JP3732251B2 - レンズ配列シート、面光源及び透過型表示体 - Google Patents

レンズ配列シート、面光源及び透過型表示体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透過型の液晶表示素子、広告板等の透光性表示体のバックライト(背面光源)用の照明手段として、均一に明るい優れた性能を発揮するレンズ配列シートと、それを用いた面光源、及び透過型表示体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、透過型の液晶表示素子において、軽量化、低消費電力化の要求は一段と高まり、光源からの光を有効に利用し、必要十分な方向のみに均一的に導く面光源において、光を特定の方向に集光すべく各種の提案がされている。
これらは、通常、透明なアクリル樹脂等の板材からなる導光体の側面に光源を配置し、側面から導光体内に入射した光源光を、導光体の裏面の反射層で反射させ、導光体の上側表面の光放出面から、光源光を出射させて利用するものである。その際、光を均一化させる為に、導光体の上側表面には、拡散シートを配置したり、また特定の方向のみの放出光として集光させる為に、レンズ作用をするレンズ配列シートを配置したりする構成の面光源が使用される。このような導光体の側面に光源を配置する面光源は、その構成からエッジライト型(或いはサイドライト型)の面光源と言われている。
また、光源を拡散シートやレンズ配列シートの真下に配置する直下型面光源もあるが、液晶表示素子用の面光源としては、厚手となることから用途が限定さているる。
【0003】
以上の様な面光源においては、光源からの光を無駄なく有効に利用するための種々の工夫が提案されており、光を特定の方向への放出光として集光させるレンズ配列シートもその一つである。レンズ配列シートは、例えば図10の様に三角柱のプリズムを単位レンズとして、これを各単位レンズの稜線方向が互いに平行になるように一次元方向に多数配列したもの等が知られている。さらに斯るレンズ配列シートを二枚重ねして使用して、光をより集光して輝度を上げることも提案されている。
例えば、特開平5−203950号公報、特開平5−313156号公報、及び特開平5−313164号公報では、三角柱プリズムを単位レンズとしたレンズ配列シートを二枚重ねる構成が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンズ配列シートを二枚重ねると、2次元方向(縦方向と横方向)の集光効果により輝度向上が成される反面、問題点もある。それは、上側面に単位レンズを配置して裏面が平滑面のレンズ配列シートであると、上側のレンズ配列シートの裏面と下側のレンズ配列シートの単位レンズの頂点部とが微視的に密着する。しかし、その結果、光学的に透明化する密着部分は、下側の単位レンズの頂点部分に沿った形状となるので、レンズ頂点形状が目視されてしまう。例えば、単位レンズが三角柱レンズなら頂点部は稜線であり、多数の線分が目視されてしまう。
また、2枚のレンズ配列シートの間隔の微妙な差によって、面光源の全面に同心円状又は同心楕円状の模様として等厚干渉縞の一種であるニュートンリングが発生することもある。
このため、レンズ配列シートの裏面をマット処理して微小凹凸を形成し、レンズ配列シート同士の密着を防止する試みを本願特許出願人は特願平5−323214号で提案した。
【0005】
ところが、レンズ配列シートの裏面をマット処理すると、そこで光が乱反射して、拡散シートの様な作用をし、目的とする方向を中心とする所望の拡散角内へ光を集光させるレンズ配列シートの機能を低下させたり、或いはマット処理により光が遮蔽されたり(特に光拡散剤粒子を練り混んだ場合)して、輝度が大幅に低下することがある。また、マット処理では、レンズ配列シート裏面の凹凸の高さが完全に均一ではない為に、二枚のレンズ配列シートの間隔の微妙な差が避けられず、やはり等厚干渉縞が発生するという問題もある。
【0006】
一方、レンズ配列シートを一枚のみ使用する構成でも、レンズ配列シートの裏面が平滑であると、エッジライト型の面光源の導光体の光放出面上にレンズ配列シートを配置したとき、レンズ配列シートと導光体の光放出面とが密着することで光学的に一体化して、導光体の表面での光の全反射による光源光の全面均一な分配が不可能となる。また、導光体とレンズ配列シートとの間に空隙を設けるために、導光体又はレンズ配列シートの四隅にスペーサーを設けたとしても、レンズ配列シートが撓み変形することにより、導光体とレンズ配列シートとの間隔の微妙な差は避けられず等厚干渉縞が発生する。そこで、レンズ配列シートの裏面全面に光源光の波長以上の微小凹凸を設けることが、例えば特開平5−323319号公報及び特開平6−324205号公報では提案されている。
しかし、此の場合もこのような微小凹凸が砂目、梨地等の光等方拡散性のパターンの為、導光体から出射する光線の一部が視野角外にサイドローブ光として散逸したり、或いは光拡散剤粒子により遮蔽、吸収されたりする結果レンズ配列シートの集光作用が低下し、光源光のエネルギーが無駄になり輝度が低下するという問題もある。
【0007】
そこで、本発明では、上記のような問題点を解決し、光源光の光エネルギーを有効に利用し、集光作用を維持しつつ輝度低下がなく、等厚干渉縞や視野角外への無駄な光の散逸がないレンズ配列シートと、それを用いたエッジライト型の面光源、さらに該面光源を用いた明るい透過型表示体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明のレンズ配列シートでは、透明基材の表面側に、単位レンズを1次元又は2次元方向に配列してなるレンズ配列を有し、裏面側には、多角柱状で各辺の長さが光源光の波長以上且つ500μm以下の微小突起を多数、全面に、ランダムな二次元分布にて配列してなる微小突起群を設け、
とする。
また、上記レンズ配列シートにおいて、微小突起が直方体である構成でもある。
また、上記レンズ配列シートにおいて、レンズ配列シートの水平面と単位レンズを構成する面とが交わる交線と、前記水平面と微小突起群を構成する各直方体の側面とが交わる交線とが、互いに非平行とする構成でもある。
【0009】
また、本発明の面光源では、少なくとも、透光性平板からなる導光体と、該導光体の側端面のうちの1面以上の面に隣接して設けられた光源ユニットと、前記導光体裏面に設けられた光反射層と、前記導光体表面の光放出面上に、微小突起群を導光体表面側に向けて積層してなる1枚又は2枚の上記本発明のレンズ配列シートと、から構成し、エッジライト型面光源としたものでもある。また、本発明の面光源は、少なくとも、透光性平板からなる導光体と、該導光体の側端面のうちの1面以上の面に隣接して設けられた光源ユニットと、前記導光体裏面に設けられた光反射層と、前記導光体表面の光放出面上に、請求項1,2又は3記載のレンズ配列シートを2枚積層して成る面光源であって、前記2枚のレンズ配列シートのうち、前記導光体側のレンズ配列シートが其の微小突起群を前記導光体表面側に向けて積層した構成である。
【0010】
また、本発明の他の面光源では、前記本発明のレンズ配列シートを1枚使用した面光源の構成において、さらに、導光体と本発明のレンズ配列シートとの間に、導光体側から順に、
表裏面に光源光の波長以上の凹凸がある光拡散シートと、
透明基材の表面側に単位レンズを1次元又は2次元方向に配列してなるレンズ配列を有し、裏面側は微小突起が無く平滑面であり、裏面を導光体表面側に向けた裏面平面レンズ配列シートと、
を重ねて配置した構成とする。
【0011】
また、本発明の透過型表示体は、上記本発明の面光源を透光性表示体の背面光源として備えた構成とする。
【0012】
以下、図面に従って本発明のレンズ配列シート、それを用いたエッジライト型の面光源、またその面光源をバックライトとして用いた透過型表示体を詳述する。
【0013】
先ず、図1は本発明のレンズ配列シートの一実施例を示す斜視図である。図1に示す本発明のレンズ配列シート1では、透明基材シート31の片面に単位レンズ41として三角柱レンズを用い、該単位レンズを、その稜線方向が互いに平行になる様に隣接させて一次元方向に多数配列してなるレンズ配列4を有し、他方の面(図1では、微小突起が判りやすいように上側にしてある)に、微小突起21として直方体を多数、全面に、ランダムな二次元分布にて配列してなる微小突起群2を設けたものである。
【0014】
本発明のレンズ配列シートは、レンズ配列とは反対側の面に設けられる微小突起群に特徴があり、微小突起群は、多角柱状で各辺の長さが光源光の波長以上且つ500μm以下の微小突起が、多数、全面に、特定の操作によって得られたランダム性による二次元分布にて配列して構成されるものである。
【0015】
先ず、微小突起21の形状は、多角柱状であり、多角柱としては、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱等があり、なかでも、四角柱は、菱形柱、正四角柱等があるが、柱状体の側面をなす対向する2辺が平行である直方体形状からなる四角柱が、製造が容易である点、モアレが出にくい点で好ましい。
図2は、この直方体からなる一つの微小突起21の形状を示すものであり、高さH、底辺a及びbの三者の大きさの関係は、a=b=H(立方体)、a=b≠H、a≠b=H、a≠b≠Hのいずれであっても良い。
微小突起の高さHは、図3に例示する如く、レンズ配列シートを実装する場合に、他のレンズ配列シート或いは導光体の光放出面とのスペーサ的役割を果たすものであり、レンズ配列シートの全面に分布する全ての微小突起の高さHが、同一の方がレンズ配列シートを実装した時に撓まず、均一な間隔を確保できるのでニュートンリングが出にくく、好ましい。また、辺a及びbの長さは、各微小突起31毎に異なっても良いし同一でもよい。
【0016】
また、高さH、辺a及びbの寸法は、光源光の波長以上且つ500μm以下、より好ましくは125μm以下とすることが好ましい。なお、光源光のスペクトルに分布があるときは、その可視光スペクトルの最大波長以上とする。光の波長未満では、等厚干渉縞の発生、あるいはレンズ配列シートと導光体との光学的密着の一体化を効果的に防止することができず、逆に、500μmを越えると、レンズ配列シートが撓み変形しやすくなったり、表示体の画素との間にモアレ縞が生じ易くなったり、微小突起が目視され易くなったり、あるいは製造がしにくくなることもあるなど、寸法を大きくする意味が無くなる。
【0017】
微小突起21の高さHを光源光の波長以上とすべき理由について、以下に詳述する。
先ず、レンズ配列シートが板状の導光体上に置かれ、レンズ配列シート裏面と導光体表面とが接する場合について考察する。
図20に示す様に、導光体51内から空気中に向かって進行する入射光L1 が導光体51と空気との界面である導光体表面55に達したとき、入射角θが臨界角θcよりも大きければ全反射を起こし、入射光L1 のエネルギーは全て反射光L1Rとなって入射光は空気中には進入しない。
しかし、この現象を微視的に見てみると、入射光の電磁場はトンネル効果によって導光体表面55から光源光の波長λ程度の距離は空気中に浸透している。この浸透したトンネル電磁場L1Vの強度は進入距離の指数関数で減衰し、波長λ程度まで進んだところで全て導光体51側へ引き返してしまう。よって、巨視的に見ると全光エネルギーが導光体表面55で反射することになる。
【0018】
その為、図21に示す様にレンズ配列シート1と導光体表面55との距離ΔXが、光源光の波長未満の距離(ΔX<λ)に迄接近すると完全に減衰していないトンネル電磁場L1Vが、レンズ配列シート1の内部で再び進行波(出力光)L1Tになり、光はレンズ配列シート1内に透過することになる。
故に、微小凹凸21の高さHが、H<λとなるときは、導光体表面55の全面にわたって、導光体内からの光の全反射は生じなくなる。その結果、例えば図22に於ける入射光L3 のように、光源近傍の入射角は臨界角未満で入射する為に、出力光L3Tとして取り出されるが、光源から或る程度以上離れた部分への入射光、例えば図22のL2 の様な光は全て臨界角以上の入射角になるので、導光体表面55で全反射されてしまい出力光とはならない。よって、導光体表面からの出力光の輝度の分布は、光源近傍のみ明るく、その他の領域は暗いものとなってしまい好ましくない。
【0019】
一方、微小突起21の高さHが、
H≧λ 〔式1〕
となるときは、光源から離れた領域においても、微小突起21と導光体51とが接触している部分では図22のL1 の様に入射光L1 は全反射せずに何割かの光が透過光L1Tとなって出力光が得られる。
その為、光源から離れた領域においても、導光体の表面からの出力光量は十分確保される。
また、各微小突起21の間の部分に入射した光は、例えば図22のL2 の様に、導光体表面上に光の波長以上の空隙9がある為、導光体表面55で全反射される。
よって、L2 はその場では出力されず、より光源から遠方に配分されそこで出力光として利用される。
【0020】
以上の考察からわかるように、微小突起21の高さHがH≧λとなるレンズ配列シートを、その微小突起が導光体表面に対向する様に載せることにより、導光体表面の全領域にわたって、均一な輝度分布の出力光を得ることが可能となる。
【0021】
次に、レンズ配列シートを2枚重ね合わせて使用する場合について考察する。本発明と同一出願人による特願平5−323214(本出願の出願時においては未公開)で提案したように、2枚のレンズ配列シート間での等厚干渉縞を消失させる条件は、微小突起21の高さH、光源光の波長λ、観察者からレンズ配列シートの光反射面(表面、裏面等)で反射させて見た外界からの照明光源(窓からの日光、天井の電灯からの光等)の視野角をφとした場合、
H≧λ/(2Δφ2 ) 〔式2〕
となる。
しかし、通常のレンズ配列シートの使用条件に於いては、〔式1〕が満たされれば〔式2〕は満たされてしまう。すなわち、λ/(2Δφ2 )≧λが成立する。
いま、〔式2〕の具体的数値を求めると、外部光源として0.38μm≦λ≦0.78μmの白色光を用いてレンズ配列シートの表面を観察するとし、また、その外部光源の角半径を通常屋内照明又は窓からの自然光によって、10°≦Δφ≦120°、すなわち、0.175〔rad〕≦Δφ≦2.094〔rad〕とすると、〔式2〕より、〔式2〕の右辺が最も少ない、Δθ=0.175〔rad〕、及びλMAX =0.78〔μm〕に対応する値として、
H≧12.5〔μm〕>λMAX =0.78〔μm〕
を得ることができる。
【0022】
微小突起21の底面の寸法a,bは、スペーサとしての最低限の強度を確保するためには、その高さHにもよるが1μm以上必要である。又125μm以上、特に500μmを越えると微小突起が目視可能となったり、液晶表示素子への利用では、その画素とのモアレ縞が生じやすくなるため好ましくない。
【0023】
上記のような寸法の微小突起21のレンズ配列シート面での二次元分布は、ランダム分布が好ましい。もしも、微小突起が周期的に配列していると、微小突起とレンズ配列シートの反対面に有する単位レンズ(殆どの場合、周期的配列をしている)とが、必ずある周期で重なりあうために、モアレ縞となって現れてしまう。また、このようなレンズ配列を構成する単位レンズの配列周期以外にも、カラー液晶表示素子のバックライトとして使用する場合には、表示素子の画素の配列周期とも干渉してモアレ縞が現れやすい。従って、微小突起の配列は、非周期化することによりモアレ縞の発生が防止される。
【0024】
しかし、モアレ縞は以上のように微小突起21の配列をランダム化しても、各微小突起の多角柱の形状が同一で向きが揃っていると、各微小突起の同種(例えば、台形ならば上底同士)の各側面が全て同一の方向を向いている為に、これら同一向きの微小な側面が集合して、あたかも大きな仮想的側面を形成する様になる。この仮想的側面は微小突起がランダム配列をしているから、周期性はないが、レンズ配列を構成する単位レンズが有する面とが干渉して、モアレ縞が発生することがある。
従って、単位レンズを構成する面と、微小突起の有する側面とを、或る一定の関係にすることが好ましい。
【0025】
図4は、このモアレ縞の発生を防止する為の説明図である。例えば、図4(a)のように、レンズ配列シート1のレンズ配列は三角柱レンズの単位レンズ41から構成される場合を考えてみる。レンズ配列シート1の出射面は、X−Y平面に平行な面であり、これを水平面とする。なお、出射面に垂直な法線方向はZ軸方向(図示せず)である。単位レンズ41を構成する面は、山谷を成す斜面42であるが、この面(斜面)と水平面との交わる交線と、X軸とは平行な線となる(X軸が交線と平行になるように座標軸をとってある)。なお、厳密には、斜面は有限な面であり、水平面もZ軸座標の取り方により多数あり、斜面と水平面とは条件次第で交わらないが、ここでの交線とは前記面(斜面)を延長して水平面と交わる線の意味である。もちろん、三角柱な単位レンズで、それを一次元方向に配列した場合には、交線は一種類のみであるが、四角錐等の他の種類の単位レンズを二次元方向に配列した場合は、単位レンズを構成する面から導出される交線は、二種類以上の場合もあり、それらの交線が直行しない場合もある。
【0026】
次に、図4(b)は、三角柱レンズの単位レンズ41から導出される交線を基準とした、X−Y座標軸に対して、微小突起群2から導出される一つ交線をX′軸として、直行系のX′−Y′座標軸を重ね合わせたものである。
各微小突起21(ここでは、直方体)の向きは全て揃っていて、それらの側面とレンズ配列シートの水平面との交線は、二種類あり直交し、X′軸に平行な交線とY′軸に平行な交線である。このX′軸と先のX軸とは角度αをなす。
なお、微小突起は多数散々しており、それらの多数の側面とレンズ配列シートの水平面との交線も多数あるが、微小突起の向きが揃っているので、交線の方向で代表して直方体の場合は直交する交線の二種類となる。
【0027】
X軸とX′軸のなす角度αがゼロであれば、平行となりモアレ縞が発生し易い。しかし、このような単位レンズから導出される交線と微小突起から導出される交線とを5°を越えて離すように、双方の配置をとればモアレ縞は防止できる。すなわち、直方体の場合、角度αが時計回り(右回り)で、5〜85°の範囲、より好ましくは10〜80°の範囲であれば、モアレ縞の発生は効果的に防止できる。また、角度αは、反時計回りで、−5〜−85°、より好ましくは−10〜−80°の範囲でも良い。直方体の場合、85°を越えると、注目する側面から導出される交線についての角度は、さらに大きくなるが、隣接する側面(前記側面に対して90°をなす)との関係が、平行関係に近くなり、隣接する側面との関係でモアレ縞が発生し易くなる。このように、多角柱の側面との関係で、平行から5°を越えて離せば、モアレ縞の発生は防止できる。
【0028】
なお、微小突起が例えば直方体からなり、各直方体の注目した同種の側面とレンズ配列シートの水平面との交線と、単位レンズの面と前記水平線との交線とが、上記のように5°を越えた或る角度に規定する際に、配置する全ての微小突起(この場合直方体)の向きを全て揃える必要はない。例えば、全微小突起の1%の数が水平であったとしても、それらが、隣接して部分に集合していなければ、モアレ縞の発生の起因となる平行関係を定義する程の強度を持たないからである。
この意味で、本発明の請求項3において、各直方体の側面から導出される交線と単位レンズから導出される交線とが互いに非平行であるとする、「各直方体」の意味は、必ずしも配置した全ての直方体が非平行関係を有することに限定されるものではなく、配置した直方体の一部には平行関係があっても大勢として非平行関係があるとの意味も包含する。
【0029】
本発明の微小突起としては、直方体以外にも多角柱でもよいが、以上の説明で対象とした直方体の場合、その側面は互いに90°をなしているので、90°回転する毎に同様な状況となる。しかし、直方体の場合、その対向する側面同士が平行であるで、モアレ縞発生防止において、考慮する交線は互いに直行する二種類の交線のみである。しかし、直方体以外の多角柱、例えば、三角柱であれば、考慮する交線は三種類、五角柱の場合は五種類と、いずれも直方体の場合よりも多くなる。従って、モアレ縞が発生する条件は多くなり、設計の自由度が減少する。勿論、四角柱であっても、隣接する側面同士が直角でない、自由四角柱では、考慮する交線は四種類と多くなり、この点で、対向する側面が平行な、底面が平行四辺形や、菱形からなる四角柱でも、モアレ縞の発生を、直方体と同等に防止することができる。しかし、製造の容易さの点からは、これらの平行四辺形や菱形からなる四角柱よりも、直方体の方が優れている。
なお、側面から導出される交線が直線を成さない場合として、nを無限大としたn角柱、すなわち側面が曲面からなる円柱、楕円柱等があるが、この場合、上記直方体に対して、例えば、微小突起群作成の為の原版フィルムをスキャナー等の平行なスキャニング方式で行うと、突起が微小であるために、スキャニングラインと平行又は直角でない側面を形成する円形等の輪郭にギザが出来て、本来の円柱の滑らかな側面が出来ない。
【0030】
なお、微小突起をランダムに配置する方法としては、レンズ配列シートの全面に相当する所定面積のXY平面内に、乱数を用いて微小突起を配置するX,Y座標を発生させても良いが、この場合、生成する座標点同士の分布に目視すると認識できる程度の分布ムラができることがある。
そこで、本発明のレンス配列シートでは、微小突起を設ける座標点を或る特定の規則により発生させて、微小突起の数の大小に拘らず、ムラが少なく所定面積に於いてほぼ個数の面密度が均一に且つランダムに微小突起を分布させる。
【0031】
すなわち、本発明では、微小突起を設ける座標点を最初からランダムに配置するのでなく、先ず最初に規則的且つ均一に配置した座標点を想定し、係る座標点の各々をランダムな方向に移動させて再配置することで、結果としてランダムな配置としたものである。従って、或る面積の大きさに納まる微小突起の数(個数の面密度)は、最初に想定した規則的に配置した突起の数及び配置によって略決まっている。
上記の規則的且つ均一に配置した座標点は、図5(a)〜(c)で示される二次元格子の格子点8によって得られる。二次元格子とは、単位格子を隣接して周期的に二次元的に配列したものである。二次元格子をその単位格子により説明すれば、例えば、図5(a)の様な直行座標系でX軸方向の格子長a、Y軸方向の格子長bが等しい正方形からなる正方格子がある。また、単位格子の格子長aと格子長bが等しくないもの、或いはこれらで座標軸が直角でない斜交座標系のものとして平行四辺形格子等がある。また、図5(b)の様なかごめ格子、図5(c)の様な六角格子等がある。
【0032】
次に、上記二次元格子の各格子点をランダムな方向に移動し再配置する方法の一例を説明する。例えば、図5(a)の二次元格子では各格子点の座標P(Px,Py)のX座標Px及びY座標Pyは〔式3.1〕で表される。そして、ランダム化処理後の新たな不規則化された格子点の座標R(Rx,Ry)は〔式3.2〕及び〔式3.3〕で表される。
【0033】
Px=a×n,Py=b×m 〔式3.1〕
Rx=a×n+α×RND 〔式3.2〕
Ry=b×m+β×RND 〔式3.3〕
【0034】
なお〔式3.1〕〜〔式3.3〕に於いて、aはX軸方向の単位格子長、bはY軸方向の単位格子長であり、n及びmは、各々独立で0を含む正又は負の任意の整数である。また、RNDは−0.5以上、+0.5以下の一様な乱数を発生する乱数関数である。α及びβは得られた乱数に乗じる係数である。また、乱数関数が発生する乱数の範囲を0以上、1以下として、得られた乱数から0.5を減算しても同じことである。
ここで、α及びβが各々a及びbに比べて小さいとき、ランダム化後の不規則化された格子点は元の格子点の近傍に再配置され、α及びβがゼロに近づくにつれて元の格子点に漸近し、ランダム性は漸減する。逆にα及びβが各々a及びbに比べて大きいとは、最初の格子点の規則性は少なくなる。従って、α及びβを各々a及びbに対して適当な値とすることで、元の規則性と後のランダム性とを適度に融合したランダムな座標点が得られる。ちなみに、図5(d)はα=1.4a、β=1.4bに、図5(e)はα=0.4a、β=0.4bにした時に得られた不規則化された格子点であり、また、係る不規則化された格子点を正方形の微小突起の座標点として配置した微小突起群2を示すものでもある。
【0035】
また、上記不規則化された格子点に微小突起を配置して各格子点を微小突起の位置とする場合、有限の面積を有する微小突起の位置とは、例えば微小突起の中心をその代表座標として格子点の位置に配置する等と任意であるが、配置する全ての微小突起は全て同一定義による代表座標で配置するのが基本である。同一定義としない場合は、ランダム化した格子点の座標に新たな要素が加わり、特定の条件を付与しないと先のランダム化は維持されない。また、配置する微小突起の底辺の寸法(即ち底面積)は後述する面積比率Rを満たす様に設定する。
なお、上記のランダム化処理は、コンピュータによって演算処理すれば良く、その結果を製版用のフィルム原版に焼き付ければ良い。また、或る限定された面積についてランダム化処理した微小突起群を一単位として、天地左右に繰り返して繋いで最終的に必要とする面積の微小突起群としても良い。これは、公知の殖版技術を応用すれば良い。
【0036】
また、図6(a)の様に、生成した複数の座標点22同士の中には、隣接しすぎて、その座標に有限な大きさを有する微小突起を配置すると、微小突起同士が接触して重複部分23ができることもあり得る。なお、図6(a)で、点線は、重複部分を明示するための仮想的な線である。このような場合、そのままの重なった形状とすると、微小突起が大きくなり、目視可能になることもあり得る。このため、一つの解決法として、図6(b)のように、重複部分の微小突起の高さHはゼロとすることが好ましい。この様にして、隣接して重複した微小突起同士が融合して微小突起の頭頂部が広くなることを防止できる。それによって、微小突起同士が重複しても、微小突起が大きくなって目視可能となることを防止できる。
【0037】
なお、前記した各微小突起と構成面と単位レンズの構成面との関係で発生するモアレ縞は、各微小突起を配置する際に、全て同じ向きに配置するために、各微小突起のなす側面が全て揃って、認識可能な交線を定義してしまい、この交線と単位レンズの成す面から導出される交線との関係が発生することに起因する。しかし、各微小突起が全て同一形状であっても、各微小突起を配置する際に、ランダムな向きに配置させれば、すなわち、図4(b)では、各微小突起は全て同一の向きであったが、X−Y平面に対して垂直方向のZ軸方向を回転軸としてランダムに回転させて配置すれば、各微小突起の側面がなす面から得られる交線は、それぞれ分散された任意の角度を有し、特定の角度に定義された交線は無くなり、このようにしても、モアレ縞発生を防止できる。しかし、レンズ配列シートの製造上の容易さの点からは、先の同一の向きにする方が良い。
【0038】
この点では、円柱、楕円柱等が優れている。しかし、前述したように、滑らかな曲面を持った側面の製造上の難しさがある。また、上記方法によりランダムに配置する際に、隣接する微小突起同士が重なった場合の対策の一例として上記した高さHをゼロとする方法では、接触部分に鋭角的な断面形状ができ、これもまた製造上の難しさとなる。
但し、高さHをゼロとする方法をとらず、二次元格子点座標を乱数で補正してランダム化する際に、二次元格子点の格子点間隔を大きく且つ該格子点をの乱数による補正量を小さくして、最大の補正量で格子点から最も離れた新たなランダム化さたれ格子点(座標点)においても、隣接する微小突起同士が重なり合わない様にすれば、重なった場合の対策は不要となる。
【0039】
また、微小突起の分布密度は、レンズ配列シートが撓んで等厚干渉縞が出来ない程度であり、また、レンズ配列シートにある程度の剛直性があったとしても、下側となる導光体やレンズ配列シートとの間で均一な間隔が確保でき、間隔の微妙な差によって、やはり等厚干渉縞が出来ない程度に、適宜、設定する。従って、前記した二次元格子の格子サイズはこの分布密度の観点から決めれば良いものである。
微小突起の断面積をゼロと見立てた場合の分布密度、即ち微小突起を配置する個数的な分布密度は、特に、2枚のレンズ配列シートを重ね合わせて使用する場合、上側のレンズ配列シート裏面の微小突起の隣接する突起間の平均距離dを、下側のレンズ配列シート表面の単位レンズの繰り返し周期pの2倍以下、すなわち、d<2pとすることが好ましい。このように設計することにより、互いに接触支持される上側レンズーシート裏面の微小突起21と下側レンズ配列シート表面の単位レンズ41との支持接点間が撓んで、上下レンズ配列シート間の間隔が不均一となって等厚干渉縞がでたり、上下レンズ配列シート間隔が光源光の波長未満となることを防止できる。平均距離dはより好ましくは、d<0.5pである。
【0040】
一方、微小突起の断面積を有限のものとして評価した場合のレンズ配列シートが撓んでも等厚干渉縞を防止し得る分布密度としては、レンズ配列シート1と導光体51とが対面している全面積Stに対する、前記突起部の断面積の総和Spの面積割合Sr(=Sp/St×100)で0.01〜60%程度が好ましい。スペーサ的な機能としては最小限で機能することが好ましいが、レンズ配列シートの撓みの点からはある程度必要であり、また、下記する導光体と組合わせて面光源とする場合に、輝度の面分布の均一化の為にも、ある程度は必要である。
【0041】
輝度の面分布に関係する要因を考えるには、上記する面積割合Srと逆関係にある面積比率Rを用いて説明する。
微小突起21が導光体51の表面と密着せず、且つ波長以上の間隔のある空隙9の部分の面積の総和Saが、レンズ配列シート1と導光体51とが対面している全面積Stに対する割合として、面積比率R〔%〕は〔式4〕で表される。
R=Sa/St×100 〔式4〕
従って、面積比率Rは上記面積割合SrとR+Sr=100の関係がある。
この面積比率Rは、要求される面内での輝度の均一性、光エネルギーの利用効率、導光体の寸法等により決定されるが、通常、面積比率Rは80%以上、より好ましくは90%以上とすることが必要である。
この理由としては、図21のような、共に表面粗さが光の波長以下の平滑な導光体表面55とレンズ配列シート1の表面(裏面)とを密着させた場合、図16の様に、光源52から導光体51に入射する入力光のうち大部分が、光源側の側端部から距離yまでに至る領域部分で全反射することなく放出され(導光体表面には臨界角以上で入射してもその部分では全反射されず単位レンズに光は進入してしまう為)、yより遠い所では急激に輝度が低下して暗くなってしまう。
そして、発光部の長さyの導光体51の光伝播方向の全長Yに対する百分率は、実際に測定すると10〜20%となる。
従って、光源から導光体に入射された光エネルギー量を全長Yに均等に分配するためには、導光体表面55の長さyの領域部分で大部分、すなわち約100%の光が放出されてしまうのだから、長さyの領域部分に来る入射光のうち10〜20%は透過させて放出し、残りの90〜80%の光を全反射させる必要がある。
ここで、概ね、
(全反射光量/全入射光量)≒Sa/St=R
で近似されることから、Rは80〜90%(Sr=10〜20%)が必要である。
そして、yより遠方の所でも同様に近似できるので、Rは80〜90%が必要である点は、全長にわたって適用できる。但し、Rが100%(Srが0%)に近くなり過ぎると、前記したようにレンズ配列シートの撓みにより、微小突起群の間の間隔が、光の波長以上に保てなくなり好ましくない。その為、Rの上限は99.99%以下(Sr≧0.01%)にすると良い。
【0042】
以上のような特定の微小突起群をレンズ配列シートの片面に設けることによって、視野角外に出射する光線が増加して輝度が低下することなく、等厚干渉縞やモアレ縞を防止した、また、導光体全面にわたって均一な面分布で出力光を分配できる優れたレンズ配列シートとすることができる。
【0043】
本発明のレンズ配列シート1は、図9(a)や図9(b)のように、平坦な透明基材3の片面に多数の微小突起21からなる微小突起群2を設け、他方の面にレンズ配列4を設けた3層構成でも良いし、また、図8に示すようにレンズ配列4と透明基材3とが一体でこれに微小突起群2を設けた2層構成、あるいは、図7に示すレンズ配列4と透明基材3と微小突起群2の三者を一体化した単層構成でも構わない。このような一体化したレンズ配列シートでは、透明基材の部分は必ずしも必要ではなく、レンズ配列の背面に微小突起群を有するものもあり得、これら一体化したものが透明基材であると考えることもできる。
なお、図9(b)では、透明で微小突起群2と一体化しており、微小突起21以外の部分では表面(レンズ配列シートとしては裏面側となる)が平滑な微小突起ベース32が、透明基材3の片面全面を覆う。このような構成は、微小突起群を透明基材3上に形成する際に、微小突起ベース32も同時に形成することもあるからである。この場合、微小突起ベース32は透明基材3の一部であると考えることもできる。
【0044】
透明基材、微小突起及びレンズ配列は透明な材料から形成する。このような材料の透明性は、用途によっては着色透明又は半透明でも良い。また微小突起は、その大きさが微小であることから、目視できない程度に不透明であっも構わないが、透明が好ましい。
【0045】
これらの透明基材、レンズ配列、微小突起を形成する透明な材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、あるいは、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系等のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電離放射線で硬化させた樹脂等で透明性の良い樹脂が用いられる。このような樹脂は、屈折率は通常1.49〜1.55程度のものである。また、樹脂以外にも、透明性が良けば、ガラス、セラミックス等でも使用できる。
【0046】
なお、レンズ配列シートの総厚は、通常20〜1000μm程度である。
【0047】
本発明のレンズ配列シートのレンズ配列としては、例えば図10のように柱状体として三角柱の単位レンズ41をその長軸(稜線)方向を一次元方向に平行にして隣接して配列させてなる柱状レンズ群(広義のレンチキュラーレンズ)、又は図13のように、半球面等周囲が独立した突起状の単位レンズ21を多数、二次元方向に配列してなる蠅の目レンズ等が使用され得る。
ここで、単位レンズの断面形状としては、図11、図12のように円、楕円、カージオイド、ランキンの卵形、サイクロイド、又はインボリュート曲線等の連続で滑らかな曲線、或いは図10の様に三角形、四角形、又は六角形など多角形の一部分又は全体を用いることもできる。
また、二次元方向に配列する単位レンズとしては図14のように角錐レンズも使用できる。
これらの単位レンズは、図10、図11、図13、図14の様な凸レンズでも、図12の様な凹レンズでも良く、これらの中でも、好ましいのは設計、製造の容易さ、集光、光の拡散特性(半値角、サイドローブ光(レンズ配列シートの出射面の法線に対して大きく斜め方向に出射する光)の少なさ、半値角内の輝度の等方性、法線方向の輝度)等の点から円柱又は楕円柱である。特に、面光源の法線方向が長径となった楕円柱が輝度が高い点で好ましい。
なお、以上の単位レンズの形状を説明する各図では、微小突起の図示は省略してある。
【0048】
レンズ配列シートの製造方法としては、図7のような単層構成のレンズ配列シートを得るには、例えば特開昭56−157310号公報に開示されているような公知の熱可塑性樹脂の熱プレス法や、射出成形法で、レンズ配列4と微小突起群2と逆凹凸形状を有する型を用いることができる他、紫外線や熱による硬化性樹脂の注型成形でも作ることができる。
【0049】
また、別の製造方法としては、例えば特開平5−1699015号公報に開示されているような、所望のレンズ配列の形状に対して逆形状の凹部(正確には凹凸形状)を有するロール凹版に電離放射線硬化性樹脂液を充填し、これに透明基材シートを重ねて、重ねたまま紫外線や電子線等の電離放射線を透明基材シート側から照射して(ロール凹版がガラス等で透明な場合はロール凹版の内側からも可能)、電離放射線硬化性樹脂液を硬化させ、その後、透明基材シートを硬化した樹脂と共にロール凹版から剥離することにより、硬化した電離放射線硬化性樹脂液が、所望の形状のレンズ配列4となって透明基材シート上に形成されたレンズ配列シートの中間シートが得られる。
次いで、同様な操作を中間シートの裏面に対して、所望の微小突起群の形状に対して逆形状の凹部を有するロール凹版にて、行えば、裏面に微小凹凸突起群を有し、表面にレンズ配列を有する本発明のレンズ配列シートが得られる。
なお、レンズ配列の先に微小突起群を形成してもかまわない。
【0050】
図19は、このような電離放射線硬化性樹脂による製造方法に用い得る製造装置の一例を示す概念図(断面図)である。
図19の製造装置において、71は形成する微小突起群2(又はレンズ配列4)と逆形状の凹部72が設けられたロール凹版(但し、図面を簡略化する為、凹部は四角形断面で図示してあり、このロール凹版は軸芯を中心として矢印方向に回転している)、73は電離放射線硬化性樹脂液、3はシート状の透明基材、74はロール凹版に当接して透明基材3をロール凹版71に圧接する押圧ロール、75は透明基材3の走行を支えるガイドロール、76は剥離ロール、77a及び77bは電離放射線硬化性樹脂液を硬化するための電離放射線照射装置、21は電離放射線硬化性樹脂液の硬化物として透明基材3上に形成された微小突起、1は微小突起21(又はレンズ配列4)を透明基材3上に有するレンズ配列シートの中間シート11、78は電離放射線硬化性樹脂液の塗工装置である。
【0051】
なお、上述の様な製造方法において、シート状の透明基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等からなるシートが使用できる。厚みは、装置取扱い等の作業性等から決められるが、通常10〜1000μm程度である。
【0052】
このような方法によって、微小突起群2及びレンズ配列4を透明基材3の表裏に有する図9のような3層構成のレンズ配列シートが得られる。
【0053】
また、図8のような2層構成のレンズ配列シートは、先ず前記したプレス成形、射出成形、注型成形等でレンズ配列を有する中間シートを作成しておき、次に、上述した電離放射線硬化性樹脂とロール凹版又は平凹版を用いる方法で、微小突起を形成すれば得られる。
【0054】
次に、本発明の面光源100は、従来公知の、光源、導光体、反射層等からなる面光源の光放出面の上方に、上述の本発明のレンズ配列シートを配置して実装すれば、得ることができる。
本発明の面光源は、図16にその一実施例の斜視図を示すように、少なくとも、導光体51と、その側端面の少なくとも一箇所に隣接して設置された線状又は点状の光源52と、導光体51の裏面の光反射層53と、上述した本発明のレンズ配列シート1とから構成した、エッジライト型の面光源である。また、通常は、さらに光源52の周囲には内面が反射面のランプハウス54を備える。
通常、導光体51にはアクリル樹脂やホリカーボネート樹脂等の1〜10mm程度の透明板を用い、光源52には冷例陰極管等の線光源を用い、光反射層53には、光を拡散反射するために、白色塗装や、サンドブラスト加工の後金属膜を蒸着やメッキして形成する。また、白色に印刷した光拡散ドットパターンを配置を調整して光出射面からでる光量の均一化を行うこともある。
また、導光体51とレンズ配列シート1との間に、光拡散シートを配置し、光を均一に拡散させ、且つ光反射層53の光拡散ドットパターンを見えなくすることもある。
【0055】
レンズ配列シートを面光源に実装する場合、一枚でも良いが、柱状レンズの場合、2方向(上下方向と左右方向)の光拡散角を制御する為には、図15の様に2枚のレンズ配列シートを、単位レンズの稜線が交差(同図では直交)する様に積層しても良い。この場合、レンズ配列を有する面(以下、レンンズ面とする)の向きは、2枚とも同一の向きにするのが、光の透過性が高く、また下側のレンズ配列シートのレンズ面と、上側レンズ配列シートの裏面の微小突起とのモアレ縞を防止でき、最適であるが、勿論、2枚のレンズ配列シートのレンズ面を、対向させて向き合うようにしても良い。
【0056】
また、レンズ配列シートを2枚使用して、レンズ配列シートと導光体51の間に上記した光拡散シート56として表裏が光源光の波長以上の凹凸があるシートを使用すれば、下側のレンズ配列シートの裏面には、微小突起は不要である。光拡散シートの表裏の凹凸が光学密着の防止作用をするからである。このような構成にすると、レンズ配列シートは2枚使用するが、1枚は、従来の裏面平面レンズ配列シート19を使用可能であり、コスト的に有利である。また、光拡散シートにより、光の均一拡散の効果がえられる反面、視野角外に出射する光は一般的には増加傾向となるが、導光体裏面の光反射層の光拡散ドットパターンの不可視化の効果がある。
このような、エッジライト型の面光源101を図18に示す。
【0057】
なお、裏面平面レンズ配列シートは、透明基材の表面側に単位レンズを1次元又は2次元方向に配列してなるレンズ配列を有し、裏面側は微小突起が無く平滑面であるものであり、これは、本発明のレンズ配列シート1に対して、裏面の微小突起群2が無い構成のものであり、その材料、製造方法は、本発明のレンズ配列シートと同様なものが適用できる。
また、光拡散シートは、導光体表面及び下側のレンズ配列シート裏面の平滑面に対して密着を防止する意味から表裏面を凹凸面とする。一方、光拡散作用は、凹凸面又は光拡散シート内部の光各散剤によって行われる。このような光拡散シートとしては、公知の光拡散シートが使用でき、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂基材に、シリカ等の光拡散剤粒子を分散させたもの、あるいは、透明樹脂表面に砂目等の微凹凸形状をエンボス加工したものが挙げられる。
【0058】
さらに、上述したエッジライト型の本発明の面光源を、透過型の液晶表示素子や広告板等の透光性表示体の背面にバックライトとして配置することで、本発明の透過型表示体が得られる。図17は、図16の本発明の面光源100に透光性表示体6を配置した、本発明の透過型表示体200の一実施例である。
【0059】
【作用】
本発明のレンズ配列シートによれば、裏面に微小突起群があるために、レンズ配列シートを二枚重ねた時、あるいは面光源として導光体表面の光放出面に重ねた時に、レンズ配列シート裏面の密着が防止され等厚干渉縞の発生が抑止される。また、導光体にレンズ配列シートの裏面(微小突起の形成面)とを向き合うようにして、導光体上にレンズ配列シートを載置する場合には、導光体表面での全反射による光の配分が阻害されることなく、光放出面全面にわたって均一な輝度分布の放出光が得られる。
また、微小突起群を構成する各微小突起を、特定のランダム化方法によってランダムな位置に配置してあるために、微小突起の数の大小に拘らず個数密度の分布ムラのない均一な面積分布が得られるで均一な輝度分布を助け、そして、レンズ配列や、液晶表示素子の画素の配列との干渉によるモアレ縞の発生が抑止される。
また、微小突起を直方体とすることで製造が容易となり、またその直方体の配置の仕方を、その側面とレンズ配列を構成する単位レンズの面との関係を特定の関係とすることで、レンズ配列との関係によるモアレ縞の発生が抑止される。
本発明のエッジライト型面光源によれば、上記のようなレンズ配列シートを用いるため、光エネルギーが有効に利用される。
また、本発明の透過型表示体によれば、このような面光源を用いるため、明るい表示体が得られる。
【0060】
【実施例】
《実施例1》
図19のような製造装置により、透明基材として厚み100μmで透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、ウレタンアクリレートプレポリマーを主成分とする紫外線硬化性インキにより、断面形状が頂角β(図10参照)100°の二等辺三角形の三角柱レンズを単位レンズとしたレンズ配列を有する中間シートを作成した。
次に、図19の装置を用いて同様に、その中間シートの裏面に上記と同じ紫外線硬化性インキを用いて、高さHを10μm、底辺の一辺aの長さを100μm、底辺の他辺bの長さを100μmの直方体を微小突起として、これをランダムに多数配列した微小突起群を形成して、本発明のレンズ配列シートを得た。
なお、微小突起をランダムに配列するための図19のロール凹版は、二次元格子として図5(a)の様な正方格子(a=b=250μm)を用い、各格子点の座標を、乱数(〔式3.2〕及び〔式3.3〕の係数α=β=350μmとして、−0.5以上、+0.5以下の乱数発生)によりX軸及びY軸方向に補正して変位させる操作をコンピュータ画像処理にて行い画像データを作成し、図6の様に微小突起部分を黒、重なる部分は白(濃度ゼロ)とした。そして、この画像データから印刷製版用のスキャナーを用いて、製版用の銀塩感光フィルムに露光し、原版フィルムを作成した(微小突起の長方形内が黒、重複部分及び長方形以外の部分は透明)。そして、円筒状の銅製シリンダー表面に感光性レジストを塗布し、その上に該原版フィルムを密着して露光し、現像して未感光部分(長方形内)のレジストを除去し、露光部分のみ硬化膜となったレジストパターンを形成し、塩化第二鉄水溶液でシリンダー表面を腐食し、しかる後、レジストを除去して、長方形部分が凹部となったロール凹版を製版した。版深は全長方形同一であった。
また、微小突起の直方体の向きは全て同一で、直方体の側面とレンズ配列シートの水平面との交線(図4でX′軸)と、単位レンズの構成面とレンズ配列シートの水平面との交線(図4でX軸)とは、平行である。そして、微小突起部分の断面積の全面積に対する割合Srは、Sr=15〔%〕であった。
【0061】
《実施例2》
実施例1において、直方体の高さHを15μmとした他は、実施例1と同様にして本発明のレンズ配列シートを得た。
【0062】
《実施例3》
実施例1において、直方体の高さHを20μmとした他は、実施例1と同様にして本発明のレンズ配列シートを得た。
【0063】
《実施例4》
実施例1において、直方体を回転させて配置し、且つ全ての直方体の向きは同一として、図4のX′軸とX軸とのなす角度αを10°とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のレンズ配列シートを得た。
【0064】
《比較例1》
実施例1において、レンズ配列を表面に形成した中間シートのままとして、裏面の微小凹凸を設けないレンズ配列シートとした。
【0065】
《比較例2》
実施例1において、レンズ配列を表面に形成した中間シートを得た後、その裏面に、二液硬化型ウレタン樹脂に粒径2〜20μmのアクリル樹脂ビーズを3重量%添加した塗液を、グラビアコート法により5g/m2 塗布して、マット化したレンズ配列シートを得た。
【0066】
《比較例3》
実施例1において、シリンダー表面を#80の球形の砂をサンドブラストしたものをロール凹版として用いた他は、実施例1と同様にして、裏面をマット化したレンズ配列シートを得た。
【0067】
以上の実施例及び比較例のレンズ配列シートの性能を表1に示す。
各評価基準は以下の通りである。
▲1▼耐密着性:レンズ配列シート裏面と他の平面板(導光体の光放出面)との密着が発生しない場合を「○」、発生する場合を「×」とした。なお、密着、すなわち光学的密着のの有無は、光放出面のうち光源近傍領域が他よりも明るく見える場合を密着有り(×)、光源近傍の明るい領域が目視で認められない場合を密着無し(○)と判断した。
▲2▼等厚干渉縞:レンズ配列シート一枚を他の平面板に重ねて目視観測して、等厚干渉縞が発生しない場合を「○」、発生する場合を「×」とした。
▲3▼モアレ縞:レンズ配列シート一枚を目視観測して、微小突起とレンズ配列とのモアレ縞が発生しない場合を「○」、発生する場合を「×」とした。
▲4▼輝度率:レンズ配列シート以外の部分は同一のエッジライト型面光源として、導光体表面にレンズ配列シートのみ替えるべく、上記各実施例、及び比較例のレンズ配列シートを、レンズ配列側を面光源の出力側(外側)に向けて載置して、(株)村上色彩技術研究所製の変角光度計GONIOPHOTOMETERを用いて輝度を測定した。そして、基準として、裏面に凹凸を形成しない比較例1の法線方向の輝度を100%とした。
▲5▼視野角:法線方向の輝度を100%として、輝度が50%以上となる法線からの角度範囲(半値角)とした。測定方法は▲4▼と同じである。
【0068】
【表1】
Figure 0003732251
【0069】
【発明の効果】
本発明のレンズ配列シートは以上説明したように構成されているので、レンズ配列シートを二枚重ねた場合は、シート同士の密着がなく、一枚を面光源の導光体に重ねた場合でも導光体との密着がなく、その結果、等厚干渉縞の発生が防止できる。しかも、従来のマット処理による密着防止に比べて、視野角外に出射する光量が少なく輝度低下を最小限に抑えることができる。特に、微小突起の個数の面密度のムラ無くランダムに分布しているので、輝度ムラも発生しにくい。
また、エッジライト型の本発明の面光源では、レンズ配列シートが導光体の光放出面に密着しないために、光源からの光を導光体内に広く均一に分布させることができ、その結果、導光体からの放出光の光放出面内での輝度分布を均一化できる。そして、光エネルギーが有効に利用され明るく、また、光拡散ドットパターンも不可視化できる。
そして、出射面の法線方向近傍で出射する光量が多く且つ法線方向から離れて出射する光も等方拡散性シートに比べて低減できる。
また、本発明の透過型表示体では、表示面全面で明るく、見る角度によっても均一で明るい表示体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンズ配列シートの一実施例を示す斜視図。
【図2】本発明のレンズ配列シートの微小突起の形状の一実施例の斜視図。
【図3】レンズ配列シートに設けられた微小突起を拡大して説明する斜視図。
【図4】微小突起の側面とレンズ配列の構成面とを非平行とする説明図。
【図5】元になる二次元格子と、ランダム化した微小突起群の説明図。
【図6】微小突起同士が重なった場合の形状処理の説明図。
【図7】本発明のレンズ配列シートの層構成の一実施例(単層)の縦断面図。
【図8】本発明のレンズ配列シートの層構成の他の実施例(2層)の縦断面図。
【図9】本発明のレンズ配列シートの層構成の他の実施例(3層)の縦断面図。
【図10】本発明のレンズ配列シートのレンズ配列の一例(三角柱レンズ)の斜視図。
【図11】本発明のレンズ配列シートのレンズ配列の他の例(楕円柱レンズ)の斜視図。
【図12】本発明のレンズ配列シートのレンズ配列の他の例(凹レンズ)の斜視図。
【図13】本発明のレンズ配列シートのレンズ配列の他の例(蠅の目レンズ)の斜視図。
【図14】本発明のレンズ配列シートのレンズ配列の他の例(角錐レンズ)の斜視図。
【図15】本発明のレンズ配列シートの二枚構成を説明する斜視図。
【図16】エッジライト型の本発明の面光源の一実施例の斜視図。
【図17】本発明の透過型表示体の一実施例の斜視図。
【図18】エッジライト型の本発明の面光源の他の実施例の斜視図。
【図19】本発明のレンズ配列シートの製造に用い得る製造装置の一例を示す概念図。
【図20】導光体内部から外部へ向かって進行する光線の微視的挙動を示す説明図。
【図21】導光体から微小間隔隔てたレンズ配列シートへトンネル効果で進行する光線の挙動を示す説明図。
【図22】本発明のレンズ配列シートの微小突起と導光体表面との接触部分が、導光体内部での光の配分に関与する説明図。
【符号の説明】
1 レンズ配列シート
11 レンズ配列シートの中間シート
19 裏面平面レンズ配列シート(従来のレンズ配列シート)
2 微小突起群
21 微小突起
22 微小突起を形成する座標点
23 微小突起の重複部分
3 透明基材
31 透明基材シート
32 微小突起ベース
4 レンズ配列
41 単位レンズ
42 三角柱の単位レンズの斜面
51 導光体
52 光源
53 光反射層
54 ランプハウス
55 導光体表面(光放出面)
56 光拡散シート
6 透光性表示体
71 ロール凹版
72 凹部
73 電離放射線硬化性樹脂液
74 押圧ロール
75 ガイドロール
76 剥離ロール
77a,77b 電離放射線照射装置
78 塗工装置
8 格子点
9 微小突起によって確保される空隙
100 面光源
101 面光源(レンズ配列シート二枚使用)
200 透過型表示体
1 ,n2 屈折率
1 ,L2 ,L3 入射光
1R 反射光
1T,L3T 進行波,出力光,透過光
1V トンネル電磁場
y 導光体の光源近傍の発光部の長さ
Y 導光体の光伝播方向の全長
α 微小突起の側面とレンズ配列シート水平面との交線と、単位レンズの面とレンズ配列シートの水平面との交線とのなす角。
β 三角柱レンズの頂角。
λ 光の波長
θ 入射角
θ′ 出射角
θc 臨界角

Claims (7)

  1. 透明基材の表面側に、単位レンズを1次元又は2次元方向に配列してなるレンズ配列を有し、裏面側には、多角柱状で各辺の長さが光源光の波長以上且つ500μm以下の微小突起を多数、全面に、ランダムな二次元分布にて配列してなる微小突起群を有するレンズ配列シートであって、前記ランダムな二次元分布が二次元格子の各格子点の位置をランダムにずらして再配置した分布であることを特徴とするレンズ配列シート。
  2. 微小突起が直方体であることを特徴とする請求項1記載のレンズ配列シート。
  3. レンズ配列シートの水平面と単位レンズを構成する面とが交わる交線と、前記水平面と微小突起群を構成する各直方体の側面とが交わる交線とが、互いに非平行であることを特徴とする請求項2記載のレンズ配列シート。
  4. 少なくとも、透光性平板からなる導光体と、該導光体の側端面のうちの1面以上の面に隣接して設けられた光源ユニットと、前記導光体裏面に設けられた光反射層と、
    前記導光体表面の光放出面上に、微小突起群を導光体表面側に向けて積層してなる1枚又は2枚の請求項1,2又は3記載のレンズ配列シートと、から構成されることを特徴とする面光源。
  5. 少なくとも、透光性平板からなる導光体と、該導光体の側端面のうちの1面以上の面に隣接して設けられた光源ユニットと、前記導光体裏面に設けられた光反射層と、前記導光体表面の光放出面上に、請求項1,2又は3記載のレンズ配列シートを2枚積層して成る面光源であって、前記2枚のレンズ配列シートのうち、前記導光体側のレンズ配列シートが其の微小突起群を前記導光体表面側に向けて積層して構成されることを特徴とする面光源。
  6. 導光体表面の光放出面上に、
    表裏面に光源光の波長以上の凹凸がある光拡散シートと、
    透明基材の表面側に単位レンズを1次元又は2次元方向に配列してなるレンズ配列を有し、裏面側は微小突起が無く平滑面であり、裏面を導光体表面側に向けた裏面平面レンズ配列シートと、
    請求項1,2又は3記載のレンズ配列シートと、をこの順に重ねて配置してなることを特徴とする請求項4記載の面光源。
  7. 請求項4,5又は6記載の面光源を透光性表示体の背面光源として備えたことを特徴とする透過型表示体。
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