dは不規則に配列されている。
スクリーン31では、図1から3を参照して説明したスクリーン1と同様に、マイクロレンズ11a,13aの配列方向は不規則になっている。なお、隣り合うブロック同士でマイクロレンズ11a,13aの配列方向が同じである箇所は1つのブロックとみなされる。これにより、隣り合うブロック間でマイクロレンズ11a,13aの配列方向が異なっている。
この実施形態のスクリーン31は、マイクロレンズ11a,13aが不規則に配置されているので、スペックル及びモアレの発生を低減したり、防止したりすることができる。
このように、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、第1反射面におけるブロックと第2反射面におけるブロックは、大きさが互いに異なっていてもよい。また、第1反射面におけるブロックと第2反射面におけるブロックは、形状が互いに異なっていてもよい。また、第1反射面もしくは第2反射面又はその両方において、大きさもしくは形状又はその両方が互いに異なるブロックが1つの面に配置されていてもよい。
また、マイクロレンズ11a,13aの平面形状は、上記実施形態のスクリーン1,21,31では正六角形であるが、例えば正四角形であってもよい。この場合、マイクロレンズ11a,13aは、例えば格子状に配列されたり、千鳥状に配列されたりする。ただし、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、マイクロレンズの平面形状や配列はこれらに限定されない。
図9は、スクリーンのさらに他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図10は、この実施形態のスクリーンの第2面及び第3面におけるブロックの配置例を説明するための模式的な平面図である。図11は、図10に示された各ブロックにおけるマイクロコーナーキューブの配列方向を説明するための模式的な平面図である。図9から図11において、図1から図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン41では、光学素子としてマイクロコーナーキューブ11bとマイクロコーナーキューブ13bが配置されている。第2面11に複数のマイクロコーナーキューブ11bが配置されている。第3面13に複数のマイクロコーナーキューブ13bが配置されている。
第2面11において、マイクロコーナーキューブ11bの配置領域はブロックA11a〜A11dに分割されている。第3面13において、マイクロコーナーキューブ13bの配置領域はブロックA13a〜A13dに分割されている。ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dは例えば一辺が1200μmの正四角形である。ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dは例えば格子状に配列されている。
マイクロコーナーキューブ11b,13bの基本形状は例えば正三角錐形状である。ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dにおいて、マイクロコーナーキューブ11b,13bは例えば正三角形が平面充填された三角緻密にそれぞれ配列されている。ブロックA11a〜A11d,A13a〜A13dの輪郭近傍において、例えば底面が正三角形ではない三角錐形状などの多面体を有するマイクロコーナーキューブ11b,13bが配置されている。ここでは便宜上、マイクロコーナーキューブ形状ではない多面体形状を有する光学素子もマイクロコーナーキューブ11b,13bに含める。
マイクロコーナーキューブ11bの配列ピッチ(一辺の長さ)は例えば300μm程度である。ブロックA11a〜A11dに例えば45個程度のマイクロコーナーキューブ11bがそれぞれ配列されている。
ブロックA11a〜A11dにおけるマイクロコーナーキューブ11bの配列方向(正三角形の辺が配置される方向)は、順に、例えば0°(60°、120°)、15°(75°、135°)、30°(90°、150°)、45°(105°、165°)である。第2面11において、ブロックA11a〜A11dは不規則に配列されている。
マイクロコーナーキューブ13bの配列ピッチは例えば200μm程度である。ブロックA13a〜A13dに例えば90個程度のマイクロコーナーキューブ13bがそれぞれ配列されている。
ブロックA13a〜A13dにおけるマイクロコーナーキューブ13bの配列方向は、順に、例えば0°(60°、120°)、15°(75°、135°)、30°(90°、150°)、45度(105°、165°)である。第3面13において、ブロックA13a〜A13dは不規則に配列されている。
スクリーン41では、マイクロコーナーキューブ11b,13bの配列方向は不規則になっている。なお、隣り合うブロック同士でマイクロコーナーキューブ11b,13bの配列方向が同じである箇所は1つのブロックとみなされる。これにより、隣り合うブロック間でマイクロコーナーキューブ11b,13bの配列方向が異なっている。
この実施形態のスクリーン41は、マイクロコーナーキューブ11b,13bが不規則に配置されているので、スペックル及びモアレの発生を低減したり、防止したりすることができる。
また、スクリーン41は、上記のスクリーン1と同様に、視野角を調整することができる。
このように、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、光学素子はマイクロコーナーキューブであってもよい。なお、マイクロコーナーキューブ11b,13bの配置例はスクリーン41の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のマイクロレンズ11a,13aに替えてマイクロコーナーキューブを適用することができる。
図12は、スクリーンのさらに他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図12において、図1及び図9と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン51では、図1を参照して説明したスクリーン1と比較して、第3面13に配置された複数のマイクロレンズ13aに替えて、図9を参照して説明したスクリーン41と同様に複数のマイクロコーナーキューブ13bが配置されている。例えば、マイクロレンズ11aの配列は図2と同様である。また、マイクロコーナーキューブ13bの配列は図9と同様である。
スクリーン51は、上記のスクリーン1及びスクリーン41と同様に、スペックル及びモアレ発生の減少、ならびに視野角調整機能の設計の自由度の向上を実現できる。このように、光学素子としてマイクロレンズ、マイクロコーナーキューブ、後述する四角錐構造が組み合わされている構成であっても、本発明の実施形態のスクリーンは上記作用及び効果が得られる。
図13は、スクリーンのさらに他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図14は、この実施形態のスクリーンの第2面及び第3面におけるブロックの配置例を説明するための模式的な平面図である。図15は、図14に示された各ブロックにおける四角錐構造の配列方向を説明するための模式的な平面図である。図13から図15において、図1から図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン61では、光学素子として四角錐構造11cと四角錐構造13cが配置されている。第2面11に複数の四角錐構造11cが配置されている。第3面13に複数の四角錐構造13cが配置されている。
第2面11において、四角錐構造11cの配置領域はブロックA11a〜A11fに分割されている。第3面13において、四角錐構造13cの配置領域はブロックA13a〜A13fに分割されている。ブロックA11a〜A11f,A13a〜A13fは例えば一辺が1200μmの正四角形である。ブロックA11a〜A11f,A13a〜A13fは例えば格子状に配列されている。
四角錐構造11c,13cの基本形状は例えば正四角錐形状である。ブロックA11a〜A11f,A13a〜A13fにおいて、四角錐構造11c,13cは例えば正方形が平面充填された正方形緻密(格子状)にそれぞれ配列されている。ブロックA11b〜A11f,A13b〜A13fの輪郭近傍において、三角錐形状、底面が正方形ではない四角錐形状、五角形錐形状を有する四角錐構造11c,13cが配置されている。ここでは便宜上、四角錐形状ではない多面体形状を有する光学素子も四角錐構造11c,13cに含める。また、ブロックA11a,A13aの輪郭近傍に、四角錐形状ではない多面体形状を有する四角錐構造11c,13cが含まれているようにしてもよい。
四角錐構造11cの配列ピッチ(一辺の長さ)は例えば300μm程度である。ブロックA11a〜A11fに例えば16〜28個程度の四角錐構造11cがそれぞれ配列されている。
ブロックA11a〜A11fにおける四角錐構造11cの配列方向(正方形の辺が配置される方向)は、順に、例えば0°(90°)、15°(105°)、30°(120°)、45°(135°)、60°(150°)、75°(165°)である。第2面11において、ブロックA11a〜A11fは不規則に配列されている。
四角錐構造13cの配列ピッチは例えば200μm程度である。ブロックA13a〜A13fに例えば36〜48個程度の四角錐構造13cがそれぞれ配列されている。
ブロックA13a〜A13fにおける四角錐構造13cの配列方向は、順に、例えば0°(90°)、15°(105°)、30°(120°)、45°(135°)、60°(150°)、75°(165°)である。第3面13において、ブロックA13a〜A13fは不規則に配列されている。
スクリーン61では、四角錐構造11c,13cの配列方向は不規則になっている。なお、隣り合うブロック同士で四角錐構造11c,13cの配列方向が同じである箇所は1つのブロックとみなされる。これにより、隣り合うブロック間で四角錐構造11c,13cの配列方向が異なっている。
この実施形態のスクリーン61は、四角錐構造11c,13cが不規則に配置されているので、スペックル及びモアレの発生を低減したり、防止したりすることができる。
また、スクリーン61は、上記のスクリーン1と同様に、視野角を調整することができる。
このように、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、光学素子は四角錐構造であってもよい。なお、四角錐構造11c,13cの配置例はスクリーン61の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のマイクロレンズ11a,13aに替えて四角錐構造を適用することができる。
また、図12に示されるように、スクリーン61は、四角錐構造11c、四角錐構造13cの凸構造が表示すべき画像に対応する光(光源装置からの光)の入射側に凸形状になるように配置されることが好ましい。ただし、表示すべき画像に対応する光に対するスクリーン61の向きはこれに限定されない。
四角錐構造11c,13cの凸構造が表示すべき画像に対応する光の入射側に配置されている場合、表示すべき画像に対応する光とは反対側から入射する光(例えば太陽光)に対して四角錐構造11c,13cは凹形状に配置される。四角錐構造11c,13cの凹形状に入射した光は、その入射方向と全く同じ方向に光反射される。この効果により、スクリーン61がシースルースクリーンとして使用されるときに、例えば太陽光の一部(基材3,5,7の反射率で決定される反射率:光量)は太陽光の入射方向と同じ方向に反射されるので、太陽光の逆光が低減又は防止される。なお、四角錐構造11cの配列と四角錐構造13cの配列について、ピッチもしくは高さ又はその両方は互いに異なっていることが好ましい。
図16は、スクリーンのさらに他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図16において、図1及び図13と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
この実施形態のスクリーン71のように、図13のスクリーン61と比較して、第2面11に他の光学素子、例えばマイクロレンズ11aが配置され、第3面13に四角錐構造13cが配置されるようにしてもよい。この場合、第3面13に配置された四角錐構造13cは第2面11側に凸形状を有することが好ましい。そして、スクリーン71は、表示すべき画像に対応する光の入射側に第2面11が位置し、反対側から入射する光(例えば太陽光)の入射側に第3面13が位置するように配置されることが好ましい。これにより、太陽光の逆光を効率よく低減又は防止できる。
図17は、スクリーンのさらに他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図17において、図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン81は、図1に示された基材3、基材5及び基材7に加えて、基材83と基材85を備えている。基材83と基材85は基材3、基材5及び基材7を挟み込むようにして配置されている。基材83は基材3側に配置されている。基材85は基材7側に配置されている。基材83及び基材85はそれぞれ光透過性を有する材料で形成されている。
例えば、基材83,65の材料は、ガラス(窓用ガラスを含む)、樹脂材料からなる基板やシート(PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリオレフィン、耐熱性樹脂:ORGA(登録商標))、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、光・熱硬化性樹脂、高分子材料、成形可能なガラス材料やセラミック材料などである。基材83,65の厚みは例えば1.0mm程度である。
スクリーン81は、図1に示されたスクリーン1と同様の作用及び効果を得ることができる。さらに、スクリーン81は、基材83と基材3との間に平坦な第1面9(この実施形態では基材83側から2番目の面)と、基材7と基材85との間に平坦な第4面15(この実施形態では基材83側から2番目の面)にも反射面を有する。したがって、スクリーン81は、光を反射する箇所(反射面の数)を多くすることができるので、モアレの発生を分散することができる。
上述された実施形態のスクリーン21,31,41,51,61,71について、図17に示されたスクリーン81と同様に、基材83と基材85で挟み込まれた構成にすることは可能である。また、基材3側のみ又は基材7側のみに基材83又は基材85が配置された構成も可能である。
本発明の実施形態のスクリーンは、第1反射面と第2反射面のうち少なくともいずれか一方の面において光学素子が不規則に配置されていれば、スペックル及びモアレの発生を低減することができ、また、視野角を調整することができる。
第1反射面又は第2反射面において光学素子が不規則に配置されている実施形態の例を説明する。
図18は、スクリーンのさらに他の実施形態の第2面及び第3面におけるブロック及び光学素子の配置例を説明するための模式的な平面図である。この実施形態のスクリーンの断面図は、図1と同様である。図18において、図2と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
この実施形態のスクリーン91では、第2面11においてマイクロレンズ11aが規則的に配列されている。マイクロレンズ11aの配置領域はブロックに分割されていない。第3面13においてはマイクロレンズ13a(例えば図3を参照。)の配置領域はブロックA13a〜A13dに分割されている。
スクリーン91は、第3面13においてマイクロレンズ13aが不規則に配置されているので、スペックル及びモアレの発生を低減したり、防止したりすることができる。また、スクリーン91は、上記のスクリーン1と同様に、視野角を調整することができる。
なお、第2面11(第1反射面)と第3面13(第2反射面)のどちら面において光学素子を不規則に配置するかは任意である。また、規則的又は不規則に配置される光学素子の種類も任意である。
上記実施形態では、光学素子の配列方向が不規則になっていることによって光学素子が不規則に配置されているが、本発明の実施形態のスクリーンにおいて、光学素子の不規則な配置の構成はこれに限定されない。配列方向以外の構成によって光学素子が不規則に配置されている実施形態の例を説明する。
図19は、スクリーンのさらに他の実施形態を説明するための模式的な断面図である。図20は、この実施形態のスクリーンの第2面及び第3面におけるマイクロレンズの配置例を説明するための平面図である。図19及び図20において、図1から図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン101では、第2面11に複数のマイクロレンズ11aが配置され、第3面13に複数のマイクロレンズ13aが配列されている。第2面11において、マイクロレンズ11aは規則的に配列されている。第3面13において、マイクロレンズ13aは不規則に配置されている。
第3面13に配置されたマイクロレンズ13aは、平面形状や大きさ、高さ、曲率半径が互いに異なるものを含んでいる。これらのマイクロレンズ13aはランダムに配置されている。
スクリーン101は、第3面13において、マイクロレンズ13aは不規則に配置されているので、スペックル及びモアレの発生を低減したり、防止したりすることができる。また、スクリーン101は、上記のスクリーン1と同様に、視野角を調整することができる。
なお、スクリーン101の構成に対して、第2面11のマイクロレンズ11aの配列は不規則であってもよい。例えば、マイクロレンズ11aの配列は、図1から図3を参照して説明したブロックA11a〜A11dのような不規則な配列であってもよいし、図20のマイクロレンズ13aの配置のような不規則な配置であってもよい。
図21は、スクリーンのさらに他の実施形態の第2面及び第3面における反射率分布を説明するための模式的な平面図である。この実施形態のスクリーンの断面図やマイクロレンズの配置は、図1から図3と同様である。
この実施形態のスクリーン111は、例えば図1から図3を参照して説明したスクリーン1と同様にマイクロレンズ11a,13aを備えているが、図21では反射率分布のみが図示されている。
この実施形態のスクリーン111では、第2面11及び第3面13は反射率分布を有している。例えば、第2面11は、X方向について、中央部の反射率が比較的高く設定され、周縁部の反射率が中央部よりも僅かに低く設定されている。また、第3面13は、X方向について、中央部の反射率が比較的低く設定され、周縁部の反射率が中央部よりも僅かに高く設定されている。これにより、モアレを見えにくくすることができる。
このような反射率分布は、例えば蒸着法において、基板の中央部と周縁部とで、蒸着源からの距離を異ならせて成膜される膜の厚みを異ならせることによって形成できる。例えば、基板の中央部に成膜される膜厚は、周縁部に成膜される膜厚よりも厚くなる。膜厚が厚いと反射率が高くなるか低くなるかは設計事項である。
なお、反射率分布を有する第2面11及び第3面13に配置される光学素子及びその配置状態は、図1から図3を参照して説明したマイクロレンズ11a,13a及びその配置状態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、反射率分布を有する第2面11及び第3面13に配置される光学素子及びその配置状態は、上述のスクリーンの実施形態において説明された光学素子及びその配置状態のいずれかと同様であってもよい。
また、本発明のスクリーンの実施形態は、第1反射面及び第2反射面の少なくとも一方が反射率分布を有していれば、モアレを見えにくくすることができる。また、反射率分布は図21に示されたものに限定されず、反射率分布は、モアレを見えにくくすることができる分布状態であればどのような分布状態であってもよい。
本発明の実施形態のスクリーンを備えた表示装置の一例を説明する。
図22は表示装置の一実施形態を説明するための模式的な構成図である。
表示装置121は、スクリーン1と光源装置123を備えている。スクリーン1は、例えば図1から図3を参照して説明した実施形態のものである。
光走査型の光源装置123は、例えば光源125と全反射ミラー127と光偏向器129を備えている。レーザー光を平行光として射出する光源125から射出されたレーザー光は全反射ミラー127で反射されて光偏向器129に入射する。光偏向器129に入射した光は光偏向器129によって偏向走査される。光偏向器129によって偏向走査された光はスクリーン1に照射される。光偏向器129は入射した光が所定の走査角度の範囲内で走査されるように振動されている。
光源装置123からスクリーン1の一表面1a側に照射された光の一部はスクリーン1で反射され、視認者に認識される。
また、一表面1aとは反対側の裏面1bからスクリーン1に入射した光の一部は、スクリーン1を透過して視認者に認識される。
スクリーン1はスペックル及びモアレの発生を低減又は防止できるので、表示装置121はスペックル及びモアレの発生が低減又は防止された画像を表示できる。なお、スクリーン1に替えて、上記実施形態のスクリーン21,31,41,51,61,71,81,91,101,111が配置された構成であっても、同様の作用及び効果が得られる。
表示装置121は例えばヘッドアップディスプレイとして用いられる。ヘッドアップディスプレイにおいて、スクリーン1は、いわゆるコンバイナー(combiner)として使用される。ヘッドアップディスプレイは例えば特許文献2に開示されている。
次に、本発明のスクリーンの参考例について説明する。
図23は、スクリーンの一参考例を説明するための模式的な断面図である。図24は、この参考例のスクリーンの第2面(第1反射面)及び第3面(第2反射面)におけるマイクロレンズの配置例を説明するための平面図である。図23及び図24において、図1及び図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン131において、第2面11に複数のマイクロレンズ11aが配置され、第3面13に複数のマイクロレンズ13aが配置されている。マイクロレンズ11a,13aは例えば正六角形が平面充填された六角緻密にそれぞれ規則的に配列されている。マイクロレンズ11aの配列のピッチは、例えば50μm〜300μm程度である。
スクリーン131において、マイクロレンズ13aの配列方向はマイクロレンズ11aの配列方向に対して例えば90度回転している(図24を参照。)。なお、マイクロレンズ11aの配列方向とマイクロレンズ13aの配列方向がなす角度は90度に限定されない。これらの配列方向がなす角度は任意であり、例えば15°、45°、70°などでもよい。
また、この参考例ではマイクロレンズ11a,13aの配列の一例として「正六角形が平面充填された六角緻密(ハニカム状)」を記載したが、マイクロレンズ11a,13aの配列は六角緻密に限定されるものではない。例えば、多角形の組み合わせでもよい。
マイクロレンズ11aのピッチdx11aは例えば300μm程度である。マイクロレンズ13aのピッチdy13aは例えば180μm程度である。マイクロレンズ11aのピッチdx11aとマイクロレンズ13aのピッチdy13aの比率は5:3(「素数」対「素数」)である。これにより、マイクロレンズ13aの頂点位置とマイクロレンズ13aの頂点位置の重なりを低減できる。
ここで「素数」とは、「2,3,5,…」のような、「1より大きい整数で、1とその数以外で割り切れない自然数」である。また、「1.1,1.2,1.3,…」のような「1よりも大きく、1と自身以外で割り切れない小数」であってもよい。
マイクロレンズ11aのレンズ深さ(レンズ高さ)は例えば24.5μm程度である。マイクロレンズ13aのレンズ深さは例えば8.7μm程度である。
マイクロレンズ11aの曲率半径及びマイクロレンズ13aの曲率半径は、例えば、ともに625μm程度である。
第2面11の反射率と第3面13の反射率は、基材3、基材5、基材7の各材料によって決定されうる。例えば、スクリーン131での第2面11の反射率は15%程度、第3面13の反射率は30%程度である。
スクリーン131は、第2面11のマイクロレンズ11aの配列ピッチと第3面13のマイクロレンズ13aの配列ピッチが「素数」対「素数」なので、モアレパターンの発生を低減したり、防止したりすることができる。また、スクリーン131は、スペックルの発生を低減したり、防止したりすることができる。
また、凹凸を有する反射面(第2面11及び第3面13)が2面形成されていることや、マイクロレンズ11a又はマイクロレンズ13aが不規則に配置されていることにより、スクリーン131は視野角を広げることができる。なお、第2面11、第3面13に配置されるマイクロレンズ11a,13aの配置と形状によって視野角を調整することができる。これにより、視野角調整機能の設計の自由度が向上した。
また、発生したモアレの距離を観察すると、モアレを発生させる距離を変更することができた。その結果、全体のモアレを消去することができた。例えば、ピッチdx11,dy13=100μmの場合はモアレ発生距離が約1mであった。また、ピッチdx11,dy13=300μmの場合は発生距離が約0.1m(10cm)であった。
スクリーン131は、光学素子が配置されている反射面として第2面11(第1反射面)及び第3面13(第2反射面)の2面を備えていることや、第2面11のマイクロレンズ11aの配列ピッチと第3面13のマイクロレンズ13aの配列ピッチが「素数」対「素数」であることで、モアレが観察されないようにした。
図25は、スクリーンの他の参考例を説明するための模式的な断面図である。図26は、この参考例のスクリーンの第2面及び第3面におけるマイクロレンズの配置例を説明するための平面図である。図25及び図26において、図23及び図24と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
この参考例のスクリーン21は、第2面11におけるマイクロレンズ11aの配列ピッチと、第3面におけるマイクロレンズ13aの配列ピッチが同じになっている。
図27は、第2面及び第3面に配置されたマイクロレンズアレイのピッチを変化させたときのスクリーンのスペックル及びモアレ解消機能の程度について調べた結果を示す図表である。図27において、ピッチ及び曲率(曲率半径)の単位はμmである。また、図27において「六角緻密」とは図24に示されたマイクロレンズの配列を意味している。また、「六角緻密90°回転」とは、図24に示されるように、第2面11のマイクロレンズ11aの配列方向に対して第3面13のマイクロレンズ13aの配列方向が90°回転していることを意味している。
図27において、効果「◎」は「モアレが観察されなかった」を意味する。効果「○」は「モアレが見る角度によってはわずかに観察された」を意味する。効果「△」は「モアレが僅かに観察された」を意味する。図27の結果から、モアレ低減の効果が得られたことがわかった。
図28は、第2面及び第3面に配置されたマイクロレンズアレイのピッチ及び曲率を変化させたときのスクリーンのスペックル及びモアレ解消機能の程度について調べた結果を示す図表である。図28中の語句の意味及び単位は図27と同じである。なお、「六角緻密60°回転」、「六角緻密45°回転」とは、第2面11のマイクロレンズ11aの配列方向に対して第3面13のマイクロレンズ13aの配列方向が60°又は45°だけ回転していることを意味している。
図28の結果から、第2面11と第3面13とでマイクロレンズの曲率が異なっても、配列ピッチの比率が整数倍に近いと、上記「○」程度の効果があるが十分ではないことがわかった。つまり、配列ピッチの比は「素数」対「素数」に変更するのがよいことがわかった。また、回転角度を「360°/多角形の辺数」の値の整数倍に変更しても、特段の大きな改善効果がないことがわかった。つまり、マイクロレンズ11aの配列方向とマイクロレンズ13aの配列方向がなす角度は、「360°/多角形の辺数」の値の整数倍ではない角度(「360°/多角形の辺数」×小数)であることが好ましいことがわかった。
図29は、スクリーンのさらに他の参考例を説明するための模式的な断面図である。図30は、この参考例のスクリーンの第2面及び第3面におけるマイクロコーナーキューブの配置例を説明するための平面図である。図29及び図30において、図23及び図24と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン151では、図23を参照して説明したスクリーン131と比較して、マイクロレンズ11aとマイクロレンズ13aに替えて光学素子としてマイクロコーナーキューブ11bとマイクロコーナーキューブ13bが配置されている。第2面11に複数のマイクロコーナーキューブ11bが配置されている。第3面13に複数のマイクロコーナーキューブ13bが配置されている。
マイクロコーナーキューブ11b,13bは例えば正三角錐形状を有している。マイクロコーナーキューブ11b,13bは例えば正三角形が平面充填された三角緻密にそれぞれ規則的に配列されている。スクリーン151において、マイクロコーナーキューブ13bの配列方向はマイクロコーナーキューブ11bの配列方向に対して例えば90度回転している(図30を参照。)。
マイクロコーナーキューブ11bのピッチdx11bは例えば300μm程度である。マイクロコーナーキューブ13bのピッチdy13bは例えば200μm程度である。マイクロコーナーキューブ11bのピッチdx11bとマイクロコーナーキューブ13bのピッチdy13bの比率は3:2(「素数」対「素数」)である。
スクリーン151は、第2面11のマイクロコーナーキューブ11bの配列ピッチと第3面13のマイクロコーナーキューブ13bの配列ピッチが「素数」対「素数」なので、スペックルやモアレパターンの発生を低減したり、防止したりすることができる。また、スクリーン151は、図23及び図24を参照して説明したスクリーン131と同様に、マイクロコーナーキューブ11b,13bの配置と形状によって視野角を調整することができる。
図31は、第2面及び第3面に配置されたマイクロコーナーキューブのピッチを変化させたときのスクリーンのスペックル及びモアレ解消機能の程度について調べた結果を示す図表である。図31において、ピッチの単位はμmである。また、図31において「三角緻密」とは図30に示されたマイクロコーナーキューブの配列を意味している。また、「三角緻密90°回転」とは、図30に示されるように、第2面11のマイクロコーナーキューブ11bの配列方向に対して第3面13のマイクロコーナーキューブ13bの配列方向が90°回転していることを意味している。
図31における効果の程度を表す印は図27と同じである。図31の結果から、ピッチの組み合わせは「素数」対「素数」の組み合わせがよいことがわかった。
図32は、スクリーンのさらに他の参考例を説明するための模式的な断面図である。図32において、図23及び図29と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン161では、図23を参照して説明したスクリーン131と比較して、第3面13に配置された複数のマイクロレンズ13aに替えて、図29を参照して説明したスクリーン151と同様に複数のマイクロコーナーキューブ13bが配置されている。複数のマイクロレンズ11aの配列は図24と同様である。複数のマイクロコーナーキューブ13bの配列は図30と同様である。
スクリーン161は、スクリーン131及びスクリーン151と同様に、スペックル及びモアレ発生の減少、ならびに視野角調整機能の設計の自由度の向上を実現できる。このように、光学素子としてマイクロレンズ、マイクロコーナーキューブ、後述する四角錐構造が組み合わされている構成であっても、本発明の参考例は上記作用及び効果が得られる。
図33は、第2面に配置されたマイクロレンズのピッチ及び曲率半径と、第3面に配置されたマイクロコーナーキューブのピッチを変化させたときのスクリーンのスペックル及びモアレ解消機能の程度について調べた結果を示す図表である。図33中の語句の意味及び単位は、図27及び図31と同じである。
図33における効果の程度を表す印は図27と同じである。図33の結果から六角形(マイクロレンズ)と三角形(マイクロコーナーキューブ)の組み合わせは非常に効果があることがわかった。
図34は、スクリーンのさらに他の参考例を説明するための模式的な断面図である。図35は、この参考例のスクリーンの第2面及び第3面における四角錐構造の配置例を説明するための平面図である。図34及び図35において、図23及び図24と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン171では、図23を参照して説明したスクリーン131と比較して、マイクロレンズ11aとマイクロレンズ13aに替えて光学素子として四角錐構造11cと四角錐構造13cが配置されている。第2面11に複数の四角錐構造11cが配置されている。第3面13に複数の四角錐構造13cが配置されている。
四角錐構造11cと四角錐構造13cは例えば正四角錐形状を有している。複数の四角錐構造11cと複数の四角錐構造13cは例えば正方形が平面充填された正方形緻密(格子状)にそれぞれ配列されている。スクリーン171において、四角錐構造13cの配列方向は四角錐構造11cの配列方向に対して例えば45度回転している(図35を参照。)。
四角錐構造11cのピッチdx11cは例えば300μm程度である。四角錐構造13cのピッチd13cは例えば200μm程度である。四角錐構造11cのピッチdx11bと四角錐構造13cのピッチd13cの比率は3:2(「素数」対「素数」)である。
スクリーン171は、第2面11の四角錐構造11cの配列ピッチと第3面13の四角錐構造13cの配列ピッチが「素数」対「素数」なので、スペックルやモアレパターンの発生を低減したり、防止したりすることができる。また、スクリーン171は、図23及び図24を参照して説明したスクリーン131と同様に、四角錐構造11c,13cの配置と形状によって視野角を調整することができる。
また、図34に示されるように、スクリーン171は、四角錐構造11c,13cの凸構造が表示すべき画像に対応する光(光源装置からの光)の入射側に凸形状になるように配置されることが好ましい。ただし、表示すべき画像に対応する光に対するスクリーン171の向きはこれに限定されない。
四角錐構造11c,13cの凸構造が表示すべき画像に対応する光の入射側に配置されている場合、表示すべき画像に対応する光とは反対側から入射する光(例えば太陽光)に対して四角錐構造11c,13cは凹形状に配置される。四角錐構造11c,13cの凹形状に入射した光は、その入射方向と全く同じ方向に光反射される。この効果により、スクリーン171がシースルースクリーンとして使用されるときに、例えば太陽光の一部(基材3,5,7の反射率で決定される反射率:光量)は太陽光の入射方向と同じ方向に反射されるので、太陽光の逆光が低減又は防止される。なお、四角錐構造11cの配列と四角錐構造13cの配列について、ピッチもしくは高さ又はその両方は互いに異なっていることが好ましい。
図36は、スクリーンのさらに他の参考例を説明するための模式的な断面図である。図36において、図23及び図34と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
この参考例のスクリーン181のように、第2面11に他の光学素子、例えばマイクロレンズ11aが配置され、第3面13に四角錐構造13cが配置されるようにしてもよい。この場合、第3面13に配置された四角錐構造13cは第2面11側に凸形状を有することが好ましい。そして、スクリーン181は、表示すべき画像に対応する光の入射側に第2面11が位置し、反対側から入射する光(例えば太陽光)の入射側に第3面13が位置するように配置されることが好ましい。これにより、太陽光の逆光を効率よく低減又は防止できる。
図37は、スクリーンのさらに他の参考例を説明するための模式的な断面図である。図37において、図17及び図23と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
スクリーン191は、図23に示された基材3、基材5及び基材7に加えて、図17に示された基材193と基材195を備えている。スクリーン191は、光を反射する箇所(反射面の数)を多くすることができるので、モアレの発生を分散することができる。
図25、図29、図32、図34又は図36に示された参考例のスクリーン141,151,161,171,171について、図37に示されたスクリーン191と同様に、基材193と基材195で挟み込まれた構成にすることは可能である。また、基材3側のみ又は基材7側のみに基材193又は基材195が配置された構成も可能である。
以上、本発明の実施形態及び参考例が説明されたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
本発明のスクリーンの実施形態において、第1反射面及び第2反射面に配置される光学素子の設計上の解は、ピッチが小さい方が好ましい。例えば、光学素子がマイクロレンズである場合、曲率半径が同じでピッチが大きい場合は、レンズサグ量(レンズ高さ)が大きくなるために、光が谷部に侵入してしまい光が観察者側に戻ってこなくなる。
なお、上記のレンズ設計結果及び考察から、反射面として機能するマイクロレンズアレイは、設計上は曲率半径Rが大きい(曲率が緩やか)である方がよいと考えられがちであるが、曲率半径Rは観察者側の視野角を制御する重要な設計事項である。したがって、一概に曲率半径について大小を論じることはできない。
また、視野角を広く取り、スペックル及びモアレを解消するために、マイクロレンズ、マイクロコーナーキューブ、四角錐構造の形状は、ランダム配置とする面が1面以上あることが有効である。
また、反射面構造は、必ずしも整った形状のマイクロレンズ、マイクロコーナーキューブ、四角錐構造である必要はない。例えば、マイクロレンズ、マイクロコーナーキューブ、四角錐構造の形状において、先端構造が一部平坦構造である物(設計)も有効である。
さらには、言うまでもないが、マイクロレンズの曲率やマイクロコーナーキューブの底面角度は一定である必要ない。例えばマイクロレンズで言えば、非球面構造や自由曲面構造であってもよい。マイクロコーナーキューブや四角錐構造の反射面は、平面である必要はなく、曲面の構造であってもよい。
また、第2面11(第1反射面)と第3面13(第2反射面)において、四角錐構造の場合は、底面が正方形である必要はなく、長方形であってもよいし、楕円形状であってもよい。なお、第2面11における光学素子の配列方向と、第3面13における光学素子の配列方向は、互いにある角度をもっている方が効果はある(θ方向にズレていることがよい)。
また、第2面11(第1反射面)と第3面13(第2反射面)において、光学素子は平面充填されているが、光学素子の配置領域の中に光学素子が配置されていない領域(隙間)があってもよい。
また、本発明の実施形態のスクリーンの用途はヘッドアップディスプレイに限定されない。また、本発明の実施形態の表示装置はヘッドアップディスプレイに限定されない。本発明の実施形態の表示装置は、スクリーンと、表示すべき画像に対応する光をスクリーンに照射する光源装置とを備えた表示装置に適用できる。本発明の実施形態のスクリーンは、例えばショーウインドウや透明窓、自動車のフロントガラスやリヤガラス、電話ボックスやエスカレータ側面などの透明壁、展示物の保護ガラスなど、透明部材に適用できる。